JP2012108038A - 排ガスの分析方法及び排ガスの排出制御方法 - Google Patents

排ガスの分析方法及び排ガスの排出制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】大気中に排出された排ガス中の成分を分析する排ガスの分析方法を提供する。
【解決手段】 大気に排出された対象化学物質の赤外吸収スペクトルを得る段階、予め設定した対象化学物質の標準スペクトルに複数の検出基準値を乗じて複数の検出基準値補正スペクトルを得る段階、複数の検出基準値補正スペクトルのうち、大気中に排出された対象化学物質の赤外吸収スペクトルが検出基準値補正スペクトルを超えて対象化学物質と認識できた最小の検出基準値補正スペクトルを特定し、特定された検出基準値補正スペクトルに乗じられた検出基準値を特定検出基準値とする段階、あらかじめ求めておいた、検出基準値と対象化学物質の濃度との関係と、特定検出基準値とに基づき、大気中に排出された対象化学物質の濃度を求める段階、を具備してなる排ガスの分析方法を採用する。
【選択図】なし

Description

本発明は、排ガスの分析方法及び排ガスの排出制御方法に関するものであり、特に、煙突の先端などのような、直接のサンプリングが困難な箇所から放出される排ガスの分析方法及び排ガスの排出制御方法に関するものである。
火力発電所、ゴミ焼却施設、製鉄所の焼結工場、コークス工場などからは、定常的に燃焼排ガスが排出されている。また、製鉄所の焼結工場からは、大量の水蒸気を含む排ガスが排出されている。こうした排ガス中には、窒素酸化物、硫黄酸化物、その他の化学物質が含まれる場合がある。従って、上記の施設には、排ガスを大気中に放出する手前で、これら化学物質(以下、単に物質とも称する)を除去するための各種の排ガス処理装置が備えられている。また、この物質の排ガス中の含有化学物質濃度が、国や地方公共団体の定める排出基準を遵守しているかどうかを確認するため、定期的に排ガスを分析する必要がある。
排ガス中の化学物質の分析方法としては、JIS規格で定められた各種の試験方法が知られている。
例えば、排ガス中のアンモニア濃度の測定方法は、煙道中にサンプリング管を挿入して排ガスを採取した後、排ガス中のアンモニアを硼酸溶液に吸収させ、フェノールペンタシアノニトロシル鉄(III)酸ナトリウム溶液及び次亜塩素酸ナトリウム溶液を加えて、インドフェノール青を生成させて吸光度(640nm)を測定する方法(インドフェノール青吸光光度法)や、排ガス中のアンモニアを硼酸溶液に吸収させた後にイオンクロマトグラフに導入してアンモニウムイオンのクロマトグラムを得る方法(イオンクロマトグラフ法)が知られている。
また、排ガス中の硫黄酸化物濃度の測定方法は、酢酸バリウムを用いた沈殿滴定法や、イオンクロマトグラフ法が知られている。
いずれの方法についても、排ガスのサンプリング、試料溶液の前処理、定量分析といった手順を経るため、分析の操作そのものが非常に煩雑になる。また、排ガスの採取から分析結果が判明するまでに長時間を要するため、排出濃度を直ちに知ることができず、上記排出基準を遵守するための適切な対応を早急に取れない場合がある。
そこで最近では、煙道から採取した排ガスをそのまま赤外分光光度計のような各種の分析装置に導入して、オンタイムで前記化学物質の濃度を測定する方法が実用化されている。
また、下記特許文献1には、赤外分光光度計に適用可能な、狭帯域波長のフィルタに関する発明が開示されている。さらに、下記特許文献1には、当該発明が、観察場から来る光束のスペクトル解析に適用されると開示されている。すなわち、特許文献1には、内部赤外線源を持たない(背景の赤外線を利用した)赤外分光分析機等で撮影した画像中における化学物質のスペクトルを検出可能な装置についての開示がある。
米国特許第6621577号明細書
JIS K 0099 排ガス中のアンモニア分析方法 JIS K 0103 排ガス中の硫黄酸化物分析方法
