JP2012107408A - 接着系アンカーによる耐震補強構造 - Google Patents

接着系アンカーによる耐震補強構造 Download PDF

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Abstract

【課題】接着剤が削孔から漏れ出すことによって影響を受けるアンカー施工を改善することが可能であると共に、漏れ出す接着剤を利用して耐震補強性能を向上することが可能な接着系アンカーによる耐震補強構造を提供する。
【解決手段】既存コンクリート躯体2に形成した削孔3内に収容した接着剤封入カプセルを、削孔内へ挿入するアンカー5で破砕することにより、削孔内に充満する接着剤Aでアンカーを既存コンクリート躯体から突出させて定着し、アンカーを介して既存コンクリート躯体に耐震補強部材10を接合する耐震補強構造であって、既存コンクリート躯体と耐震補強部材との接合境界Bに、削孔から漏れ出す接着剤を削孔の開孔部3a周辺で捕集する接着剤受容具1が既存コンクリート躯体表面に設置されることでその内部に溜められ硬化し、かつ接着剤受容具の撤去で露出される接着剤により、既存コンクリート躯体表面から隆起する凸部13を形成した。
【選択図】図3

Description

本発明は、接着剤が削孔から漏れ出すことによって影響を受けるアンカー施工を改善することが可能であると共に、漏れ出す接着剤を利用して耐震補強性能を向上することが可能な接着系アンカーによる耐震補強構造に関する。
あと施工アンカーを用いた耐震補強構造については、例えば特許文献1が知られている。特許文献1の「既存建築物の補強構造」では、既存建築物の梁及び柱で囲まれた開口部内に、ブレースを鉄骨枠内に取り付けた枠付ブレースが組み込まれており、梁と柱から成る開口部と枠付ブレースの鉄骨枠との接合部には、後施工アンカーボルトを梁と柱から成る開口部側の面に打ち込まれ、さらに、鉄骨枠の外周に頭付きスタッドを設けられている既存建築物の補強構造において、梁及び柱と鉄骨枠との間の空間部には通常のコンクリートではなく、高引張強度コンクリートが充填されている。
ところで、あと施工アンカーである接着系アンカーを施工する際には、コンクリート躯体に予め所定の深さの削孔を開け、削孔内部に、接着剤を封入したガラス製や紙製等の破砕可能なカプセルを収容し、先端を鋭利に形成したロッド状のアンカーを、ハンマードリル等の施工工具を用いて、削孔内へ向かって回転打撃してカプセルを破砕しながら強制的に埋め込み、接着剤の硬化でアンカーをコンクリート躯体に定着させるようにしている。
この工法は、特許文献1と同様な、耐震壁を取り付ける耐震改修工事の他、設備配管等を取り付ける工事などにも多く採用されている。施工は、下向き・横向き・上向きの3方向に対し、可能である。
接着系アンカーの施工では、アンカーで接着剤を撹拌しながら削孔内へ打設していく際、削孔から接着剤が漏れ出す。接着剤が漏れ出す状況では、削孔の開孔部付近の接着剤の充填が疎の状態となり、アンカーの定着長不足、ひいてはアンカー性能の耐力低下を引き起こすおそれがある。接着剤の漏れ出し防止を企図した技術として、特許文献2及び3が知られている。
特許文献2の「ケミカルアンカーの施工方法」は、アンカーボルト埋め込み孔が下向きまたは横向きに開口している場合のケミカルアンカーの施工方法であり、固定用ケミカル入りのケミカルカプセルを挿入したアンカーボルト埋め込み孔に、アンカーボルトを挿入してケミカルカプセルを破り、固定用ケミカルをアンカーボルトの周りに充填させるに際して、アンカーボルト埋め込み孔の口部を、口部の形状に対応して柔軟に変形し、かつアンカーボルトを貫通させる開口を有する栓で塞ぎ、開口からアンカーボルトを挿入するようにしている。
特許文献3の「後施工アンカーの施工法およびグラウトキャップ」は、柱の側面や梁の下面など既存の構造体にアンカー孔を穿設し、縦補強筋やボルトなどの配筋部材の先端部近傍にスカート部とフランジとからなるグラウトキャップを装着し、この状態で配筋部材をアンカー孔に差し込むと同時にグラウトキャップのスカート部でアンカー孔の開口をシールし、グラウトキャップのフランジに設けた空気抜き用の孔からアンカー孔内の空気を排出しながら、グラウトキャップのフランジに設けた注入口からアンカー孔内に無機系のグラウト材を充填し、グラウト材の硬化後、グラウトキャップを除去するようにしている。
