JP2012115329A - X線ct装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】X線CT装置において、造影剤の注入の開始後に被検体の心拍、呼吸、及び体動があっても、本スキャンの開始タイミングを正確に精度よく検知すること。
【解決手段】X線CT装置1は、非造影でプリスキャンを実行するプリスキャン制御部51と、プリスキャンを基に非造影画像を生成する画像生成部52と、非造影画像を基にROIと、ROI及びその周辺領域とを含み、高CT値領域が存在するかを判断するための拡大領域とを設定する領域設定部53と、拡大領域内のCT値と第1の閾値とを比較する比較部54と、比較の結果を基に拡大領域内に第1の閾値を超えるCT値が存在すると判断する場合、その旨を報知する異常報知部55と、比較の結果を基に拡大領域内に第1の閾値を超えるCT値が存在しないと判断する場合、造影剤の注入が開始された後、ROI内の画素値が第2の閾値を超える本スキャンの開始タイミングを検知するタイミング検知部58と、開始タイミングが検知されると、本スキャンを実行する本スキャン制御部59と、を有する。
【選択図】 図2

Description

本発明の一態様としての本実施形態は、被検体に造影剤を注入してスキャンするX線CT(computed tomography)装置に関するものである。
従来、X線CT装置では、ダイナミックスキャンと呼ばれる撮影法が盛んに行なわれている。ダイナミックスキャンは、造影剤を投与した後、被検体内を流れる造影剤の速度に応じて、所定の時間に亘って連続的にスキャンを行なう手法である。
従来技術のX線CT装置は、非造影状態で被検体の非造影画像を生成し、非造影画像を基にROI(region of interest)及び閾値を設定し、造影剤の注入を開始する。そして、造影剤の注入の開始後、リアルプレップ(Real Prep)が開始される(例えば、特許文献1参照)。リアルプレップは、ダイナミックスキャン等の本スキャン前に本スキャンの開始タイミング(トリガ)を検知するものであり、ROI内のCT値が閾値を超えたら本スキャンを開始させるものである。
特許第2624927号公報
しかしながら、従来技術のROIの設定では、非造影画像を用いて操作者が任意の位置にROIを配置するのみの機能しか有していない。リアルプレップが現在用いられる状況は、患者に呼吸させた状態や、造影剤が到達したらすぐに本スキャンを行なうなど様々であり、さらに、高精度での本スキャンの開始タイミングの検知が必要となっている。しかしながら、従来技術では、非造影画像を用いたROIの設定時点ではROIの外側であってROI周辺に存在する骨や石灰化等の高CT値領域が、リアルプレップの開始後に被検体の心拍、呼吸、及び体動等によってROI内に入り込むことがあり、本スキャンの開始タイミングを誤る可能性がある。
被検体の体動は、前後左右のみならず上下動を行なうことも多い。また、呼吸下において大動脈付近でリアルプレップを行なうと、被検体の上下動により石灰化等の高CT値領域がROI内に入り込む可能性が高い。
本実施形態のX線CT装置は、上述した課題を解決するために、X線源及びX線検出器によって構成され、被検体のデータを収集するスキャン手段と、前記スキャン手段の動作を制御して、造影剤注入後の本スキャンの前に非造影でプリスキャンを実行するプリスキャン制御手段と、前記プリスキャンを基に前記被検体の非造影画像データを生成する画像生成手段と、前記非造影画像データを基に前記造影剤の変化を計測するための関心領域と、前記関心領域とその周辺領域とを含み、高画素値領域が存在するかを判断するための拡大領域とを設定する領域設定手段と、前記拡大領域内の画素値と第1の閾値とを比較する比較手段と、前記比較の結果を基に前記拡大領域内に前記第1の閾値を超える画素値が存在すると判断する場合、その旨を報知する報知手段と、前記比較の結果を基に前記拡大領域内に前記第1の閾値を超える画素値が存在しないと判断する場合、前記造影剤の注入が開始された後、前記関心領域内の画素値が第2の閾値を超える本スキャンの開始タイミングを検知するタイミング検知手段と、前記本スキャンの開始タイミングが検知されると、前記スキャン手段の動作を制御して、前記本スキャンを実行する本スキャン制御手段と、を有し、前記画像生成手段は、前記本スキャンを基に前記被検体の造影画像データを生成する。
