JP2012099699A - 二重トンネル磁気抵抗効果膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】2つのトンネルバリア層を有する二重トンネル磁気抵抗効果膜について、MR比を向上させた二重トンネル磁気抵抗効果膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】第1磁化固定層をアモルファス構造となるように成膜を行い、その上に第1トンネルバリア層、磁化自由層、第2トンネルバリア層を結晶粒を含んだ多結晶構造を有した状態で成膜を行う。さらにその上に第2磁化固定層を成膜し、その後に加熱処理を行うことで全てに連続して繋がった結晶格子を有する二重トンネル磁気抵抗効果膜が製造される。
【選択図】図8
【解決手段】第1磁化固定層をアモルファス構造となるように成膜を行い、その上に第1トンネルバリア層、磁化自由層、第2トンネルバリア層を結晶粒を含んだ多結晶構造を有した状態で成膜を行う。さらにその上に第2磁化固定層を成膜し、その後に加熱処理を行うことで全てに連続して繋がった結晶格子を有する二重トンネル磁気抵抗効果膜が製造される。
【選択図】図8
Description
本発明は、磁気ディスク駆動装置の磁気再生ヘッド、磁気ランダムアクセスメモリの記憶素子および磁気センサーに用いられる磁気抵抗効果素子に関する。
トンネル磁気抵抗効果膜は、トンネルバリア層の両側の強磁性層の間に所要電圧を印加して電流を流した状態において外部磁場を印加し、2つの強磁性層の磁化の向きが互いに平行で同じであるとき(「平行状態」という)、トンネル磁気抵抗効果膜の電気抵抗は最小になる。また、2つの強磁性層の磁化の向きが互いに平行で反対であるとき(「反平行状態」という)、トンネル磁気抵抗効果膜の電気抵抗は最大になるという特性を有する。この現象をトンネル磁気抵抗効果(TMR効果)と言い、式(反平行状態の抵抗値−平行状態の抵抗値)/(平行状態の抵抗値)で定義される磁気抵抗変化率(MR比)で特徴づけられる。
トンネル磁気抵抗効果膜は強磁性層、絶縁体から成るトンネルバリア層、強磁性層がこの順に積層された3層構造を基本構成としている。絶縁体の材料としては非結晶のAl2O3が主に使用されていた(特許文献1)。
MR比はトンネルバリア層の両側の強磁性層に印加する電圧を大きくするほど低下するというMR比のバイアス依存性問題が知られており(非特許文献1)、その効果を抑制するためにトンネルバリア層を2層設けた、二重トンネル磁気抵抗効果膜が提案されている(特許文献2)。
MR比自体を上げる方法としては、トンネルバリア層の材料を非結晶のAl2O3を結晶性のMgOに置き換えてコヒーレントトンネリング効果(非特許文献2、3)を利用する方法が提案され、強磁性層にアモルファス構造のCoFeBを用いたトンネル磁気抵抗効果膜において巨大なMR比が得られている(非特許文献4)。
トンネル磁気抵抗効果膜は強磁性層、絶縁体から成るトンネルバリア層、強磁性層がこの順に積層された3層構造を基本構成としている。絶縁体の材料としては非結晶のAl2O3が主に使用されていた(特許文献1)。
MR比はトンネルバリア層の両側の強磁性層に印加する電圧を大きくするほど低下するというMR比のバイアス依存性問題が知られており(非特許文献1)、その効果を抑制するためにトンネルバリア層を2層設けた、二重トンネル磁気抵抗効果膜が提案されている(特許文献2)。
MR比自体を上げる方法としては、トンネルバリア層の材料を非結晶のAl2O3を結晶性のMgOに置き換えてコヒーレントトンネリング効果(非特許文献2、3)を利用する方法が提案され、強磁性層にアモルファス構造のCoFeBを用いたトンネル磁気抵抗効果膜において巨大なMR比が得られている(非特許文献4)。
Inomataら「Journal of Applied Physics」,87,6064(2000)
Butlerら「Physical Review B」63,054416(2001)
Mathonら「Physical Review B」63,220403R(2001)
