JP2012114180A - 光電変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光電変換装置における出力および発電効率の低下が低減される。
【解決手段】光電変換装置が、離隔した第1電極層と第2電極層を基板上に備える。上記光電変換装置は、第1半導体層と第1透明導電層が順に積まれた第1積層部を第1電極層上に備え、第1半導体層から離れた第2半導体層と第2透明導電層が順に積まれた第2積層部を第2電極層上に備える。上記光電変換装置は、第2積層部から分離領域を介して離隔した、第3半導体層と第3透明導電層が順に積まれた第3積層部を第2電極層上に備える。上記光電変換装置は、第1半導体層と第2半導体層との間隙を介して第2電極層に電気的に接続された第1線状導電部を第1積層部上から第2積層部上にかけて備え、1以上の第2線状導電部を第3積層部上に備える。第1線状導電部と、1以上の第2線状導電部のうちの第1線状導電部に最接近したものとの距離は、第2積層部と第3積層部との距離よりも大きい。
【選択図】図1

Description

本発明は、光電変換装置に関する。
太陽光発電等に使用される光電変換装置として、絶縁体の基板上に複数の光電変換体が設けられたものがある。光電変換体は、例えば、第1電極層と、半導体層と、第2電極層とがこの順に積層されている。そして、第1電極層および第2電極層のうちの一方が透明電極層であれば、半導体層への光の照射が可能である。更に、隣り合う光電変換体が電気的に直列に接続されることで、光電変換装置から出力される電圧が高められ得る。
このような光電変換装置には、変換効率の向上が要求される。この変換効率が向上する観点から、例えば、光電変換装置において光電変換に寄与する部分が占める割合の向上、隣り合う光電変換体を接続する部分における電気抵抗の低減、および透明な電極層における電気抵抗の低減等が図られることが好ましい。
そこで、光電変換体の第1電極層(または第2電極層)から延伸する接触グリッドを隣の光電変換体の第2電極層(または第1電極層)に接続することで、隣り合う光電変換体が電気的に直列に接続される技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特開平6−13637号公報
ところで、上記特許文献1で提案された光電変換装置では、第1電極層または第2電極層の一方に相当する透明電極層が薄くなれば、該透明電極層における光の透過率が高まるが、該透明電極層における電気抵抗が増大しまう。
そこで、透明電極層における導電性を補うために線状の導電体が該透明電極層の上に設けられれば、透明電極層の薄膜化による変換効率の向上が可能になるものと考えられる。
さらに、1つの光電変換装置における光電変換体の割合を増やせば、変換効率を向上させることができる。しかしながら、隣り合う光電変換体の間隙が狭められると、この間隙を挟む線状の導電体どうしの間でマイグレーションが発生し得る。その結果、光電変換装置の出力および変換効率の低下が生じ得る。
そこで、出力および変換効率が低下し難い光電変換装置が望まれている。
上記課題を解決するために、第1の態様に係る光電変換装置は、基板の上に設けられた第1電極層と、前記基板の上に設けられた、前記第1電極層から離隔している第2電極層と、を備えている。上記光電変換装置では、前記第1電極層の上に設けられた、第1半導体層および第1透明導電層が順に積層されている第1積層部と、前記第2電極層の上に設けられた、前記第1半導体層から離隔している第2半導体層および第2透明導電層が順に積層されている第2積層部と、を備えている。上記光電変換装置では、前記第2電極層の上に設けられ、かつ前記第2積層部から分離領域を介して離隔している、第3半導体層および第3透明導電層が順に積層されている第3積層部を備えている。上記光電変換装置では、前記第1積層部の上から前記第2積層部の上にかけて設けられた、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間の間隙部を介して前記第2電極層に電気的に接続されている第1線状導電部と、前記第3積層部の上に設けられている1以上の第2線状導電部とを備えている。上記光電変換装置では、前記第1線状導電部と、前記1以上の第2線状導電部のうちの前記第1線状導電部に最も接近しているものとの離隔距離は、前記第2積層部と前記第3積層部との離隔距離よりも大きい。
第2の態様に係る光電変換装置は、基板の上に設けられた第1電極層と、前記基板の上に設けられた、前記第1電極層から離隔している第2電極層と、を備えている。上記光電変換装置では、前記第1電極層の上から前記第2電極層の上にかけて設けられた、第1半導体層および第1透明導電層が順に積層されている第1積層部と、前記第2電極層の上に設けられ、かつ前記第1積層部から分離領域を介して離隔している、第2半導体層および第2透明導電層が順に積層されている第2積層部と、を備えている。上記光電変換装置では、前記第1積層部の上に設けられているとともに、前記第1半導体層の間隙部を介して前記第2電極層に電気的に接続されている第1線状導電部と、前記第2積層部の上に設けられている1以上の第2線状導電部と、を備えている。上記光電変換装置では、前記第1線状導電部と、前記1以上の第2線状導電部のうちの前記第1線状導電部に最も接近しているものとの離隔距離は、前記第1積層部と前記第2積層部との離隔距離よりも大きい。
本発明によれば、隣り合う光電変換セルの間におけるマイグレーションの発生を低減できる。その結果、光電変換装置における出力および発電効率の低下を小さくできる。
一実施形態に係る光電変換装置の構成を模式的に示す上面図である。 図1にて一点鎖線II−IIで示した位置におけるXZ断面図である。 図1にて二点鎖線III−IIIで示した位置におけるXZ断面図である。 図1にて略矩形状の破線で囲まれた領域を模式的に示す上面図である。 一実施形態に係る光電変換装置の製造途中の様子を示すXZ断面図である。 一実施形態に係る光電変換装置の製造途中の様子を示すXZ断面図である。 一実施形態に係る光電変換装置の製造途中の様子を示すXZ断面図である。 一実施形態に係る光電変換装置の製造途中の様子を示すXZ断面図である。 一実施形態に係る光電変換装置の製造途中の様子を示すXZ断面図である。 一実施形態に係る光電変換装置の製造途中の様子を示すXZ断面図である。 スクリーン印刷用のスクリーン版のパターンを例示する図である。 第1変形例に係る光電変換装置の構成を模式的に示す上面図である。 第2変形例に係る光電変換装置の構成を模式的に示す上面図である。 第3変形例に係る光電変換装置の構成を模式的に示す上面図である。 第4変形例に係る光電変換装置の構成を模式的に示す上面図である。 第5変形例に係る光電変換装置の構成を模式的に示す上面図である。 第6変形例に係る光電変換装置の構成を模式的に示す上面図である。 図17にて一点鎖線XVIII−XVIIIで示した位置におけるXZ断面図である。 図17にて二点鎖線XIX−XIXで示した位置におけるXZ断面図である。 図17にて略矩形状の破線で囲まれた領域を模式的に示す上面図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図面においては同様な構成および機能を有する部分については同じ符号が付されており、下記説明では重複説明が省略される。また、図面は模式的に示されたものであり、各図における各種構造のサイズおよび位置関係等は正確に図示されたものではない。なお、図1から図10および図12から図20には、光電変換セル10の配列方向(図1の図面視左右方向)をX軸方向とする右手系のXYZ座標系が付されている。
<(1)光電変換装置の構成>
<(1−1)光電変換装置の概略構成>
光電変換装置100は、基板1と、該基板1の上に平面的に並べられた複数の光電変換セル10とを備えている。隣り合う光電変換セル10は溝部P3によって分離されている。図1では、図示の都合上、3つの光電変換セル10の一部のみが示されている。但し、光電変換装置100には、図面の左右方向に、多数(例えば、8個)の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配列されていても良い。そして、例えば、各光電変換セル10の上面の形状が概ね長方形であり、光電変換装置100の上面の形状が概ね正方形である態様が挙げられる。なお、例えば、光電変換装置100のX軸方向の両端部には、発電による電圧および電流を得るための電極が設けられ得る。
