JP2012109772A - Mems共振器 - Google Patents

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智弘 岩崎
Kunihiko Nakamura
邦彦 中村
Takehiko Yamakawa
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Abstract

【課題】MEMS共振器において、差動動作を可能とする構成を有して、ノイズの低減を図ることができ、小型で高出力の捩り振動を用いたMEMS共振器を提供すること。
【解決手段】MEMS共振器は、両端が捩り振動の節となり、中央が捩り振動の腹となる振動部(5a)を有する振動子(5)と、前記振動部(5a)の外周面を構成する少なくとも2つの側面に対向し、前記振動部(5a)の中央に配置された少なくとも3つの電極(2,3,7)と、を備えており、前記少なくとも3つの電極における2つの電極に対して、互いに位相が180度異なる交流信号が入力または出力されるよう構成されている。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子機器等においてタイミングデバイスとして用いられるMEMS(Micro-Electro-Mechanical System)共振器に関し、特に捩り振動を用いた捩り振動共振器に関する。
近年、タイミングデバイスとして、図17に示すように、共振器131から出力された信号をアンプ132で増幅し、その増幅された信号を共振器131に帰還させる発振器133が利用されている。図17は従来の不平衡型の共振器131を利用した発振器133を示す回路図である。このような発振器133の代表例としては、水晶振動子を用いた水晶発振器がある。しかし、水晶発振器においては、サイズが大きくなることや集積化に不向きであるなどの問題を有している。水晶発振器に代わるタイミングデバイスとしては、半導体プロセスを用いて高精度、且つ微細に作成可能なシリコン型MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)共振器を用いたMEMS発振器が知られている。MEMS共振器は、半導体プロセスにより作成された微細な振動子を、所定の周波数で共振させることにより、振動子と出力電極との間の静電容量を変化させて、この静電容量の変化を出力電極から電圧として出力するものである。
一般的に、共振器においては、ノイズを低減するために、差動動作が有効であることが知られている。差動動作を実現する従来技術としては、撓み振動を用いたMEMS共振器が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1に開示されたMEMS共振器においては、撓み振動する振動子の位相、および2つの出力電極の配置を特定することにより、差動動作を実現している。
図18は特許文献1に開示された従来のMEMS共振器100の概略構成を示す断面図である。図18に示すように、MEMS共振器100は、基板106上に形成された入力電極101と、不平衡入力信号を平衡出力信号で出力する出力電極(第1出力電極102、第2出力電極103)と、撓み振動を行う振動子104に接続された電極105とを備えている。振動子104は、入力電極101、第1出力電極102および第2出力電極103の各電極に対して隙間107を介して対向して配置されている。第1出力電極102は入力電極101の位相と180度位相の異なる位置に配置されており、第2出力電極103は入力電極101の位相と同じ位相の位置に配置されている。このように構成された撓み振動共振器であるMEMS共振器100は、第1出力電極102および第2出力電極103から平衡出力信号が出力されるよう構成されている。
さらに、従来のMEMS共振器としては、エネルギー効率を向上させるため、振動エネルギーの散逸が少ない捩り振動を用いた捩り振動共振器が提案されている(特許文献2参照)。図19は特許文献2に開示された従来の捩り振動共振器200を示す斜視図である。特許文献2に開示された捩り振動共振器200は、捩り振動を行う梁型振動子201と、梁型振動子201の側面に隙間を介して近接された電極202とを備えている。図20は、図19におけるXX−XX線により切断した場合の概略構成を示す概念図である。なお、図20においては、電極202として、梁型振動子201の両側面に隙間を介して入力電極202aと、出力電極202bとが設けられていることを示している。
図20において、入力電極202aに入力交流電圧vが印加されることにより、梁型振動子201に捩り振動が発生し、梁型振動子201と出力電極202bとの間の静電容量が変化することにより、出力電極202bから交流電流が出力される。
図20に示す従来の捩り振動共振器において、入力電極202aと梁型振動子201との間に、DC電圧Vpと入力交流電圧vとを重畳させて印加すると、交流信号(v)の周波数を有して梁型振動子201に印加される静電力Fは、下記式(1)により示される。
Figure 2012109772
式(1)において、Cは入力電極202aと梁型振動子201との間の静電容量であり、xは梁型振動子201の捩り振動に伴う入力電極202aと梁型振動子201との間の隙間(距離)の変化量である。式(1)に示すように、ΔC/Δxが最大となるように静電容量C、すなわち入力電極202aと梁型振動子201との対向面積や隙間(距離)を決めることにより、静電力Fを最大にすることが可能である。また、捩り振動を行っている梁型振動子201により出力電極202bに発生する交流電流iは、下記式(2)となる。
Figure 2012109772
式(2)に示すように、ΔC/Δxが最大となるように静電容量C、すなわち出力電極202bと梁型振動子201との対向面積や隙間を決めることにより、発生する電流iを最大にすることが可能である。
また、捩り振動を用いた他のMEMS共振器としては、不要な撓み振動を防止することを目的として構成された捩り振動共振器が提案されている(特許文献3参照)。図21は特許文献3に開示された捩り振動共振器300を示す斜視図である。図21に示すように、捩り振動共振器300は、振動体301の中心軸に対する対称位置にパドル状突起303a,303b,303c,303dが形成されている。また、各パドル状突起303a,303b,303c,303dに近接して、電極304a,304b,304c,304dが基板302上に設けられている。
上記のように構成された捩り振動共振器300においては、振動体301の捩り振動に伴い、振動体301から距離が遠ざかる電極と、振動体301からの距離が近づく電極との電極対には、同一の交流信号で互いに極性の異なる直流バイアス電圧が印加される。この結果、捩り振動共振器300においては、図22に示すように、振動体301において、パドル状突起303a,303bの回転方向と、パドル状突起303c,303dの回転方向が逆方向となり、振動体301の軸まわりに逆方向の回転モーメントを受けて、捩り振動が生起される。このように構成された特許文献3に開示された捩り振動共振器300においては、振動体301における不要な撓み振動が防止される構造となり、捩り振動のみを励振させることが可能な構成となる。
