JP2012111717A - ジクロロメチル基を含有する化合物の製造方法 - Google Patents

ジクロロメチル基を含有する化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】穏和な条件下でも高い選択性で効率的にトリクロロメチル基中の炭素−塩素結合を1つ切断し塩素を脱離させることができ、反応後には触媒を生成物から容易に分離して再利用することができる、トリクロロメチル基を含有する化合物からジクロロメチル基を含有する化合物を得る方法を提供する。
【解決手段】トリクロロメチル基を含有する化合物を水素雰囲気下で湿式にて貴金属触媒と接触させて、該トリクロロメチル基中の炭素−塩素結合を1つ切断し塩素を脱離させることを含む、ジクロロメチル基を含有する化合物を得る方法。前記貴金属触媒は、炭素粒子と、該炭素粒子に担持され、白金、パラジウムおよびロジウムからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属とを含む触媒であることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、トリクロロメチル基中の炭素−塩素結合を1つ切断し塩素を脱離させることにより、トリクロロメチル基を含有する化合物からジクロロメチル基を含有する化合物を得る方法に関するものである。
gem-ジクロロメチル基は、アルデヒド等価体として医薬品、農薬等の合成中間体の部分構造に多く含まれる重要な官能基である。gem-ジクロロメチル基の代表的な合成法として、(1)紫外線照射下におけるアルカンの塩素化、(2)アルケンまたはアルキンへの塩化水素または塩素の付加反応、(3)N−クロロスクシンイミドまたは塩素ガスを用いたアリル位またはベンジル位の塩素化反応が挙げられるが、いずれも過酷な反応条件を要し、モノクロロメチル体およびトリクロロメチル体が副生する。
一方、穏和な反応条件で実施できるgem-ジクロロメチル基の合成法として、トリクロロメチル基の炭素−塩素結合切断反応が挙げられる(非特許文献1〜3)。この手法は、基質となるトリクロロメチル基を有する化合物が容易に入手可能であることから、gem-ジクロロメチル基の簡便合成法として有用である。しかし、塩素原子の脱離数の制御が困難であり、塩素が2原子脱離して生じたクロロメチル基、あるいは全ての塩素原子が脱離したメチル基を有する化合物が混入する場合が多い。また、脱塩素化体以外の副生物も生成してしまう点も問題である。そこで、トリクロロメチル基から高い選択性で効率的に塩素を脱離させることにより、ジクロロメチル基を含有する化合物を得る方法の開発が望まれている。
Y. Izawa, H. Tomioka, M. Natsume, S. Beppu, H. Tsujii, J. Org. Chem. 1980, 45, 4835 U. Folli, F. Goldoni, D. Iarossi, S. Sbardellati, F. Taddei, J. Chem. Soc., Perkin. Trans. 2, 1995, 1017 E. C. Chukovskaya, R. Kh. Freidlina, N. A. Kuz'mina, Synthesis 1983, 773
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、穏和な条件下でも高い選択性で効率的にトリクロロメチル基中の炭素−塩素結合を1つ切断し塩素を脱離させることができ、反応後には触媒を生成物から容易に分離して再利用することができる、トリクロロメチル基を含有する化合物からジクロロメチル基を含有する化合物を得る方法を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、下記の方法により上記の目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、トリクロロメチル基を含有する化合物を水素雰囲気下で湿式にて貴金属触媒と接触させて、該トリクロロメチル基中の炭素−塩素結合を1つ切断し塩素を脱離させることを含む、ジクロロメチル基を含有する化合物を得る方法を提供する。
本発明の方法によれば、穏和な条件下でもでも高い選択性で効率的にトリクロロメチル基中の炭素−塩素結合を1つ切断し塩素を脱離させることができる。また、第一に、反応系中には、水素雰囲気下で貴金属触媒、基質であるトリクロロメチル基を含有する化合物及び溶媒以外の特殊な成分を添加する必要がないことから、第二に、用いる貴金属触媒は不均一系触媒であり、生成物から容易に分離することができることから、反応工程、装置、反応管理等を簡略化することができる。また、本発明で用いる貴金属触媒は、反応後に分離し回収した後の触媒活性の低下は僅かであり、繰り返しの再使用が可能であるため、本発明の方法により、省資源化を実現することができ、また、生産コストを低減することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
