JP2012103210A - 温度制御装置及び恒温恒湿装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】恒温恒湿装置1は、試験室2と、加熱器(ヒータ)3と、加湿器5を備えている。恒温恒湿装置1は、冷却手段として冷凍機を2基搭載している。「冷媒回路のいずれかを絞った状態で長時間に渡って冷凍機が運転された場合」にオイル返しモード運転が行われる。オイル返しモード運転では、冷凍機Aのバイパス開閉弁16aを開き、且つ蒸発器11aに溜まったオイルを強制的に排出すことができる回転数で圧縮機7aを運転し、この状態を一定時間維持する。当初の回転数からオイル返しモード運転に適する回転数に至るまでに、ゆっくりと圧縮機7aの回転数を上げる。
【選択図】 図3
Description
そこでこの要求に応じるため、本発明者らは、図1に示すような恒温恒湿装置1を試作した。
図1に示す恒温恒湿装置1は、通常の恒温恒湿装置1と同様に、断熱材(図示せず)で覆われた試験室2と、加熱器(ヒータ)3と、加湿器5を備えている。
また恒温恒湿装置1は、冷却手段として冷凍機を2基搭載している。即ち恒温恒湿装置1は、冷却手段として、冷凍機Aと冷凍機Bを備えている。
各冷凍機A,Bは、圧縮機7a,7bと、凝縮器8a,8bと、膨張手段10a,10bと蒸発器11a,11bからなる冷凍回路6a,6bを有している。そして圧縮機7a,7bで気体状の冷媒を圧縮して凝縮器8a,8bに送り出し、凝縮器8a,8bで冷媒を液化する。そして膨張手段10a,10bを経て冷媒を蒸発器11a,11bに導入し、蒸発器11a,11b内で冷媒を気化して蒸発器11a,11bの表面温度を低下させる。
また試作した恒温恒湿装置1では、蒸発圧力制御弁12a,12bを迂回するバイパス流路15a,15bを設け、当該流路15a,15bにバイパス開閉弁16a,16bを設けた。このバイパス開閉弁16a,16bは、通常は閉じられており、蒸発器11a,11bの表面温度を能力限界まで下げたい場合に開く。
しかしながら、試作した恒温恒湿装置1は、蒸発器11a,11bの出口側に蒸発圧力制御弁12a,12bを設けたので、蒸発器11a,11b等にオイルが残留してしまう問題があった。
即ち冷凍機A,Bに使用される圧縮機7a,7bは、密閉容器内に例えばロータリー式のコンプレッサーが内蔵されたものであり、密閉容器内には冷媒と共にオイルが入れられている。
そして圧縮機7a,7bは、冷媒と共に気化状態又は霧状態のオイルを圧縮し、当該オイルは、冷凍回路6a,6bの各部を循環し、各部の潤滑に寄与する。
特に、試作した恒温恒湿装置1は、冷凍機A,Bを2基搭載しており、かつ圧縮機7a,7bの回転数を増減することができるから、要求される冷却量が小さい場合には、蒸発圧力制御弁12a,12bを絞った状態であって圧縮機7a,7bの回転数が小さい状態で運転されることとなる。この様な蒸発圧力制御弁12a,12bを絞った状態であって圧縮機7a,7bの回転数が小さい状態で運転すると、蒸発器11a,11b内にオイルが溜まりやすく、特にオイルの戻りが悪い。
そこで本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、円滑にオイルを戻することができ、且つ制御対象の温度変化を抑制することができる温度制御装置及び恒温恒湿装置を提供することを課題とするものである。
(1)圧縮機の冷媒吐出量が小さい状態で長時間に渡って冷却手段が運転された場合。
(2)冷媒回路のいずれかを絞った状態で長時間に渡って冷却手段が運転された場合。
単に一定時間が経過したという条件だけでオイル返しモード運転を実行してもよい。