特開2005−094568号公報 国際公開第WO2006/075717号パンフレット 国際公開第WO2006/013741号パンフレット
前述の特許文献1に開示された従来のMEMS共振器の構成において、差動動作を実現するためには、振動の腹が3つ以上である3次以上の振動モードを用いる必要がある。したがって、このような従来のMEMS共振器において、所定の周波数で共振させて差動動作を行わせるためには、振動子が1次振動モードの場合に比べて、少なくとも3倍以上の長さが必要となり、MEMS共振器として大きな空間を占有するという問題がある。
また、特許文献2および特許文献3に開示された従来のMEMS共振器は、いずれも単相信号により共振動作して、単相信号が出力される捩り振動共振器に関するものであり、差動動作を実現できる構成ではない。
本発明は、MEMS共振器において、差動動作を可能とする構成を有して、ノイズの低減を図ることができ、小型で高出力の捩り振動を用いたMEMS共振器を提供することを目的とする。
本発明に係る第1の態様のMEMS共振器は、両端が捩り振動の節となり、中央が捩り振動の腹となる振動部を有する振動子と、
前記振動部の外周面を構成する少なくとも2つの側面に対向し、前記振動部の中央に配置された少なくとも3つの電極と、を備え、
前記少なくとも3つの電極における2つの電極は、前記振動部の捩り振動において、一方の電極と前記振動部との間隔が大きくなるとき、他方の電極と前記振動部との間隔が小さくなる位置に、それぞれ配置され、
前記少なくとも3つの電極における1つの電極は、前記振動部の捩り振動に伴い、前記振動部との間隔が変化する位置に配置され、
前記少なくとも3つの電極における2つの電極に対して、互いに位相が180度異なる交流信号が入力または出力されるよう構成されている。このように構成された本発明に係る第1の態様のMEMS共振器は、差動動作を可能とする構成を有しており、ノイズの低減を図ることができるとともに、小型で高出力の捩り振動を用いたMEMS共振器を提供することができる。
本発明に係る第2の態様のMEMS共振器は、前記の第1の態様において、前記少なくとも3つの電極における2つの電極が入力電極として用いられ、当該入力電極は、前記振動部の捩り振動において、一方の電極と前記振動部との間隔が大きくなるとき、他方の電極と前記振動部との間隔が小さくなる位置に、それぞれ配置されており、
前記少なくとも3つの電極における1つの電極が出力電極として用いられ、当該出力電極は、前記振動部の捩り振動に伴い、前記振動部との間隔が変化する位置に配置されており、
前記入力電極に互いに位相が180度異なる交流信号をそれぞれ入力することにより、前記振動部が1次モードの捩り振動を生じて、前記出力電極から交流信号が出力されるよう構成してもよい。
本発明に係る第3の態様のMEMS共振器は、前記の第1の態様において、前記少なくとも3つの電極における2つの電極が出力電極として用いられ、当該出力電極は、前記振動部の捩り振動に伴い、一方の電極と前記振動部との間隔が大きくなるとき、他方の電極と前記振動部との間隔が小さくなる位置に、それぞれ配置されており、
前記少なくとも3つの電極における1つの電極が入力電極として用いられ、当該入力電極は、前記振動部の捩り振動において、前記振動部との間隔が変化する位置に配置されており、
前記入力電極に交流信号を入力することにより、前記振動部が1次モードの捩り振動を生じて、前記出力電極から互いに位相が180度異なる交流信号を出力するよう構成してもよい。
本発明に係る第4の態様のMEMS共振器は、前記の第1の態様において、前記入力電極が2つの電極により構成され、前記振動部の捩り振動において、前記入力電極における、一方の電極と前記振動部との間隔が大きくなるとき、他方の電極と前記振動部との間隔が小さくなる位置に、それぞれ配置されており、
前記出力電極が2つの電極により構成され、前記振動部の捩り振動に伴い、前記出力電極における、一方の電極と前記振動部との間隔が大きくなるとき、他方の電極と前記振動部との間隔が小さくなる位置に、それぞれ配置されており、
前記入力電極に互いに位相が180度異なる交流信号をそれぞれ入力することにより、前記振動部が1次モードの捩り振動を生じて、前記出力電極から互いに位相が180度異なる交流信号を出力するよう構成してもよい。
本発明に係る第5の態様のMEMS共振器は、前記の第2の態様または第4の態様において、前記入力電極における2つの電極を、前記振動部の外周面を構成する同じ側面に対向して配置してもよい。
本発明に係る第6の態様のMEMS共振器は、前記の第2の態様または第4の態様において、前記入力電極における2つの電極を、前記振動部の外周面を構成する異なる側面に対向して配置してもよい。
本発明に係る第7の態様のMEMS共振器は、前記の第3の態様または第4の態様において、前記出力電極における2つの電極を、前記振動部の外周面を構成する同じ側面に対向して配置してもよい。
本発明に係る第8の態様のMEMS共振器は、前記の第3の態様または第4の態様において、前記出力電極における2つの電極を、前記振動部の外周面を構成する異なる側面に対向して配置してもよい。
本発明によれば、差動動作を精度高く行うことが可能となるため、ノイズの低減を図ることができ、小型で高出力のMEMS共振器を実現することができる。
本発明に係る第1の実施形態の捩り振動共振器における振動子の構造を示した斜視図 図1に示した第1の実施形態の捩り振動共振器の断面図 第1の実施形態の捩り振動共振器における振動子の振動変位を示す図 第1の実施形態の捩り振動共振器の等価回路図 第1の実施形態の捩り振動共振器における出力を示すグラフ 第1の実施形態の捩り振動共振器の製造プロセスを示す図 第1の実施形態の捩り振動共振器を利用した発振器の回路図 第1の実施形態における他の構成の捩り振動共振器を示す斜視図 図8に示した第1の実施形態における他の構成の捩り振動共振器の断面図 本発明に係る第2の実施形態の捩り振動共振器における振動子の構造を示した斜視図 図10に示した第2の実施形態の捩り振動共振器の断面図 第2の実施形態の捩り振動共振器の製造プロセスを示す図 本発明に係る第3の実施形態の捩り振動共振器における振動子の構造を示した斜視図 図13に示した第3の実施形態の捩り振動共振器の断面図 第3の実施形態の捩り振動共振器を利用した発振器の回路図 本発明に係る第4の実施形態の捩り振動共振器の断面図 従来の不平衡型の共振器を利用した発振器の回路図 従来の撓み振動共振器(特許文献1)の断面図 従来の捩り振動共振器(特許文献2)の斜視図 従来の捩り振動共振器(特許文献2)の概念構成を示す断面図 従来の捩り振動共振器(特許文献3)の斜視図 従来の捩り振動共振器(特許文献3)の振動変位を示す図