本実施形態のX線CT装置を示す構成図。 本実施形態のX線CT装置の機能を示すブロック図。 シングルスライスの非造影画像データを用いる拡大領域の設定方法を説明するための図。 マルチスライスの非造影画像データを用いる拡大領域の設定方法を説明するための図。 本実施形態のX線CT装置の動作を示すフローチャート。
本実施形態のX線CT装置について、添付図面を参照して説明する。
本実施形態のX線CT装置には、X線源とX線検出器とが一体として被検体の周囲を回転する回転/回転(ROTATE/ROTATE)タイプと、リング状に多数の検出素子がアレイされ、X線源のみが被検体の周囲を回転する固定/回転(STATIONARY/ROTATE)タイプ等様々なタイプがあり、いずれのタイプでも本発明を適用可能である。ここでは、現在、主流を占めている回転/回転タイプとして説明する。
また、入射X線を電荷に変換するメカニズムは、シンチレータ等の蛍光体でX線を光に変換し更にその光をフォトダイオード等の光電変換素子で電荷に変換する間接変換形と、X線による半導体内の電子正孔対の生成及びその電極への移動すなわち光導電現象を利用した直接変換形とが主流である。
加えて、近年では、X線源とX線検出器との複数のペアを回転リングに搭載したいわゆる多管球型のX線CT装置の製品化が進み、その周辺技術の開発が進んでいる。本実施形態のX線CT装置では、従来からの一管球型のX線CT装置であっても、多管球型のX線CT装置であってもいずれにも適用可能である。ここでは、一管球型のX線CT装置として説明する。
図1は、本実施形態のX線CT装置を示す構成図である。
図1は、被検体に造影剤を注入してスキャンする本実施形態のX線CT装置1を示す。X線CT装置1は、大きくは、スキャナ装置11及び画像処理装置12によって構成される。X線CT装置1のスキャナ装置11は、通常は検査室に設置され、患者(被検体)Oに関するX線の透過データを生成するために構成される。一方、画像処理装置12は、通常は検査室に隣接する制御室に設置され、透過データを基に投影データを生成して再構成画像の生成・表示を行なうために構成される。
X線CT装置1のスキャナ装置11は、X線管(X線源)21、絞り22、X線検出器23、DAS(data acquisition system)24、回転部25、高電圧電源26、絞り駆動装置27、回転駆動装置28、天板30、天板駆動装置31、及びコントローラ32を設ける。
X線管21は、高電圧電源26から供給された管電圧に応じて金属製のターゲットに電子線を衝突させることでX線を発生させ、X線検出器23に向かって照射する。X線管21から照射されるX線によって、ファンビームX線やコーンビームX線が形成される。X線管21は、高電圧電源26を介したコントローラ32による制御によって、X線の照射に必要な電力が供給される。
絞り22は、絞り駆動装置27によって、X線管21から照射されるX線のスライス方向の照射範囲を調整する。すなわち、絞り駆動装置27によって絞り22の開口を調整することによって、スライス方向のX線照射範囲を変更できる。
X線検出器23は、チャンネル方向に複数、及び列(スライス)方向に単一の検出素子を有する1次元アレイ型の検出器(シングルスライス型検出器ともいう。)である。又は、X線検出器23は、マトリクス状、すなわち、チャンネル方向に複数チャンネル、スライス方向に複数列のX線検出素子を有する2次元アレイ型の検出器(マルチスライス型検出器ともいう。)である。X線検出器23のX線検出素子は、X線管21から照射されたX線を検出する。
DAS24は、X線検出器23の各X線検出素子が検出する透過データの信号を増幅してデジタル信号に変換する。DAS24の出力データは、スキャナ装置11のコントローラ32を介して画像処理装置12に供給される。
回転部25は、X線管21、絞り22、X線検出器23、及びDAS24を一体として保持する。回転部25は、X線管21とX線検出器23とを対向させた状態で、X線管21、絞り22、X線検出器23、及びDAS24を一体として被検体Oの周りに回転できるように構成されている。なお、回転部25の回転中心軸と平行な方向をz軸方向、そのz軸方向に直交する平面をx軸方向、y軸方向で定義する。
高電圧電源26は、コントローラ32による制御によって、X線の照射に必要な電力をX線管21に供給する。
絞り駆動装置27は、コントローラ32による制御によって、絞り22におけるX線のスライス方向の照射範囲を調整する機構を有する。
回転駆動装置28は、コントローラ32による制御によって、回転部25がその位置関係を維持した状態で空洞部の周りを回転するように回転部25を回転させる機構を有する。