また本発明では、オイル返しモード運転の際には、他の冷却手段や加熱手段の運転条件が圧縮機の冷媒吐出量の増大に伴う制御対象の温度変化を抑制する方向に変化するが、この変化は、予めプログラムされていてもよいし、制御対象の温度をフィードバックして他の冷却手段等が自動的に運転条件を変化させるものであってもよい。
また本発明では、「他の冷却手段及び/又は加熱手段の運転条件が、圧縮機の冷媒吐出量の増大に伴う制御対象の温度変化を抑制する方向に変化」するので、例えば2基の冷却手段を有する場合であれば、一方がオイル返しモード運転に入って圧縮機の冷媒吐出量が増大すれば、原則的に他方の冷却手段は冷媒吐出量を低下させる方向に運転条件が変化することとなる。しかしながら、要求される冷却量そのものが変化した場合はこの限りではない。例えば、一方の冷却手段がオイル返しモード運転に入って圧縮機の運転条件が冷媒吐出量を増大させることになっても、要求される冷却量そのものが増大した場合には、他方の冷却手段の冷媒吐出量が増大する場合もある。また冷却手段と加熱手段を併用している場合には、一方の冷却手段がオイル返しモード運転に入って運転条件が圧縮機の冷媒吐出量が増大した際に、他方の冷却手段の冷媒吐出量が維持されたり増大する場合も考えられる。
要するに本発明では、オイル返しモード運転が行われなかった場合と比較して「他の冷却手段及び/又は加熱手段の運転条件が、圧縮機の冷媒吐出量の増大に伴う制御対象の温度変化を抑制する方向に変化」する。
本実施形態の恒温恒湿装置1は、2基の冷凍機A,Bの運転方法と、オイル返しモード運転の動作に特徴があり、これらを中心に説明する。
なお本実施形態の恒温恒湿装置1ては、2基の冷凍機A,Bを備えているが、2基の冷凍機A,Bは冷凍能力が異なる。
本実施形態の恒温恒湿装置1は、試験室2内の環境が所望の環境となる様に、2基の冷凍機A,Bがフィードバック制御されているが、これに加えて、冷凍機A,Bは予め演算された冷媒吐出量でも運転される。
また2基の冷凍機A,Bは、予め演算された稼働割合で運転される。
即ち本実施形態の恒温恒湿装置1は、目標の環境と、現在の環境から必要な冷却量を演算する必要冷却量演算機能を備えている。
そして必要冷却量演算機能で演算された冷却量は、所定の稼働割合で、2基の冷凍機A,Bに分配される。
稼働割合は、運転状況に応じて相違し、1対1の場合もあるし、比率が大きく異なる場合もある。
前記した様に、必要冷却量演算機能によって必要な冷却量が演算され、ステップ1の様に冷凍機Aは、分配された冷却量を発生する様にモータ20aの回転数がインバータ制御される。冷凍機B側についても同様であり、分配された冷却量を発生する様にモータ20bの回転数がインバータ制御されている。冷凍機A,Bの動作は、同じであるから、以下、冷凍機Aについて説明する。
より具体的には、ステップ2,3,4で冷凍機Aのバイパス開閉弁16aの連続閉止時間を積算する。即ちステップ2でタイマの計時を開始し、ステップ3で冷凍機Aのバイパス開閉弁16aが閉じていることを確認する。そしてバイパス開閉弁16aが閉じていれば、ステップ4に移行し、バイパス開閉弁16aの連続閉止時間が一定の時間に至ったか否かを判断する。バイパス開閉弁16aの連続閉止時間が一定の時間に至ったならばステップ4からステップ5に移行する。
具体的には、ステップ5で、冷凍機Aのバイパス開閉弁16aを開く。そして続くステップ6で、必要冷却量の演算を停止する。なお必要冷却量の演算を停止してもフィードバック制御は有効に機能しているから、試験室2内の環境が急変することはない。
例えば圧縮機7aの回転数(モータ20aの回転数)がフル運転となる際のモータ20aの回転数の20パーセントの状態であった場合を仮定すると、通常の運転状態であるならば、オイル返しモード運転に適する回転数に至るまでに要する時間は数秒であるが、本実施形態では、故意にゆっくりと圧縮機7a(モータ20a)の回転数を上げてゆく。具体的には、現在の圧縮機7a(モータ20a)の回転数が、圧縮機7aがフル運転となる回転数の20パーセントであったと仮定した場合、オイル返しモード運転に適する回転数に至るまでに3分を越える時間をかけてゆっくりと回転数を上げてゆく。
