JP2012098452A - 位相差板 - Google Patents

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Abstract

【課題】応力や外力によって変形したり、壊れたりし難い微細周期構造を有する位相差板を提供する。
【解決手段】光が入射される第1領域S1と第2領域S2とが交互に設けられた光透過性の位相差基板4Aと、第1領域S1と第2領域S2に第1微細周期構造部10Aと第2微細周期構造部10Bがそれぞれ設けられ、各微細周期構造部10A、10Bは、入射光の1/2波長より短いピッチで、板状溝部11と板状非溝部12が交互に連続して配列され、且つ、板状溝部11はその内周面が閉じられた溝によって形成されている。
【選択図】図3

Description

本発明は、光の位相状態を変化させる位相差板に関する。
三次元表示装置では、例えば液晶パネルの異なる画素に映し出された右目用映像と左目用映像を、位相差板によって互いに異なる偏光状態として射出する。視聴者は、左右で吸収軸の向きが異なる偏光めがねを用いて右目用映像を右目で、左目用映像を左目で見ることによって三次元映像を認識する。
この位相差板は、画素サイズの領域で位相差が異なる、すなわちパターニングされたものが用いられる。このようなパターニングが可能な位相差板としては光配向膜と液晶ポリマーを用いたものや、構造性複屈折を用いたものがある。
従来の構造性複屈折を用いた位相差板としては、特許文献1に開示されたものが提案されている。この位相差板100は、図10に示すように、光透過性の材料より形成されている。位相差板100には、第1微細周期構造部A(A1、A2〜)と第2微細周期構造部B(B1、B2〜)が交互に連続して設けられている。各微細周期構造部A,Bは、図11及び図12に示すように、入射光の1/2波長より十分に短いピッチで、板状溝部101と板状非溝部である平板部102が交互に連続して配列されている。第1微細周期構造部Aと第2微細周期構造部Bとは、板状溝部101及び平板部102の配列方向が90度回転した方向に設定されている。
このように屈折率が異なる板状溝部101(空気の屈折率)と平板部102(基板材料の屈折率)を周期的に配置することによって複屈折特性が発生する。複屈折特性の光学方向は、板状溝部101と平板部102の配列方向により決定される。このような特性を利用して、上記位相差板100は、右目用映像と左目用映像を互いに異なる偏光状態の光に変更する。
特開2006−30461号公報
しかしながら、前記従来の構造性複屈折を用いた位相差板100では、各平板部102が位相差板100の基台100aより別個独立に立設されている。そして、隣り合う平板部102の隙間によって板状溝部101が形成されている。従って、各平板部102は、製造プロセスで生じる応力や、何らかとの接触による外力によって変形したり壊れ易いという問題がある。平板部102が変形したり壊れたりすると、板状溝部101と平板部102の周期性が崩れるため所望の偏光状態を得ることができず、いわゆる不要な光が増加する。
特に、位相差板100が1/4波長板である場合、板状溝部101と平板部102をアスペクト比の高い微細周期構造とする必要があるため、応力や外力による変形等が発生し易い。又、位相差板100を三次元撮像装置に適用する場合には、画素ピッチが数μm程度となり、この画素寸法に対応する小さな微細周期構造とするため、応力や外力による変形等が発生し易くなる。
そこで、本発明は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、応力や外力によって変形したり、壊れたりし難い微細周期構造を有する位相差板を提供することを目的とする。
本発明は、光が入射される第1領域(S1)と第2領域(S2)とが交互に設けられた位相差基板(4A)、(4B)と、前記第1領域(S1)と前記第2領域(S2)の少なくとも一方に設けられ、入射光の1/2波長より短いピッチで、板状溝部(11)と板状非溝部(12)が交互に連続して配列され、且つ、前記板状溝部(11)はその内周面が閉じられた溝によって形成されている微細周期構造部(10A)、(10B)、(14)とを備えたことを特徴とする位相差板(3A)、(3B)である。
