JP2012099585A - 太陽電池モジュール用充填材 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリエチレン系樹脂を使用しながら、良好な透明性と耐熱性を有し、架橋処理をした後においても、−50〜0℃の低温で良好な柔軟性を有する太陽電池モジュール用充填材を提供することを課題とする。
【解決手段】この太陽電池モジュール用充填材は、密度が0.900g/cm以下であって、190℃におけるMFRが2.0g/10min以上10.0g/10min以下であるポリエチレン系樹脂と、架橋剤と、2官能モノマー及び/又は3官能モノマーからなる架橋助剤と、を含有する組成物を成形後、架橋処理して得られることを特徴とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、太陽電池モジュール用充填材、及びそれを組み込んだ太陽電池モジュールに関する。
近年、環境問題に対する意識の高まりから、クリーンなエネルギー源としての太陽電池が注目されている。太陽電池を構成する太陽電池モジュールには、太陽電池素子が含まれ、この太陽電池素子が太陽光等の光エネルギーを電気エネルギーに変換する役割を担う。
太陽電池素子は、単結晶シリコン基板や多結晶シリコン基板を用いて作製することが多い。このため、太陽電池素子は、物理的衝撃に弱く、また屋外に太陽電池モジュールを取り付けた場合に雨等からこれを保護する必要がある。また、太陽電池素子1枚では発生する電気出力が小さいため、複数の太陽電池素子を直並列に接続して、実用的な電気出力が取り出せるようにする必要がある。このため、複数の太陽電池素子を接続し、透明基板及び充填材で封入して太陽電池モジュールを作製することが通常行なわれている。一般に、太陽電池モジュールは、透明前面基板、充填材、太陽電池素子、充填材及び裏面保護シート等を順次積層し、これらを真空吸引して加熱圧着するラミネーション法等により製造される。
太陽電池モジュールに使用される充填材組成物としては、その加工性、施工性、製造コスト、その他等の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)が最も一般的なものとして使用されている。しかしながら、EVA樹脂は、長期間の使用に伴って徐々に分解する傾向があり、太陽電池モジュールの内部で劣化して強度が低下したり、太陽電池素子に影響を与える酢酸ガスを発生させたりする可能性がある。このため、EVA樹脂の代わりに、ポリエチレン等のポリオレフィン系の樹脂を使用した太陽電池モジュール用充填材が提案されている。
例えば、特許文献1には、充填材組成物が、シングルサイト触媒を用いて重合したエチレン・α−オレフィン共重合体と架橋剤とを含有することが開示されている。また、特許文献2には、エチレン性不飽和シラン化合物とポリエチレンとをグラフト重合した樹脂に架橋剤を含有してなる透明難燃層が開示されている。
特開2000−91611号公報 特開2009−10277号公報
一般的にポリエチレン系樹脂主体の太陽電池モジュール用充填材では、その密度を低密度にすることによって透明性や柔軟性を向上することができる。しかし、密度を低下させると逆に耐熱性が低下するという問題点があった。
一方、特許文献1及び特許文献2のように架橋剤によって耐熱性を付与することは知られているが、その目的達成のためには充分な架橋を行なう必要がある。このために多量の架橋剤を添加するのが従来技術である。例えば特許文献1では1%程度の架橋剤が添加されており、特許文献2においてもゲル分率が30%以上となる量の架橋剤が添加されている。この場合、確かに耐熱性は向上するが、逆に柔軟性が低下してしまう。また、成形中に架橋が進行すると柔軟性が低下するため、特許文献1のように成形を低温で行なって架橋反応を成形後に再度行なう等の配慮が必要であった。
本発明は、以上の状況に鑑みてなされたものであり、ポリエチレン系樹脂を使用しながら、太陽電池モジュールに適する良好な透明性と耐熱性を有し、−50〜0℃の低温で良好な柔軟性を有する太陽電池モジュール用充填材を提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討を行った結果、ポリエチレン系樹脂に架橋剤と2官能モノマー及び/又は3官能モノマーからなる架橋助剤を添加した組成物を成形後、架橋処理して得られる太陽電池モジュール用充填材が良好な透明性と耐熱性を有し、−50〜0℃の低温で良好な柔軟性を有することを見出し、本発明を完成するに至った。より具体的には、本発明は以下のものを提供する。
(1) 密度が0.900g/cm以下であって、190℃におけるMFRが2.0g/10min以上10.0g/10min以下であるポリエチレン系樹脂と、架橋剤と、2官能モノマー及び/又は3官能モノマーからなる架橋助剤と、を含有する組成物を成形後、架橋処理して得られることを特徴とする太陽電池モジュール用充填材。
(2) 前記架橋処理した後のゲル分率が、2.0〜6.0%であることを特徴とする(1)記載の太陽電池モジュール用充填材。
(3) 前記架橋助剤が、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジアリルフタレートより選択される1種類以上である(1)又は(2)記載の太陽電池モジュール用充填材。
(4) 前記ポリエチレン系樹脂がメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンであることを特徴とする(1)から(3)いずれか記載の太陽電池モジュール用充填材。
