JP2012092037A - 化合物の精製方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】正電荷を有する化合物に含有される不純物を効果的に除去し、水溶液中に含まれる、ベタインを回収する。また、電気透析中の水溶液に白濁や凝集物を形成しないような方法を提供する。
【解決手段】(イ)下記式(1)

(式中、R1、R2、R3は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3の炭化水素基等を表し、Aは、炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキル鎖等を表す。)で表される、正電荷を有する化合物を含む水溶液のpHを4以下に調整する工程、及び(ロ)(イ)で得られる水溶液を脱塩槽5,7に供給して電圧を印加することにより、前記正電荷を有する化合物を陽イオン交換膜Cを透過させて濃縮槽6に移動させる工程を含む方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、正電荷を有する化合物、特にカルニチンアミドの精製方法に関する。
化合物の精製方法として、様々な方法が知られているが、中でも、電気透析を用いた精製方法が用いられることがある。電気透析方法とは、陽イオン交換膜(カチオン膜)と陰イオン交換膜(アニオン膜)とを交互に配列して、直流電流を流すことによりイオンを移動させ、陽イオン交換膜と陰イオン交換膜とに挟まれて形成される槽(脱塩槽)中で電解質溶液の脱塩を行う方法である。電気透析方法の応用分野としては、海水濃縮による製塩、金属イオンの除去、ホエーまたはタンパク質の脱塩、減塩醤油の製造、地下かん水の淡水化、硝酸性地下水の脱硝等が知られている。
ベタインの一種であるL−カルニチンは、生体内で脂肪酸の代謝に関係している重要な化合物である。カルニチンの製造方法として様々な方法が知られているが、カルニチンアミドを中間体としてカルニチンを製造する方法がよく用いられる。例えば、カルニチンアミド塩化物を加温シュウ酸水溶液中で加水分解することによりカルニチンを得る方法(特許文献1参照)、カルニチンアミドにアミダーゼを作用させて加水分解させカルニチンを得る方法(特許文献2参照)、カルニチンニトリルクロライドに塩基と水性過酸化水素を作用させてカルニチンアミド塩化物を得、引き続き塩基を作用させカルニチンを得る方法(特許文献3参照)、生化学的な合成法として、微生物の酵素活性を利用しカルニチンアミドを加水分解して光学活性なL−カルニチンを得る方法(特許文献4参照)などがある。
L−カルニチンを得る際に、純度の低いカルニチンアミドを使用すると、精製困難な化合物が生じることがある。そのため、L−カルニチンを得る際には、不純物(副反応による生成物や、菌体由来の糖・タンパク質など)と正電荷を有するカルニチンアミドとを分離し、高純度なカルニチンアミドを使用することが望ましい。
カルニチンアミドを精製する方法としては、例えば、無機化合物および副生物を含有するカルニチンアミドの水溶液を−20〜+80℃で電気透析することにより、塩、アミン等を除去する方法(特許文献5参照)や、非電解質である不純物を含有する塩化カルニチンアミドの水溶液を、濃縮槽内の圧力と脱塩槽内の圧力との差を3kPa〜50kPaにして電気透析することにより不純物を除去する方法(特許文献6参照)などの電気透析を用いる方法があるが、さらなる効果的な不純物の除去が望まれていた。
特公昭43−26849号公報 特開昭63−56294号公報 特開平01−287065号公報 特開昭63−56294号公報 特開昭60−258487号公報 特開2010−70551号公報
工業的に連続的な電気透析を行う際、操作が長時間に及ぶため、操作中にカルニチンアミドを含む水溶液は何らかの作用で凝集物を形成したり白濁したりする。凝集物や白濁は、カルニチン製造において精製困難な化合物を生じる原因となったり、得られたカルニチンの結晶を着色したりする原因となるなど、問題が生じていた。
また、カルニチン製造における中間体であるカルニチンアミド水溶液中にカルニチンを含有する場合、カルニチンは両性化合物であるため、電気透析により脱塩槽側へ移動し、不純物として除去されてしまう。そのため、カルニチンアミドに電気透析による精製方法を用いたカルニチン製造において、理想的なカルニチン収率が得られていなかった。
従って、本発明の主な目的は、正電荷を有する化合物に含有される不純物を効果的に除去でき、また、水溶液中に存在するベタインも回収できる方法を提供することにある。更に、電気透析中の水溶液に白濁や凝集物を形成させないような電気透析方法を提供することにある。
本発明者は、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、正電荷を有する化合物を含む水溶液を4以下のpHにして電気透析を行うことにより上記目的を達成することを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、以下の正電荷を有する化合物を電気透析により精製する方法に関する。