天板30は、患者Oを載置可能である。
天板駆動装置31は、コントローラ32による制御によって、天板30をy軸方向に沿って昇降動させると共に、z軸方向に沿って進入/退避動させる機構を有する。回転部25の中央部分は開口を有し、その開口部の天板30に載置された被検体Oが挿入される。
コントローラ32は、CPU(central processing unit)、及びメモリによって構成される。コントローラ32は、X線検出器23、DAS24、高電圧電源26、絞り駆動装置27、回転駆動装置28、及び天板駆動装置31等の制御を行なってスキャンを実行させる。
X線CT装置1の画像処理装置12は、コンピュータをベースとして構成されており、病院基幹のLAN(local area network)等のネットワークNと相互通信可能である。画像処理装置12は、大きくは、CPU41、メモリ42、HDD(hard disc drive)43、入力装置44、及び表示装置45等の基本的なハードウェアから構成される。CPU41は、共通信号伝送路としてのバスを介して、画像処理装置12を構成する各ハードウェア構成要素に相互接続されている。なお、画像処理装置12は、記憶媒体ドライブ46を具備する場合もある。
CPU41は、半導体で構成された電子回路が複数の端子を持つパッケージに封入されている集積回路(LSI)の構成をもつ制御装置である。医師等の操作者によって入力装置44が操作等されることにより指令が入力されると、CPU41は、メモリ42に記憶しているプログラムを実行する。又は、CPU41は、HDD43に記憶しているプログラム、ネットワークNから転送されてHDD43にインストールされたプログラム、又は記憶媒体ドライブ46に装着された記憶媒体から読み出されてHDD43にインストールされたプログラムを、メモリ42にロードして実行する。
メモリ42は、ROM(read only memory)及びRAM(random access memory)等の要素を兼ね備える構成をもつ記憶装置である。メモリ42は、IPL(initial program loading)、BIOS(basic input/output system)及びデータを記憶したり、CPU41のワークメモリやデータの一時的な記憶に用いられたりする。
HDD43は、磁性体を塗布又は蒸着した金属のディスクが着脱不能で内蔵されている構成をもつ記憶装置である。HDD43は、画像処理装置12にインストールされたプログラム(アプリケーションプログラムの他、OS(operating system)等も含まれる)や、投影データ及び画像データ等のデータを記憶する記憶装置である。また、OSに、操作者に対する情報の表示にグラフィックを多用し、基礎的な操作を入力装置44によって行なうことができるGUI(graphical user interface)を提供させることもできる。
入力装置44は、操作者によって操作が可能なポインティングデバイスであり、操作に従った入力信号がCPU41に送られる。
表示装置45は、図示しない画像合成回路、VRAM(video random access memory)、及びディスプレイ等を含んでいる。画像合成回路は、画像データに種々のパラメータの文字データ等を合成した合成データを生成する。VRAMは、合成データを、ディスプレイに表示するデータとして展開する。ディスプレイは、液晶ディスプレイやCRT(cathode ray tube)等によって構成され、展開されたデータを順次表示する。
記憶媒体ドライブ46は、記憶媒体の着脱が可能となっており、記憶媒体に記憶されたデータ(プログラムを含む)を読み出して、バス上に出力し、また、バスを介して供給されるデータを記憶媒体に書き込む。このような記憶媒体は、いわゆるパッケージソフトウエアとして提供することができる。
画像処理装置12は、スキャナ装置11のDAS24から入力された生データに対して対数変換処理や、感度補正等の補正処理(前処理)を行なって投影データを生成する。また、画像処理装置12は、前処理された投影データに対して散乱線の除去処理を行なう。画像処理装置12は、X線曝射範囲内の投影データの値に基づいて散乱線の除去を行なうものであり、散乱線補正を行なう対象の投影データ又はその隣接投影データの値の大きさから推定された散乱線を、対象となる投影データから減じて散乱線補正を行なう。画像処理装置12は、補正された投影データを再構成することで画像データを生成して記憶する。
