JP2012118116A - 表示装置用部材の製造方法および表示装置 - Google Patents

表示装置用部材の製造方法および表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基板に沿って、互いに遅相軸の方向が異なる複数の位相差領域を有する位相差層を具備した表示装置用部材を製造するとき、上記位相差領域と上記基板に配列された複数のカラーフィルタ(画素)との間の位置ずれを小さくすること。
【解決手段】基板53の光出射側Fに偏光層54を形成する。偏光層54上で、複数のカラーフィルタA1,…;B1,…の配列に対応した位置に、位相差層56の材料となる液晶組成物の液晶性成分を遅相軸71a,71bの方向に応じた互いに異なる配向方向に配列させる機能をもつ複数のパターン領域を有する配向膜を形成する。配向膜上に、重合性液晶化合物を含む液晶組成物を塗布し液晶相を示す温度に保持して、複数のパターン領域に対応する領域毎に、液晶性成分を互いに異なる配向方向71a,71bに配列させる。液晶性成分をなす重合性液晶化合物を、配向方向を保持しながら重合させて位相差層56を形成する。
【選択図】図5

Description

この発明は表示装置用部材の製造方法に関し、より詳しくは、表示装置を構成する部材を製造する方法に関する。
また、この発明は、そのような表示装置用部材の製造方法によって製造された表示装置用部材を含む表示装置に関する。
立体的に画像を表示することができる立体表示装置としては、マイクロパターン偏光素子を備える立体表示装置が知られている(例えば、非特許文献1(サデグ・エム・ファリス(Sadeg M.Faris)著、「新種の立体画像表示へのマイクロ偏光子アレイ(Micro-Polarizer Arrays to a New Class of Stereoscopic Imaging)」、エス・アイ・ディー・91・ダイジェスト(SID 91 DIGEST)、1991年、p.840-843)参照。)。また、このようなマイクロパターン偏光素子としては、延伸した二色性ポリビニルアルコールフィルム上にレジストを塗布し、パターニングした後、苛性ソーダ水溶液で上記フィルムを溶解(除去)してパターン化した偏光素子を得、偏光軸の直交する二枚のパターン化偏光素子を重ね合わせて作製された偏光素子が知られている。また、このような偏光素子を、表示素子が形成された基板(基板の主面に沿って複数の画素が配列されたもの)とを貼り合わせて立体表示装置として機能する表示装置を製造する方法が知られている。
サデグ・エム・ファリス(Sadeg M.Faris)著、「新種の立体画像表示へのマイクロ偏光子アレイ(Micro-Polarizer Arrays to a New Class of Stereoscopic Imaging)」、エス・アイ・ディー・91・ダイジェスト(SID 91 DIGEST)、1991年、p.840-843
従来の表示装置の製造方法では、偏光素子のパターンと表示装置が有する画素との間に位置ずれが生じやすいという問題があった。
ここで、表示装置としては、表示装置を構成する部材として、2つの主面のうち背面となる側に、上記主面に沿って配列された複数のカラーフィルタを有する基板(これを適宜「カラーフィルタ基板」と呼ぶ。)を備えたものがある。上記複数のカラーフィルタがそれぞれ画素を構成し、それぞれ画素が占める領域を定めている。このような表示装置では、上述の偏光素子のパターンと表示装置が有する画素との間の位置ずれは、偏光素子のパターンとカラーフィルタ基板に配列された複数のカラーフィルタとの間の位置ずれに相当すると言える。
そこで、この発明の課題は、2つの主面のうち背面となる側に、上記主面に沿って配列された複数のカラーフィルタを有する基板を備え、上記基板の光出射側に、上記主面に沿って、互いに遅相軸の方向が異なる複数の領域(これを「位相差領域」と呼ぶ。)を有する位相差層を具備した表示装置用部材を簡便に製造することができ、かつ上記位相差層が有する上記複数の位相差領域と上記基板に配列された複数のカラーフィルタ(したがって画素)との間の位置ずれを小さくすることができる表示装置用部材の製造方法を提供することにある。
また、この発明の課題は、そのような表示装置用部材の製造方法によって製造された表示装置用部材を含む表示装置を提供することにある。
上記課題を解決するため、この発明の表示装置用部材の製造方法は、
2つの主面のうち背面となる側に上記主面に沿って配列された複数のカラーフィルタを有する基板と、上記基板の光出射側に配置され、上記主面に沿った特定方向の透過軸をもつ偏光層と、上記偏光層の光出射側に配置され、上記主面に沿って、上記透過軸に対して互いに異なる角度で交差する遅相軸をもつ複数の位相差領域を有する位相差層とを備えた表示装置用部材を製造する表示装置用部材の製造方法であって、
次の工程(1)乃至(4)を含むことを特徴とする。
(1)上記カラーフィルタが形成された上記基板の上記光出射側に、上記主面に沿って上記偏光層を形成する工程
(2)上記工程(1)で形成された上記偏光層上で、上記基板の上記複数のカラーフィルタの配列に対応した位置に、上記位相差層の材料となる液晶組成物の液晶性成分を上記遅相軸の方向に応じた互いに異なる配向方向に配列させる機能をもつ複数のパターン領域を有する配向膜を形成する工程
(3)上記工程(2)で形成された上記配向膜上に、上記重合性液晶化合物を含む液晶組成物を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を上記液晶組成物の液晶性成分が液晶相を示す温度に保持して、上記配向膜の上記複数のパターン領域に対応する領域毎に、上記液晶性成分を互いに異なる配向方向に配列させる工程
(4)上記工程(3)で形成された上記液晶性成分をなす重合性液晶化合物を、上記配向方向を保持しながら重合させることにより、上記複数の位相差領域を有する上記位相差層を形成する工程
この発明の表示装置用部材の製造方法によれば、上記位相差層が有する上記複数の位相差領域と上記基板に配列された複数のカラーフィルタ(したがって画素)との間の位置ずれを小さくすることができる。また、上記基板の熱膨張に起因して発生する位置ずれも抑制することができる。これらにより、優れた立体画像を表示可能な表示装置用部材を得ることができる。
本明細書で、基板の「主面」とは、基板の広がりをもつ面(端面とは異なる面)を意味する。
基板の「光出射側」とは、製造された表示装置において上記基板から光が出射されるべき側を指す。いずれが「光出射側」であるかは、上記工程(1)が実施される前に、上記基板の構成に応じて定まっている。
2つの主面のうち「背面」とは、基板において光出射側の主面とは反対側の主面を指す。
「カラーフィルタ」とは、赤、緑、青などの特定波長域の光を選択的に透過するフィルタを指す。
複数の「画素」とは、それぞれ電気的信号で駆動されることにより、光の透過、反射又は発光のオン/オフを行える素子を意味する。このような複数の画素を有する表示素子としては、液晶表示素子、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示素子、プラズマ表示素子、電界放出表示素子及び表面伝導型電子放出素子等の発光層を有する表示素子が挙げられる。
「偏光層」とは、自然光からある一方向(透過軸の方向)の直線偏光を選択的に透過する機能を有する物体のことをいう。
また、「位相差層」とは、光を透過し、複屈折性を有する物体をいう。位相差層は、偏光層と組み合わせることで、直線偏光を円偏光や楕円偏光に変換したり、逆に円偏光又は楕円偏光を直線偏光に変換したりするために用いられる。
一実施形態の表示装置用部材の製造方法では、上記主面に沿った方向に関して、上記位相差層の上記複数の位相差領域の形状及び大きさが、それぞれ上記基板の複数のカラーフィルタの配列の形状及び大きさと一致していることを特徴とする。
この一実施形態の表示装置用部材の製造方法によれば、上記複数のカラーフィルタの配列に応じて、上記位相差層が有する上記複数の位相差領域と上記基板に配列された複数のカラーフィルタ(したがって画素)との間の位置ずれを小さくすることができる。
一実施形態の表示装置用部材の製造方法では、上記工程(2)は次の工程(2a)乃至(2c)を含むことを特徴とする。
(2a)光配向性ポリマーを含む溶液を上記偏光層上に塗布して光配向性ポリマー膜を形成する工程
(2b)上記工程(2a)で形成された上記光配向性ポリマー膜に、上記複数のパターン領域のうちの第1のパターン領域に対応した空隙部を有する第1のマスクを介して、第1の偏光方向を有する第1の偏光を照射して、上記第1のパターン領域の配向規制力の方向を上記第1の偏光方向に対応させる工程
