JP2012112176A - 鋼製束 - Google Patents

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Abstract

【課題】木造建築物における大引等の横架材の前処理加工が簡単に済み、且つ、その設置にも手間の掛からない鋼製束を提供する。
【解決手段】鋼製束は、木造建築物の基礎上に固定される基盤(12)と、この基盤(12)から立設され、上端部が大引(B)の縦孔(C)内に挿入される伸縮可能な支柱(16)と、この支柱(16)に取り付けられ、大引(B)を下方から支持する大引受け(34)とを備え、大引受け(34)は支柱(16)の上端部とともに縦孔(C)内に配置され、支柱(16)の上端部を囲繞する拡開スリーブ(40)を有し、一方、支柱(16)はその上端に前記拡開スリーブ(40)を拡開させる逆テーパヘッド(32)を有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、木造建造物の基礎とその横架材としての大引との間に配置され、大引を支持する鋼製束に関する。
この種の鋼製束は、基礎上に固定される基盤と、大引を受け止める受枠と、これら基盤と受枠との間に介在し、大引を支持するターンバックル型の支柱とからなり、このようなターバックル型の支柱はその回転操作により、受枠の高さ位置を調整可能としている(特許文献1)。
特許文献1の鋼製束が適用される大引は鋼製であるため、この鋼製の大引には経年変化に起因したサイズ変動がないものの、木製の大引には経年変化に木痩せを避けることができない。
大引が木痩せすれば、大引と受枠との間に隙間が生じ、大引の安定した支持が不能となる。このような状況に至ると、受枠の高さ位置を再調整しなければならないが、この再調整は大引及び受枠の締結解除及びこれら大引及び受枠の再締結を必要とし、容易ではない。
このような事情から本発明者は木痩せに起因した上述の再調整を容易にした鋼製束を既に提案している(特許文献2)。この特許文献2の鋼製束は、大引内に挿入される支柱の上端部に形成された環状溝と、大引内に水平方向に打ち込まれることで環状溝に嵌合されるドリフトピンとを備える。これら環状溝及びドリフトピンは互いに協働し、支柱及び大引を支柱の径方向に互いに拘束する拘束部を形成し、このような拘束部は木痩せによる悪影響を受けないことから、前述の再調整を容易にする。
特開2006-152615号公報 特開2010-203094号公報
特許文献2の鋼製束の場合、大引にはドリフトピンを貫通させるための横孔を予め形成しておく必要があるので、大引の前処理加工に手間が掛かり、また、受枠の高さ調整及びドリフトピンの打込みが大引に対して異なる方向から実施されるため、鋼製束の設置にも手間が掛かる。
本発明は上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは大引等の横架材の前処理加工が簡単に済み、且つ、その設置にも手間の掛からない鋼製束を提供することにある。
上述の目的を達成するため、本発明は木造建築物の基礎と縦孔を有する横架材との間に配置され、横架材を支持する鋼製束において、本発明の鋼製束は、基礎上に固定される基盤と、この基盤から延び、横架材の前記縦孔内に挿入されるべき先端部を有し且つ基盤から先端までの長さを伸縮可能とした支柱と、この支柱に先端部よりも基盤側に位置し且つ基盤からの距離を調整可能にして設けられ、横架材を下方から支持可能な支持体と、この支持体から支柱の先端部を囲繞して延び、先端部とともに縦孔内に配置可能であるとともに径方向外側に向けて拡開可能な拡開スリーブと、支柱の先端から突設され、縦孔内に挿入可能な大きさを有する一方、支柱の先端に向けて先細をなし、支柱の収縮により拡開スリーブの先端内に進入されたとき、拡開スリーブを拡開させる逆テーパヘッドとを備える(請求項1)。
上述の請求項1の鋼製束はその支持体にて横架材を支持し、一方、横架材の縦孔内にて拡開スリーブを拡開させて縦孔の内面に押し付け、拡開した拡開スリーブを介して横架材及び支柱を水平方向に互いに拘束する。