前記微細周期構造部(10A)、(10B)は、前記第1領域(S1)と前記第2領域(S2)に共に設けられ、前記第1領域(S1)の前記微細周期構造部(10A)と前記第2領域(S2)の前記微細周期構造部(10B)とは、互いに配列方向が90度回転した方向に設定され、第1微細周期構造部(10A)と第2微細周期構造部(10B)の間には、溝が形成されていない非溝領域部(S3)を設けることが好ましい。
各微細周期構造部(10A)、(10B)は、各入射光の位相が1/4波長分ずれてそれぞれ射出する構成のものを含む。
各微細周期構造部(10A)、(10B)は、入射光又は射出光の直線偏光の振動方向に対しそれぞれ45度回転した方向に設定することが好ましい。
前記位相差基板(4A)、(4B)の入射面と射出面の少なくともいずれか一方側で、且つ、前記非溝領域部(S3)に少なくとも対応する位置には、光吸収材料からなる遮光部(6)を配置することが好ましい。
前記遮光部(6)の幅は、前記非溝領域部(S3)の幅をP2、前記非溝領域部(S3)の深さをt、光学系のF値をFとすると、P2+(t/F)であることが好ましい。
前記微細周期構造部(14)は、前記第1領域(S1)と前記第2領域(S2)のいずれか一方にのみ設け、前記微細周期構造部(14)が設けられた領域では、入射光の位相が1/2波長分ずれて射出されるよう構成され、前記微細周期構造部(14)が設けられない領域では、入射光の位相がずれずに射出する構成のものを含む。
前記位相差基板(4A)、(4B)の入射面と射出面の少なくともいずれか一方側で、且つ、前記第1領域(S1)と前記第2領域(S2)の境界箇所に対応する位置には、光吸収材料からなる遮光部(6)を配置することが好ましい。
前記遮光部(6)の幅は、前記板状溝部(11)の深さをt、光学系のF値をFとすると、t/Fであることが好ましい。
前記微細周期構造部(14)は、入射光又は射出光の直線偏光の振動方向に対し45度回転した方向に設定することが好ましい。
本発明によれば、各板状溝部はその内周面が閉じられた溝であり、これにより各板状非溝部が周囲の非溝部で互いに連結されているため、強度的に強い構造となり、応力や外力によって変形したり壊れたりし難い微細周期構造の位相差板を提供できる。
本発明の第1実施形態を示し、三次元表示装置の要部概略構成図である。 本発明の第1実施形態を示し、位相差板の構成図である。 本発明の第1実施形態を示し、(a)は位相差基板の一部平面図、(b)は位相差基板の一部斜視図である。 本発明の第1実施形態を示し、(a)〜(c)は位相差基板の各製造過程を示す図である。 本発明の第2実施形態を示し、三次元表示装置の要部概略構成図である。 本発明の第2実施形態を示し、位相差板の構成図である。 本発明の第2実施形態を示し、(a)は位相差基板の一部平面図、(b)は位相差基板の一部斜視図である。 本発明を三次元撮像装置に適用する場合の位相差基板の構成を示す図である。 本発明を三次元撮像装置に適用する場合の位相差基板の構成を示す図である。である。 従来例を示し、位相差板の全体平面図である。 従来例を示し、位相差板の一部拡大断面図である。 従来例を示し、位相差板の微細周期構造箇所の拡大斜視図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
(第1実施形態)
図1〜図4は、本発明に係る位相差板を三次元表示装置に適用した第1実施形態を示す。図1において、三次元表示装置1Aは、映像表示素子である液晶パネル2を有する。液晶パネル2には、右目用と左目用の各画素が例えば水平ライン毎に交互に配置されている。右目用の各画素からは右目映像の光が、左目用の画素からは左目映像の光がそれぞれ射出される。射出される各光は、振動方向が同じ向きの直線偏光である。
位相差板3Aは、液晶パネル2の光射出面側に配置されている。位相差板3Aは、図2に示すように、位相差基板4Aとマスク基板5からなり、双方の基板4A,5が液晶パネル2の射出光方向に互いに重なるように配置されている。位相差基板4Aは、図3(a)、(b)に詳しく示すように、ポリカーボネイト、又は、塩化ビニル、又は、ポリエステル、又は、ポリイミド、又は、ポリオレフィン、又は、アクリルの透明樹脂より形成されている。位相差基板4Aには、液晶パネル2の画素サイズに合わせた寸法の第1領域S1と第2領域S2が交互に連続して設けられている。第1領域S1には、入射光の1/2波長より短いピッチで、板状溝部11と板状非溝部12が交互に連続して配列された第1微細周期構造部10Aが設けられている。第2領域S2にも、入射光の1/2波長より短いピッチで、板状溝部11と板状非溝部12が交互に連続して配列された第2微細周期構造部10Bが設けられている。各板状溝部11は、位相差基板4Aの上面にのみ開口する溝であり、その内周面が閉じられた溝によって形成されている。これにより、各板状非溝部12は、周辺の非溝部13によって連結されている。