D.D.Djayaprawiraら「Applied Physics Letter」,86,092502(2005)
上述したように二重トンネル磁気抵抗効果膜を用いることで、MR比のバイアス依存性を低減することが可能となる。しかしながら二重トンネル磁気抵抗効果膜は、単層のトンネル磁気抵抗効果膜に比べMR比が小さいという問題を有する。
その原因の一つとして、二重トンネル磁気抵抗効果膜の作製に、従来用いられている単層のトンネル磁気抵抗効果膜の作製方法を適用していることがあると本発明者は推考した。即ち、従来の二重トンネル磁気抵抗効果膜の作製方法とはアモルファス構造の強磁性層と結晶性のトンネルバリア層を順次成膜し、成膜後に熱処理を施すことによって、強磁性層を結晶化させ磁気抵抗効果膜を作製していた。しかしこの方法によれば、結晶化が結晶性のトンネルバリア層から開始されるため、2つのトンネルバリア層に挟まれた中間の強磁性層では結晶格子のずれが生じてしまう。この強磁性層中の結晶格子のずれは磁気特性の劣化を招き、MR比を低下させる原因となる。
本発明は、上述した問題に鑑み、より結晶格子の整合性を向上させ、MR比を向上させた二重トンネル磁気抵抗効果膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
その原因の一つとして、二重トンネル磁気抵抗効果膜の作製に、従来用いられている単層のトンネル磁気抵抗効果膜の作製方法を適用していることがあると本発明者は推考した。即ち、従来の二重トンネル磁気抵抗効果膜の作製方法とはアモルファス構造の強磁性層と結晶性のトンネルバリア層を順次成膜し、成膜後に熱処理を施すことによって、強磁性層を結晶化させ磁気抵抗効果膜を作製していた。しかしこの方法によれば、結晶化が結晶性のトンネルバリア層から開始されるため、2つのトンネルバリア層に挟まれた中間の強磁性層では結晶格子のずれが生じてしまう。この強磁性層中の結晶格子のずれは磁気特性の劣化を招き、MR比を低下させる原因となる。
本発明は、上述した問題に鑑み、より結晶格子の整合性を向上させ、MR比を向上させた二重トンネル磁気抵抗効果膜及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は第1磁化固定層、第1トンネルバリア層、磁化自由層、第2トンネルバリア層及び第2磁化固定層が順次成膜された二重トンネル磁気抵抗効果膜であって、前記各層の全てに連続して繋がった結晶格子を有することを特徴とする。
さらに本発明は第1磁化固定層、第1トンネルバリア層、磁化自由層、第2トンネルバリア層及び第2磁化固定層が順次積層された二重トンネル磁気抵抗効果膜の製造方法であって、アモルファス構造を有する前記第1磁化固定層を成膜し、前記第1磁化固定層上に前記第1トンネルバリア層、前記磁化自由層及び前記第2トンネルバリア層を複数の結晶粒を含んだ多結晶構造を有する状態で順次成膜し、前記第2トンネルバリア層上に前記第2磁化固定層を成膜し、成膜後に熱処理を行うことを特徴とする。
さらに本発明は第1磁化固定層、第1トンネルバリア層、磁化自由層、第2トンネルバリア層及び第2磁化固定層が順次積層された二重トンネル磁気抵抗効果膜の製造方法であって、アモルファス構造を有する前記第1磁化固定層を成膜し、前記第1磁化固定層上に前記第1トンネルバリア層、前記磁化自由層及び前記第2トンネルバリア層を複数の結晶粒を含んだ多結晶構造を有する状態で順次成膜し、前記第2トンネルバリア層上に前記第2磁化固定層を成膜し、成膜後に熱処理を行うことを特徴とする。
本発明を用いることで、従来の二重トンネル磁気抵抗効果膜に比べMR比が向上した二重トンネル磁気抵抗効果膜の提供及び製造が可能となる。
以下、図面を参照して、本発明に係る二重トンネル磁気抵抗効果膜の製造方法を説明する。なお、本発明は本実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また図面は、本発明に係る二重トンネル磁気抵抗効果膜の構成を模式的に示した図であり、各膜に付してあるパターンは各膜の特性等を示唆したものではなく、また膜厚についても各々の膜厚の比率等を示唆したものではない。