(5) 前記ポリエチレン系樹脂がα−ポリオレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物をコモノマーとして共重合してなる共重合体を含有することを特徴とする(1)から(3)いずれか記載の太陽電池モジュール用充填材。
(6) (1)ないし(5)いずれか記載の太陽電池モジュール用充填材を使用した太陽電池モジュール。
本発明によれば、ポリエチレン系の樹脂を使用しながら、太陽電池モジュールに適する良好な透明性と耐熱性を有し、−50〜0℃の低温域で良好な柔軟性を有する太陽電池モジュール用充填材を提供できる。
本発明の太陽電池モジュールの層構成の一例を示す断面図である。 本発明の太陽電池モジュール用充填材の低温柔軟性を示すグラフである。
<太陽電池モジュール用充填材組成物>
本発明に係る太陽電池モジュール用充填材を製造するための組成物は、密度が0.900g/cm以下であって、190℃におけるMFRが2.0g/10min以上10.0g/10minであるポリエチレン系樹脂と、架橋剤と、2官能モノマー及び/又は3官能モノマーからなる架橋助剤と、を必須成分として含有する。以下、これらの必須成分について説明した後、その他の樹脂、その他の成分について説明する。
[ポリエチレン系樹脂]
太陽電池モジュール用充填材組成物に使用されるポリエチレン系樹脂とは、その密度が0.900g/cm以下の低密度ポリエチレン(LDPE)、好ましくは直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)である。直鎖低密度ポリエチレンは、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、その密度が0.900g/cm以下、好ましくは0.870〜0.890g/cmの範囲である。直鎖低密度ポリエチレンの密度をかかる範囲とすることにより、加工性を維持しつつ良好な透明性と耐熱性を付与することができるため好ましい。
ポリエチレン系樹脂は、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンであることが好ましい。ここで、メタロセン系直鎖低密度ポリエチレンとは、シングルサイト触媒であるメタロセン触媒を用いて合成されるものである。このようなポリエチレンは、側鎖の分岐が少なく、コモノマーの分布が均一である。このため、分子量分布が狭く、上記のような超低密度ポリエチレンにすることが可能である。また、結晶性分布が狭く、結晶サイズが揃っているので、結晶サイズの大きいものが存在しないばかりでなく、低密度であるために結晶性自体が低い。このため、シート状に加工した際の透明性に優れる。したがって、本発明に係る太陽電池モジュール用充填材が透明前面基板と太陽電池素子との間に配置されても発電効率はほとんど低下しないことになる。
直鎖低密度ポリエチレンのα−オレフィンとしては、好ましくは分枝を有しないα−オレフィンが好ましく使用され、これらの中でも、炭素数が6〜8のα−オレフィンである1−ヘキセン、1−ヘプテン又は1−オクテンが特に好ましく使用される。α−オレフィンの炭素数が6以上8以下であることにより、太陽電池モジュール用充填材に良好な柔軟性を付与することができるとともに良好な強度を付与することができる。その結果、充填材と基材との密着性が高まり、充填材と基材との間への水分の浸入を抑えることができる。
ポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレート(MFR)は、190℃において2.0g/10min以上10.0g/10min以下であること必要がある。ポリエチレン系樹脂のMFRが上記の範囲であることにより、架橋処理後の太陽電池モジュール用充填材が低温柔軟性に優れるため好ましい。
ポリエチレン系樹脂には、エチレンモノマーのみを重合して得られる通常のポリエチレンのみならず、α−オレフィン等のようなエチレン性の不飽和結合を有する化合物を重合して得られた樹脂、エチレン性不飽和結合を有する複数の異なる化合物を共重合させた樹脂、及びこれらの樹脂に別の化学種をグラフトして得られる変性樹脂等が含まれる。
上記樹脂の中でも、少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とをコモノマーとして共重合してなるシラン共重合体を好ましく使用することができる。このような樹脂を使用することにより、透明前面基板や太陽電池素子等といった部材と充填材との接着性が得られるため好ましい。
上記シラン共重合体は、例えば、特開2003−46105号公報に記載されているものである。当該共重合体を太陽電池モジュール用充填材組成物の成分として使用することにより、強度、耐久性等に優れ、かつ、耐候性、耐熱性、耐水性、耐光性、耐風圧性、耐降雹性、その他の諸特性に優れ、更に、太陽電池モジュールを製造する加熱圧着等の製造条件に影響を受けることなく極めて優れた熱融着性を有し、安定的に、低コストで、種々の用途に適する太陽電池モジュールを製造することができる。
シラン共重合体は、少なくともα−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物をコモノマーとし、必要に応じて更にその他の不飽和モノマーをコモノマーとして共重合して得られる共重合体であり、該共重合体の変性体ないし縮合体も含むものである。
