JP2012118091A - 散乱フィルム、偏光板、液晶表示装置および散乱フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、正面輝度を改善しモアレ縞の発生が改善された散乱フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の目的は、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を99:1〜1:99の質量比で含有する散乱フィルムであって、該アクリル樹脂(A)と該セルロースエステル樹脂(B)が非相溶状態にあり、かつ散乱フィルムのヘーズが10%以上80%以下であることを特徴とする散乱フィルムによって達成された。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の目的は、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を99:1〜1:99の質量比で含有する散乱フィルムであって、該アクリル樹脂(A)と該セルロースエステル樹脂(B)が非相溶状態にあり、かつ散乱フィルムのヘーズが10%以上80%以下であることを特徴とする散乱フィルムによって達成された。
【選択図】なし
Description
本発明は、偏光子に積層された光散乱性を有する散乱フィルムを備える偏光板、ならびにそれを用いた液晶パネルおよび液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、冷陰極管やLEDからなるバックライト、光散乱板、1つまたは複数の光散乱シート、背面側偏光板、液晶セルおよび視認側偏光板から構成されている。
大画面液晶テレビ用途においては、薄型化して壁掛けテレビとしてのニーズが顕在化しているが、この場合、液晶テレビの薄型化に対応して使用する部材の薄肉化、部材点数削減が必要となる。
このような要請に対し、液晶セルとバックライトの間に配置される背面側偏光板自体に光散乱性を付与することで、1つまたは複数の光散乱シートを省略し、部品点数を削減する技術が知られている(たとえば、特許文献1〜2)。
しかしながら、従来の背面側偏光板を用いた液晶表示装置においては、液晶表示装置の画面正面での輝度が低いという問題があった。
これに対し特許文献3では、樹脂中に散乱粒子を含有させ、偏光子と直接貼合することにより正面輝度の向上を図っている。
しかしながらこの方法では、樹脂と散乱粒子の界面で隙間を生じることがあり、この隙間は正面輝度の劣化を生じ、また他の散乱フィルムと組み合わせた場合、モアレ縞を生じやすいという問題があった。
本発明は、上記の課題に鑑み、正面輝度の劣化を改善しモアレ縞の発生が改善された散乱フィルムを提供することを目的とする。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を99:1〜1:99の質量比で含有する散乱フィルムであって、該アクリル樹脂(A)と該セルロースエステル樹脂(B)が非相溶状態にあり、かつ散乱フィルムのヘーズが10%以上80%以下であることを特徴とする散乱フィルム。
2.前記アクリル樹脂(A)が下記一般式(1)で表されることを特徴とする前記1記載の散乱フィルム。
一般式(1)
−(MMA)p−(X)q−(Y)r−
MMAはメチルメタクリレートを、Xはアミド基を少なくとも一種有するMMAと共重合可能なモノマー単位を、YはMMA、Xと共重合可能なモノマー単位を表す。p、q、rはモル%であり、50≦p≦99、1≦q≦50、p+q+r=100である。
一般式(1)
−(MMA)p−(X)q−(Y)r−
MMAはメチルメタクリレートを、Xはアミド基を少なくとも一種有するMMAと共重合可能なモノマー単位を、YはMMA、Xと共重合可能なモノマー単位を表す。p、q、rはモル%であり、50≦p≦99、1≦q≦50、p+q+r=100である。
3.前記1または2に記載の散乱フィルムを有することを特徴とする偏光板。
4.前記1または2に記載の散乱フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
5.アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を99:1〜1:99の質量比で含有する散乱フィルムの製造方法であって、該アクリル樹脂(A)と該セルロースエステル樹脂(B)の混合物を溶液流延してフィルムを製造する工程、ついで該フィルムを該アクリル樹脂(A)または該セルロースエステル樹脂(B)のいずれか低い方のガラス転移温度以上に加熱処理する工程、を有することを特徴とする散乱フィルムの製造方法。
本発明では、正面輝度を改善しモアレ縞の発生が改善された散乱フィルムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
<本発明の散乱フィルム>
本発明の散乱フィルムは、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を99:1〜1:99の質量比で含有する散乱フィルムであって、該アクリル樹脂(A)と該セルロースエステル樹脂(B)が非相溶状態にあり、かつ散乱フィルムのヘーズが10%以上80%以下であることを特徴とする。
<本発明の散乱フィルム>
本発明の散乱フィルムは、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を99:1〜1:99の質量比で含有する散乱フィルムであって、該アクリル樹脂(A)と該セルロースエステル樹脂(B)が非相溶状態にあり、かつ散乱フィルムのヘーズが10%以上80%以下であることを特徴とする。
すなわち、本発明では2種類の樹脂を海島構造とすることで樹脂の屈折率差を極めて狭い範囲で発生させることにより、従来発生していた隙間による弊害を無くし、さらにモアレ縞の発生も改善したものである。
<アクリル樹脂(A)>
本発明のアクリル樹脂(A)は、メチルメタクリレートを主成分(50質量%以上)とする樹脂であれば効果を発生するが、下記一般式(1)で表される樹脂が好ましい。
一般式(1)
−(MMA)p−(X)q−(Y)r−
MMAはメチルメタクリレート(Tg=105℃)を、Xはアミド基を少なくとも一種有するMMAと共重合可能なモノマー単位を、YはMMA、Xと共重合可能なモノマー単位を表す。p、q、rはモル%であり、50≦p≦99、1≦q≦50、p+q+r=100である。
<アクリル樹脂(A)>
本発明のアクリル樹脂(A)は、メチルメタクリレートを主成分(50質量%以上)とする樹脂であれば効果を発生するが、下記一般式(1)で表される樹脂が好ましい。
一般式(1)
−(MMA)p−(X)q−(Y)r−
MMAはメチルメタクリレート(Tg=105℃)を、Xはアミド基を少なくとも一種有するMMAと共重合可能なモノマー単位を、YはMMA、Xと共重合可能なモノマー単位を表す。p、q、rはモル%であり、50≦p≦99、1≦q≦50、p+q+r=100である。
本発明に用いられるアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。
Xは、MMAと共重合可能なアミド基を少なくとも一種有するビニルモノマーであり、Xは一種でも2種以上でもよく、1モノマー単位中に複数の官能基を有していてもよい。
Xの具体的なモノマーとしては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリロイルピロリジン、アクリロイルピペリジン、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N,N−ジエチルメタクリルアミド、メタクリロイルモルホリン、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、メタクリロイルピロリジン、メタクリロイルピペリジン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、ビニルピロリドン等が挙げられる。
好ましくは、アクリロイルモルホリン、ビニルピロリドン、が挙げられる。
これらのモノマーは市販のものをそのまま使用することができる。
qは、1≦q≦50であり、モノマーの性質により適宜選択されるが、好ましくは5≦q≦30である。また、Xは複数のモノマーであってもよい。