特開平9−317198号公報 特開2004−11345号公報 特開平10−102600号公報
特許文献2では、アンカーボルト埋め込み孔の口部を栓で塞いで、埋め込み孔からの固定用ケミカルの漏れを完全に防止するものであり、アンカーボルトで撹拌される固定用ケミカルや空気が埋め込み孔内に止まってしまう。このように固定用ケミカルなどの漏れを完全に止めてしまうと、アンカーボルトの高止まりなどの施工不良が懸念されるという課題があった。
特許文献3では、空気抜き用の孔や注入口を有するグラウトキャップを用いている。当該グラウトキャップを用いて、回転打撃でアンカーを打設する場合を想定すると、グラウト材はこれら空気抜き用の孔等から飛散して周辺に漏れ出すこととなり、従って、漏れ出しを防止することはまったくできない。また、この飛散により、アンカー孔内で練り混ぜられる材料の割合が変化し、設計上の材料強度が得られないという問題もあった。
これら特許文献2及び3のように、施工不良や設計上の材料強度が得られないと、特許文献1に開示されているような耐震補強構造に対し、必要な性能を確保することができなかった。
また、耐震補強工事では、アンカーを打設する方向が上向き、横向き、下向きと様々であって、向きによって固定用ケミカル等の充填状態、従ってアンカーの定着状態がバラバラになってしまう事態が想定される。アンカーの定着状態がバラバラであると、当該アンカーを介して既存躯体と新設または増設躯体とを接合一体化するにあたって、アンカーに期待するせん断耐力や引張性能が設計値よりも低下するおそれがあると共に、アンカー施工の向きで耐震補強性能が異なってしまうおそれがあった。
本発明は上記従来の課題に鑑みて創案されたものであって、接着剤が削孔から漏れ出すことによって影響を受けるアンカー施工を改善することが可能であると共に、漏れ出す接着剤を利用して耐震補強性能を向上することが可能な接着系アンカーによる耐震補強構造を提供することを目的とする。
本発明にかかる接着系アンカーによる耐震補強構造は、既存コンクリート躯体に形成した削孔内に収容した接着剤封入カプセルを、該削孔内へ挿入するアンカーで破砕することにより、当該削孔内に充満する接着剤で該アンカーを該既存コンクリート躯体から突出させて定着し、該アンカーを介して該既存コンクリート躯体に耐震補強部材を接合する耐震補強構造であって、上記既存コンクリート躯体と上記耐震補強部材との接合境界に、上記削孔から漏れ出す接着剤を当該削孔の開孔部周辺で捕集する接着剤受容具が該既存コンクリート躯体の表面に設置されることでその内部に溜められ硬化し、かつ該接着剤受容具の撤去で露出される当該接着剤により、該既存コンクリート躯体表面から隆起する凸部を形成したことを特徴とする。
また、本発明にかかる接着系アンカーによる耐震補強構造は、既存コンクリート躯体に形成した削孔内に収容した接着剤封入カプセルを、該削孔内へ挿入するアンカーで破砕することにより、当該削孔内に充満する接着剤で該アンカーを該既存コンクリート躯体から突出させて定着し、該アンカーを介して該既存コンクリート躯体に耐震補強部材を接合する耐震補強構造であって、上記既存コンクリート躯体と上記耐震補強部材との接合境界に、該既存コンクリート躯体の表面に設置されて上記削孔から漏れ出す接着剤を当該削孔の開孔部周辺で捕集すると共に当該接着剤の硬化で該既存コンクリート躯体表面に接着される接着剤受容具により、該既存コンクリート躯体表面から隆起する凸部を形成したことを特徴とする。
前記接着剤受容具は、前記アンカーに貫通状態で相対摺動自在に装着され、前記削孔の開孔部周辺の前記コンクリート躯体の表面に設置される受容具本体と、該受容具本体に形成され、該受容具本体と上記コンクリート躯体表面との間に、上記アンカー周りに上記削孔の開孔部周辺を包囲する空間を形成する窪み部とを備えたことを特徴とする。