具体的には、支柱は先端部を有するアッパ螺子ロッドを含み、支持体は、アッパ螺子ロッドに沿って移動自在で横架材を支持する受け部と、アッパ螺子ロッドに螺合され、横架部材との間にて受け部を挟み込み、受け部の位置を固定する受けナットとを含み、拡開スリーブは受け部とともに合成樹脂からなり、受け部から一体に延びている(請求項2)。
請求項2の鋼製束の場合、受け部及び拡開スリーブが一体であるので、受け部の位置決めと同時に拡開スリーブを縦孔内に配置可能となる。
好ましくは、拡開スリーブはその周方向に間隔を存して形成され、先端から延びる複数の割溝を有する(請求項3)。この場合、拡開スリーブは割溝間にて形成される拡開片を有し、これら拡開片はその根元から拡開することで、縦孔の内面に押し付けられる。
更に、受け部は横架材の幅よりも小径の円形であるのが好ましく(請求項4)、この場合、受け部は横架材の下面に片当たりすることが少なく、横架材の安定した支持を保証する。
更にまた、支柱はターンバックル型であってもよく(請求項5)、この場合、支柱の長さ調整を速やかに行うことができる。
請求項1−5の鋼製束は、その拡開スリーブが横架材の縦孔内に支柱の先端部とともに配置されるので、横架材に縦孔以外の孔を用意する必要はなく、横架材の前処理加工が容易となり、そして、その設置は支持体の位置調整や拡開スリーブの拡開が支柱の伸縮操作のみで可能であるから、その設置を容易に行うことができる。
一実施例の鋼製束を示した縦断面図である。 図1の基盤を示す平面図である。 図1の大引受けを示し、(a)は一部破断して示す側面図、(b)は端面図である。 変形例の鋼製束をその支柱の一部を破断して示す側面図である。
図1に示す一実施例の鋼製束10は木造の建築物に使用される。具体的には、鋼製束10は建築物におけるコンクリート製の基礎Aと大引Bとの間に配置され、大引Bは鋼製束10を介して基礎Aに支持される。
以下、鋼製束10について詳述する。
鋼製束10は、例えば円形の基盤12を備え、この基盤12は基礎A上に固定可能である。具体的には、図2から明らかなように基盤12には複数の大小の孔14が分布して形成されており、これら孔14は基礎Aに対するアンカーボルト(図示しない)の打込みに使用される。つまり、基盤12はアンカーボルトを介して基礎Aに固定可能である。
図1に示されるように、基盤12からはターンバックル型の支柱16が立設され、この支柱16は上下に伸縮可能である。支柱16の上端部は大引Bの縦孔Cに下方から挿入されている。なお、縦孔Cは大引Bに予め加工され、大引Bを上下方向に貫通している。
詳しくは、支柱16はロア螺子ロッド18を有する。このロア螺子ロッド18は基盤12から上方に向け、所定の長さに亘って延び、その外周面が左螺子20として形成されている。ロア螺子ロッド18の上端部は連結パイプ22の下部領域に同心的に囲繞され、この連結パイプ22の下部領域はテーパ部を経て縮径された下端を有し、この下端に角ナット24を有する。この角ナット24は連結パイプ22に一体に溶接され、ロア螺子ロッド18、即ち、左螺子20に螺合されている。
一方、連結パイプ22の上部領域はアッパ螺子ロッド26を同心的に囲繞しており、このアッパ螺子ロッド26はロア螺子ロッド18と同軸上に位置付けられ、その外周面が右螺子28として形成されている。また、連結パイプ22の上部領域はテーパ部を経て縮径された上端を有し、この上端に角ナット30を有する。この角ロット30は連結パイプ22の上端に一体に溶接され、アッパ螺子ロッド26、即ち、右螺子28に螺合されている。
なお、連結パイプ22の外周面にはその上下にハンドルレバー(図示しない)が取り付けられ、これらハンドルレバーは連結パイプ22から水平方向に突出し、連結パイプ22の回転操作に使用される。
図1から明らかなように、アッパ螺子ロッド26は連結パイプ22から上方に更に延び、アッパ螺子ロッド26の上端部が大引Bの縦孔C内に遊びを存して挿入されている。また、アッパ螺子ロッド26はその上端に逆テーパヘッド32を有し、この逆テーパヘッド32はその外周面に下方に向けて先細のテーパ面を有する。つまり、逆テーパヘッド32は、縦孔Cの内径よりも若干小さい上端と、アッパ螺子ロッド26と同一の外径の下端とを有する。