官能基が非解離性であることから、加熱処理する際に分解による酸発生もなく、物理的にも安定している。
本発明のアクリル樹脂(A)におけるYはMMA、Xと共重合可能なモノマー単位を表す。
Yとしては、MMA以外のアクリルモノマー、メタクリルモノマー、オレフィン、アクリロニトリル、スチレン、酢酸ビニル等特許文献1、2、3に記載のモノマーが挙げられる。Yは2種以上であってもよい。
Yは必要に応じて使用できるものであり、使用しないことが最も好ましい。
本発明のアクリル樹脂(A)は、特にセルロースエステル樹脂(B)と相溶した際の非相溶性の観点で、重量平均分子量(Mw)が5000以上である。
アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)は、5000〜100000の範囲内であることが更に好ましく、5000〜50000の範囲内であることが特に好ましく、5000〜20000の範囲であることが最も好ましい。
アクリル樹脂(A)の重量平均分子量(Mw)の上限値は、製造上の観点から1000000以下とされることが好ましい形態である。
本発明のアクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=2,800,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=2,800,000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明におけるアクリル樹脂(A)の製造方法としては、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、あるいは溶液重合等の公知の方法のいずれを用いても良い。ここで、重合開始剤としては、通常のパーオキサイド系およびアゾ系のものを用いることができ、また、レドックス系とすることもできる。
重合温度については、懸濁または乳化重合では30〜100℃、塊状または溶液重合では80〜160℃で実施しうる。得られた共重合体の還元粘度を制御するために、アルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用いて重合を実施することもできる。
<セルロースエステル樹脂(B)>
本発明のセルロースエステル樹脂(B)は、特に脆性の改善やアクリル樹脂(A)と混合させたときの非相溶性の観点から、アシル基の総置換度(T)が2.0〜3.0であることが好ましい。
<セルロースエステル樹脂(B)>
本発明のセルロースエステル樹脂(B)は、特に脆性の改善やアクリル樹脂(A)と混合させたときの非相溶性の観点から、アシル基の総置換度(T)が2.0〜3.0であることが好ましい。
本発明のセルロースエステル樹脂(B)としては、特にセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートベンゾエート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することができる。
なお、アセチル基の置換度や他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めたものである。
本発明のセルロースエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特にアクリル樹脂(A)との相溶性、脆性の改善の観点から50000以上であり、5000〜300000の範囲であることが好ましく、75000〜240000の範囲内であることが特に好ましい。
本発明では2種以上のセルロース樹脂を混合して用いることもできる。
本発明のセルロースエステル樹脂の重量平均分子量は、上記GPCによって測定することができる。
<アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)>
本発明の散乱フィルムにおいて、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)は、99:1〜1:99の質量比で、非相溶状態で含有される。
<アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)>
本発明の散乱フィルムにおいて、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)は、99:1〜1:99の質量比で、非相溶状態で含有される。
アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)が非相溶状態か否かは、ガラス転移温度Tgにより判断することが可能である。
両者の樹脂のガラス転移温度が異なる場合、両者の樹脂を非相溶状態であれば、各々の樹脂のガラス転移温度が存在するため混合物のガラス転移温度は2つ以上存在するが、両者の樹脂が相溶したときは、各々の樹脂固有のガラス転移温度が消失し、1つのガラス転移温度となって相溶した樹脂のガラス転移温度となる。
また可塑剤を添加した場合は、可塑剤を添加した状態でのガラス転移温度をいう。
なお、ここでいうガラス転移温度とは、示差走査熱量測定器(Perkin Elmer社製DSC−7型)を用いて、昇温速度20℃/分で測定し、JIS K7121(1987)に従い求めた中間点ガラス転移温度(Tmg)とする。
本発明の散乱フィルムにおけるアクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の選択は、両方の樹脂をともに溶解する溶媒に両者を溶解し、その溶液を混合した時の状態を観察することによってすることができる。
20質量%のセルロースエステル樹脂メチレンクロライド溶液に、20質量%のアクリル樹脂メチレンクロライド溶液を攪拌しながら23℃で添加していき、混合液の濁度を観察することで、非相溶状態となる種類、量を簡易的に知ることができる。濁度が上昇した場合は、非相溶状態が発生していることを示している。
<その他の添加樹脂>
本発明の散乱フィルムには、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂を用いる際には、本発明の散乱フィルムの機能を損なわない範囲で添加量を調整することが好ましい。
<その他の添加樹脂>
本発明の散乱フィルムには、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)以外の樹脂を用いる際には、本発明の散乱フィルムの機能を損なわない範囲で添加量を調整することが好ましい。
好ましい樹脂としては、特開2010−32655号明細書段落(0072)〜(0123)に記載のエチレン性不飽和モノマーを重合して得られた低分子アクリル樹脂(重量平均分子量Mwが500以上30000以下である重合体)を挙げることができる。
特に好ましくは、Mwが2000〜30000である。1000以下ではブリードアウトに問題が生じ、30000を超えると透明性が悪くなる。
また、特許第4138954号記載のアミド結合を有するビニルポリマーも使用することができる。
本発明の低分子アクリル樹脂、アミド結合を有するビニルポリマーは、散乱フィルムの全質量に対して0〜15質量%であり、0〜10質量%であることが好ましい。
<アクリル粒子(D)>
本発明の散乱フィルムは、特許文献1に記載のアクリル粒子(D)を含有してもよい。
<アクリル粒子(D)>
本発明の散乱フィルムは、特許文献1に記載のアクリル粒子(D)を含有してもよい。
このような多層構造アクリル系粒状複合体の市販品の例としては、例えば、三菱レイヨン社製“メタブレンW−341”、鐘淵化学工業社製“カネエース”、呉羽化学工業社製“パラロイド”、ロームアンドハース社製“アクリロイド”、ガンツ化成工業社製“スタフィロイド”、ケミスノーMR−2G、MS−300X(綜研化学(株)製)およびクラレ社製“パラペットSA”などが挙げられ、これらは、単独ないし2種以上を用いることができる。
本発明の散乱フィルムにおいて、該フィルムを構成する樹脂の総質量に対して、0〜30質量%のアクリル粒子(D)を含有することが好ましく、1.0〜15質量%の範囲で含有することがさらに好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の散乱フィルムには、フィルムに加工性を付与する可塑剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)等の添加剤を含有させることが好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の散乱フィルムには、フィルムに加工性を付与する可塑剤、フィルムの劣化を防止する酸化防止剤、紫外線吸収機能を付与する紫外線吸収剤、フィルムに滑り性を付与する微粒子(マット剤)等の添加剤を含有させることが好ましい。