本発明にかかる接着系アンカーによる耐震補強構造にあっては、接着剤が削孔から漏れ出すことによって影響を受けるアンカー施工を改善することができると共に、漏れ出す接着剤を利用して耐震補強性能を向上することができる。
本発明にかかる接着系アンカーによる耐震補強構造を施工するための接着系アンカーの施工状況の工程図である。 図1に示すアンカー施工に用いられる接着剤受容具を説明する説明図である。 本発明にかかる接着系アンカーによる耐震補強構造の好適な一実施形態を説明する断面図である。 図1に示した接着剤受容具による作用を説明する説明図である。 本発明にかかる接着系アンカーによる耐震補強構造の他の実施形態を説明する断面図である。 本発明にかかる接着系アンカーによる耐震補強構造に適用される接着剤受容具の変形例を示す説明図である。 本発明にかかる接着系アンカーによる耐震補強構造に適用される接着剤受容具の他の変形例を示す概略側断面図である。 本発明にかかる接着系アンカーによる耐震補強構造に適用される接着剤受容具のさらに他の変形例を示す底面図である。
以下に、本発明にかかる接着系アンカーによる耐震補強構造の好適な実施形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。図1(a)〜(c)には、本実施形態にかかる接着系アンカーによる耐震補強構造であって、既存コンクリート躯体に対する接着系アンカーの施工手順が順番に示されている。
図1(a)に示すように、鉄筋コンクリートなどの各種の既存コンクリート躯体2には、RC造やS造、SRC造等の新設または増設される耐震補強部材10との接合境界B(図3参照)に面するその表面2aから、回転と打撃で孔を穿設するハンマードリルなどを用いて、おおよそ真っ直ぐな有底の削孔3が形成される。接合境界Bに面する既存コンクリート躯体2の表面2aに開口される削孔3の開孔部3aは通常、削孔3の内径よりも口広で表面が凸凹した状態となっていることが多い。
削孔3内部には、これに収容される接着剤封入カプセル4が挿入される。接着剤封入カプセル4は、封入した接着剤Aが流出して削孔3内に充満するように、破砕可能なガラス管や合成樹脂フィルム製もしくは紙製などのスリーブ管で形成される。接着剤Aとしては、モルタル等の無機系材料からなるものであっても、合成樹脂等の有機系材料からなるものであってもよい。
また、削孔3内へ挿入されるアンカー5は、回転と打撃によって削孔3内へ押し込むために、そしてまたこの回転と打撃によって削孔3内に充満する接着剤Aを強制的に撹拌するために、ハンマードリルに取り付けられる。
アンカー5は金属製であって、削孔3の底から既存コンクリート躯体2の表面2aに位置する開孔部3aを介して、既存コンクリート躯体2から外部へ向かって突出する長さのロッド状に形成される。アンカー5の形態は、異形鉄筋や全ネジボルトなど、特に限定されるものではない。
アンカー5の削孔3挿入方向の先端部5aは、ハンマードリルの動作で接着剤封入カプセル4を破砕しかつ接着剤Aを削孔3内部で撹拌するために、鋭利であって接着剤Aの練り混ぜに適した各種形状で形成される。例えば、図示したようにアンカー5の先端部5aを一方向にカットした形態でもよく、また二方向からカットした形態や、多角錐状の形態などであってもよい。さらに、図示しないが、アンカー5の後端部に別途、定着板等の定着部材を脱着可能に取り付けてもよい。
アンカー5には、接着剤受容具1が装着される。接着剤受容具1は、回転・打撃作用を受けるアンカー5の挙動に対し、既存コンクリート躯体表面2aへの密着状態を維持できかつ破損されないように、熱可塑性エラストマーや合成ゴム、天然ゴムなどの弾性を有する素材で形成することが好ましいが、金属製であってもよい。
接着剤受容具1は図1及び図2に示すように、基本的に受容具本体1aを主体として、この受容具本体1aに、窪み部1bと、受容具本体1aをアンカー5に装着するための貫通穴部1cとを形成することで構成される。図2(a)は、接着剤受容具1の側断面図、図2(b)は図(a)中、A−A線矢視断面図である。
接着剤受容具1は、薄肉のボウル状(椀状)に形成されている。詳細には、接着剤受容具1は、底面を偏平に形成したおおよそ半球状の外形形態を有する受容具本体1aの内部に、当該受容具本体1aの外形形態に沿って内部を抉った形態で窪み部1bを形成することで構成されている。受容具本体1aの中央、従って窪み部1bの中央には、受容具本体1aを貫通して、貫通穴部1cが形成されている。
