JP2012105762A - バイタルサイン計測装置及び体動検出装置 - Google Patents

バイタルサイン計測装置及び体動検出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】被測定者に拘束感を与えることなく心拍数や呼吸数などを計測可能なバイタルサイン計測装置、及び、被測定者に拘束感を与えることなく体動を検出可能な体動検出装置を提供すること。
【解決手段】バイタルサイン計測装置1は、被測定者の所定部位の動きを検出するセンサー端末10(加速度センサー300)と、センサー端末10(加速度センサー300)の出力信号から得られるセンサー端末10(加速度センサー300)の姿勢変化の情報に基づいて、所定時間における被測定者の心拍数、呼吸数及び脈拍数の少なくとも1つのバイタルサインの計測処理を行う計測部(マイクロプロセッサー400)と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、バイタルサイン計測装置及び体動検出装置に関する。
医療現場では、患者の状態を示す数値としてバイタルサイン(Vital Signs)を測定することがある。バイタルサインとは主に心拍数、呼吸数、血圧、体温を指し、患者の安全を確認するために常時測定したいという要求がある。例えば、乳幼児では乳幼児突然死症候群(SIDS:sudden infant death syndrome)の監視のために、心拍数を常時測定したいという要望があるが、従来の心電計は電極を直接皮膚に貼る必要があり、肌の弱い乳幼児には適用できないという問題がある。また、成人患者に対しても、心電計は電極を皮膚に装着する必要があるから、拘束感を与えてしまうという問題がある。
これに対し、例えば、特許文献1の加速度心拍計や特許文献2の心拍動計測装置では、加速度センサーを使って、そこから得られた加速度信号に信号処理を施して心拍数を算出することで、非拘束に心拍数を計測することができる。
特許第2849711号公報 特許第3682254号公報
しかし、特許文献1の加速度心拍計や特許文献2の心拍動計測装置では拍動によって発生した振動加速度を直接測定しているため、振動加速度と重力加速度が混在してしまい、うまく拍動の情報を取り出せないという問題がある。
さらに、もう一つのバイタルサインである呼吸数について、呼吸によって発生する胸部の加速度から呼吸数を計測することは原理的には不可能でないが、現実には呼吸のようなゆっくりとした動きが発生する加速度は微小であり、加速度センサーで呼吸による加速度を直接測定し、そこから呼吸数を測定するのは困難である。また、例えば、患者の体動をモニターするような、心拍数や呼吸数のような数値的な情報を得る必要がない場合でも、加速度センサーにより直接的に測定する手法では、ゆっくりとした動きが検知しにくいという同様の問題があった。
本発明は、以上のような問題点に鑑みてなされたものであり、本発明のいくつかの態様によれば、被測定者に拘束感を与えることなく心拍数や呼吸数などを計測可能なバイタルサイン計測装置、及び、被測定者に拘束感を与えることなく体動を検出可能な体動検出装置を提供することができる。
(1)本発明は、被測定者の所定部位の動きを検出する慣性センサーと、前記慣性センサーの姿勢変化の情報に基づいて、所定時間における前記被測定者の心拍数、呼吸数及び脈拍数の少なくとも1つのバイタルサインの計測処理を行う計測部と、を含む、バイタルサイン計測装置である。
所定部位は、計測対象に応じて決定される。例えば、心拍数を計測するには胸部が望ましく、呼吸数を計測するには胸部や腹部が望ましく、脈拍数を計測するには動脈付近の部位が望ましい。
本発明によれば、ゆっくりとした動きに対しても慣性センサーの姿勢変化は精度よく計測できることを利用し、被測定者の所定部位の動きを慣性センサーの姿勢変化で捉えることで、呼吸のようなゆっくりとした動きも捉えることができる。また、本発明によれば、慣性センサーは被測定者の皮膚に装着する必要がないから、被測定者に拘束感を与えずにバイタルサインを計測することができる。
(2)このバイタルサイン計測装置において、前記慣性センサーは、加速度センサーを含み、前記加速度センサーの出力信号に基づいて、前記加速度センサーの検出軸に対する傾斜角を算出する姿勢角算出部をさらに含み、前記計測部は、前記姿勢角算出部が算出した前記傾斜角の時間変化に基づいて前記計測処理を行うようにしてもよい。