図1は本発明の二重トンネル磁気抵抗効果膜の構成を示している。
1が基板、2が緩衝層、3が下地層、4が第1反強磁性層、5が第1磁化固定層、6が第1トンネルバリア層、7が磁化自由層、8が第2トンネルバリア層、9が第2磁化固定層、10が第2反強磁性層、11が保護層を示している。
1が基板、2が緩衝層、3が下地層、4が第1反強磁性層、5が第1磁化固定層、6が第1トンネルバリア層、7が磁化自由層、8が第2トンネルバリア層、9が第2磁化固定層、10が第2反強磁性層、11が保護層を示している。
本発明の二重トンネル磁気抵抗効果膜においては、第1磁化固定層5及び第2磁化固定層9が各々隣接した第1反強磁性層4及び第2反強磁性層10により磁化方向が固定され、磁化固定層として機能する。磁化自由層7は外部磁場により磁化方向が変動する磁化自由層として機能する。
ここで用いられる基板1の材料としては、Siやガラス、Al2O3とTiCを主成分とするセラミックなどが挙げられる。また基板1には二重トンネル磁気抵抗効果膜を成膜する前までに金属や半導体、絶縁体、磁性体から成る薄膜や素子、配線、回路等が形成されている場合もある。
緩衝層2は基板1と二重トンネル磁気抵抗効果膜との拡散を防止するための役割を果たす。本発明では厚さ20nmのTaを用いる。膜厚は5nm以上あれば良い。また、TaをTaNやTiNなどの窒化物に置き換えても同等の効果が期待できる。
下地層3は第1反強磁性層4の結晶成長を促進するために用いられ、TaやNiFeCrなどを用いる。緩衝層2がTaである場合には下地層3を無くしても機能する。
第1反強磁性層4には厚さ15nmのPtMnを用いる。PtMn膜の組成はおよそ49:51(atomic%)である。PtMnをIrMnに置き換えても良いが、その場合のIrMn膜の組成はおよそ25:75(atomic%)である。
第1磁化固定層5には室温での成膜直後にアモルファス構造となるCoFeB(60:20:20 atomic%)を用いる。ホウ素(B)が10atomic%以上含まれていればCoFeBはアモルファス構造となる。CoとFeの比率は、80:20〜20:80(atomic%)の間が好ましい。
第1磁化固定層5のより好ましい形態として、第1磁化固定層5を、2つの強磁性層で非磁性層を挟んだいわゆる積層フェリ構造がある。その場合は、第1反強磁性層4と接する側の強磁性層をCoFe単層、またはCoFeB/CoFeの2層構造、またはCoFe/CoFeB/CoFeの3構造としても良い。
また、第1トンネルバリア層6と接する側の強磁性層はCoFeB単層、CoFe/CoFeBの2層構造、またはCoFe/CoFeB/CoFeの3構造としても良い。
非磁性層としてはRu、Rh、Ir、Re、Cu、Cr、V、Mo等が用いられる。好適にはRuまたはRhが用いられる。
また、第1トンネルバリア層6と接する側の強磁性層はCoFeB単層、CoFe/CoFeBの2層構造、またはCoFe/CoFeB/CoFeの3構造としても良い。
非磁性層としてはRu、Rh、Ir、Re、Cu、Cr、V、Mo等が用いられる。好適にはRuまたはRhが用いられる。
第1磁化固定層5を積層フェリ構造とした場合の例を図2〜4に示す。
図2は図1に示した第1磁化固定層を、2つの強磁性層で非磁性層を挟んだ積層フェリ構造としたものである。25a及び25cはCoFeB層、25bがRu層で構成され、3つの層で磁化固定層として機能する。
図3は図2に示した積層フェリ構造の強磁性層を各々さらに2層の強磁性層から構成した例である。35aはCoFeB層、35bはCoFe層、35cはRu層、35dはCoFe層、35eはCoFeB層で構成され、5つの層で磁化固定層として機能する。
図4は図2に示した積層フェリ構造の強磁性層を各々さらに3層の強磁性層から構成した例である。45a、45c、45e及び45gがCoFe層、45b及び45fがCoFeB層、45dがRu層で構成され、7つの層で磁化固定層として機能する。