光電変換装置100には、例えば、多数の光電変換セル10がマトリックス状に配置されていても良い。また、各光電変換セル10の上面の形状は概ね長方形である必要はなく、その他の形状であっても良い。更に、光電変換装置100の上面の形状は概ね正方形である必要はなく、その他の形状であっても良い。但し、光電変換装置100では、多数の光電変換セル10が高密度に平面的に配置されていれば、変換効率が向上する。
この変換効率は、光電変換装置100において太陽光のエネルギーが電気エネルギーに変換される割合を示す。例えば、変換効率は、光電変換装置100から出力される電気エネルギーの値が、光電変換装置100に入射される太陽光のエネルギーの値で除されて、100が乗じられることで導出され得る。
そして、本実施形態に係る光電変換装置100では、隣り合う光電変換セル10の間で、グリッド電極部5どうしが溝部P3を挟んで一直線上に設けられることなく、グリッド電極部5どうしが相互にずれた位置に配置されている。これにより、隣り合う光電変換セル10の間において、グリッド電極部5どうしの間隔が拡がるため、グリッド電極部5どうしの間におけるマイグレーションの発生が低減される。その結果、光電変換装置100における出力および発電効率の低下が小さくなる。
<(1−2)光電変換セルの基本的な構成>
各光電変換セル10は、下部電極層2、光電変換層3、上部電極層4、およびグリッド電極部5を備えている。また、各光電変換セル10には、溝部P1と溝部P2とが設けられている。そして、光電変換装置100では、上部電極層4およびグリッド電極部5が設けられた側の主面が受光面となっている。
基板1は、複数の光電変換セル10を支持するものである。基板1に含まれる主な材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂、および金属等が挙げられる。ここでは、基板1が、1mm以上で且つ3mm以下程度の厚さを有する青板ガラス(ソーダライムガラス)であるものとする。
下部電極層2は、基板1の+Z側の主面(一主面とも言う)の上に設けられた導電層である。下部電極層2に含まれる主な材料には、例えば、モリブデン、アルミニウム、チタン、タンタル、および金等の導電性を有する各種金属等が採用され得る。また、下部電極層2の厚さは、例えば、0.2μm以上で且つ1μm以下程度である。下部電極層2は、例えば、スパッタリング法または蒸着法等の公知の薄膜形成方法によって形成され得る。
光電変換層3は、光吸収層31とバッファ層32とが順に積層された構成を有している。光吸収層31は、主に半導体を含む層(下部半導体層とも言う)であり、バッファ層32も、主に半導体を含む層(上部半導体層とも言う)である。このため、光電変換層3は、下部半導体層と上部半導体層とを含む層(半導体層とも言う)である。
光吸収層31は、下部電極層2の+Z側の主面(一主面とも言う)の上に設けられており、第1導電型(ここではp型の導電型)を有する半導体を主に含む。光吸収層31の厚さは、例えば、1μm以上で且つ3μm以下程度である。また、光吸収層31は、例えば、I−III−VI族化合物を主に含む半導体である。これにより、光吸収層31の薄層化が可能となり、少ない材料で安価に変換効率が高められ得る。
ここで、I−III−VI族化合物としては、I−B族元素(11族元素とも言う)とIII−B族元素(13族元素とも言う)とVI−B族元素(16族元素とも言う)とを主に含む化合物である。I−III−VI族化合物としては、例えば、CuInSe2(二セレン化銅インジウム、CISとも言う)、Cu(In,Ga)Se2(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSとも言う)、およびCu(In,Ga)(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSとも言う)等の材料が採用され得る。ここでは、光吸収層31が、CIGSを主に含むものとする。
なお、光吸収層31は、例えば、二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウムを主に含む薄膜を表面層として有する二セレン化銅インジウム・ガリウム等の多元化合物半導体の薄膜であっても良い。また、光吸収層31は、例えば、II−VI族化合物半導体を主に含む半導体であっても良い。II−VI族化合物半導体は、II−VI族化合物を主に含む半導体である。II−VI族化合物は、II−B族(12族元素ともいう)とVI−B族元素とを主に含む化合物である。但し、光吸収層31が、I−III−VI化合物半導体を主に含んでいれば、光電変換層3における光電変換の効率(光電変換効率とも言う)が高められ得る。
光吸収層31は、スパッタリング法、蒸着法等といった真空プロセスによって形成され得る。また、光吸収層31は、塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスによっても形成され得る。塗布法あるいは印刷法では、例えば、光吸収層31に主として含まれる元素の錯体溶液が下部電極層2の上に塗布され、その後、乾燥および熱処理が行われる。この塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスが用いられることで、光電変換装置100の製造にかかるコストが低減され得る。
バッファ層32は、光吸収層31の+Z側の主面(一主面とも言う)の上に設けられており、光吸収層31の第1導電型とは異なる第2導電型(ここではn型の導電型)を有する半導体を主に含む。なお、導電型が異なる半導体とは、伝導担体(キャリア)が異なる半導体である。また、光吸収層31の導電型がn型であり、バッファ層32の導電型がp型であっても良い。ここでは、バッファ層32と光吸収層31との間にヘテロ接合領域が形成されている。このため、光電変換セル10では、ヘテロ接合領域を形成する光吸収層31とバッファ層32とにおいて光電変換が生じ得る。
バッファ層32は、化合物半導体を主に含む。バッファ層32に含まれる化合物半導体としては、例えば、硫化カドミウム(CdS)、硫化インジウム(In23)、硫化亜鉛(ZnS)、酸化亜鉛(ZnO)、セレン化インジウム(In2Se3)、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)O等が採用され得る。そして、バッファ層32が1Ω・cm以上の抵抗率を有していれば、リーク電流の発生が低減され得る。なお、バッファ層32は、例えば、ケミカルバスデポジション(CBD)法等によって形成され得る。
また、バッファ層32は、光吸収層31の一主面の法線方向に厚さを有する。この厚さは、例えば、10nm以上で且つ200nm以下に設定される。バッファ層32の厚さが100nm以上で且つ200nm以下であれば、バッファ層32の上に上部電極層4がスパッタリング法等で形成される際に、バッファ層32においてダメージが生じ難くなる。
上部電極層4は、バッファ層32の+Z側の主面(一主面とも言う)の上に設けられており、例えば、n型の導電型を有する透明の導電層(透明導電層とも言う)である。この上部電極層4は、光電変換層3において生じた電荷を取り出す電極(取出電極とも言う)として働く。上部電極層4は、バッファ層32よりも低い抵抗率を有する材料を主に含む。上部電極層4には、いわゆる窓層と呼ばれるものが含まれても良いし、窓層と透明導電層とが含まれても良い。
上部電極層4は、禁制帯幅が広く且つ透明で低抵抗の材料を主に含んでいる。このような材料としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO)、酸化亜鉛の化合物、錫が含まれた酸化インジウム(ITO)、および酸化錫(SnO2)等の金属酸化物半導体等が採用され得る。酸化亜鉛の化合物は、アルミニウム、ボロン、ガリウム、インジウム、およびフッ素のうちの何れか1つの元素等が含まれたものである。