以下、本発明のMEMS共振器に係る実施形態として捩り振動共振器について、添付の図面を参照しながら説明する。なお、本発明のMEMS共振器は、以下の実施形態に記載した捩り振動共振器の構成に限定されるものではなく、以下の実施形態において説明する技術的思想と同等の技術的思想および当技術分野における技術常識に基づいて構成されるMEMS共振器を含むものである。なお、本発明を説明する図面においては、MEMS共振器という微細機構の構成を示すため、厚み、寸法および形状などを誇張して示している。
(第1の実施形態)
図1は本発明に係る第1の実施形態の捩り振動共振器における振動子の構造を示した斜視図である。図2は図1における捩り振動共振器のII−II線による断面図である。
図1に示すように、第1の実施形態の捩り振動共振器は、基板1上に、両端が基板1に固定された梁構造体を有する振動子5が形成されている。すなわち、振動子5の中央部分である振動部5aは両持ち固定された吊設状態(梁構造状態)である。したがって、振動子5の振動部5aは、基板1に対してギャップ(空隙)を有して配置されており、中空状態に設けられている。振動部5aにおける長手方向(振動子5における振動の節(両端部分)を含む方向)と平行な中心軸に対して直交する振動部5aの断面形状は、矩形状であり、第1の実施形態においては四角形である。第1の実施の形態においては、振動部5aの外面を構成する4面のうち、基板1と対向する面を下面51とし、該下面の反対面であり該下面に平行な面を上面52として説明する。なお、第1の実施形態において、断面が四角形の振動部5aの外面を構成する4面を側面とし、基板1と対向する面(下面:51)、および該下面51の反対面であり該下面51に平行な面(上面:52)を含むものとする。
図2に示すように、振動部5aの下面51に対して、所定のギャップを介して対向するように第1の電極2の端部2aおよび第2の電極3の端部3aがそれぞれ配設されている。また、振動部5aの上面52に対して、所定のギャップを介して対向するように第3の電極6の端部6aおよび第4の電極7の端部7aがそれぞれ配設されている。第1の電極2および第3の電極6の間、並びに第2の電極3および第4の電極7の間はそれぞれが電気的に導通しないように絶縁層4を挟んで設けられている。
また、基板1上に配設された第1の電極2の端部2aおよび第2の電極3の端部3aの互いに対向する縁部分は、振動部5aの長手方向の中心軸Pに沿って平行に配置されており、所定の空隙を有して対向している。同様に、第3の電極6および第4の電極7の互いに対向する縁部分は、振動部5aの長手方向の中心軸Pに沿って配置されており、所定の空隙を有して対向している。したがって、第1の電極2および第2の電極3、並びに第3の電極6および第4の電極7は、振動部5aの長手方向の中心軸Pに平行に配置されており、少なくとも振動部5aの長手方向における中間部分(振動の腹部分)に配置されている。
第1の実施形態の捩り振動共振器においては、振動部5aのそれぞれの側面(下面51,上面52)において、中心軸Pから各側面に垂らした垂線により分割された2つの領域における一方の領域に対して一方の電極を対向させ、他方の領域に対して他方の電極を対向させるよう構成されている。
第1の実施形態に係る捩り振動共振器においては、第1の電極2と第2の電極3には、180度位相の異なる交流信号が入力され、更に振動子5にはバイアス電圧が印加される。このように、第1の電極2と第2の電極3に交流信号が入力されることにより、例えば図2において実線の矢印または破線の矢印で示すように、振動部5aには逆方向の静電力が生起される。すなわち、振動部5aの下面51において、例えば一方では電極から遠ざかる方向に、他方では電極に近づく方向に中心軸Pを中心として回転モーメントが発生する。このように、第1の電極2と第2の電極3に交流信号が入力されるため、振動部5aには実線の矢印の方向または破線の矢印の方向に回転モーメントが発生する。
上記のように、第1の実施形態に係る捩り振動共振器においては、交流信号が入力されるため、逆方向の静電力を維持しながら、振動子5には梁構造体の中心軸Pを中心とした回転モーメントが生起される。このように生起された回転モーメントにより振動部5aが回転したとき、例えば第3の電極6に振動部5aの上面52の一方が近づくとき、第4の電極7から振動部5aの上面52の他方が遠ざかるように、第3の電極6および第4の電極7が分離されているため、第3の電極6および第4の電極7からは180度位相の異なる差動信号が出力される。
第1の実施形態に係る捩り振動共振器においては、第1の電極2、第2の電極3、第3の電極6、および第4の電極7が、梁構造体における振動部5aの長手方向の中心軸Pに沿って配置され、一様に対向するよう配置されている。すなわち、各電極2,3,6,7が振動部5aの長手方向の中心軸Pに沿って分離されていない一体構造であり、梁構造体の振動部5aの中間部分(振動の腹部分)の位置に各電極2,3,6,7が配置されている。このような構造を有しているため、第1の実施形態に係る捩り振動共振器において、振動子5は両端部分が振動の節となり中央部分が腹となる1次捩り振動モードで励振する。図3は振動子5が1次捩り振動モードで励振する状態を模式的に示した図である。図3に示すように、振動子5は、その両端部分が固定端(振動の節)であり、中心が最大変位(振動の腹)となる1次捩り振動モードで励振する。
図4は本発明に係る第1の実施形態の捩り振動共振器の等価回路を示している。一般的に、捩り振動共振器は入出力に対して直列のL,C,Rと電気−機械変換のトランスによって表現される。第1の実施形態においては、更に入力段と出力段に電極が追加されているため、トランスを一対追加しており、更に差動入力を表現するために入力段にトランスを追加している。
図5における(a),(b)および(c)は、図4の等価回路を使用して数値計算した結果を示すグラフである。図5の(a)および(b)において、横軸が周波数[MHz]を示し、縦軸が出力信号の振幅[dB]を示している。図5の(a)は第3の電極6からの出力信号を示し、図5の(b)は第4の電極7からの出力信号を示している。図5の(a)と図5の(b)から第3の電極6と第4の電極7から出力される信号は、それぞれ同じ周波数で共振していることが理解できる。
また、図5の(c)において、横軸が周波数[MHz]を示し、縦軸が位相差を示し、第3の電極6と第4の電極7から出力される信号の位相差をプロットしている。図5の(c)から理解できるように、第3の電極6および第4の電極7からの出力信号により180度位相差の差動出力信号が得られる。