アッパ螺子ロッド26の上端部には弾性変形可能な合成樹脂製の大引受け34が備えられている。詳しくは、大引受け34はその中央に貫通孔36を有し、この貫通孔36の内径はアッパ螺子ロッド26の外径にほぼ等しい。つまり、大引受け34は貫通孔36にアッパ螺子ロッド26を貫通させることで、アッパ螺子ロッド26に取り付けられている。
大引受け34の下端部は円形の受け部38に形成され、この受け部38は、大引Bの縦孔Cよりも大径で且つ大引Bの幅よりも小さい外径を有し、大引Bをその下方から支持可能である。
そして、大引受け34は受け部38よりも小径の拡開スリーブ40を有し、この拡開スリーブ40は受け部38から上方に向けて所定の長さに亘って延び、縦孔Cの内面とアッパ螺子ロッド26の外周面(右螺子28)との間の環状ギャップを埋めるスペーサの働きをなす。つまり、拡開スリーブ40は環状ギャップに等しい厚みを有し、その外径は縦孔Cの内径に等しく、また、その長さは大引Bの高さの約半分程度である。
詳しくは、図3(a),(b)から明らかなように、拡開スリーブ40はその上端部に複数の割溝42を有し、これら割溝42は拡開スリーブ40の周方向に等間隔を存して配置され、拡開スリーブ40の上端から受け部38に向け、所定の長さに亘って延びている。このような割溝42は拡開スリーブ40の上端部に複数の拡開片44を形成し、これら拡開片44は割溝42間に位置付けられ、その根元から拡開スリーブ40の径方向外側に向けて拡開するように弾性変形可能である。なお、拡開片44の上端には丸みが付けられている。
更に、アッパ螺子ロッド26には大引受け34と連結パイプ22との間に受けナット46が取り付けられており、この受けナット46はアッパ螺子ロッド26の右螺子28に螺合し、その回転によりアッパ螺子ロッド26に沿って昇降可能である。
上述した一実施例の鋼製束10によれば、連結パイプ22を回転させるだけで、連結パイプ22からのロア螺子ロッド18及びアッパ螺子ロッド26の突出長さは連動して伸長又は収縮し、支柱16の長さが基礎Aからの大引Bの高さ位置に合わせて容易に調整可能である。
それ故、図1に示されるように基礎A上に立設された鋼製束10はそのアッパ螺子ロッド26の上端部とともに大引受け34の拡開スリーブ40が大引Bの縦孔C内に完全に挿入され、この状態で、大引受け34の受け部38の直下に受けナット46が位置付けられ、受け部38は大引Bと受けナット46との間に挟み付けられる。即ち、大引Bは、大引受け34の受け部38及び受けナット46を介して支柱16に支持され、これら受部38及び受けナット46は大引Bのための支持体を構成する。
この後、受けナット46の回転を阻止し、大引Bと受けナット46との間に大引受け34の受け部38を挟み付けた状態で、支柱16の連結パイプ22を支柱16の長さが短縮する方向に回転させれば、大引受け34に対してアッパ螺子ロッド26が下降する。それ故、アッパ螺子ロッド26の逆テーパヘッド32は拡開スリーブ40の上端部内に進入して拡開スリーブ40の拡開片44を拡開させ、拡開した拡開片44が大引Bにおける縦孔Cの内面を押し付けられる。この結果、大引B及び大引受け34は水平方向に互いに拘束され、支柱16に対する大引Bの水平方向の変位を阻止する。
一方、大引Bの木痩せに起因し、大引受け34の受け部38と大引Bとの間に隙間が発生した場合には、支柱16を一旦伸長させて前述の拘束を解除した後、その隙間の分だけ大引受け34を上昇させ、そして、拡開スリーブ40の再拡開により大引B及び大引受け34を同様にして再拘束することで、大引受け34はその受け部38を介して大引Bを支持可能となる。
以上の説明から明らかなように一実施例の鋼製束10は前述した拘束にドリフトピンを使用しないので、大引Bにドリフトピンのための横孔を形成する必要はなく、大引Bの前処理加工は容易となる。