図2は、本実施形態のX線CT装置1の機能を示すブロック図である。
画像処理装置12のCPU41がプログラムを実行することによって、X線CT装置1は、図2に示すように、プリスキャン制御部51、画像生成部52、領域設定部53、比較部54、異常報知部55、正常報知部56、造影剤注入開始受付部57、タイミング検知部58、及び本スキャン制御部59として機能する。なお、X線CT装置1の構成要素51乃至59の全部又は一部は、X線CT装置1にハードウェアとして備えられるものであってもよい。
プリスキャン制御部51は、コントローラ32を介してスキャナ装置11の動作を制御して、被検体に造影剤を注入して行なわれる本スキャン、例えばダイナミックスキャン前に、非造影で患者Oのプリスキャンを実行する機能を有する。プリスキャン制御部51は、コンベンショナルスキャン、ヘリカルスキャン、及びボリュームスキャン等を実行する。
画像生成部52は、プリスキャン制御部51の制御によるプリスキャンによってスキャナ装置11で収集されたデータを基に、N(N=1,2,…)枚のスライス(アキシャル)の非造影画像データを生成する機能を有する。N=1の場合、画像生成部52は、シングルスライスの非造影画像データを生成する。N>2の場合、画像生成部52は、マルチスライスの非造影画像データを生成する。画像生成部52によって生成された非造影画像データは、HDD43等の記憶装置に記憶される。
領域設定部53は、画像生成部52によって生成された非造影画像データを基に、リアルプレップによって造影剤の変化を計測するためのROI(関心領域:region of interest)を設定する機能を有する。例えば、領域設定部53は、表示装置45に表示される非造影画像データを見ながら入力装置44を介した操作者が入力する入力信号に基づいてROIを設定する。
また、領域設定部53は、設定されたROIとその周辺領域(スライス方向を含んでもよい)とを含み、高CT値領域が存在するかを判断するための拡大領域を設定する機能を有する。領域設定部53は、設定されたROIに基づき自動的に拡大領域を設定してもよいし、入力装置44を介した操作者が入力する入力信号に基づいて拡大領域を設定してもよい。
図3は、シングルスライスの非造影画像データを用いる拡大領域の設定方法を説明するための図である。
図3に示す非造影画像データを基に、操作者は、ROIを指定する。領域設定部53は、設定されたROI全体を含むように拡大領域を設定する。拡大領域内には、高CT値領域A1,A2が存在する。
図4は、マルチスライスの非造影画像データを用いる拡大領域の設定方法を説明するための図である。
図4は、左側のマルチスライスの非造影画像データと、右側のマルチスライスの非造影画像データを基にスタック表示される非造影画像データとを示す。スタック表示される非造影画像データは、N枚のスライスの非造影画像データの全スライスを加算平均するか、N枚のスライスの非造影画像データのうち一部スライスを加算平均するかによって生成される。図4は、スタック表示される非造影画像データが、N枚のスライスの非造影画像データの全スライスを加算平均して生成される例を示している。操作者が、スタック表示された非造影画像データを基にROIを指定すると、領域設定部53は、加算平均の対象の非造影画像データにROIをそれぞれ設定する。そして、領域設定部53は、ROI全体を含むように、ROIが設定された非造影画像データに拡大領域をそれぞれ設定する。拡大領域内には、高CT値領域A1,A2が存在する。
なお、領域設定部53は、スタック表示された非造影画像データを用いてROI及び拡大領域を設定する場合に限定されるものではない。例えば、操作者が、N枚のスライスの非造影画像データの中からn(n=1,2,…,N)枚目の非造影画像データを選択し、選択されたn枚目の非造影画像データを基にROIを指定すると、領域設定部53は、N枚のスライスの非造影画像データにROIをそれぞれ設定する。又は、操作者が、n枚目の非造影画像データを選択し、選択されたn枚目の非造影画像データを基にROIを指定すると、領域設定部53は、N枚のスライスの非造影画像データの中のn−i枚目からn+i枚目の非造影画像データにROIをそれぞれ設定する。そして、領域設定部53は、ROI全体を含むように、ROIが設定された非造影画像データに拡大領域をそれぞれ設定する。