(イ)下記式(1)
(式中、R1、R2、R3は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3の炭化水素基を表し、前記炭化水素基中、−CH−並びに−CHのCHはカルボニル基、スルホニル基、−O−又は−S−で置き換えられていてもよく、=CHは=O又は=Sで置き換えられていてもよい。また、−CH−のC−H、−CHのC−H、>CH−のC−H、=CH−のC−H並びに=CH、≡CHのC−Hは、N又はC−ハロゲンで置き換えられていてもよい。Aは、炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキル鎖またはアルケニル鎖を表し、前記アルキル鎖またはアルケニル鎖中、−CH−、=CH−、並びに=C=は、カルボニル基、スルホニル基、−O−、又は−S−で置き換えられていてもよい。また、炭化水素鎖における水素原子は、ヒドロキシル基、ハロゲン、R1、R2、R3群から選ばれるいずれか又は二つ以上で置き換えられていてもよい。)
で表される、正電荷を有する化合物を含む水溶液のpHを4以下に調整する工程、及び
(ロ)(イ)で得られる水溶液を脱塩槽に添加して電圧を印加することにより、当該正電荷を有する化合物を陽イオン交換膜を透過させて濃縮槽に移動させる工程
を含む方法。
本発明によれば、正電荷を有する化合物を含む水溶液から不純物を高い除去率で(効率良く)分離することができ、また、水溶液中に存在するベタインも回収することができる。更に、凝集物や白濁を形成させずに電気透析を行うことが可能である。
電気透析装置の例を示す概略構成図である。
(1)正電荷を有する化合物
本発明において正電荷を有する化合物とは、炭素数1〜17の有機化合物が好ましく、炭素数1〜10の有機化合物がより好ましい。その中でも、下記式(1)
(式中、R1、R2、R3は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3の炭化水素基を表し、前記炭化水素基中、−CH−並びに−CHのCHはカルボニル基、スルホニル基、−O−又は−S−で置き換えられていてもよく、=CHは=O又は=Sで置き換えられていてもよい。また、−CH−のC−H、−CHのC−H、>CH−のC−H、=CH−のC−H並びに=CH、≡CHのC−Hは、C−ハロゲンで置き換えられていてもよい。Aは、炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキル鎖またはアルケニル鎖を表し、前記アルキル鎖またはアルケニル鎖中、−CH−、=CH−、並びに=C=は、カルボニル基、スルホニル基、−O−、又は−S−で置き換えられていてもよい。また、炭化水素鎖における水素原子は、ヒドロキシル基、ハロゲン、R1、R2、R3群から選ばれるいずれか又は二つ以上で置き換えられていてもよい。)
で表される、4級アンモニウム基及びカルバモイル基を有する化合物が好ましい。
前記式(1)において、炭素数1〜3の炭化水素基とは、直鎖状又は分岐状の鎖状炭化水素基、単環式炭化水素基、飽和な炭化水素基並びに不飽和な炭化水素基のいずれをも含む。
前記炭化水素基中、−CH−がカルボニル基、スルホニル基、−O−又は−S−で置き換えられると、それぞれケトン、スルホン、エーテル又はチオエーテルの構造が導入される。
また、−CHの−CH−がカルボニル基、−O−又は−S−で置き換わると、それぞれホルミル基(アルデヒド)、水酸基又はメルカプト基に変わり、あるいは、末端の=CHが=O又は=Sに置き換わると、ケトン、チオケトンの構造が導入されることを意味する。
また、−CH、−CH−、=CH−、≡CH又は>CH−のC−HがC−ハロゲンで置き換えられると、当該炭素上へハロゲン原子を置換することになる。本明細書において、ハロゲン原子とは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を指すが、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
該炭化水素基中、CH並びにC−Hにおける置き換えは、それぞれ独立に行われてよく、加えて、前記の置き換えを行った後、なお当該炭素上にCH又はC−Hが残存する際には、更に置き換えがなされてもよい。
従って、前記炭素数1〜3の炭化水素基としては、鎖状炭化水素基並びに環式炭化水素基などの炭化水素基のいずれをも選択でき、例えば、飽和鎖状炭化水素基である直鎖状又は分岐状のアルキル基、不飽和鎖状炭化水素基である直鎖状又は分岐状のアルケニル基、直鎖状又は分岐状のアルキニル基、側鎖のない飽和な環式炭化水素基であるシクロアルキル基が挙げられるが、飽和鎖状炭化水素基である直鎖状のアルキル基、不飽和鎖状炭化水素基である直鎖状又のアルケニル基が好ましい。
更に詳しくいえば、直鎖状又は分岐状のアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基が挙げられ、メチル基、エチル基が好ましい。