第1の実施形態の捩り振動共振器において、図2に示したように、振動部5aに対する第1の電極2と第2の電極3の配設状態は、振動部5aの中心軸P、すなわち回転モーメントの中心(P)から振動部5aの下面51に対して垂線を垂らし、その垂線の延長線の位置で分離して左右対称の位置に配置することが好ましい。また、第1の電極2および第2の電極3は、振動部5aに対してより近接した位置に配置することにより、各電極2,3と振動子5との間のΔC/Δxが大きくなり、振動子5が回転するために作用する静電力も大きくなる。
前述の図20に示した従来の捩り振動共振器の構造においては、梁型振動子の側面の略半分(1/2)に対向して入力電極を設けることが静電力を最大化する最適値であった。一方、第1の実施形態の捩り振動共振器においては、入力電極である第1の電極2と第2の電極3における振動部5aとの対向面積の和を、振動部5a下面51の面積の1/2よりも大きく設定することが可能である。したがって、第1の実施形態の捩り振動共振器は、図20に示した従来の捩り振動共振器に比べて、同じ駆動電圧、同じギャップであっても、より大きな静電力を生起することができる構造である。
また、第1の実施形態の捩り振動共振器において、図2に示したように、振動部5aに対する第3の電極6と第4の電極7の配設状態は、振動部5aの中心軸P、すなわち回転モーメントの中心(P)から、振動部5aの上面52に対して垂線を垂らし、その垂線の延長線の位置で分離して左右対称の位置に配置することが好ましい。また、第3の電極6および第4の電極7は、振動部5aに対してより近接した位置に配置することにより、各電極6,7と振動子5との間のΔC/Δxが大きくなり、出力電流も大きくなる。
さらに、出力電極である第3の電極6と第4の電極7における振動部5aとの対向面積の和を、振動部5aの上面52の面積の1/2よりも大きく設定することが可能である。したがって、第1の実施形態の捩り振動共振器は、図20に示した従来の捩り振動共振器に比べて、大きな出力電流を得ることができ、より低い電圧で駆動しても、同じ静電力および同じ出力電流を得ることができる。このため、第1の実施形態の捩り振動共振器は、さらなる低電圧化を実現できる構成を有している。
また、第1の実施形態の捩り振動共振器においては、振動部5aの下面51における長手方向と平行な中心線で分離された左右領域に逆方向の静電力を作用させて、振動部5aに回転モーメントを生起させている。このため、第1の実施形態の捩り振動共振器は、梁構造体の振動子5が異なる周波数で上下方向に振動する撓み振動などの不要な振動モードが生起されず、捩り振動モードだけ生起される梁構造体となる。
次に、本発明に係る第1の実施形態の捩り振動共振器の製造方法について説明する。
図6における(a)から(f)は第1の実施形態の捩り振動共振器を製造するためのプロセスフローの一例を示す図である。
まず、図6の(a)に示すように、基板1上に第1の電極2および第2の電極3を形成する。各電極2,3は金属などの導電性膜で形成され、半導体プロセスの成膜、フォトリソ、エッチングなどの工程により形成される。
次に、図6の(b)に示すように、第1の電極2および第2の電極3の上に犠牲層膜8、例えばシリコン酸化膜などが成膜される。
更に、図6の(c)に示すように、振動子5となる材料、例えばポリシリコンなどが成膜加工される。
次に、図6の(d)に示すように、振動子5の材料と犠牲層8の上に犠牲層9、例えば犠牲層8と同じ材料であるシリコン酸化膜などが成膜される。
更に、図6の(e)に示すように、第3の電極6および第4の電極7が順次形成される。
最後に、図6の(f)に示すように、選択的に一部の犠牲層8,9を除去し、基板1上に各電極2,3,6,7から所定のギャップを有した中空状態の梁構造体である振動子5が形成される。
上記の製造工程により、図1に示した梁構造体の捩り振動共振器が実現される。
上記のように製造され構成された第1の実施形態の捩り振動共振器は、差動入出力で構成される平衡型の捩り振動共振器である。図7は、第1の実施形態の平衡型の捩り振動共振器を用いた発振器33の構成を示す回路図である。図7に示すように、第1の実施形態の捩り振動共振器31から出力された信号を差動アンプ32で増幅し、その増幅された信号を捩り共振器31に帰還させるよう接続することにより、雑音影響を排除することができる発振器33を構成することができる。
なお、図1に示した第1の実施形態の捩り振動共振器においては、第1の電極2と第2の電極3を差動入力とし、第3の電極6と第4の電極7を差動出力とした構成について説明したが、第3の電極6と第4の電極7を差動入力とし、第1の電極2と第2の電極3を差動出力としても前述の図1に示した第1の実施形態の捩り振動共振器と同様の効果が得られる。
また、第1の実施形態の捩り振動共振器の構成においては、振動子5の振動部5aにおける異なる側面に対向した第1の電極2と第3の電極6を差動入力(若しくは差動出力)とし、第2の電極3と第4の電極7を差動出力(若しくは差動入力)として構成してもよい。このように構成した場合においても、図2に示すように、振動部5aが捩れ振動しているとき、振動部5aの第1の電極2に対向する側面(下面51)が第1の電極2に近づくとき、第3の電極6に対向する側面(上面52)が第3の電極6から遠ざかり、かつ第4の電極7に対向する側面(上面52)が第4の電極7に近づくとき、第2の電極3に対向する側面(下面51)が第2の電極3から遠ざかるため、差動入出力の構成となり、前述の図1に示した第1の実施形態の捩り振動共振器と同様の効果が得られる。
図8は、本発明に係る第1の実施形態における別の構成の捩り振動共振器を示す斜視図である。図9は図8におけるIX-IX線による断面図である。図8および図9に示す捩り振動共振器においては、梁構造体の振動子5に対する4つの電極11,12,13,14が、振動部5aの側面に対向するよう配置されている。なお、ここで側面とは、断面が四角形の振動部5aの外面を構成する4面のことであり、基板1と対向する面を下面51とし、該下面51の反対面であり該下面51に平行な面を上面52とするとともに、図9において左側の側面を第1の側面53として、右側の側面を第2の側面54として説明する。なお、第1の側面53と第2の側面54は互いに平行であり、下面51および上面52に対して垂直となっている。
図8および図9に示すように、この捩り振動共振器においては、振動部5aの第1の側面53に対向して、所定のギャップを介して第1の電極11の端部11aと第2の電極13の端部13aが配置されている。また、振動部5aの第2の側面54に対向して、所定のギャップを介して第3の電極12の端部12aと第4の電極14の端部14aが配置されている。このように構成された捩り振動共振器においても、前述の第1の実施形態の捩り振動共振器と同様の効果を得ることができる。
