JP2012100821A - 飲料製造装置 - Google Patents

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直也 大下
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博丈 山口
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Abstract

【課題】濃度調整範囲を広くしながら、正確な濃度調整を可能とすることで、簡単に使用者の好みの濃度の飲料が抽出できる飲料製造装置を提供する。
【解決手段】抽出器1内の抽出原料に抽出液を散水板7aを介して滴下させる飲料製造装置であって、抽出器1が、中央側に位置する底部1aと、外側上方に傾斜して立ち上がる外側傾斜壁部1bとを備えて形成され、散水板7aの外周側に位置する複数の外側孔72aと中央側に位置する複数の中央側孔71aとを備え、外側孔72aの半数以上が外側傾斜壁部1bの上方に位置し、複数の中央側孔71aの半数以上が底部1aの上方に位置するように配置され、抽出に使用する孔を選択して飲料の濃度を調整可能な濃度調整部を備え、抽出に使用される外側孔72の総開口面積に対する、抽出に使用される中央側孔71の総開口面積を相対的に大きくして、濃度の濃い飲料を抽出可能に構成される。
【選択図】図10

Description

本発明は、内部に抽出原料を収容可能で、上方に開口を備えた漏斗形状の抽出器と、抽出器の上方に配設され、抽出液を複数の孔を介して抽出器内に滴下させる散水板とを備え、抽出器内の抽出原料に抽出液を散水板を介して滴下させ、飲料を製造する飲料製造装置に関する。
このような飲料製造装置として、例えば、特許文献1には、散水板に設けられた複数の孔を閉鎖或いは開口させて抽出に使用する複数の孔の開口数を調整し、抽出器内に滴下させる抽出液の湯量を調整可能な調整板が、散水板と一体的に設けられた構成が開示されている。
ここで、特許文献1に開示の飲料製造装置では、漏斗形状に形成された抽出器は、中央側に位置する底部と、この底部より外側上方に傾斜して立ち上がる外側傾斜壁部とを備えて形成されており、抽出器内の抽出原料は、当該底部の上方に位置する状態で収容されている。すなわち、抽出器内における抽出原料の上下方向での厚さは略均一状態で、抽出器の底部の上方に位置している。
一方で、散水板は、抽出器の底部の上方に位置するように配設されており、当該散水板に形成された複数の孔も当該抽出器に底部の上方に位置するように配設されている。従って、複数の孔を介して散水板から滴下する抽出液の略全量は、抽出器の中央側に設けられた底部、すなわち、抽出器内の抽出原料の層が厚く形成された位置に滴下される。
これにより、抽出器内に滴下させる抽出液の量を調整することによって、抽出原料からの抽出物の抽出度合いを調整して、飲料の濃度を薄い、ふつう、濃いの3つのタイプに区別し、使用者の好みにあった飲料濃度及び抽出時間を選択できるとされている。具体的には、抽出に使用する孔の数を増やすことで、抽出器へ供給する湯量を増加させて短い時間で抽出することで、薄い濃度の飲料を抽出でき、逆に抽出に使用する孔の数を減らすことで、抽出器へ供給する湯量を減少させて長い時間で抽出することで、濃い濃度の飲料を抽出できるとされる。
実開平5−91528号公報
しかしながら、漏斗形状に形成された抽出器内の抽出原料が、底部の上方だけでなく、外側傾斜壁部の上方にも位置する状態で収容され、さらに、散水板に形成された複数の孔が、底部の上方だけでなく、外側傾斜壁部の上方にも位置される場合がある。この場合、単純に抽出に使用する複数の孔の数を変更するのみでは、ある程度飲料の濃度を調整できるものの、正確な濃度調整ができないとともに、濃度調整範囲も狭くなる虞がある。すなわち、特許文献1に開示の飲料製造装置では、抽出器内に収容された抽出原料の厚さの違いを考慮して抽出飲料の濃度調整を行っておらず、より正確に濃度調整でき、濃度調整範囲をより広くするという観点において改良の余地があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、濃度調整範囲を広くしながら、正確な濃度調整を可能とすることで、簡単に使用者の好みの濃度の飲料が抽出できる飲料製造装置を提供することにある。
上記目的を達成するための本発明に係る飲料製造装置は、内部に抽出原料を収容可能で、上方に開口を備えた漏斗形状の抽出器と、前記抽出器の上方に配設され、抽出液を複数の孔を介して前記抽出器内に滴下させる散水板とを備え、前記抽出器内の前記抽出原料に前記抽出液を前記散水板を介して滴下させ、飲料を製造する飲料製造装置であって、その特徴構成は、
前記漏斗形状の抽出器が、平面視で中央側に位置する底部と、前記底部より外側上方に傾斜して立ち上がる外側傾斜壁部とを備えて形成され、
前記複数の孔として、前記散水板の外周側に位置する複数の外側孔と前記散水板の中央側に位置する複数の中央側孔とを備え、
前記複数の外側孔の半数以上が前記外側傾斜壁部の上方に位置し、前記複数の中央側孔の半数以上が前記底部の上方に位置するように配置され、
前記複数の孔のうち、抽出に使用する孔を選択して前記飲料の濃度を調整可能な濃度調整部を備え、
前記濃度調整部による孔の選択により、抽出に使用される前記外側孔の総開口面積に対する、抽出に使用される前記中央側孔の総開口面積を相対的に大きくする濃飲料抽出状態で、濃度の濃い飲料を抽出可能に構成されている点にある。
上記特徴構成によれば、抽出器は、平面視で中央側に位置する底部と、その底部より外側上方に傾斜して立ち上がる外側傾斜壁部とを備えて漏斗形状に形成されているので、この抽出器に収容される抽出原料を、底部の上方において多く堆積させて厚い抽出原料層を形成し、外側傾斜壁部の上方では外方に向かうにしたがって薄い抽出原料層となるように形成される。