可塑剤は、ガラス転移温度を調整することに対しては、適宜添加することができるが、非相溶状態を生じさせるためには抑制的に働くため、使用する量は、その使用形態によって適宜選択される。
(可塑剤)
〈グリコールと二塩基酸のポリエステルポリオール〉
本発明において使用され得るポリエステルポリオールとしては、炭素数の平均が2〜3.5であるグリコールと炭素数の平均が4〜5.5である二塩基酸との脱水縮合反応、又は該グリコールと炭素数の平均が4〜5.5である無水二塩基酸の付加及び脱水縮合反応による常法により製造されるものであることが好ましい。
(可塑剤)
〈グリコールと二塩基酸のポリエステルポリオール〉
本発明において使用され得るポリエステルポリオールとしては、炭素数の平均が2〜3.5であるグリコールと炭素数の平均が4〜5.5である二塩基酸との脱水縮合反応、又は該グリコールと炭素数の平均が4〜5.5である無水二塩基酸の付加及び脱水縮合反応による常法により製造されるものであることが好ましい。
〈芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールのポリエステル〉
本発明の位相差制御剤として、下記一般式(I)で表される芳香族末端ポリエステルを用いることができる。
本発明の位相差制御剤として、下記一般式(I)で表される芳香族末端ポリエステルを用いることができる。
一般式(I) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(I)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステルと同様の反応により得られる。
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(I)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステルと同様の反応により得られる。
本発明の芳香族末端ポリエステルの具体的な化合物としては、特開2010−32655号明細書段落(0183)〜(0186)を挙げることができる。
本発明の芳香族末端ポリエステルの含有量は、散乱フィルム中に0〜20質量%含有することが好ましく、特に1〜11質量%含有することが好ましい。
〈多価アルコールエステル系化合物〉
本発明の散乱フィルムには、多価アルコールエステル系化合物を含有させることができる。
本発明の散乱フィルムには、多価アルコールエステル系化合物を含有させることができる。
多価アルコールエステル系化合物としては、特開2010−32655号明細書段落(0218)〜(0170)を挙げることができる。
〈糖エステル化合物〉
本発明の糖エステル化合物しては、ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化した糖エステル化合物を使用することが好ましい。
本発明の糖エステル化合物しては、ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化した糖エステル化合物を使用することが好ましい。
本発明に用いられる糖エステル化合物としては、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、アラビノース、ラクトース、スクロース、セロビオース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノースなどが挙げられるが、特にフラノース構造とピラノース構造を両方有するものが好ましい。例としてはスクロースが挙げられる。
本発明に用いられる糖エステル化合物は、糖化合物の有する水酸基の一部または全部がエステル化されているものまたはその混合物である。
本発明の糖エステル化合物の具体的化合物としては、特開2010−32655号明細書段落(0060)〜(0070)を挙げることができる。
〈その他の添加剤〉
本発明の散乱フィルムにおいては、可塑剤、位相差制御剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、マット粒子等を併用することも可能である。
本発明の散乱フィルムにおいては、可塑剤、位相差制御剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、マット粒子等を併用することも可能である。
可塑剤としては、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系、あるいはエポキシ系等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤では、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステル系可塑剤では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート等を用いることができる。
この中で、ポリエステル系とフタル酸エステル系の可塑剤が好ましく用いられる。ポリエステル系可塑剤は、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル系の可塑剤に比べて非移行性や耐抽出性に優れるが、可塑化効果や相溶性にはやや劣る。
従って、用途に応じてこれらの可塑剤を選択、あるいは併用することによって、広範囲の用途に適用できる。
ポリエステル系可塑剤は、一価ないし四価のカルボン酸と一価ないし六価のアルコールとの反応物であるが、主に二価カルボン酸とグリコールとを反応させて得られたものが用いられる。代表的な二価カルボン酸としては、グルタル酸、イタコン酸、アジピン酸、フタル酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。
特に、アジピン酸、フタル酸などを用いると可塑化特性に優れたものが得られる。グリコールとしてはエチレン、プロピレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキサメチレン、ネオペンチレン、ジエチレン、トリエチレン、ジプロピレンなどのグリコールが挙げられる。これらの二価カルボン酸およびグリコールはそれぞれ単独で、あるいは混合して使用してもよい。
このエステル系の可塑剤はエステル、オリゴエステル、ポリエステルの型のいずれでもよく、分子量は100〜10000の範囲が良いが、好ましくは600〜3000の範囲が可塑化効果が大きい。
また、可塑剤の粘度は分子構造や分子量と相関があるが、アジピン酸系可塑剤の場合相溶性、可塑化効率の関係から200〜5000mPa・s(25℃)の範囲が良い。さらに、いくつかのポリエステル系可塑剤を併用してもかまわない。
可塑剤はアクリル樹脂を含有する組成物100質量部に対して、0.5〜30質量部を添加するのが好ましい。可塑剤の添加量が30質量部を越えると、表面がべとつくので、実用上好ましくない。またこれらの可塑剤は単独或いは2種以上混合して用いることもできる。
〈酸化防止剤〉
本発明では、酸化防止剤としては、通常知られているものを使用することができる。特に、ラクトン系、イオウ系、フェノール系、二重結合系、ヒンダードアミン系、リン系化合物のものを好ましく用いることができる。
本発明では、酸化防止剤としては、通常知られているものを使用することができる。特に、ラクトン系、イオウ系、フェノール系、二重結合系、ヒンダードアミン系、リン系化合物のものを好ましく用いることができる。
例えば、BASFジャパン(株)から、“IrgafosXP40”、“IrgafosXP60”という商品名で市販されているものを含むものが好ましい。