図8および図9に示す捩り振動共振器においては、第1の電極11および第2の電極13、並びに第3の電極12および第4の電極14は、それぞれが絶縁体60を狭持することにより電気的に絶縁されている。しかし、絶縁体60は、誘電率を持つため、第1の電極11および第2の電極13の差動電極、並びに第3の電極12および第4の電極14の差動電極はそれぞれが容量結合である。このように構成された捩り振動共振器においては、差動信号が結合されて、雑音による影響が抑制された構成となる。
なお、第1の実施形態の捩り振動共振器においては、振動子5が梁構造体を有し、その振動部5aの長手方向に直交する断面形状が四角形である場合について説明したが、本発明はこのような形状に限定されるものではなく、少なくとも2面の側面を備えた多角形形状であれば同様の効果を得ることが可能である。
上記のように、本発明に係る第1の実施形態のMEMS共振器においては、梁構造体を構成する振動子(5)における振動部(5a)の第1面(51)に所定のギャップ(間隔)を介して第1の電極対(2,3)を対向させており、また振動部(5a)の第2面(52)に所定の間隔を介して第2の電極対(6,7)を対向させている。さらに、第1の電極対(2,3)および第2の電極対(6,7)はそれぞれ振動部(5a)の長手方向(捩り振動の節を含む方向)に平行な線において分離されている。
また、本発明に係る第1の実施形態のMEMS共振器においては、第1の電極対(2,3)における第1電極(2)と第2電極(3)に逆符号となる差動信号を入力することにより、第1電極(2)と振動部(5a)との間、および第2電極(3)と振動部(5a)との間の静電力を逆方向に印加し、振動部の中心軸(P)を中心とした1次捩り振動となる回転モーメントを生起させている。この結果、第2の電極対(6,7)における第3電極(6)と第4電極(7)から第1の電極対(2,3)に入力された差動信号に対応した差動信号を確実に出力させることができる。
また、本発明に係る第1の実施形態のMEMS共振器においては、第2の電極対(6,7)を入力電極とし、第1の電極対(2,3)を出力電極として構成し、第2の電極対(6,7)から入力された差動信号に対応した差動信号を第1の電極対(2,3)から確実に出力させることも可能である。
さらに、第1電極(2)と第3電極(6)の電極対から入力された差動信号に対応した差動信号を第2電極(3)と第4電極(7)の電極対から出力させること、若しくはその逆の第2電極(3)と第4電極(7)の電極対から入力された差動信号に対応した差動信号を第1電極(2)と第3電極(6)の電極対から出力させることも可能である。
また、本発明に係る第1の実施形態のMEMS共振器においては、振動子(5)における振動部(5a)の外周面を構成する側面(平面)の1面に対して、引力を持つ静電力と反発力を持つ静電力の両方の力が回転モーメントの中心軸を挟んだ両側に生じるため、従来の構成より大きな静電力により振動子を駆動することができる構成となる。
(第2の実施形態)
図10は、本発明に係る第2の実施形態の捩り振動共振器における振動子の構造を示した斜視図である。図11は図10における捩り振動共振器のXI−XI線による断面図である。なお、第2の実施形態において、前述の第1の実施形態と同様の機能、構成を有するものには同じ符号を付して、それらの説明は省略する。
図10に示すように、第2の実施形態の捩り振動共振器は、基板1上に、両端が基板1に固定された梁構造体を有する振動子15が形成されている。したがって、この振動子15の中央部分である振動部15aは、両持ち固定された吊設状態(梁構造状態)であり、基板1に対してギャップ(空隙)を有して配置されている。振動部15aにおける長手方向(振動部15aの固定端(捩り振動の節)を含む方向)と平行な中心軸Pに対して直交する振動部15aの断面形状は三角形であり、第2の実施形態における振動部15aは三角柱形状である。第2の実施形態においては、三角柱形状の振動部15aの外周面を構成する3つの側面のうち、基板1と対向して平行な面を下面61とし、他の2面のうち、図11における左側の側面を第1の面62、右側の側面を第2の面63として説明する。
図11に示すように、第2の実施形態の捩り振動共振器においては、振動子15の振動部15aの第1の面62に対して、所定のギャップを介して対向するように第1の電極17および第2の電極18がそれぞれ形成されている。また、振動部15aの第2の面63に対して、所定のギャップを介して対向するように第3の電極19および第4の電極20がそれぞれ形成されている。
第2の電極18には引き出し電極22が接続されており、この引き出し電極22により第2の電極18が引き出される構成である。また、第4の電極20には引き出し電極23が接続されており、この引き出し電極23により第4の電極20が引き出される構成である。第1の電極17と第2の電極18との間、および第1の電極17と引き出し電極22との間には、それぞれが電気的に導通しないように絶縁層21が設けられている。同様に、第3の電極19と第4の電極20との間、第3の電極19と引き出し電極23との間には、それぞれが電気的に導通しないように絶縁層21が設けられている。また、振動部15aの第1の面62に対向する第1の電極17と第2の電極18は、振動部15aの長手方向に沿って平行に分離されている。同様に、第3の電極19と第4の電極20は、振動部15aの長手方向に沿って平行に分離されている。
第2の実施形態の捩り振動共振器においては、振動部15aのそれぞれの側面(第2の面62,第3の面63)において、中心軸Pから各側面に垂らした垂線により分割された2つの領域における一方の領域に対して一方の電極を対向させ、他方の領域に対して他方の電極を対向させるよう構成されている。
上記のように構成された第2の実施形態の捩り振動共振器において、第1の電極17と第2の電極18には180度位相の異なる交流信号が入力され、振動子15にはバイアス電圧が印加される。この結果、振動部15aには、例えば図11において実線の矢印または破線の矢印で示すように、逆方向の静電力が生起される。このように、第1の電極17と第2の電極18には交流信号が入力されるため、常に逆方向の静電力を維持しながら、梁構造体の振動部15aにおいては長手方向に平行な中心軸Pを中心とした回転モーメントが生起される。したがって、振動部15aの第2の面63に対向する第3の電極19と第4の電極20においては、振動部15aの一方が第3の電極19に近づくとき、振動部15aの他方が第4の電極20から遠ざかることとなる。この結果、第3の電極19と第4の電極20からは180度位相の異なる差動信号が出力される。
第2の実施形態の捩り振動共振器においては、第1の電極17、第2の電極18、第3の電極19、および第4の電極20のそれぞれが、梁構造体の振動子15における中空部分(捩り振動部分)である振動部15aの長手方向に沿って、その中央部分を含んで一様に対向するよう配設されている。すなわち、入力電極である第1の電極17と第2の電極18との間、および出力電極である第3の電極19と第4の電極20との間は、振動部15aの長手方向に直交する方向には分離されていない構造である。したがって、第2の実施形態の捩り振動共振器においては、前述の図3に示したように、振動部15aの両端のみが固定端となる振動の節となり、中心が最大変位となる振動の腹となる1次捩り振動モードで励振する。