図2に示す比較部54は、領域設定部53によって設定された拡大領域内の全てのCT値(画素値)と、高CT値領域A1,A2を除外すべく設定された第1の閾値とをそれぞれ比較することで、拡大領域内に高CT値領域が存在するか否かを判断する機能を有する。すなわち、比較部54は、ROI内にとどまらず、ROIを含む拡大領域内のCT値と第1の閾値との比較を行なう。
ここで、ROI内ではなく、拡大領域内で高CT値領域が存在するかを判断する理由は、ROIの設定時点ではROIの外側であってROI周辺に存在する高CT値領域であっても、造影剤の注入の開始後に被検体の心拍、呼吸、及び体動等によってROI内に入り込む可能性があり、本スキャンの開始タイミングを誤る可能性があるからである。
異常報知部55は、比較部54による比較の結果を基に、領域設定部53によって設定された拡大領域内に第1の閾値を超えるCT値が存在すると判断する場合、ROI内に高CT値領域が存在するか、又は造影剤の注入の開始後にROI内に高CT値領域が入る可能性があるとして、その旨(ROIの異常)を報知する機能を有する。画像生成部52によってマルチスライスの非造影画像データが生成された場合も同様に、異常報知部55は、比較部54による比較の結果を基に、領域設定部53によって設定された拡大領域内に第1の閾値を超えるCT値が存在すると判断する場合、その旨を報知する。
ROIの異常の報知は、スピーカ(図示しない)から出力されるものであってもよいし、表示装置45から出力されるものであってもよい。ROIの異常の報知が、表示装置45から出力されるものである場合、第1の閾値を超えるCT値が存在する非造影画像データの当該CT値をその大きさに応じてカラー表示することもできる。異常報知部55によってROIの異常が報知されると、原則として、領域設定部53は、画像生成部52によって生成された非造影画像データを基にROIを再設定する。
正常報知部56は、比較部54による比較の結果を基に、領域設定部53によって設定された拡大領域内に第1の閾値を超えるCT値が存在しないと判断する場合、ROI内に高CT値領域が存在せず、かつ造影剤の注入の開始後にROI内に高CT値領域が入る可能性がない(低い)として、その旨(ROIの正常)を操作者に報知する機能を有する。画像生成部52によってマルチスライスの非造影画像データが生成された場合も同様に、正常報知部56は、比較部54による比較の結果を基に、領域設定部53によって設定された拡大領域内に第1の閾値を超えるCT値が存在しないと判断する場合、その旨を報知する。なお、正常報知部56は、必須の構成要件ではない。
造影剤注入開始受付部57は、異常報知部55又は正常報知部56によって操作者にROIの異常/正常が報知されると、入力装置44を介した操作者が入力する入力信号に基づいて造影剤注入の開始指示を受け付ける機能を有する。異常報知部55によって報知された場合であっても、操作者によって本スキャンの実行が許容される場合がある。例えば、異常報知部55が、第1の閾値を超えるCT値が存在する画像データの当該CT値をその大きさに応じてカラー表示する場合、操作者は、カラー表示を見ながら入力装置44を介して、ROIの再設定に優先して造影剤注入の開始指示を行なう。
タイミング検知部58は、患者Oへの造影剤の注入が開始された後リアルプレップを開始して、領域設定部53によって設定されたROI内のCT値が予め設定される第2の閾値を超える本スキャンの開始タイミング(トリガ)を検知する機能を有する。
本スキャン制御部59は、タイミング検知部58によって本スキャンの開始タイミングが検知されると、コントローラ32を介してスキャナ装置11の動作を制御して、患者Oの本スキャンを実行する機能を有する。
画像生成部52は、本スキャン制御部59の制御による本スキャンによってスキャナ装置11で収集されたデータを基に、複数スライスの造影画像データを生成する機能を有する。画像生成部60によって生成された造影画像データは、HDD43等の記憶装置に記憶される。
続いて、本実施形態のX線CT装置1の動作について、図5に示すフローチャートを用いて説明する。
まず、X線CT装置1は、コントローラ32を介してスキャナ装置11の動作を制御して、本スキャン前に、非造影で患者Oのプリスキャンを実行する(ステップST1)。X線CT装置1は、プリスキャン制御部51の制御によるプリスキャンによってスキャナ装置11で収集されたデータを基に、N枚のスライスの非造影画像データを生成する(ステップST2)。ステップST2によって生成された非造影画像データは、HDD43等の記憶装置に記憶される。