上記フェノール系化合物としては、2,6−ジアルキルフェノールの構造を有するものが好ましく、例えば、BASFジャパン(株)、“Irganox1076”、“Irganox1010”、(株)ADEKA“アデカスタブAO−50”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記リン系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、“SumilizerGP”、株式会社ADEKAから“ADK STAB PEP−24G”、“ADK STAB PEP−36”および“ADK STAB 3010”、BASFジャパン(株)から“IRGAFOS P−EPQ”、堺化学工業株式会社から“GSY−P101”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記ヒンダードアミン系化合物は、例えば、BASFジャパン(株)から、“Tinuvin144”および“Tinuvin770”、株式会社ADEKAから“ADK STAB LA−52”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記イオウ系化合物は、例えば、住友化学株式会社から、”Sumilizer TPL−R”および“Sumilizer TP−D”という商品名で市販されているものが好ましい。
上記二重結合系化合物は、住友化学株式会社から、“Sumilizer GM”および“Sumilizer GS”という商品名で市販されているものが好ましい。
さらに、酸捕捉剤として米国特許第4,137,201号明細書に記載されているような、エポキシ基を有する化合物を含有させることも可能である。
これらの酸化防止剤等は、再生使用される際の工程に合わせて適宜添加する量が決められるが、一般には、フィルムの主原料である樹脂に対して、0.05〜20質量%、好ましくは0.1〜1質量%の範囲で添加される。
これらの酸化防止剤は、一種のみを用いるよりも数種の異なった系の化合物を併用することで相乗効果を得ることができる。例えば、ラクトン系、リン系、フェノール系および二重結合系化合物の併用は好ましい。
〈着色剤〉
本発明においては、着色剤を使用することが好ましい。着色剤と言うのは染料や顔料を意味するが、本発明では、液晶画面の色調を青色調にする効果またはイエローインデックスの調整、ヘーズの低減を有するものを指す。
本発明においては、着色剤を使用することが好ましい。着色剤と言うのは染料や顔料を意味するが、本発明では、液晶画面の色調を青色調にする効果またはイエローインデックスの調整、ヘーズの低減を有するものを指す。
着色剤としては各種の染料、顔料が使用可能だが、アントラキノン染料、アゾ染料、フタロシアニン顔料などが有効である。
〈紫外線吸収剤〉
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。高分子型の紫外線吸収剤としてもよい。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。高分子型の紫外線吸収剤としてもよい。
〈マット剤〉
本発明では、フィルムの滑り性を付与するためにマット剤を添加することが好ましい。
本発明では、フィルムの滑り性を付与するためにマット剤を添加することが好ましい。
本発明で用いられるマット剤としては、得られるフィルムの透明性を損なうことがなく、溶融時の耐熱性があれば無機化合物または有機化合物どちらでもよい。これらのマット剤は、単独でも二種以上併用しても使用できる。
粒径や形状(例えば針状と球状など)の異なる粒子を併用することで高度に透明性と滑り性を両立させることもできる。
これらの中でも、セルロースエステルと屈折率が近いので透明性(ヘーズ)に優れる二酸化珪素が特に好ましく用いられる。
二酸化珪素の具体例としては、アエロジル200V、アエロジルR972V、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600、NAX50(以上日本アエロジル(株)製)、シーホスターKEP−10、シーホスターKEP−30、シーホスターKEP−50(以上、株式会社日本触媒製)、サイロホービック100(富士シリシア製)、ニップシールE220A(日本シリカ工業製)、アドマファインSO(アドマテックス製)等の商品名を有する市販品などが好ましく使用できる。
粒子の形状としては、不定形、針状、扁平、球状等特に制限なく使用できるが、特に球状の粒子を用いると得られるフィルムの透明性が良好にできるので好ましい。
粒子の大きさは、可視光の波長に近いと光が散乱し、透明性が悪くなるので、可視光の波長より小さいことが好ましく、さらに可視光の波長の1/2以下であることが好ましい。粒子の大きさが小さすぎると滑り性が改善されない場合があるので、80nmから180nmの範囲であることが特に好ましい。
なお、粒子の大きさとは、粒子が1次粒子の凝集体の場合は凝集体の大きさを意味する。また、粒子が球状でない場合は、その投影面積に相当する円の直径を意味する。
〈粘度低下剤〉
本発明において、溶融粘度を低減する目的として、水素結合性溶媒を添加することができる。
本発明において、溶融粘度を低減する目的として、水素結合性溶媒を添加することができる。
水素結合性溶媒とは、J.N.イスラエルアチビリ著、「分子間力と表面力」(近藤保、大島広行訳、マグロウヒル出版、1991年)に記載されるように、電気的に陰性な原子(酸素、窒素、フッ素、塩素)と電気的に陰性な原子と共有結合した水素原子間に生ずる、水素原子媒介「結合」を生ずることができるような有機溶媒、すなわち、結合モーメントが大きく、かつ水素を含む結合、例えば、O−H(酸素水素結合)、N−H(窒素水素結合)、F−H(フッ素水素結合)を含むことで近接した分子同士が配列できるような有機溶媒をいう。
これらは、セルロース樹脂の分子間水素結合よりもセルロースとの間で強い水素結合を形成する能力を有するもので、本発明で行う溶融流延法においては、用いるセルロース樹脂単独のガラス転移温度よりも、水素結合性溶媒の添加によりセルロース樹脂組成物の溶融温度を低下することができる、または同じ溶融温度においてセルロース樹脂よりも水素結合性溶媒を含むセルロース樹脂組成物の溶融粘度を低下することができる。
<散乱フィルムの物性>
以下、本発明の散乱フィルムの物性等についての特徴について説明する。
<散乱フィルムの物性>
以下、本発明の散乱フィルムの物性等についての特徴について説明する。
〈ヘーズ〉
本発明における散乱フィルムの透明性を判断する指標としては、ヘーズ(濁度)を用いる。
本発明における散乱フィルムの透明性を判断する指標としては、ヘーズ(濁度)を用いる。
特に屋外で用いられる液晶表示装置においては、明るい場所でも十分な輝度や高いコントラストが得られることが求められる為、ヘーズは10%以上80%以下である。また、その全光線透過率が70%以上95%以下であることが好ましい。
アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を含有する本発明の散乱フィルムによれば、アクリル粒子を使用する場合は、樹脂(アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B))とアクリル粒子(D)との屈折率差を大きくすることで、ヘーズの上昇を補助することができる。
また、本発明の散乱フィルムは、フィルム面内の直径5μm以上の欠点が1個/10cm四方以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5個/10cm四方以下、一層好ましくは0.1個/10cm四方以下である。
ここで欠点の直径とは、欠点が円形の場合はその直径を示し、円形でない場合は欠点の範囲を下記方法により顕微鏡で観察して決定し、その最大径(外接円の直径)とする。
欠点の範囲は、欠点が気泡や異物の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の透過光で観察したときの影の大きさである。欠点が、ロール傷の転写や擦り傷など、表面形状の変化の場合は、欠点を微分干渉顕微鏡の反射光で観察して大きさを確認する。
なお、反射光で観察する場合に、欠点の大きさが不明瞭であれば、表面にアルミや白金を蒸着して観察する。
かかる欠点頻度にて表される品位に優れたフィルムを生産性よく得るには、ポリマー溶液を流延直前に高精度濾過することや、流延機周辺のクリーン度を高くすること、また、流延後の乾燥条件を段階的に設定し、効率よくかつ発泡を抑えて乾燥させることが有効である。