具体的には、例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、例えば、圧力500〜4000Kg/cm位、好ましくは、1000〜4000Kg/cm位、温度100〜400℃位、好ましくは、150〜350℃位の条件下で、ラジカル重合開始剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時にあるいは段階的にランダム共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合によって生成するランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体を製造することができる。
また、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体としては、例えば、α−オレフィンの1種ないし2種以上と、必要ならば、その他の不飽和モノマーの1種ないし2種以上とを、所望の反応容器を使用し、上記と同様に、ラジカル重合開始剤及び必要ならば連鎖移動剤の存在下で、同時にあるいは段階的に重合させ、次いで、その重合によって生成するポリオレフィン系重合体に、エチレン性不飽和シラン化合物の1種ないし2種以上をグラフト共重合させ、更には、必要に応じて、その共重合体によって生成するグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させて、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体又はその変性ないし縮合体を製造することができる。
α−オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセンより選択される1種以上を使用することができる。
エチレン性不飽和シラン化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリプロポキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、ビニルトリブトキシシラン、ビニルトリペンチロキシシラン、ビニルトリフェノキシシラン、ビニルトリベンジルオキシシラン、ビニルトリメチレンジオキシシラン、ビニルトリエチレンジオキシシラン、ビニルプロピオニルオキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリカルボキシシランより選択される1種以上を使用することができる。
その他の不飽和モノマーとしては、例えば、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ビニルアルコールより選択される1種以上を使用することができる。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、ラウロイルパーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、t−ブチルヒドロパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート等の有機過酸化物、分子状酸素、アゾビスイソブチロニトリルアゾイソブチルバレロニトリル等のアゾ化合物等を使用することができる。
連鎖移動剤としては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン等のパラフィン系炭化水素、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン等のα−オレフィン、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、n−ブチルアルデヒド等のアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン、芳香族炭化水素、塩素化炭化水素等を使用することができる。
ランダム共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法、あるいは、グラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分を変性ないし縮合させる方法としては、例えば、錫、亜鉛、鉄、鉛、コバルト等の金属のカルボン酸塩、チタン酸エステル及びキレート化物等の有機金属化合物、有機塩基、無機酸、及び、有機酸等のシラノール縮合触媒等を使用し、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物とのランダム共重合体あるいはグラフト共重合体を構成するシラン化合物の部分のシラノール間の脱水縮合反応等を行うことにより、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体の変性ないし縮合体を製造する方法が挙げられる。
シラン共重合体としては、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体、及びグラフト共重合体のいずれであっても好ましく使用することができるが、グラフト共重合体であることがより好ましく、重合用ポリエチレンを主鎖とし、エチレン性不飽和シラン化合物が側鎖として重合したグラフト共重合体が更に好ましい。このようなグラフト共重合体は、接着力に寄与するシラノール基の自由度が高くなるため、太陽電池モジュールにおける他の部材への充填材の接着性を向上することができる。
α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成する際のエチレン性不飽和シラン化合物の含量としては、全共重合体質量に対して、例えば、0.001〜15質量%位、好ましくは、0.01〜5質量%位、特に好ましくは、0.05〜2質量%位が望ましいものである。本発明において、α−オレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物との共重合体を構成するエチレン性不飽和シラン化合物の含量が多い場合には、機械的強度及び耐熱性等に優れるが、含量が過度になると、引っ張り伸び及び熱融着性等に劣る傾向にある。