しかし、特許文献1に開示された装置では、赤外線源を持たない赤外分光分析機を向けた箇所における排ガス中に含まれる化学物質の定性はできるものの、その濃度の測定は困難であった。従って、例えば、火力発電所、ゴミ焼却施設、製鉄所の焼結工場、コークス工場、圧延工場などの煙突から大気中に排出された排ガスを直接定量分析することは不可能であった。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、大気中に排出された排ガス中の成分を直接定量測定可能な排ガスの分析方法を提供するとともに、この分析値を排ガス発生設備の操業にフィードバックする排ガスの排出制御方法を提供することを目的とする。
[1] 大気中に排出された対象化学物質の赤外吸収スペクトルを検出し、検出した赤外吸収スペクトルに基づき前記対象化学物質の分析を行う方法において、
前記大気に排出された前記対象化学物質の赤外吸収スペクトルを得る段階と、
予め設定した前記対象化学物質の標準スペクトルに複数の検出基準値を乗じて複数の検出基準値補正スペクトルを得る段階と、
前記複数の検出基準値補正スペクトルのうち、前記大気中に排出された前記対象化学物質の赤外吸収スペクトルが検出基準値補正スペクトルを超えて前記対象化学物質と認識できた最小の検出基準値補正スペクトルを特定し、特定された検出基準値補正スペクトルに乗じられた前記検出基準値を特定検出基準値とする段階と、
あらかじめ求めておいた、前記検出基準値と対象化学物質の濃度との関係と、前記特定検出基準値とに基づき、前記大気中に排出された前記対象化学物質の濃度を求める段階と、を具備してなることを特徴とする排ガスの分析方法。
[2] 大気に排出された対象化学物質の赤外吸収スペクトルを用いた排ガスの排出制御方法であって、
大気に排出される排ガス中の対象化学物質の排出上限濃度を決定する段階と、
あらかじめ求めておいた、検出基準値と前記対象化学物質の濃度との関係と、前記排出上限濃度とに基づき、前記対象化学物質の排出上限濃度に対応する上限検出基準値を求める段階と、
前記上限検出基準値を、予め設定した前記対象化学物質の標準スペクトルに乗じて上限検出基準値補正スペクトルを得る段階と、
大気に排出された前記対象化学物質の赤外吸収スペクトルを得る段階と、
得られた前記赤外吸収スペクトルと前記上限検出基準値補正スペクトルとを比較し、得られた前記赤外吸収スペクトルが前記上限検出基準値補正スペクトルを超えたか否かを判定する段階と、
該超えた場合に、大気中に排出する対象化学物質の排出量を抑制する段階と、を具備してなることを特徴とする排ガスの排出制御方法。
本発明の排ガスの分析方法によれば、従来まで排ガス中の化学物質の定性分析に利用されていた赤外吸収スペクトル装置を、検出基準値と排出物質の濃度との関係をあらかじめ求めておくことで定量分析に用いることを可能とし、これにより例えば、数十〜数百メートルの高さの煙突から排出された排ガス中の排出物質の定量分析を容易に、しかも直接的に行うことができる。
また、本発明の排ガスの排出制御方法によれば、排ガス中の化学物質の排出上限濃度をあらかじめ決定しておき、この排出上限濃度と予め求めておいた検出基準値と排出物質の濃度との関係から上限検出基準値を求め、この上限検出基準値で化学物質の標準スペクトルを補正した補正スペクトルを用いて分析することで、排ガス中の化学物質が排出上限濃度を超えているか否かを直ちに判別させて、化学物質の排出量を直ちに抑制するためのフィードバックを早期に実施できる。
図1は、本発明に係る赤外吸収スペクトル装置の測定原理を示す模式図である。 図2は、赤外吸収スペクトル装置の検出基準値と、排ガス中のアンモニア濃度との関係を示すグラフである。 図3は、赤外吸収スペクトル装置の検出基準値と、排ガス中の硫黄酸化物濃度との関係を示すグラフである。 図4は、赤外吸収スペクトル装置によって測定したアンモニアの赤外吸収スペクトルと、検出基準値補正スペクトルとを示す図である。 図5は、赤外吸収スペクトルを画像処理して得られたアンモニアのマッピングデータを示す模式図である。 図6は、赤外吸収スペクトル装置によって測定した硫黄酸化物の赤外吸収スペクトルと、上限検出基準値補正スペクトルとを示す図である。 図7は、赤外吸収スペクトルを画像処理して得られた硫黄酸化物のマッピングデータを示す模式図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(赤外吸収スペクトル装置)
図1に、本発明に係る赤外吸収スペクトル装置の測定原理図を示す。