(2c)上記第1の偏光が照射された上記光配向性ポリマー膜の、上記第1のパターン領域とは異なる第2のパターン領域に、上記第2のパターン領域に対応した空隙部を有する第2のマスクを介して、上記第1の偏光方向とは異なる第2の偏光方向を有する第2の偏光を照射して、上記第2のパターン領域の配向規制力の方向を上記第2の偏光方向に対応させる工程
この一実施形態の表示装置用部材の製造方法によれば、基板の主面に沿って、互いに遅相軸の方向が異なる複数の位相差領域を有する位相差層を具備した表示装置用部材を簡便に製造することができる。
一実施形態の表示装置用部材の製造方法では、上記工程(2)は次の工程(2f)乃至(2h)を含むことを特徴とする。
(2f)配向性ポリマーを含む溶液を上記偏光層上に塗布して配向性ポリマー膜を形成する工程
(2g)上記工程(2f)で形成された上記配向性ポリマー膜の、上記光出射側の表面に、第1のラビング処理方向に沿って第1のラビング処理を行って、上記光出射側の表面の配向規制力の方向を上記第1のラビング処理方向に対応させる工程
(2h)上記工程(2g)により第1のラビング処理が行われた上記配向性ポリマー膜に、上記第2のパターン領域に対応した空隙部を有するマスクを介して、上記第1のラビング処理方向とは異なる第2のラビング処理方向に沿って第2のラビング処理を行って、上記第2のパターン領域の配向規制力の方向を変化させて上記第2のラビング処理方向に対応させる工程
この一実施形態の表示装置用部材の製造方法によれば、基板の主面に沿って、互いに遅相軸の方向が異なる複数の位相差領域を有する位相差層を具備した表示装置用部材を簡便に製造することができる。
一実施形態の表示装置用部材の製造方法では、さらに、上記位相差層の上記光出射側に、外光の反射を防ぐ反射防止層を形成する工程を含むことを特徴とする。
この一実施形態の表示装置用部材の製造方法によれば、製造された表示装置において上記反射防止層によって、外光に由来する反射光の発生を軽減でき、また、表示装置用部材からの本来の表示用の出射光と反射光との干渉も抑制することが可能となる。この結果、表示特性を改善できる。さらに、上記反射防止層によって、上記位相差層を保護することができる。
また、この発明の表示装置は、上記表示装置用部材の製造方法により製造された表示装置用部材を備える。
この発明の表示装置によれば、上記表示装置用部材のお蔭で、優れた立体画像を表示することができる。
本発明の表示装置用部材の製造方法によれば、2つの主面のうち背面となる側に、上記主面に沿って配列された複数のカラーフィルタを有する基板を備え、上記基板の光出射側に、上記主面に沿って、互いに遅相軸の方向が異なる複数の位相差領域を有する位相差層を具備した表示装置用部材を簡便に製造することができ、かつ上記位相差層が有する上記複数の位相差領域と上記基板に配列された複数のカラーフィルタ(したがって画素)との間の位置ずれを小さくすることができる。また、上記基板の熱膨張に起因して発生する位置ずれも抑制することができる。これらにより、優れた立体画像を表示可能な表示装置を得ることができる。
この発明の一実施形態の表示装置用部材の製造方法で用いられるマスクの構成を示す図である。 図1のマスクを用いて得られる配向膜の態様を示す図である。 上記製造方法によって作製されるべき液晶表示装置用部材の概略構成を示す図である。 上記製造方法によって作製されるべき別の液晶表示装置用部材の概略構成を示す図である。 上記液晶表示装置用部材を用いて構成された液晶表示装置において、基板に配列された複数のカラーフィルタ(したがって画素)と偏光層と位相差層との間の配置の対応関係を模式的に示す図である。 上記液晶表示装置用部材を用いて構成された液晶表示装置の概略構成を示す図である。
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
図3は、本発明の一実施形態の製造方法によって作製されるべき表示装置用部材の一例としての液晶表示装置用部材(全体を符号51Aで示す。)の概略断面構成を示している。
この液晶表示装置用部材51Aは、基板としての透明なガラス基板53を備えている。この基板53の2つの主面53a,53bのうち背面53bとなる側に、カラーフィルタ層52が配置されている。一方、基板53の光出射側(背面53bとは反対側の主面53aの側)に、偏光層54、配向膜55及び位相差層56が順番に配置されている。
図5中に模式的に示すように、カラーフィルタ層52は、背面53bに沿ってマトリクス状に配列された複数の矩形のカラーフィルタA1,A2,…;B1,B2,…を有している。この例では、カラーフィルタA1,A2,…は、それぞれ赤(R)、緑(G)、…の波長域の光を選択的に透過する。カラーフィルタB1,B2,…は、それぞれ緑(G)、青(B)…の波長域の光を選択的に透過する。これらのカラーフィルタ同士の間は、黒色の格子状のブラックマトリクスBMによって仕切られて遮光されている。
上記複数のカラーフィルタA1,A2,…;B1,B2,…がそれぞれ画素に対応し、それぞれ画素が占める領域を定める。なお、赤(R)、緑(G)、青(B)のカラーフィルタの配置の態様(並べ方)には、様々なバリエーションが許容される。
なお、ガラス基板53の背面53b(ガラス基板53とカラーフィルタ層52との間)には、背面53bに沿って、複数の画素に共通な公知の透明電極(対向電極。図示せず。)が設けられている。
偏光層54は、主面50に沿った特定方向の透過軸70a(図5中に模式的に示すように、水平方向に対して斜め45度に向いている。)を有している。この偏光層54は、基板53を透過した光の、透過軸70aの方向に沿った成分を光出射側Fへ透過させる。
また、位相差層56は、主面50に沿って、上記透過軸70aに対して互いに異なる角度で交差する遅相軸71a,71bをもつ複数の領域(位相差領域)71A,71Bを有している。図5中に模式的に示すように、位相差領域71Aの遅相軸71aは鉛直方向に向く一方、位相差領域71Bの遅相軸71bは水平方向に向いている。つまり、光出射側Fから見たとき、偏光層54の透過軸70aの方向(これを0度とする。)に対して、位相差領域71Aの遅相軸71aは45度に交差し、位相差領域71Bの遅相軸71bは135度に交差している。このような配置により、位相差領域71A,71Bは、偏光層54からの直線偏光を、互いに反対回りの円偏光に変換して、それぞれ光出射側Fへ出射する。これにより、後述のように立体表示が可能となる。
この例では、主面50に沿った方向に関して、位相差層56の位相差領域71A,71Bの形状及び大きさが、それぞれ基板53の複数のカラーフィルタ(したがって画素)A1,A2,…;B1,B2,…の配列の形状及び大きさと一致している。
この液晶表示装置51Aは次の工程(1)乃至(4)によって作製される。
本発明の製造方法は、工程(1)として、上記カラーフィルタA1,A2,…;B1,B2,…が形成された基板53の光出射側に、偏光層54を形成する工程を含む。
偏光層54としては、例えばフィルム状の偏光板を接着剤で貼合した層、及び二色性色素を含む液晶組成物を塗布して得られる層が挙げられる。
偏光層54が貼合により形成される場合に用いられる偏光板としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を吸着・配向させたヨウ素系偏光板、ポリビニルアルコール系フィルムに二色性の染料を吸着・配向させた染料系偏光板、及びリオトロピック液晶状態の二色性染料をコーティングし、配向・固定化した塗布型偏光板等が挙げられる。中でも、偏光度及び透過率に優れるため、ヨウ素系偏光板が好ましい。ヨウ素系偏光板としては、例えば、特許第3708062号や特許第4432487号に記載の偏光板等が挙げられる。
貼合に用いられる接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シアノアクリレート樹脂及びアクリルアミド樹脂等を接着成分とする接着剤が挙げられ、例えば、特許第4251060号や特開2006−77224号公報に記載の材料が挙げられる。なお、偏光板を貼合する方法としては、接着剤層を偏光板側に設けてから貼合してもよいし、接着剤層を基板53側に設けてから貼合してもよい。また、偏光板を貼合する方法としては、特開2010−276754号公報又は特開2010−276755号公報に記載の方法で行ってもよい。本明細書において、接着剤とは、粘着剤も包含する。