心拍、呼吸、脈拍による体の動きに伴って生じる加速度は重力加速度に比べてはるかに小さい。このバイタルサイン計測装置によれば、加速度センサーが検出した加速度から重力方向を基準とする加速度センサーの検出軸の傾斜角を算出し、被測定者の所定部位の動きをこの傾斜角の変化で捉えることで、呼吸のようなゆっくりとした動きも捉えることができる。
(3)このバイタルサイン計測装置において、前記加速度センサーは、複数の異なる検出軸を有し、前記姿勢角算出部は、前記加速度センサーの前記複数の検出軸の各々に対して前記傾斜角を算出し、前記計測部は、前記姿勢角算出部が算出した少なくとも1つの前記傾斜角の時間変化に基づいて前記計測処理を行うようにしてもよい。
加速度センサーの検出軸の方向が重力方向と平行になると、傾斜角の変化が小さくなるため捉えにくくなる。このバイタルサイン計測装置によれば、複数の検出軸を有する加速度センサーを使用することで、被測定者がどのように動いても、重力方向と平行にならない検出軸が存在するので、その検出軸の傾斜角の変化を高い分解能で確実に捉えることができる。
(4)このバイタルサイン計測装置は、前記姿勢角算出部が算出した前記傾斜角の信号から、前記バイタルサインに対応する信号を抽出するフィルター部をさらに含み、前記計測部は、前記フィルター部の出力信号に基づいて、所定時間における前記被測定者の前記バイタルサインの計測処理を行うようにしてもよい。
例えば、慣性センサーを被測定者の胸部に取り付けた場合、姿勢角算出部が算出した傾斜角の信号には心拍に対応する信号と呼吸に対応する信号が含まれる。このバイタルサイン計測装置によれば、そのような場合でも例えば呼吸数を確実に計測することができる。
(5)このバイタルサイン計測装置において、前記慣性センサーは、角速度センサーを含み、前記計測部は、前記角速度センサーの出力信号に基づいて、前記角速度センサーの検出軸回りの角速度又は角度の時間変化の情報を取得して前記計測処理を行うようにしてもよい。
角速度センサーが検出する角速度の時間変化や角速度の積分処理により得られる角度の時間変化はそれ自体が姿勢変化を表す。従って、このバイタルサイン計測装置によれば、被測定者の所定部位の動きを角速度又は角度の変化で捉えることで、呼吸のようなゆっくりとした動きも捉えることができる。
(6)このバイタルサイン計測装置は、前記角速度センサーの出力信号から、前記バイタルサインに対応する信号を抽出するフィルター部をさらに含み、前記計測部は、前記フィルター部の出力信号に基づいて、所定時間における前記被測定者の前記バイタルサインの計測処理を行うようにしてもよい。
例えば、慣性センサーを被測定者の胸部に取り付けた場合、角速度センサーの出力信号には心拍に対応する信号と呼吸に対応する信号が含まれる。このバイタルサイン計測装置によれば、そのような場合でも例えば呼吸数を確実に計測することができる。
また、例えば、前記計測部は、前記計測処理として、前記姿勢変化の情報の信号と所与の閾値との比較処理を行って前記姿勢変化の情報の信号が前記所定時間に前記閾値を所定方向に横切る数を計測する処理を行い、前記姿勢変化の情報の信号が前記所定方向に横切ってから所定時間は前記比較処理を行わないようにしてもよい。
このようにすれば、閾値との比較処理を行わない不感時間を設けることで、ノイズに起因する計測誤差を無くすことができる。
(7)このバイタルサイン計測装置は、不揮発性の記憶部をさらに含み、前記計測部は、前記計測処理の結果を前記記憶部に記憶させるようにしてもよい。
このようにすれば、計測結果を記録して保存することができるので、例えば、呼吸数の計測結果の記録を後から調べることで睡眠時無呼吸症候群の検査を行うことができる。
(8)本発明は、被測定者の所定部位の動きを検出する慣性センサーと、前記慣性センサーの姿勢変化の情報に基づいて、前記被測定者の体動を検出する体動検出部と、を含む、体動検出装置である。
本発明によれば、ゆっくりとした動きに対しても慣性センサーの姿勢が精度よく変化することを利用し、被測定者の所定部位の動きを慣性センサーの姿勢変化で捉えることで、ゆっくりとした動きも捉えることができる。これにより、被測定者の体動を検出することができる。また、本発明によれば、慣性センサーは被測定者の皮膚に装着する必要がないから、被測定者に拘束感を与えずに体動を検出することができる。