図2は図1に示した第1磁化固定層を、2つの強磁性層で非磁性層を挟んだ積層フェリ構造としたものである。25a及び25cはCoFeB層、25bがRu層で構成され、3つの層で磁化固定層として機能する。
図3は図2に示した積層フェリ構造の強磁性層を各々さらに2層の強磁性層から構成した例である。35aはCoFeB層、35bはCoFe層、35cはRu層、35dはCoFe層、35eはCoFeB層で構成され、5つの層で磁化固定層として機能する。
図4は図2に示した積層フェリ構造の強磁性層を各々さらに3層の強磁性層から構成した例である。45a、45c、45e及び45gがCoFe層、45b及び45fがCoFeB層、45dがRu層で構成され、7つの層で磁化固定層として機能する。
第1磁化固定層の構成は図2〜4に示した層構成に限られない。例えば、図2の積層フェリ構造において、第1反強磁性層4側の強磁性層だけを3層から構成しても良いし、逆に第1トンネルバリア層6側だけを3層から構成しても良い。
第1磁化固定層5が積層フェリ構造である場合の最良の形態の例としては、第1反強磁性層に接する側から、CoFeB(60:20:20 atomic%)/CoFe(70:30 atomic%)/Ru/CoFe(70:30 atomic%)/CoFeB(60:20:20 atomic%)/CoFe(70:30 atomic%)の6層構造とする。この場合の各層の膜厚は、CoFeB(1.25nm)/CoFe(1.25nm)/Ru(0.85nm)/CoFe(1.0nm)/CoFeB(1.0nm)/CoFe(1.0nm)である。
第1トンネルバリア層6は複数の結晶粒を含んだ多結晶構造となるものを成膜する。例えばNaCl構造を成した結晶性酸化マグネシウム(MgO)であって、{100}面が第1磁化固定層5および磁化自由層7との積層界面に平行及び垂直になるように形成する。MgOトンネルバリア層の形成方法としては、MgOの焼結体ターゲットをRFスパッタすることによって直接的に第1磁化固定層5の上に厚さ1nm前後のMgO層を成膜しても良いし、厚さ1nm程度の金属MgをDCスパッタで第1磁化固定層5の上に成膜した後、自然酸化やラジカル酸化などで酸化処理し、さらに厚さ0.3〜0.4nm程度の金属Mg層でキャップしても良い。MgO層の成膜については公知の方法を用いて行うことができ、詳細な成膜方法については例えば特開2006−80116号公報に記載されている。いずれの場合においてもトンネルバリア層を成膜した後に、300〜400℃で一旦加熱処理を行いまた室温付近まで冷却するとより高品質なトンネルバリア層が得られる。
磁化自由層7は室温での成膜直後に体心立方構造の結晶粒を複数含んだ多結晶構造を有し、その体心立方構造の{100}面が第1トンネルバリア層および第2トンネルバリア層との積層界面に平行及び垂直になるように形成する。また、磁化自由層7はCoFeB/CoFeの2層構造(順不同)、またはCoFe/CoFeB/CoFeの3層構造であっても良い。最良の形態の例として、厚さ2nmのCoFeB(24:74:2 atomic%)の単層構造を用いる。多結晶構造を有する強磁性層の成膜については、公知の方法を用いて行うことができ、詳細な成膜方法については例えば特開2006−80116号公報に記載されている。なお本発明においては、成膜直後に磁化自由層7が複数の結晶粒が含まれた多結晶構造を有していることが必要であり、CoとFeから成るターゲット、若しくはそれらにBが10atomic%未満含まれたターゲットを用いることが肝要である。磁化自由層7の下地層として、第1トンネルバリア層5に含まれる結晶粒の結晶格子の{100}面が積層界面と平行及び垂直となるように成膜されているため、CoFeもしくはBを10atomic%未満含んだCoFeBもこの結晶格子と整合するように成膜されていく。
第2トンネルバリア層8はNaCl構造を成した結晶性酸化マグネシウム(MgO)であって、{100}面が磁化自由層7および第2磁化固定層9との積層界面に平行及び垂直になるように形成する。第2トンネルバリア層8の形成方法としては、第1トンネルバリア層6と同様である。
