JP2012102151A - 二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化時間が適切であり、さらには硬化物の機械物性に優れ、耐候性にも優れる無黄変の二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物を提供する。
【解決手段】イソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤(A)と式Iのビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類を含有する硬化剤(B)とからなる二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂組成物において、主剤が、(1)乃至(3)を満たす:
(1)イソシアネート末端プレポリマーが脂肪族ジイソシアネートと数平均分子量500乃至5000のポリカーボネートポリオールの反応生成物であり、(2)主剤中のNCO含有率が0.5乃至7.0質量%であり、そして、(3)主剤の25℃での粘度が50乃至10000mPa・s/25℃である。
(R1及びR2は1乃至10個の炭素原子を有するアルキル基、R3乃至R6はそれぞれ独立に水素原子又は1乃至5個の炭素原子を有するアルキル基である。)
【選択図】なし
【解決手段】イソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤(A)と式Iのビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類を含有する硬化剤(B)とからなる二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂組成物において、主剤が、(1)乃至(3)を満たす:
(1)イソシアネート末端プレポリマーが脂肪族ジイソシアネートと数平均分子量500乃至5000のポリカーボネートポリオールの反応生成物であり、(2)主剤中のNCO含有率が0.5乃至7.0質量%であり、そして、(3)主剤の25℃での粘度が50乃至10000mPa・s/25℃である。
(R1及びR2は1乃至10個の炭素原子を有するアルキル基、R3乃至R6はそれぞれ独立に水素原子又は1乃至5個の炭素原子を有するアルキル基である。)
【選択図】なし
Description
本発明は、二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物に関する。
脂肪族ポリウレア樹脂は、室温下で高速で硬化し、機械強度に優れている他、芳香族ポリウレア樹脂の欠点である紫外線暴露による表面の黄変がないため、各種塗料、床材、防水材等、広範囲な用途に利用されている。
脂肪族ポリウレア樹脂やその組成物は、主剤を脂肪族ポリイソシアネート類とし、硬化剤を脂肪族ジアミン類として製造されているが、そのままでは可使時間(硬化時間)が短く、その改善が求められている。
そのような状況下、アミノ基を嵩高いアルキル基で置換した第2級脂肪族ジアミンであるビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類を硬化剤に使用する方法がある(特許文献1)。この方法は、第1級脂肪族ポリアミンを用いる系に比べて、硬化時間が長いといった特徴を有している。しかしながら、この方法では、硬化時間を長くすると、硬度や引張り強さなどの物性が著しく低下するといった問題があった。
一方、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)の変性体と脂環族イソシアネート末端プレポリマーを含有してなる脂肪族ポリイソシアネートを用いる機械物性が高い二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物の提案がある(特許文献2)。ここでは硬化剤として第2級脂環族ジアミンとポリオキシアルキレンポリアミンを含有してなるポリアミンを用いている。そして、この二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物は、速硬化スプレー塗料などに実用化事例がある。
しかしながら、この二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物の硬化時間は、数秒乃至数分と速いため、使用には専用の混合機が必要であり、限られた用途のみに使用されているといった問題があった。
したがって、本発明の課題は、硬化時間が適切であり、硬化成形物が機械物性に優れ、耐候性も良好である、無黄変の二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物を提供することにある。
本発明は、イソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤(A)と下記式Iで表されるビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類を含有する硬化剤(B)とからなる二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物において、
該主剤(A)が、少なくとも下記(1)乃至(3)を満たすことを特徴とする二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物である:
(1)該主剤(A)の主成分である該イソシアネート末端プレポリマーが、(A−1)脂肪族ジイソシアネートと(A−2)数平均分子量500乃至5000のポリカーボネートポリオールの反応生成物である;
(2)該主剤(A)中のイソシアネート基(NCO)含有率が0.5乃至7.0質量%である;そして、
(3)該主剤(A)の25℃での粘度が、50乃至10000mPa・s/25℃である。
該主剤(A)が、少なくとも下記(1)乃至(3)を満たすことを特徴とする二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物である:
(1)該主剤(A)の主成分である該イソシアネート末端プレポリマーが、(A−1)脂肪族ジイソシアネートと(A−2)数平均分子量500乃至5000のポリカーボネートポリオールの反応生成物である;
(2)該主剤(A)中のイソシアネート基(NCO)含有率が0.5乃至7.0質量%である;そして、
(3)該主剤(A)の25℃での粘度が、50乃至10000mPa・s/25℃である。
また、本発明は、溶剤及び/又は可塑剤を、主剤(A)と硬化剤(B)の合計に対して40乃至95質量%含む上記二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物である。
そして、上記(A−1)脂肪族ジイソシアナートが、イソホロンジイソシアナート(IPDI)が好ましい。
さらに、本発明は、上記二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物を硬化させてなる、硬度(JIS D硬度)が30乃至70度であり、かつ、引張り強さが10乃至50MPaである脂肪族ポリウレア樹脂成形物である。
本発明の二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物は、硬化時間が適切であり、硬化後は機械物性に優れ、耐候性も良好な無黄変の脂肪族ポリウレア樹脂成形物とすることができる。
本発明は、イソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤(A)と、下記式Iで表されるビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類を含有する硬化剤(B)とからなる二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂形成組成物である。
そして、この主剤(A)は、少なくとも下記(1)乃至(3)を満たす。
(1)主剤(A)の主成分であるイソシアネート末端プレポリマーが、(A−1)脂肪族ジイソシアネートと(A−2)数平均分子量500乃至5000のポリカーボネートポリオールの反応生成物である;
(2)主剤(A)中のイソシアネート基(NCO)含有率が0.5乃至7.0質量%である;
(3)主剤(A)の25℃での粘度が、50乃至10000mPa・s/25℃である。
(1)主剤(A)の主成分であるイソシアネート末端プレポリマーが、(A−1)脂肪族ジイソシアネートと(A−2)数平均分子量500乃至5000のポリカーボネートポリオールの反応生成物である;
(2)主剤(A)中のイソシアネート基(NCO)含有率が0.5乃至7.0質量%である;
(3)主剤(A)の25℃での粘度が、50乃至10000mPa・s/25℃である。
本発明において、「脂肪族」とは、特に断らない限り、脂肪族及び脂環族をあわせたものを意味する。
本発明では、ポリウレア樹脂形成用組成物は、イソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤(A)と、少なくとも上記式Iで表されるビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類を含有する硬化剤(B)とからなる二液から構成されている。
本発明のイソシアネート末端プレポリマーは、脂肪族ジイソシアネートとポリカーボネートポリオールとの反応生成物である。
本発明のイソシアナート末端プレポリマーの製造に使用される脂肪族ジイソシアネートとしては、以下のものが挙げられる。
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、水素添加メジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,5(6)−ジイソシアネートメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン等。
1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソフォロンジイソシアネート(IPDI)、水素添加キシリレンジイソシアネート(水添XDI)、水素添加メジフェニルメタンジイソシアネート(水添MDI)、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、2,5(6)−ジイソシアネートメチルビシクロ[2,2,1]ヘプタン等。
これらのほか、これらのカルボジイミド変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体、ウレトジオン体、イソシアヌレート体等も使用できる。好ましい脂肪族ジイソシアネートはHDI、IPDI、水添XDI、水添MDIであり、特に好ましいのはIPDIである。
本発明で用いるポリカーボネートポリオールとしては、適切なジオール、ポリオールなどとジメチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどのジ低級アルキルカーボネートとの反応により得られるポリカーボネートポリオールが挙げられる。なお、適切なジオール、ポリオールとしては、以下のものが使用できる。
数平均分子量500乃至5000のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール;
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−オクタンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、2−メチルプロパンジオール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールなどのジオール類。