<貴金属触媒>
本発明で用いる貴金属触媒は、通常、不均一系触媒であり、例えば、貴金属担持触媒が挙げられ、好ましくは、炭素粒子と、該炭素粒子に担持された貴金属触媒とを含む触媒(以下、貴金属担持炭素触媒という場合がある)であり、より好ましくは、炭素粒子と、該炭素粒子に担持され、白金、パラジウムおよびロジウムからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属とを含む触媒である。貴金属触媒中の貴金属は、好ましくは白金族金属であり、より好ましくは白金、パラジウムおよびロジウムからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属である。貴金属触媒の具体例としては、白金担持炭素触媒、パラジウム担持炭素触媒、ロジウム担持炭素触媒等が挙げられる。貴金属触媒は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
−担体−
貴金属担持炭素触媒において、炭素粒子は該触媒の担体である。炭素粒子は活性炭であることが好ましい。
炭素粒子の比表面積は、600 m2/g以上であることが好ましく、800〜2,000 m2/gであることが更に好ましく、900〜1500 m2/gであることが特に好ましい。かかる比表面積を有する活性炭が最も好ましい。比表面積はBET法で測定した値である。
また、炭素粒子の粒径は、特に限定されないが、メジアン径が0.5〜500μmの範囲であることが好ましく、5〜500μmが特に好ましい。本明細書において、メジアン径はレーザー散乱法により測定した体積基準の値である。
−触媒の調製方法(特に、炭素粒子への貴金属の固定)−
貴金属触媒は公知の方法により調製することができる。貴金属担持炭素触媒の場合、炭素粒子への貴金属の固定は、該炭素粒子に貴金属を含む溶液を接触させることにより行うことができる。
具体的には、本発明で用いる白金担持炭素触媒、パラジウム担持炭素触媒、ロジウム担持炭素触媒等の貴金属担持炭素触媒は、例えば、対応する貴金属化合物を溶媒に溶解し、当該溶液中に炭素粒子を投入し、貴金属化合物を吸着または含浸させることにより得ることができる。貴金属を貴金属化合物の吸着または含浸などの方法で炭素粒子に担持した触媒に対しては、必要に応じて還元処理を実施してもよい。湿式で還元する場合には、メタノール、ホルムアルデヒド、蟻酸などの還元剤のほか、ガス状水素を用いることができる。乾式で還元する場合にはガス状水素を用いて行うが、水素ガスを窒素等の不活性ガスで希釈して使用することも可能である。こうして、通常、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が炭素粒子に固定された貴金属担持炭素触媒が得られる。
触媒調製に用いる溶媒は、貴金属化合物を溶解するものであれば特に制限されないが、塩化白金酸、塩化パラジウム酸、硝酸ロジウムなど水溶性の貴金属化合物を用いる場合には水が好ましく、ビス(アセチルアセトナト)白金、ビス(2,4−ペンタンジオナト)パラジウム、酢酸ロジウムなどの非水溶性で有機溶媒に可溶な貴金属化合物を用いる場合には、エタノール、アセトン、クロロホルム等の有機溶媒であって該貴金属化合物を溶解するものが好適である。
白金化合物としては、触媒調製工程に使用する溶媒に可溶性であれば特に限定されないが、例えば、ヘキサクロロ白金酸、ヘキサクロロ白金酸カリウム、ヘキサクロロ白金酸アンモニウム、テトラクロロ白金酸、テトラクロロ白金酸カリウム、テトラクロロ白金酸ナトリウム、テトラアンミン白金塩化物、テトラアンミン白金硫酸塩、ジクロロジアンミン白金、ジニトロジアンミン白金等の水溶性白金化合物;ビス(アセチルアセトナト)白金、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)白金、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)白金、テトラキス(トリフェニルホスフィン)白金、ビス(ジベンジリデンアセトン)白金等の有機溶媒可溶性白金錯体が使用でき、ヘキサクロロ白金酸、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)白金が好ましい。