上記組成物に含まれる上記の密度が0.900g/cm以下のポリエチレン系樹脂の含有量は、組成物中で好ましくは10質量%以上99質量%以下、より好ましくは50質量%以上99%質量以下であり、更に好ましくは90質量%以上99%質量以下である。逆に言えばこの範囲内であればその他の樹脂を含んでいてもよい。例えば0.900g/cmを超える他のポリエチレン系樹脂等が例示できる。これらは、例えば添加用樹脂として用いてもよく、後述のその他の成分をマスターバッチ化するために使用できる。
[架橋剤]
本発明においては、従来知られている太陽電池モジュール用充填材組成物の一般的な架橋処理を行う場合とは異なり、太陽電池モジュール用充填材組成物に対する架橋剤の含有量が、一般的な架橋処理の場合よりも少ない特定の範囲の含有量となるように架橋剤を使用する。架橋剤の含有量は、太陽電池モジュール用充填材組成物中に0.02質量%以上0.5質量%以下であり、上限は好ましくは0.2質量%以下、より好ましくは0.1質量%以下である。0.02質量%以上であると上記ポリエチレン系樹脂の架橋が穏やかに進行するため好ましく、0.5質量%以下であると、成形中にゲルが発生することなく、柔軟性が向上し、透明性も向上するため好ましい。
架橋剤は、公知のものが使用でき特に限定されず、例えば公知の架橋剤を用いることができる。架橋剤としては、例えば、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類;ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐パーオキシ)ヘキシン‐3等のジアルキルパーオキサイド類;ビス‐3,5,5‐トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、o‐メチルベンゾイルパーオキサイド、2,4‐ジクロロベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;t‐ブチルパーオキシアセテート、t‐ブチルt‐‐エチルヘキサノエート、t‐ブチルパーオキシピバレート、t‐ブチルパーオキシオクトエート、t‐ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、ジ‐t‐ブチルパーオキシフタレート、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン‐3、t‐ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート等のパーオキシエステル類;メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;t−アミル−パーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、t−ブチルパーオキシ2―エチルヘキシルカーボネート等のパーオキシカーボネート類、等の有機過酸化物、又は、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4‐ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジオクテート、ジオクチル錫ジラウレート、ジクミルパーオキサイド、といったシラノール縮合触媒等を挙げることができる。
上記のなかでも、t−ブチルパーオキシ2―エチルヘキシルカーボネート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン等が好ましく使用できる。これらの架橋剤は、活性酸素量が5%以上と高く、架橋剤の1分間半減期温度が160から190℃である。したがって、これらの架橋剤は、成形時点で消費され、成形後に残留して余分な後架橋の進行を抑制できるので好ましい。架橋剤の1分間半減期温度が160℃以上であることにより、成形中に重合開始剤を十分に分散させてから架橋反応を進行させることできるため好ましく、190℃以下であると後架橋の進行を抑制できるため好ましい。
[架橋助剤]
太陽電池モジュール用充填材組成物は、2官能モノマー及び/又は3官能モノマーからなる架橋助剤を含有することを特徴とする。ここで、上記2官能モノマー又は3官能モノマーとは、モノマー中にアクリレート基、メタクリレート基、アリール基等の官能基を少なくとも2又は3つ有するモノマーをいう。上記官能モノマーは、2官能モノマー及び3官能モノマーのいずれか一方であっても良く、これらの混合物であっても良い。これらの官能基は、光、熱等のエネルギー照射により、ラジカル活性種を発生することができるものである。上記官能基より発生したラジカル活性種は、ベース樹脂である上記ポリエチレン系樹脂とグラフト反応し、ポリエチレン系樹脂を架橋することができる。上記官能モノマーは、モノマー中にアクリレート基、メタクリレート基、アリール基等の官能基を少なくとも2又は3つ有するので、ラジカル活性種が複数発生し、このラジカル活性種は、複数のポリエチレン系樹脂を架橋することができる。その結果、ベース樹脂である上記ポリエチレン系樹脂の分子量を増加させることができる。2官能モノマー又は3官能モノマーとしては、上記の官能基をモノマー中に、2又は3つ有するモノマーであれば良く、2又は3つの官能基は、同一であっても異なっていても良く、両末端に存在してもよいし、末端以外の炭素に結合するものであってもよい。これらの多官能モノマーの中でも、ポリエチレン系樹脂との反応性及び架橋性の観点より、2官能モノマーが好ましい。