1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1、5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5−オクタンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、2−メチルプロパンジオール、ジプロピレングリコール、ジブチレングリコールなどのジオール類。
さらに、これらのポリカーボネートポリオールにアルキレンオキサイド(EO、POなど)やラクトン(ε−カプロラクトン,β−メチル−δ−バレロラクトンなど)が付加したポリエステルジオールなども使用できる。
また、イソシアナート末端プレポリマー製造の際、必要に応じて他のポリオール類を併用することもできる。
他のポリオール類としては、下記のものが挙げられる。
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン(TMP)、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;
ポリオキシエチレンポリオール(PEG)、ポリオキシプロピレンポリオール(PPG)、ポリオキシブチレンポリオール(PBG)等の数平均分子量200乃至10000のポリエーテルポリオール類;
テトラヒドロフラン(THF)の開環重合によって得られるポリオキシテトラメチレングリコール(PTMEG)、THFとプロピレンオキサイド、3−メチルテトラヒドロフラン、ネオペンチルグリコール等とのカチオン共重合により製造される数平均分子量500乃至5000以下の共重合ポリエーテルポリオール;
ポリエチレンアジペートグリコール、ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリヘキサメチレンアジペートグリコール、ポリカプロラクトンポリオール(PCL)、PCLとアジペート系ポリエステルポリオールとのエステル交換反応により製造される数平均分子量500乃至4000の共重合ポリエステルポリオール;
アクリルポリオール、ひまし油系ポリオール等の数平均分子量150乃至5000の各種ポリオール。
所望される性能及び性状に応じて前記ポリオールの2種以上を併用してもよい。
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン(TMP)、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール等の多価アルコール類;
ポリオキシエチレンポリオール(PEG)、ポリオキシプロピレンポリオール(PPG)、ポリオキシブチレンポリオール(PBG)等の数平均分子量200乃至10000のポリエーテルポリオール類;
テトラヒドロフラン(THF)の開環重合によって得られるポリオキシテトラメチレングリコール(PTMEG)、THFとプロピレンオキサイド、3−メチルテトラヒドロフラン、ネオペンチルグリコール等とのカチオン共重合により製造される数平均分子量500乃至5000以下の共重合ポリエーテルポリオール;
ポリエチレンアジペートグリコール、ポリエチレンプロピレンアジペートグリコール、ポリブチレンアジペートグリコール、ポリヘキサメチレンアジペートグリコール、ポリカプロラクトンポリオール(PCL)、PCLとアジペート系ポリエステルポリオールとのエステル交換反応により製造される数平均分子量500乃至4000の共重合ポリエステルポリオール;
アクリルポリオール、ひまし油系ポリオール等の数平均分子量150乃至5000の各種ポリオール。
所望される性能及び性状に応じて前記ポリオールの2種以上を併用してもよい。
脂肪族ジイソシアネート及び該ポリカーボネートポリオールの水酸基それぞれの当量比(NCO/OH)は、反応せず残存する脂肪族ジイソシアネートを減少させるため、1.5乃至2.2、好ましくは1.6乃至2.0とするのが好ましい。
イソシアナート末端プレポリマー中のイソシアネート基(NCO)含有率は、可使時間を考慮すると、0.5乃至7.0質量%とすることが適当である。高すぎると硬化剤(B)を混合した後、液が増粘して流動性を失うまでの硬化時間(ゲルタイム)が短くなり、低すぎると硬度や物性が著しく低下する。
本発明では、主剤(A)の粘度が高すぎると硬化剤(B)に対して混合不良を生じる場合があり、低すぎるとポリウレア硬化組成物の皮膜を厚くすることが困難であるため、25℃での粘度が、50乃至10000mPa・s/25℃であることが好ましい。
本発明では、硬化剤(B)は、少なくとも下記式Iで表されるビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類を含む。
ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類としては、R1及びR2は炭素数4〜8のアルキル基、R3、R4は水素またはメチル基、R5及びR6は水素原子が好ましい。これらは一種のみを用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
主剤(A)と硬化剤(B)の使用割合は、主剤(A)中のイソシアネート基と硬化剤(B)中のアミノ基の当量比で、従来技術にあるとおり、0.8乃至1.5になるようにするのがよく、好ましくは0.8乃至1.3である。当量比が0.8未満ではポリアミンが過剰となるため物性の低下が起こる。また、当量比が1.5を超えると過剰のイソシアネートが塗膜中に残り、水分との反応により発泡する危険性がある。
なお、本発明では、脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物のゲルタイムについては、小さすぎれば作業性が悪くなり、大きすぎれば生産性が悪くなるため15分乃至24時間、好ましくは15分乃至8時間である。
本発明は、主剤(A)及び硬化剤(B)は、必ずしも必要ではないが、これら主剤(A)及び硬化剤(B)に対して不活性である溶剤や可塑剤を含んでいてもよい。なお、溶剤及び/又は可塑剤は、主剤(A)及び硬化剤(B)のいずれか又は両方に含まれていてよい。その際、含まれる溶剤と可塑剤が、合計で、脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物に対して、すなわち、主剤(A)と硬化剤(B)の合計に対して、40乃至95質量%であることが好ましい。