図1に示すように、本発明の赤外吸収スペクトル装置は、通常の赤外吸収スペクトル分析装置とは異なり、赤外光源を有しないもので、大空、建物等の背景(バックグランド)から放射された赤外線を基にして、測定対象のガス体の赤外吸収スペクトルを得るものである。
また、本発明に係る赤外吸収スペクトル装置は、マッピング分析が可能であり、ガス体を捉えた一視野内における赤外吸収スペクトルのマッピングデータから、ガス体の赤外スペクトルの強度分布が測定可能になっている。
例えば、一視野の画像が縦200ピクセル、横320ピクセルの64000で構成されるとすると、各ピクセル毎の画像の赤外光をプリズムで分光し、そのプリズムで分光された波長8〜12μmの範囲の赤外光を赤外センサーで0.01μm刻みで検出することで赤外吸収スペクトルが得られるようになっている。
この赤外吸収スペクトル装置に入力する波長λにおけるスペクトルS(λ)は、以下の式(1)により求められる。ただし、式(1)において、α(λ)は測定対象の化学物質毎のスペクトル固有値であり、Cはガス濃度であり、Lはガスの厚みであり、Tbはバックグラウンドの温度であり、Tgはガス体の温度である。
S(λ)=α(λ)・C・L・(Tb−Tg) … (1)
以上のような赤外吸収スペクトル装置としては、例えば、ATE社製(Advanced Technologies & Engineering International)のマルチガスカメラを例示できる。
また、本発明に係る赤外吸収スペクトル装置は、物質毎に別々の波長λに対して赤外吸収スペクトルが発生することから、この波長毎、即ち物質毎に対応する公知の標準スペクトルSS(λ)を持っている。
そして、検出された赤外吸収スペクトルより化学物質を特定するために、検出されたスペクトルS(λ)と標準スペクトルSS(λ)との比を検出基準値としている。
尚、検出基準値=1とは検出されたスペクトルS(λ)が標準スペクトルSS(λ)と一致していることを意味する。例えば(2)式のように定義できる。
検出基準値K(λ)=検出スペクトルS(λ)/標準スペクトルSS(λ) …(2)
従って、検出基準値を下げる(小さくする)とノイズが増大するが、スペクトルが増幅されて低濃度のガス体を検知可能になる。
また、検出基準値を上げる(大きくする)とノイズの除去が可能になるが、高濃度のガス体しか検出出来なくなり、更に、検出基準値を上げ過ぎると高濃度のガス体も検出出来なくなって物質を特定することも難しくなる。
このことから、本発明は、赤外吸収スペクトルの波長を基にして化学物質を特定することは勿論であるが、前記検出基準値の大きさによってガス体検知の可否を判別出来ることから、これを利用して排ガス中における化学物質の濃度を検出するものである。
(第1の実施形態)
次に、本発明の具体的な適用例について、製鉄所の焼結工場から排出される排ガスの分析方法を例にして説明する。
焼結工程は、鉄鉱石にコークスおよび石灰を混合してからコークスを燃焼させ、その熱で鉄鉱石を焼結することで、鉄鉱石の粒度を高める工程である。コークスの燃焼時に、二酸化炭素、一酸化炭素のほか、窒素酸化物及び硫黄酸化物が発生し、これらが排ガスとなる。硫黄酸化物は、公知の脱硫法によって処理され、排出基準以下の濃度まで削減される。窒素酸化物は、アンモニアを用いた脱硝法により処理されて排出基準以下の濃度まで削減される。
脱硝工程において排ガスにアンモニアが添加されることから、過剰なアンモニアの添加を極力抑える必要があるが、窒素酸化物の排出濃度が一定でなく、かつ脱硝前の窒素酸化物の濃度が比較的低くなる場合は、結果的にアンモニアの添加量が過剰になり、アンモニアの排出濃度が高くなる恐れがある。また、アンモニアを添加しない場合でも、脱硝処理系内に残留したアンモニアが徐々に排出される場合もある。
従って焼結工場からの排ガスについては、少なくともアンモニア濃度と硫黄酸化物濃度を監視する必要がある。
本発明では、排ガス中のアンモニア(対象化学物質)及び硫黄酸化物(対象化学物質)の排出濃度を、上述の赤外分光スペクトル装置を用いて分析する。
分析するに当たって、まず、図2に示すような、赤外吸収スペクトル装置の検出基準値と、アンモニアの濃度または硫黄酸化物の濃度との関係を予め求める。
この求め方を以下に説明する。先ず、焼結工場の煙突の煙道から排ガスを抜き取り、JIS等の公定法に従って定量分析して排ガス中のアンモニア濃度及び硫黄酸化物の濃度を求める。