パラジウム化合物としては、触媒調製工程に使用する溶媒に可溶性であれば特に限定されないが、例えば、硝酸パラジウム、硫酸パラジウム、テトラアンミンパラジウム塩化物、テトラアンミンパラジウム臭化物、テトラアンミンパラジウム硝酸塩、テトラアンミンパラジウム硫酸塩、塩化パラジウム酸等の水溶性パラジウム化合物;ビス(2,4−ペンタンジオナト)パラジウム、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)二パラジウム等の有機溶媒可溶性パラジウム錯体が使用でき、硝酸パラジウム、塩化パラジウム酸、ジクロロ(1,5−シクロオクタジエン)パラジウムが好ましい。
ロジウム化合物としては、触媒調製工程に使用する溶媒に可溶性であれば特に限定されないが、例えば、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、硫酸ロジウム、水酸化ロジウムなどの水溶性ロジウム化合物;ドデカカルボニル四ロジウム、(アセチルアセトナート)ビス(エチレン)ロジウム、トリスクロロトリス(ピリジン)ロジウム等の有機溶媒可溶性ロジウム錯体が使用でき、塩化ロジウム、硝酸ロジウム、水酸化ロジウムが好ましい。
前記炭素粒子1g当たりの貴金属の担持量は、特に制限されないが、貴金属元素に換算して、好ましくは1.0μmol〜5mmol、より好ましくは10μmol〜3mmol、特に好ましくは100μmol〜2mmolである。
なお、本発明の方法に使用される貴金属触媒、例えば、白金、パラジウム、ロジウム等の貴金属が炭素粒子に担持された貴金属担持炭素触媒において、貴金属成分の存在状態は特に限定されない。例えば、元素の状態にあってもよいし、一部が酸化された状態にあってもよいし、水酸化物の状態にあってもよい。通常、白金金属、パラジウム金属、ロジウム金属等の金属状態もしくは酸化白金(II)、酸化パラジウム(II)、酸化ロジウム(III)等の酸化状態またはこれらが混合した状態にあると考えられる。
<トリクロロメチル基からジクロロメチル基への変換方法>
トリクロロメチル基を含有する化合物を水素雰囲気下で湿式にて貴金属触媒と接触させることにより、該トリクロロメチル基中の炭素−塩素結合を1つ切断し塩素を脱離させることができる。これにより前記トリクロロメチル基はジクロロメチル基に変換され、その結果、トリクロロメチル基を含有する化合物からジクロロメチル基を含有する化合物を得ることができる。「湿式にて」とは、通常、「溶媒の存在下で」を意味し、好ましくは「溶媒中で」を意味する。
本発明において触媒は、トリクロロメチル基を含有する化合物に対して、貴金属元素として、好ましくは0.01〜20モル%、より好ましくは0.1〜10モル%、更により好ましくは0.5〜5モル%の範囲で用いられる。
本発明においてトリクロロメチル基を含有する化合物は、特に制限されず、例えば、(トリクロロメチル)ベンゼン、2−(トリクロロアセチル)ピロール、3−(トリクロロアセチル)インドール、α−(トリクロロメチル)ベンジルアセテート、α,α,α−トリクロロアセトアニリド、メトキシクロル、2,2,2−トリクロロアセトフェノン、
エチルトリクロロアセテート、3,4−ジクロロベンゾトリクロライド、2,6−ジクロロ−4−(トリクロロメチル)ピリジン、2,2,2−トリクロロ−1−フェニルエタノール、N−(2,2,2−トリクロロエトキシ)カルボニル−p−トルイジンが挙げられる。トリクロロメチル基を含有する化合物は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
トリクロロメチル基からジクロロメチル基への変換反応、即ち、トリクロロメチル基中の1つの炭素−塩素結合の切断による脱塩素化反応において、トリクロロメチル基を含有する化合物と貴金属触媒との接触に使用される溶媒は、特に制限されないが、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、酢酸エチルが好ましく、ジメチルアセトアミドが特に好ましい。溶媒は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明の好ましい一実施形態において、トリクロロメチル基からジクロロメチル基への変換反応におけるトリクロロメチル基を含有する化合物と貴金属触媒との接触は、ラジカル的水素源の存在下で行われる。反応系にラジカル的水素源が存在すると、副反応が更に抑えやすくなり、目的物であるジクロロメチル基を含有する化合物をより高い選択性で得ることが容易となる。ラジカル的水素源は、特に制限されず、例えば、水素化トリブチルスズ、トリエチルシラン、トリフェニルメタン、ジブチルヒドロキシトルエンが挙げられ、水素化トリブチルスズが好ましい。ラジカル的水素源は1種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明においてトリクロロメチル基からジクロロメチル基への変換反応は、例えば、0℃から200℃の温度領域で1〜48時間程度で行われる。反応温度は0〜100℃であることが特に好ましい。