そして、抽出器の上方に配設される散水板には、散水板の外周側に位置する複数の外側孔と中央側に位置する複数の中央側孔とが備えられ、複数の外側孔の半数以上が抽出器の外側傾斜壁部の上方に位置し、複数の中央側孔の半数以上が抽出器の底部の上方に位置するように配置されている。ここで、外側傾斜壁部の上方に位置するとは、平面視において、ある一つの外側孔に関し、当該外側孔の開口の全部が外側傾斜壁部と重なる箇所に位置するものだけでなく、外側孔の開口の一部が外側傾斜壁部と重なる箇所に位置するものも含む。同様に、底部の上方に位置するとは、平面視において、ある一つの中央側孔に関し、当該中央側孔の開口の全部が底部と重なる箇所に位置するものだけでなく、中央側孔の開口の一部が底部と重なる箇所に位置するものも含む。
これにより、外側孔より抽出液が滴下されると、抽出液は抽出器内において主に外側傾斜壁部上方の薄い抽出原料層を通過するため、底部上方に堆積した厚い抽出原料層を通過するときよりも少ない抽出原料によって抽出されることとなる。従って、抽出後の抽出液に含まれる抽出成分が少なくなるので、濃度の薄い飲料を抽出することができる。
一方で、中央側孔より抽出液が滴下されると、抽出液は抽出器内において主に底部上方の厚い抽出原料層を通過するため、外側傾斜壁部上方の薄い抽出原料層を通過するときよりも多くの抽出原料によって抽出されることとなる。従って、抽出後の抽出液に含まれる抽出成分が多くなるので、濃度の濃い飲料を抽出することができる。
そして、これら抽出された濃度の薄い飲料と濃度の濃い飲料とは、抽出器の底部に形成された流出口を介して抽出飲料容器内にて混合される。
従って、散水板の複数の孔のうち、抽出に使用する孔を選択可能な濃度調整部により、抽出に使用する(抽出液を滴下させる)外側孔の総開口面積に対する、抽出に使用する(抽出液を滴下させる)中央側孔の総開口面積を相対的に大きくする濃飲料抽出状態となるように、当該抽出に使用する中央側孔と外側孔とを適切に選択することで、外側孔から滴下される抽出液の量に対して、中央側孔から滴下される抽出液の量を相対的に多くすることができる。これにより、抽出器内において底部上方の厚い抽出原料層を通過する抽出液の量が、外側傾斜壁部上方の薄い抽出原料層を通過する抽出液の量よりも多くなるので、濃度の濃い飲料を得ることができる。
よって、抽出に使用する中央側孔と外側孔を、抽出器内に収容された抽出原料層の厚さとの関係において適切に選択することで、濃度調整範囲を広くしながら、正確な濃度調整を可能として、簡単に使用者の好みの濃度の飲料を抽出することができる。
本発明に係る飲料製造装置の更なる特徴構成は、前記濃飲料抽出状態で、抽出に使用される前記中央側孔の総開口面積が、薄飲料抽出状態で、抽出に使用される前記中央側孔の総開口面積よりも大きく設定される点にある。
上記特徴構成によれば、濃飲料抽出状態で、抽出に使用される中央側孔の総開口面積が薄飲料抽出状態よりも大きく設定される。従って、薄飲料抽出状態においては、抽出に使用される中央側孔の総開口面積が濃飲料抽出状態よりも小さく設定されることになる。ここで、濃飲料抽出状態とは、濃度が濃い飲料を得られる様に抽出に使用される外側孔及び中央側孔が選択された状態であり、薄飲料抽出状態とは、濃度が薄い飲料を得られる様に抽出に使用される外側孔及び中央側孔が選択された状態である。
これにより、濃飲料抽出状態では、中央側孔から抽出器内の抽出原料層が厚い部分に薄飲料抽出状態よりも多くの抽出液が滴下されるので、抽出器内において抽出原料層が厚い部分を通過する抽出液が多くなり、濃度の濃い抽出液が相対的に多く抽出されることになる。したがって、濃度が濃い飲料を得ることができる。一方で、薄飲料抽出状態では、中央側孔から抽出器内の抽出原料層が厚い部分に滴下される抽出液は、濃飲料抽出状態よりも少なくなるので、濃度の濃い抽出液が相対的に少なくなる。したがって、濃度が薄い飲料を得ることができる。
このように、中央側孔の総開口面積を調整することで、簡単に使用者の好みに応じた濃度の飲料を抽出することができる。
本発明に係る飲料製造装置の更なる特徴構成は、前記濃飲料抽出状態で、抽出に使用される前記外側孔の総開口面積が、薄飲料抽出状態で、抽出に使用される前記外側孔の総開口面積よりも小さく設定される点にある。
上記特徴構成によれば、濃飲料抽出状態で、抽出に使用される外側孔の総開口面積が薄飲料抽出状態よりも小さく設定される。従って、薄飲料抽出状態においては、抽出に使用される外側孔の総開口面積が濃飲料抽出状態よりも大きく設定されることとなる。
これにより、濃飲料抽出状態では、外側孔から抽出器内の抽出原料層が薄い部分に薄飲料抽出状態よりも少ない抽出液が滴下されるので、抽出器内において抽出原料層が薄い部分を通過する抽出液が少なくなり、濃度の薄い抽出液が相対的に少なく抽出されることになる。したがって、濃度が濃い飲料を得ることができる。一方で、薄飲料抽出状態では、外側孔から抽出器内の抽出原料層が薄い部分に濃飲料抽出状態よりも多くの抽出液が滴下されるので、濃度の薄い抽出液が相対的に多く抽出される。したがって、濃度が薄い飲料を得ることができる。
このように、外側孔の総開口面積を調整することで、簡単に使用者の好みに応じた濃度の飲料を抽出することができる。
本発明に係る飲料製造装置の更なる特徴構成は、前記濃飲料抽出状態で、抽出に使用する前記中央側孔及び前記外側孔の合算総開口面積を減少させる点にある。