主剤(A)と硬化剤(B)に対して不活性である溶剤としては、均一に溶解又は分散させることができれば特に限定されるものではないが、例えば、以下のようなものを挙げることができる。
トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;
酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤;
エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤等。
これらは、1種を又は2種以上を混合して使用できる。
アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;
酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤;
エチレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、エチル−3−エトキシプロピオネート等のグリコールエーテルエステル系溶剤;
テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤等。
これらは、1種を又は2種以上を混合して使用できる。
可塑剤としては、主剤(A)と硬化剤(B)及び前記添加剤に対して不活性である従来公知の可塑剤を使用することができ、具体的には、以下のものを挙げることができる。
フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル類;
アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類;
ペンタエリスリトールエステルなどのアルコールエステル類;
リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル類;
塩素化パラフィン;
前記のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成に使用されるポリエーテルポリオールをエーテル化又はエステル化などした水酸基を含有しないポリオキシアルキレン類;
中でもシユークロースなどの糖類多価アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオールをエーテル化又はエステル化などした水酸基を含有しない糖類系ポリオキシアルキレン類;
ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレンなどのポリスチレンのオリゴマー類;
ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水素添加ポリブテンなどのオリゴマー類;
(メタ)アクリレート共重合物など。
これらは、1種をあるいは2種以上を混合して使用できる。
アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、コハク酸ジイソデシル、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル類;
ペンタエリスリトールエステルなどのアルコールエステル類;
リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジルなどのリン酸エステル類;
塩素化パラフィン;
前記のイソシアネート基含有ウレタンプレポリマーの合成に使用されるポリエーテルポリオールをエーテル化又はエステル化などした水酸基を含有しないポリオキシアルキレン類;
中でもシユークロースなどの糖類多価アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加重合したポリエーテルポリオールをエーテル化又はエステル化などした水酸基を含有しない糖類系ポリオキシアルキレン類;
ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレンなどのポリスチレンのオリゴマー類;
ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水素添加ポリブテンなどのオリゴマー類;
(メタ)アクリレート共重合物など。
これらは、1種をあるいは2種以上を混合して使用できる。
主剤(A)及び硬化剤(B)中に含まれる溶剤と可塑剤の合計(X:質量%)は、以下の式で求めることができる。ここで、WA:主剤(A)の質量部、WB:硬化剤(B)の質量部、SA(KA):主剤(A)WA中に含まれる溶剤(可塑剤)の質量部及びSB(KB):硬化剤(B)WB中に含まれる溶剤(可塑剤)の質量部である。
X=((SA+SB+KA+KB)/(WA+WB))×100
X=((SA+SB+KA+KB)/(WA+WB))×100
すなわち、溶剤と可塑剤を、合計で、主剤(A)と硬化剤(B)の合計に対して、40乃至95質量%含むことが好ましい。溶剤と可塑剤の合計が40質量%未満では、主剤(A)と硬化剤(B)の反応が速く作業性が悪くなる場合があり、95質量%を超えた場合、乾燥時間や硬化時間が長くなる。
本発明は通常無触媒で実施されるが、必要により従来公知の触媒を使用してもよい。なお、触媒として、以下のものを挙げることができる。オレイン酸等の有機酸;オクテン酸錫、オレイン酸錫、スタナスオクトエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクトエート等の錫系触媒;ネオデカン酸ビスマス等のビスマス系触媒、ジルコンキレート等のジルコン系触媒等。また触媒の添加量は、環境保全の観点から最小限にすることが好ましい。
