JP2012108346A - 波長選択光スイッチ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】WDM光を波長に応じて分波する波長選択光スイッチ装置に用いられ、マルチレベルの光フェーズドアレイを用いて波長を分散させる波長選択光スイッチ装置において、波長依存性を少なくしクロストークを減少させること。
【解決手段】マルチレベルの光フェーズドアレイを用いて入射光の波長毎に異なる方向に光ビームを偏光させる。光フェーズドアレイではマルチレベル数が少ない場合も、フェーズドアレイの最大位相シフト量を1.5π以上2.0π未満に設定することによって波長依存性を少なくし、クロストークを減少させる。
【選択図】図1A

Description

本発明は光通信システムのノード等に用いられる波長選択光スイッチ装置に関するものである。
今日の高度情報通信社会を支える高速大容量光ネットワークには、波長多重光通信技術が利用されている。光ネットワーク網の分岐点に相当する光ノードでは、再構成可能なアド、ドロップ機能を有するROADM(Reconfigurable Optical Add Drop Multiplexer)装置の導入が進められている。ROADM装置を実現するため、任意の波長の光を任意の方向に切り換える波長選択スイッチ(Wavelength Selective Switch、WSSともいう)が注目されている。波長選択スイッチでは、波長を選択し所望の出力ポートへ光ビームを偏向させる光ビーム偏向素子が用いられている。特許文献1,2では光ビーム偏向素子としてMEMS(Micro-Electro-Mechanical System) ミラーアレイの機械的変位を利用したものが提案され、特許文献3,4ではLCOS素子(Liquid crystal on silicon)による回折現象を利用したものが提案されている。
一方、近年の伝送容量需要に応えるべく、伝送レートの高速化、新規変調フォーマットが盛んに研究開発されており、光ネットワークも複雑化している。このような光ネットワークにおいては、各光信号の伝送レートや変調フォーマットに対し最適なフィルタリングを実現するため、従来の波長選択機能に加え、パスバンドの中心波長のシフト、及びパスバンドの拡大、縮小などの動的制御機能が求められている。
この機能は、WDM信号の各チャンネル、即ち相異なる波長の光に複数の画素を割り当てる高精細なLCOS素子やMEMSミラーアレイなどを用い、光ビームの偏向にはマルチレベルの光フェーズドアレイを用いることで実現することができる。
従来のマルチレベルの光フェーズドアレイでは、特許文献3や非特許文献1,2に記載されているように、最大位相シフト量は設計波長において2πに設定するのが一般的であった。
US7162115B2 US6707959B2 US2006/0067611A1 US7397980B2
"A Review of Phased Array Steering for Narrow-Band Electrooptical Systems" by Paul F. Mcnamon et al., Proceeding of the IEEE, Vol. 97, No. 6, pp. 1078-1096, June 2009. "Optical Phased Array Technology" by Paul F. Mcnamon et al., Proceeding of the IEEE, Vol. 84, No. 2, pp. 268-298, February 1996.
このようなマルチレベルの光フェーズドアレイを用いた波長選択素子では、マルチレベル数が少なければ光ビーム偏向角を大きく設計することができる。しかしながら最大位相シフト量を2πに設定すると、光通信波長帯で所望次数の回折効率に大きな波長依存性が生じ損失が増大するという欠点があった。又光ビーム偏向角が小さくなって分離が難しくなり、他の回折次数への迷光が発生し、ポート間のクロストークが劣化するという問題点もあった。
本発明はこのような従来のマルチレベルの光フェーズドアレイの問題点に鑑みてなされたものであって、マルチレベル数が少ない場合も光通信波長帯で所望次数の回折効率に大きな波長依存性が生じることなくクロストークを少なくできるようにすることを技術的課題とする。