図1(A)は第1実施形態のバイタルサイン計測装置の外観図であり、図1(B)は第1実施形態のバイタルサイン計測装置の構成を示す図。 センサー端末の取り付け例を示す図。 マイクロプロセッサーの信号処理の機能ブロック図の一例。 センサー端末の水平面に対する傾斜角について説明するための図。 加速度データの一例を示す図。 傾斜角データの一例を示す図。 フィルター処理後の傾斜角データの一例を示す図。 図8(A)は第2実施形態のバイタルサイン計測装置の外観図であり、図8(B)は第2実施形態のバイタルサイン計測装置の構成を示す図。 センサー端末の取り付け例を示す図。 マイクロプロセッサーにおける信号処理の機能ブロック図の一例。 角速度データの一例を示す図。 フィルター処理後の角速度データの一例を示す図。 角速度データの拡大図。 図14(A)は第1実施形態の体動検出装置の外観図であり、図14(B)は第1実施形態の体動検出装置の構成を示す図。 マイクロプロセッサーにおける信号処理の機能ブロック図の一例。 図16(A)は第2実施形態の体動検出装置の外観図であり、図16(B)は第2実施形態の体動検出装置の構成を示す図。 マイクロプロセッサーにおける信号処理の機能ブロック図の一例。
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.バイタルサイン計測装置
1−1.第1実施形態
図1(A)は、第1実施形態のバイタルサイン計測装置の外観図であり、図1(B)は、第1実施形態のバイタルサイン計測装置の構成を示す図である。
本実施形態のバイタルサイン計測装置1は、小型の無線端末であるセンサー端末10とセンサー端末10からの無線信号を受信して処理するホスト端末20を含んで構成されている。センサー端末10とホスト端末20との結線がないことで、被測定者(患者)の負担を少なくすることができる。ただし、データの信頼性が要求される場合などはセンサー端末10とホスト端末20とを有線で接続しても構わない。
センサー端末10は、3軸方向の加速度を検出する加速度センサー100、AD変換器110、マイクロコントローラー120、無線ユニット130、電源回路140を含んで構成されており、電池150で駆動する。加速度センサー100から出力された3軸分の加速度データは、AD変換器110でディジタル化され、マイクロコントローラー120でヘッダーなどを付加され、無線ユニット130を介してホスト端末20に送信される。
センサー端末10は、被測定者(患者)の衣服の胸部(例えば胸骨、肋軟骨、肋骨上)または腹部(例えば臍付近、横隔膜付近、剣状突起付近)に取り付けられる。センサー端末10を取り付ける位置は、心拍数を取りたいときは胸部(心臓)付近が望ましく、呼吸数を取りたいときは胸部でも腹部でも構わない。センサー端末10を衣服に縫い付けても良いし、ベルクロテープなどで貼り付けてもよい。また、センサー端末10にクリップがついていて、クリップで服に取り付けられるようにしてもよい。なお、センサー端末10は、複数設けられていることが望ましい。これにより、心拍数、呼吸数など計測目的に応じて計測しやすいセンサー端末を選んで使ったり、複数のセンサー端末の情報を総合して測定精度を上げたりすることができる。例えば、心拍数は胸部に近いセンサー端末で計測し、呼吸数は腹部に近いセンサー端末で計測することで、安定した測定ができる。
ホスト端末20は、無線ユニット200、マイクロプロセッサー210、メモリー220、表示装置230を含んで構成されている。また、ホスト端末20は、不揮発メモリー240を備えていてもよい。ホスト端末20では、センサー端末10から無線ユニット200を介して受け取ったデータに対し、メモリー220を作業領域としてマイクロプロセッサー210で姿勢角演算や計数処理などを施し、結果をディスプレイ(表示装置230)に表示する。
図2に示すように、例えば、センサー端末10を被測定者(患者)の衣服の胸部に取り付けた場合、被測定者(患者)が仰向けに横になった状態で呼吸をする毎に腹部が上下し、これにより胸部に取り付けられたセンサー端末10(加速度センサー100)の姿勢角(傾斜角)が呼吸周期に合わせて変化する。同様に、被測定者(患者)の心拍に合わせてセンサー端末10(加速度センサー100)の姿勢角(傾斜角)が変化する。マイクロプロセッサー210は、センサー端末10(加速度センサー100)の姿勢角(傾斜角)を演算して計数処理を施すことで、被測定者(患者)の心拍数や呼吸数のデータを得る。
図3に、マイクロプロセッサー210の信号処理の機能ブロック図の一例を示す。図3に示すように、マイクロプロセッサー210は、姿勢角演算部212、フィルター部214、計測部216を含んで構成されている。