上部電極層4は、スパッタリング法、蒸着法、または化学的気相成長(CVD)法等によって形成され得る。上部電極層4の厚さは、例えば、0.05μm以上で且つ3.0μm以下である。ここで、上部電極層4が、1Ω・cm未満の抵抗率と、50Ω/□以下のシート抵抗とを有していれば、上部電極層4を介して光電変換層3から電荷が良好に取り出され得る。
バッファ層32および上部電極層4が、光吸収層31が吸収し得る光の波長帯域に対して、光を透過させ易い性質(光透過性とも言う)を有していれば、光吸収層31における光の吸収効率の低下が低減され得る。また、上部電極層4の厚さが0.05μm以上で且つ0.5μm以下であれば、上部電極層4における光透過性が高められると同時に、光電変換によって生じた電流が良好に伝送され得る。更に、上部電極層4の絶対屈折率とバッファ層32の絶対屈折率とが略同一であれば、上部電極層4とバッファ層32との界面で光が反射することで生じる入射光のロスが低減され得る。
グリッド電極部5は、上部電極層4の+Z側の主面(一主面とも言う)の上に設けられている線状の電極部(線状電極部とも言う)である。また、グリッド電極部5は、溝部P2を通って隣の光電変換セル10から延伸されている下部電極層2に接続する垂下部を有している。これにより、隣り合う光電変換セル10の間で、一方の光電変換セル10の上部電極層4と、他方の光電変換セル10の下部電極層2とが、グリッド電極部5によって電気的に直列に接続されている。そして、上部電極層4によって集められた電荷は、グリッド電極部5によって更に集められ、隣の光電変換セル10に伝達され得る。
このグリッド電極部5が設けられることで、上部電極層4における導電性が補われるため、上部電極層4の薄層化が可能となる。その結果、電荷の取り出し効率の確保と、上部電極層4における光透過性の向上とが両立し得る。なお、グリッド電極部5が、例えば、銀等の導電性が優れた金属を主に含んでいれば、光電変換装置100における変換効率が向上し得る。また、グリッド電極部5に含まれる金属としては、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル等であってもよい。
上部電極層4の一主面上におけるグリッド電極部5の幅が、50μm以上で且つ400μm以下であれば、隣接する光電変換セル10の間における良好な導電が確保されつつ、光吸収層31への光の入射量の低下が低減され得る。1つの光電変換セル10に複数のグリッド電極部5が設けられる場合には、該複数のグリッド電極部5の間隔は、例えば、2.5mm程度であれば良い。
なお、グリッド電極部5の表面が、光吸収層31が吸収し得る波長領域の光を反射する性質を有していれば、光電変換装置100がモジュール化された際に、グリッド電極部5の表面で反射した光が、モジュール内で再び反射して光吸収層31に入射し得る。これにより、光電変換装置100における変換効率が向上し得る。このような表面が形成されるためには、例えば、透光性の樹脂に光反射率の高い銀等の金属粒子が添加されたペーストが上部電極層4の一主面上に塗布され、その後の乾燥によって該ペーストが固化されることでグリッド電極部5が形成されれば良い。また、例えば、アルミニウム等の光反射率の高い金属がグリッド電極部5の表面に蒸着されても良い。
<(1−3)溝部の配置とその役割>
溝部P1は、Y軸方向に直線状に延在している。このような溝部P1が1以上設けられることで、複数の下部電極層2がX軸方向に分離されている。図2では、左側の第1電極層としての第1下部電極層2a、中央の第2電極層としての第2下部電極層2b、右側の第3電極層としての第3下部電極層2c、といった3以上の下部電極層2が示されている。そして、溝部P1の延在によって、第1下部電極層2aと第2下部電極層2bとが離隔し、第2下部電極層2bと第3下部電極層2cとが離隔している。なお、3以上の下部電極層2は相互に、平面的に配置されている。
また、溝部P1には、直上に設けられた光吸収層31の延在部分が埋入している。これにより、隣り合う一方の光電変換セル10の下部電極層2と、他方の光電変換セル10の下部電極層2との間が、電気的に分離されている。例えば、第1下部電極層2aと第2下部電極層2bとが電気的に分離され、第2下部電極層2bと第3下部電極層2cとが電気的に分離されている。溝部P1の幅は、例えば、グリッド電極部5の幅と同程度の50μm以上で且つ400μm以下程度であれば良い。
溝部P2は、上部電極層4の一主面から下部電極層2の上面に至るまで設けられており、Y軸方向に直線状に延在している。このため、溝部P2は、1つの光電変換セル内において、光電変換層3および上部電極層4をX軸方向にそれぞれ分離している。溝部P2には、グリッド電極部5の垂下部が設けられ、該グリッド電極部5が隣接する光電変換セル10の下部電極層2と電気的に接続されている。すなわち、グリッド電極部5は、間隙部としての溝部P2を介して下部電極層2と電気的に接続されている。また、溝部P2のうちのグリッド電極部5の垂下部が設けられていない領域には、光電変換装置100がモジュール化される際に、樹脂等の絶縁材料が入り込む。
溝部P3は、光電変換セル10の上面から下部電極層2の上面に至るまで設けられており、隣り合う光電変換セル10の両端部間においてY軸方向に延在している。溝部P3の幅は、例えば、40μm以上で且つ1000μm以下程度であれば良い。
図1から図3には、3つの光電変換セル10が配列されている様子が例示されている。図中の左側の第1光電変換セル10aと図中の中央の第2光電変換セル10bとの間に溝部P3が設けられ、該第2光電変換セル10bと図中の右側の第3光電変換セル10cとの間に溝部P3が設けられている。
そして、第1光電変換セル10aと第2光電変換セル10bとの間に延在する溝部P3は、第1光電変換セル10aと第2光電変換セル10bとを分離する領域(分離領域とも言う)となる。また、第2光電変換セル10bと第3光電変換セル10cとの間に延在する溝部P3は、第2光電変換セル10bと第3光電変換セル10cとを分離する分離領域となる。なお、各溝部P3には、光電変換装置100がモジュール化される際に、樹脂等の絶縁材料が入り込む。
<(1−4)各光電変換セルにおける積層構造>
各光電変換セル10には、光電変換層3と上部電極層4とがこの順に積層されている積層部43が形成されている。
例えば、図1から図3で示されるように、第1光電変換セル10aには、第1積層部43a1と第2積層部43a2とが間隙部としての溝部P2を挟んで平面的に配置されている。第1積層部43a1は、第1下部電極層2aの上から第2下部電極層2bの上にかけて設けられている。第1積層部43a1には、第1半導体層としての光電変換層3と第1透明導電層としての上部電極層4とが順に積層されている。また、第2積層部43a2は、第2下部電極層2bの上に設けられている。第2積層部43a2には、第2半導体層としての光電変換層3と第2透明導電層としての上部電極層4とが順に積層されている。
第2光電変換セル10bには、第3積層部43b1と第4積層部43b2とが間隙部としての溝部P2を挟んで平面的に配置されている。第3積層部43b1は、第2下部電極層2bの上から第3下部電極層2cの上にかけて設けられている。第3積層部43b1には、第3半導体層としての光電変換層3と第3透明導電層としての上部電極層4とが順に積層されている。また、第4積層部43b2は、第3下部電極層2cの上に設けられている。第4積層部43b2には、第4半導体層としての光電変換層3と第4透明導電層としての上部電極層4とが順に積層されている。
第3光電変換セル10cには、第5積層部43c1が配置されている。第5積層部43c1は、第3下部電極層2cの上に設けられている。第5積層部43c1には、第5半導体層としての光電変換層3と第5透明導電層としての上部電極層4とが順に積層されている。
なお、本実施形態において、第1積層部43a1は、第1下部電極層2aの上から第2下部電極層2bの上にかけて配置されているが、これに限られない。例えば、第1光電変換セル10aの各グリッド電極部5と第1下部電極層2aとが電気的に接続されないように、第1積層部43a1は、第1下部電極層2aの上から溝部P1の内部に至るまで設けられれば良い。詳細には、第1半導体としての光電変換層3が、第1下部電極層2aの上から溝部P1の内部に至るまで設けられれば良い。