以下に本発明の実施例を含む実験を示し、本発明について更に詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[1]実験1−1〜1−6(触媒の検討)
炭素粒子に担持する金属の種類を変えて以下の実験1−1〜1−6を行った。結果を表1に示す。
実験1−1
2−(トリクロロアセチル)ピロール106.2mg(0.5mmol)と、10重量%Pt/C(白金担持炭素触媒、炭素粒子のBET法による比表面積1050 m2/g、炭素粒子のメジアン径:24μm、炭素粒子1g当たりの白金の担持量:白金元素に換算して0.57mmol、エヌ・イー ケムキャット(株)製、商品名:10%Pt-C(W)Kタイプ)9.8mg(白金元素として5.0μmol)と、クロロホルム1.0mlとを、試験管に投入し、試験管に取り付けたラバーセプタムに水素バルーンを取り付け、雰囲気を水素に置換した。引き続き水素雰囲気下、室温にて、6時間撹拌して反応を行った。その後、得られた反応液をセライトを用いてろ過し、更にセライトをジエチルエーテル15mlで洗浄した。得られたろ液を減圧濃縮し、得られた濃縮物をH−NMRにかけた。得られたスペクトルから、原料である2−(トリクロロアセチル)ピロールの回収率と、目的生成物である2−(ジクロロアセチル)ピロールならびに副生成物である2−(クロロアセチル)ピロールおよび2−アセチルピロールのおのおのの収率とを算出した。なお、本明細書において、原料の回収率とは、反応に使用した原料に対する反応後も未反応のままの残留する原料のモル比をいい、目的生成物の収率とは、反応に使用した原料に対するその目的生成物のモル比をいい、副生成物の収率とは、反応に使用した原料に対するその副生成物のモル比をいう。
実験1−2
実験1−1において、10重量%Pt/Cに代えて、10重量%Pd/C(パラジウム担持炭素触媒、炭素粒子のBET法による比表面積1050m2/g、炭素粒子のメジアン径:24μm、炭素粒子1g当たりのパラジウムの担持量:パラジウム元素に換算して1.04mmol、エヌ・イー ケムキャット(株)製、商品名:10%Pd-C(W)Kタイプ)5.3mg(パラジウム元素として5.0μmol)を用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
実験1−3
実験1−1において、10重量%Pt/Cに代えて、10重量%Rh/C(ロジウム担持炭素触媒、炭素粒子のBET法による比表面積1050m2/g、炭素粒子のメジアン径:24μm、炭素粒子1g当たりのロジウムの担持量:ロジウム元素に換算して1.08mmol、エヌ・イー ケムキャット(株)製、商品名:10%Rh-C(W)Kタイプ)5.1mg(ロジウム元素として5.0μmol)を用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
実験1−4
実験1−1において、10重量%Pt/Cに代えて、10重量%Ir/C(イリジウム担持炭素触媒、炭素粒子のBET法による比表面積1050 m2/g、炭素粒子のメジアン径:24μm、炭素粒子1g当たりのイリジウムの担持量:イリジウム元素に換算して0.58mmol、エヌ・イー ケムキャット(株)製、商品名:10%Ir-C(W)Kタイプ)9.6mg(イリジウム元素として5.0μmol)を用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
実験1−5
実験1−1において、10重量%Pt/Cに代えて、10重量%Ru/C(ルテニウム担持炭素触媒、炭素粒子のBET法による比表面積1050 m2/g、炭素粒子のメジアン径:24μm、炭素粒子1g当たりのルテニウムの担持量:ルテニウム元素に換算して1.10mmol、エヌ・イー ケムキャット(株)製、商品名:10%Ru-C(W)Kタイプ)5.1mg(ルテニウム元素として5.0μmol)を用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
実験1−6
実験1−1において、10重量%Pt/Cに代えて、10重量%Au/C(金担持炭素触媒、エヌ・イー ケムキャット(株)製)9.9mg(金元素として5.0μmol)を用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
Figure 2012111717