このように構成された接着剤受容具1は、アンカー5の先端部5aと同じ側に窪み部1bが位置するようにして、アンカー5に挿入することで装着される。従って、アンカー5を削孔3の開孔部3aに向けると、受容具本体1aは、削孔3の開孔部3a周辺の既存コンクリート躯体表面2aに向けられ、アンカー5を削孔3内へ挿入する際に、当該既存コンクリート躯体表面2aに設置される。
貫通穴部1cには、アンカー5が相対摺動自在に貫通され、これにより、既存コンクリート躯体表面2aに設置した受容具本体1aに対し、アンカー5を削孔3内奥へ挿入し得るように、受容具本体1aはアンカー5に貫通状態で相対摺動自在に装着される。具体的には、貫通穴部1cは、その穴径がアンカー5の外径よりも僅かに小さく形成され、アンカー5は貫通穴部1cに摩擦接触しつつ、削孔3へ向かって挿入されるようになっている。
窪み部1bは、受容具本体1aが既存コンクリート躯体表面2aに設置されることに応じて、受容具本体1aと既存コンクリート躯体表面2aとの間に、アンカー5周りに削孔3の開孔部3a周辺を包囲する空間Sを形成する。既存コンクリート躯体表面2aに面する窪み部1bの開口部分の口径は、削孔3の開孔部3aの孔径よりも十分に大きく設定される。空間Sの容積、すなわち窪み部1bの容積は、漏れ出すと想定される接着剤量と同等もしくは僅かに小さく設定される。削孔3から漏れ出す接着剤Aは、接着剤受容具1の窪み部1bによって、削孔3の開孔部3a周辺で捕集される。容積を小さく設定した場合、空間Sを接着剤Aで満たすことができ、開孔部3a周辺の接着剤Aの充填状態を密にすることができる。
アンカー5を削孔3内へ挿入する前において、アンカー5へ接着剤受容具1を装着する位置は、アンカー5が接着剤封入カプセル4を破砕する前の段階で、受容具本体1aが既存コンクリート躯体表面2aに当接されるように設定される。
これにより、アンカー5を削孔3に挿入する際に、接着剤受容具1が既存コンクリート躯体表面2aに設置され、接着剤封入カプセル4の破砕により接着剤Aが流出する前に、接着剤受容具1によって、削孔3の開孔部3a周辺を塞ぐことなく覆うようにして、削孔3からの接着剤Aの漏れ出しに備えることができる。
また、受容具本体1aの外縁には、接着剤受容具1の既存コンクリート躯体表面2aへの設置を安定化し、そしてまた接着剤Aの漏れを防止するために、当該既存コンクリート躯体表面2aに沿って拡張して、受容具本体1aを既存コンクリート躯体表面2aに面接触して密着させる鍔面1dが形成される。
図1(b)には、ハンマードリルに取り付けたアンカー5を、削孔3に挿入した初期の段階が示されている。接着剤受容具1は既存コンクリート躯体表面2aに残置されつつ、ハンマードリルの回転と打撃によって、アンカー5が、接着剤受容具1に対し貫通穴部1cを介して相対的に摺動して、削孔3内に進入していく。この進入によって接着剤封入カプセル4が破砕され、接着剤Aが削孔3内に流出し始める。この際、削孔3の開孔部3a周辺は、接着剤受容具1によって覆われていて、削孔3から漏れ出す一部の接着剤Aは窪み部1bで捕集され、その内部に溜めることができる。
接着剤受容具1は、アンカー5に対し、相対摺動自在に装着されていて、これによりアンカー5は、両者の密着作用が確保されつつ、さらに削孔3の内奥へ挿入される。ハンマードリルによるアンカー5の回転・打撃作用により、削孔3内では接着剤Aの撹拌が確実かつ十分に行われる。
従って、接着剤Aは、削孔3の開孔部3aへも押し出されることになり、そこから漏れ出す接着剤Aが窪み部1bで捕集され、その内部に溜まってゆく。故に、接着剤Aの漏れ出し、そしてまた削孔3内からの空気の排出が許容されるので、アンカー5を削孔3内奥へ十分に押し込むことができ、アンカー5が削孔3の底に到達し得ない、高止まりなどの施工不良が生じることを防止することができる。