また、本実施形態において、第3積層部43b1は、第2下部電極層2bの上から第3下部電極層2cの上にかけて配置されているが、これに限られない。例えば、第2光電変換セル10bの各グリッド電極部5と第2下部電極層2bとが電気的に接続されないように、第3積層部43b1は、第2下部電極層2bの上から溝部P1の内部に至るまで設けられれば良い。詳細には、第3半導体としての光電変換層3が、第2下部電極層2bの上から溝部P1の内部に至るまで設けられれば良い。
<(1−5)隣り合う光電変換セルにおける積層構造>
図1から図3で示されるように、第2積層部43a2と第3積層部43b1とが溝部P3を挟んで平面的に配置されている。つまり、第2半導体層としての光電変換層3と第3半導体層としての光電変換層3とが溝部P3を挟んで平面的に配置され、第2透明導電層としての上部電極層4と第3透明導電層としての上部電極層4とが溝部P3を挟んで平面的に配置されている。
また、第4積層部43b2と第5積層部43c1とが溝部P3を挟んで平面的に配置されている。つまり、第4半導体層としての光電変換層3と第5半導体層としての光電変換層3とが溝部P3を挟んで平面的に配置され、第4透明導電層としての上部電極層4と第5透明導電層としての上部電極層4とが溝部P3を挟んで平面的に配置されている。
<(1−6)グリッド電極部の配置>
第1光電変換セル10aでは、第1積層部43a1の上から第2積層部43a2の上にかけて複数のグリッド電極部5が設けられている。そして、第1光電変換セル10aの各グリッド電極部5は、溝部P2を介して第2下部電極層2bに電気的にそれぞれ接続されている。図1から図3では、第1光電変換セル10aに3本の第1線状導電部としてのグリッド電極部5a1,5a2,5a3が図中の下から順に設けられている様子が示されている。
このように、第1光電変換セル10aの上部電極層4と、第2光電変換セル10bから延伸される第2下部電極層2bとが電気的に接続されることで、第1光電変換セル10aと第2光電変換セル10bとが電気的に直列に接続される。そして、第1光電変換セル10aのうち、第1積層部43a1が設けられた領域が、第1下部電極層2aと上部電極層4とによって光電変換層3が挟まれており、発電に寄与する領域(発電寄与領域とも言う)となっている。また、第2積層部43a2が設けられた領域が、第1下部電極層2aと上部電極層4とによって光電変換層3が挟まれておらず、発電に寄与しない領域(非発電寄与領域とも言う)となっている。
第2光電変換セル10bでは、第3積層部43b1の上から第4積層部43b2の上にかけて複数のグリッド電極部5が設けられている。そして、第2光電変換セル10bの各グリッド電極部5は、溝部P2を介して第3下部電極層2cに電気的にそれぞれ接続されている。図1から図3では、第2光電変換セル10bに2本の第2線状導電部としてのグリッド電極部5b1,5b2が図中の下から順に設けられている様子が示されている。
このように、第2光電変換セル10bの上部電極層4と、第3光電変換セル10cから延伸される第3下部電極層2cとが電気的に接続されることで、第2光電変換セル10bと第3光電変換セル10cとが電気的に直列に接続される。そして、第2光電変換セル10bのうち、第3積層部43b1が設けられた領域が、第2下部電極層2bと上部電極層4とによって光電変換層3が挟まれており、発電に寄与する発電寄与領域となっている。また、第4積層部43b2が設けられた領域が、第2下部電極層2bと上部電極層4とによって光電変換層3が挟まれておらず、発電に寄与しない非発電寄与領域となっている。
第3光電変換セル10cでは、第5積層部43c1の上に複数のグリッド電極部5が設けられている。図1から図3では、第3光電変換セル10cに3本の第3線状導電部としてのグリッド電極部5c1,5c2,5c3が図中の下から順に設けられている様子が示されている。
なお、本実施形態では、各光電変換セル10に複数のグリッド電極部5が設けられたが、これに限られず、例えば、各光電変換セル10には、1以上の任意の数のグリッド電極部5が設けられれば良い。
図4は、図1において略矩形状の破線F4で囲まれた領域を模式的に示す上面図である。図4で示されるように、第1光電変換セル10aの各グリッド電極部5を該グリッド電極部5の延在方向に仮想的に延長した延長線上に位置する領域AR5からY軸方向にずれた領域に、第2光電変換セル10bの各グリッド電極部5が配置されている。
例えば、各光電変換セル10において、隣り合う一方のグリッド電極部5の中心線と他方のグリッド電極部5の中心線との間におけるY軸方向の離隔距離がD1とされている。そして、例えば、隣り合う光電変換セル10の間で、グリッド電極部5の配設位置のY軸方向におけるずれ量がD1/2とされている。
この場合、第1光電変換セル10aのグリッド電極部5と第2光電変換セル10bのグリッド電極部5との離隔距離DT1は、溝部P3を挟む第2積層部43a2と第3積層部43b1との離隔距離W1よりも大きい。例えば、第1光電変換セル10aのグリッド電極部5a1と、第2光電変換セル10bの1以上(ここでは、複数)のグリッド電極部5のうちのグリッド電極部5a1に最も接近しているグリッド電極部5b1との離隔距離DT1が、離隔距離W1よりも大きい。なお、離隔距離W1は、溝部P3の幅にも相当し、第1光電変換セル10aと第2光電変換セル10bとの離隔距離にも相当する。
また、第2光電変換セル10bのグリッド電極部5と第3光電変換セル10cのグリッド電極部5との離隔距離は、溝部P3を挟む第4積層部43b2と第5積層部43c1との離隔距離よりも大きい。例えば、第2光電変換セル10bのグリッド電極部5b1と、第3光電変換セル10cの1以上(ここでは、複数)のグリッド電極部5のうちのグリッド電極部5b1に最も接近しているグリッド電極部5c1,5c2との離隔距離DT1が、離隔距離W1よりも大きい。なお、離隔距離W1は、第2光電変換セル10bと第3光電変換セル10cとの離隔距離にも相当する。
このように、隣り合う光電変換セル10の間においてグリッド電極部5どうしの離隔距離が大きくなれば、隣り合う光電変換セル10の間においてグリッド電極部5どうしの間におけるマイグレーションが発生し難くなる。その結果、光電変換装置100における出力および発電効率の低下が低減される。
なお、当該効果が得られるためには、隣り合う光電変換セル10の間で、グリッド電極部5の配設位置が、Y軸方向にずれていれば良い。例えば、第2光電変換セル10bの各グリッド電極部5のうちの溝部P3に最も接近している端部が、第1光電変換セル10aの各グリッド電極部5のうちの溝部P3に最も近接している端部から溝部P3の幅方向に延伸される仮想線上からずれた位置に配置されれば良い。また、第3光電変換セル10cの各グリッド電極部5のうちの溝部P3に最も接近している端部が、第2光電変換セル10bの各グリッド電極部5のうちの溝部P3に最も近接している端部から溝部P3の幅方向に延伸される仮想線上からずれた位置に配置されれば良い。なお、溝部P3の幅方向は、溝部P3の延在方向と直交する方向である。
<(2)光電変換装置の製造プロセス>
ここで、上記構成を有する光電変換装置100の製造プロセスの一例について説明する。以下では、I−III−VI族化合物半導体を主に含む光吸収層31が塗布法あるいは印刷法が用いられて形成され、更にバッファ層32が形成される場合を例として説明する。図5から図10は、光電変換装置100の製造途中の様子を模式的に示すXZ断面図である。
<(2−1)下部電極層2の形成>
まず、図5で示されるように、洗浄された基板1の略全面に、スパッタリング法等が用いられて、Mo等を主に含む下部電極層2が形成される。
<(2−2)溝部P1の形成>
次に、下部電極層2の上面のうちの所定の形成対象位置からその直下の基板1の上面にかけて、直線状の溝部P1が形成される。図6は、溝部P1が形成された後の状態を示す図である。溝部P1は、例えば、YAGレーザーまたはその他のレーザー光が走査されつつ所定の形成対象位置に照射されることで形成され得る。