偏光層54が二色性色素を含む液晶組成物によって形成される場合、二色性色素を含む液晶組成物としては、液晶性を有する二色性色素を含む液晶組成物、液晶化合物及び二色性色素を含む液晶組成物が挙げられる。基板53に上記液晶組成物を塗布し、乾燥させることにより、上記偏光層54を形成することができる。液晶化合物及び/又は二色性色素が重合性基を有する化合物である場合、乾燥後の膜に対して光照射や加熱を行い、膜中の上記重合性基を有する化合物を重合させることが、偏光層54の耐久性の点で好ましい。二色性色素を含む液晶組成物を用いて偏光層54を形成する方法としては、例えば、特表2007−510946号公報や特許第3492693号に記載の方法が挙げられる。
本発明の製造方法は、工程(2)として、上記工程(1)で形成された偏光層54上で、基板53の複数のカラーフィルタA1,A2,…;B1,B2,…の配列に対応した位置に、複数のパターン領域13,12(図2参照)を有する配向膜(以下「パターン化配向膜」という場合がある)55を形成する工程を含む。
上記複数のパターン領域13,12は、後工程で形成される位相差層56の材料となる液晶組成物の液晶性成分を、互いに異なる配向方向(図2中に付与したハッチングの方向に相当)に配列させる機能(配向規制力)をもつ。
この例では、主面50に沿った方向に関して、パターン化配向膜55の複数のパターン領域13,12の形状及び大きさは、それぞれこの配向膜55上に形成すべき位相差層56の位相差領域71A,71Bの形状及び大きさと一致しており、したがって、それぞれ基板53の複数のカラーフィルタA1,A2,…;B1,B2,…の配列の形状及び大きさと一致している。
配向膜55を形成する方法としては、ラビングによって配向規制力が付与される配向性ポリマーを用いる方法(以下「ラビング法」という場合がある)、偏光を照射することにより配向規制力が付与される光配向性ポリマーを用いる方法(以下「光配向法」という場合がある)、基板表面に酸化ケイ素を斜方蒸着する方法、及びラングミュア・ブロジェット法(LB法)を用いて長鎖アルキル基を有する単分子膜を形成する方法等が挙げられる。中でも、液晶組成物の配向均一性、処理時間及び処理コストの観点から、ラビング法及び光配向法が好ましく、光配向法がより好ましい。配向膜55としては、その上に後工程で塗布される液晶組成物(後工程で形成される位相差層56の材料となる)に含まれる溶剤に溶解しない程度の耐溶剤性、溶剤の除去や液晶配向等の熱処理に対する耐熱性、下地に対する密着性を有することが好ましい。
配向膜55がラビング法によって形成される場合、ラビング法に用いられる配向性ポリマーとしては、例えば分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミド及びその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸又はポリアクリル酸エステル類等のポリマーを挙げることができる。サンエバー(登録商標、日産化学工業株式会社製)又はオプトマー(登録商標、JSR株式会社製)等の市販品を用いてもよい。
配向膜55が光配向法によって形成される場合、光配向法に用いられる光配向性ポリマーとしては、感光性構造を有するポリマーが挙げられる。感光性構造を有するポリマーに偏光を照射すると、照射された部分の感光性構造が異性化又は架橋することで光配向性ポリマーが配向し、光配向性ポリマーからなる膜に配向規制力が付与される。上記感光性構造としては、例えば、アゾベンゼン構造、マレイミド構造、カルコン構造、桂皮酸構造、1,2−ビニレン構造、1,2−アセチレン構造、スピロピラン構造、スピロベンゾピラン構造及びフルギド構造等が挙げられる。これらのポリマーは、単独で用いてもよいし、2種類以上併用してもよい。これらのポリマーは、感光性構造を有する単量体を用いて、脱水や脱アミン等による重縮合や、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の連鎖重合、配位重合や開環重合等により得ることができる。また、異なる感光性構造を有する複数種の単量体からなる共重合体であってもよい。このような光配向性ポリマーとしては、特許第4450261号、特許第4011652号、特開2010−49230号公報、特許第4404090号、特開2007−156439号公報、特開2007−232934号公報等に記載される光配向性ポリマーが挙げられる。
上記配向性ポリマー及び光配向性ポリマーは、溶剤に溶解して、塗布することができる。溶剤は、特に制限はないが、具体的には、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル又はプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート又は乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン又はメチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン又はヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエン又はキシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフラン又はジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルム又はクロロベンゼン等の塩素系溶剤;等が挙げられる。これら有機溶剤は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
配向膜55を形成するには、まず、工程(1)で形成された偏光層54上に、上記配向性ポリマー又は光配向性ポリマーの溶液を塗布する。塗布方法としては、例えば、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAP(キャップ)コーティング法、ダイコーティング法、インクジェット法、ディップコーティング法、スリットコーティング法、スピンコーティング法及びバーコーターによる塗布等が挙げられる。中でも、表示素子の損傷を抑制できる点で、CAPコーティング法、インクジェット法、ディップコーティング法、スリットコーティング法及びバーコーターによる塗布が好ましい。
配向性ポリマー又は光配向性ポリマーの溶液を塗布後、乾燥して、溶剤などの低沸点成分を塗布された膜から除去する。
乾燥方法としては、例えば自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥等の方法が挙げられる。具体的な乾燥温度としては、10〜250℃であることが好ましく、25〜200℃であることがさらに好ましい。また乾燥時間としては、5秒間〜60分間であることが好ましく、10秒間〜30分間であることがより好ましい。乾燥温度及び乾燥時間が上記範囲内であれば、カラーフィルタが形成された基板53や偏光層54に対する損傷を抑制することができる。
次いで、配向膜55に液晶組成物を積層して配向させたとき、互いに配向規制力の方向が異なる複数のパターン領域13,12に分かれるように、上記乾燥された配向性ポリマー膜又は光配向性ポリマー膜に配向規制力を付与する。配向規制力を付与する方法としては、乾燥後の配向性ポリマー膜にラビング法及び光配向法を適用するのが好ましい。
ラビング法により配向規制力を付与するには、例えばラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールを、ステージに載せられ、搬送されている乾燥後の配向性ポリマー膜に接触させる。
ラビング法によってパターン化配向膜55を形成するには、まず、乾燥後の配向性ポリマー膜の表面(光出射側)の表面に、マスクを介さず、第1のラビング処理を施す。この第1のラビング処理によって、上記表面全域の配向規制力の方向を第1のラビング処理方向に対応させる。次いで、上記第1のラビング処理後の配向性ポリマー膜上に、例えば図1に示したマスク1(図2中の第2のパターン領域12に対応した空隙部2を有する)を積層し、上記第1のラビング処理方向とは異なる第2のラビング処理方向(この例では第1のラビング処理方向に対して垂直な方向)に沿って第2のラビング処理を施す。この第2のラビング処理によって、第2のパターン領域12の配向規制力の方向を変化させて上記第2のラビング処理方向に対応させる。この第2のラビング処理が行われても、上記配向性ポリマー膜の表面のうちマスク1の実部3に覆われた領域は、ラビングを受けないので配向規制力が維持される。したがって、上記マスク1の実部3に覆われた領域の配向規制力の方向は、第1のラビング処理方向のままに維持される。これにより、互いに配向規制力の方向が異なる複数のパターン領域13,12を有する配向膜55が得られる。