[2]実験2−1〜2−9(溶媒の検討)
反応に用いる溶媒の種類を変えて以下の実験2−1〜2−9を行った。結果を表2に示す。
実験2−1
実験1−1において、反応溶媒としてクロロホルムに代えて、N,N−ジメチルアセトアミドを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
実験2−2
実験1−1において、反応溶媒としてクロロホルムに代えて、アセトニトリルを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
実験1−1において、反応溶媒としてクロロホルムに代えて、ジメチルホルムアミドを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
実験2−4
実験1−1において、反応溶媒としてクロロホルムに代えて、水を用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
実験2−5
実験1−1において、反応溶媒としてクロロホルムに代えて、アセトンを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
実験2−6
実験1−1において、反応溶媒としてクロロホルムに代えて、ジメチルスルホキシドを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
実験2−7
実験1−1において、反応溶媒としてクロロホルムに代えて、テトラヒドロフランを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
実験2−8
実験1−1において、反応溶媒としてクロロホルムに代えて、酢酸エチルを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
実験2−9
実験1−1において、反応溶媒としてクロロホルムに代えて、シクロヘキサンを用いた以外は、実験1−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
Figure 2012111717
[3]実験3−1および3−2(反応時間の検討)
反応時間を変えて以下の実験3−1および3−2を行った。結果を表3に示す。
実験3−1
実験2−1において、反応時間を6時間から1時間に短縮した以外は、実験2−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
実験3−2
実験2−3において、反応時間を6時間から1時間に短縮した以外は、実験2−3と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
Figure 2012111717
※いずれも反応時間1時間
[4]実験4−1および4−2(触媒量の検討)
反応に用いる触媒量を変えて以下の実験4−1および4−2を行った。結果を表4に示す。表4には実験3−1の結果も合わせて示す。
実験4−1
実験3−1において、10重量%Pt/Cの量を9.8mg(白金元素として5.0μmol、原料に対して1.0モル%)から4.9mg(白金元素として2.5μmol、原料に対して0.5モル%)に変更した以外は、実験3−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
実験4−2
実験3−1において、10重量%Pt/Cの量を9.8mg(白金元素として5.0μmol、原料に対して1.0モル%)から14.7mg(白金元素として7.5μmol、原料に対して1.5モル%)に変更した以外は、実験3−1と同様に反応・後処理を行い、原料の回収率、目的生成物の収率および副生成物の収率を算出した。
Figure 2012111717
※原料である2−(トリクロロアセチル)ピロールに対する量
[5]実験5−1〜5−3(基質の検討)
反応の基質として用いられる原料の種類を変えて以下の実験5−1〜5−3を行った。結果を表5に示す。なお、表5中のR-CCl3、R-CHCl2、R-CH2ClおよびR-CH3はそれぞれ、原料、目的生成物、原料中のトリクロロメチル基の塩素原子2個が水素原子2個に置き換わって生成した副生成物および原料中のトリクロロメチル基の塩素原子3個が水素原子3個に置き換わって生成した副生成物に対応する。
実験5−1
実験2−1において、基質として2−(トリクロロアセチル)ピロールに代えて、3−(トリクロロアセチル)インドール131.3mg(0.5mmol)を用いた以外は、実験2−1と同様に反応・後処理を行い、得られた濃縮物をH−NMRにかけた。得られたスペクトルから、原料である3−(トリクロロアセチル)インドールの回収率と、目的生成物である3−(ジクロロアセチル)インドールならびに副生成物である3−(クロロアセチル)インドールおよび3−アセチルインドールのおのおのの収率とを算出した。