<(2−3)光電変換層3の形成>
次に、下部電極層2の上に、光吸収層31とバッファ層32とが順次に形成されることで、光電変換層3が形成される。図7は、光電変換層3が形成された後の状態を示す図である。
ここで、光吸収層31は、所定の溶液が、下部電極層2の表面に塗布された後に、乾燥および熱処理が順に施されることで形成される。この所定の溶液は、例えば、カルコゲン元素含有有機化合物と塩基性有機溶剤とを含む溶媒(混合溶媒とも言う)に、I−B族金属とIII−B族金属とが直接溶かされることで作製される。この所定の溶液では、例えば、I−B族金属とIII−B族金属との合計濃度が10wt%以上となり得る。所定の溶液を塗布する方法としては、スピンコータ、スクリーン印刷、ディッピング、スプレー、およびダイコータ等の種々の手法が採用され得る。
なお、カルコゲン元素含有有機化合物とは、カルコゲン元素を含む有機化合物である。カルコゲン元素は、VI−B族元素のうちの硫黄、セレン、テルルである。カルコゲン元素含有有機化合物としては、例えば、チオール、スルフィド、ジスルフィド、セレノール、セレニド、ジセレニド等が採用され得る。
例えば、光吸収層31の一形成方法として、主に下記工程(i)〜(iii)が順に行われる形成方法が採用され得る。(i)ベンゼンセレノールが、ピリジンに対し100mol%となるように溶解させられて混合溶媒が作製される。(ii)この混合溶媒に、地金の銅、地金のインジウム、地金のガリウム、および地金のセレンが直接溶解させられて溶液が作製される。(iii)この溶液が、下部電極層2の表面にブレード法によって塗布された後に、乾燥されて皮膜が形成され、この皮膜に対して水素ガスの雰囲気下で熱処理が施される。
なお、金属が混合溶媒に直接溶解させられる処理は、単体金属または合金の地金が、直接、混合溶媒に混入され、溶解させられる処理のことである。乾燥は、例えば、還元雰囲気下で行われれば良い。乾燥温度は、例えば、50℃以上で且つ300℃以下であれば良い。熱処理が還元雰囲気で行われれば、皮膜の酸化が低減されて良好なI−III−VI化合物半導体が得られる。還元雰囲気は、例えば、窒素雰囲気、水素雰囲気、水素と窒素またはアルゴンの混合気体の雰囲気のうち何れかであれば良い。熱処理温度は、例えば、400℃以上で且つ600℃以下であれば良い。
バッファ層32は、溶液成長法(CBD法)によって形成される。例えば、酢酸カドミウムとチオ尿素とがアンモニアに溶解させられることで作製された溶液に光吸収層31の形成までが行われた基板1が浸漬されることで、CdSを主に含むバッファ層32が形成される。
<(2−4)上部電極層4の形成>
次に、光電変換層3の上に上部電極層4が形成される。図8は、上部電極層4が形成された後の状態を示す図である。上部電極層4は、スパッタリング法、蒸着法、または化学的気相成長(CVD)法等で形成される。例えば、バッファ層32の上に、アルミニウムが添加された酸化亜鉛を主に含む透明な上部電極層4が形成される。
<(2−5)溝部P2の形成>
次に、上部電極層4の上面のうちの所定の形成対象位置から下部電極層2の上面に至る領域に、溝部P2が形成される。図9は、溝部P2が形成された後の状態を示す図である。溝部P2は、スクライブ針が用いられたメカニカルスクライビングによって形成され得る。なお、溝部P2は、溝部P1と同様に、レーザー光によっても形成されても良い。
<(2−6)グリッド電極部5の形成>
次に、溝部P2が形成された上部電極層4の上面のうちの所定の形成対象位置にグリッド電極部5が形成される。図10は、グリッド電極部5が形成された後の状態を示す図である。
グリッド電極部5は、例えば、銀等の金属粉が樹脂製のバインダー等に分散させられた金属ペーストがパターン状に印刷され、これが乾燥によって固化されることで形成され得る。このとき、溝部P2にも金属ペーストが入り込み、乾燥によって固化されることでグリッド電極部5の垂下部が形成される。
なお、金属ペーストとしては、銀の含有率が85wt%以上で且つ98wt%以下であり、樹脂成分の含有率が2wt%以上で且つ15wt%以下であるものが採用され得る。例えば、金属ペーストにおける銀の含有率が88wt%以上で且つ92wt%以下であれば、印刷に適した粘性と良好な導電性とが得られる。
また、印刷では、図11で示されるようなグリッド電極部5のパターンに対応する複数の開口部HL1が配列されたスクリーン版が採用され得る。また、ここで言う固化には、導電ペーストに用いられるバインダーが熱可塑性樹脂である場合における熔融後の固化と、バインダーが熱硬化性樹脂および光硬化性樹脂等の硬化性樹脂である場合における硬化による固化とが含まれる。
<(2−7)溝部P3の形成>
グリッド電極部5が形成された後、上部電極層4の上面のうちの所定の形成対象位置から下部電極層2の上面に至る領域に、溝部P3が形成される。これにより、図1から図4で示された光電変換装置100が得られる。溝部P3は、溝部P2と同様に、スクライブ針が用いられたメカニカルスクライビングによって形成され得る。このとき、グリッド電極部5の端部が若干削られても良い。
<(3)その他>
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
<(3−1)第1変形例>
上記一実施形態では、グリッド電極部5の延在方向と溝部P3の延在方向とが垂直であったが、これに限られない。例えば、グリッド電極部5が、溝部P3に対して斜行していても良い。ここで、このような構成の具体例として、第1変形例に係る光電変換装置100Aを例示して説明する。
図12は、第1変形例に係る光電変換装置100Aの構成を示す上面図である。第1変形例に係る光電変換装置100Aは、上記一実施形態に係る光電変換装置100がベースとされて、グリッド電極部5が、溝部P3に対して斜行しているグリッド電極部5Aに置換されたものである。なお、この置換に伴い、光電変換装置100Aでは、光電変換セル10が、光電変換セル10Aに置換され、第1〜3光電変換セル10a〜10cが、第1〜3光電変換セル10aA〜10cAに置換されたものとなっている。
そして、第1光電変換セル10aAには、3つの第1線状導電部としてのグリッド電極部5a1A〜5a3Aが設けられている。第2光電変換セル10bAには、3つの第2線状導電部としてのグリッド電極部5b1A〜5b3Aが設けられている。第3光電変換セル10cAには、3つの第3線状導電部としてのグリッド電極部5c1A〜5c3Aが設けられている。
このような光電変換装置100Aでは、溝部P2の延在方向に対してグリッド電極部5Aが斜行する。このため、グリッド電極部5Aが溝部P2を介して下部電極層2と接続する領域が増大する。その結果、隣り合う光電変換セル10Aどうしの電気的な接続における電気抵抗が低減され、光電変換装置100Aにおける出力および発電効率が向上し得る。
<(3−2)第2変形例>
また、例えば、グリッド電極部5が、曲線状に延在していても良い。ここで、このような構成の具体例として、第2変形例に係る光電変換装置100Bを例示して説明する。
図13は、第2変形例に係る光電変換装置100Bの構成を示す上面図である。第2変形例に係る光電変換装置100Bは、上記一実施形態に係る光電変換装置100がベースとされて、グリッド電極部5が、曲線状に延在しているグリッド電極部5Bに置換されたものである。なお、この置換に伴い、光電変換装置100Bでは、光電変換セル10が、光電変換セル10Bに置換され、第1〜3光電変換セル10a〜10cが、第1〜3光電変換セル10aB〜10cBに置換されたものとなっている。
そして、第1光電変換セル10aBには、3つの第1線状導電部としてのグリッド電極部5a1B〜5a3Bが設けられている。第2光電変換セル10bBには、3つの第2線状導電部としてのグリッド電極部5b1B〜5b3Bが設けられている。第3光電変換セル10cBには、3つの第3線状導電部としてのグリッド電極部5c1B〜5c3Bが設けられている。
<(3−3)第3変形例>