この課題を解決するために、本発明の波長選択光スイッチ装置は、多数の波長の光から成るWDM信号光を入射し、選択された波長の光信号を出射する入出射部と、WDM信号光をその波長に応じて空間的に分散させると共に、反射光を合波する波長分散素子と、前記波長分散素子によって分散されたWDM光を2次元平面上に集光する集光素子と、波長に応じて展開されたx軸方向と、これに垂直なy軸方向から成るxy平面に展開された入射光を受光する位置に配置され、xy平面に格子状に配列された多数の画素を有し、2次元の各画素の位相シフト特性を周期的に変化させるマルチレベル光フェーズドアレイを用いた波長選択素子と、前記波長選択素子のxy方向に配列された各画素の電極を駆動することによって各波長毎に位相シフト特性を変化させ、各波長毎に異なった方向に光を反射する波長選択素子駆動部と、を具備し、前記フェーズドアレイの最大位相シフト量を1.5π以上2.0π未満としたものである。
この課題を解決するために、本発明の波長選択光スイッチ装置は、多数の波長の光から成るWDM信号光を入射する入射部と、前記入射部より入射したWDM信号光をその波長に応じて空間的に分散させる波長分散素子と、前記波長分散素子によって分散した光を2次元平面上に集光する第1の集光素子と、波長に応じて展開されたx軸方向と、これに垂直なy軸方向から成るxy平面に展開された入射光を受光する位置に配置され、xy平面に格子状に配列された多数の画素を有し、2次元の各画素の位相シフト特性を周期的に変化させるマルチレベル光フェーズドアレイを用いた波長選択素子と、前記波長選択素子のxy方向に配列された各画素の電極を駆動することによって各波長毎に位相シフト特性を変化させ、各波長毎に異なった方向に光を透過する波長選択素子駆動部と、前記波長選択素子を透過した各波長の光を集光する第2の集光素子と、前記第2の集光素子によって集光された分散光を入射位置毎に夫々合成する波長合成素子と、前記波長合成素子によって合成された光を出射する少なく1つの出射部と、を具備し、前記フェーズドアレイの最大位相シフト量を1.5π以上2.0π未満としたものである。
ここで前記波長選択素子は、2次元に配列された多数の画素を有するLCOS素子であり、前記波長選択素子駆動部は、波長選択特性に応じて各画素に印加する電圧を制御するものとしてもよい。
ここで前記波長選択素子は、2次元に配列された多数の画素を有する液晶素子であり、前記波長選択素子駆動部は、波長選択特性に応じて各画素に印加する電圧を制御するものとしてもよい。
ここで前記波長選択素子は、2次元に配列された多数の画素を有するMEMS素子であり、前記波長選択素子駆動部は、波長選択特性に応じて各画素に印加する電圧を制御するものとしてもよい。
このような特徴を有する本発明によれば、マルチレベルの光フェーズドアレイを用いて波長選択を行うスイッチ装置において、マルチレベル数が少ない場合も光通信波長帯で所望次数の回折効率に大きな波長依存性が生じることなく、クロストークを少なくすることができる。
図1Aは本発明の第1の実施の形態による反射型の波長選択光スイッチ装置のx軸方向から見た光学的な配置を示す図である。 図1Bは本発明の第1の実施の形態による反射型の波長選択光スイッチ装置のy軸方向からの光学的な配置を示す図である。 図2Aは本発明の第2の実施の形態による透過型の波長選択光スイッチ装置のx軸方向から見た光学的な配置を示す図である。 図2Bは本発明の第2の実施の形態による透過型の波長選択光スイッチ装置のy軸方向からの光学的な配置を示す図である。 図3は本発明の第1,第2の実施の形態による波長選択光スイッチ装置に用いられる2次元の波長選択素子を示す図である。 図4Aは本発明の第1の実施の形態による波長選択光スイッチ装置の波長選択素子の構造と波長選択素子への光の入力を示す図である。 図4Bはこの波長選択素子からに光の反射を示す図である。 図5は本実施の形態によるLCOS素子の入射位置と位相シフトの関係を示す図である。 図6Aは本実施の形態によるLCOS素子のマルチレベル数と1次回折効率の関係の一例を示すグラフである。 図6Bは本実施の形態によるLCOS素子のマルチレベル数と0次及び1次回折光間の角度差の一例を示すグラフである。 図7Aは本実施の形態によるLCOS素子の1次回折効率の波長依存特性を示すグラフである。 図7Bは本実施の形態によるLCOS素子の0次回折効率の波長依存特性を示す図である。 図8は本実施の形態によるマルチレベル数に対する最適な最大位相シフト量の関係を示すグラフである。 図9は第1の実施の形態において波長選択素子としてMEMS素子を用いた場合のMEMSミラーの駆動状態を示す概念図である。