本発明の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物は、顔料や染料等の着色剤、体質顔料、難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、脱水剤等の添加剤を必要に応じて添加することができる。これら添加剤は、主剤(A)、硬化剤(B)のいずれに添加してもよく、個別に主剤(A)、硬化剤(B)に適宜分散して添加してもよい。さらに、また硬化剤(B)や可塑剤と混練又は溶解したマスターバッチとして別途添加してもよい。
本発明では、脂肪族ポリウレア樹脂は、主剤(A)と硬化剤(B)を混合・反応させることによって製造される。
本発明において、主剤(A)と硬化剤(B)を混合・反応させる方法としては、例えばディスペンサーのミキシングヘッドによる混合や衝突混合によるスプレー装置が挙げられる。
本発明では、主剤(A)と硬化剤(B)を混合し、常温で硬化させることにより脂肪族ポリウレア樹脂が製造でき、通常、その硬度(JIS D硬度)が30乃至70度であり、引張り強さが10乃至100MPa、好ましくは10乃至50MPaである。
本発明の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物は、主剤(A)と硬化剤(B)を混合し、スプレー装置から吐出することにより、被塗布物品に塗装したり、剥離処理されたフィルム或いはシート上に流延し、乾燥硬化してフィルムあるいはシートとしたりできる。なお、溶剤を含む場合は、揮発する溶剤を回収したり、防爆したりする。
以下、実施例により本発明を説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
原料として、下記のものを使用した。
・ポリイソシアネート類
IPDI:イソフォロンジイソシアネート(IPDI)「VESTANAT IPDI」(商品名)、エボニック・デグサ・ジャパン株式会社製、NCO含有率37.8質量%。
IPDI変:IPDIのイソシアヌレート体「VESTANAT 1890」(商品名)、エボニック・デグサ・ジャパン株式会社製、NCO含有率17.3質量%。
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)「HDI」(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、NCO含有率50.0質量%。
HXLV:HDIのイソシアヌレート体「コロネート HXLV」(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、NCO含有率23.2質量%。
IPDI:イソフォロンジイソシアネート(IPDI)「VESTANAT IPDI」(商品名)、エボニック・デグサ・ジャパン株式会社製、NCO含有率37.8質量%。
IPDI変:IPDIのイソシアヌレート体「VESTANAT 1890」(商品名)、エボニック・デグサ・ジャパン株式会社製、NCO含有率17.3質量%。
HDI:ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)「HDI」(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、NCO含有率50.0質量%。
HXLV:HDIのイソシアヌレート体「コロネート HXLV」(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、NCO含有率23.2質量%。
・ポリオール類
PCD−N964:ポリカーボネートジオール「ニッポランN964」(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、数平均分子量2000、水酸基価56.2。
PCD−N983:ポリカーボネートジオール「ニッポランN983」(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、数平均分子量1000、水酸基価115.0。
PCD−N988:ポリカーボネートジオール「ニッポランN988」(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、数平均分子量5000、水酸基価23.7。
PCD−N970:ポリカーボネートジオール「ニッポランN970」(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、数平均分子量500、水酸基価223.5。
PPG:ポリプロピレングリコール(PPG)「EXCENOL1020」(商品名)、旭硝子株式会社製、数平均分子量1000、水酸基価112.0。
TMP:トリメチロールプロパン(TMP)(試薬1級)、キシダ化学株式会社製、水酸基価1254.3。
PCD−N964:ポリカーボネートジオール「ニッポランN964」(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、数平均分子量2000、水酸基価56.2。
PCD−N983:ポリカーボネートジオール「ニッポランN983」(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、数平均分子量1000、水酸基価115.0。
PCD−N988:ポリカーボネートジオール「ニッポランN988」(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、数平均分子量5000、水酸基価23.7。
PCD−N970:ポリカーボネートジオール「ニッポランN970」(商品名)、日本ポリウレタン工業株式会社製、数平均分子量500、水酸基価223.5。
PPG:ポリプロピレングリコール(PPG)「EXCENOL1020」(商品名)、旭硝子株式会社製、数平均分子量1000、水酸基価112.0。
TMP:トリメチロールプロパン(TMP)(試薬1級)、キシダ化学株式会社製、水酸基価1254.3。
・ジアミン類
CL−1000:ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン「Clearlink1000」(商品名)、Dorf Ketal Chemicals社製、アミン価378.5。前記式Iにおいて、R1及びR2がブチル基、R3乃至R6が水素の化合物。