上記特徴構成によれば、抽出に使用する中央側孔及び外側孔の合算総開口面積を減少させることで、中央側孔及び外側孔から滴下される抽出液の滴下量を全体として減少させることができる。これにより、抽出器へ供給する抽出液の量を減少させて長い時間をかけて抽出することで、滴下された抽出液の量に対する抽出される抽出物質の量が多くなり、抽出液中の抽出物質の濃度を高くすることができる。従って、より一層、濃度の濃い飲料を抽出することができ、より広い濃度調整範囲において飲料の濃度調整が可能となる。
本発明に係る飲料製造装置の更なる特徴構成は、前記濃飲料抽出状態で、抽出に使用する前記中央側孔及び前記外側孔の合算総開口面積を減少させ、前記薄飲料抽出状態で、抽出に使用する前記中央側孔及び前記外側孔の合算総開口面積を増加させる点にある。
上記特徴構成によれば、抽出に使用する中央側孔及び外側孔の合算総開口面積を減少させることで、中央側孔及び外側孔から滴下される抽出液の滴下量を全体として減少させることができる。これにより、抽出器へ供給する抽出液の量を減少させて長い時間をかけて抽出することで、滴下された抽出液の量に対する抽出される抽出物質の量が多くなり、抽出液中の抽出物質の濃度を高くすることができる。従って、より一層、濃度の濃い飲料を抽出することができる。
一方で、抽出に使用する中央側孔及び外側孔の合算総開口面積を増加させることで、中央側孔及び外側孔から滴下される抽出液の滴下量を全体として増加させることができる。これにより、抽出器へ供給する抽出液の量を増加させて短い時間で抽出することで、滴下された抽出液の量に対する抽出される抽出物質の量が少なくなり、抽出液中の抽出物質の濃度を低くすることができる。このようにして、濃度の薄い飲料を抽出することが可能になる。
以上のように合算総開口面積を増加または減少することで、使用者の好みに応じてさらに広い濃度調整範囲において飲料の濃度調整を簡単に行うことができる。
本発明に係る飲料製造装置の更なる特徴構成は、前記濃度調整部が、略円形の凹部を備えたケースと、前記ケースの凹部に嵌合される縦断面視で皿状に形成され底部が円板状に形成された前記散水板と、当該皿状に形成された前記散水板に嵌合される縦断面視で皿状に形成され底部が円板状に形成された調整板とを備え、前記中央側孔及び前記外側孔に対応する位置に、前記調整板を貫通するように複数の孔が配設され、前記散水板を前記調整板に対して相対回転させることで、前記調整板の複数の孔と前記散水板の前記中央側孔或いは前記外側孔とが重なって、前記中央側孔及び前記外側孔の開口面積を調整可能に構成され、前記外側孔が、前記ケースの凹部を形成する外壁に沿って配設されている点にある。
上記特徴構成によれば、散水板を調整板に対して相対回転させることで、調整板の複数の孔と散水板の中央側孔或いは外側孔とが重なって、抽出に使用する中央側孔及び外側孔の開口面積を調整可能に構成されているので、散水板を調整板に対して相対回転させることで、抽出に使用する中央側孔及び外側孔の開口面積を同時に調整することができる。
また、外側孔がケースの凹部を形成する外壁に沿って配設されているので、より少ない回転角度だけ相対回転させるだけで、抽出に使用する外側孔の開口面積の調整が可能となる。すなわち、例えば、調整板を散水板に対して相対回転させて、散水板の外側孔と調整板の孔とを重ならせて開口面積を調整する際において、同一開口面積の外側孔を、外壁に沿って配設した場合と、外壁よりも内径側に配設した場合とを比較すると、前者の方が後者よりも少ない相対回転角度で外側孔の開口面積調整が可能となる。これにより、簡単かつ迅速に飲料の濃度調整を行うことができる。
さらに、外側孔がケースの外壁に沿って配設されていることで、外側孔下方に位置する抽出器における抽出原料層の厚みの薄い位置に多くの抽出液を滴下することができる。これにより、薄い抽出飲料をより確実に抽出することができる。したがって、より広い濃度調整範囲において飲料の濃度調整が可能となる。
本発明に係る飲料製造装置の更なる特徴構成は、前記濃度調整部の前記ケースを装置本体における前記抽出器の上方に取付ける取付構造が、前記装置本体に対して水平方向にスライドさせて取付可能なスライド式構造、或いは、前記装置本体に対して上下方向に差し込んで取付可能な差込式構造である点にある。
上記特徴構成によれば、濃度調整部のケースを装置本体に取付ける構造が、装置本体に対して水平方向にスライドさせて取付ける構造、或いは、装置本体に対して上下方向に差し込んで取付ける構造とされている。これにより、容易且つ簡単に濃度調整部の装置本体への取付け及び取外しができる。
また、濃度調整部がケースを介して水平方向のスライド又は上下方向の差し込みにより装置本体に取付られているため、濃度調整部において散水板を調整板に対して相対回転させて中央側孔及び外側孔の開口面積を調整する構造の場合において、濃度調整をするために散水板を調整板に対して相対回転させたときでも、誤って濃度調整部のケースが装置本体から外れてしまうことを防止することができる。
飲料製造装置の概略斜視図 飲料製造装置の縦断面図 濃度調整部の取付状態、抽出器の取付状態を示す飲料製造装置の概略斜視図 抽出器の上面図 抽出器の縦断面図 濃度調整部の分解斜視図 (a)調整板の上面図、(b)散水板の上面図 (a)濃度調整部の上面図、(b)縦断面図、(c)正面図 濃度調整部の庇部下面への取付状態を示す図 第1実施形態に係る飲料製造装置において抽出飲料の濃度を(a)薄い、(b)ふつう、(c)濃い、とする場合の飲料抽出状態を示す上面図 第4実施形態に係る飲料製造装置において抽出飲料の濃度を(a)薄い、(b)ふつう、(c)濃い、とする場合の飲料抽出状態を示す上面図
〔第1実施形態〕
以下、図1〜図10に基づいて、本発明に係る飲料製造装置としてのコーヒーメーカーAについて説明する。