なお、上記乾燥後の配向性ポリマー膜上に、図2中の第1のパターン領域13に対応した空隙部を有する第1のマスク(残りの領域は実部になっている)を積層して第1のラビング処理を行い、次いで、図2中の第2のパターン領域12に対応した空隙部2を有する第2のマスク(残りの領域は実部になっている)を積層して、第2のラビング処理を行うことによっても、パターン化配向膜55を形成することができる。さらに、3種類以上のマスクを介してラビング処理を繰り返し行うことにより、互いに配向規制力の方向が異なる3つ以上のパターン領域を有するパターン化配向膜を作成することもできる。
上記マスク1は、図1に示すように、ストライプ状の実部3とストライプ状の空隙部2とを、互いに同じ幅で、交互に並べて配置したパターンを有している。実部3と空隙部2の幅は、基板53の複数のカラーフィルタ(したがって画素)A1,A2,…;B1,B2,…の行方向又は列方向の配列のピッチと等しく、例えば280μmに設定されている。マスクの材料としては、SUS(ステンレス鋼)板、鉄板、アルミニウム板等の金属板、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PC(ポリカーボネート)等のプラスチック板等が挙げられ、ラビング処理により、破砕しない材料であればよい。また、マスクの膜厚は、20μm〜5mmが好ましく、30μm〜1mmがより好ましい。
光配向法により配向規制力を付与するには、乾燥後の光配向性ポリマー膜上に、偏光照射(例えば、直線偏光紫外線)を行う。偏光照射は、例えば、特開2006−323060号公報に記載される装置を用いて行うことができる。例えば、乾燥後の光配向性ポリマー膜上で、例えば複数のカラーフィルタA1,A2,…の配列に対応した領域とカラーフィルタB1,B2,…の配列に対応した領域とを区別して、それらの領域毎にフォトマスクを介しての偏光照射(例えば、直線偏光紫外線)を繰り返し行うことにより、パターン化配向膜55を形成することができる。上記フォトマスクとしては、例えば、石英ガラス、ソーダライムガラスまたはポリエステルなどのフィルム上に、遮光パターン(図1に示したマスク1の実部3に相当)を設けたものが挙げられる。遮光パターンで覆われている部分は露光される光が遮断され、覆われていない空隙部は露光される光が透過される。熱膨張の影響が小さいため、フォトマスクに用いられる基材としては石英ガラスが好ましい。
光配向法によってパターン化配向膜55を形成するには、まず、乾燥後の光配向性ポリマー膜に、図2中の第1のパターン領域13に対応した空隙部を有する第1のマスク(残りの領域は遮光パターンになっている)を介して、第1の偏光方向を有する第1の偏光を照射する(第1の偏光照射)。この第1の偏光照射によって、上記第1のパターン領域13の配向規制力の方向を上記第1の偏光方向に対応させる。次いで、図2中の第2のパターン領域12に対応した空隙部を有する第1のマスク(残りの領域は遮光パターンになっている)を介して、上記第1の偏光方向とは異なる第2の偏光方向(この例では第1の偏光方向に対して垂直な方向)を有する第2の偏光を照射する(第2の偏光照射)。この第2の偏光照射によって、上記第2のパターン領域12の配向規制力の方向を上記第2の偏光方向に対応させる。これにより、互いに配向規制力の方向が異なる複数のパターン領域13,12を有する配向膜55が得られる。さらに、3種類以上のマスクを介して偏光照射を繰り返し行うことにより、互いに配向規制力の方向が異なる3つ以上のパターン領域を有するパターン化配向膜を作成することもできる。光配向性ポリマーの反応性の点で、各偏光照射とも、照射する光は紫外線であることが好ましい。
パターン化配向膜55の膜厚は、例えば10nm〜10000nmであり、好ましくは10nm〜1000nmである。このような範囲とすれば、後工程で液晶組成物に含まれる液晶性成分を所望の角度に配向させることができる。
本発明の製造方法は、工程(3)として、上記工程(2)で形成された配向膜55上に、重合性液晶化合物を含む液晶組成物を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を上記液晶組成物の液晶性成分が液晶相を示す温度に保持して、上記配向膜55の上記複数のパターン領域13,12に対応する領域毎に、上記液晶性成分を互いに異なる配向方向に配列させる工程を含む。
上記液晶組成物は、重合性液晶化合物のほか、重合開始剤及び溶媒等を含むことが好ましい。そのような場合、この工程(3)においては、上記液晶組成物を塗布して得られた塗布膜から溶剤が除去された膜が形成され、次いで、その溶剤が除去された膜に含まれる液晶性成分が配向される。
上記液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物としては、液晶便覧(液晶便覧編集委員会編、丸善(株)平成12年10月30日発行)の3章 分子構造と液晶性の、3.2 ノンキラル棒状液晶分子、3.3 キラル棒状液晶分子に記載された化合物の中で重合性基を有する化合物、特開2010−31223号で開示されている重合性液晶化合物等が挙げられる。これらの重合性液晶化合物は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
本発明の製造方法に用いられる液晶組成物は、上述のように、溶剤を含むことが好ましい。
上記溶剤としては、液晶組成物に含まれる成分を溶解し、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤であればよく、具体的には、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル又はフェノール等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート又は乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン又はメチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン又はヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエン又はキシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフラン又はジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルム又はクロロベンゼン等の塩素系溶剤;等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で用いてもよいし、複数を組み合わせて用いてもよい。
上記溶剤の使用量は、液晶組成物に対して、50〜95質量%が好ましい。逆にいえば、液晶組成物における固形分は、5〜50質量%が好ましい。固形分の濃度が5質量%以上であると、得られる位相差層56の膜厚が薄くなりすぎず、偏光変換に必要な複屈折率が与えられる傾向がある。また50質量%以下であると、液晶組成物の粘度が低いことから、位相差層56の膜厚にムラが生じにくくなる傾向がある。ここで、固形分とは、組成物全量に対する、組成物から溶剤を除いた成分の含有量である。
液晶組成物の粘度は、塗布しやすいように、好ましくは10mPa・s以下、より好ましくは0.1〜7mPa・sに調整する。
本発明の製造方法に用いられる液晶組成物は、上述のように、重合開始剤を含むことが好ましい。
重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤等が挙げられ、低温で重合性液晶化合物を重合できる傾向があるため、光重合開始剤であることが好ましい。
光重合開始剤としては、例えばベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩又はスルホニウム塩等が挙げられる。
光重合開始剤としては、イルガキュア(Irgacure)907、イルガキュア184、イルガキュア651、イルガキュア819、イルガキュア250、イルガキュア369(以上、全てチバ・ジャパン(株)製)、セイクオールBZ、セイクオールZ、セイクオールBEE(以上、全て精工化学(株)製)、カヤキュアー(kayacure)BP100(日本化薬(株)製)、カヤキュアーUVI−6992(ダウ社製)、アデカオプトマーSP−152、アデカオプトマーSP−170(以上、全て(株)ADEKA製)、TAZ−A、TAZ−PP(以上、日本シイベルヘグナー社製)又はTAZ−104(三和ケミカル社製)等、市販の光重合開始剤も用いることもできる。
本発明の製造方法に用いられる液晶組成物は、必要に応じて、カイラル剤、重合禁止剤、光増感剤及びレベリング剤等の添加剤を含有していてもよい。