この排ガスの抜き取りと同時に、煙突から排出される排ガスを赤外分光スペクトル装置で撮影して、その撮影画像を計算機に取り込み、赤外分光スペクトル装置の一視野当たり撮影画像を例えば前記64,000ピクセルに区分し、その区分したピクセル別に前記撮影画像内の赤外吸収スペクトルを検出スペクトルとして記憶する。
そして、煙突排出口の位置に該当するピクセル中の検出スペクトルからアンモニアが存在することを示す波長(10〜11μm)における吸収スペクトル(強度)を選択して、この吸収スペクトル(検出スペクトル)と予め設定した標準スペクトルを基にして前記式(2)により検出基準値を求める。この作業を前記煙突から排ガス中のアンモニア濃度が異なる場合を含めて複数回行って、JIS等の公定法に従って定量分析して求めたアンモニア濃度と検出基準値の関係を得る。
また、排ガス中の硫黄酸化物もアンモニアと同様の作業を行って図3に示す関係を得る。尚、硫黄酸化物が存在することを示す波長は8.2〜9.2μmの領域である。
また、煙突から排出される排ガスを撮影するに際しては、煙突からの排ガスに赤外吸収スペクトル装置の赤外センサーの対物レンズ及び光学映像センサーの対物レンズを向け、ガス体から放射される赤外光を対物レンズに入射させ、この赤外光を前記各ピクセル別にプリズムによって分光し、分光された赤外光から赤外センサーによって赤外吸収スペクトルを検知して、それをマトリックス状に配列させた各ピクセル毎に記憶するものである。
例えばアンモニアを例にすると、図2において、アンモニア濃度が2ppmのときに検出基準値は0.5である。これは、検出基準値=0.5のときに赤外吸収スペクトル上にアンモニアの信号が現れるが、検出基準値が0.5未満では赤外吸収スペクトル上にアンモニアの存在信号が現れないことを意味している。赤外吸収スペクトル上にアンモニアの存在信号が現れないのは、検出されたスペクトルS(λ)が設定した検出基準値の条件を満たしておらず、ノイズと判断されたためである。また、アンモニア濃度が15ppmのときに検出基準値は0.9である。これは、検出基準値=0.9以下のときに赤外吸収スペクトル上にアンモニアの存在信号が現れるが、検出基準値が0.9超になると検出基準値が大きくなり過ぎて検出出来なくなることを意味している。このことから、アンモニアの検出基準値は0.5〜0.9の範囲の値になる。
また、硫黄酸化物の検出基準値は、図3から0.5〜0.9の範囲の値になる。
図2,図3のどちらのグラフも、相関係数が0.98以上になり、高い相関を示している。なお、図2及び図3のような、検出基準値と化学物質の分析値との関係は、成分毎で、かつ、設備別に取得することが望ましい。
次に、煙突からの排ガス中のアンモニア及び硫黄酸化物の排出濃度を実測する場合について説明する。
先ず、煙突から排出される排ガスを赤外分光スペクトル装置で撮影して、その撮影画像を計算機に取り込み、赤外分光スペクトル装置の一視野当たり撮影画像を前記64,000に区分した各ピクセル位置における画像内の赤外吸収スペクトルを検出スペクトルとして記憶する。そして、この記憶した各ピクセルの検出スペクトルからアンモニアが存在するか否かを画像処理して判断する。
この画像処理の判断は、各ピクセルに予め記憶した標準スペクトルに0.1~1.0の範囲の複数の検出基準値(例えば、0.1間隔)を乗じた複数の検出基準値補正スペクトル(以下単に補正スペクトルと称す)を得る。そして、この補正スペクトルAの透過率の最低点PHnと検出スペクトルBの最低点PKnを比較して、図4の様に、検出スペクトルBの最低点PKnが補正スペクトルAの最低点PHnより下側(透過率が低い)であればアンモニアが存在するとし、上側(透過率が高い)であれば、アンモニアは存在しないと判断する。
図5(b)〜(f)は、この前記アンモニアが存在すると判断したピクセルを計算機の画面上に表示したもので、検出基準値毎に示している。また、図5(a)には、焼結工場の煙突の光学画像をあわせて示している。
具体的には、大きな値の検出基準値で補正した補正スペクトルから小さな値の検出基準値で補正した補正スペクトルに順次変更した場合には、前記区分した64,000ピクセルの内、1ピクセル以上、好ましくは10ピクセル以上でアンモニアが存在すると最初に判断した補正スペクトルを選定し、この補正スペクトルの検出基準値を求め、特定検出基準値とする。