欠点の個数が1個/10cm四方より多いと、例えば後工程での加工時などでフィルムに張力がかかると、欠点を基点としてフィルムが破断して生産性が低下する場合がある。また、欠点の直径が5μm以上になると、偏光板観察などにより目視で確認でき、光学部材として用いたとき輝点が生じる場合がある。
正面コントラスト=(表示装置の法線方向から測定した白表示の輝度)/(表示装置の法線方向から測定した黒表示の輝度)
視野角は液晶表示装置の観察方向を法線方向から傾けていった場合に一定レベルのコントラストを維持できる角度のことである。
視野角は液晶表示装置の観察方向を法線方向から傾けていった場合に一定レベルのコントラストを維持できる角度のことである。
本発明の散乱フィルムは、隣接する山の頂点から谷の底点までの高さが300nm以上であり、傾きが300nm/mm以上の長手方向に連続するスジがないことが好ましい。
スジの形状は、表面粗さ計を用いて測定したもので、具体的には、ミツトヨ製SV−3100S4を使用して、先端形状が円錐60°、先端曲率半径2μmの触針(ダイヤモンド針)に測定力0.75mNの加重をかけながら、測定速度1.0mm/secでフィルムの巾方向に走査し、Z軸(厚み方向)分解能0.001μmとして断面曲線を測定する。
この曲線から、スジの高さは、山の頂点から谷の底点までの垂直距離(H)を読み取る。スジの傾きは、山の頂点から谷の底点までの水平距離(L)を読み取り、垂直距離(H)を水平距離(L)で除して求める。
また本発明の散乱フィルムの厚みは、20μm以上150μm以下であることが好ましい。より好ましくは30μm以上80μm以下である。
本発明の散乱フィルムは、上記のような物性を満たしていれば、大型の液晶表示装置や屋外用途の液晶表示装置用の偏光板保護フィルムとして特に好ましく用いることができる。
<散乱フィルムの製造方法>
本発明の散乱フィルムは、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)の混合物を溶液流延してフィルムを製造する工程、ついで該フィルムをアクリル樹脂(A)またはセルロースエステル樹脂(B)のいずれか低い方のガラス転移温度以上に加熱処理する工程を有することを特徴とする。
<散乱フィルムの製造方法>
本発明の散乱フィルムは、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)の混合物を溶液流延してフィルムを製造する工程、ついで該フィルムをアクリル樹脂(A)またはセルロースエステル樹脂(B)のいずれか低い方のガラス転移温度以上に加熱処理する工程を有することを特徴とする。
さらに詳しくは、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程(ドープ調整工程)、ドープを無限に移行する無端の金属支持体上に流延する工程(ドープ流延工程)、流延したドープをウェブとして乾燥する工程(フィルム形成工程)、金属支持体から剥離する工程(剥離工程)、延伸又は幅保持して乾燥しフィルムとする工程(フィルム乾燥工程)、前記フィルムをガラス転移温度以上に加熱処理する工程(加熱処理工程)、フィルムを巻取る工程(巻き取り工程)により行われる。
本発明のアクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)の混合物を溶液流延してフィルムを製造する工程は、ドープ調整工程から剥離工程までをいう。
本発明の加熱処理工程は、フィルム乾燥工程の後、またはフィルム乾燥工程と兼ねてもよい。また、巻き取ったフィルムを加熱処理することもできる。
なお、ガラス転移温度よりも分解温度が低い場合は、分解温度をガラス転移温度とみなすこととする。
(ドープ調製工程)
ドープ中のアクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
ドープ中のアクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
この工程において、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)がお互いに飽和状態で混合していることがその後の加熱処理工程において重要である。溶液で混合されることでその後の相分離が容易に進む傾向が見られる。
ドープで用いられる溶剤は、単独で用いても二種以上を併用してもよいが、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がアクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の溶解性の点で好ましい。
良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するアクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)を単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するか又は溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の総アシル置換度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わる。
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライド又は酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
また、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の溶解に用いられる溶媒は、フィルム製膜工程で乾燥によりフィルムから除去された溶媒を回収し、これを再利用して用いられる。
回収溶剤中に、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)に添加されている添加剤、例えば可塑剤、紫外線吸収剤、ポリマー、モノマー成分などが微量含有されていることもあるが、これらが含まれていても好ましく再利用することができるし、必要であれば精製して再利用することもできる。
上記記載のドープを調製する時の、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。
溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。
また、アクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)を貧溶剤と混合して湿潤あるいは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がアクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)の溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。
好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
次に、このアクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。
このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
濾過により、原料のアクリル樹脂(A)、セルロースエステル樹脂(B)に含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、二枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に散乱フィルム等を置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm2以下であることが好ましい。
より好ましくは100個/cm2以下であり、更に好ましくは50個/m2以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm2以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。
好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
(ドープ流延工程)