実験5−2
実験2−1において、基質として2−(トリクロロアセチル)ピロールに代えて、α−(トリクロロメチル)ベンジルアセテート125.8mg(0.5mmol)を用い、反応温度を室温から50℃に変更し、反応時間を6時間から27時間に変更した以外は、実験2−1と同様に反応・後処理を行い、得られた濃縮物をH−NMRにかけた。得られたスペクトルから、原料であるα−(トリクロロメチル)ベンジルアセテートの回収率と、目的生成物であるα−(ジクロロメチル)ベンジルアセテートならびに副生成物であるα−(クロロメチル)ベンジルアセテートおよびα−メチルベンジルアセテートのおのおのの収率とを算出した。
実験5−3
実験2−1において、基質として2−(トリクロロアセチル)ピロールに代えて、α,α,α−トリクロロアセトアニリド119.3mg(0.5mmol)を用い、反応時間を6時間から12時間に変更した以外は、実験2−1と同様に反応・後処理を行い、得られた濃縮物をH−NMRにかけた。得られたスペクトルから、原料であるα,α,α−トリクロロアセトアニリドの回収率と、目的生成物であるα,α−ジクロロアセトアニリドならびに副生成物であるα−クロロアセトアニリドおよびアセトアニリドのおのおのの収率とを算出した。
Figure 2012111717
[6]実験6−1および6−2(ラジカル的水素源添加の検討)
ラジカル的水素源の存在下で以下の実験6−1を行い、ラジカル的水素源の非存在下で以下の実験6−2を行った。結果を表6に示す。なお、表6中のR-CCl3、R-CHCl2、R-CH2ClおよびR-CH3は表5について説明したのと同じ意味を表す。
実験6−1
メトキシクロル172.8mg(0.5mmol)と、10重量%Pt/C9.8mg(白金元素として5.0μmol)と、N,N−ジメチルアセトアミド1.0mlと、水素化トリブチルスズ157.3μl(0.6mmol)とを、試験管に投入し、試験管に取り付けたラバーセプタムに水素バルーンを取り付け、雰囲気を水素に置換した。引き続き水素雰囲気下、室温にて、7時間撹拌して反応を行った。得られた反応液に飽和フッ化カリウム水溶液を加え、室温にて24時間撹拌した。その後、該反応液をセライトろ過し、更にセライトをジエチルエーテル15mlで洗浄した。得られたろ液に水10mlと飽和フッ化カリウム水溶液10mlを加え洗浄し、エーテル層と水層を回収した。水層をジエチルエーテル10mlで抽出し、エーテル層を回収し、先ほどのエーテル層と混合した。得られた混合物を減圧濃縮し、得られた濃縮物をヘキサン:酢酸エチル=20:1(容量比)を展開溶媒としてプレパラティヴ・TLCで精製した。さらに、得られた物質をジエチルエーテル(5 ml)に溶かし、スズ除去フィルター(VARIAN製、商品名:PL3514−CM89;予めジクロロメタン1ml、続いてジエチルエーテル2mlを流しておいたもの)に通し、さらに2mlのジエチルエーテルで洗浄した。得られた溶出液を減圧濃縮し、得られた濃縮物をH−NMRにかけ分析したところ、目的生成物である1,1‐ジクロロ‐2,2‐ビス(4‐メトキシフェニル)エタン(メトキシクロルにおいて塩素原子1個が水素原子1個に置き換わって生成した物質)のみが検出され、副生成物は検出されず、目的生成物111.3mgが単離収率72%で得られた。
実験6−2
メトキシクロル172.8mg(0.5mmol)と、10重量%Pt/C9.8mg(白金元素として5.0μmol)と、N,N−ジメチルアセトアミド1.0mlとを、試験管に投入し、試験管に取り付けたラバーセプタムに水素バルーンを取り付け、雰囲気を水素に置換した。引き続き水素雰囲気下、室温にて、24時間撹拌して反応を行った。その後、得られた反応液をセライトを用いてろ過し、更にセライトをジエチルエーテル15mlで洗浄した。得られたろ液を減圧濃縮し、得られた濃縮物を上記H−NMRにかけた。得られたスペクトルから、目的生成物である1,1‐ジクロロ‐2,2‐ビス(4‐メトキシフェニル)エタンの収率を算出した結果、45%(70.0mg相当)であった。なお、原料であるメトキシクロルの転化率は50%であった。
実験6−3
実験6−1において、基質としてメトキシクロルに代えて、(トリクロロメチル)ベンゼン70.8μl(0.5mmol)を用いた以外は、実験6−1と同様に水素化トリブチルスズ存在下にて反応を行い、2種のエーテル層を混合するまでの後処理を行った(プレパラティヴ・TLCによる精製は行わなかった)。得られた混合物を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、GC(ガスクロマトグラフィー)分析にて収率を算出した。目的生成物である(ジクロロメチル)ベンゼンの収率は53%であり、副生成物の(モノクロロメチル)ベンゼンが収率1.5%で副生した。(もう一種の副生成物であるトルエンは定量できなかった。)