姿勢角演算部212は、3軸分の加速度データからセンサー端末10(加速度センサー100)の姿勢角(傾斜角)を演算する処理を行う。例えば、図4のように加速度センサー100の検出軸を定義し、X軸の水平面に対する傾斜角をφ、Y軸の水平面に対する傾斜角をρと定義すると、φ、ρはそれぞれ以下の式(1)、(2)で計算できる。式(1)、(2)において、a,a,aは、それぞれX軸、Y軸、Z軸の加速度データである。
Figure 2012105762
Figure 2012105762
ただし、他の式を用いてセンサー端末10(加速度センサー100)の姿勢角(傾斜角)を求めてもよい。例えば、上の例でφはX軸の加速度出力aのみから単純にφ=arcsin(a)と計算してもよい。この場合、被測定者(患者)の姿勢が変わり、X軸が重力軸と重なってしまうと、姿勢角(傾斜角)の変化をうまく捉えることができない。つまり、a≒1になり、aの変化に対してφの変化が小さくなってしまう。しかし、3軸の加速度センサーであれば重力軸と重ならない検出軸の加速度データを使用することで、高い分解能で姿勢角変化を検出することができる。
フィルター部214は、姿勢角演算部212で算出された傾斜角φ、ρに対して、適切なフィルタリング(ローパス、DCカットなど)の処理を行う。
計測部216は、フィルター処理された波形に対して、ある閾値に対して比較を行い、所定時間中の波数をカウントし、あるいは波の周期を測定することで、被測定者(患者)の心拍数あるいは呼吸数を求める処理を行う。計測部216の計数処理で得られた心拍数や呼吸数のデータは、不揮発メモリー240に記録するようにしてもよい。
センサー端末10の取り付け位置によっては、被測定者(患者)の心拍数と呼吸数の両方を計測することができる。例えば、図5(A)、図5(B)、図5(C)は、それぞれ、被測定者の胸骨体−剣状突起付近にX軸がほぼ体幹に沿う軸となるように3軸加速度センサーを配置して取得したX軸、Y軸、Z軸方向の加速度データ(a,a,a)を示す図である。また、図6は、図5(A)、図5(B)、図5(C)に示した加速度データ(a,a,a)を用いて、式(1)に従って計算した傾斜角φを示す図である。
図6の波形には、呼吸に相当する信号と心拍に相当する信号が含まれている。一般的には、呼吸の周波数は相対的に低い周波数であり、心拍の周波数は相対的に高い周波数であると考えられる。そこで、例えば、心拍数を計測する場合はフィルター部214でDCカットを行ってから計測部216で計測し、呼吸数を計測する場合はフィルター部214でDCカットとローパスフィルター処理を行ってから計測部216で計測すればよい。
図7は、図6に示す傾斜角φのデータに直流成分除去用のハイパスフィルターと雑音除去用のローパスフィルターとを適用(実質的にバンドパスフィルターを適用したのと同等)した波形を示す図である。図7を見ると、呼吸に相当する低い周波数の信号が得られていることがわかる。図7の波形に対して、たとえば、所定期間内に波の中央値(0)を閾値として比較処理を行い、波形が閾値を上向きにクロスする数を数えれば呼吸数が得られる。図7の例では、10秒で3回クロスするので、呼吸数は1分間で18回と算出される。あるいは、一波長の時間を計測し、その逆数を計算してもよい。
なお、図7に示すように、信号が上向きに変化するときの閾値(THU)と下向きに変化するときの閾値(THD)を異なるレベルに設定するヒステリシス比較を使うことで雑音耐性を上げることができる。
以上に説明したように、本実施形態のバイタルサイン計測装置によれば、センサー端末10(加速度センサー100)が検出した加速度からX軸とY軸の水平面に対する傾斜角φ,ρの少なくとも一方の変化を捉えることで、呼吸のようなゆっくりとした動きも捉えることができる。これにより、心拍数や呼吸数を安定して計測することができる。また、センサー端末10を被測定者の皮膚に装着する必要がないから、被測定者に拘束感を与えずに心拍数や呼吸数を計測することができる。
なお、本実施形態のバイタルサイン計測装置は、呼吸数を計測することができるから、睡眠時無呼吸症候群の検査に使うことができる。すなわち、呼吸数のデータを不揮発メモリー240に保存し、この呼吸数のデータを医師が見ることで、睡眠時無呼吸症候群の検査を行うことができる。
1−2.第2実施形態