第2磁化固定層9の成膜直後の構造は特に問わない。即ち、室温での成膜直後に体心立方構造の結晶粒を複数含んだ多結晶構造を有し、その体心立方構造の{100}面が第1トンネルバリア層および第2トンネルバリア層との積層界面に平行及び垂直になるように形成するか、アモルファス構造を有していても良い。成膜直後に結晶粒を複数含んだ多結晶構造を有するように成膜した場合は、磁化自由層7と同様の成膜方法を用いる。アモルファス構造として成膜する場合は第1磁化固定層4と同様の成膜方法を用いる。
第2磁化固定層9の好ましい形態として、第2磁化固定層9を、2つの強磁性層で非磁性層を挟んだいわゆる積層フェリ構造がある。その場合は、第2反強磁性層10と接する側の強磁性層をCoFe単層、またはCoFeB/CoFeの2層構造、またはCoFe/CoFeB/CoFeの3構造としても良い。
また、第2トンネルバリア層8と接する側の強磁性層はCoFeB単層、CoFe/CoFeBの2層構造、またはCoFe/CoFeB/CoFeの3構造としても良い。
非磁性層としてはRu、Rh、Ir、Re、Cu、Cr、V、Mo等が用いられる。好適にはRuまたはRhが用いられる。
また、第2トンネルバリア層8と接する側の強磁性層はCoFeB単層、CoFe/CoFeBの2層構造、またはCoFe/CoFeB/CoFeの3構造としても良い。
非磁性層としてはRu、Rh、Ir、Re、Cu、Cr、V、Mo等が用いられる。好適にはRuまたはRhが用いられる。
第2磁化固定層9を積層フェリ構造とした場合の例を図5〜7に示す。
なお、磁化固定層として機能する積層フェリ構造部分以外の層構成については全て図1に示したものと同様である。
図5は図1に示した第2磁化固定層9を、2つの強磁性層で非磁性層を挟んだ積層フェリ構造としたものである。59a及び59cはCoFeB層、59bがRu層で構成され、3つの層で磁化固定層として機能する。
図6は図5に示した積層フェリ構造の強磁性層を各々さらに2層の強磁性層から構成した例である。69aはCoFeB層、69bはCoFe層、69cはRu層、69dはCoFe層、69eはCoFeB層で構成され、5つの層で磁化固定層として機能する。
図7は図5に示した積層フェリ構造の強磁性層を各々さらに3層の強磁性層から構成した例である。79a、79c、79e及び79gがCoFe層、79b及び79fがCoFeB層、79dがRu層で構成され、7つの層で磁化固定層として機能する。
なお、磁化固定層として機能する積層フェリ構造部分以外の層構成については全て図1に示したものと同様である。
図5は図1に示した第2磁化固定層9を、2つの強磁性層で非磁性層を挟んだ積層フェリ構造としたものである。59a及び59cはCoFeB層、59bがRu層で構成され、3つの層で磁化固定層として機能する。
図6は図5に示した積層フェリ構造の強磁性層を各々さらに2層の強磁性層から構成した例である。69aはCoFeB層、69bはCoFe層、69cはRu層、69dはCoFe層、69eはCoFeB層で構成され、5つの層で磁化固定層として機能する。
図7は図5に示した積層フェリ構造の強磁性層を各々さらに3層の強磁性層から構成した例である。79a、79c、79e及び79gがCoFe層、79b及び79fがCoFeB層、79dがRu層で構成され、7つの層で磁化固定層として機能する。
第2磁化固定層9の構成は図5〜7に示した層構成に限らない。例えば、図5の積層フェリ構造において、第2反強磁性層10側の強磁性層だけを3層から構成しても良いし、逆に第2トンネルバリア層8側だけを3層から構成しても良い。
第2磁化固定層9が積層フェリ構造である場合の最良の形態の例としては、第2トンネルバリア層に接する側から、CoFe(70:30 atomic%)/CoFeB(60:20:20 atomic%)/CoFe(70:30 atomic%)/Ru/CoFe(70:30 atomic%)の5層構造とする。この場合の各層の膜厚は、CoFe(1nm)/CoFeB(1nm)/CoFe(1nm)/Ru(0.85nm)/CoFe(2.5nm)である。