上記一実施形態では、隣り合う光電変換セル10の間で、グリッド電極部5の配設位置がY軸方向にずれていたが、これに限られない。例えば、隣り合う光電変換セル10を分離する分離領域としての溝部P3の幅が、グリッド電極部5に近接する領域(近接領域とも言う)において拡げられても良い。ここで、このような構成の具体例として、第3変形例に係る光電変換装置100Cを例示して説明する。
図14は、第3変形例に係る光電変換装置100Cの構成を示す上面図である。第3変形例に係る光電変換装置100Cは、上記一実施形態に係る光電変換装置100がベースとされて、複数のグリッド電極部5が、隣り合う光電変換セルの間で一直線上に設けられた複数組のグリッド電極部5Cに置換され、溝部P3が、幅が拡がった領域を有する溝部P3Cに置換されたものである。なお、この置換に伴い、光電変換装置100Cでは、光電変換セル10が、光電変換セル10Cに置換され、第1〜3光電変換セル10a〜10cが、第1〜3光電変換セル10aC〜10cCに置換されたものとなっている。
そして、第1光電変換セル10aCには、3つの第1線状導電部としてのグリッド電極部5a1C〜5a3Cが設けられている。第2光電変換セル10bCには、3つの第2線状導電部としてのグリッド電極部5b1C〜5b3Cが設けられている。第3光電変換セル10cCには、3つの第3線状導電部としてのグリッド電極部5c1C〜5c3Cが設けられている。
また、第1〜3光電変換セル10aC〜10cCの間で、3つのグリッド電極部5a1C,5b1C,5c1Cが一直線上に設けられている。また、3つのグリッド電極部5a2C,5b2C,5c2Cも一直線上に設けられ、3つのグリッド電極部5a3C,5b3C,5c3Cも一直線上に設けられている。
更に、図14では、第1光電変換セル10aCと第2光電変換セル10bCとの間に延在する溝部P3Cのうち、近接領域W1aC〜W3aCにおける該溝部P3Cの幅が、近接領域以外の領域(非近接領域とも言う)における該溝部P3Cの幅よりも広い様子が示されている。また、第2光電変換セル10bCと第3光電変換セル10cCとの間に延在する溝部P3Cのうち、近接領域W1bC〜W3bCにおける溝部P3Cの幅が、残余の非近接領域における溝部P3Cの幅よりも広い様子が示されている。ここでは、各近接領域W1aC〜W3aC,W1bC〜W3bCにおいて、溝部P3Cの幅が、該溝部P3Cを挟む両側の光電変換セル10Cの方向に拡がっている。
ここで、近接領域W1aCは、溝部P3Cのうち、グリッド電極部5a1Cとグリッド電極部5b1Cとが近接する領域である。近接領域W2aCは、溝部P3Cのうち、グリッド電極部5a2Cとグリッド電極部5b2Cとが近接する領域である。近接領域W3aCは、溝部P3Cのうち、グリッド電極部5a3Cとグリッド電極部5b3Cとが近接する領域である。また、近接領域W1bCは、溝部P3Cのうち、グリッド電極部5b1Cとグリッド電極部5c1Cとが近接する領域である。近接領域W2bCは、溝部P3のうち、グリッド電極部5b2Cとグリッド電極部5c2Cとが近接する領域である。近接領域W3bCは、溝部P3Cのうち、グリッド電極部5b3Cとグリッド電極部5c3Cとが近接する領域である。
なお、このような近接領域W1aC〜W3aC,W1bC〜W3bCは、溝部P3Cが形成される際に、スクライブ針が用いられたメカニカルスクライビングによって形成され得る。
以上のように、第3変形例に係る光電変換装置100Cでは、グリッド電極部5Cは、溝部P3Cのうちの幅が拡げられた近接領域W1aC〜W3aC,W1bC〜W3bCに近接する。このため、隣り合う光電変換セル10Cの間で、複数のグリッド電極5Cが一直線上に設けられても、隣り合う光電変換セル10Cの間におけるグリッド電極部5Cどうしの離隔距離が、溝部P3Cを挟む積層部43どうしの離隔距離よりも大きくなり得る。
そして、このようなグリッド電極部5Cの配置により、スクリーン印刷等によって3本のグリッド電極部が設けられた後に、溝部P3Cが形成されることで、各グリッド電極部が分割されて複数のグリッド電極部5Cが形成され得る。これにより、グリッド電極部5Cの形成が容易となり得る。
<(3−4)第4変形例>
上記第3変形例では、溝部P3Cが、各近接領域W1aC〜W3aC,W1bC〜W3bCにおいて該溝部P3Cを挟む双方の光電変換セル10Cに対して突出することで、溝部P3Cの幅が拡げられたが、これに限られない。例えば、溝部P3の幅が、該溝部P3を挟む光電変換セル10のうちの少なくとも一方の光電変換セル10のグリッド電極部5が近接する領域において拡げられても、上記第3変形例と同様な効果が得られる。
更に、例えば、溝部P3が、該溝部P3に隣接する非発電寄与領域に含まれた積層部側に突出されることで、該溝部P3の幅が拡げられても良い。換言すれば、溝部P3が、グリッド電極部5に近接する近接領域において、溝部P3に隣接する非発電寄与領域に含まれた積層部を溝部P3とともに挟む溝部P2の方向に突出されることで、溝部P3の幅が拡げられても良い。換言すれば、溝部P3が、グリッド電極部5に近接する近接領域において、溝部P3に隣接する非発電寄与領域と同じ光電変換セル10に含まれる溝部P2の方向に突出されることで、溝部P3の幅が拡げられても良い。ここで、このような構成の具体例として、第4変形例に係る光電変換装置100Dを例示して説明する。
図15は、第4変形例に係る光電変換装置100Dの構成を示す上面図である。第4変形例に係る光電変換装置100Dは、上記一実施形態に係る光電変換装置100がベースとされて、複数のグリッド電極部5が、隣り合う光電変換セルの間で一直線上に設けられた複数組のグリッド電極部5Dに置換され、溝部P3が、幅が拡がった領域を有する溝部P3Dに置換されたものである。なお、この置換に伴い、光電変換装置100Dでは、光電変換セル10が、光電変換セル10Dに置換され、第1〜3光電変換セル10a〜10cが、第1〜3光電変換セル10aD〜10cDに置換されたものとなっている。
そして、第1光電変換セル10aDには、3つの第1線状導電部としてのグリッド電極部5a1D〜5a3Dが設けられている。第2光電変換セル10bDには、3つの第2線状導電部としてのグリッド電極部5b1D〜5b3Dが設けられている。第3光電変換セル10cDには、3つの第3線状導電部としてのグリッド電極部5c1D〜5c3Dが設けられている。
また、第1〜3光電変換セル10aD〜10cDの間で、3つのグリッド電極部5a1D,5b1D,5c1Dが一直線上に設けられている。また、3つのグリッド電極部5a2D,5b2D,5c2Dも一直線上に設けられ、3つのグリッド電極部5a3D,5b3D,5c3Dも一直線上に設けられている。
更に、図15では、第1光電変換セル10aDと第2光電変換セル10bDとの間に延在する溝部P3Dのうち、近接領域W1aD〜W3aDにおける幅が、残余の非近接領域における幅よりも広い様子が示されている。また、第2光電変換セル10bDと第3光電変換セル10cDとの間に延在する溝部P3Dのうち、近接領域W1bD〜W3bDにおける幅が、残余の非近接領域における幅よりも広い様子が示されている。
ここで、近接領域W1aDは、溝部P3Dのうち、グリッド電極部5a1Dとグリッド電極部5b1Dとが近接する領域である。近接領域W2aDは、溝部P3のうち、グリッド電極部5a2Dとグリッド電極部5b2Dとが近接する領域である。近接領域W3aDは、溝部P3Dのうち、グリッド電極部5a3Dとグリッド電極部5b3Dとが近接する領域である。また、近接領域W1bDは、溝部P3Dのうち、グリッド電極部5b1Dとグリッド電極部5c1Dとが近接する領域である。近接領域W2bDは、溝部P3Dのうち、グリッド電極部5b2Dとグリッド電極部5c2Dとが近接する領域である。近接領域W3bDは、溝部P3Dのうち、グリッド電極部5b3Dとグリッド電極部5c3Dとが近接する領域である。
そして、第4変形例に係る光電変換装置100Dでは、各近接領域W1aD〜W3aDにおいて、溝部P3Dが非発電寄与領域である第2積層部43a2側にそれぞれ突出することで、該溝部P3Dの幅が拡がっている。また、各近接領域W1bD〜W3bDにおいて、溝部P3Dが非発電寄与領域である第4積層部43b2側にそれぞれ突出することで、溝部P3Dの幅が拡がっている。なお、このような近接領域W1aD〜W3aD,W1bD〜W3bDは、溝部P3Dが形成される際に、スクライブ針が用いられたメカニカルスクライビングによって形成され得る。