図1(c)には、削孔3内部及び窪み部1b内に溜まった接着剤Aが硬化することによって、アンカー5が既存コンクリート躯体2に、これより突出した状態で定着された施工完了段階が示されている。アンカー5は、削孔3の開孔部3aから底にわたるおおよそ削孔3の全長にわたって定着長が確保されて、既存コンクリート躯体2に定着される。また、想定される漏れ出し量に応じた容積の窪み部1bに漏れ出した接着剤Aが溜まることで、削孔3の開孔部3a周辺に接着剤Aが保持されることから、当該開孔部3aにおける接着剤Aの充填状態が疎となることなく、密実化される。
図3には、アンカー5を既存コンクリート躯体2に定着した後、当該アンカー5を介して既存コンクリート躯体2に耐震補強部材10を接合した様子が示されている。図示例にあっては、耐震補強部材10として、スタッド11を接合面12aに植設した鉄骨フレーム12が示されている。
互いに向かい合う鉄骨フレーム12の接合面12aと既存コンクリート躯体2の表面2aとの間の隙間が、これら既存コンクリート躯体2と鉄骨フレーム12との接合境界Bとなり、この接合境界Bには、グラウト材Gが充填され、このグラウト材Gによりアンカー5及びスタッド11が接合境界Bに埋設される。
接合境界Bに面する既存コンクリート躯体2の表面2aには、その内部に溜められ硬化した接着剤Aを覆って、接着剤受容具1が設置されている。鉄骨フレーム12を設置する前、あるいはグラウト材Gを充填する前に、貫通穴部1cを介して接着剤受容具1をアンカー5から引き抜いて撤去することにより、接合境界Bには、溜められて硬化した接着剤Aが露出されて、既存コンクリート躯体表面2aから隆起する凸部13が形成される。複数本のアンカー5を施工すれば、既存コンクリート躯体表面2aには、複数の凸部13が形成される。
接合境界Bには、これら凸部13も含めて、アンカー5及びスタッド11を埋設するようにグラウト材Gが充填され、当該グラウト材Gの硬化によって既存コンクリート躯体2と鉄骨フレーム12とが接合されて、接着系アンカーによる耐震補強構造が構築される。
以上説明した本実施形態にかかる接着系アンカーによる耐震補強構造にあっては、既存コンクリート躯体2と耐震補強部材10との接合境界Bに、アンカー5を定着させる削孔3から漏れ出す接着剤Aを当該削孔3の開孔部3a周辺で捕集する接着剤受容具1が既存コンクリート躯体2の表面2aに設置されることでその内部に溜められ硬化し、かつ接着剤受容具1の撤去で露出される当該接着剤Aにより、既存コンクリート躯体表面2aから隆起する凸部13を形成するようにしたので、第1に、接着剤受容具1による接着剤Aの捕集滞留作用により、上向き、横向きなど、アンカー5の打設方向がどのような方向であっても、削孔3からその開孔部3a周辺にわたる接着剤Aの充填状態を密実かつ均質化することができ、施工の向きを問わず、一定した耐震補強性能の確保に当該アンカー5を寄与させることができると共に、第2に、各アンカー5についても、求められるせん断耐力や引張性能を確実に確保することができて、アンカー5を介して既存コンクリート躯体2と耐震補強部材10とを接合一体化して構築される耐震補強構造の構造強度を向上することができる。
また、接合境界Bにおいて、既存コンクリート躯体表面2aから隆起して形成される接着剤Aの凸部13をコッターとして機能させることができ、すなわち漏れ出した接着剤Aを利用して接合境界Bにおけるグラウト材Gとの付着力を高めて、せん断耐力を向上することができ、既存コンクリート躯体2と耐震補強部材10との一体性を図ることができる。
また、接着剤受容具1は、アンカー5に貫通状態で相対摺動自在に装着され、削孔3の開孔部3a周辺の既存コンクリート躯体表面2aに設置される受容具本体1aと、受容具本体1aに形成され、受容具本体1aと既存コンクリート躯体表面2aとの間に、アンカー5周りに削孔3の開孔部3a周辺を包囲する空間Sを形成する窪み部1bとを備えているので、削孔3から漏れ出す接着剤Aを確実に捕集することができると共に、アンカー5の高止まりなどの施工不良を防止でき、また、削孔3の開孔部3a周辺における接着剤Aの密実な充填によってアンカー5の定着長を的確に確保することができる。このように、アンカー5を確実に定着できることにより、接合境界Bに充填されるグラウト材Gとアンカー5との付着接合強度も向上することができる。受容具本体1aに鍔面1dを形成することにより、安定的にアンカー施工を行うことができる。すなわち、削孔3から漏れ出す接着剤Aにより、アンカー施工を改善することができる。