2官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジメタクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、2−ヒドロキシ−3―アクリオイロキシプロピルメタクリレート、プロポキシ化エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールメタクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルフマレート、ジアリルマレエート等を使用することができる。
また、3官能モノマーとしては、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、トリメチロールプロパンエトキシトリアクリレート、ポリエーテルトリアクリレート、グリセリンプロポキシトリアクリレート等を使用することができる。なお、これらの架橋助剤は、単独でも2種類以上を組み合わせて使用しても良い。
架橋助剤の含有量は、太陽電池モジュール用充填材組成物中に0.02質量%以上0.5質量%以下であり、好ましくは0.05質量%以上0.2質量%以下であることが好ましい。0.02質量%以上であると、ポリエチレン系樹脂との架橋反応が不十分とならず高い温度での耐熱性を付与することができるため好ましく、0.5質量%以下であると、架橋反応が適度に進行し、低温域においても充填材組成物に良好な製膜性を付与することができるため好ましい。
[その他の成分]
太陽電池モジュール用充填材組成物には、更にその他の成分を含有させることができる。例えば、本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物から作製された太陽電池モジュール用充填材に耐候性を付与するための耐候性マスターバッチ、各種フィラー、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の成分が例示される。これらの含有量は、その粒子形状、密度等により異なるものではあるが、それぞれ太陽電池モジュール用充填材組成物中に0.001〜5.0質量%の範囲内であることが好ましい。これらの添加剤を含むことにより、太陽電池モジュール用充填材組成物に対して、長期に亘って安定した機械強度や、黄変やひび割れ等の防止効果等を付与することができる。
耐候性マスターバッチとは、光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び上記の酸化防止剤等をポリエチレン等の樹脂に分散させたものであり、これを太陽電池モジュール用充填材組成物に添加することにより、太陽電池モジュール用充填材に良好な耐候性を付与することができる。耐候性マスターバッチは、適宜作製して使用してもよいし、市販品を使用してもよい。耐候性マスターバッチに使用される樹脂としては、本発明に用いる直鎖低密度ポリエチレンでもよく、上記のその他の樹脂であってもよい。
なお、これらの光安定化剤、紫外線吸収剤、熱安定剤及び酸化防止剤は、それぞれ1種単独でも2種以上を組み合わせて用いることもできる。
更に、本発明の太陽電池モジュール用充填材組成物に用いられる他の成分としては上記以外に、シランカップリング剤等の接着性向上剤、核剤、分散剤、レベリング剤、可塑剤、消泡剤、難燃剤等を挙げることができる。
<太陽電池モジュール用充填材>
太陽電池モジュール用充填材は、上記で説明した太陽電池モジュール用充填材組成物を、従来公知の方法で製膜加工する過程で、製膜中にポリエチレン系樹脂の架橋剤と2官能モノマー及び/又は3官能モノマーからなる架橋助剤による架橋処理を施すことにより得られるものであり、シート状又はフィルム状としたものである。本発明に係る太陽電池モジュール用充填材は、190〜220℃の高温において製膜をすると同時にポリエチレン系樹脂の架橋を行うものであり、製膜が完了した時点で、ポリエチレン系樹脂の架橋も完了する。すなわち、本発明においては、ポリエチレン系樹脂に架橋剤と2官能モノマー及び/又は3官能モノマーからなる架橋助剤を使用することによって、ポリエチレン系樹脂を架橋させ、その架橋の程度を弱めて分子量を増加した状態(以後、いわゆる「弱架橋」ともいう。)を形成させて、製膜をするものである。つまり、本発明に係る太陽電池モジュール用充填材は、架橋処理と同時に製膜が完了しているので、保存状態に影響されるものではなく、その保存性にも優れたものとなる。
上記太陽電池モジュール用充填材のシート化は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、すなわち、射出成形、押出成形、中空成形、圧縮成形、回転成形等の各種成形法により行われる。ただし、シート化成形中に弱架橋反応を促進させるために、成形温度は、前記ポリエチレン系樹脂の融点よりも50℃以上が好ましい。具体的には170から250℃の高温とすることが好ましく、より好ましくは190から230℃の範囲である。このように、本発明においては、充填材組成物に架橋剤と、2官能モノマー及び/又は3官能モノマーからなる架橋助剤を添加しているため、MFRが低下するものの、その低下の程度が小さい。このため製膜時に弱架橋を進行させることができる。そして、架橋剤と、2官能モノマー及び/又は3官能モノマーからなる架橋助剤を使用することによって、ポリエチレン系樹脂の弱架橋と製膜が同時に進行することを見出した点に本発明の新規な点がある。なお、この成形温度は重合開始剤の1分間半減期温度以上であるので、成形後には重合開始剤はほとんど残留しない。このため、弱架橋はこの製膜(成形)段階で終了する。