(第1の実施の形態)
図1Aは本発明の第1の実施の形態による反射型の波長選択光スイッチ装置の光学素子の構成を示すx軸方向から見た側面図、図1Bはそのy軸方向から見た側面図である。入射光は波長λ1〜λnの光信号が多重化されたWDM信号光である。WDM光は夫々光ファイバ11を介してコリメートレンズ12に出射される。又コリメートレンズ13−1〜13−mに入射した光は夫々光ファイバ11に平行に配置された光ファイバ14−1〜14−mより外部に出射される。ここでmは1以上の自然数である。コリメートレンズ12から出射するWDM光はz軸に平行であり、WDM光は波長分散素子15に入射される。波長分散素子15は光を波長に応じてxz平面上で異なった方向に分散するものである。ここで波長分散素子15としては、回折格子であってもよく、又プリズム等を用いてもよい。又回折格子とプリズムを組み合わせた構成でもよい。こうして波長分散素子15で分散された光は集光素子であるレンズ16に与えられる。レンズ16はxz平面上で分散した光をz軸方向に平行に集光する集光素子であって、集光した光は波長選択素子17に入射される。
尚ここでは図1Bに最長波長λ1及び最短波長λnの光を例示しているが、入射光はλ1〜λnまでの間で多数のスペクトルを有するWDM信号光であるので、xz平面に沿って展開されたWDM信号光が帯状に波長選択素子17に加わる。波長選択素子17は入射光の波長毎に方向を異ならせ反射するものであり、その反射特性に応じて光フィルタの選択特性が決定されるが、詳細については後述する。波長選択素子17によって反射された光は、同一の経路を通ってレンズ16に加わり、再び波長分散素子15に加わる。波長分散素子15は反射光に対しては元の入射光と同一方向に集束し、集束した光をレンズ16に入射する。レンズ16は入射光と同一の経路で光をz軸に平行な光に変換し、コリメートレンズ13−1〜13−mを介して夫々光ファイバ14−1〜14−mに出射する。ここで光ファイバ11,14―1〜14−mとコリメートレンズ12,13−1〜13−mは、WDM信号光を入射し、選択された光を出射する入出射部を構成している。
(第2の実施の形態)
次に本発明の第2の実施の形態による透過型の波長選択光スイッチ装置について説明する。図2Aは本発明の第1の実施の形態による透過型の波長選択光スイッチ装置の光学素子の構成を示すx軸方向から見た側面図、図2Bはそのy軸方向から見た側面図である。図2Aにおいても入射光は第1の実施の形態で説明したWDM信号であり、光ファイバ21からコリメートレンズ22に入射され、平行な光ビームとして第1の波長分散素子23に与えられる。光ファイバ21、コリメートレンズ22はWDM信号光を入射する入射部を構成している。波長分散素子23は図2Bに示すように光の波長に応じてxz平面上で異なった方向に光を出射するものである。波長分散素子23は波長分散素子15と同様に、回折格子やプリズムもしくは回折格子とプリズムの組み合わせにより実現することができる。分散された光はいずれもレンズ24に入射される。レンズ24はxz平面上で分散した光をz軸方向に平行に集光する第1の集光素子である。又レンズ24の光軸に垂直に波長選択素子25が配置される。波長選択素子25は入射光を波長毎に所望の方向に透過するものであり、詳細については後述する。波長選択素子25を透過した光はレンズ26に入射される。レンズ24、波長分散素子23とレンズ26、波長合成素子27は波長選択素子25の中心のxy面に対して面対称である。レンズ26はxz平面上の平行な光を集光する第2の集光素子であり、波長合成素子27は図2Bに示すように異なった方向から同一位置に入射した光を合成して出射するものである。波長合成素子27によって合成された光はコリメートレンズ28−1〜28−mを介して光ファイバ29−1〜29−mに与えられる。コリメートレンズ28−1〜28−m及び光ファイバ29−1〜29−mは、選択された波長の光を出射する出射部を構成している。
(波長選択素子の構成)