図8(A)は、第2実施形態のバイタルサイン計測装置の外観図であり、図8(B)は、第2実施形態のバイタルサイン計測装置の構成を示す図である。
本実施形態のバイタルサイン計測装置1は、センサー端末30、ホスト端末40、呼び出し器50を含んで構成されている。
センサー端末30は、3軸回りの角速度を検出する角速度センサー300(ジャイロスコープ)とAD変換器310を含んで構成されている。角速度センサー300から出力された3軸分の角速度データは、AD変換器310でディジタル化され、ホスト端末40に送信される。
センサー端末30は、例えば、被測定者(患者)の寝具の中に埋め込まれる。センサー端末は、胸部、腹部に対応する位置に複数設けられていることが望ましい。これにより、心拍数、呼吸数など計測目的に応じて計測しやすいセンサー端末を選んで使ったり、複数のセンサー端末の情報を総合して測定精度を上げたりすることができる。例えば、心拍数は胸部に近いセンサー端末で計測し、呼吸数は腹部に近いセンサー端末で計測することで、安定した測定ができる。また、センサー端末から得られる信号の振幅を検出し、最も大きな信号が得られるセンサー端末を選択的に使用することで、被測定者(患者)が寝具内で動いた場合でも安定して測定が行なえる。なお、センサー端末30は掛け具(掛け布団、毛布など)に埋め込まれていてもよいし、敷き具(敷布団、マットなど)に埋め込まれていてもよい。また、第1実施形態と同様に、センサー端末30を被測定者(患者)の衣服に取り付けてもよい。センサー端末30を寝具に埋め込む場合、センサー端末30とホスト端末40を有線で接続してもさほど問題が無い。この場合、センサーの断線、不良を検出する機能があるとなお良い。勿論、センサー端末30とホスト端末40を無線で接続しても構わない。
ホスト端末40は、マイクロプロセッサー400、メモリー410、表示装置420、無線ユニット430を含んで構成されている。また、ホスト端末40は、不揮発メモリー440を備えていてもよい。ホスト端末40では、センサー端末30から受け取ったデータに対し、メモリー410を作業領域としてマイクロプロセッサー400でフィルター処理や計数処理などを施し、結果をディスプレイ(表示装置420)に表示する。
ホスト端末40は、心拍数や呼吸数に異常が見られた場合、ディスプレイ(表示装置420)に警告を表示するとともに、無線ユニット430を介して看護士が携帯する呼び出し器50に警告情報のデータを送信するようにしても良い。
呼び出し器50は、無線ユニット500、マイクロプロセッサー510、メモリー520、表示装置530を含んで構成されている。呼び出し器50では、ホスト端末40から無線ユニット500を介して受け取ったデータを、メモリー520を作業領域としてマイクロプロセッサー510で処理し、ディスプレイ(表示装置530)に警告情報を表示する。このように、呼び出し器50に警告情報を表示することで、看護士が患者の異常にいち早く気付くことができる。
図9に示すように、例えば、センサー端末30を被測定者(患者)の寝具の中に埋め込んだ場合、被測定者(患者)が仰向けに横になった状態で呼吸をする毎に腹部が上下し、これにより寝具の中に埋め込まれたセンサー端末30からの角速度データが呼吸周期に合わせて変化する。同様に、被測定者(患者)の心拍に合わせてセンサー端末30からの角速度データが変化する。マイクロプロセッサー400は、センサー端末30からの角速度データに対してフィルター処理や計数処理を施すことで、被測定者(患者)の心拍数や呼吸数のデータを得る。
図10(A)に、マイクロプロセッサー400における信号処理の機能ブロック図の一例を示す。図10(A)の例では、マイクロプロセッサー400は、フィルター部404と計測部406を含んで構成されている。
フィルター部404は、センサー端末30からの角速度データに対して、適切なフィルタリング(DCカット、ローパス、バンドパスなど)の処理を行う。
計測部406は、フィルター処理された波形に対して、閾値処理を行い、波数のカウントまたは波の周期の計測を行い、心拍数または呼吸数として出力する。
図10(B)に、マイクロプロセッサー400における信号処理の機能ブロック図の他の一例を示す。図10(B)の例では、マイクロプロセッサー400は、積分処理部402、フィルター部404、計測部406を含んで構成されている。
積分処理部402は、センサー端末30からの角速度データを積分して角度データ(姿勢角データ)を生成する処理を行う。