カイラル剤としては、『液晶デバイスハンドブック』(第3章4−3項、TN、STN用カイラル剤、199頁、日本学術振興会第142委員会編、1989)、特開2007−269640号公報、特開2007−269639号公報、特開2007−176870号公報、特開2003−137887号公報、特表2000−515496号公報、特開2007−169178号公報、特表平9−506088号公報等に記載されている化合物が挙げられる。
重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン又はアルキルエーテル等の置換基を有するハイドロキノン類、ブチルカテコール等のアルキルエーテル等の置換基を有するカテコール類、ピロガロール類、2,2、6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル補足剤、チオフェノール類、β−ナフチルアミン類或いはβ−ナフトール類等を挙げることができる。
光増感剤としては、例えばキサントン及びチオキサントン等のキサントン類、アントラセン及びアルキルエーテル等の置換基を有するアントラセン類、フェノチアジン或いはルブレンを挙げることができる。
レベリング剤としては、例えば放射線硬化塗料用添加剤(ビックケミージャパン製:BYK−352,BYK−353,BYK−361N)、塗料添加剤(東レ・ダウコーニング(株)製:SH28PA、DC11PA、ST80PA)、塗料添加剤(信越化学工業(株)製:KP321、KP323、X22−161A、KF6001)又はフッ素系添加剤(DIC(株)製:F−445、F−470、F−479)等を挙げることができる。
上記工程(3)において、液晶組成物を塗布する方法としては、上記配向膜55を塗布する方法と同じ方法が挙げられる。中でも、表示素子の損傷を抑制できる点で、CAPコーティング法、インクジェット法、ディップコーティング法、スリットコーティング法及びバーコーターによる塗布が好ましい。
液晶組成物を塗布後、上述のように液晶組成物に含まれる溶剤を除去することが好ましい。
液晶組成物を塗布して得られた塗布膜(好ましくは、上記塗布膜から溶剤が除去された膜)を、上記液晶組成物の液晶性成分が液晶相を示す温度に保持する。上記塗布膜が液晶相を示す温度に保持することで、上記塗布膜に含まれる液晶性成分を配向させ、複屈折性を付与することができる。配向させる温度としては、0〜250℃が好ましく、10〜150℃がより好ましい。
このようにして、パターン化配向膜55の複数のパターン領域13,12に対応する領域毎に、パターン領域13,12のそれぞれの配向規制力の方向に応じて、上記液晶性成分を互いに異なる配向方向に配列させる。
各位相差領域71A,71B内では、上記液晶性成分がモノドメイン配向していることが好ましい。
本発明の製造方法は、工程(4)として、上記工程(3)で形成された上記液晶性成分をなす重合性液晶化合物を、上記配向方向を保持しながら重合させることにより、上記複数の位相差領域71A,71Bを有する位相差層56を形成する工程を含む。
上記液晶組成物に含まれた重合性液晶化合物が光重合性基を有する重合性液晶化合物である場合は、光重合法で重合させることが好ましい。また、上記液晶組成物に含まれた重合性液晶化合物が熱重合性基を有する重合性液晶化合物である場合は、熱重合法で重合させることが好ましい。ここで、光重合性基とは、光照射により化合物を重合させうる基、あるいは、光照射で重合開始剤から発生した活性ラジカル又は活性酸により化合物を重合させうる基のことをいう。熱重合性基とは、熱の作用により化合物を重合させうる基、あるいは、熱の作用で重合開始剤から発生した活性ラジカル又は活性酸により化合物を重合させうる基のことをいう。重合を、膜に含まれる成分が配向した状態、すなわち膜に含まれる成分が液晶相を示した状態で行うことにより、液晶相(つまり配向方向)を保持した硬化膜として、位相差層56を得ることができる。
本発明の製造方法においては、光重合法により重合性液晶化合物を重合させることが好ましい。光重合法によれば高温に加熱せずに重合させることができるので、偏光層(偏光板)54の熱による変形を防ぐことができる。また工業的にも製造が容易となる。また成膜性の観点からも光重合法が好ましい。光重合法で用いられる光源としては、可視光、紫外光又はレーザー光が挙げられる。取り扱いの観点から、紫外光が好ましい。光照射は、膜に含まれる成分が液晶相を示す温度で行ってもよい。この際、マスキング等によってさらに多くの領域にパターン化された位相差層56を得ることもできる。
上記工程(4)で形成された位相差層56がλ/4板(4分の1波長板)である場合、互いに遅相軸の方向が異なる複数の位相差領域71A,71Bのいずれにおいても、位相差値(リタデーション値)Re(550nm)が113〜163nm、好ましくは135〜140nm、特に好ましくは約137.5nmになるように、位相差層56の膜厚を調整する。また、上記工程(4)で形成された位相差層56がλ/2板(2分の1波長板)である場合、互いに遅相軸の方向が異なる複数の位相差領域71A,71Bのいずれにおいても、位相差値Re(550nm)が250〜300nm、好ましくは273〜277nm、特に好ましくは約275nmとなるように位相差層56の膜厚を調整する。
位相差層56における位相差値Re(λ)は、液晶組成物の塗布量や、液晶組成物中の重合性液晶化合物の含有量を適宜変更することにより、調整することができる。また、得られる位相差層56の位相差値Re(λ)は、次の式(X)のように決定されることから、所望の位相差値Re(λ)を得るためには、位相差層56の膜厚dを調整すればよい。
Re(λ)=d×Δn(λ) …(X)
(式中、Re(λ)は、波長λ(nm)における位相差値を表し、dは膜厚を表し、Δn(λ)は波長λ(nm)における複屈折率を表す。)
ただし、調整される位相差層56の膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、0.5〜3μmがより好ましい。
上記工程(1)乃至(4)の結果、基板53の光出射側に、偏光層54及び位相差層56がこの順に設けられる。
本発明の製造方法は、上記工程(4)で形成された位相差層56の光出射側に、さらに、外光の反射を防ぐ反射防止層を形成する工程を含むことが好ましい。図4は、そのような反射防止層57を備えた液晶表示装置用部材(全体を符号51Bで示す。)の概略断面構成を示している。図4において、図3中の構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
反射防止層57を構成する材料としては特に限定されず、例えば、金属、金属酸化物、金属フッ化物、微粒子及び高分子材料等からなる群から選ばれる少なくとも一種で構成される層、並びに、公知の反射防止(AR)フィルム、低反射(LR)フィルム、モスアイ型反射防止フィルム及びこれらが有する反射防止層等が挙げられる。
金属としては、例えば、銀等が挙げられ、金属酸化物としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム等が挙げられ、金属フッ化物としては、例えば、弗化カルシウム、弗化マグネシウム等が挙げられる。
微粒子としては、硫酸バリウム、タルク、カオリン、硫酸カルシウム、シリカゲル、金属微粒子含有シリカゲル等の無機微粒子;ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂微粒子、アクリルスチレン樹脂微粒子、ポリメチルメタクリレート樹脂微粒子、シリコン樹脂微粒子、ポリスチレン樹脂微粒子、ポリカーボネート樹脂微粒子、ベンゾグアナミン樹脂微粒子、メラミン樹脂微粒子、ポリオレフィン樹脂微粒子、ポリエステル樹脂微粒子、ポリアミド樹脂微粒子、ポリイミド樹脂微粒子、またはポリ弗化エチレン樹脂微粒子等の有機微粒子;特開2010−84018号公報に記載される中空有機−無機ハイブリッド微粒子等が挙げられる。
高分子材料としては、シロキサンポリマー、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド及び4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル、含フッ素(メタ)アクリレート、含フッ素イタコン酸エステル、含フッ素マレイン酸エステル、含フッ素珪素化合物等の重合体、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラールやポリビニルホルマール等のポリビニルアセタール樹脂、セルロースアセテートブチレート等のセルロース樹脂、ブチルアクリレート等の(メタ)アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。高分子材料により薄膜を形成して反射防止層とする。