次にここで第1,第2の実施の形態による波長選択光スイッチ装置に用いられる波長選択素子17,25について説明する。第1,第2の実施の形態において、入射光を波長に応じてxz平面上で分散させ、帯状の光として波長選択素子17,25に入射したとき、その入射領域は図3に示す長方形状の領域Rであるとする。そして第1の実施の形態の波長選択光スイッチ装置では、波長毎に反射させる方向を選択することによって、任意の波長の光を選択することができる。第2の実施の形態の波長選択光スイッチ装置では、波長毎に透過させる方向を選択することによって、任意の波長の光を選択することができる。波長選択素子17,25には設定部30がドライバ31を介して接続されている。設定部30はxy平面の光を反射又は透過する画素を選択波長に合わせて決定するものである。設定部30とドライバ31は波長選択素子のxy方向に配列された各画素の電極を駆動することによってx軸及びy軸方向の所定の位置の画素の特性を制御する波長選択素子駆動部を構成している。
次に波長選択素子17の詳細な構成について説明する。波長選択素子17としてはLCOS(Liquid Crystal On Silicon)の液晶素子を用いて実現することができる。LCOS素子17Aは各画素の背面に液晶変調ドライバを内蔵しているため、画素数を多くすることができ、例えば1000×1000の多数の格子状の画素から構成することができる。図4AはLCOS素子17Aを示す概略図であり、光が入射する面からz軸に沿ってAR層41,ガラス層42,透明共通電極43,アライメント層44,液晶45,多数の背面反射電極47を含むアライメント層46及びシリコン層48を積層して構成されている。
LCOS素子17Aでは波長毎に異なる位置に光ビームが入射する。即ち入射領域に加わる光はWDM光を波長帯λi(i=1〜n)に応じてxy平面に展開した光である。ここで波長分散方向を図3に示すx軸方向とすると、夫々の波長に対してy軸方向に並んだ多数の画素が対応する。そのため、LCOS素子17Aのある波長の光λiが入射するy軸方向の多数の画素に周期的に異なった電圧を与えることによって、図3に示すようにステップ状の位相シフト関数で示され、全体としてのこぎり形状となる屈折率の変化を実現することができる。図5はこの位相シフト関数と光の入射位置との関係を示す図である。図5では複数の画素、ここでは6画素によって位相シフト量を段階的に変化させ、この変化を周期的に繰り返すことによってブレーズ型の回折格子と同等の機能を実現するようにしている。尚、図中では直線状ののこぎり波はブレーズ型回折格子の場合であり、ステップ状の波形は多数のレベル数を有するLCOS素子の場合を示している。このように屈折率の変化によりマルチレベル光フェーズドアレイが実現でき、回折現象により例えば図4Bに示すように反射方向を異ならせることができる。ここで位相シフト関数を適宜選択することによって入射光の屈折角度を夫々の波長毎に異なった方向に変化させることができるので、LCOS素子は特性可変型の回折格子として考えることができる。従って透明電極44と背面反射電極46との間に電圧を印加することによって各波長成分の回折角を独立に制御し、特定波長の入力光を所望の方向に反射させたり、他の波長成分の光を不要な光として回折させ、出射されない方向に光を反射させることができる。
さてマルチレベル光フェーズドアレイの回折角度は次式(1)で示される。
sinθin+sinθdiff=m・λ/Λ ・・・(1)
ここで
q:マルチレベル数
m:回折次数
λ:波長
Λ:フェーズドアレイピッチ
θin:入射角度
θdiff:回折角度
とする。
又回折効率ηは近似的に次式(2)で表される。
η=(sin(π/q)/(π/q))2 ・・・(2)
又LCOS素子の画素のピッチをdとすると、フェーズドアレイピッチΛとの間に以下の関係が成り立つ。
Λ=q・d ・・・(3)
図6Aは式(1)及び式(2)により計算されたマルチレベル数に対する1次回折効率であり、図6Bは0次及び1次の回折光間の角度差の例を示している。この例では入射角度を13.4°、波長λを1545nm、画素のピッチdを8.5μmとした場合である。これらの図より示されるようにマルチレベル数qが大きくなれば回折効率が上昇する一方、回折光間の角度差は小さくなっている。角度差が小さくなれば入射光と反射光を分離し難くなる。即ち図6A,図6Bより知られるように、回折効率と角度差はマルチレベル数に対してはトレードオフの関係にある。例えばマルチレベル数qが11の場合に回折損失0.2dB以下で角度差は0.97°となっている。
ここで最大位相シフト量と回折効率、次数間クロストークの関係について説明する。光の回折効率はΛ>>λの関係が成り立ち、且つグレーティング層の厚さが十分薄い場合には回折効率ηは次式で示される。
Figure 2012108346