このようにして弱架橋処理された後の太陽電池モジュール用充填材は、その物性面からは、i)低密度を維持しつつ、ii)耐熱性を向上させつつ、iii)−50〜0℃の低温域において良好な柔軟性を有する、という特徴がある。弱架橋処理された後の太陽電池モジュール用充填材組成物の密度は、原料ポリエチレン系樹脂の密度とほぼ同等の0.900g/cm以下で増加せず、溶融成形前後の前記樹脂組成物の密度差が0.05g/cm以内である。このため、太陽電池モジュール用充填材組成物は、その透明性は維持したままである。
さらに、弱架橋処理された後の太陽電池モジュール用充填材の190℃におけるMFRの値は、0.05g/10min以上2.0g/10min以下である。このMFRの値は、溶融成形前の上記充填材組成物のMFRと比較して、その差が1.0g/10min以上10.0g/10min以下である。このため、上記太陽電池モジュール用充填材は、製膜可能なMFRの範囲内でありながら、耐熱性有しているものである。これが本発明における弱架橋処理された後の効果である。通常、樹脂のMFRと密度とは正の相関があるところ、本発明においては、充填材の密度をほとんど変えることなく、成形可能なMFRの範囲内でMFRを若干増加させることを可能とした。
そして、弱架橋処理された後の太陽電池モジュール用充填材が低温域において良好な柔軟性を有することは、そのゲル分率の測定結果からも容易に理解できる。上記弱架橋処理された後の太陽電池モジュール用充填材のゲル分率は2.0%以上6.0%以下であり、好ましくは3.0%以上5.0%以下である。
なお、弱架橋処理を分子量の観点から確認することもできる。本発明の太陽電池モジュール用充填材のポリスチレン換算の重量平均分子量が20万以上40万以下であり、弱架橋後の充填材/架橋前ポリエチレン系樹脂の重量平均分子量の比が1.5以上3.0以下の範囲である。このことからも、巨大分子化しているが、密な架橋構造は形成しておらず、弱架橋が形成されていることが理解できる。なお、本発明における重量平均分子量は、キシレン6wt%となるように溶解して粘度を測定し、その粘度から、ポリスチレン標品との換算より重量平均分子量を求めたものである。
<太陽電池モジュール>
次に、本発明の太陽電池モジュールの一例について、図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の太陽電池モジュールについて、その層構成の一例を示す断面図である。本発明の太陽電池モジュール1は、入射光の受光面側から、透明前面基板2、前面充填材層3、太陽電池素子4、背面充填材層5、及び裏面保護シート6が順に積層されている。本発明の太陽電池モジュール1は、前面充填材層3及び背面充填材層5の少なくとも一方に上記充填材組成物を使用した太陽電池モジュール用充填材(以下単に「充填材シート」ともいう)を使用する。
太陽電池モジュール1は、例えば、上記の透明前面基板2、前面充填材層3、太陽電池素子4、背面充填材層5、及び裏面保護シート6からなる部材を順次積層してから真空吸引等により一体化し、その後、ラミネーション法等の成形法により、上記の部材を一体成形体として加熱圧着成形して製造することができる。
また、太陽電池モジュール1は、通常の熱可塑性樹脂において通常用いられる成形法、例えば、Tダイ押出成形等により、太陽電池素子4の表面側及び裏面側のそれぞれに、前面充填材層3及び背面充填材層5を溶融積層して、太陽電池素子4を前面充填材層3及び背面充填材層5でサンドし、次いで、透明前面基板2及び裏面保護シート6を順次積層し、次いで、これらを真空吸引等により一体化して加熱圧着する方法で製造してもよい。
なお、本発明の太陽電池モジュール1において、前面充填材層3及び背面充填材層5以外の部材である透明前面基板2、太陽電池素子4及び裏面保護シート6は、従来公知の材料を特に制限なく使用することができる。また、本発明の太陽電池モジュール1は、上記部材以外の部材を含んでもよい。なお、本発明の充填材シートは単結晶型に限らず、薄膜型その他のすべての太陽電池モジュールに適用できる。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<太陽電池モジュール用充填材の製造>
(実施例1〜5)
下記表1の組成からなる充填材組成物原料を混合し、内層用及び外層用太陽電池モジュール用充填材組成物とした。下記表1の組成からなる充填材組成物をφ30mm押出し機、200mm幅のTダイスを有するフィルム成形機を用いて、押出し温度210℃、引き取り速度1.1m/minで総厚600μmの内層用及び外層用太陽電池モジュール用充填材を作製した。これらの内層用及び外層用太陽電池モジュール用充填材を、中間層を介して積層して、積層型太陽電池モジュール用充填材とした。太陽電池モジュール用充填材の層厚は、外層:内層:外層を1:5:1とした。なお、充填材組成物原料としては、以下の原料を使用した。
「シラン変性透明樹脂」:密度0.881g/cmであり、190℃でのMFRが2g/10分であるメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン(M−LLDPE)98質量部に対して、ビニルトリメトキシシラン2質量部と、ラジカル発生剤(反応触媒)としてのジクミルパーオキサイド0.1質量部とを混合し、200℃で溶融、混練し、密度0.884g/cm、190℃でのMFRが1.8g/10分であるシラン変性透明樹脂を得た。