この反射防止層57は、単層であってもよいし、2層、3層、4層又はそれ以上の層からなる多層であってもよい。反射防止層57の厚みや、それが多層である場合の各層の厚みは、その層数、各層に用いる物質の屈折率等により、適宜選択される。反射防止層57は、上記材料を含む溶液を位相差層56上に塗布する方法、又は、上記材料から形成された層を有するフィルムを位相差層56上に貼合する方法により、形成することができる。反射防止層57を形成する方法としては、例えば、特開2003−114302号公報、特開平7−56002号公報、特許第4190337号、特許第4259957号、特許第4032771号、特開2010−122599号公報記載の方法が挙げられる。表示装置用部材51Bが上記反射防止層57を有することで、外光に由来する反射光の発生を軽減でき、また、表示装置用部材51Bからの本来の表示用の出射光と反射光との干渉も抑制することが可能となる。この結果、表示特性を改善できる。さらに、反射防止層57によって、位相差層56を保護することができる。
さらに、反射防止層57の光出射側に、必要に応じて、公知の防汚層、帯電防止層、ハードコート層を形成してもよい。
図6は、例えば図3の液晶表示装置用部材51Aを用いて構成された表示装置の一例としての液晶表示装置(全体を符号40で示す。)の概略断面構成を示している。
この液晶表示装置40は、バックライト90側(背面ともいう)より順番に、アレイ基板91、液晶層LC、及びカラーフィルタ基板としての液晶表示装置用部材51Aを配置して構成されている。
バックライト90は、自然光を発する面光源であり、この例では公知の図示しない白色LED(発光ダイオード)及び光散乱板を含んでいる。上記白色LEDに代えて、冷陰極線管が用いられても良い。
アレイ基板91は、公知のタイプのものであり、透明なガラス基板93を備えている。この基板93のバックライト90側の主面(背面)には、偏光板92が貼り合わされて配置されている。この偏光板92は、板面に沿った特定方向の透過軸(図示せず)を有している。この偏光板92は、バックライト90が発生した自然光のうち上記透過軸に沿った直線偏光を選択的に基板93側へ透過させる。この例では、偏光板92の透過軸は、上記液晶表示装置用部材51Aの偏光層54の透過軸70aに対して直交する向きに設定されている。
一方、基板93の光出射側Fの主面には、画素を規定するマトリクス状のパターンを有する図示しない液晶駆動電極、配線パターン、薄膜トランジスタ等が設けられるとともに、さらにその光出射側Fに、液晶層LCに接して液晶分子の配向方向を定める配向膜99が配置されている。
液晶表示装置用部材51Aをなす基板53の背面側には、既述のカラーフィルタ層52が配置されるとともに、さらにその背面側に、液晶層LCに接して液晶分子の配向方向を定める配向膜49が配置されている。また、液晶表示装置用部材51Aの背面側には、アレイ基板91と液晶表示装置用部材51Aとの間の液晶層LCの厚さを定めるフォトスペーサ(図示せず)が設けられている。
液晶表示装置用部材51Aをなす基板53の光出射側Fには、既述の偏光層54、配向膜55及び位相差層56が順番に配置されている(図6中では、簡単のため、偏光層54、配向膜55の図示が省略されている。)。
この液晶表示装置40では、アレイ基板91の液晶駆動電極のマトリクス状のパターンと液晶表示装置用部材51Aにマトリクス状に配列されたカラーフィルタA1,A2,…;B1,B2,…とが対応するように、アレイ基板91と液晶表示装置用部材51Aとが位置合わせされている。これにより、アレイ基板91の各液晶駆動電極と液晶表示装置用部材51Aの各カラーフィルタとの間で液晶層LCを介して画素が構成されている。
この液晶表示装置40は次のように動作する。
上記液晶表示装置40では、バックライト90が自然光を発生する。偏光板92は、バックライト90が発生した自然光のうち一方向の直線偏光を選択的に基板93側へ透過させる。偏光板92を透過して基板93に入射した直線偏光は、液晶層LCを通して、画素毎に、基板53の光出射側Fへ透過しまたは遮断されるようになっている。図5によって既に説明したように、偏光層54は、基板53を透過した光の、透過軸70aの方向に沿った成分を光出射側Fへ透過させる。ここで、光出射側Fから見たとき、偏光層54の透過軸70aの方向(これを0度とする。)に対して、位相差領域71Aの遅相軸71aは45度に交差し、位相差領域71Bの遅相軸71bは135度に交差している。このような配置により、位相差領域71A,71Bは、偏光層54からの直線偏光を、互いに反対回りの円偏光に変換して、それぞれ光出射側Fへ出射する。この例では、偏光層54を通過した後、位相差領域71Aを通過した光は、左円偏光となって出射される一方で、偏光層54を通過した後、位相差領域71Bを通過した光は、右円偏光となって出射される。
より詳しくは、左目用画像を表示するカラーフィルタ(例えばA1,A2,…)、上記偏光層54及び上記位相差層56の位相差領域71Aをこの順で通過した光は、左円偏光となる。一方、右目用画像を表示するカラーフィルタ(例えばB1,B2,…)、上記偏光層54及び上記位相差層56の位相差領域71Bをこの順で通過した光は、右円偏光となる。
観察者が、右円偏光を直線偏光に変換する円偏光板、及び左円偏光を直線偏光に変換する円偏光板を、それぞれのレンズに有する眼鏡(図示せず)を使用することで、上記表示装置から出射された画像を立体的な画像として観察することができる。
このように、上記液晶表示装置40によれば、立体画像を表示可能な表示装置を提供することができる。
また、この例では、主面50に沿った方向に関して、位相差層56の位相差領域71A,71Bの形状及び大きさが、それぞれ基板53の複数のカラーフィルタA1,A2,…;B1,B2,…の配列の形状及び大きさと一致して、ストライプ状に形成されている。これにより、立体画像を表示可能な表示装置を好ましく構成することができる。
なお、図3の液晶表示装置用部材51Aに代えて、カラーフィルタ基板として例えば図4の液晶表示装置用部材51Bを用いて液晶表示装置を構成した場合も、同様に、立体画像を表示可能な表示装置を提供することができる。
液晶表示装置としては、透過型、反射型、半透過型が挙げられる。液晶セルの動作モードに特に制限はなく、ねじれネマチック(Twisted Nematic)、垂直配(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated)、IPS(In−Plane Swiching)等のいずれでもよい。
本発明の製造方法により製造される表示装置としては、既述の液晶表示装置の他に、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、プラズマディスプレイ、電界放出表示装置(フィールドエミッションディスプレイ)、表面伝導型電子放出素子を有する表示装置(SED)、電子ペーパー等が挙げられる。本発明の製造方法をこれらの他の表示装置に適用する場合、工程(1)で用いる基板として、これらの他の表示装置を構成するカラーフィルタが形成されたもの(複数の画素が配列されたもの)を用いる。
例えば上記基板として有機EL表示素子が形成されたものを用いる場合は、まず透明電極を備えたガラス基板に、陽極、発光層等の有機膜及び陰極を蒸着によって積層し、複数のカラーフィルタの配列に相当する有機EL素子及び配線パターンを形成する。次に、例えば、SUSやAl等によって形成された金属製キャップ(保護板)を透明電極ガラスに積層された各有機EL素子に被せ、接着剤によって透明電極ガラスに接着する。最後に、透明電極ガラスを有機EL素子毎に分割する。有機EL表示素子が形成された基板を製造する方法としては、例えば特許第3626728号に記載の方法が挙げられる。有機EL表示素子が形成された基板の光出射側に、上記工程(1)〜(4)により偏光層54、配向膜55及び位相差層56を形成する。有機EL表示素子が形成された基板に、上記工程(1)において形成される偏光層(偏光板)54は、外光反射を抑制することができるため、円偏光板であってもよい。
以下、実施例によって本発明をより詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
(実施例1)
〔光配向性ポリマーの製造〕
式(A)で示される光配向性ポリマーを、Macromol. Chem. Phys. 197,1919-1935 (1996)に記載される方法で製造し、数平均分子量23000の重合体を得た。