CL−3000:ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン「Clearlink3000」(商品名)、Dorf Ketal Chemicals社製、アミン価352.7。前記式Iにおいて、R1及びR2がブチル基、R3及びR4がメチル基、R5及びR6が水素の化合物。
CL−8000:ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン「Clearlink8000」(商品名)、Dorf Ketal Chemicals社製、アミン価284.4。前記式Iにおいて、R1及びR2がオクチル基、R3乃至R6が水素の化合物。
CL−1000:ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン「Clearlink1000」(商品名)、Dorf Ketal Chemicals社製、アミン価378.5。前記式Iにおいて、R1及びR2がブチル基、R3乃至R6が水素の化合物。
CL−3000:ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン「Clearlink3000」(商品名)、Dorf Ketal Chemicals社製、アミン価352.7。前記式Iにおいて、R1及びR2がブチル基、R3及びR4がメチル基、R5及びR6が水素の化合物。
CL−8000:ビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン「Clearlink8000」(商品名)、Dorf Ketal Chemicals社製、アミン価284.4。前記式Iにおいて、R1及びR2がオクチル基、R3乃至R6が水素の化合物。
・溶剤
酢酸ブチル(試薬1級)。
・可塑剤
DINA:アジピン酸ジイソノニル(DINA)(試薬1級)。
酢酸ブチル(試薬1級)。
・可塑剤
DINA:アジピン酸ジイソノニル(DINA)(試薬1級)。
(製造例1)プレポリマー1の製造
PCD−N964とIPDIを、NCO/OH=2.0当量比になるように配合し、80℃で6時間反応して、イソシアネート末端プレポリマーであるプレポリマー1を得た。NCO含有率3.00質量%。
PCD−N964とIPDIを、NCO/OH=2.0当量比になるように配合し、80℃で6時間反応して、イソシアネート末端プレポリマーであるプレポリマー1を得た。NCO含有率3.00質量%。
(製造例2)プレポリマー2の製造
PCD−N964に換えてPCD−N983を用いる他は製造例1と同様にして、プレポリマー2を得た。NCO含有率5.99質量%。
PCD−N964に換えてPCD−N983を用いる他は製造例1と同様にして、プレポリマー2を得た。NCO含有率5.99質量%。
(製造例3)プレポリマー3の製造
PCD−N964に換えてPCD−N983/TMP=100/12.8(質量比)に混合したポリオールを用いる他は製造例1と同様にしてプレポリマー3を得た。NCO含有率7.21質量%。
PCD−N964に換えてPCD−N983/TMP=100/12.8(質量比)に混合したポリオールを用いる他は製造例1と同様にしてプレポリマー3を得た。NCO含有率7.21質量%。
(製造例4)プレポリマー4の製造
PCD−N983に換えてPCD−N964を用いる他は製造例3と同様にしてプレポリマー4を得た。NCO含有率4.75質量%。
PCD−N983に換えてPCD−N964を用いる他は製造例3と同様にしてプレポリマー4を得た。NCO含有率4.75質量%。
(製造例5)プレポリマー5の製造
PCD−N964に換えてPCD−N988を用いる他は製造例1と同様にしてプレポリマー5を得た。NCO含有率1.87質量%。
PCD−N964に換えてPCD−N988を用いる他は製造例1と同様にしてプレポリマー5を得た。NCO含有率1.87質量%。
(製造例6)プレポリマー6の製造
PCD−N964に換えてPCD−N970を用いる他は製造例1と同様にしてプレポリマー6を得た。NCO含有率8.93質量%。
PCD−N964に換えてPCD−N970を用いる他は製造例1と同様にしてプレポリマー6を得た。NCO含有率8.93質量%。
(製造例7)プレポリマー7の製造
IPDIに換えてHDIを用いる他は製造例2と同様にしてプレポリマー7を得た。NCO含有率6.53質量%。
IPDIに換えてHDIを用いる他は製造例2と同様にしてプレポリマー7を得た。NCO含有率6.53質量%。
(製造例8)プレポリマー8の製造
PCD−N964に換えてPPGを用いる他は製造例1と同様にしてプレポリマー8を得た。NCO含有率4.81質量%。
PCD−N964に換えてPPGを用いる他は製造例1と同様にしてプレポリマー8を得た。NCO含有率4.81質量%。
(実施例1〜9、比較例1〜6)
・主剤(A)の調製
攪拌機及び温度計を取り付けたフラスコに、窒素雰囲気下で表1または表2に示す原料を表に示す量取り、60℃で8時間攪拌し、均一混合して、主剤(A)を調製した。
・主剤(A)の調製
攪拌機及び温度計を取り付けたフラスコに、窒素雰囲気下で表1または表2に示す原料を表に示す量取り、60℃で8時間攪拌し、均一混合して、主剤(A)を調製した。
・硬化剤(B)の調製
攪拌機及び温度計を取り付けたフラスコに、窒素雰囲気下で表1または表2に示す原料を表に示す量取り、室温で30分間攪拌し、均一混合して、硬化剤(B)を調製した。
攪拌機及び温度計を取り付けたフラスコに、窒素雰囲気下で表1または表2に示す原料を表に示す量取り、室温で30分間攪拌し、均一混合して、硬化剤(B)を調製した。
・主剤(A)と硬化剤(B)の混合
2液型ディスペンサーST−2D型(商品名、株式会社シーテック製)を用いて、主剤(A)及び硬化剤(B)を、表1に示す混合比で吐出できるように調整して混合した。
2液型ディスペンサーST−2D型(商品名、株式会社シーテック製)を用いて、主剤(A)及び硬化剤(B)を、表1に示す混合比で吐出できるように調整して混合した。