より望ましくは、この間を10分以上かけて回転数を上げる。またさらに望ましくは、この間に30分以上をかける。
即ち現在の圧縮機7aの回転数が、圧縮機7aがフル運転となる回転数の20パーセントであったと仮定し、オイル返しモード運転に適する回転数に至るまでに3分を要する場合の回転数の上昇カーブよりも緩い上昇カーブを描いて実際の当初の回転数(例えばフル運転の30パーセント)を上昇させ、オイル返しモード運転に適する回転数に至らしめる。
より望ましくは、現在の圧縮機7aの回転数が、圧縮機7aがフル運転となる回転数の20パーセントであったと仮定し、オイル返しモード運転に適する回転数に至るまでに10分を要する場合の回転数の上昇カーブよりも緩い上昇カーブを描いて実際の当初の回転数(例えばフル運転の30パーセント)を上昇させ、オイル返しモード運転に適する回転数に至らしめる。
さらに望ましくは、現在の圧縮機7aの回転数が、圧縮機7aがフル運転となる回転数の20パーセントであったと仮定し、オイル返しモード運転に適する回転数に至るまでに30分を要する場合の回転数の上昇カーブよりも緩い上昇カーブを描いて実際の当初の回転数(例えばフル運転の30パーセント)を上昇させ、オイル返しモード運転に適する回転数に至らしめる。
そのため例えば現在の圧縮機7aの回転数が、1000rpmであったならば、オイル返しモード運転に適する回転数たる1500rpmとの差が500rpmであるから、(500/366)=1.38分を越える時間をかけてゆっくりと回転数を上げてゆく。
またより望ましくは、4.5分を越える時間をかけてゆっくりと回転数を上げてゆく。さらに望ましくは、13分を越える時間をかけてゆっくりと回転数を上げてゆく。
より具体的には、他方の冷凍機Bの機能がフィードバック制御によって低下し、冷凍機A,Bの総冷熱量が同一に維持される。
即ち図3の様に、冷凍機Aのオイル開始モード運転が開始されると、冷凍機Aの圧縮機7aの回転数がゆっくりと上昇し、これに伴って冷凍機Aの冷媒吐出量(冷却量)が増加する。
そしてこの変化に追従して冷凍機Bの圧縮機7bの回転数がゆっくりと低下し、冷凍機Bの冷媒吐出量(冷却量)が減少する。その結果、両者の合計冷却量は変化しない。
なお「オイル返しが行われるのに十分な時間」は、予め実施された実験によって定められる。
その後、ステップ14に移行し、必要冷却量演算機能を復活させて冷凍機Aが要求される冷却量を演算する。そしてステップ15に移行し、冷凍機Aの冷媒吐出量を徐々に下げてゆく。
即ち冷凍機Aの圧縮機7aの回転数をゆっくりと演算された冷却量に近づけて行き、ステップ1に戻る。
具体的には、冷凍機Aの圧縮機7aの回転数を演算された冷却量に一致させるまで、20分程度をかけてゆっくりと圧縮機7aの回転数を変化させて行くことが望ましい。
なお図3は、必要な冷却量が、オイル返しモードの開始直後と終了直後で変化せず、オイル返しモードが終了して暫く時間が経過した後に、必要な冷却量が増大した状態を示している。
この時の冷凍機A,Bの冷媒吐出量の時間変化と圧縮機のモータの回転数の時間変化は、図4の通りであり、冷凍機A,Bの冷媒吐出量の合計は変化しない。
図6は、冷凍機A,Bと加熱器3によってオイル返しモード運転中の環境変化を抑制する場合のタイムチャートである。図6のタイムチャートに従うと、通常運転の際に、冷凍機A,Bと加熱器3を共に運転して試験装置2内を所望の環境に維持している。