マルチレベル数qを11とすると、最大位相シフト量を2π,1.94π,1.87π,1.81π,1.74πに変化させたときに、式(4)より計算された1次回折効率は図7Aに示すように夫々曲線A〜Eに示すものとなる。このように1次回折効率は波長2πのときに波長依存性が最も高くなり、曲線Dに示されるように、最大位相シフト量が1.81πのときに波長依存性は最も少なくなる。図7Bは同一の条件で0次回折効率の波長依存特性を曲線A〜Eに示している。本図より知られるように0次回折光の波長依存性から見ると最大位相シフト量は1.81πであることが好ましい。このためマルチレベル数が11の場合は、最大位相シフト量の最適値は1.81πとなる。このようにマルチレベル数に応じて最大位相シフト量を適宜最適な値に設定する必要がある。
図8はマルチレベル数と最適の最大位相シフト量との関係を示している。これより示されるように、マルチレベル数が1000と多くなれば最大位相シフト量の最適値は2πに近づいていくが、マルチレベル数が少なければ1.5πから2π未満の範囲で最適な最大位相シフト量が変位している。前述したように、マルチレベル数が多くなれば最適な最大位相シフト量は大きくなり、2πに近づく。一方マルチレベル数を数十程度とすれば、最大位相シフト量も2π未満である必要がある。このため本発明では最大位相シフト量を1.5π以上2π未満の範囲としている。マルチレベル数を5以上とすると、最大位相シフト量は1.6π以上であることが好ましく、マルチレベル数を20以下とすると、最大位相シフト量は1.95π以下であることが好ましい。
またこの波長選択素子17の第2の例として、LCOS構造ではない反射型の2次元電極アレイを有する液晶素子17Bについて説明する。LCOS素子の場合には画素の背面に液晶ドライバが内蔵されているが、2次元電極アレイ液晶素子17Bは液晶変調用のドライバが素子の外部に装備されている。その他の構成はLCOS素子と同様であり、前述したマルチレベルの光フェーズドアレイを実現することができる。
波長選択素子17の第3の例として2次元のMEMS素子17Cについて説明する。多数のMEMSミラーが2次元に配置されたMEMS素子は、デジタルマイクロ素子(DMD)として実用化されている。MEMSミラーのy軸方向の1列の全画素はWDM信号のある波長に対応させるものとする。MEMSを用いた場合も1つの波長帯に対して複数のMEMS素子の画素を対応付けているので、1つの波長に対応する多数の画素に印加する電圧を制御する。そして図9に示すようにMEMS素子の各画素をそのz軸方向の位置は位相シフト関数で示されるように、全体として一定周期ののこぎり波形状とすることができる。これにより入射光の波長毎に異なった方向に反射させることができる。
次に第2の実施の形態の波長可変フィルタ装置で用いる透過型の波長選択素子25について説明する。この波長選択素子25の第1の例としては透過型の2次元LCOS素子25Aを用いて構成することができる。透過型のLCOS素子25Aは図3の背面反射電極36に代えて透明電極としたものである。この場合も各波長毎に異なる位置に光ビームが入射するので、その位置の画素を透過状態とすればその光信号を選択することができる。LCOS素子25Aは1つの波長に相当する位置にy軸方向に複数の画素が対応しているため、これらの複数画素について透明電極間に電圧を印加することによって屈折率の凹凸を形成し、回折現象を発現することができる。そして各波長の回折角を独立に制御し、特定波長の入力光を図2Aに示すように特定方向に回折させたり、他の波長成分の光を不要な光として出射されない方向に光を回折させることができる。
またこの波長選択素子25の第2の例として、LCOS構造ではない透過型の2次元電極アレイを有する液晶素子25Bを用いることができる。LCOS素子の場合には画素の背面に液晶ドライバが内蔵されているが、2次元電極アレイ液晶素子25Bは液晶変調用のドライバが素子の外部に装備されている。その他の構成はLCOS素子と同様である。
尚この実施の形態では2次元の波長選択素子においてx軸方向の所定の座標であり、そのx座標を有するy軸方向の全ての画素をWDM信号の特定のチャンネルに対応するものとして説明しているが、将来のWDM信号においては各チャンネル毎に周波数帯域が異なる可能性がある。例えば第1のチャンネルでは10GHz、第2のチャンネルでは40GHzの帯域を持つことも考えられる。このような場合には10GHzに対応する画素を1つのx座標を共通にするy軸方向の一列の画素を対応させ、第2のチャンネルでは連続する4つのx座標を有するy軸方向の4列の画素を対応させることができる。この場合には隣接する4列の画素について位相シフト関数によってシフトさせることにより、そのチャンネルの光を所望の出力ポートに出力することができる。従って設定部の設定に基づいて位相シフト関数をダイナミックに変化させることができ、柔軟性を向上させることができる。