第1微細周期構造部10Aと第2微細周期構造部10Bは、それぞれ板状溝部11と板状非溝部12の周期構造によって構造性複屈折を生じる。この構造性複屈折を利用して第1微細周期構造部10Aが例えば+λ/4位相差を発生させる領域に、第2微細周期構造部10Bが例えば−λ/4位相差を発生させる領域に設定されている。つまり、位相差基板4Aは、+λ/4領域と−λ/4領域が交互に配列された±1/4波長板として構成されている。微細周期構造にあって、通過する光の位相差を所望の波長に設定できる理由については、下記する。
第1微細周期構造部10Aと第2微細周期構造部10Bでは、板状溝部11と板状非溝部12の配列方向が遅相軸となり、板状溝部11と板状非溝部12の配列方向の90度回転方向が進相軸となる。第1微細周期構造部10Aと第2微細周期構造部10Bでは、遅相軸及び進相軸の方向が入射光である直線偏光の振動方向に対しそれぞれ45度回転した方向に設定されている。その上、第1微細周期構造部10Aと第2微細周期構造部10Bでは、板状溝部11と板状非溝部12の配列方向が互いに90度回転した方向に設定され、遅相軸及び進相軸の方向が互いに90度回転した方向となっている。
第1微細周期構造部10Aと第2微細周期構造部10Bの間には、溝が形成されていない非溝領域部S3が設けられている。
マスク基板5は、図2に示すように、光透過性材料より形成されている。マスク基板5の一面には、光吸収材料からなる遮光部6が設けられている。遮光部6は、位相差基板4Aの光入射面側に密着されている。遮光部6は、位相差基板4Aの非溝領域部S3に対応するパターンであり、非溝領域部S3に対応する位置に配置されている。
遮光部6の幅W1は、非溝領域部S3の幅をP2、非溝領域部S3の深さをt、光学系(レンズ)のF値をFとすると、W1=P2+(t/F)に設定されている。
ここで、F=f(焦点距離)/φ(口径)であり、φ/2=f/2Fとなる。f→tとすると、φ/2=t/2Fとなり、φ=t/Fとなるためである。
マスク基板5の光透過性材料としては、クロム等の無機材料や、光吸収率の高い樹脂材料が好ましい。
次に、位相差基板4Aの各領域を所望の位相差に設定できる理由を説明する。
板状溝部11及び板状非溝部12が延びる方向とこれに直交する方向で有効となる屈折率NTM、NTE は、板状溝部11の屈折率と周期構造より決定され、下記の式で求めることができる。ここで、TM,TEは直線偏光の振動方向に対して±45度の方向の成分を表す。板状溝部11の屈折率はN1であり、板状非溝部12の屈折率はN2である。板状溝部11は媒体が空気であるため、N1=1である。板状溝部11の幅はL、板状非溝部12の幅はS、第1及び第2微細周期構造部10A,10B(板状溝部11及び板状非溝部12)の深さはdである。フィリング係数fは、f=L/P(ピッチP=L+S)である。
TM={f・N2 2 +(1−f)}1/2
TE=[N2 2 /{f +(1−f)N2 2}]1/2
上記式より射出光に与えられた位相差δは、δ=(NTM−NTE )×dで求められる。従って、位相差基板4Aの屈折率N2と微細周期構造部10A,10Bの深さdによって位相差δを制御でき、この第1実施形態では、+λ/4領域と−λ/4領域が交互に繰り返す±1/4波長板として構成されている。
次に、位相差基板4Aとマスク基板5の作製方法等を説明する。
先ず、位相差基板4Aの作製手順を説明する。位相差基板4Aは、ナノインプリント法を用いて作製する。図4(a)に示すように、板状溝部の突出パターン形状を有するモールド20を、透明樹脂基板21に押し当てる。次に、図4(b)に示すように、モールド20を透明樹脂基板21に押し当てた状態で、光照射、又は熱処理を行うことで板状溝部11を形成する。そして、図4(c)に示すように、冷却後に、透明樹脂基板21よりモールド20を離型すれば、完了する。尚、光照射で処理する場合には、モールド20をガラス基板で形成し、熱で処理する場合には、モールド20を単結晶シリコン基板等で形成することが好ましい。
次に、マスク基板5の作製手順を説明する。ガラス基板や樹脂基板の片側表面に、薄膜を形成する。薄膜は、クロム等の無機材料であれば蒸着やスパッタなどで形成し、塗布式の樹脂材料であればコータなどで形成する。次に、フォトリソグラフィを用いてパターニングする。