また、図4に示すように、一般にアンカー5に引張力Tが作用して当該アンカー5が降伏し始めると、アンカー5は徐々に伸びて細くなり、やがて破断に至る。接着剤Aが削孔3の開孔部3aまでしか充填されない場合、開孔部3a周辺における接着剤Aの充填が疎の状態であることから、アンカー5に引張力Tが作用すると、この開孔部3a位置において接着剤Aとアンカー5との付着が切れてしまう。これにより、アンカー5は削孔3の開孔部3a位置で細くなる、すなわち、アンカー5の所定の定着長が不足することになるため、作用する引張力Tによってアンカー5が、破断する前に、削孔3から引き抜かれてしまうおそれがあり、設計上のアンカー耐力が得られない場合がある(図4(a)参照)。
これに対し、本実施形態では、削孔3から漏れ出した接着剤Aが削孔3外部でアンカー5を被覆することとなり、アンカー5が降伏する際に細くなる部位が、接着剤受容具1の外側となるため、設計上のアンカー5の定着長が確保されると共に、それだけでなく接着剤Aの充填状態が疎であることに伴ってアンカー5と接着剤Aとの付着切れが生じることもないため、アンカー耐力を確実に発現させることができる(図4(b)参照)。すなわち、接着剤受容具1により、削孔3から漏れ出す接着剤Aを削孔3の開孔部3a周辺に保持し、密実化できることにより、アンカー5の耐力向上に寄与させることができる。
図5には、本発明にかかる接着系アンカーによる耐震補強構造の他の実施形態が示されている。上記実施形態では、接着剤受容具1を撤去することにより接着剤Aを露出させ、これにより凸部13を形成する場合について説明したが、この変形例では、既存コンクリート躯体表面2aに設置されて削孔3から漏れ出す接着剤Aを当該削孔3の開孔部3a周辺で捕集する接着剤受容具1を、硬化する接着剤Aで既存コンクリート躯体表面2aに接着するようにして、この接着剤受容具1を利用して既存コンクリート躯体表面2aに、これより隆起する凸部13を形成するようにしている。
すなわち、接着剤受容具1を既存コンクリート躯体表面2aに残置することで、凸部13が形成される。この変形例では、接着剤受容具1は、グラウト材G中に埋設されるので、金属製であることが好ましい。このような実施形態であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することは勿論である。
図6には、接着剤受容具1の変形例が示されている。図6(a)は、截頭円錐状もしくは截頭角錐状の接着剤受容具1の側断面図である。図6(b)は、ブロック状の受容具本体1aに、上面から抉った形態で窪み部1bを形成すると共に、下面から窪み部1bへ向かって貫通穴部1cを形成した場合の側断面図である。図6(c)は、皿状に形成した接着剤受容具1の側断面図である。これらいずれの接着剤受容具1を用いる場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することは勿論である。
図7には、接着剤受容具1について、他の変形例が示されている。この変形例では、受容具本体1aは、アンカー5に貫通状態で相対摺動可能に設けられた保持具7に係止されて、アンカー5に装着される。保持具7は、熱可塑性エラストマーや合成ゴム、天然ゴムなどの弾性を有する素材で、ロッド状のアンカー5に差し入れられるリング状に形成される。保持具7の内径寸法は、アンカー5の外周にその弾性で摺動自在に装着するために、当該アンカー5の外径寸法よりも小さく設定される。これにより、アンカー5と保持具7とは、互いに密着しつつ、両者の相対摺動が可能となっている。