本発明に係る第2の実施形態の捩り振動共振器の等価回路は、定数は異なるが、前述の図4に示した第1の実施形態の捩り振動共振器の等価回路と同じになる。出力信号の位相差は等価回路の定数の影響を受けないため、第3の電極19と第4の電極20(引き出し電極23)から180度位相差を有する差動信号が出力されることになる。
また、第2の実施形態の捩り振動共振器においては、図11に示すように、振動部15aに対する第1の電極17と第2の電極18の配設状態は、振動部15aの中心軸P、すなわち回転モーメントの中心(P)から第1の面62に対して垂線を垂らし、その垂線の延長線の位置で分離して左右対称の位置に配置することが好ましい。
更に、第1の電極17および第2の電極18は、振動部15aに対してより近接した位置に配置することにより、各電極17,18と振動子15との間のΔC/Δxが大きくなり、振動子15が回転するために作用する静電力も大きくなる。
第2の実施形態の捩り振動共振器においては、入力電極である第1の電極17と第2の電極18における振動部15aとの対向面積の和を、振動部15aの第1の面62の面積の1/2よりも大きく設定することが可能である。したがって、第2の実施形態の捩り振動共振器は、前述の図20に示した従来の捩り振動共振器に比べて、同じ駆動電圧、同じギャップであっても、より大きな静電力を生起することができる構造である。
また、第2の実施形態の捩り振動共振器において、図11に示したように、振動部15aに対する第3の電極19と第4の電極20の配設状態は、振動部15aの中心軸P、すなわち回転モーメントの中心(P)から、振動部15aの第2の面63に対して垂線を垂らし、その垂線の延長線の位置で分離して左右対称の位置に配置することが好ましい。また、第3の電極19および第4の電極20は、振動部15aに対してより近接した位置に配置することにより、各電極19,20と振動子15との間のΔC/Δxが大きくなり、出力電流も大きくなる。
さらに、出力電極である第3の電極19と第4の電極20における振動部15aとの対向面積の和を、振動部15aの第2の面63の面積の1/2よりも大きく設定することが可能である。したがって、第2の実施形態の捩り振動共振器は、図20に示した従来の捩り振動共振器に比べて、大きな出力電流を得ることができ、より低い電圧で駆動しても、同じ静電力および同じ出力電流を得ることができる。このため、第2の実施形態の捩り振動共振器は、低電圧化を実現できる構成を有している。
なお、図11においては、第1の電極17および第2の電極18、ならびに第3の電極19および第4の電極20とのそれぞれの分離面が、鉛直方向に平行な面で構成された例を示しているが、これらの分離面は振動部15aにおける対向する各側面に対して直交する面でもよく、特に限定されるものではない。第1の電極17および第2の電極18、ならびに第3の電極19および第4の電極20とのそれぞれの分離面は、振動部15aにおける対向する各側面に対して、所定の位置で分離されていればよい。
また、第1の電極17と振動部15aとの間の静電力の垂直成分と、第2の電極18と振動部15aとの間の静電力の垂直成分は逆方向となるため、振動部15aが異なる周波数で垂直方向に振動する不要な撓み振動モードは励起されなくなる。
さらに、第1の電極17と振動部15aとの間の静電力の水平成分と、第2の電極18と振動部15aとの間の静電力の水平成分は逆方向となるため、振動部15aが異なる周波数で水平方向に振動する不要な撓み振動モードは励起されなくなる。
次に、本発明に係る第2の実施形態の捩り振動共振器の製造方法について説明する。
図12における(a)から(f)は第2の実施形態の捩り振動共振器を製造するためのプロセスフローの一例を示す図である。作製には、SOI(Silicon on insulator)基板を利用している。SOI基板とは後に犠牲層となる酸化シリコン膜のBOX層(Buried Oxide)16を介して、シリコン基板1上に単結晶シリコン層のデバイス形成層とを形成することによって構成された基板である。
図12の(a)に示すように、SOI基板のデバイス形成層を異方性エッチングし、三角断面の梁状体(三角断面梁)15を形成する。
次に、図12の(b)に示すように、ギャップ形成用として犠牲層21、例えばシリコン酸化膜などを成膜する。
更に、図12の(c)に示すように、第1の電極17、第2の電極18、第3の電極19、および第4の電極20を形成する。各電極17,18,19,20は金属などの導電性膜で形成され、半導体プロセスの成膜、フォトリソ、エッチングなどの工程により形成される。
次に、図12の(d)に示すように、電極上に犠牲層24、例えば犠牲層21と同じシリコン酸化膜などを成膜し、第2の電極18と第4の電極20上にコンタクトホール24aを形成する。
更に、図12の(e)に示すように、引き出し電極22,23が形成され、コンタクトホール24aを介してそれぞれ第2の電極18と第4の電極20に接続される。
最後に、図12の(f)に示すように、選択的に一部の犠牲層16,21,24を除去して、基板1からギャップを介して中空状態となる梁構造体の振動子15が形成される。
上記の製造工程により、図11に示した梁構造体の第2の実施形態の捩り振動共振器が実現される。
上記のように製造され構成された第2の実施形態の捩り振動共振器は、差動入出力で構成される平衡型の捩り振動共振器であり、前述の第1の実施形態の捩り振動共振器と同じである。したがって、図7に示したように、第2の実施形態の捩り振動共振器31から出力された信号を差動アンプ32で増幅し、その増幅された信号を捩り共振器31に帰還させるよう接続することにより、雑音影響を排除することができる発振器33を構成することができる。
なお、第2の実施形態の捩り振動共振器において、第1の電極17と第2の電極18を差動入力とし、第3の電極19と第4の電極20を差動出力とした構成について説明したが、第3の電極19と第4の電極20を差動入力とし、第1の電極17と第2の電極18を差動出力としても同様の効果が得られる。
また、第2の実施形態の捩り振動共振器の構成において、振動子15の振動部15aにおける異なる側面に対向した第1の電極17と第3の電極19を差動入力(若しくは差動出力)とし、第2の電極18と第4の電極20を差動出力(若しくは差動入力)として構成してもよい。このように構成した場合においても、図11に示すように、振動子15が捩れ振動しているとき、振動部15aの第1の面62が第1の電極17に近づくとき、振動部15aの第2の面63が第3の電極19から遠ざかり、かつ振動部15aの第2の面63が第4の電極20に近づくとき、振動部15aの第1の面62が第2の電極18から遠ざかる。したがって、このように構成された捩り振動共振器は、差動入出力の構成となり、前述の図10に示した第2の実施形態の捩り振動共振器と同様の効果が得られる。