クロム等の薄膜であれば、その上にレジストを塗布し、パターン状に露光し、現像液によってパターン部分のレジストを残す。クロムエッチング液によるクロム薄膜層でレジストにより保護されていない部分を除去し、その後レジストも除去する。これによって、遮光部6を形成する。
顔料含有の樹脂材料で、且つ、感光性を有する薄膜であれば、マスク露光による硬化後に、非硬化部分をエッチングして遮光部6を形成する。顔料含有の樹脂材料で、且つ、非感光性の薄膜であれば、膜硬化後にクロム薄膜と同様の手順で遮光部6を形成する。以上により、完了する。
マスク基板5に、遮光部6のほかにアライメントパターン部を形成すれば、位相差基板4Aに正確な位置で固定できる。マスク基板5と位相差基板4Aは、板状溝部11及び板状非溝部12より外側位置を熱硬化性若しくは紫外線硬化性の接着剤等で固定する。
図1に戻り、次に、三次元表示装置1Aの作用を説明する。液晶パネル2の右目画素では右目用映像が、液晶パネル2の左目画素では左目用映像がそれぞれ表示される。右目用映像の直線偏光の光は、位相差板3Aを通過する際に、偏光状態が変更されて例えば右円偏光になって射出される。左目用映像の直線偏光の光は、位相差板3Aを通過する際に、偏光状態が変更されて例えば左円偏光になって射出される。
図1に示すように、右目レンズ側に右円偏光の光を透過する円偏光板15aを、左目レンズ側に左円偏光の光を透過する円偏光板15bをそれぞれ有する眼鏡15を掛けて見ると、右目には右目用映像のみが、左目には左目用映像のみが見える。これによって、視聴者は、三次元映像を見ることができる。
以上説明したように、第1及び第2微細周期構造部10A,10Bは、板状溝部11と板状非溝部12が交互に連続して配列され、且つ、板状溝部11はその内周面が閉じられた溝である。このように各板状溝部11はその内周面が閉じられた溝であり、これにより各板状非溝部12が周囲の非溝部13で互いに連結されているため、板状溝部11と板状非溝部12は強度的に強い構造となり、応力や外力によって変形したり壊れたりし難い。
第1微細周期構造部10Aと第2微細周期構造部10Bの間には、溝が形成されていない非溝領域部S3が設けられている。従って、第1微細周期構造部10Aの板状溝部11と第2微細周期構造部10Bの板状溝部11の間隔が広くなるため、位相差基板4Aの強度が向上する。
第1及び第2微細周期構造部10A,10Bは、各入射光の位相が1/4波長分ずれてそれぞれ射出されるよう構成されている。従って、同じ振動方向の直線偏光が入射光である場合に、それぞれ回転方向が異なる円偏光を射出できる。
第1及び第2微細周期構造部10A,10Bは、入射光である直線偏光の振動方向に対しそれぞれ45度回転した方向に設定されている。従って、入射光に対して最も高い効率で位相差を生じさせることができる。
位相差基板4Aの入射面側で、且つ、非溝領域部S3に対応する位置には、光吸収材料からなる遮光部6が配置されているので、非溝領域部S3に垂直方向で入射する光を確実に遮蔽できる。その上、この実施形態では、遮光部6の幅W1は、非溝領域部S3の幅をP2、非溝領域部S3の深さをt、光学系(レンズ)のF値をFとすると、W1=P2+(t/F)に設定されている。従って、図2に示すように、斜め入射光で、第1微細周期構造部10A又は第2微細周期構造部10Bから非溝領域部S3に跨って入り込む光を阻止できるため、所望の位相差を与えられず、漏れ光となる不要な光を確実に遮蔽できる。
(第2実施形態)
図5〜図7は、本発明に係る位相差板を三次元表示装置に適用した第2実施形態を示す。図5において、三次元表示装置1Bは、映像表示素子である液晶パネル2を有する。液晶パネル2には、右目用と左目用の各画素が例えば水平ライン毎に交互に配置されている。右目用の各画素からは右目映像の光が、左目用の画素からは左目映像の光がそれぞれ射出される。射出される各光は、振動方向が同じ向きの直線偏光である。
位相差板3Bは、液晶パネル2の光射出面側に配置されている。位相差板3Bは、図6に示すように、位相差基板4Bとマスク基板5からなり、双方の基板4B,5が液晶パネル2の射出光方向に互いに重なるように配置されている。