実験6−4
実験6−1において、基質としてメトキシクロルに代えて、2,6−ジクロロ−4−(トリクロロメチル)ピリジン132.7mg(0.5mmol)を用い、反応時間を7時間から24時間に変更した以外は、実験6−1と同様に水素化トリブチルスズ存在下での反応とプレパラティヴ・TLCによる精製を含む後処理とを行った。スズ除去フィルターによる処理で得られた溶出液を減圧濃縮し、得られた濃縮物をGC分析したところ、目的生成物である2,6−ジクロロ−4−(ジクロロメチル)ピリジン(2,6−ジクロロ−4−(トリクロロメチル)ピリジンにおいて塩素原子1個が水素原子1個に置き換わって生成した物質)のみが検出され、副生成物は検出されず、目的生成物86.1mgが単離収率75%で得られた。
実験6−5
実験6−1において、基質としてメトキシクロルに代えて、2,2,2−トリクロロ−1−フェニルエタノール112.8mg(0.5mmol)を用い、反応時間を7時間から1時間に変更し、展開溶媒の容量比を20:1から10:1に変更した以外は、実験6−1と同様に水素化トリブチルスズ存在下での反応とプレパラティヴ・TLCによる精製を含む後処理とを行った。スズ除去フィルターによる処理で得られた溶出液を減圧濃縮し、得られた濃縮物をGC分析したところ、目的生成物である2,2−ジクロロ−1−フェニルエタノール(2,2,2−トリクロロ−1−フェニルエタノールにおいて塩素原子1個が水素原子1個に置き換わって生成した物質)のみが検出され、副生成物は検出されず、目的生成物50.2mgが単離収率53%で得られた。
実験6−6
実験6−1において、基質としてメトキシクロルに代えて、α−(トリクロロメチル)ベンジルアセテート133.8mg(0.5mmol)を用い、反応時間を7時間から1時間に変更し、展開溶媒の容量比を20:1から10:1に変更した以外は、実験6−1と同様に水素化トリブチルスズ存在下での反応とプレパラティヴ・TLCによる精製を含む後処理とを行った。スズ除去フィルターによる処理で得られた溶出液を減圧濃縮し、得られた濃縮物をGC分析したところ、目的生成物であるα−(ジクロロメチル)ベンジルアセテート(α−(トリクロロメチル)ベンジルアセテートにおいて塩素原子1個が水素原子1個に置き換わって生成した物質)以外には副生成物がわずかに検出されたのみで(おのおの収率0.1%未満)、目的生成物40.1mgが単離収率34%で得られた。
実験6−7
実験6−1において、基質としてメトキシクロルに代えて、N−(2,2,2−トリクロロエトキシ)カルボニル−p−トルイジン141.3mg(0.5mmol)を用い、反応時間を7時間から5時間に変更し、展開溶媒の容量比を20:1から10:1に変更した以外は、実験6−1と同様に水素化トリブチルスズ存在下での反応とプレパラティヴ・TLCによる精製を含む後処理とを行った。スズ除去フィルターによる処理で得られた溶出液を減圧濃縮し、得られた濃縮物をGC分析したところ、目的生成物であるN−(2,2−ジクロロエトキシ)カルボニル−p−トルイジン(N−(2,2,2−トリクロロエトキシ)カルボニル−p−トルイジンにおいて塩素原子1個が水素原子1個に置き換わって生成した物質)のみが検出され、副生成物は検出されず、目的生成物90.6mgが単離収率73%で得られた。
Figure 2012111717

Claims (5)

  1. トリクロロメチル基を含有する化合物を水素雰囲気下で湿式にて貴金属触媒と接触させて、該トリクロロメチル基中の炭素−塩素結合を1つ切断し塩素を脱離させることを含む、ジクロロメチル基を含有する化合物を得る方法。
  2. 上記貴金属触媒が、炭素粒子と、該炭素粒子に担持され、白金、パラジウムおよびロジウムからなる群より選択される少なくとも1種の貴金属とを含む触媒である請求項1に係る方法。
  3. 上記接触がジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、酢酸エチルまたはこれらの2種以上の混合物中で行われる請求項1または2に係る方法。
  4. 上記接触がラジカル的水素源の存在下で行われる請求項1〜3のいずれか1項に係る方法。
  5. 上記ラジカル的水素源が水素化トリブチルスズである請求項4に係る方法。
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