以上詳細に説明したように本発明によれば、波長選択素子の反射特性や透過特性を種々変更することによって、多数チャンネルのWDM信号の夫々について任意の波長の光を選択することができる。又各波長について複数のビットを有する波長選択素子を用いれば、波長選択特性を自由に変化させることができる。これにより波長選択光スイッチレイ装置をWDM光のアドドロップ機能を有するノードの主要構成要素として用いることができる。
11,14−1〜14−m,21,29−1〜29−m 光ファイバ
12,13−1〜13−m,22,28〜28−m コリメートレンズ
16,18 レンズ
15,23 波長分散素子
17,25 波長選択素子
17A,25A LCOS素子
17B,25B 2D電極アレイ液晶素子
17C MEMS素子
27 波長合成素子
30 設定部
31 ドライバ
41 AR層
42 ガラス層
43 透明共通電極
44,47 アライメント層
45 液晶
46 反射電極
48 シリコン層

Claims (5)

  1. 多数の波長の光から成るWDM信号光を入射し、選択された波長の光信号を出射する入出射部と、
    WDM信号光をその波長に応じて空間的に分散させると共に、反射光を合波する波長分散素子と、
    前記波長分散素子によって分散されたWDM光を2次元平面上に集光する集光素子と、
    波長に応じて展開されたx軸方向と、これに垂直なy軸方向から成るxy平面に展開された入射光を受光する位置に配置され、xy平面に格子状に配列された多数の画素を有し、2次元の各画素の位相シフト特性を周期的に変化させるマルチレベル光フェーズドアレイを用いた波長選択素子と、
    前記波長選択素子のxy方向に配列された各画素の電極を駆動することによって各波長毎に位相シフト特性を変化させ、各波長毎に異なった方向に光を反射する波長選択素子駆動部と、を具備し、
    前記フェーズドアレイの最大位相シフト量を1.5π以上2.0π未満とした波長選択光スイッチ装置。
  2. 多数の波長の光から成るWDM信号光を入射する入射部と、
    前記入射部より入射したWDM信号光をその波長に応じて空間的に分散させる波長分散素子と、
    前記波長分散素子によって分散した光を2次元平面上に集光する第1の集光素子と、
    波長に応じて展開されたx軸方向と、これに垂直なy軸方向から成るxy平面に展開された入射光を受光する位置に配置され、xy平面に格子状に配列された多数の画素を有し、2次元の各画素の位相シフト特性を周期的に変化させるマルチレベル光フェーズドアレイを用いた波長選択素子と、
    前記波長選択素子のxy方向に配列された各画素の電極を駆動することによって各波長毎に位相シフト特性を変化させ、各波長毎に異なった方向に光を透過する波長選択素子駆動部と、
    前記波長選択素子を透過した各波長の光を集光する第2の集光素子と、
    前記第2の集光素子によって集光された分散光を入射位置毎に夫々合成する波長合成素子と、
    前記波長合成素子によって合成された光を出射する少なく1つの出射部と、を具備し、
    前記フェーズドアレイの最大位相シフト量を1.5π以上2.0π未満とした波長選択光スイッチ装置。
  3. 前記波長選択素子は、2次元に配列された多数の画素を有するLCOS素子であり、
    前記波長選択素子駆動部は、波長選択特性に応じて各画素に印加する電圧を制御するものである請求項1又は2記載の波長選択光スイッチ装置。
  4. 前記波長選択素子は、2次元に配列された多数の画素を有する液晶素子であり、
    前記波長選択素子駆動部は、波長選択特性に応じて各画素に印加する電圧を制御するものである請求項1又は2記載の波長選択光スイッチ装置。
  5. 前記波長選択素子は、2次元に配列された多数の画素を有するMEMS素子であり、
    前記波長選択素子駆動部は、波長選択特性に応じて各画素に印加する電圧を制御するものである請求項1記載の波長選択光スイッチ装置。
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