以上のように、第4変形例に係る光電変換装置100Dでは、近接領域W1aD〜W3aD,W1bD〜W3bDにおいて、溝部P3Dが該溝部P3Dに隣接する非発電寄与領域に含まれた積層部43側に突出することで該溝部P3Dの幅が拡がっている。これにより、光電変換装置100Dの変換効率の低下が低減されつつ、グリッド電極部5Dの形成が容易となり得る。
<(3−5)第5変形例>
上記一実施形態では、各光電変換セル10において、グリッド電極部5が溝部P3に至るまで設けられていたが、これに限られない。例えば、非発電寄与領域に含まれた積層部上において、グリッド電極部5が溝部P3に至るまで設けられておらず、該グリッド電極部5が溝部P3から離隔されても良い。ここで、このような構成の具体例として、第5変形例に係る光電変換装置100Eを例示して説明する。
図16は、第5変形例に係る光電変換装置100Eの構成を示す上面図である。第5変形例に係る光電変換装置100Eは、上記一実施形態に係る光電変換装置100がベースとされて、複数のグリッド電極部5が、隣り合う光電変換セルの間で一直線上に設けられた複数組のグリッド電極部5Eに置換されたものである。なお、この置換に伴い、光電変換装置100Eでは、光電変換セル10が、光電変換セル10Eに置換され、第1〜3光電変換セル10a〜10cが、第1〜3光電変換セル10aE〜10cEに置換されたものとなっている。
そして、第1光電変換セル10aEには、3つの第1線状導電部としてのグリッド電極部5a1E〜5a3Eが設けられている。第2光電変換セル10bEには、3つの第2線状導電部としてのグリッド電極部5b1E〜5b3Eが設けられている。第3光電変換セル10cEには、3つの第3線状導電部としてのグリッド電極部5c1E〜5c3Eが設けられている。
また、第1〜3光電変換セル10aE〜10cEの間で、3つのグリッド電極部5a1E,5b1E,5c1Eが一直線上に設けられている。また、3つのグリッド電極部5a2E,5b2E,5c2Eも一直線上に設けられ、3つのグリッド電極部5a3E,5b3E,5c3Eも一直線上に設けられている。
更に、図16では、各グリッド電極部5Eが、非発電寄与領域に含まれた積層部43上において、溝部P3に至るまで設けられておらず、該溝部P3から離隔している様子が示されている。例えば、第1光電変換セル10aEでは、各グリッド電極部5a1E〜5a3Eが、非発電寄与領域に含まれた第2積層部43a2上において、溝部P3に至るまで設けられておらず、該溝部P3から離隔している。また、第2光電変換セル10bEでは、各グリッド電極部5b1E〜5b3Eが、非発電寄与領域に含まれた第4積層部43b2上において、溝部P3に至るまで設けられておらず、該溝部P3から離隔している。
なお、このような各グリッド電極部5Eは、例えば、スクリーン印刷におけるスクリーン版の開口部の形状、ならびに金属ペーストの粘度等が調整されることで形成され得る。
以上のように、第5変形例に係る光電変換装置100Eにおいても、隣り合う光電変換セル10Eの間においてグリッド電極部5Eどうしの離隔距離が、溝部P3を挟む積層部43どうしの離隔距離よりも大きい。このため、隣り合う光電変換セル10Eの間においてグリッド電極部5Eどうしの間でマイグレーションが発生し難くなり、光電変換装置100Eにおける出力および発電効率の低下が低減される。また、各光電変換セル10Eにおけるグリッド電極部5Eの配置の自由度が高まる。
<(3−6)第6変形例>
また、上記一実施形態では、1つの光電変換セル10において、光電変換層3および上部電極層4をX軸方向に分離する溝部P2が設けられたが、これに限られない。例えば、1つの光電変換セル10において、光電変換層3および上部電極層4が分離されないように、該光電変換層3および上部電極層4に間隙部が設けられて、該間隙部を介してグリッド電極部が隣り合う光電変換セル10の間を電気的に接続しても良い。なお、間隙部としては、例えば、貫通孔およびスリット状の溝部等の種々の形態のものが採用され得る。
ここで、このような構成の具体例として、第6変形例に係る光電変換装置100Fを例示して説明する。なお、以下では、第6変形例に係る光電変換装置100Fのうち、上記一実施形態に係る光電変換装置100と異なる点について主に説明する。
図17は、第6変形例に係る光電変換装置100Fの構成を示す上面図である。図18は、図17の切断面線XVIII−XVIIIにおける光電変換装置100Fの断面図である。つまり、図18は、図17で一点鎖線にて示された位置における光電変換装置100FのXZ断面図である。図19は、図17の切断面線XIX−XIXにおける光電変換装置100Fの断面図である。つまり、図19は、図17で二点鎖線にて示された位置における光電変換装置100FのXZ断面図である。図20は、図17において略矩形状の破線F4Fで囲まれた領域を模式的に示す上面図である。
第6変形例に係る光電変換装置100Fは、上記一実施形態に係る光電変換装置100がベースとされて、溝部P2が、グリッド電極部5ごとに設けられた貫通孔P2Fに置換されたものである。この貫通孔P2Fは、スクライブ針が用いられたメカニカルスクライビングによって形成され得る。
更に、この置換により、第1積層部43a1と第2積層部43a2とが一体の第1積層部43aFに置換され、第3積層部43b1と第4積層部43b2とが一体の第2積層部43bFに置換され、第5積層部43c1が第3積層部43cFに置換されたものとなっている。なお、これらの置換に伴い、光電変換装置100Fでは、光電変換セル10が、光電変換セル10Fに置換され、第1〜3光電変換セル10a〜10cが、第1〜3光電変換セル10aF〜10cFに置換されたものとなっている。
具体的には、図17から図20で示されるように、第1積層部43aFは、第1下部電極層2aの上から第2下部電極層2bの上にかけて設けられている。第1積層部43aFでは、第1半導体層としての光電変換層3と第1透明導電層としての上部電極層4とが順に積層されている。第2積層部43bFは、第2下部電極層2bの上から第3下部電極層2cの上にかけて設けられており、分離領域としての溝部P3を介して第1積層部43aFから離隔している。第2積層部43bFでは、第2半導体層としての光電変換層3と第2透明導電層としての上部電極層4とが順に積層されている。
このため、第2下部電極層2bが、第2光電変換セル10bFから第1光電変換セル10aFまで延在している。また、第3下部電極層2cが、第3光電変換セル10cFから第2光電変換セル10bFまで延在している。
そして、第1光電変換セル10aFでは、第1下部電極層2aと光電変換層3と上部電極層4とが順に積層された発電寄与領域が形成されている。第2光電変換セル10bFでは、第2下部電極層2bと光電変換層3と上部電極層4とが順に積層された発電寄与領域が形成されている。第3光電変換セル10cFでは、第3下部電極層2cと光電変換層3と上部電極層4とが順に積層された発電寄与領域が形成されている。
また、第1光電変換セル10aFでは、各グリッド電極部5が、第1積層部43aFの上に設けられているとともに、光電変換層3を貫通する貫通孔P2Fを介して第2下部電極層2bに電気的に接続されている。第2光電変換セル10bFでは、各グリッド電極部5が、第2積層部43bFの上に設けられているとともに、光電変換層3を貫通する貫通孔P2Fを介して第3下部電極層2cに電気的に接続されている。第3光電変換セル10cFでは、各グリッド電極部5が、第3積層部43cFの上に設けられている。
そして、第1光電変換セル10aFでは、光電変換層3の上に設けられた上部電極層4と、該上部電極層4の上に設けられた複数のグリッド電極部5(第1線状導電部)とを含む部分が、一体の導電性を有する第1導電部となる。また、第2光電変換セル10bFでは、光電変換層3の上に設けられた上部電極層4と、該上部電極層4の上に設けられた複数のグリッド電極部5(第2線状導電部)とを含む部分が、一体の導電性を有する第2導電部となる。また、第3光電変換セル10cFでは、光電変換層3の上に設けられた上部電極層4と、該上部電極層4の上に設けられた複数のグリッド電極部5とを含む部分が、一体の導電性を有する第3導電部となる。