図5の例の場合、検出基準値が0.9、0.8で補正した補正スペクトルではアンモニアの存在信号が現れず(図5の(b)、(c))、検出基準値が0.7、0.6,0.5で補正した補正スペクトルになるとアンモニアの存在する信号(例えば、着色ピクセル)が現れ(図5の(d)〜(f))、そして、該検出基準値が小さくなるに従って存在する判断をするピクセル数が多くなっている。従って、この例では、検出基準値が0.7で補正した補正スペクトルで最初にアンモニアの存在を示すピクセルが出現したことから検出基準値0.7を特定検出基準値に選択する。
そして、あらかじめ求めておいた、検出基準値(Y)と化学物質の濃度(X)との関係式(Y=0.0319X+0.4383(図2のグラフに基づいて求めた関係式))に特定検出基準値を導入して排ガス中の化学物質の濃度を求めても良く、また、図2の検出基準値と化学物質の濃度とのグラフにおいて、特定検出基準値0.6におけるアンモニアの濃度としても良く、何れも約8ppmとなる。
本実施形態ではアンモニアを例にして説明したが、硫黄酸化物についても同様に測定可能である。また、アンモニアと硫黄酸化物を同時に測定することも可能である。更に、アンモニア及び硫黄酸化物に限らず、赤外吸収スペクトルで定性が可能な化学物質であれば、本発明は適用可能である。また、焼結工場の煙突に限らず、排ガスを排出させる施設であれば本発明は適用可能である。
また、アンモニアの測定濃度の精度を上げるには、検出基準値を0.1間隔より更に細かく、0.01間隔、更には0.001間隔にして、この検出基準値で補正した補正スペクトルを用いれば良く、上記例の場合には、検出基準値が0.7~0.8の範囲の値で補正した補正スペクトルでアンモニアの存在が確認出来ることから、この範囲を0.01間隔、又は、0.001間隔に取った検出基準値で補正した補正スペクトルを用いる事が好ましい。
(第2の実施形態)
次に、本発明の具体的な適用例の別の例として、製鉄所の焼結工場から排出される排ガスの排出制御方法を説明する。また、本実施形態では、硫黄酸化物を例にして説明する。
まず第1の実施形態と同様にして、硫黄酸化物について、検出基準値と濃度との関係を求めておく(図3)。本例では、第1の実施形態と同じ焼結工場の排ガス設備を利用するので、第1の実施形態で得られたグラフを用いる。
次に、大気に放出される排ガス中の硫黄酸化物の排出上限濃度を決定する。排出上限濃度は、適用法令の排出基準や、自主的な管理基準等を参考にして決めればよいが、ここでは排出上限濃度を5ppmとしておく。
次に、図3に示す検出基準値と硫黄酸化物の濃度と関係を示すグラフに、先に決定した排出上限濃度(5ppm)を導入して、硫黄酸化物の排出上限濃度に対応する上限検出基準値を求める。本例では、図3より上限検出基準値が0.5となる。
そして、大気に放出された排ガス中の硫黄酸化物(排出化学物質)の赤外吸収スペクトルを得る。排ガス中の硫黄酸化物の赤外吸収スペクトル(検出スペクトル)は、第1の実施形態と同様に、本発明に係る赤外吸収スペクトル装置を用いて撮影した画像を64,000ピクセルに区分して記憶し、その各ピクセルに記憶した画像中における赤外吸収スペクトルで、図6に示すような波長8.2〜9.2μmの領域の赤外吸収スペクトルを抽出する。
次に、予め設定した硫黄酸化物の標準スペクトルに、上限検出基準値=0.5を乗じて補正スペクトルC(上限検出基準値補正スペクトル)を得る。
この補正スペクトルCと赤外吸収スペクトル装置で検出した硫黄酸化物の赤外吸収スペクトルDを比較して、補正スペクトルCの透過率の最低値PHsが検出スペクトルDの透過率の最低値PKsより低いか、高いかの判定を各ピクセル毎に行い、低い場合にはピクセルに硫黄酸化物の信号が現れ、逆に、高い場合にはピクセルに硫黄酸化物の信号が現れない。図7(b)はこの様にして処理して得られた硫黄酸化物のマッピングデータを示している。また、図7(a)には、焼結工場の煙突の光学画像をあわせて示している。