そして冷凍機Aのオイル返しモード運転が開始させると、冷凍機Bの冷媒吐出量を維持して試験装置2内の環境変化を加熱器3にフィードバックさせる。即ち冷凍機Aの冷媒吐出量の増大に伴って、加熱器3の発熱量を増加させ、冷凍機Aの冷熱増加分を補う。
冷凍機を2基以上搭載する場合、その内の少なくとも1基は、冷凍サイクルを実現するものであることが必要であるが、他の冷凍機は、この限りではなく、例えばペルチェ効果を応用した冷凍機を採用することもできる。
即ち本実施形態では、試験室2の実際の湿度を検知し、冷凍機A,Bと加湿器5とをフィードバック制御して試験室2の湿度を制御している。そのためオイル返しモード運転が実行されて必要冷却量の演算を停止しても、加湿器5に対するフィードバック制御は有効に機能しているから、試験室2内の湿度が急変することはない。
2 試験室
3 加熱器(ヒータ)
5 加湿器
7a,7b 圧縮機
8a,8b 凝縮器
10a,10b 膨張手段
11a,11b 蒸発器
12a,12b 蒸発圧力制御弁
15a,15b バイパス流路
16a,16b バイパス開閉弁
20a,20b モータ
A,B 冷凍機(冷却手段)
Claims (7)
- 少なくとも一つの冷却手段と、他の1又は複数の冷却手段及び/又は他の1又は複数の加熱手段を有し、制御対象の温度を所望の温度に制御する温度制御装置において、少なくとも一つの冷却手段は圧縮機と凝縮器と膨張手段と蒸発器を有し相変化する冷媒をオイルと共に循環させて冷凍サイクルを実現するものであり、且つ当該冷却手段の圧縮機は冷媒吐出量を変更することが可能であり、一定の条件を満足する場合に圧縮機の冷媒吐出量を増大させてオイル返しモード運転が行われ、オイル返しモード運転の際には、他の冷却手段及び/又は加熱手段の運転条件が圧縮機の冷媒吐出量の増大に伴う制御対象の温度変化を抑制する方向に変化し、前記他の冷却手段及び/又は加熱手段の運転条件の変化によって制御対象の過激な温度変化が防止されることを特徴とする温度制御装置。
- 前記オイル返しモード運転の際の圧縮機の冷媒吐出量の増大速度は、緩やかであることを特徴とする請求項1に記載の温度制御装置。
- 圧縮機はモータによって駆動され、オイル返しモード運転においては圧縮機のモータの回転数を増加することによって圧縮機の冷媒吐出量が増大され、モータの回転数の上昇カーブは緩やかであって、オイル返しモード運転の開始時におけるモータの回転数が圧縮機の冷媒吐出量が最高吐出量となる回転数に対して20パーセントの回転数であった状態からオイル返し適正量となる回転数に至るまでに要する時間が3分以上となる場合の上昇カーブよりも緩いことを特徴とする請求項1又は2に記載の温度制御装置。
- 複数の冷却手段を有し、制御対象の状態に応じて前記複数の冷却手段の稼働割合が定められ、オイル返しモード運転においては、前記稼働割合が変更されるか或いは無視されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の温度制御装置。
- 蒸発器と圧縮機との間に蒸発圧力制御弁が設けられており、蒸発圧力制御弁を迂回するバイパス流路があり、当該バイパス流路にバイパス開閉弁が設けられており、オイル返しモード運転の際にバイパス開閉弁が開かれることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の温度制御装置。
- 前記一定の条件を満足する際に、圧縮機の冷媒吐出量が所定量以上である場合には圧縮機の冷媒吐出量を増大させずにオイル返しモード運転が行われることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の温度制御装置。
- 請求項1乃至6のいずれかに記載の温度制御装置が搭載された恒温恒湿装置。
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