図1〜図3に示すように、コーヒーメーカーAは、細かく粉砕されたコーヒー粉末M(抽出原料の一例)を収容可能な漏斗形状の抽出器1と、抽出器1から抽出された飲料を貯留する抽出飲料容器3と、抽出飲料容器3を載置する載置台4と、その載置台4の一端から上方に延設される支柱部5と、支柱部5の上部において載置台4の上方に庇状に延出して形成される庇部6と、内部に抽出器1を収容した状態で、庇部6の下部において支柱部5に開閉自在に支持された抽出器ホルダ2と、庇部6の下面部6aに配設される飲料の濃度を調整可能な濃度調整部7とを備える。なお、抽出器ホルダ2、載置部4、支柱部5及び庇部6により、コーヒーメーカーAを構成する略コ字状の装置本体が形成される。
図2に示すように、支柱部5内部には、抽出液Wを貯留する水タンク9及び当該抽出液Wが通流する流路10が配設される。流路10の一端は、抽出液タンク9に接続されており、他端は庇部6の内部に設けられた連絡流路11に接続されている。また、支柱部5内部には、流路10に沿うように電気ヒータ12が設けられ、流路10内を通流する抽出液Wを十分に加熱可能に構成されている。庇部6内において、連絡流路11の先端部には、当該連絡流路11から供給される抽出液Wを濃度調整部7の上面全体に均一に分配する分配部13が接続されている。分配部13の下部は、庇部6の下面部6aに形成された下面開口6bと連通し、下面部6aに取付られた濃度調整部7に連絡流路11からの抽出液Wを供給可能に構成されている。
図3〜図5に示すように、抽出器1は、上方に開口を備えた漏斗形状に形成され、平面視で(図4参照)、中央側に位置する底部1aと、底部1aより外側上方に傾斜して立ち上がる外側傾斜壁部1bとを備えて形成される。抽出器1内には、コーヒー粉末Mを収容可能な漏斗状空間1cが形成される。なお、コーヒー粉末Mを収容する際には、抽出器1に抽出フィルタFを内装した状態で、当該抽出フィルタFにコーヒー粉末Mが収容される。
抽出器1は、抽出器ホルダ2の保持部2a内にて保持可能に構成されている。従って、抽出器1が抽出器ホルダ2の保持部2aに保持された状態で、抽出器ホルダ2を閉動すると、抽出器ホルダ2に設けられた係合突部(図示せず)と支柱部5に設けられた係合凹部(図示せず)とが係合して、抽出器ホルダ2を閉じた状態で維持可能に構成される(図1参照)。この状態では、抽出器1が庇部6の下方で、載置部4の上方に位置する状態となる。一方で、抽出器ホルダ2を開動すると、抽出器ホルダ2が開いた状態となる(図3参照)。
また、図2、図4、図5に示すように、抽出器1の底部1aには抽出された抽出物質を含む抽出液Wを抽出飲料容器3に流出させる流出口1dが形成されている。流出口1dには、シール部材1fを弁体軸部の周部に備えた弁体1eが設けられており、通常は、抽出器1の底部1aの内面と弁体1eの間に備えられたバネ1gによりシール部材1fが流出口1dの抽出器1内部側の周囲のシール当接部1hに付勢されており、流出口1dは閉じた状態となっている(図2の状態)。飲料抽出を行う際には、抽出器1が収容された抽出器ホルダ2を閉じた状態とし、抽出飲料容器3を抽出器1の下方に載置することで(図1の状態)、図5に示すように弁体1eが抽出飲料容器3の蓋部によって上方に持ち上げられ、流出口1dが流通可能な状態となる。なお、抽出飲料容器3は、二重構造のマホービンで構成されており、内部に貯留した飲料を保温可能に構成されている。
図3、図9に示すように、詳細は後述するが、濃度調整部7は、濃度調整部ケース8に収容された状態で庇部6の下面部6aに水平方向に差込式に設置され、図5に示すように、抽出器1が収容された抽出器ホルダ2を閉じた状態で当該抽出器1の上方に鎖線で示す位置において濃度調整部7が配設されるように構成されている。
従って、この状態で、コーヒーメーカーAの電源スイッチ(図示せず)を入れると、抽出液タンク9から供給される抽出液Wが電気ヒータ12に沿って流れる間に加熱沸騰され、流路10を上昇して庇部6内部の連絡流路11から分配部13に供給される。その後、加熱された抽出液Wは、分配部13から庇部6の下面開口6bを経て、下面部6aに配設された濃度調整部7に流入し、濃度調整部7を通過して抽出器1内に滴下される。そして、抽出器1内のコーヒー粉末Mから抽出物質を抽出した抽出液Wが、抽出器1の底部1aに設けられた流出口1dより流出し、抽出飲料容器3に流入する。これにより、抽出飲料容器3内に抽出物質が抽出された飲料が貯留されることとなる。
次に、濃度調整部7について、図6〜図8に基づいて説明する。
図6に示すように、濃度調整部7は、散水板7a、調整板7b、フィルタ7c、フィルタカバー7d及び濃度調整部ケース8を備えて構成され、濃度調整部ケース8に、散水板7a、調整板7b、フィルタ7c、フィルタカバー7dの順に取り付けられる。
なお、フィルタ7cは、抽出前の抽出液Wを浄化する機能を有する材料を含有した繊維等で構成され、フィルタカバー7dは、フィルタ7cを固定する目的で設けられ、分配部13から供給された抽出液Wの透過が容易な形状とされている。
図6、図7(b)及び図8(b)に示すように、散水板7aは、縦断面視で皿状に形成され、その底部に散水板底部7acが円板状に形成される。また、散水板7aの側面には、散水板7aを調整板7bに対して相対的に回転させるための濃度調整レバー7aeが設けられている。