なお、第2の実施形態の捩り振動共振器においては、梁構造体の振動子15の振動部15aの断面形状としては三角形だけでなく、少なくとも2面を備えた多角形断面形状であれば同様の効果を得ることが可能である。
(第3の実施形態)
図13は、本発明に係る第3の実施形態の捩り振動共振器における振動子の構造を示した斜視図である。図14は図13における捩り振動共振器のXIV-XIV線による断面図である。なお、第3の実施形態において、前述の第1の実施形態と同様の機能、構成を有するものには同じ符号を付して、それらの説明は省略する。
図13に示すように、第3の実施形態の捩り振動共振器は、図1に示した第1の実施形態の捩り振動共振器の構成において、第3の電極6を取り除いた構造を有している。第3の実施形態の捩り振動共振器においては、第1の電極2と第2の電極3に差動信号を入力し、第4の電極7から単相信号を出力する構成である。また逆に、第4の電極7から単相信号を入力し、第1の電極2と第2の電極3から差動信号を出力することも可能である。このように構成された第3の実施形態の捩り振動共振器においては、平衡−不平衡型の振動共振器を実現することができる。
第3の実施形態の捩り振動共振器の構成においては、図15に示すように、差動アンプ32からの帰還信号が単相信号であった場合でも、平衡−不平衡変換を実現する第3の実施形態の捩り振動共振器34を接続することにより、発振器33を構成することができる。図15は、第3の実施形態の平衡−不平衡変換型の捩り振動共振器34を用いた発振器33の構成を示す回路図である。
なお、第3の実施形態の捩り振動共振器においては、振動子5の振動部5aの下面51に対向する第1の電極2と第2の電極3を差動入力とし、第4の電極7から単相信号を出力する構成について説明したが、振動部5aの異なる側面に対向する第2の電極3と第4の電極7を差動入力とし、第1の電極2から単相信号を出力する構成としても同様の効果が得られる。
なお、第3の実施形態の捩り振動共振器において、第1の実施形態の捩り振動共振器の構成から取り除く電極としては、第3の電極6に限定されるものではなく、第1の電極2、第2の電極3、第3の電極6、第4の電極7のいずれの電極であっても構わない。
また、前述の図10および図11に示した第2の実施形態の捩り振動共振器においても、第1の電極17、第2の電極18、第3の電極19、および第4の電極20のいずれかの電極を取り除くことにより、不平衡−平衡変換型の捩り振動共振器を実現することができる。
(第4の実施形態)
図16は、本発明に係る第4の実施形態の捩り振動共振器における振動子の構造を示した断面図である。なお、第4の実施形態において、前述の第1の実施形態と同様の機能、構成を有するものには同じ符号を付して、それらの説明は省略する。
図16に示すように、第4の実施形態の捩り振動共振器は、基板1上に、両端が基板1に固定された梁構造体を有する振動子45が形成されている。したがって、この振動子45の中央部分である振動部45aは、基板1に対してギャップ(空隙)を有して配置されており、中空状態に設けられている。振動部45aにおける長手方向(振動部45aの両端の固定端(捩り振動の節)を含む方向)と平行な中心軸Pに対して直交する振動部45aの断面形状は四角形であり、第4の実施形態における振動部45aは四角柱形状である。第4の実施形態においては、四角柱形状の振動部45aの外周面を構成する4面のうち、基板1と対向して平行な面を下面(第1の面)71とし、他の3面のうち、図16における右側の側面を右面(第2の面)72とし、左側の側面を左面(第3の面)73とし、下面51と平行な上側の面を上面(第4の面)74として説明する。
図16に示すように、第4の実施形態の捩り振動共振器においては、振動子45の振動部45aの下面(第1の面)71に所定のギャップを介して対向する面42aを持つ第1の電極42が配置されている。振動部45aの右面(第2の面)72に所定のギャップを介して対向する面43aを持つ第2の電極43が配置されている。振動部45aの左面(第3の面)73に所定のギャップを介して対向する面46aを持つ第3の電極46が配置され、振動部45aの上面(第4の面)74に所定のギャップを介して対向する面47aを持つ第4の電極47が配置されている。
第4の実施形態の捩り振動共振器において、第1の電極42、第2の電極43、第3の電極46、および第4の電極47のそれぞれが電気的に導通しないように、絶縁層44または空間により電気的に絶縁されている。
上記のように構成された第4の実施形態の捩り振動共振器において、第1の電極42と第3の電極46には、180度位相の異なる交流信号が入力され、更に振動子45にはバイアス電圧が印加される。この結果、振動子45の振動部45aには、例えば図16において実線の矢印または破線の矢印で示すように、振動部45aの第1面71と第3面73に対して逆方向の静電力が生起される。このように、第1の電極42と第3の電極43には交流信号が入力されるため、常に逆方向の静電力を維持しながら、梁構造体の振動部45aにおいては長手方向に平行な中心軸Pを中心とした回転モーメントが生起される。したがって、振動部45aの右面(第2の面)72が第2の電極43に近づくとき、振動部45aの上面(第4の面)74が第4の電極47から遠ざかることとなる。この結果、第2の電極43と第4の電極47からは180度位相の異なる差動信号が出力される。
第4の実施形態の捩り振動共振器においては、第1の電極42、第2の電極43、第3の電極46、および第4の電極47のそれぞれが、梁構造体の振動子45における中空部分(捩り振動部分)である振動部45aの長手方向に沿って、その中央部分(捩り振動の腹部分)を含んで一様に対向するよう配設されている。すなわち、入力電極である第1の電極42と第2の電極43との間、および出力電極である第3の電極46と第4の電極47との間は、振動部45aの長手方向に直交する方向には分離されていない構造である。したがって、第4の実施形態の捩り振動共振器においては、前述の図3に示したように、振動部45aの両端のみが固定端となる振動の節となり、中心が最大変位となる振動の腹となる1次捩り振動モードで励振する。
本発明に係る第4の実施形態の捩り振動共振器の等価回路は、定数は異なるが、前述の図4に示した第1の実施形態の捩り振動共振器の等価回路と同じになる。出力信号の位相差は等価回路の定数の影響を受けないため、第2の電極43と第4の電極47から180度位相差の差動出力信号が得られることになる。