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化したりする場合がある。
(フィルム形成工程)
好ましい支持体温度は0〜55℃であり、25〜50℃が更に好ましい。あるいは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
好ましい支持体温度は0〜55℃であり、25〜50℃が更に好ましい。あるいは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風又は冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
(剥離工程)
フィルムを支持体から剥離する際の剥離張力は300N/m以下であることが好ましい。
フィルムを支持体から剥離する際の剥離張力は300N/m以下であることが好ましい。
製造したフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%又は60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%又は70〜120質量%である。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
尚、Mはウェブ又はフィルムを製造中又は製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
(フィルム乾燥工程)
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でフィルムを搬送させながら乾燥、加熱処理する方式が採られる。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でフィルムを搬送させながら乾燥、加熱処理する方式が採られる。
フィルムを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
フィルムの乾燥工程における乾燥温度は40〜200℃で段階的に高くしていくことが好ましい。
製造フィルムの膜厚は、特に限定はされないが10〜200μmが用いられる。特に膜厚は10〜100μmであることが特に好ましい。更に好ましくは20〜60μmである。
本発明に係るセルロースエステルフィルムは、幅1〜4mで製膜され、特に幅1.4〜4mのものが好ましく、特に好ましくは1.9〜3mである。4mを超えると搬送が困難となる。
フィルムの長手方向(製膜方向)及びそれとフィルム面内で直交する方向、即ち幅手方向に対して、逐次又は同時に二軸延伸もしくは一軸延伸することが好ましい。
(加熱処理工程)
このようにして得られたフィルムは、アクリル樹脂(A)またはセルロースエステル樹脂(B)いずれか低い方のガラス転移温度Tg以上に加熱処理される。この時の温度は、雰囲気温度ではなくフィルム自体の温度である。
このようにして得られたフィルムは、アクリル樹脂(A)またはセルロースエステル樹脂(B)いずれか低い方のガラス転移温度Tg以上に加熱処理される。この時の温度は、雰囲気温度ではなくフィルム自体の温度である。
このTg以上の温度とすることで、アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)の非相溶状態がすすみ、海島構造によるヘーズが上昇することとなる。
加熱処理温度はTg以上であればよいが、いずれか高い方の温度Tghに対してTgh+50℃以下であることが好ましく、Tgh+30℃以下がさらに好ましい。
フィルムの温度は、非接触ハンディ温度計IT2−80((株)キーエンス製)によりフィルムの端から300mm間隔で測定した値の平均値をとった。
処理時間は、ヘーズの上昇状態を観察しながら適宜調整することができる。
本発明の加熱処理工程は、前記のフィルム乾燥工程と兼ねることができ、その場合、乾燥工程での最終乾燥温度を、Tg以上とすることで同じ工程とすることができる。フィルム乾燥工程を兼ねる場合、延伸を併用することによりヘーズの調整も可能である。
延伸する方法は、公知のロール延伸機やテンターなどを用いることができる。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、フィルムの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、あるいは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。
また、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持あるいは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
互いに直交する二軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に0.8〜1.5倍、幅方向に1.1〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に0.8〜1.0倍、幅方向に1.2〜2.0倍に範囲で行うことが好ましい。
延伸は、例えば散乱フィルムの長手方向及びそれと散乱フィルム面内で直交する方向、即ち幅方向に対して、逐次又は同時に行うことができる。
散乱フィルムの膜厚変動は、±3%であることが好ましく、±1%の範囲とすることがさらに好ましい。
フィルムの物性は延伸温度によって大きく変わることが知られている。この傾向はフィルムのガラス転移温度(Tg)付近で、顕著にみられる。
(巻き取り工程)
延伸後、散乱フィルムの端部をスリッターにより製品となる幅にスリットして裁ち落とした後、エンボスリング及びバックロールよりなるナール加工装置によりナール加工(エンボッシング加工)を散乱フィルム両端部に施し、巻取り機によって巻き取ることにより、散乱フィルム(元巻き)中の貼り付きや、すり傷の発生を防止する。ナール加工の方法は、凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。
延伸後、散乱フィルムの端部をスリッターにより製品となる幅にスリットして裁ち落とした後、エンボスリング及びバックロールよりなるナール加工装置によりナール加工(エンボッシング加工)を散乱フィルム両端部に施し、巻取り機によって巻き取ることにより、散乱フィルム(元巻き)中の貼り付きや、すり傷の発生を防止する。ナール加工の方法は、凸凹のパターンを側面に有する金属リングを加熱や加圧により加工することができる。
なお、スリッターにより切除した散乱フィルムの両端部は、原料として再利用してもよい。
次に、散乱フィルムの巻取り工程は、円筒形巻き散乱フィルムの外周面とこれの直前の移動式搬送ロールの外周面との間の最短距離を一定に保持しながら散乱フィルムを巻取りロールに巻き取るものである。かつ巻取りロールの手前には、散乱フィルムの表面電位を除去又は低減する除電ブロア等の手段が設けられている。
本発明の散乱フィルムの製造に係る巻き取り機は一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等の巻き取り方法で巻き取ることができる。なお、散乱フィルムの巻取り時の初期巻取り張力が90.2〜300.8N/mであることが好ましい。
本発明の方法における散乱フィルムの巻き取り工程では、温度20〜30℃、湿度20〜60%RHの環境条件にて、散乱フィルムを巻き取ることが好ましい。巻き取り工程における温度が20〜30℃の範囲であれば、シワの発生がなく、散乱フィルム巻品質劣化もない。また、散乱フィルムの巻き取り工程における湿度が20〜60%RHであれば、吸湿による散乱フィルム巻品質劣化も削減され、巻品質に優れ、貼り付き故障もなく、搬送性の劣化もない。
散乱フィルムをロール状に巻き取る際の巻きコアとしては、円筒上のコアであれはどのような材質のものであってもよいが、好ましくは中空プラスチックコアである。プラスチック材料としては加熱処理温度にも耐える耐熱性プラスチックであればどのようなものであってもよく、フェノール樹脂、キシレン樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
また、ガラス繊維等の充填材により強化した熱硬化性樹脂が好ましい。例えば、中空プラスチックコア:FRP製の外径6インチ(以下、1インチは2.54cmである。)、内径5インチの巻きコアが用いられる。