位相差基板4Bは、図7(a)、(b)に詳しく示すように、ポリカーボネイト、又は、塩化ビニル、又は、ポリエステル、又は、ポリイミド、又は、ポリオレフィン、又は、アクリルの透明樹脂より形成されている。位相差基板4Bには、液晶パネル2の画素サイズに合わせた寸法の第1領域S1と第2領域S2が交互に連続して設けられている。第1領域S1には、入射光の1/2波長より短いピッチで、板状溝部11と板状非溝部12が交互に連続して配列された微細周期構造部14が設けられている。第2領域S2には、前記第1実施形態と異なり、何ら板状溝部が設けられていない。
微細周期構造部14は、板状溝部11と板状非溝部12の周期構造によって、構造性複屈折を生じる。第2領域S2は、構造性複屈折を生じない。位相差基板4Bは、構造性複屈折を利用してλ/2領域と0領域が交互に配列されたλ/2位相差基板として構成されている。
微細周期構造部14の各板状溝部11は、位相差基板4Bの上面にのみ開口する溝であり、その内周面が閉じられた溝として形成されている。これにより、各板状非溝部12は、周辺の非溝部13によって連結されている。
微細周期構造部14では、板状溝部11と板状非溝部12の配列方向が透過光の遅相軸となり、配列方向の90度回転方向が透過光の進相軸となる。微細周期構造部14では、遅相軸及び進相軸の方向が射出光である直線偏光の振動方向に対しそれぞれ45度回転した方向に設定されている。
マスク基板5は、図6に示すように、光透過性材料より形成されている。マスク基板5の一面には、光吸収材料からなる遮光部6が設けられている。遮光部6は、位相差基板4Bの光入射面側に密着されている。遮光部6は、第1領域S1と第2領域S2の境界位置に対応するパターンであり、その境界位置に対応する位置に配置されている。遮光部6の幅はW2、微細周期構造部14(板状溝部11及び板状非溝部12)の深さをt、光学系の焦点距離をFとすると、W2=(t/F)に設定されている。マスク基板5の光透過性材料としては、クロム等の無機材料や、光吸収率の高い樹脂材料が好ましい。
次に、三次元表示装置1Bの作用を説明する。液晶パネル2の各右目画素では右目用映像が、液晶パネル2の各左目画素では左目用映像がそれぞれ表示される。右目用映像の直線偏光の光と左目用映像の直線偏光の光は、位相差板3Bを通過する際に、いずれか一方が90度回転され、互いに90度回転した直線偏光となって射出される。
右目レンズ側に一方の直線偏光の光を透過する偏光板16aを、左目レンズ側に他方の直線偏光の光を透過する偏光板16bをそれぞれ有する眼鏡16を掛けて見ると、右目には右目用映像のみが、左目には左目用映像のみが見える。これによって、視聴者は、三次元映像を見ることができる。
以上説明したように、微細周期構造部14は、板状溝部11と板状非溝部12が交互に連続して配列され、且つ、板状溝部11はその内周面が閉じられた溝によって形成されている。このように各板状溝部11はその内周面が閉じられた溝であり、これにより各板状非溝部12が周囲の非溝部13で互いに連結されているため、板状溝部11と板状非溝部12は強度的に強い構造となり、応力や外力によって変形したり壊れたりし難い。
微細周期構造部14は、入射光の位相が1/2波長分ずれてそれぞれ射出されるよう構成されている。従って、同じ振動方向の直線偏光が入射光である場合に、90度回転した直線偏光として射出できる。
微細周期構造部14は、入射光である直線偏光の振動方向に対しそれぞれ45度回転した方向に設定されている。従って、入射光に対して最も高い効率で位相差を生じさせることができる。
位相差基板4Bの入射面側で、且つ、微細周期構造部14と微細周期構造が形成されていない第2領域S2との境界位置には、光吸収材料からなる遮光部6が配置されているので、斜め入射して微細周期構造部14と微細周期構造でない第2領域S2を跨って通過する光を遮蔽できる。特に、この実施形態では、遮光部6の幅W2は、微細周期構造部14(板状溝部11及び板状非溝部12)の深さをt、光学系(レンズ)のF値をFとすると、t/Fに設定されている。従って、図6に示すように、斜め入射光で、微細周期構造部14と微細周期構造が形成されていない第2領域S2とを跨って通過する光を確実に阻止できるため、所望の位相差を与えられず、漏れ光となる不要な光を確実に遮蔽できる。
位相差基板4Bとマスク基板5の作製方法は、前記第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
(変形例等)
前記各実施形態では、位相差板3A,3Bは、位相差基板4A,4Bとマスク基板5より構成したが、位相差基板4A,4Bのみから構成しても良い。又、マスク基板5は、位相差基板4A,4Bの入射面側に配置したが、射出面側に配置しても良い。