フィルター部404は、積分処理部402で生成された角度データ(姿勢角データ)に対して、適切なフィルタリング(DCカット、ローパス、バンドパスなど)の処理を行う。
計測部406は、フィルター処理された波形に対して、閾値処理を行い、波数のカウントまたは波の周期の計測を行い、心拍数または呼吸数として出力する。計測部406の計数処理で得られた心拍数や呼吸数のデータは、不揮発メモリー440に記録するようにしてもよい。
センサー端末の取り付け位置によっては、被測定者(患者)の心拍数と呼吸数の両方を計測することができる。例えば、図11(A)、図11(B)、図11(C)は、それぞれ、被測定者の胸骨体−剣状突起付近にX軸がほぼ体幹に沿う軸となるように3軸角速度センサーを配置して取得したX軸、Y軸、Z軸回りの角速度データを示す図である。
図11(A)、図11(B)、図11(C)の波形には、呼吸に相当する信号と心拍に相当する信号が含まれている。特に図11(A)には心拍に相当する信号が強いピークとなって計測されている。一般的には、呼吸の周波数は相対的に低い周波数であり、心拍の周波数は相対的に高い周波数であると考えられる。そこで、例えば、心拍数を計測する場合はフィルター部404でDCカットを行ってから計測部406で計測し、呼吸数を計測する場合はフィルター部404でDCカットとローパスフィルター処理を行ってから計測部406で計測すればよい。
図12(A)及び図12(B)は、図11(A)に示すX軸回りの角速度データと図11(B)に示したY軸回りの角速度データに、それぞれ直流成分除去用のハイパスフィルターと雑音除去用のローパスフィルターとを適用(実質的にバンドパスフィルターを適用したのと同等)した波形を示す図である。図12(A)と図12(B)を見ると、呼吸に相当する低い周波数の信号が得られていることがわかる。例えば、図12(B)の波形に対して、たとえば、所定期間内に波の中央値(0)を閾値として比較処理を行い、波形が閾値を上向きにクロスする数を数えれば呼吸数が得られる。図12(B)の例では、10秒で3回クロスするので、呼吸数は1分間で18回と算出される。あるいは、一波長の時間を計測し、その逆数を計算してもよい。
なお、図12(B)に示すように、信号が上向きに変化するときの閾値(THU)と下向きに変化するときの閾値(THD)を異なるレベルに設定するヒステリシス比較を使うことで雑音耐性を上げることができる。
また、例えば、図11(A)に示すX軸回りの角速度データに対して、所定期間内の波のピークの数を数えれば心拍数が得られる。この場合、閾値処理においてはヒステリシス比較を使ったり、判定後に不感時間を設けたりすることで不要なカウントを排除できる。例えば、図13は、図11(A)の一部を拡大した図であり、上向きの閾値THUと下向きの閾値THDを心拍に相当する大きなピークよりも少し低い値に設定し、ヒステリシス比較を行う。さらに、閾値THUを上向きにクロスした時点(t1やt2)から不感時間Tを設定し、不感時間Tでは閾値処理を行わないようにする。この例では、心拍に相当する大きなピークの後に信号が暴れているが、閾値処理を行なわない不感時間を設けることで不要な閾値判定が行なわれることを防いでいる。
以上に説明したように、本実施形態のバイタルサイン計測装置によれば、センサー端末30(角速度センサー300)が検出した角速度又はこれを積分した角度の変化を捉えることで、呼吸吸のようなゆっくりとした動きも捉えることができる。これにより、心拍数や呼吸数を安定して計測することができる。角速度センサーは、加速度センサーと異なり運動加速度の影響を受けず、純粋に姿勢の変化を捉えることができるから、特に呼吸のような低い周波数の動きをより正確に捉えることができる。また、センサー端末30を被測定者の皮膚に装着する必要がないから、被測定者に拘束感を与えずに心拍数や呼吸数を計測することができる。
なお、本実施形態のバイタルサイン計測装置は、呼吸数を計測することができるから、睡眠時無呼吸症候群の検査に使うことができる。すなわち、呼吸数のデータを不揮発メモリー440に保存し、この呼吸数のデータを医師が見ることで、睡眠時無呼吸症候群の検査を行うことができる。
2.体動検出装置
2−1.第1実施形態
図14(A)は、第1実施形態の体動検出装置の外観図であり、図14(B)は、第1実施形態の体動検出装置の構成を示す図である。図14(A)及び図14(B)において、図1(A)及び図1(B)と同じ構成には同じ符号を付しており、その説明を省略又は簡略する。