Figure 2012118116
〔液晶組成物の調整〕
表1に記載される成分を混合して、液晶組成物(符号Eで表す。)を調整した。
Figure 2012118116
重合性液晶化合物:LC242(BASF社製、下記式で表される化合物)
Figure 2012118116
重合性開始剤:イルガキュア369(BASFジャパン社製)
レベリング剤:BYK361N(ビックケミージャパン製)
溶剤:PGMEA(プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート、東京化成工業(株)製)
〔位相差層の作製〕
ガラス基板上に、SUS製の280μmの線幅のパターンが刻まれた図1に示すマスク1を置き、スプレーでインクを塗布して乾燥し、マスク1のパターンが転写されたパターン付きガラス基板を作製した。得られたパターン付き基板のインクを塗布した面の反対の面に、偏光板(ヨウ素系偏光板;TRW842AP7;住友化学(株)製)を粘着剤を用いて貼合して偏光層54を形成した。上記偏光層54上に式(A)で示される光配向性ポリマーの1質量%シクロペンタノン溶液を塗布し、乾燥して、厚さ200nmの膜を形成した。次いで、得られた膜上に図1に示すマスク1を置き、ガラス基板面に対して垂直方向から、偏光UV照射冶具付きスポットキュア(SP−7、ウシオ電機(株)製)を用いて20mW/cmの強度で5分間、偏光層54の透過軸70aに対して45度の方向の直線偏光を照射した。次に、図1に示すマスク1を線幅の分だけ幅方向にずらし、第1の偏光UV未照射部とマスク1の空隙部2とが重なるように置き、第2の偏光UVを照射した。第2の偏光UVは、20mW/cmの強度で5分間、偏光層54の透過軸70aに対して135度の方向の直線偏光を照射することによりパターン化配向膜55を形成した。マスク1を外したあと、上記パターン化配向膜55上に、液晶組成物Eをバーコーターを用いて塗布し、100℃に加熱し、液晶相に配向させた膜を得た。その後、室温まで冷却した状態で紫外線をユニキュア(VB−15201BY−A、ウシオ電機(株)製)を用いて波長365nmにおいて40mW/cmの強度で1分間照射することにより、位相差層56を作製した。次いで、反射防止フィルム(大日本印刷(株)製)を位相差層56の上に貼合することで、パターン付きガラス基板、偏光層54、パターン化配向膜55、位相差層56及び反射防止層57が積層された積層体を得た。
(実施例2)
〔位相差層の作製〕
実施例1と同様にして、パターン付きガラス基板を得、その上に偏光層54を形成した。上記偏光層54上にポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業(株)製)の2質量%水溶液を塗布し、乾燥後、厚さ89nmの膜を形成した。続いて、得られた膜の表面に第1のラビング処理を施した。第1のラビング処理は、半自動ラビング装置(商品名:LQ−008型、常陽工学株式会社製)を用いて、布(商品名:YA−20−RW、吉川化工(株)製)によって、押し込み量0.15mm、回転数500rpm、16.7mm/sの条件で、マスクを介さず、偏光層54の透過軸70aに対して45度の方向に行った。第1のラビング処理を施した面にSUS製の280μmの線幅のパターンを有する図1に示すマスク1を置き、偏光層54の透過軸70aの方向に対して135度の方向に、第2のラビング処理を施すことによりパターン化配向膜55を形成した。第2のラビング処理は、半自動ラビング装置(商品名:LQ−008型、常陽工学(株)製)を用いて、布(商品名:YA−20−RW、吉川化工(株)製)によって、押し込み量0.10mm、回転数500rpm、16.7mm/sの条件で行った。マスク1を外したあと、上記パターン化配向膜55上に、液晶組成物Eをバーコーターを用いて塗布し、100℃に加熱し、液晶相に配向させた膜を得た。その後、室温まで冷却した状態で紫外線をユニキュア(VB−15201BY−A、ウシオ電機(株)製)を用いて波長365nmにおいて40mW/cmの強度で1分間照射した。これにより、位相差層56を作製した。次いで、反射防止フィルム(大日本印刷(株)製)を位相差層56の上に貼合することで、パターン付きガラス基板、偏光層54、パターン化配向膜55、位相差層56及び反射防止層57が積層された積層体を得た。
(実施例3)
第2のラビング処理の条件を、押し込み量0.10mm、回転数500rpm、8.35mm/sに変更したこと以外は、実施例1と同様にして、パターン付きガラス基板、偏光層54、パターン化配向膜55、位相差層56及び反射防止層57が積層された積層体を得た。
<光学特性の測定>
上記で得られた積層体について、位相差層56の位相差値(nm)と配向角とを測定機(KOBRA−WPR、王子計測機器社製)で測定した。位相差層56中の液晶性成分の配向角と波長549nmにおける位相差値(リタデーション値)Re(nm)の測定結果を表2に示す。例えば図5中に示した位相差層56の位相差領域71Aと位相差領域71Bとにおいて配向角が異なる場合、互いに異なる遅相軸の方向を有する領域であることを意味する。また、表2中の配向角は、偏光層54の透過軸70aの方向を0度としているため、配向角が略45度又は略135度を示す。位相差値Reがλ/4(即ち135nm)に近いほど、偏光層54と位相差層56とを通過する自然光が、より円偏光に近い光に変換される。配向角が45度であれば、出射側から位相差層56をみて左向きに回転する円偏光(左円偏光)を示し、135度であれば右向きに回転する円偏光(右円偏光)を示す。
Figure 2012118116
<位置ずれの測定>
形成された位相差層56のパターンとガラス基板にインクで形成されたパターンとのずれを、偏光顕微鏡(BX51、オリンパス株式会社製)を用いて計測した。基板にマスク1を載せた状態でのパターン領域の境界線と、液晶化合物の配向角が変わる境界線との位置ずれを計測した結果を表3に示す。
Figure 2012118116
(実施例4)
〔表示装置用部材の作製〕
カラーフィルタ、ブラックマトリクス及びITO膜が形成されたガラス基板53の、カラーフィルタとは反対側の主面53aに偏光板を粘着剤を用いて貼合して偏光層54を形成する。上記偏光板上に式(A)で示される光配向性ポリマーの1wt%シクロペンタノン溶液を塗布し、乾燥して、厚さ200nmの光配向性ポリマー膜を形成する。続いて、得られた膜上に、カラーフィルタの画素幅に合わせてストライプパターンが形成された図1に示すマスク1を置き、基板面に対して垂直方向から、偏光UV照射冶具付きUV照射装置(SP−7、ウシオ電機株式会社製)を用いて、偏光層54の透過軸70aに対して45度の方向の直線偏光を照射する。次に、図1に示すマスク1を線幅分だけ幅方向にずらし、第1の偏光UV未照射部とマスク1の空隙部とが重なるように置き、第2の偏光UVを照射する。第2の偏光UVは偏光層54の透過軸70aに対して135度の方向の直線偏光を照射することによりパターン化配向膜55を形成する。マスク1を外したあと、上記パターン化配向膜55上に、液晶組成物1をバーコーターを用いて位相差値が135nmとなるような膜厚に塗布し、100℃に加熱することで、液晶相に配向させた膜を得る。その後、室温まで冷却した状態で紫外線をユニキュア(VB―15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)を用いて波長365nmにおいて40mW/cmの強度で1分間照射することにより、位相差層56を作成する。次いで、反射防止フィルム(大日本印刷(株)製)を位相差層56の上に貼合する。これにより、図4に示したような、カラーフィルタ52が形成されたガラス基板53、偏光層54、パターン化配向膜55、位相差層56及び反射防止層57が積層された積層体を得る。
この積層体(後述の表示装置用部材51Bを構成する)を用いて作製された液晶表示装置では、遅相軸の方向が異なる2つの位相差領域71A,71Bを有する位相差層56において、上記位相差領域71A,71Bから出射する光がそれぞれ左円偏光、右円偏光であることが確認できる。また、上記位相差領域71A,71BとカラーフィルタA1,A2,…;B1,B2,…との位置ずれは10μm未満である。
(実施例5)
〔表示装置用部材の作製〕