本発明の散乱フィルムの製造において、ロール長さは、生産性と運搬性を考慮すると、長さは10〜5000mが好ましく、より好ましくは50〜4500mである。
このときの散乱フィルムの幅は、偏光子の幅や製造ラインに適した幅を選択することができるが、0.5〜4.0m、好ましくは1.0〜3.0mの幅で散乱フィルムを製造してロール状に巻き取ることが好ましい。
本発明における散乱フィルムの透明性を判断する指標としては、ヘーズ(濁度)を用いる。特に屋外で用いられる液晶表示装置においては、明るい場所でも十分な輝度や高いコントラストが得られることが求められる為、ヘーズは0.5%以下であることが必要とされ、0.35%以下であることが更に好ましい。
また、製膜時のフィルム接触部(冷却ロール、カレンダーロール、ドラム、ベルト、溶液製膜における塗布基材、搬送ロールなど)の表面粗さを小さくしてフィルム表面の表面粗さを小さくすることや、アクリル樹脂の屈折率を小さくすることによりフィルム表面の光の拡散や反射を低減させることが有効である。
また、本発明の散乱フィルムは、JIS−K7127−1999に準拠した測定において、少なくとも一方向の破断点伸度が30%以上であり、より好ましくは50%以上である。
本発明においては、脆性の尺度として破断点伸度を用いている。脆性の尺度としては他に引裂き強度や折り曲げによる割れ易さなどが知られているが、引裂き強度は膜厚が厚いほど良く、折り曲げによる割れ易さは膜厚が薄いほど良いなど、散乱フィルムの膜厚の影響が大きいため、本発明においては膜厚の影響を受けない破断点伸度を指標として用いている。
破断点伸度の上限は特に限定されるものではないが、現実的には250%程度である。破断伸度を大きくするには異物や発泡に起因するフィルム中の欠点を抑制することが有効である。
本発明の散乱フィルムの膜厚に特に制限はないが、後述する偏光板保護フィルムに使用する場合は20〜200μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましく、30〜80μmであることが特に好ましい。
<偏光板>
本発明の散乱フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いる場合、偏光板は一般的な方法で作製することができる。
<偏光板>
本発明の散乱フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いる場合、偏光板は一般的な方法で作製することができる。
本発明の散乱フィルムの裏面側に粘着層を設け、沃素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、貼り合わせることが好ましい。
もう一方の面には本発明の散乱フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。例えば、市販のセルロースエステルフィルム(例えば、コニカミノルタタック KC8UX、KC4UX、KC5UX、KC8UY、KC4UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4、KC8UCR−5、KC8UE、KC4UE、KC4FR−3、KC4FR−4、KC4HR−1、KC8UY−HA、KC8UX−RHA、以上コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。
偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。
上記粘着層に用いられる粘着剤としては、粘着層の少なくとも一部分において25℃での貯蔵弾性率が1.0×104Pa〜1.0×109Paの範囲である粘着剤が用いられていることが好ましく、粘着剤を塗布し、貼り合わせた後に種々の化学反応により高分子量体または架橋構造を形成する硬化型粘着剤が好適に用いられる。
具体例としては、例えば、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、水性高分子−イソシアネート系粘着剤、熱硬化型アクリル粘着剤等の硬化型粘着剤、湿気硬化ウレタン粘着剤、ポリエーテルメタクリレート型、エステル系メタクリレート型、酸化型ポリエーテルメタクリレート等の嫌気性粘着剤、シアノアクリレート系の瞬間粘着剤、アクリレートとペルオキシド系の2液型瞬間粘着剤等が挙げられる。
上記粘着剤としては1液型であっても良いし、使用前に2液以上を混合して使用する型であっても良い。
また上記粘着剤は有機溶剤を媒体とする溶剤系であってもよいし、水を主成分とする媒体であるエマルジョン型、コロイド分散液型、水溶液型などの水系であってもよいし、無溶剤型であってもよい。上記粘着剤液の濃度は、粘着後の膜厚、塗布方法、塗布条件等により適宜決定されれば良く、通常は0.1〜50質量%である。
<液晶表示装置>
本発明の散乱フィルムを貼合した偏光板を液晶表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた液晶表示装置を作製することができるが、特に大型の液晶表示装置やデジタルサイネージ等の屋外用途の液晶表示装置に好ましく用いられる。本発明の偏光板は、前記粘着層等を介して液晶セルに貼合する。
<液晶表示装置>
本発明の散乱フィルムを貼合した偏光板を液晶表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた液晶表示装置を作製することができるが、特に大型の液晶表示装置やデジタルサイネージ等の屋外用途の液晶表示装置に好ましく用いられる。本発明の偏光板は、前記粘着層等を介して液晶セルに貼合する。
本発明の偏光板は反射型、透過型、半透過型LCDまたはTN型、STN型、OCB型、HAN型、VA型(PVA型、MVA型)、IPS型(FFS方式も含む)等の各種駆動方式のLCDで好ましく用いられる。特にVA型の画面が30型以上、特に30型〜54型の大画面の表示装置では、画面周辺部での白抜け等もなく、その効果が長期間維持される。
実施例1
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
表1中のアクリル樹脂A−1以下を公知の方法によって作製した。表中ACMOは、アクリロイルモルホリン(145℃)、AAmはアクリルアミド(165℃)、VPはビニルピロリドン(93℃)、DMAAmは、N,N−ジメチルアクリルアミド(89℃)、ACPIPEは、アクリロイルピペリジン(108℃)、HEMAは、ヒドロキシメタクリレート(55℃)である。( )内はガラス転移温度である。
表2に使用したセルロースエステル樹脂(B)を示す。acはアセチル基、prはプロピオニル基を表す。
<散乱フィルム試料の作製>
アクリル樹脂 50質量部
セルロースエステル樹脂 50質量部
無機微粒子(アエロジルR972V) 0.27質量部
メチレンクロライド 256質量部
エタノール 48質量部
上記の組成物を加熱しながら十分に溶解し、主ドープ液No.1を作製した。
アクリル樹脂 50質量部
セルロースエステル樹脂 50質量部
無機微粒子(アエロジルR972V) 0.27質量部
メチレンクロライド 256質量部
エタノール 48質量部
上記の組成物を加熱しながら十分に溶解し、主ドープ液No.1を作製した。
作製した主ドープ液1を、ベルト流延装置を用い、温度22℃、2m幅でステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体で、残留溶剤量が100%になるまで溶媒を蒸発させ、剥離張力162N/mでステンレスバンド支持体上から剥離した。
剥離した樹脂組成物のウェブを35℃で溶媒を蒸発させ、1.5m幅にスリットし、その後、テンターで幅方向に1.30倍(30%)に延伸しながら、140℃の乾燥温度で乾燥させた。このときテンターで延伸を始めたときの残留溶剤量は10%であった。
テンターで延伸後、130℃で5分間緩和を行った後、120℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、1.5m幅にスリットし、フィルム両端に幅10mm高さ5μmのナーリング加工を施し、初期張力220N/m、終張力110N/mで内径15.24cmコアに巻取り、厚さ40μm巻きの長さ5200mのフィルム1を得た。
このフィルム1をロール繰り出しして、オーブンにて表3に記載の条件で1分間加熱を行った後、再度コアに巻き取って散乱フィルム1を得た。