本実施形態の体動検出装置2は、小型の無線端末であるセンサー端末10とセンサー端末10からの無線信号を受信して処理するホスト端末22を含んで構成されている。センサー端末10の構成は、図1(B)と同じである。ただし、心拍数や呼吸数の計測処理は不要であるため、センサー端末10の配置は、被測定者の胸部付近又は腹部付近でなくても構わない。ホスト端末22の構成は、図1(B)と同様であるが、心拍数や呼吸数の計測処理は不要であるため、マイクロプロセッサー250の機能が図1(B)のマイクロプロセッサー210と異なる。
図15に、マイクロプロセッサー250における信号処理の機能ブロック図の一例を示す。図15の例では、マイクロプロセッサー250は、姿勢角演算部252、フィルター部254、姿勢角変化監視部256を含んで構成されている。
姿勢角演算部252及びフィルター部254の機能は、それぞれ、図3の姿勢角演算部212及びフィルター部214と同様である。
姿勢角変化監視部256は、フィルター処理された波形に対して、姿勢角が変化しているか否かを監視する。例えば、姿勢角変化監視部256は、一定期間内に閾値を超える大きさの姿勢角変化があるか否かを判定し、大きな変化がなければ体動が無いとして警告を発生する。この警告情報は、例えば表示装置230に表示される。これにより、被測定者(患者)の異常を知らせることができる。
本実施形態の体動検出装置によれば、被測定者(患者)の所定部位の動きをセンサー端末10(加速度センサー100)の姿勢変化で捉えることで、ゆっくりとした動きも捉えることができる。これにより、被測定者(患者)の体動を検出することができる。また、センサー端末10を被測定者の皮膚に装着する必要がないから、被測定者に拘束感を与えずに体動を検出することができる。
2−2.第2実施形態
図16(A)は、第2実施形態の体動検出装置の外観図であり、図16(B)は、第2実施形態の体動検出装置の構成を示す図である。図16(A)及び図16(B)において、図8(A)及び図8(B)と同じ構成には同じ符号を付しており、その説明を省略又は簡略する。
本実施形態の体動検出装置2は、センサー端末30、ホスト端末42、呼び出し器50を含んで構成されている。センサー端末30及び呼び出し器50の構成は、図8(B)と同じである。ただし、心拍数や呼吸数の計測処理は不要であるため、センサー端末30の配置は、被測定者の胸部付近又は腹部付近でなくても構わない。ホスト端末42の構成は、図8(B)と同様であるが、心拍数や呼吸数の計測処理は不要であるため、マイクロプロセッサー450の機能が図1(B)のマイクロプロセッサー400と異なる。
図17に、マイクロプロセッサー450における信号処理の機能ブロック図の一例を示す。図17の例では、マイクロプロセッサー450は、フィルター部454と角速度変化監視部456を含んで構成されている。
フィルター部454の機能は、図10(A)のフィルター部404と同様である。
角速度変化監視部456は、フィルター処理された波形に対して、角速度が変化しているか否かを監視する。例えば、角速度変化監視部456は、一定期間内に閾値を超える大きさの角速度変化があるか否かを判定し、大きな変化がなければ体動が無いとして警告を発生する。この警告情報は、例えば表示装置420に表示されるとともに、無線ユニット430を介して呼び出し器50に送信される。これにより、被測定者(患者)の異常を知らせることができる。
本実施形態の体動検出装置によれば、被測定者(患者)の所定部位の動きをセンサー端末30(角速度センサー300)の姿勢変化で捉えることで、ゆっくりとした動きも捉えることができる。これにより、被測定者(患者)の体動を検出することができる。また、センサー端末30を被測定者の皮膚に装着する必要がないから、被測定者に拘束感を与えずに体動を検出することができる。
3.変形例
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
本実施形態では、臥位にある被測定者の心拍数や呼吸数を計測していたが、座位にある被測定者に対しても、例えば、センサー端末をシャツの胸ポケットに入れて信号を測定することで同様に心拍数、呼吸数を計測することができる。
また、本実施形態では心拍数や呼吸数を計測していたが、被測定者の動脈付近にセンサー端末を配置し、本実施形態と同様の処理を行うことで、脈拍数を計測することもできる。また、被測定者の顎の動きを捉えられる位置にセンサー端末を配置し、本実施形態と同様の処理を行うことで、咀嚼回数を計測することもできる。