散水板底部7acには、中央側孔71aとして5個の孔が散水板7aの中心からの距離が同一となる同一円上に設けられ、外側孔72aとして9個の孔が散水板7aの外周に沿って設けられている。中央側孔71aは、上面視で同一円上において90°間隔を開けて4箇所に設けられた計4個の孔と、この4個の孔が設けられている同一円上に上面視で濃度調整レバー7aeが設けられている位置の散水板7aの中心に対して反対側に設けられた孔から右回りに30°の位置に位置する1個の孔とによって構成される。ここで、4箇所に設けられた4個の孔のうち濃度調整レバー7aeが設けられている位置に設けられた1個の中央側孔71aは、長径約8mm、短径約4mmとした略楕円形に形成されている。その他の4個の中央側孔71aは、直径約4mmの円形に形成されている。また、外側孔72aは、上面視で同一円上において散水板7aの外周に120°間隔を開けて1個ずつ3箇所に設けられた直径約4mmの外側孔72aと、上面視で散水板7aの外周に120°間隔を開けて3箇所に(1箇所毎に、2個一組となるように)設けられた直径約4mmの外側孔72aとが、互いに60°間隔開けて交互に設けられる形態で、散水板7aに計9個設けられている。
また、図6、図7(a)及び図8(a)に示すように、調整板7bは、縦断面視で皿状に形成され、その底部に調整板底部7bcが円板状に形成されており、皿状に形成された散水板7aの散水板底部7acに嵌合可能に構成される。なお、調整板7bを皿状に形成することで、分配部13から供給された抽出液Wを順次濃度調整部7から抽出器1へ滴下する際に、一時的に抽出液Wを保持することを可能にしている。調整板底部7bcには、散水板7aの中央側孔71aと連通して、抽出に使用する孔(以下、貫通孔という)を形成することができる中央側調整孔71bとして、4個の孔が調整板7bの中心から同一距離となる同一円上に設けられており、また、散水板7aの外側孔72aと連通して貫通孔を構成することができる外側調整孔72bとして、6個の孔が調整板7bの外周に沿って調整板7bの中心から同一距離となる同一円上に設けられている。中央側調整孔71bは、上面視で同一円上において90°間隔を開けて4箇所に設けられる。また、外側調整孔72bは、上面視で同一円上において調整板7bの外周に120°間隔を開けて略楕円形状とした孔が3箇所に(1箇所毎に、2個一組となるように)、計6個設けられている。
そして、図8(b)に示すように、散水板7aと調整板7bは、調整板7bの周方向に3箇所に設けられた係合爪7beと、散水板7aの3箇所に設けられた係合穴7adとによって回転可能に係合固定されている。散水板7aを調整板7bに対して相対回転させることで、調整板7bの中央側調整孔71bおよび外側調整孔72bと散水板7aの中央側孔71a及び外側孔72aとが重なって貫通状態となり、濃度調整部7において貫通孔としての中央側孔(中央側貫通孔)71及び貫通孔としての外側孔(外側貫通孔)72が形成される。さらに、散水板7aを調整板7bに対して相対回転させる角度によって、貫通孔の形成状態が変化するため、中央側貫通孔71および外側貫通孔72のそれぞれの総開口面積を調整することができる。
図8(a)〜(c)に示すように、散水板7a及び調整板7bは、濃度調整部ケース8に収容される。濃度調整部ケース8は、略円形の凹部を備え、当該凹部の側壁面8aに周方向に長く開口した濃度調整レバー7aeのレバー用開口部8bを有し、濃度調整レバー7aeを濃度調整部ケース8の外側から回転操作可能に構成される。また、濃度調整部ケース8の底部8cは、濃度調整部7の散水板7aの外側孔72aが塞がれることがないよう、散水板7aの壁面下部のみを支える形状で形成される。
そして、濃度調整部ケース8の側壁面8aの上部には、側壁面8aから外側に広がるケース庇部8dを備える。レバー用開口部8b側に延びたケース庇部8dの上面には、庇部6の下面部6aに取付ける際に、当該下面部6aに設けられた係合孔6cと係合固定させるための係合爪8eを有する。側壁面8aにはケース庇部8dと一体に形成された左右一対の把持部8fが設けられる。なお、当該把持部8fが形成される左右のケース庇部8dは、庇部6の下面部6aに形成された一対の爪部6dの上面に係止可能に構成されている。
そして、図8(b)に示すように、散水板7aを濃度調整部ケース8に嵌め込む際は、散水板7aの濃度調整レバー7aeをレバー用開口部8bに挿入した状態で、濃度調整部ケース8の凹部に散水板7aを嵌め込む。図8(a)に示すように、調整板7bと濃度調整部ケース8とは、調整板7bの外周壁上部に設けられた環状庇部7bdの外周側の3箇所に設けられた係合爪7beと、濃度調整部ケース8のケース係合孔8gとの係合により固定される。さらに、調整板7bの外周壁の上部内周側の3箇所に設けられた固定爪7bf(図6参照)によって、フィルタ7cを押さえてフィルタカバー7dが固定されている。これにより、散水板7a、調整板7b、フィルタ7c、フィルタカバー7d及び濃度調整部ケース8は固定されている。
次に、濃度調整部7を庇部6の下面部6aへの取付けは、図9に示すように、抽出器ホルダ2を開けた状態において、下面部6aに設けられた一対の爪部6dに、濃度調整部ケース8のケースの左右に延びるケース庇部8dを、濃度調整レバー7aeが手前となるように、左右一対の把持部8fを保持しつつ、水平に差し込むことで行うことができる。そして、ケース庇部8dに設けられた係合爪8eを下面部6aに設けられた係合孔6cと係合させることで、抽出器1との位置関係において定められた位置に確実に固定される。
このように、濃度調整部7が庇部6の下面部6aに装着された状態においては、散水板7aの濃度調整レバー7aeを操作することで、散水板7aを調整板7bに対して相対回転させることが可能に構成されている。
また、図8(c)に示すように、レバー用開口部8bの開口側壁面の上面には係合凹部8hが3箇所設けられるとともに、当該係合凹部8hに係合する係合凸部7afが濃度調整レバー7aeの上面部に形成されている。これにより、濃度調整レバー7aeを回転させて、係合凹部8hと係合凸部7afとを係合させることで、3箇所の係合凹部8hに対応して、濃い、ふつう、薄い、の3種類の濃度の抽出液Wを抽出するための角度に、それぞれ位置決め可能に構成されている。従って、いずれの濃度とするかを決定した後に、濃度調整レバー7aeを回転操作して、決定した濃度に対応する係合凹部8hの位置に濃度調整レバー7aeの係合凸部7afを係合させることで、決定した濃度の選択が可能になる。以下に、濃度調整レバー7aeを回転操作することで抽出飲料の濃度を、薄い、ふつう、濃い、のそれぞれの濃度に調整するときの濃度調整部7の各孔の状態について説明する。