第2反強磁性層10には厚さ15nmのPtMnを用いる。PtMn膜の組成はおよそ49:51(atomic%)である。PtMnをIrMnに置き換えても良いが、その場合のIrMn膜の組成はおよそ25:75(atomic%)である。
保護層11にはTaやRuなどを用いる。膜厚は特に問わない。
このようにして形成した二重トンネル磁気抵抗効果膜を、さらに1T(テスラ)以上の強磁場中で300〜450℃の範囲で熱処理を行うことによって、アモルファス構造を有する強磁性層とMgOトンネルバリア層の積層界面で結晶格子が繋がる。より具体的には、図8の拡大図に示すようにCoFe結晶粒もしくはCoFeB層から晶出した体心立方構造のCoFe結晶粒は、その{100}面がMgOトンネルバリア層中の結晶粒の{100}面と、積層界面に垂直な軸の周りに相対的に45°回転した状態で整合する。
即ち、本明細書において、各層に存在する結晶格子が繋がっているとは、その積層界面において結晶格子が整合された状態となっていることを意味する。
即ち、本明細書において、各層に存在する結晶格子が繋がっているとは、その積層界面において結晶格子が整合された状態となっていることを意味する。
上述したように磁化自由層7を複数の結晶粒を含んだ多結晶構造として成膜することで、第1トンネルバリア層6、磁化自由層7及び第2トンネルバリア層8において結晶格子が繋がった結晶粒を有する積層膜を作製することができる。そして全ての膜を成膜後に熱処理することにより、さらに結晶格子が第1磁化固定層5及び第2磁化固定層9における結晶格子と繋がることで、全ての強磁性層及びトンネルバリア層において連続して結晶格子が繋がった結晶粒を有する積層膜を作製することができる。
また、第2磁化固定層9を多結晶構造となるように成膜した場合は、第1トンネルバリア層6、磁化自由層7、第2トンネルバリア層8および第2磁化固定層9の全ての層において結晶格子が繋がった積層膜を作製することができる。そして全ての膜を成膜後に、熱処理することにより、第1磁化固定層5から第2磁化固定層9まで全ての層において連続して結晶格子が繋がった積層膜を作製することができる。
なお、上述した実施形態において、第1磁化固定層5をアモルファス構造として成膜を行ったが、仮に基板1としてMgO単結晶等の結晶性基板を用いて、緩衝層2、下地層3及び第1反強磁性層4を結晶成長させた場合、第1磁化固定層5を複数の結晶粒を含んだ多結晶構造として成膜しても良い。この場合の第1磁化固定層5及び第2磁化固定層9の成膜には上述した実施形態において記した、磁化自由層7の成膜条件を用いる。第1磁化固定層5の成膜後、第1トンネルバリア層6、磁化自由層7、第2トンネルバリア層8及び第2磁化固定層9が次積層界面で連続して結晶格子が繋がった状態で成膜されていく。
このような結晶粒を作製することで、従来の二重トンネル磁気抵抗効果膜に比べ、磁化自由層7の磁気特性を向上させ、二重トンネル磁気抵抗効果膜のMR比を向上させることが可能となる。
また、上記実施形態では複数の結晶粒の結晶格子が第1磁化固定層乃至第2磁化固定層の全ての層で繋がった例を示してきたが、仮に結晶格子が全ての層で繋がっている単一の結晶粒が存在しなかったとしても、従来の二重トンネル磁気抵抗効果膜に比べMR比は向上するものと考えられる。
ここで、本明細書において{100}面とは、立方晶の6つの等価な面(100)、(010)、(001)、(−100)、(0−10)及び(00−1)の全ての面を示すものである。同様に<100>方向とは、立方晶の6つの等価な面の方向を示す[100]、[010]、[001]、[−100]、[0−10]及び[00−1]の全ての方向を示すものである。
図8の拡大図では膜面に平行な面を(001)面、膜面に垂直方向を[001]とした。
図8の拡大図では膜面に平行な面を(001)面、膜面に垂直方向を[001]とした。
1 基板
2 緩衝層
3 下地層
4,10 反強磁性層
5,9 磁化固定層
6,8 トンネルバリア層
7 磁化自由層