[溶剤と可塑剤の合計(X(質量%)]
溶剤と可塑剤の合計Xは、以下の式で計算した。
X=((SA+SB+KA+KB)/(WA+WB))×100
ここで、WA:主剤(A)の質量部、WB:硬化剤(B)の質量部、SA(KA):主剤(A)WA中に含まれる溶剤(可塑剤)の質量部及びSB(KB):硬化剤(B)WB中に含まれる溶剤(可塑剤)の質量部である。
溶剤と可塑剤の合計Xは、以下の式で計算した。
X=((SA+SB+KA+KB)/(WA+WB))×100
ここで、WA:主剤(A)の質量部、WB:硬化剤(B)の質量部、SA(KA):主剤(A)WA中に含まれる溶剤(可塑剤)の質量部及びSB(KB):硬化剤(B)WB中に含まれる溶剤(可塑剤)の質量部である。
[粘度の測定]
上記で調製した主剤(A)、硬化剤(B)及びこれらを混合した直後の混合液を、それぞれ50mLのサンプル瓶に50g取り、25℃で、芝浦システム株式会社製のビスメトロン粘度計VSA−1型(商品名)(プローブ#3、12rpm)を用い粘度を測定した。なお、いずれのものも粘度が10000mPa・s/25℃を超えた場合は、不適である。
上記で調製した主剤(A)、硬化剤(B)及びこれらを混合した直後の混合液を、それぞれ50mLのサンプル瓶に50g取り、25℃で、芝浦システム株式会社製のビスメトロン粘度計VSA−1型(商品名)(プローブ#3、12rpm)を用い粘度を測定した。なお、いずれのものも粘度が10000mPa・s/25℃を超えた場合は、不適である。
[ゲルタイム]
上記粘度の測定で、主剤(A)と硬化剤(B)の混合液の粘度が20000mPa・s/25℃を超えるまでの時間を測定し、ゲルタイムとした。
上記粘度の測定で、主剤(A)と硬化剤(B)の混合液の粘度が20000mPa・s/25℃を超えるまでの時間を測定し、ゲルタイムとした。
[試験用シートの作製]
上記混合条件での混合液を、防爆施設内で適当な高さの枠を置いたポリプロピレン板上に、溶媒を飛ばした後硬化させた時2mm厚みとなる量流し込み、発泡しないように溶媒を飛ばし、その後25℃、50%RHで7日間養生して、厚み約2mmシートを作製した。作製したシートを用い、以下に示す物性評価を行った。
上記混合条件での混合液を、防爆施設内で適当な高さの枠を置いたポリプロピレン板上に、溶媒を飛ばした後硬化させた時2mm厚みとなる量流し込み、発泡しないように溶媒を飛ばし、その後25℃、50%RHで7日間養生して、厚み約2mmシートを作製した。作製したシートを用い、以下に示す物性評価を行った。
(物性試験)
・引張り強さ
JIS K6251に従い、作製したシートよりダンベル状3号形を作成し、引張り試験機(ユニトロン万能試験機TS−3013型(商品名)、株式会社上島製作所製)にて測定した。なお、引張り強さは10乃至50MPaを良好とした。
・引張り強さ
JIS K6251に従い、作製したシートよりダンベル状3号形を作成し、引張り試験機(ユニトロン万能試験機TS−3013型(商品名)、株式会社上島製作所製)にて測定した。なお、引張り強さは10乃至50MPaを良好とした。
・硬度(JIS−D硬度)
作製したシートを5枚重ねにし、JIS K6253に規定されるゴム硬さ計(タイプD)(ゴム硬度計(デュロメータ)ESD型(商品名)、有限会社エラストロン製)により、硬度(JIS−D硬度)を測定した。なお、該硬度は30乃至70度が良好である。
作製したシートを5枚重ねにし、JIS K6253に規定されるゴム硬さ計(タイプD)(ゴム硬度計(デュロメータ)ESD型(商品名)、有限会社エラストロン製)により、硬度(JIS−D硬度)を測定した。なお、該硬度は30乃至70度が良好である。
(耐候試験)
・試験条件
耐候試験機:スガ試験機株式会社製のキセノンウェザーメーター「WELL−75X−LHP−B/Ec」(商品名)、キセノンランプを用いた耐候促進試験機。
ランプの照度:180W/m2(300〜400nm)。
ブラックパネル温度:63℃。
槽内湿度:50%RH。
水スプレー噴射:紫外線照射 120分中18分間の間欠噴射。
照射時間:縦方向、横方向共に20%伸長状態で100時間。
・判定
上記条件下で照射テスト後、シートのクラックなどの異常を目視により確認し、下記基準で判定した。
○:異常なし。
×:異常あり。
・試験条件
耐候試験機:スガ試験機株式会社製のキセノンウェザーメーター「WELL−75X−LHP−B/Ec」(商品名)、キセノンランプを用いた耐候促進試験機。
ランプの照度:180W/m2(300〜400nm)。
ブラックパネル温度:63℃。
槽内湿度:50%RH。
水スプレー噴射:紫外線照射 120分中18分間の間欠噴射。
照射時間:縦方向、横方向共に20%伸長状態で100時間。
・判定
上記条件下で照射テスト後、シートのクラックなどの異常を目視により確認し、下記基準で判定した。
○:異常なし。
×:異常あり。
作製したシートについて、上記により測定した結果を表1(実施例)及び表2(比較例)に示した。
表1、表2より各実施例、比較例について、簡単にのべる。
実施例1、2は、それぞれ数平均分子量2000、1000のPCDを用いたプレポリマーの例である。
実施例1の主剤(A)は、NCO含有率が1.50質量%、粘度が3850mPa・s/25℃であった。また、溶剤と可塑剤の合計は62.3質量%であった。さらに、主剤(A)と硬化剤(B)の混合物のゲルタイムは80分であり、得られたポリウレア樹脂の硬度は31度、引張り強さは12.6MPaであった。そして、ポリウレア樹脂成形物の耐候試験結果も良好であった。
実施例2の主剤(A)は、NCO含有率が3.00質量%、粘度が5720mPa・s/25℃であった。また、溶剤と可塑剤の合計量は61.2質量%であった。さらに、主剤(A)と硬化剤(B)の混合物のゲルタイムは68分であり、得られたポリウレア樹脂の硬度は33度、引張り強さは12.5MPaであった。そして、ポリウレア樹脂成形物の耐候試験結果は良好であった。
実施例3、4は、それぞれ数平均分子量1000、2000のPCDにTMPをブレンドしたポリオールを用いたプレポリマーの例である。