第4の実施形態の捩り振動共振器は、振動子45のそれぞれの側面71,72,73,74において、中心軸Pから各側面に垂らした垂線により分割された2つの領域における一方の領域に対してのみ、一つの電極を対向させるよう構成されている。このため、各電極42,43,46,47は振動子45の各側面71,72,73,74の面積の最大1/2まで対向させることが可能である。もし、2つ以上の電極を1つの側面に対向して配設する構成の場合、振動子の側面には2つ以上の電極を分離するための領域が必要となり、1つの側面に対する各電極の対向面積は少なくとも1/2よりも小さくなってしまう。しかしながら、本発明に係る第4の実施形態の捩り振動共振器の構成においては、各電極(42,43,46,47)が振動子(45)の各側面(71,72,73,74)の面積の最大1/2まで対向させることが可能な構成となり、第4の実施形態の捩り振動共振器おける特有の効果を有する。
なお、第4の実施形態の捩り振動共振器においては、梁構造体の振動子45の振動部45aの断面形状としては四角形だけでなく、少なくとも2面を備えた多角形断面形状であり、各電極が振動子45の異なる側面に対向する構成であれば同様の効果が得られる。
また、第4の実施形態の捩り振動共振器においては、振動子45の振動部45aにおける異なる側面に対向した第1の電極42と第3の電極46を差動入力とし、第2の電極43と第4の電極47を差動出力とした構成について説明したが、第2の電極43と第4の電極47を差動入力とし、第1の電極42と第3の電極46を差動出力として構成しても同様の効果が得られる。
また、第4の実施形態の捩り振動共振器においては、第1の電極42と第2の電極43を差動入力(若しくは差動出力)とし、第3の電極46と第4の電極47を差動出力(若しくは差動入力)として構成してもよい。このように構成した場合においても、図16に示すように、振動部45aの下面(第1の面)71が第1の電極42に近づくとき、振動部45aの右面(第2の面)72が第2の電極43からは遠ざかり、かつ振動部45aの上面(第4の面)74が第4の電極47に近づくとき、振動部45aの左面(第3の面)73が第3の電極46からは遠ざかる構成となる。このように構成された捩り振動共振器は、図16に示した第4の実施形態の捩り振動共振器と同様の効果が得られる。
本発明の捩り振動共振器は、1次振動モードで平衡化を実現し、同時に静電力を大きくすることにより、小型、低電圧駆動、且つ不要な撓み振動モードの抑制を実現することができるため、発振器の構成要素としてだけではなく、フィルタ、発振器、センサ等のデバイス並びにそれらを用いた電子機器への広い適用展開が可能である。
1 基板
2,3,6,7,11,12,13,14,17,18,19,20 電極
4 絶縁層
5,15,45 振動子
5a,15a,45a 振動部
22,23 引き出し電極
31,34 捩り振動共振器
32 差動アンプ
33 発振器

Claims (8)

  1. 両端が捩り振動の節となり、中央が捩り振動の腹となる振動部を有する振動子と、
    前記振動部の外周面を構成する少なくとも2つの側面に対向し、前記振動部の中央に配置された少なくとも3つの電極と、を備え、
    前記少なくとも3つの電極における2つの電極は、前記振動部の捩り振動において、一方の電極と前記振動部との間隔が大きくなるとき、他方の電極と前記振動部との間隔が小さくなる位置に、それぞれ配置され、
    前記少なくとも3つの電極における1つの電極は、前記振動部の捩り振動に伴い、前記振動部との間隔が変化する位置に配置され、
    前記少なくとも3つの電極における2つの電極に対して、互いに位相が180度異なる交流信号が入力または出力されるよう構成されたMEMS共振器。
  2. 前記少なくとも3つの電極における2つの電極が入力電極として用いられ、当該入力電極は、前記振動部の捩り振動において、一方の電極と前記振動部との間隔が大きくなるとき、他方の電極と前記振動部との間隔が小さくなる位置に、それぞれ配置されており、
    前記少なくとも3つの電極における1つの電極が出力電極として用いられ、当該出力電極は、前記振動部の捩り振動に伴い、前記振動部との間隔が変化する位置に配置されており、
    前記入力電極に互いに位相が180度異なる交流信号をそれぞれ入力することにより、前記振動部が1次モードの捩り振動を生じて、前記出力電極から交流信号が出力されるよう構成された請求項1に記載のMEMS共振器。
  3. 前記少なくとも3つの電極における2つの電極が出力電極として用いられ、当該出力電極は、前記振動部の捩り振動に伴い、一方の電極と前記振動部との間隔が大きくなるとき、他方の電極と前記振動部との間隔が小さくなる位置に、それぞれ配置されており、
    前記少なくとも3つの電極における1つの電極が入力電極として用いられ、当該入力電極は、前記振動部の捩り振動において、前記振動部との間隔が変化する位置に配置されており、
    前記入力電極に交流信号を入力することにより、前記振動部が1次モードの捩り振動を生じて、前記出力電極から互いに位相が180度異なる交流信号を出力するよう構成された請求項1に記載のMEMS共振器。
  4. 前記入力電極が2つの電極により構成され、前記振動部の捩り振動において、前記入力電極における、一方の電極と前記振動部との間隔が大きくなるとき、他方の電極と前記振動部との間隔が小さくなる位置に、それぞれ配置されており、
    前記出力電極が2つの電極により構成され、前記振動部の捩り振動に伴い、前記出力電極における、一方の電極と前記振動部との間隔が大きくなるとき、他方の電極と前記振動部との間隔が小さくなる位置に、それぞれ配置されており、
    前記入力電極に互いに位相が180度異なる交流信号をそれぞれ入力することにより、前記振動部が1次モードの捩り振動を生じて、前記出力電極から互いに位相が180度異なる交流信号を出力するよう構成された請求項1に記載のMEMS共振器。
  5. 前記入力電極における2つの電極は、前記振動部の外周面を構成する同じ側面に対向して配置された請求項2または4に記載のMEMS共振器。
  6. 前記入力電極における2つの電極は、前記振動部の外周面を構成する異なる側面に対向して配置された請求項2または4に記載のMEMS共振器。
  7. 前記出力電極における2つの電極は、前記振動部の外周面を構成する同じ側面に対向して配置された請求項3または4に記載のMEMS共振器。
  8. 前記出力電極における2つの電極は、前記振動部の外周面を構成する異なる側面に対向して配置された請求項3または4に記載のMEMS共振器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103762957A (zh) * 2014-01-02 2014-04-30 东南大学 一种无热弹性阻尼扭转微机电谐振器件

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