この図7(b)の様に、1ピクセル以上、好ましくは10ピクセル以上に硫黄酸化物の信号が現れると排ガス中の硫黄酸化物の排出量を抑制する。排出量の抑制は、様々な手段を用いることができる。例えば、焼結工場の稼働率を抑制して硫黄酸化物の排出量を低減させる手段、脱硫設備における脱硫効率を高めることで硫黄酸化物の排出量を低減させる手段、焼結工場の原料を不純物の少ない高品位なものに変更して硫黄酸化物の排出量を低減させる手段、などを講じればよい。
また、赤外吸収スペクトルの測定は、一定の頻度で繰り返し行い、その検出スペクトルの透過率の最低値が補正スペクトル(上限検出基準値補正スペクトル)の透過率の最低値より低いと判断された場合は、硫黄酸化物の排出量が排出基準量を超えていることを意味することから、その都度、排出量の抑制手段を講じればよい。
また、検出スペクトルの透過率の最低値が補正スペクトルの透過率の最低値より高いと判断された場合は、硫黄酸化物の排出量が排出基準量を超えていないことを意味することから、引き続き焼結工場の操業を続ければよい。
本実施形態では硫黄酸化物を例にして説明したが、アンモニアについても同様に測定可能であり、アンモニアを測定した後に引き続き硫黄酸化物を測定することも可能であり、アンモニア及び硫黄酸化物以外の化学物質であって、赤外吸収スペクトルで定性が可能な化学物質であれば本発明を適用可能である。また、焼結工場の煙突に限らず、排ガスを排出させる施設であれば本発明は適用可能である。
以上説明したように、本実施形態の排ガスの分析方法によれば、従来まで定性分析に利用されていた赤外吸収スペクトル装置を、検出基準値と排出化学物質の濃度との関係式をあらかじめ求めておくことで定量分析に用いることを可能とし、これにより例えば、数十〜数百メートルの高さの煙突から排出された排ガス中のアンモニアや硫黄酸化物等の排出物質の定量分析を容易に行うことができる。
また、本実施形態の排ガスの排出制御方法によれば、排ガス中の硫黄酸化物の排出上限濃度をあらかじめ決定しておき、この排出上限濃度に基づき検出基準値と排出化学物質の濃度との関係式から上限検出基準値を求め、この上限検出基準値で標準スペクトルを補正した補正スペクトルを用いて分析することで、排ガス中の硫黄酸化物が排出上限濃度を超えているか否かを直ちに判別させて、硫黄酸化物の排出量を直ちに抑制するためのフィードバックを早期に実施できる。

Claims (2)

  1. 大気中に排出された対象化学物質の赤外吸収スペクトルを検出し、検出した赤外吸収スペクトルに基づき前記対象化学物質の分析を行う方法において、
    前記大気に排出された前記対象化学物質の赤外吸収スペクトルを得る段階と、
    予め設定した前記対象化学物質の標準スペクトルに複数の検出基準値を乗じて複数の検出基準値補正スペクトルを得る段階と、
    前記複数の検出基準値補正スペクトルのうち、前記大気中に排出された前記対象化学物質の赤外吸収スペクトルが検出基準値補正スペクトルを超えて前記対象化学物質と認識できた最小の検出基準値補正スペクトルを特定し、特定された検出基準値補正スペクトルに乗じられた前記検出基準値を特定検出基準値とする段階と、
    あらかじめ求めておいた、前記検出基準値と対象化学物質の濃度との関係と、前記特定検出基準値とに基づき、前記大気中に排出された前記対象化学物質の濃度を求める段階と、を具備してなることを特徴とする排ガスの分析方法。
  2. 大気に排出された対象化学物質の赤外吸収スペクトルを用いた排ガスの排出制御方法であって、
    大気に排出される排ガス中の対象化学物質の排出上限濃度を決定する段階と、
    あらかじめ求めておいた、検出基準値と前記対象化学物質の濃度との関係と、前記排出上限濃度とに基づき、前記対象化学物質の排出上限濃度に対応する上限検出基準値を求める段階と、
    前記上限検出基準値を、予め設定した前記対象化学物質の標準スペクトルに乗じて上限検出基準値補正スペクトルを得る段階と、
    大気に排出された前記対象化学物質の赤外吸収スペクトルを得る段階と、
    得られた前記赤外吸収スペクトルと前記上限検出基準値補正スペクトルとを比較し、得られた前記赤外吸収スペクトルが前記上限検出基準値補正スペクトルを超えたか否かを判定する段階と、
    該超えた場合に、大気中に排出する対象化学物質の排出量を抑制する段階と、を具備してなることを特徴とする排ガスの排出制御方法。
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