11 保護層
2 緩衝層
3 下地層
4,10 反強磁性層
5,9 磁化固定層
6,8 トンネルバリア層
7 磁化自由層
11 保護層
Claims (11)
- 第1磁化固定層、第1トンネルバリア層、磁化自由層、第2トンネルバリア層及び第2磁化固定層が順次成膜された二重トンネル磁気抵抗効果膜であって、
前記各層の全てに連続して繋がった結晶格子を有することを特徴とする二重トンネル磁気抵抗効果膜。 - 前記第1磁化固定層、前記第1トンネルバリア層、前記磁化自由層、前記第2トンネルバリア層及び前記第2磁化固定層は複数の結晶粒を含む多結晶構造を有することを特徴とする請求項1に記載の二重トンネル磁気抵抗効果膜。
- 前記第1磁化固定層、前記磁化自由層及び前記第2磁化固定層がFeおよびCoを含んだ体心立方構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の二重トンネル磁気抵抗効果膜。
- 前記第1トンネルバリア層および前記第2トンネルバリア層がNaCl構造を有するMgOであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の二重トンネル磁気抵抗効果膜。
- 前記第1磁化固定層、前記磁化自由層、前記第2磁化固定層がFeおよびCoを含んだ体心立方構造を有し、
前記第1トンネルバリア層および前記第2トンネルバリア層がNaCl構造を有するMgOであり、
第1磁化固定層、第1トンネルバリア層、磁化自由層、第2トンネルバリア層及び第2磁化固定層の積層界面において、前記強磁性層に含まれる体心立方構造の{100}面と前記トンネルバリア層に含まれるNaCl構造の{100}面が、積層界面に垂直な軸の周りに相対的に45°回転した状態で繋がっていることを特徴とする請求項1または2に記載の二重トンネル磁気抵抗効果膜。 - 第1磁化固定層、第1トンネルバリア層、磁化自由層、第2トンネルバリア層及び第2磁化固定層が順次成膜された二重トンネル磁気抵抗効果膜の製造方法であって、
アモルファス構造を有する前記第1磁化固定層を成膜し、
前記第1磁化固定層上に前記第1トンネルバリア層、前記磁化自由層及び前記第2トンネルバリア層を複数の結晶粒を含んだ多結晶構造を有する状態で順次成膜し、
前記第2トンネルバリア層上に前記第2磁化固定層を成膜し、
前記第1磁化固定層、前記第1トンネルバリア層、前記磁化自由層、前記第2トンネルバリア層及び前記第2磁化固定層に対して熱処理を行うことを特徴とする二重トンネル磁気抵抗効果膜の製造方法。 - 前記第1磁化固定層がBを10atomic%以上含んだCoFeBからなる強磁性層を含み、
前記磁化自由層がCoFeもしくはBを10atomic%未満含んだCoFeBからなる強磁性層を含み、
前記第2磁化固定層がCoFeもしくはCoFeBの少なくとも1つからなる強磁性層を含むことを特徴とする請求項6に記載の二重トンネル磁気抵抗効果膜の製造方法。 - 前記第1磁化固定層がBを10atomic%以上含んだCoFeBからなる複数の強磁性層、及びRuまたはRhを含んだ非磁性層を有することを特徴とする請求項6に記載の二重トンネル磁気抵抗効果膜の製造方法。
- 前記磁化自由層がCoFeもしくはBを10atomic%未満含んだCoFeBからなる強磁性層、及びRuまたはRhを含んだ非磁性層を有することを特徴とする請求項6または8に記載の二重トンネル磁気抵抗効果膜の製造方法。
- 前記第2磁化固定層がCoFeもしくはCoFeBからなる強磁性層、及びRuまたはRhを含んだ非磁性層を有することを特徴とする請求項6、8及び9のいずれか1項に記載の二重トンネル磁気抵抗効果膜の製造方法。
- 前記第1トンネルバリア層及び前記第2トンネルバリア層はNaCl構造を有するMgOであることを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載の二重トンネル磁気抵抗効果膜の製造方法。
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