なお、本変形例では、各光電変換セル10Fに複数のグリッド電極部5が設けられているが、これに限られず、例えば、各光電変換セル10Fには、1以上の任意の数のグリッド電極部5が設けられれば良い。
このような光電変換装置100Fでは、第1光電変換セル10aFのグリッド電極部5と第2光電変換セル10bFのグリッド電極部5との離隔距離DT1は、溝部P3を挟む第1積層部43aFと第2積層部43bFとの離隔距離W1よりも大きい。例えば、第1光電変換セル10aFのグリッド電極部5a1と、第2光電変換セル10bFの1以上(ここでは、複数)のグリッド電極部5のうちのグリッド電極部5a1に最も接近しているグリッド電極部5b1との離隔距離DT1が、離隔距離W1よりも大きい。なお、ここでは、離隔距離W1は、溝部P3の幅に相当し、第1光電変換セル10aFと第2光電変換セル10bFとの離隔距離にも相当する。
また、第2光電変換セル10bFのグリッド電極部5と第3光電変換セル10cFのグリッド電極部5との離隔距離は、溝部P3を挟む第2積層部43bFと第3積層部43cFとの離隔距離よりも大きい。例えば、第2光電変換セル10bFのグリッド電極部5b1と、第3光電変換セル10cFの1以上(ここでは、複数)のグリッド電極部5のうちのグリッド電極部5b1に最も接近しているグリッド電極部5c1,5c2との離隔距離DT1が、離隔距離W1よりも大きい。なお、ここで、離隔距離W1は、第2光電変換セル10bFと第3光電変換セル10cFとの離隔距離に相当する。
このように、第6変形例に係る光電変換装置100Fでも、上記一実施形態に係る光電変換装置100と同様に、隣り合う光電変換セル10Fの間においてグリッド電極部5どうしの離隔距離が大きくなる。これにより、隣り合う光電変換セル10Fの間においてグリッド電極部5どうしの間におけるマイグレーションが発生し難くなる。その結果、光電変換装置100Fにおける出力および発電効率の低下が低減される。
<(3−7)その他の変形例>
上記一実施形態および第1〜5変形例では、上部電極層4が設けられた後に溝部P2が設けられたが、これに限られない。例えば、上部電極層4が設けられる前に溝部P2が形成され、該溝部P2に上部電極層4が入り込んでいる構成であっても良い。また、上記第6変形例では、例えば、上部電極層4が設けられた後に貫通孔P2Fが設けられても良いし、上部電極層4が設けられる前に貫通孔P2Fが形成されて該貫通孔P2Fに上部電極層4が入り込んでも良い。
また、上記一実施形態および第1〜6変形例では、溝部P3,P3C,P3Dが直線状に延在したが、これに限られない。例えば、溝部P3,P3C,P3Dが、曲線状に延在しても良いし、蛇行していても良い。なお、例えば、溝部P3,P3C,P3Dが曲線状に延在する場合には、溝部P3,P3C,P3Dの幅方向は、該溝部P3の局所的な延在方向に直交する方向となる。
また、上記一実施形態および第1〜6変形例では、第1から第3半導体層としての光電変換層が光吸収層およびバッファ層で形成されているが、これに限定されるものではない。例えば、光電変換層の他の態様としては、異なる導電型を有するアモルファスシリコン層を積層して形成されたものであっても良い。また、光電変換層の他の態様としては、CdTe層とCdS層とを積層して形成されたものであっても良い。
なお、上記一実施形態および各種変形例をそれぞれ構成する全部または一部を、適宜、矛盾しない範囲で組み合わせ可能であることは、言うまでもない。
1 基板
2 下部電極層
2a〜2c 第1〜3下部電極層
3 光電変換層
4 上部電極層
5,5A〜5E,5a1〜5a3,5a1A〜5a3A,5a1B〜5a3B,5a1C〜5a3C,5a1D〜5a3D,5a1E〜5a3E,5b1,5b2,5b1A〜5b3A,5b1B〜5b3B,5b1C〜5b3C,5b1D〜5b3D,5b1E〜5b3E,5c1〜5c3,5c1A〜5c3A,5c1B〜5c3B,5c1C〜5c3C,5c1D〜5c3D,5c1E〜5c3E グリッド電極部
10,10A〜10F 光電変換セル
10a,10aA〜10aF 第1光電変換セル
10b,10bA〜10bF 第2光電変換セル
10c,10cA,10cF 第3光電変換セル
31 光吸収層
32 バッファ層
43 積層部
43a1,43aF 第1積層部
43a2,43bF 第2積層部
43b1,43cF 第3積層部
43b2 第4積層部
43c1 第5積層部
100,100A〜100F 光電変換装置
P1,P2,P3,P3C,P3D 溝部
P2F 貫通孔
W1aC〜W3aC,W1aD〜W3aD,W1bC〜W3bC,W1bD〜W3bD 近接領域

Claims (6)

  1. 基板の上に設けられた第1電極層と、
    前記基板の上に設けられた、前記第1電極層から離隔している第2電極層と、
    前記第1電極層の上に設けられた、第1半導体層および第1透明導電層が順に積層されている第1積層部と、
    前記第2電極層の上に設けられた、前記第1半導体層から離隔している第2半導体層および第2透明導電層が順に積層されている第2積層部と、
    前記第2電極層の上に設けられ、かつ前記第2積層部から分離領域を介して離隔している、第3半導体層および第3透明導電層が順に積層されている第3積層部と、
    前記第1積層部の上から前記第2積層部の上にかけて設けられた、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間の間隙部を介して前記第2電極層に電気的に接続されている第1線状導電部と、
    前記第3積層部の上に設けられている1以上の第2線状導電部とを備えており、
    前記第1線状導電部と、前記1以上の第2線状導電部のうちの前記第1線状導電部に最も接近しているものとの離隔距離は、前記第2積層部と前記第3積層部との離隔距離よりも大きい光電変換装置。
  2. 基板の上に設けられた第1電極層と、
    前記基板の上に設けられた、前記第1電極層から離隔している第2電極層と、
    前記第1電極層の上から前記第2電極層の上にかけて設けられた、第1半導体層および第1透明導電層が順に積層されている第1積層部と、
    前記第2電極層の上に設けられ、かつ前記第1積層部から分離領域を介して離隔している、第2半導体層および第2透明導電層が順に積層されている第2積層部と、
    前記第1積層部の上に設けられているとともに、前記第1半導体層の間隙部を介して前記第2電極層に電気的に接続されている第1線状導電部と、
    前記第2積層部の上に設けられている1以上の第2線状導電部とを備えており、
    前記第1線状導電部と、前記1以上の第2線状導電部のうちの前記第1線状導電部に最も接近しているものとの離隔距離は、前記第1積層部と前記第2積層部との離隔距離よりも大きい光電変換装置。
  3. 前記第2線状導電部のうちの前記分離領域に最も接近している端部が、各前記第1線状導電部のうちの前記分離領域に最も近接している端部から前記分離領域の幅方向に延伸した仮想線上からずれた位置に配置されている請求項1または請求項2に記載の光電変換装置。
  4. 前記分離領域のうちの前記第1線状導電部および前記第2線状導電部の少なくとも一方に近接する近接領域における部分の幅が、前記分離領域のうちの前記近接領域以外の非近接領域における部分の幅よりも広い請求項1または請求項2に記載の光電変換装置。
  5. 前記分離領域が、前記近接領域において前記間隙部に向けて突出することで形成されている請求項4に記載の光電変換装置。
  6. 前記第1線状導電部が、前記分離領域から離隔している請求項1から請求項5の何れか1つの請求項に記載の光電変換装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPWO2015151245A1 (ja) * 2014-04-02 2017-04-13 三菱電機株式会社 太陽電池および太陽電池モジュール

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