「耐候性マスターバッチ」:密度0.880g/cmのチーグラー直鎖状低密度ポリエチレンを粉砕したパウダー100質量部に対して、ベンゾフェノール系紫外線吸収剤3.8質量部とヒンダードアミン系光安定化剤5質量部と、リン系熱安定化剤0.5質量部とを混合して溶融、加工し、ペレット化したマスターバッチを得た。
「架橋剤・架橋助剤MB(樹脂1)」:密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.5g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン(添加剤A)0.5質量部,1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(添加剤B)0.55質量部含浸させマスターバッチペレットを得た。
「架橋剤・架橋助剤MB(樹脂2)」:密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.5g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン(添加剤A)0.5質量部,1,6−ヘキサンジオールジメタアクリレート(添加剤C)0.55質量部含浸させマスターバッチペレットを得た。
「架橋剤・架橋助剤MB(樹脂3)」:密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.5g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン(添加剤A)0.5質量部,1,9−ヘキサンジオールジメタアクリレート(添加剤D)0.55質量部含浸させマスターバッチペレットを得た。
「架橋剤・架橋助剤MB(樹脂4)」:密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.5g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン(添加剤A)0.5質量部,ジアリルフタレート(添加剤E)0.55質量部含浸させマスターバッチペレットを得た。
「架橋剤・架橋助剤MB(樹脂5)」:密度0.880g/cm、190℃でのMFRが8.0g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン(添加剤A)1.0質量部,1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(添加剤B)2.0質量部含浸させマスターバッチペレットを得た。
「架橋剤・架橋助剤MB(樹脂6)」:密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.5g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン(添加剤A)0.5質量部,イソステアリルアクリレート(添加剤F)0.55質量部含浸させマスターバッチペレットを得た。
「架橋剤・架橋助剤MB(樹脂7)」:密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.5g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン(添加剤A)0.5質量部,イソボロニルアクリレート(添加剤G)0.55質量部含浸させマスターバッチペレットを得た。
「架橋剤・架橋助剤MB(樹脂8)」:密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.5g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン(添加剤A)0.5質量部,イソボロニルメタアクリート(添加剤H)0.55質量部含浸させマスターバッチペレットを得た。
「架橋剤MB(樹脂9)」:密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.5g/10分のM−LLDPEペレット100質量部に対して、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン(添加剤A)0.5質量部含浸させマスターバッチペレットを得た。
「M−LLDPE1」:密度0.880g/cm、190℃でのMFRが3.5g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン。
「M−LLDPE2」:密度0.880g/cm、190℃でのMFRが8.0g/10分のメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレン。

Figure 2012099585
(比較例1〜4)
下記表2の組成からなる充填材組成物原料を混合し、内層用及び外層用太陽電池モジュール用充填材組成物とし、実施例1〜5と同様にして、内層用及び外層用太陽電池モジュール用充填材を作製し、これらの内層用及び外層用太陽電池モジュール用充填材を積層して、積層型太陽電池モジュール用充填材とした。
Figure 2012099585
<太陽電池モジュール用充填部材の評価>
上記作製した実施例1から5及び比較例1から4の太陽電池モジュール用充填材について、全光線透過率(JIS K7361−1)、ヘイズ(JIS K7136)、耐熱性、ゲル分率及びガラス剥離強度について評価した。さらに、比較例5として、ベース樹脂としてエチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂(EVA)を使用した積層型太陽電池モジュール用充填材を作製し、この太陽電池モジュール用充填材についても上記同様に評価をした。その結果を表3に示す。また、実施例1、実施例4、比較例4、比較例5で製造した太陽電池モジュール用充填材について、−50〜150℃の各温度における「動的粘弾性(DMA)」を測定した。その結果を図2に示す。なお、耐熱性、ゲル分率、ガラス剥離強度及び低温柔軟性の各評価方法は、以下の通りである。