図10(a)〜(c)に、飲料の濃度を、薄い、ふつう、濃い、のそれぞれの濃度に調整するときの各孔の状態と抽出器1の位置関係を示す。ここで、図10(a)〜(c)に示したすべての状態において、散水板7aの複数の外側孔72aの半数以上が外側傾斜壁部1bの上方に位置し、散水板7aの複数の中央側孔71aの半数以上が底部1aの上方に位置するように配置されている。
薄い濃度の飲料を抽出しようとするとき(薄飲料抽出状態)は、図10(a)に示すように、濃度調整部7において、散水板7aに設けられた濃度調整レバー7aeを上面視で最も左側に移動させて、係合凹部8hに係合させることで、1つの中央側貫通孔71及び9つの外側貫通孔72が形成された開口状態となる。この状態では、抽出に使用される外側貫通孔72の総開口面積が、抽出に使用される中央側貫通孔71の総開口面積よりも大きくなる。これにより、抽出の際は、1つの中央側貫通孔71から滴下された抽出液Wによって、底部1aの上方に堆積した厚い抽出原料層を通過して濃度の濃い抽出液Wが抽出されるものの、同時に9つの外側貫通孔72からより多くの抽出液Wが抽出器1内に滴下され、外側傾斜壁部1bの上方に堆積した薄い抽出原料層を通過するため、より多くの濃度の薄い抽出液Wが抽出される。そして、これらの抽出液Wが抽出器1の下方に設置された抽出飲料容器3へ流入し、混合されて飲料となり、全体として濃度の薄い飲料が得られる。
一方で、濃い濃度の飲料を抽出しようとするとき(濃飲料抽出状態)は、図10(c)に示すように、濃度調整部7において、濃度調整レバー7aeを上面視で最も右側に移動させて、係合凹部8hに係合させることで、4つの中央側貫通孔71が形成された開口状態となる。一方で、散水板7aの外側孔72aはすべて調整板7bによって閉鎖される。この状態では、抽出に使用される中央側貫通孔71の総開口面積は、抽出に使用される外側貫通孔72の総開口面積よりも大きくなる。これにより、抽出の際は、4つの中央側貫通孔71から抽出器1に滴下された抽出液Wは、底部1aの上方に堆積した厚い抽出原料層を通過するため、濃度の薄い抽出液Wが抽出され、濃度の濃い飲料が得られる。
他方、ふつうの濃度の飲料を抽出しようとするときは、図10(b)に示すように、濃度調整部7において、濃度調整レバー7aeを上面視で中間の係合凹部8hに係合させることで、1つの中央側貫通孔71及び6つの外側貫通孔72が開口状態となる。この状態では、抽出に使用される外側貫通孔72の総開口面積が、抽出に使用される中央側貫通孔71の総開口面積よりも大きくなる。
この状態を、上記の薄飲料抽出状態と比較すると、外側貫通孔72の総開口面積が減少している。これにより、外側傾斜壁部1bの上方に堆積した薄い抽出原料層を通過する抽出液Wの量が減少し、薄飲料抽出状態で得られる抽出液Wよりも濃い抽出液Wが得られる。一方で、上記の濃飲料抽出状態と比較すると、外側貫通孔72の総開口面積が増加しつつ、中央側貫通孔71の総開口面積が減少するため、外側傾斜壁部1bの上方に堆積した薄い抽出原料層を通過する抽出液Wの量が増加し、底部1aの上方に堆積した厚い抽出原料層を通過する抽出液Wの量が減少して、濃飲料抽出状態で得られる抽出液よりも薄い抽出液Wが得られる。よって、薄飲料抽出状態において抽出される飲料よりも濃度が濃く、濃飲料抽出状態において抽出される飲料よりも濃度が薄い、ふつうの濃度の飲料が得られる。
以下に、本実施形態に係るコーヒーメーカーAにより抽出原料をコーヒー粉末Mとして、飲料の濃度を、図10(a)〜(c)に示す開口状態に従って、薄い、ふつう、濃い、のそれぞれの濃度に調整したときの結果を、表1に示す。ここで、表1に示したBrix(%)は、濃度計により溶液中の固形分濃度(ショ糖濃度)を表す表示値であり、可視深さ(mm)は濁度計測装置により調査した値である。Brix(%)については、値が高いほど濃度が濃い抽出飲料となる。また、可視深さ(mm)については、値が小さいほど濃度が濃い抽出飲料となる。
Figure 2012100821
表1において、飲料の濃度を、薄くした状態(薄飲料抽出状態)と、ふつうにした状態と、濃くした状態(濃飲料抽出状態)との3つの状態間において、濃度調整を行うにあたり、外側貫通孔72の開口面積の合計(総開口面積に相当)に対する中央側貫通孔71の総開口面積を相対的に大きくすることで、外側貫通孔72から滴下される抽出液量に対して、中央側貫通孔71から滴下される抽出液量が相対的に多くなり、これによって濃度の濃い抽出液Wが相対的に多く抽出されて、濃度の濃い飲料を得ることが実現されている。
また、表1に示した結果より、濃飲料抽出状態における中央側貫通孔71の総開口面積が薄飲料抽出状態よりも大きく設定されることで、濃い飲料が抽出されることがわかる。そして、濃飲料抽出状態における外側貫通孔72の総開口面積が薄飲料抽出状態よりも小さく設定されることで濃い飲料が抽出されることがわかる。さらに、表1に示した結果からは、中央側貫通孔71及び外側貫通孔72の開口面積をすべて足し合わせた合算総開口面積が減少されることで濃い飲料が抽出され、反対に、合算総開口面積が増加されることで薄い飲料が抽出できることがわかる。このように使用者の好みに応じた濃度の飲料が簡単に抽出することができる。
〔第2実施形態〕