同様にして他の散乱フィルム試料を作製した。なお、散乱フィルム試料8から27は、120℃の乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させたのち、表3に記載の条件で加熱処理を行い、それからスリットした。
<散乱フィルム試料の評価>
評価は、特に定めの無い限り、全て23℃55%RHの雰囲気下で行った。また試料は、予め同雰囲気下24時間保存したものを使用した。結果を表3に示す。
<散乱フィルム試料の評価>
評価は、特に定めの無い限り、全て23℃55%RHの雰囲気下で行った。また試料は、予め同雰囲気下24時間保存したものを使用した。結果を表3に示す。
(ヘーズHz)
作製した各々のフィルム試料について、フィルム試料1枚をJIS K−6714に従って、ヘーズメーター(1001DP型、日本電色工業(株)製)を使用して測定した。
作製した各々のフィルム試料について、フィルム試料1枚をJIS K−6714に従って、ヘーズメーター(1001DP型、日本電色工業(株)製)を使用して測定した。
表3から明らかなように、本発明ではヘーズの大きい散乱フィルムを得ることができる。
実施例2
<偏光板の作製>
上記作製した散乱フィルム試料を使って、下記に記載するアルカリケン化処理をし、偏光板の作製を行った。
実施例2
<偏光板の作製>
上記作製した散乱フィルム試料を使って、下記に記載するアルカリケン化処理をし、偏光板の作製を行った。
〈アルカリケン化処理〉
ケン化工程 2M−NaOH 50℃ 90秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中和工程 10質量%HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
ケン化処理後、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥を行った。
ケン化工程 2M−NaOH 50℃ 90秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中和工程 10質量%HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
ケン化処理後、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥を行った。
〈偏光子の作製〉
厚さ120μmの長尺ロールポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で6倍に搬送方向に延伸して偏光子を作った。
厚さ120μmの長尺ロールポリビニルアルコールフィルムを沃素1質量部、ホウ酸4質量部を含む水溶液100質量部に浸漬し、50℃で6倍に搬送方向に延伸して偏光子を作った。
上記偏光子の片面に同様にケン化処理したコニカミノルタオプト(株)製KC4UY、その反対面側に前記アルカリケン化処理した本発明の散乱フィルム試料を、完全ケン化型ポリビニルアルコール5%水溶液を接着剤として、偏光子の透過軸とフィルムの面内遅相軸が平行になるように各々貼り合わせ、乾燥して偏光板を作製した。
<液晶表示装置の作製>
各偏光板を図1に示した構成の液晶表示装置用バックライトユニットに装着した。光源101の上方に光入射面側から拡散板102、プリズムシート103、プリズムシート104、作製した各偏光板105の順で配設している。
<液晶表示装置の作製>
各偏光板を図1に示した構成の液晶表示装置用バックライトユニットに装着した。光源101の上方に光入射面側から拡散板102、プリズムシート103、プリズムシート104、作製した各偏光板105の順で配設している。
この場合において、作製した各偏光板105は、本発明の散乱フィルム106がプリズムシート104側に来るよう重ね合わせている。なお、光源101としては、シャープ(株)製液晶テレビ アクオスLC−26DZ3(2010年製)のLEDバックライトを使用した。
(プリズムシートモアレ縞消去性)
以下の方法で正面輝度とプリズムシートモアレ縞消去性を求めた。結果を表4に示す。
以下の方法で正面輝度とプリズムシートモアレ縞消去性を求めた。結果を表4に示す。
作製したバックライトユニットを用いて、偏光板の散乱フィルムの代わりにKC6UY(コニカミノルタオプト(株)製)を積層した偏光板の状態からの、各偏光板での正面輝度低下率から、正面輝度の評価を行った。
正面輝度は、コニカミノルタ(株)製二次元色彩輝度計CA−2000を用いて測定した。また、プリズムシートモアレ縞消去性について目視評価した。
また、作製した偏光板の散乱フィルムの代わりに、KC6UY(コニカミノルタオプト(株)製)を積層した偏光板の上部に、市販の粘着層を介してきもと(株)製ライトアップ MXE(56μm、ヘーズ値88%)を、光拡散層が光源側に来るように配置して、上記と同様に、正面輝度とプリズムシートモアレ縞消去性について評価した。なお、上記拡散シートを散乱フィルム試料No.28とした。
正面輝度:正面輝度低下率を求め、以下のようにランク付けした。
○:正面輝度低下−5%未満
△:正面輝度低下−5%以上−15%未満
×:正面輝度低下−15%以上
プリズムシートモアレ縞消去性:
◎:モアレ縞が全く見えない
○:モアレ縞見えにくい
△:モアレ縞がやや見える
×:モアレ縞はっきり見える
△:正面輝度低下−5%以上−15%未満
×:正面輝度低下−15%以上
プリズムシートモアレ縞消去性:
◎:モアレ縞が全く見えない
○:モアレ縞見えにくい
△:モアレ縞がやや見える
×:モアレ縞はっきり見える
この結果から、本発明の散乱フィルムを使用した偏光板を用いることで、従来の拡散シートと同等のプリズムシートモアレ縞消去性が確認できた。また、従来の拡散シートをなくすことができることから、液晶表示装置としても拡散シートの厚みである56μmの薄型化を行うことができる。
101 光源
102 拡散板、
103、104 プリズムシート
105 本発明の偏光板
106 本発明の散乱フィルム
102 拡散板、
103、104 プリズムシート
105 本発明の偏光板
106 本発明の散乱フィルム
Claims (5)
- アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を99:1〜1:99の質量比で含有する散乱フィルムであって、該アクリル樹脂(A)と該セルロースエステル樹脂(B)が非相溶状態にあり、かつ散乱フィルムのヘーズが10%以上80%以下であることを特徴とする散乱フィルム。
- 前記アクリル樹脂(A)が下記一般式(1)で表されることを特徴とする請求項1記載の散乱フィルム。
一般式(1)
−(MMA)p−(X)q−(Y)r−
MMAはメチルメタクリレートを、Xはアミド基を少なくとも一種有するMMAと共重合可能なモノマー単位を、YはMMA、Xと共重合可能なモノマー単位を表す。p、q、rはモル%であり、50≦p≦99、1≦q≦50、p+q+r=100である。 - 請求項1または2に記載の散乱フィルムを有することを特徴とする偏光板。
- 請求項1または2に記載の散乱フィルムを有することを特徴とする液晶表示装置。
- アクリル樹脂(A)とセルロースエステル樹脂(B)を99:1〜1:99の質量比で含有する散乱フィルムの製造方法であって、該アクリル樹脂(A)と該セルロースエステル樹脂(B)の混合物を溶液流延してフィルムを製造する工程、ついで該フィルムを該アクリル樹脂(A)または該セルロースエステル樹脂(B)のいずれか低い方のガラス転移温度以上に加熱処理する工程、を有することを特徴とする散乱フィルムの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010264706A JP2012118091A (ja) | 2010-11-29 | 2010-11-29 | 散乱フィルム、偏光板、液晶表示装置および散乱フィルムの製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2016039135A (ja) * | 2014-08-06 | 2016-03-22 | 三菱化学株式会社 | フレキシブル基板及びそれを用いた有機el素子、有機el照明装置 |
-
2010
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