受容具本体1aは、保持具7が装着されたアンカー5に対し、アンカー5の先端部5a側から装着され、保持具7に係止されてアンカー5に保持される。保持具7をアンカー5に密着させるので、受容具本体1aに形成する貫通穴部1cは、アンカー5に対しスライド自在に、当該アンカー5の外径よりも大きな穴径で形成される。保持具7で係止して受容具本体1aをアンカー5に装着することにより、上向き施工などに際して、接着剤受容具1がアンカー5から抜け落ちることを防止することができる。本変形例の場合、保持具7でアンカー5に係止するので、金属製の接着剤受容具1を使用する場合に好適である。このような変形例にかかる接着剤受容具1を用いる場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することは勿論である。なお、図5に示した施工の場合には、保持具7は、アンカー施工後に撤去することが好ましい。
図8には、接着剤受容具1について、さらに他の変形例が示されている。この変形例では、受容具本体1aには、貫通穴部1cに代えて、これに装着されるアンカー5によって押し広げられるスリット1eが形成され、受容具本体1aはスリット1eで分断形成された爪片1fを介してアンカー5に相対摺動可能に係止される。
スリット1eが押し広げられてアンカー5に爪片1fが係止することにより、図7に示した保持具7を用いることなく、接着剤受容具1をアンカー5に保持させることができ、その抜け落ちを防止することができる。本変形例の場合も、接着剤受容具1は金属製としてもよい。このような変形例にかかる接着剤受容具1を用いる場合であっても、上記実施形態と同様の作用効果を奏することは勿論である。
上記実施形態にあっては、接着系アンカーの上向き施工を例示して説明したが、横向き施工や下向き施工であってもよいことはもちろんである。
1 接着剤受容具
1a 受容具本体
1b 窪み部
2 既存コンクリート躯体
2a 既存コンクリート躯体の表面
3 削孔
3a 削孔の開孔部
4 接着剤封入カプセル
5 アンカー
10 耐震補強部材
13 凸部
A 接着剤
B 接合境界
S 空間

Claims (3)

  1. 既存コンクリート躯体に形成した削孔内に収容した接着剤封入カプセルを、該削孔内へ挿入するアンカーで破砕することにより、当該削孔内に充満する接着剤で該アンカーを該既存コンクリート躯体から突出させて定着し、該アンカーを介して該既存コンクリート躯体に耐震補強部材を接合する耐震補強構造であって、
    上記既存コンクリート躯体と上記耐震補強部材との接合境界に、上記削孔から漏れ出す接着剤を当該削孔の開孔部周辺で捕集する接着剤受容具が該既存コンクリート躯体の表面に設置されることでその内部に溜められ硬化し、かつ該接着剤受容具の撤去で露出される当該接着剤により、該既存コンクリート躯体表面から隆起する凸部を形成したことを特徴とする接着系アンカーによる耐震補強構造。
  2. 既存コンクリート躯体に形成した削孔内に収容した接着剤封入カプセルを、該削孔内へ挿入するアンカーで破砕することにより、当該削孔内に充満する接着剤で該アンカーを該既存コンクリート躯体から突出させて定着し、該アンカーを介して該既存コンクリート躯体に耐震補強部材を接合する耐震補強構造であって、
    上記既存コンクリート躯体と上記耐震補強部材との接合境界に、該既存コンクリート躯体の表面に設置されて上記削孔から漏れ出す接着剤を当該削孔の開孔部周辺で捕集すると共に当該接着剤の硬化で該既存コンクリート躯体表面に接着される接着剤受容具により、該既存コンクリート躯体表面から隆起する凸部を形成したことを特徴とする接着系アンカーによる耐震補強構造。
  3. 前記接着剤受容具は、前記アンカーに貫通状態で相対摺動自在に装着され、前記削孔の開孔部周辺の前記コンクリート躯体の表面に設置される受容具本体と、該受容具本体に形成され、該受容具本体と上記コンクリート躯体表面との間に、上記アンカー周りに上記削孔の開孔部周辺を包囲する空間を形成する窪み部とを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の接着系アンカーによる耐震補強構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2021059854A (ja) * 2019-10-03 2021-04-15 益二 大井 コンクリート長穴への剛性棒の接着方法

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