実施例3の主剤(A)は、NCO含有率が6.62質量%、粘度が3150mPa・s/25℃であった。また、溶剤と可塑剤の合計は74.2質量%であった。さらに、主剤(A)と硬化剤(B)の混合物のゲルタイムは21分であり、得られたポリウレア樹脂の硬度は70度、引張り強さは30.3MPaであった。そして、ポリウレア樹脂成形物の耐候試験結果は良好であった。
実施例4の主剤(A)は、NCO含有率が2.42質量%、粘度が3660mPa・s/25℃であった。また、溶剤と可塑剤の合計量は79.2質量%であった。さらに、主剤(A)と硬化剤(B)の混合物のゲルタイムは30分であり、得られたポリウレア樹脂の硬度は56度、引張り強さは25.9MPaであった。そして、ポリウレア樹脂成形物の耐候試験結果は良好であった。
実施例5、6は、それぞれ主剤(A)の粘度の影響を調べた例である。
実施例5の主剤(A)は、NCO含有率が0.86質量%、粘度が50mPa・s/25℃であった。また、溶剤と可塑剤の合計は91.4質量%であった。さらに、主剤(A)と硬化剤(B)の混合物のゲルタイムは7時間であり、得られたポリウレア樹脂の硬度は31度、引張り強さは12.2MPaであった。そして、ポリウレア樹脂成形物の耐候試験結果は良好であった。
実施例6の主剤(A)は、NCO含有率が2.00質量%、粘度が9430mPa・s/25℃であった。また、溶剤と可塑剤の合計は48.1質量%であった。さらに、主剤(A)と硬化剤(B)の混合物のゲルタイムは40分であり、得られたポリウレア樹脂の硬度は31度、引張り強さは15.6MPaであった。そして、ポリウレア樹脂成形物の耐候試験結果は良好であった。
実施例7、8は、それぞれの数平均分子量5000、500のPCDを用いたプレポリマーの結果である。
実施例7の主剤(A)は、NCO含有率が1.94質量%、粘度が1530mPa・s/25℃であった。また、溶剤と可塑剤の合計は79.2質量%であった。さらに、主剤(A)と硬化剤(B)の混合物のゲルタイムは43分であり、得られたポリウレア樹脂の硬度は57度、引張り強さは30.5MPaであった。そして、ポリウレア樹脂成形物の耐候試験結果は良好であった。
実施例8の主剤(A)は、NCO含有率が2.91質量%、粘度が1640mPa・s/25℃であった。また、溶剤と可塑剤の合計は77.2質量%であった。さらに、主剤(A)と硬化剤(B)の混合物のゲルタイムは70分であり、得られたポリウレア樹脂の硬度は42度、引張り強さは16.3MPaであった。そして、ポリウレア樹脂成形物の耐候試験結果は良好であった。
実施例9は、HDIを末端としたプレポリマーの例である。実施例9の主剤(A)は、NCO含有率が3.27質量%、粘度が3340mPa・s/25℃であった。また、溶剤と可塑剤の合計は69.4質量%であった。さらに、主剤(A)と硬化剤(B)の混合物のゲルタイムは15分であり、得られたポリウレア樹脂の硬度は31度、引張り強さは11.3MPaであった。そして、ポリウレア樹脂成形物の耐候試験結果は良好であった。
比較例1は、PCDに替えてPPGを用いたプレポリマーを用いた例であり、引張り強さが6.8MPaであった。すなわち、PCDと比べPPGを使用すると引張り強さが低かった。
比較例2及び比較例3は、主剤(A)の粘度が10000mPa・s/25℃を超えており、混合不良が発生した。そのため、粘度以外の評価は行わなかった。
比較例4は、主剤(A)中のNCO含有率が7質量%を超える例であり、ゲルタイムが2分と短くて、作業性に問題があった。また、得られたポリウレア樹脂成形物の硬度も70度を超えていた。
比較例5は、主剤(A)中のNCO含有率が0.5質量%未満であるために、ゲルタイムが12時間以上と長く、作業性に問題があった。さらに、得られたポリウレア成形物の硬度も70度を越えていた。
比較例6は、プレポリマーに替えてHDIのイソシアヌレート体を用いた例である。主剤(A)中のNCO含有率が7.73質量%と高く、ゲルタイムは1分以下と極めて短くて、作業性に問題があった。また、得られたポリウレア成形物の硬度も70度を越えていた。
本発明の二液硬化型のポリウレア樹脂形成用組成物は、硬化時間が適切であり、得られたポリウレア樹脂は機械物性に優れ、耐候性にも優れたものである。
Claims (4)
- イソシアネート末端プレポリマーを主成分とする主剤(A)と下記式Iで表されるビス(N−アルキルアミノシクロヘキシル)メタン類を有する硬化剤(B)とからなる二液硬化型の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物において、
該主剤(A)は、少なくとも下記(1)乃至(3)を満たすことを特徴とする脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物:
(1)該主剤(A)の主成分である該イソシアネート末端プレポリマーが、(A−1)脂肪族ジイソシアネートと(A−2)数平均分子量500乃至5000のポリカーボネートポリオールの反応生成物である;
(2)該主剤(A)のイソシアネート基(NCO)含有率が0.5乃至7.0質量%である;そして
(3)該主剤(A)の25℃での粘度が、50乃至10000mPa・s/25℃である。
- 溶剤及び/又は可塑剤を、合計で、前記主剤(A)と前記硬化剤(B)の合計に対して、40乃至95質量%含むことを特徴する請求項1に記載の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物。
- 前記脂肪族ジイソシアネートがイソフォロンジイソシアネート(IPDI)であることを特徴とした請求項1又は2に記載の脂肪族ポリウレア樹脂形成組成物。
- 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の脂肪族ポリウレア樹脂形成用組成物を硬化させた、硬度(JIS D硬度)が30乃至70度であり、かつ、引張り強さが10乃至50MPaであることを特徴とする脂肪族ポリウレア樹脂の成形物。
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