(耐熱性試験):250mm角の半強化ガラス上に上記実施例及び比較例の太陽電池モジュール用充填材を75mm×50mmの大きさにカットしたものを2枚、75mm×50mmの半強化ガラス1枚を順に積層した上で、太陽電池モジュールの製造用の真空ラミネータにて150℃で15分間圧着し、上記ラミネートサンプルを垂直に立てた状態で130℃のオーブン中で12時間静置し、半強化ガラスのずれた距離(mm)を測定することによって耐熱性を評価した。
(ゲル分率):架橋後充填材1g秤量し、80メッシュの金網袋に入れる。次いで、ソックスレー抽出器内に金網ごとサンプル投入し、キシレンを沸点下において還流させる。10時間連続抽出したのち、金網ごとサンプルを取出し乾燥処理後秤量し、抽出前後の質量比較を行い残留不溶分の質量%を測定しこれをゲル分率(%)とした。
(ガラス剥離強度):JIS K5600に準じて行った。具体的には、75mm×50mmの半強化ガラス上に上記実施例及び比較例の太陽電池モジュール用充填材を順に積層した上で、太陽電池モジュールの製造用の真空ラミネータにて150℃で15分間圧着し、測定用サンプルを作製した。ラミ後測定用サンプルを15mm巾にし、剥離条件50mm/minの下(ガラス剥離試験機「株式会社エー・アンド・デイ」社製、商品名「TENSILON RTA-1150−H」)で剥離したときの値をガラス剥離強度とした。
(動的粘弾性(DMA):低温における動的粘弾性(低温柔軟性)については、以下のように評価した。上記実施例及び比較例の太陽電池モジュール用充填材を5×20mmの大きさに切り出して試験片とした。この試験を用いて、UBM社製レオゲル・E−4000で−50〜150℃測定を行った。
Figure 2012099585
表3から解るように本発明に係る太陽電池モジュール用充填材は、特定の架橋助剤を添加することにより、架橋助剤を添加しない場合に比較して、そのゲル分率が約2.0〜6.0%に向上し、同時に耐熱性にも優れたものとなる。また、充填材の光学特性も良好であり、剥離強度も十分なものと理解できる。さらに、図2から、本発明に係る太陽電池モジュール用充填材は、2官能モノマー及び/又は3官能モノマーからなる架橋助剤を添加することにより、−50〜0℃の低温下において、従来のEVA系よりもきわめて良好な柔軟性を示していることが理解される。
また、上記実施例1、2、5と比較例4で得られた太陽電池モジュール用充填材について弱架橋処理前と弱架橋処理後の密度、分子量についてそれぞれ測定を行い、弱架橋処理前後における物性変化を確認した。結果を表4に示す。
Figure 2012099585
表4によれば、実施例1、2及び5のいずれにおいても、弱架橋前後において太陽電池モジュール用充填材の密度はほとんど変化していないにもかかわらず、弱架橋後の重量平均分子量が増加していることが認められる。このことから、本発明に係る太陽電池モジュール用充填材において、弱架橋が行われていることが理解できる。
すなわち、これらの結果から、本発明において、2官能モノマー及び/又は3官能モノマーからなる架橋助剤を添加することにより、ベース樹脂にポリエチレン系樹脂を使用しながら、太陽電池モジュール用充填材に適する良好な透明性と耐熱性を有し、−50〜0℃の低温で良好な柔軟性を有する太陽電池モジュール用充填材を提供することができる。このように本発明の太陽電池モジュール用充填材は、低温柔軟性を有するものであるので、砂漠地域における夜間での使用や雪原地域における使用においても封止剤として一般的に用いられているEVAよりも硬化が少なく、太陽電池セルが割れる心配が少ないというメリットを有する。
1 太陽電池モジュール
2 透明前面基板
3 前面充填材層
4 太陽電池素子
5 背面充填材層
6 裏面保護シート

Claims (6)

  1. 密度が0.900g/cm以下であって、190℃におけるMFRが2.0g/10min以上10.0g/10min以下であるポリエチレン系樹脂と、架橋剤と、2官能モノマー及び/又は3官能モノマーからなる架橋助剤と、を含有する組成物を成形後、架橋処理して得られることを特徴とする太陽電池モジュール用充填材。
  2. 前記架橋処理した後のゲル分率が、2.0〜6.0%であることを特徴とする請求項1記載の太陽電池モジュール用充填材。
  3. 前記架橋助剤が、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジアリルフタレートより選択される1種類以上である請求項1又は請求項2記載の太陽電池モジュール用充填材。
  4. 前記ポリエチレン系樹脂がメタロセン系直鎖状低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1から請求項3いずれか記載の太陽電池モジュール用充填材。
  5. 前記ポリエチレン系樹脂がα−ポリオレフィンとエチレン性不飽和シラン化合物をコモノマーとして共重合してなる共重合体を含有することを特徴とする請求項1から請求項3いずれか記載の太陽電池モジュール用充填材。
  6. 請求項1ないし請求項5いずれか記載の太陽電池モジュール用充填材を使用した太陽電池モジュール。
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