第2実施形態の全体構成は、第1実施形態と略同様であり、濃度調整部7の散水板7a及び調整板7bの孔の位置を異なるものとして、濃度調整部7の中央側貫通孔71及び外側貫通孔72の開口状態を異なる条件としたものである。つまり、第1実施形態は、中央側貫通孔71と外側貫通孔72の両方の開口状態を変化させたが、本第2実施形態は、中央側貫通孔71を無くして(完全に閉鎖して)、中央側貫通孔71の数を変化させたものである。以下は本実施形態における実施結果の一例である。
Figure 2012100821
表2において、飲料の濃度を、薄くした状態(薄飲料抽出状態)と、ふつうにした状態と、濃くした状態(濃飲料抽出状態)との3つの状態間において、濃度調整を行うにあたり、外側貫通孔72の開口面積の合計(総開口面積に相当)に対する中央側貫通孔71の総開口面積(表2では、ゼロ)を相対的に大きくすることで、外側貫通孔72から滴下される抽出液量に対して、中央側貫通孔71から滴下される抽出液量が相対的に多くなり、これによって濃度の濃い抽出液Wが相対的に多く抽出されて、濃度の濃い飲料を得ることが実現されている。
また、表2の結果より、第2実施形態においても第1実施形態による実施結果と同様に、濃飲料抽出状態における外側貫通孔72の総開口面積が薄飲料抽出状態よりも小さく設定されることで濃い飲料が抽出されることがわかる。さらに、中央側貫通孔71及び外側貫通孔72の開口面積をすべて足し合わせた合算総開口面積が減少されることで濃い飲料が抽出され、反対に、合算総開口面積が増加されることで薄い飲料が抽出される。このように使用者の好みに応じた濃度の飲料が簡単に抽出することができる。
〔第3実施形態〕
第3実施形態の全体構成は、第1実施形態と略同様であり、濃度調整部7の中央側貫通孔71及び外側貫通孔72の開口状態のみを異なる条件としたものである。つまり、第1実施形態においては、中央側貫通孔71と外側貫通孔72の両方の開口状態を変化させたが、本第3実施形態は、外側貫通孔72を6つに固定して、中央側貫通孔71の数を変化させたものである。以下は本実施形態における実施結果の一例である。
Figure 2012100821
表3において、飲料の濃度を、薄くした状態(薄飲料抽出状態)と、ふつうにした状態と、濃くした状態(濃飲料抽出状態)との3つの状態間において、濃度調整を行うにあたり、外側貫通孔72の開口面積の合計(総開口面積に相当)に対する中央側貫通孔71の総開口面積を相対的に大きくすることで、外側貫通孔72から滴下される抽出液量に対して、中央側貫通孔71から滴下される抽出液量が相対的に多くなり、これによって濃度の濃い抽出液Wが相対的に多く抽出されて、濃度の濃い飲料を得ることが実現されている。
また、表3の結果より、第3実施形態においても第1実施形態による実施結果と同様に、濃飲料抽出状態における中央側貫通孔71の総開口面積が薄飲料抽出状態よりも大きく設定されることで濃い飲料が抽出される。このようにして、使用者の好みに応じた濃度の飲料を簡単に抽出することができる。
〔第4実施形態〕
第4実施形態の全体構成は、第1実施形態と略同様であり、濃度調整部7の散水板7aと調整板7bの形状を異なる形態としたものである。つまり、第1実施形態においては、濃度調整部7の散水板7aに外側孔72aと中央側孔71aを設け、調整板7bに外側調整孔72bと中央側調整孔71bを設けたが、第4実施形態においては、図11(a)〜(c)に示すように濃度調整部7の散水板7aにおいて中央側孔71aと外側孔72aと径方向での間に中間孔73aを設け、調整板7bにおいて中央側調整孔71bと外側調整孔72bとの径方向での間に中間調整孔73bを設けたものとされている。これによって、濃度調整部7には、外側貫通孔72と中央側貫通孔71に加え、中間貫通孔73が形成可能な形態となっている。
図11(a)〜(c)に、抽出飲料の濃度を、薄い、ふつう、濃い、のそれぞれの濃度に調整するときの各孔の状態と抽出器1の位置関係を示す。ここで、図11(a)〜(c)に示したすべての状態において、散水板7aの複数の外側孔72aの半数以上が外側傾斜壁部1bの上方に位置し、散水板7aの複数の中央側孔71aの半数以上が底部1aの上方に位置するように配置される。
薄い濃度の飲料を抽出しようとするときは(薄飲料抽出状態)、図11(a)に示すように、濃度調整部7において、散水板7aに設けられた濃度調整レバー7aeを上面視で最も左側に移動させて、係合凹部8hに係合させることで、6つの外側貫通孔72が形成された開口状態となる。一方で、散水板7aの中央側孔71a及び中間孔73aはすべて調整板7bによって閉鎖される。これにより、6つの外側貫通孔72から抽出器1に滴下される抽出液Wの多くが、外側傾斜壁部1bに堆積した薄い抽出原料層を通過するため、濃度の薄い飲料が得られる。
一方で、濃い濃度の飲料を抽出しようとするときは(濃飲料抽出状態)、図11(c)に示すように、散水板7aに設けられた濃度調整レバー7aeを上面視で最も右側に移動させて、係合凹部8hに係合させることで、4つの中央側貫通孔71が形成された開口状態となる。一方で、散水板7aの外側孔72a及び中間孔73aはすべて調整板7bによって閉鎖される。これにより、4つの中央側貫通孔71から抽出器1に滴下される抽出液Wの多くが、底部1a上方に堆積した厚い抽出原料層を通過するため、濃度の濃い飲料が得られる。
そして、ふつうの濃度の飲料を抽出しようとするときは、図11(b)に示すように、濃度調整レバー7aeを上面視で中間の係合凹部8hに係合させることで、4つの中間貫通孔73が形成される。一方で、散水板7aの中央側孔71a及び外側孔72aはすべて調整板7bによって閉鎖される。これにより、4つの中間貫通孔73から抽出器1に滴下される抽出液Wの多くが、外側傾斜壁部1bの上方における薄い抽出飲料を得るときよりも厚い抽出原料層であって、底部1aの上方における濃い抽出飲料を得るときよりも薄い抽出原料層となっている抽出原料層を通過するため、ふつうの濃度の飲料が得られる。