カラーフィルタ、ブラックマトリクス、ITO膜が形成されたガラス基板53の、カラーフィルタとは反対側の主面53aに偏光板を粘着剤を用いて貼合して偏光層54を形成する。上記偏光板上にポリビニルアルコールの水溶液を塗布し、乾燥して、厚さ89nmの配向性ポリマー膜を形成する。続いて、得られた膜の表面に第1のラビング処理を施す。第1のラビング処理を、押し込み量0.15mm、回転数500rpm、16.7mm/sの条件で、偏光層54の透過軸70aに対して45度の方向に行う。第1のラビング処理を施した面にSUS製のカラーフィルタ画素幅に合わせてパターンが刻まれた図1に示すマスク1を置き、偏光層54の透過軸70aの方向に対して135度の方向に、第2のラビング処理を施すことによりパターン化配向膜55を形成する。第2のラビング処理は、押し込み量0.10mm、回転数500rpm、16.7mm/sの条件で行う。マスク1を外したあと、上記パターン化配向膜55上に、液晶組成物1をバーコーターを用いて位相差値が135nmとなるような膜厚に塗布し、100℃で加熱することで、液晶相に配向させた膜を得る。その後、室温まで冷却した状態で紫外線をユニキュア(VB―15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)を用いて波長365nmにおいて40mW/cmの強度で1分間照射することにより、位相差層56を作成する。次いで、反射防止フィルム(大日本印刷(株)製)を位相差層56の上に貼合する。これにより、図4に示したような、カラーフィルタ52が形成されたガラス基板53、偏光層54、パターン化配向膜55、位相差層56及び反射防止層57が積層された積層体を得る。
この積層体(後述の表示装置用部材51Bを構成する)を用いて作製された液晶表示装置では、遅相軸の方向が異なる2つの位相差領域71A,71Bを有する位相差層56において、上記位相差領域71A,71Bから出射する光がそれぞれ左円偏光、右円偏光であることが確認できる。また、上記位相差領域71A,71BとカラーフィルタA1,A2,…;B1,B2,…との位置ずれは10μm未満である。
(実施例6)
〔液晶表示装置の作製〕
実施例4で得られた積層体の、カラーフィルタ52側(背面側)の面に配向膜49を形成して、図6中に示したように、カラーフィルタ基板としての表示装置用部材51Bを得る。また、公知のタイプのアレイ基板91を用意する。このアレイ基板91は、ガラス基板93の光出射側Fの主面に、画素を規定するマトリクス状のパターンを有する図示しない液晶駆動電極、配線パターン、薄膜トランジスタ等が設けられるとともに、さらにその光出射側Fに、配向膜99が配置されているものである。ガラス基板93のバックライト90側の主面(背面)には、偏光板92が貼り合わされて配置されている。
次に、アレイ基板91の配向膜99と液晶表示装置用部材51Aの配向膜49とが対面する向きで、アレイ基板91の液晶駆動電極のマトリクス状のパターンと液晶表示装置用部材51Aにマトリクス状に配列されたカラーフィルタA1,A2,…;B1,B2,…とが対応するように、アレイ基板91と液晶表示装置用部材51Aとを位置合わせして、セルを形成する。アレイ基板91と液晶表示装置用部材51Aとの間のセルに液晶層LCを注入して、封止することで液晶パネルを得る。これにより、アレイ基板91の各液晶駆動電極と液晶表示装置用部材51Aの各カラーフィルタとの間で液晶層LCを介して画素が構成されて、上記液晶パネルはマトリクス状に配列された複数の画素を有するものとなる。上記液晶パネル、図示しない液晶駆動用IC(集積回路)及びバックライト90を組み付けることにより液晶表示装置40を得る。
この液晶表示装置40では、遅相軸の方向が異なる2つの位相差領域71A,71Bを有する位相差層56において、上記位相差領域71A,71Bから出射する光がそれぞれ左円偏光、右円偏光であることが確認できる。また、上記位相差領域71A,71BとカラーフィルタA1,A2,…;B1,B2,…との位置ずれは10μm未満である。
本発明の表示装置の製造方法は、様々なタイプの表示装置、特に立体的に画像を表示可能な表示装置を製造するのに適用され得る。
また、本発明の表示装置は、様々なタイプの表示装置、特に立体的に画像を表示可能な表示装置に適用され得る。
1 マスク
2 空隙部
3 実部
40 液晶表示装置
51A,51B 液晶表示装置用部材
52 カラーフィルタ
53 ガラス基板
54 偏光層
55 配向膜
56 位相差層
57 反射防止層
70a 透過軸
71A,71B 位相差領域
71a,71b 遅相軸
90 バックライト
91 アレイ基板
92 偏光板
93 ガラス基板
LC 液晶層

Claims (6)

  1. 2つの主面のうち背面となる側に上記主面に沿って配列された複数のカラーフィルタを有する基板と、上記基板の光出射側に配置され、上記主面に沿った特定方向の透過軸をもつ偏光層と、上記偏光層の光出射側に配置され、上記主面に沿って、上記透過軸に対して互いに異なる角度で交差する遅相軸をもつ複数の位相差領域を有する位相差層とを備えた表示装置用部材を製造する表示装置用部材の製造方法であって、
    次の工程(1)乃至(4)を含むことを特徴とする表示装置用部材の製造方法。
    (1)上記カラーフィルタが形成された上記基板の上記光出射側に、上記主面に沿って上記偏光層を形成する工程
    (2)上記工程(1)で形成された上記偏光層上で、上記基板の上記複数のカラーフィルタの配列に対応した位置に、上記位相差層の材料となる液晶組成物の液晶性成分を上記遅相軸の方向に応じた互いに異なる配向方向に配列させる機能をもつ複数のパターン領域を有する配向膜を形成する工程
    (3)上記工程(2)で形成された上記配向膜上に、上記重合性液晶化合物を含む液晶組成物を塗布して塗布膜を形成し、この塗布膜を上記液晶組成物の液晶性成分が液晶相を示す温度に保持して、上記配向膜の上記複数のパターン領域に対応する領域毎に、上記液晶性成分を互いに異なる配向方向に配列させる工程
    (4)上記工程(3)で形成された上記液晶性成分をなす重合性液晶化合物を、上記配向方向を保持しながら重合させることにより、上記複数の位相差領域を有する上記位相差層を形成する工程
  2. 請求項1に記載の表示装置用部材の製造方法において、
    上記主面に沿った方向に関して、上記位相差層の上記複数の位相差領域の形状及び大きさが、それぞれ上記基板の複数のカラーフィルタの配列の形状及び大きさと一致していることを特徴とする表示装置用部材の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の表示装置用部材の製造方法において、
    上記工程(2)は次の工程(2a)乃至(2c)を含むことを特徴とする表示装置用部材の製造方法。
    (2a)光配向性ポリマーを含む溶液を上記偏光層上に塗布して光配向性ポリマー膜を形成する工程
    (2b)上記工程(2a)で形成された上記光配向性ポリマー膜に、上記複数のパターン領域のうちの第1のパターン領域に対応した空隙部を有する第1のマスクを介して、第1の偏光方向を有する第1の偏光を照射して、上記第1のパターン領域の配向規制力の方向を上記第1の偏光方向に対応させる工程
    (2c)上記第1の偏光が照射された上記光配向性ポリマー膜の、上記第1のパターン領域とは異なる第2のパターン領域に、上記第2のパターン領域に対応した空隙部を有する第2のマスクを介して、上記第1の偏光方向とは異なる第2の偏光方向を有する第2の偏光を照射して、上記第2のパターン領域の配向規制力の方向を上記第2の偏光方向に対応させる工程
  4. 請求項1又は2に記載の表示装置用部材の製造方法において、
    上記工程(2)は次の工程(2f)乃至(2h)を含むことを特徴とする表示装置用部材の製造方法。
    (2f)配向性ポリマーを含む溶液を上記偏光層上に塗布して配向性ポリマー膜を形成する工程
    (2g)上記工程(2f)で形成された上記配向性ポリマー膜の、上記光出射側の表面に、第1のラビング処理方向に沿って第1のラビング処理を行って、上記光出射側の表面の配向規制力の方向を上記第1のラビング処理方向に対応させる工程
    (2h)上記工程(2g)により第1のラビング処理が行われた上記配向性ポリマー膜に、上記第2のパターン領域に対応した空隙部を有するマスクを介して、上記第1のラビング処理方向とは異なる第2のラビング処理方向に沿って第2のラビング処理を行って、上記第2のパターン領域の配向規制力の方向を変化させて上記第2のラビング処理方向に対応させる工程
  5. 請求項1から4までのいずれか一つに記載の表示装置用部材の製造方法において、さらに、
    上記位相差層の上記光出射側に、外光の反射を防ぐ反射防止層を形成する工程を含むことを特徴とする表示装置用部材の製造方法。
  6. 請求項1から5までのいずれか一つに記載の表示装置用部材の製造方法により製造された表示装置用部材を含む表示装置。
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