X線CT装置1は、ステップST2によって生成された非造影画像データを基に、造影剤の変化を計測するためのROIを設定する(ステップST3)。例えば、ステップST3においてX線CT装置1は、表示装置45に表示される非造影画像データを見ながら入力装置44を介した操作者が入力する入力信号に基づいてROIを設定する。また、X線CT装置1は、ステップST3によって設定されたROIとその周辺領域とを含み、高CT値領域が存在するかを判断するための拡大領域を設定する(ステップST4)。
X線CT装置1は、ステップST4によって設定された拡大領域内の全てのCT値と、高CT値領域A1,A2を除外すべく設定された第1の閾値とをそれぞれ比較する(ステップST5)。ステップST5による比較の結果、X線CT装置1は、拡大領域内に第1の閾値を超えるCT値が存在するか否かを判断する(ステップST6)。ステップST6の判断にてYES、すなわち、X線CT装置1が、拡大領域内に第1の閾値を超えるCT値が存在すると判断する場合、ROIの異常を操作者に報知する(ステップST7)。ステップST7によってROIの異常が報知されると、X線CT装置1は、入力装置44を介した操作者が入力する入力信号に基づいてROIを再設定するか否かを判断する(ステップST8)。ステップST8の判断にてYES、すなわち、ROIを再設定すると判断する場合、X線CT装置1は、ステップST2によって生成された非造影画像データを基に、再びROIを設定する(ステップST3)。
また、ステップST6の判断にてNO、すなわち、X線CT装置1が、拡大領域内に第1の閾値を超えるCT値が存在しないと判断する場合、ROIの正常を操作者に報知する(ステップST9)。なお、ステップST9は、必須のステップではない。
ステップST8の判断にてNO、すなわち、ROIを再設定しないと判断する場合、又は、ステップST9の後、X線CT装置1は、入力装置44を介した操作者が入力する入力信号に基づいて造影剤注入の開始指示を受け付ける(ステップST10)。X線CT装置1が、ステップST10によって造影剤注入の開始指示が受け付けると、患者Oへの造影剤の注入が開始される。
X線CT装置1は、患者Oに造影剤が注入された後、リアルプレップを開始する(ステップST11)。X線CT装置1は、ステップST3によって設定されたROI内のCT値が予め設定された第2の閾値を超える本スキャンの開始タイミングを検知する(ステップST12)。X線CT装置1は、ステップST12によって本スキャンの開始タイミングを検知すると、コントローラ32を介してスキャナ装置11の動作を制御して、患者Oの本スキャンを実行する(ステップST13)。
X線CT装置1は、ステップST13の本スキャンによってスキャナ装置11で収集されたデータを基に、複数スライスの造影画像データを生成する(ステップST14)。ステップST14によって生成された造影画像データは、HDD43等の記憶装置に記憶される。
本実施形態のX線CT装置1によると、非造影画像データを基にROI内ではなくROIとその周辺領域とを含む拡大領域内で高CT値領域の存在を判断するので、造影剤の注入の開始後に患者Oの心拍、呼吸、及び体動があっても、本スキャンの開始タイミングを正確に精度よく検知することができる。
なお、本実施形態のX線CT装置1は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、本実施形態のX線CT装置1に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
1 X線CT装置
11 スキャナ装置
12 画像処理装置
32 コントローラ
41 CPU
51 プリスキャン制御部
52 画像生成部
53 領域設定部
54 比較部
55 異常報知部
56 正常報知部
57 造影剤注入開始受付部
58 タイミング検知部
59 本スキャン制御部

Claims (7)

  1. X線源及びX線検出器によって構成され、被検体のデータを収集するスキャン手段と、
    前記スキャン手段の動作を制御して、造影剤注入後の本スキャンの前に非造影でプリスキャンを実行するプリスキャン制御手段と、
    前記プリスキャンを基に前記被検体の非造影画像データを生成する画像生成手段と、
    前記非造影画像データを基に前記造影剤の変化を計測するための関心領域と、前記関心領域とその周辺領域とを含み、高画素値領域が存在するかを判断するための拡大領域とを設定する領域設定手段と、
    前記拡大領域内の画素値と第1の閾値とを比較する比較手段と、