〔別実施形態〕
(A)上記実施形態においては、中央側貫通孔71及び外側貫通孔72の開口状態の調整は、散水板7aを調整板7bに対して相対回転することとしたが、これに限らず、散水板7aを調整板7bに対して相対的にスライドさせて中央側貫通孔71及び外側貫通孔72の開口状態の調整を行ってもよい。
(B)上記実施形態においては、散水板7aに5つの中央側孔71a及び9つの外側孔72aを設けた構成や、散水板7aに4つの中央側孔71a及び6つの外側孔72aを設けた構成について説明したが、これに限らず、散水板7aに5つ又は4つ以外の複数の中央側孔71aを設け、6つ又は9つ以外の複数の外側孔72aを設けてもよい。また、中央側貫通孔71や外側貫通孔72の数についても、適宜調整することが可能である。
(C)上記実施形態においては、散水板7a及び調整板7bに形成された孔を略円形としたが、これに限らず、三角形や四角形等の多角形の孔としてもよい。
(D)上記実施形態においては、濃度調整部ケース8を下面部6aに取付ける取付構造を、下面部6aに対して水平方向にスライドさせて取付可能なスライド式構造としたが、これに限らず、下面部6aに対して上下方向に差し込んで取付可能な差込式構造としてもかまわない。
(E)上記実施形態においては、濃度調整部7において「濃い」、「ふつう」、「薄い」の3段階の濃度調整を行ったが、これに限らず、3段階以上の複数の段階を設けてさらに詳細な濃度調整が可能なものとしてもよいし、段階をなくして「濃い」から「薄い」までの濃度調整を無段階で連続的に可能なものとしてもよい。
(F)上記実施形態においては、抽出原料としてコーヒー粉末Mを使用したが、これに限らず、茶類(紅茶、緑茶、ウーロン茶、ハーブ茶など)を抽出原料として使用して、使用者の好みの濃度の飲料を抽出してもよい。
以上説明したように、濃度調整範囲を広くしながら、正確な濃度調整を可能とすることで、簡単に使用者の好みの濃度の飲料が抽出できる飲料製造装置を提供することができる。
1 抽出器
1a 底部
1b 外側傾斜壁部
7 濃度調整部
7a 散水板
7b 調整板
8 濃度調整部ケース(ケース)
8c 側壁面(外壁)
71 内側側貫通孔(抽出に使用する中央側孔)
71a 中央側孔(複数の孔)
72 外側貫通孔(抽出に使用する外側孔)
72a 外側孔(複数の孔)
A コーヒーメーカー(飲料製造装置)
M コーヒー粉末(抽出原料)
W 抽出液

Claims (7)

  1. 内部に抽出原料を収容可能で、上方に開口を備えた漏斗形状の抽出器と、
    前記抽出器の上方に配設され、抽出液を複数の孔を介して前記抽出器内に滴下させる散水板とを備え、
    前記抽出器内の前記抽出原料に前記抽出液を前記散水板を介して滴下させ、飲料を製造する飲料製造装置であって、
    前記漏斗形状の抽出器が、平面視で中央側に位置する底部と、前記底部より外側上方に傾斜して立ち上がる外側傾斜壁部とを備えて形成され、
    前記複数の孔として、前記散水板の外周側に位置する複数の外側孔と前記散水板の中央側に位置する複数の中央側孔とを備え、
    前記複数の外側孔の半数以上が前記外側傾斜壁部の上方に位置し、前記複数の中央側孔の半数以上が前記底部の上方に位置するように配置され、
    前記複数の孔のうち、抽出に使用する孔を選択して前記飲料の濃度を調整可能な濃度調整部を備え、
    前記濃度調整部による孔の選択により、抽出に使用される前記外側孔の総開口面積に対する、抽出に使用される前記中央側孔の総開口面積を相対的に大きくする濃飲料抽出状態で、濃度の濃い飲料を抽出可能に構成されている飲料製造装置。
  2. 前記濃飲料抽出状態で、抽出に使用される前記中央側孔の総開口面積が、薄飲料抽出状態で、抽出に使用される前記中央側孔の総開口面積よりも大きく設定される請求項1に記載の飲料製造装置。
  3. 前記濃飲料抽出状態で、抽出に使用される前記外側孔の総開口面積が、薄飲料抽出状態で、抽出に使用される前記外側孔の総開口面積よりも小さく設定される請求項1又は2に記載の飲料製造装置。
  4. 前記濃飲料抽出状態で、抽出に使用する前記中央側孔及び前記外側孔の合算総開口面積を減少させる請求項1〜3の何れか一項に記載の飲料製造装置。
  5. 前記濃飲料抽出状態で、抽出に使用する前記中央側孔及び前記外側孔の合算総開口面積を減少させ、
    前記薄飲料抽出状態で、抽出に使用する前記中央側孔及び前記外側孔の合算総開口面積を増加させる請求項2又は3に記載の飲料製造装置。
  6. 前記濃度調整部が、略円形の凹部を備えたケースと、前記ケースの凹部に嵌合される縦断面視で皿状に形成され底部が円板状に形成された前記散水板と、当該皿状に形成された前記散水板に嵌合される縦断面視で皿状に形成され底部が円板状に形成された調整板とを備え、
    前記中央側孔及び前記外側孔に対応する位置に、前記調整板を貫通するように複数の孔が配設され、
    前記散水板を前記調整板に対して相対回転させることで、前記調整板の複数の孔と前記散水板の前記中央側孔或いは前記外側孔とが重なって、前記中央側孔及び前記外側孔の開口面積を調整可能に構成され、
    前記外側孔が、前記ケースの凹部を形成する外壁に沿って配設されている請求項1〜5の何れか一項に記載の飲料製造装置。
  7. 前記濃度調整部の前記ケースを装置本体における前記抽出器の上方に取付ける取付構造が、前記装置本体に対して水平方向にスライドさせて取付可能なスライド式構造、或いは、前記装置本体に対して上下方向に差し込んで取付可能な差込式構造である請求項6に記載の飲料製造装置。
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