また、例えば、本実施形態では、3軸の加速度センサーや3軸の角速度センサーを使う例を示したが、1軸又は2軸の加速度センサーや1軸又は2軸の角速度センサーを使っても良い。これらの場合、検出軸が重力軸と重なってしまうと、センサー端末(加速度センサー)の姿勢角(傾斜角)の変化をうまく捉えることができないので、センサーの検出軸を重力軸からずらすように設置するのが望ましい。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
1 バイタルサイン計測装置、2 体動検出装置、10 センサー端末、20,22 ホスト端末、30 センサー端末、40,42 ホスト端末、50 呼び出し器、100 加速度センサー、110 AD変換器、120 マイクロコントローラー、130 無線ユニット、140 電源回路、150 電池、200 無線ユニット、210 マイクロプロセッサー、212 姿勢角演算部、214 フィルター部、216 計測部、220 メモリー、230 表示装置、240 不揮発性メモリー、250 マイクロプロセッサー、252 姿勢角演算部、254 フィルター部、256 姿勢角変化監視部、300 角速度センサー(ジャイロスコープ)、310 AD変換器、400 マイクロプロセッサー、402 積分処理部、404 フィルター部、406 計測部、410 メモリー、420 表示装置、430 無線ユニット、440 不揮発メモリー、450 マイクロプロセッサー、454 フィルター部、456 角速度変化監視部、500 無線ユニット、510 マイクロプロセッサー、520 メモリー、530 表示装置

Claims (8)

  1. 被測定者の所定部位の動きを検出する慣性センサーと、
    前記慣性センサーの姿勢変化の情報に基づいて、所定時間における前記被測定者の心拍数、呼吸数及び脈拍数の少なくとも1つのバイタルサインの計測処理を行う計測部と、を含む、バイタルサイン計測装置。
  2. 請求項1において、
    前記慣性センサーは、加速度センサーを含み、
    前記加速度センサーの出力信号に基づいて、前記加速度センサーの検出軸に対する傾斜角を算出する姿勢角算出部をさらに含み、
    前記計測部は、
    前記姿勢角算出部が算出した前記傾斜角の時間変化に基づいて前記計測処理を行う、バイタルサイン計測装置。
  3. 請求項2において、
    前記加速度センサーは、複数の異なる検出軸を有し、
    前記姿勢角算出部は、
    前記加速度センサーの前記複数の検出軸の各々に対して前記傾斜角を算出し、
    前記計測部は、
    前記姿勢角算出部が算出した少なくとも1つの前記傾斜角の時間変化に基づいて前記計測処理を行う、バイタルサイン計測装置。
  4. 請求項2又は3において、
    前記姿勢角算出部が算出した前記傾斜角の信号から、前記バイタルサインに対応する信号を抽出するフィルター部をさらに含み、
    前記計測部は、
    前記フィルター部の出力信号に基づいて、所定時間における前記被測定者の前記バイタルサインの計測処理を行う、バイタルサイン計測装置。
  5. 請求項1において、
    前記慣性センサーは、角速度センサーを含み、
    前記計測部は、
    前記角速度センサーの出力信号に基づいて、前記角速度センサーの検出軸回りの角速度又は角度の時間変化の情報を取得して前記計測処理を行う、バイタルサイン計測装置。
  6. 請求項5において、
    前記角速度センサーの出力信号から、前記バイタルサインに対応する信号を抽出するフィルター部をさらに含み、
    前記計測部は、
    前記フィルター部の出力信号に基づいて、所定時間における前記被測定者の前記バイタルサインの計測処理を行う、バイタルサイン計測装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
    不揮発性の記憶部をさらに含み、
    前記計測部は、
    前記計測処理の結果を前記記憶部に記憶させる、バイタルサイン計測装置。
  8. 被測定者の所定部位の動きを検出する慣性センサーと、
    前記慣性センサーの姿勢変化の情報に基づいて、前記被測定者の体動を検出する体動検出部と、を含む、体動検出装置。
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