    前記比較の結果を基に前記拡大領域内に前記第1の閾値を超える画素値が存在すると判断する場合、その旨を報知する報知手段と、
    前記比較の結果を基に前記拡大領域内に前記第1の閾値を超える画素値が存在しないと判断する場合、前記造影剤の注入が開始された後、前記関心領域内の画素値が第2の閾値を超える本スキャンの開始タイミングを検知するタイミング検知手段と、
    前記本スキャンの開始タイミングが検知されると、前記スキャン手段の動作を制御して、前記本スキャンを実行する本スキャン制御手段と、を有し、
    前記画像生成手段は、前記本スキャンを基に前記被検体の造影画像データを生成することを特徴とするX線CT装置。
  2. 前記報知手段は、前記比較の結果を基に前記拡大領域内に前記第1の閾値を超える画素値が存在しないと判断する場合、その旨を報知することを特徴とする請求項1に記載のX線CT装置。
  3. 前記比較の結果を基に前記拡大領域内に前記第1の閾値を超える画素値が存在すると判断する場合、前記第1の閾値を超える画素値が存在する非造影画像データの画素値をその大きさに応じてカラー表示する表示手段と、
    前記カラー表示の後、前記本スキャンの開始タイミングの検知指示を前記タイミング検知手段に与えるために、操作者によって入力可能な入力手段と、
    をさらに有することを特徴とする請求項1又は2に記載のX線CT装置。
  4. 前記画像生成手段によってマルチスライスの非造影画像データが生成される場合、全スライスの非造影画像データをスタック表示する表示手段と、
    前記スタック表示された非造影画像データに前記関心領域を指定する入力手段と、をさらに有し、
    前記領域設定手段は、前記全スライスの非造影画像データに前記指定された関心領域をそれぞれ設定し、前記設定された関心領域全体を含むように、前記全スライスの非造影画像データに前記拡大領域をそれぞれ設定することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載のX線CT装置。
  5. 前記画像生成手段によってマルチスライスの非造影画像データが生成される場合、前記マルチスライスの非造影画像データのうちの一部スライスの非造影画像データをスタック表示する表示手段と、
    前記スタック表示された非造影画像データに前記関心領域を指定する入力手段と、をさらに有し、
    前記領域設定手段は、前記一部スライスの非造影画像データに前記指定された関心領域をそれぞれ設定し、前記設定された関心領域全体を含むように、前記一部スライスの非造影画像データに前記拡大領域をそれぞれ設定することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載のX線CT装置。
  6. 前記画像生成手段によってマルチスライスの非造影画像データが生成される場合、前記マルチスライスの非造影画像データから1枚の非造影画像データを選択し、前記選択された非造影画像データを表示する表示手段と、
    前記表示された非造影画像データに前記関心領域を指定する入力手段と、をさらに有し、
    前記領域設定手段は、全スライスの非造影画像データに前記指定された関心領域それぞれを設定し、前記設定された関心領域全体を含むように、前記全スライスの非造影画像データに前記拡大領域をそれぞれ設定することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載のX線CT装置。
  7. 前記画像生成手段によってマルチスライスの非造影画像データが生成される場合、前記マルチスライスの非造影画像データから1枚の非造影画像データを選択し、前記選択された非造影画像データを表示する表示手段と、
    前記表示された非造影画像データに前記関心領域を指定する入力手段と、をさらに有し、
    前記領域設定手段は、前記マルチスライスの非造影画像データのうち前記選択された非造影画像データを中心とする一部スライスの非造影画像データに前記指定された関心領域それぞれを設定し、前記設定された関心領域全体を含むように、前記一部スライスの非造影画像データに前記拡大領域をそれぞれ設定することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載のX線CT装置。
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