また、支柱16の長さ調整や拡開スリーブ40の拡開を伴う鋼製束10の設置や、大引Bの木痩せに起因した鋼製束10の設置調整は何れも、鋼製束10に対して大引Bの下方からのアクセスだけで可能であるから、設置及び設置調整は頗る容易且つ簡単なものとなる。
更に、前述した拡開片44の上端には丸みが付けられているので、拡開スリーブ40内への逆テーパヘッド32の進入時、拡開片44の上端が逆テーパヘッド32のテーパ面や縦孔Cの内面に噛み込んでしまうようなこともなく、前述の設置及び設置調整を安定して実施可能となる。
また、大引受け34の受け部38は大引Bの幅よりも小さい径を有しているので、大引Bの下面に片当たりすることが少なく、大引Bを安定して支持することができる。
本発明は上述の一実施例に制約されるものではなく、種々の変形が可能である。
例えば、図4に示す鋼製束10は支柱16の構成のみが一実施例とは異なる。それ故、図4中、一実施例と同一の機能をなす部材及び部位には同一の参照符号を付して、その説明を省略し、相違する点のみを以下に説明する。
支柱16は連結パイプ22に代えて支持パイプ48を備えている。この支持パイプ48は基盤12から直接に立設され、その上部は連結パイプ22の上下と同様な構成を有する。支持パイプ48の上端、つまり、その角ナット30からはアッパ螺子ロッド26が上方に向けて延び、このアッパ螺子ロッド26には受けナット46の下方に調節ナット50が取り付けられている。この調節ナット50はアッパ螺子ロッド26に溶接され、アッパ螺子ロッド26と一体に回転する。
それ故、アッパ螺子ロッド26は調節ナット50を介して回転されることで、その回転方向に従い、支持パイプ48からの突出長さ、即ち、支柱16の長さが調節される。
12 基盤
16 支柱
18 ロア螺子ロッド
22 連結パイプ
24,30 角ナット
26 アッパ螺子ロッド
32 逆テーパヘッド
34 大引受け
38 受け部(支持体)
40 拡開スリーブ
42 割溝
46 受けナット(支持体)
A 基礎
B 大引(横架材)
C 縦孔

Claims (5)

  1. 木造建築物の基礎と縦孔を有する横架材との間に配置され、前記横架材を支持する鋼製束において、
    前記基礎上に固定される基盤と、
    前記基盤から延び、前記横架材の前記縦孔内に挿入されるべき先端部を有し且つ前記基盤から先端までの長さを伸縮可能とした支柱と、
    前記支柱に前記先端部よりも前記基盤側に位置し且つ前記基盤からの距離を調整可能にして設けられ、前記横架材を下方から支持可能な支持体と、
    前記支持体から前記支柱の前記先端部を囲繞して延び、前記先端部とともに前記縦孔内に配置可能であるとともに径方向外側に向けて拡開可能な拡開スリーブと、
    前記支柱の先端から突設され、前記縦孔内に挿入可能な大きさを有する一方、前記支柱の先端に向けて先細をなし、前記支柱の収縮により前記拡開スリーブの先端内に進入されたとき、前記拡開スリーブを拡開させる逆テーパヘッドと
    を具備したことを特徴とする鋼製束。
  2. 前記支柱は、前記先端部を有するアッパ螺子ロッドを含み、
    前記支持体は、前記アッパ螺子ロッドに沿って移動自在で横架材を支持する受け部と、前記アッパ螺子ロッドに螺合され、前記横架部材との間にて前記受け部を挟み込み、前記受け部の位置を固定する受けナットとを含み、
    前記拡開スリーブは前記受け部とともに合成樹脂からなり、前記受け部から一体に延びていることを特徴とする請求項1に記載の鋼製束。
  3. 前記拡開スリーブはその周方向に間隔を存して形成され、先端から延びる複数の割溝を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋼製束。
  4. 前記受け部は前記横架材の幅よりも小径の円形をなしていることを特徴とする請求項2又は3に記載の鋼製束。
  5. 前記支柱はターンバックル型であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の鋼製束。
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