前記第1実施形態では、位相差基板4A,4Bには、共に微細周期構造による+λ/4領域と−λ/4領域を交互に構成したが、これに限定されず微細周期構造によって種々の波長差領域を構成可能である。
前記第2実施形態では、位相差基板4Bには、微細周期構造によるλ/2領域と位相差なしの0領域を交互に構成したが、これに限定されず微細周期構造によって種々の波長差領域を構成可能である。
また、前記各実施形態では、本発明の三次元表示装置への適用について述べたが、三次元撮像装置への適用も可能である。位相差基板4A,4Bは、図8に示すように+λ/4と−λ/4の領域S1,S2を交互に繰り返す構成や、図9に示すようにλ/2と0の領域を交互に繰り返す構成のものを使用する。すなわち、偏光状態と入射出の関係が三次元表示装置と逆になれば良い。
例えば、左右の目に対応した映像光それぞれが、図8のような回転方向が異なる円偏光か、図9のようなお互いの軸が90度回転した直線偏光として位相差基板4A,4Bに入射する。その光が位相差基板4A,4Bの左右の目それぞれに対応した領域を透過することで、領域S1,S2毎に軸の向きが異なる直線偏光として射出される。その後偏光板を透過することで、ある領域では左目用の映像の直線偏光のみが、別の領域では右目用の映像の直線偏光のみが射出される。
2 液晶パネル(表示素子)
3A,3B 位相差板
4A,4B 位相差基板
6 遮光部
10A 第1微細周期構造部
10B 第2微細周期構造部
11 板状溝部
12 板状非溝部
14 微細周期構造部
35 撮像素子
S1 第1領域
S2 第2領域
S3 非溝領域部

Claims (9)

  1. 光が入射される第1領域と第2領域とが交互に設けられた位相差基板と、
    前記第1領域と前記第2領域の少なくとも一方に設けられ、入射光の1/2波長より短いピッチで、板状溝部と板状非溝部が交互に連続して配列され、且つ、前記板状溝部はその内周面が閉じられた溝によって形成されている微細周期構造部とを備えたことを特徴とする位相差板。
  2. 請求項1に記載の位相差板であって、
    前記微細周期構造部は、前記第1領域と前記第2領域に共に設けられ、前記第1領域の前記微細周期構造部と前記第2領域の前記微細周期構造部とは、互いに配列方向が90度回転した方向に設定され、
    前記第1領域の前記微細周期構造部と前記第2領域の前記微細周期構造部の間には、溝が形成されていない非溝領域部が設けられたことを特徴とする位相差板。
  3. 請求項2に記載の位相差板であって、
    前記各微細周期構造部は、各入射光の位相が1/4波長分ずれてそれぞれ射出されるよう構成されたことを特徴とする位相差板。
  4. 請求項2又は請求項3に記載の位相差板であって、
    前記位相差基板の入射面と射出面の少なくともいずれか一方側で、且つ、前記非溝領域部に少なくとも対応する位置には、光吸収材料からなる遮光部が配置されたことを特徴とする位相差板。
  5. 請求項4に記載の位相差板であって、
    前記遮光部の幅は、前記非溝領域部の幅をP2、前記非溝領域部の深さをt、光学系のF値をFとすると、P2+(t/F)であることを特徴とする位相差板。
  6. 請求項1に記載の位相差板であって、
    前記微細周期構造部は、前記第1領域と前記第2領域のいずれか一方にのみ設けられ、
    前記微細周期構造部が設けられた領域では、入射光の位相が1/2波長分ずれて射出されるよう構成され、前記微細周期構造部が設けられない領域では、入射光の位相がずれずに射出されることを特徴とする位相差板。
  7. 請求項6に記載の位相差板であって、
    前記位相差基板の入射面と射出面の少なくともいずれか一方側で、且つ、前記第1領域と前記第2領域の境界箇所に対応する位置には、光吸収材料からなる遮光部が配置されたことを特徴とする位相差板。
  8. 請求項7に記載の位相差板であって、
    前記遮光部の幅は、前記板状溝部の深さをt、光学系のF値をFとすると、t/Fであることを特徴とする位相差板。
  9. 請求項3〜請求項8のいずれかに記載の位相差板であって、
    前記微細周期構造部は、入射光又は射出光の直線偏光の振動方向に対し45度回転した方向に設定されたことを特徴とする位相差板。
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