直鎖状又は分岐状のアルケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、イソプロペニル基(1−メチルビニル基)などが挙げられ、ビニル基、アリル基が好ましい。直鎖状又は分岐状のアルキニル基としては、例えばエチニル基、プロピニル基などが挙げられる。飽和な環式炭化水素基であるシクロアルキル基としては、シクロプロピル基が挙げられる。
前記炭化水素基中のCHがカルボニル基、スルホニル基、O又はSで、又はC−HがC−ハロゲンで置き換えられた基としては、ケトン、アルデヒド、エステル、スルホン、エーテル、エポキシド、チオエーテル、アルコール、チオール、ハロゲン、複素環(例えば、含酸素複素環、含硫黄複素環)の構造を一つ以上含む基が挙げられる。なお、含酸素複素環、含硫黄複素環とは、環式炭化水素基の環骨格の炭素がそれぞれ酸素、硫黄で置き換わるものを意味し、更には、これらヘテロ原子置換が二種以上ある複素環であってもよい。
前記の置換を有する炭化水素基としては、例えば、ケトン構造のアセチルメチル基、アセチルエチル基;スルホン構造のメタンスルホニルメチル基;エーテル構造のメトキシメチル基;エポキシド構造の1,2−エポキシエチル基;チオエーテル構造のメチルチオメチル基;アルコール構造のヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基;チオール構造のメルカプトメチル基、2−メルカプトエチル基;ハロゲン化炭化水素基であるクロロメチル基、2−クロロエチル基、2−クロロプロピル基、3−クロロプロピル基などが挙げられる。
前記式(1)における炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキル鎖またはアルケニル鎖とは、直鎖状の飽和または不飽和の炭化水素鎖をいう。詳しくいえば、直鎖状のアルキル鎖またはアルケニル鎖としては、例えばメチル鎖、エチル鎖、プロピル鎖、ブチル基、ペンチル鎖、ヘキシル鎖が挙げられ、メチル鎖、エチル鎖、プロピル鎖、ブチル基、ペンチル鎖が好ましい。
また、炭化水素鎖中の、−CH−、=CH−、並びに=C=が、カルボニル基、スルホニル基、−O−又は−S−で置き換えられると、それぞれケトン、スルホン、エーテル又はチオエーテルの構造が導入される。該炭化水素基中、−CH−、=CH−、=C=、並びに水素原子における置き換えは、それぞれ独立に行われてよく、加えて、前記の置き換えを行った後、なお当該炭素上に−CH−、=CH−、=C=、並びに水素原子が残存する際には、更に置き換えがなされてもよい。
前記の置換を有する化合物としては、例えば、トリメチルアミノメタンアミド、トリメチルアミノエタンアミド、4−トリメチルアミノ−3−ヒドロキシブタンアミド、4−トリメチルアミノ−3−アセトキシブタンアミド、4−トリエチルアミノ−3−ヒドロキシブタンアミド、4−トリブチルアミノ−3−ヒドロキシブタンアミドなどが挙げられ、4−トリメチルアミノ−3−ヒドロキシブタンアミド(本明細書中、「カルニチンアミド」と呼ぶことがある)が好ましい。
また、前記式(1)で表される4級アンモニウム基及びカルバモイル基を有する化合物は塩を形成していてもよく、鉱酸塩や、有機酸塩が挙げられ、塩化物塩、臭化物塩が好ましい。
カルニチンアミドは、下記式(2)で示されるように、分子が正電荷を帯びており、通常固体状態ではハロゲン化物の状態で存在する。
ここで、Xはハロゲン原子を表す。ハロゲン原子としては、例えば、フッ素(F)、塩素(Cl)、臭素(Br)、ヨウ素(I)などが挙げられる。中でも、カルニチンアミドハロゲン化物の様々な前駆体の入手し易さの観点から、塩素であることが好ましい。
(2)正電荷を有する化合物を含む水溶液
電気透析に用いる正電荷を有する化合物を含む水溶液の調整方法は特に限定されず、水溶液状態の正電荷を有する化合物を使用することができるし、固体状態のものを水に溶解させて水溶液とすることもできる。
水溶液中の正電荷を有する化合物の濃度は特に限定されないが、3〜20質量%が好ましく、4〜13質量%がより好ましく、5〜9質量%がさらに好ましい。3質量%以上とするのは、電気透析の効率を良くする(効率良く当該正電荷を有する化合物を得る)ためである。20質量%以下とするのは、正電荷を有する化合物を含む水溶液に含まれる不純物が、拡散によりイオン交換膜を透過するのを効率良く防ぐことができるからである。
正電荷を有する化合物がカルニチンアミドである場合、本発明において使用する不純物を含むカルニチンアミド水溶液(以下、「粗カルニチンアミド水溶液」という)の種類は、特に限定されず、公知の方法で得られたものを用いることができる。中でも、4−ハロ−3−ヒドロキシブチロニトリルから酵素の作用により製造された、4−ハロ−3−ヒドロキシブタンアミドを、トリメチルアミン等を用いて4級アミノ化したものが好ましい(例えば、WO08/056827参照)。
粗カルニチンアミド水溶液が微生物中に含まれる酵素の作用により製造されたものである場合、溶媒(溶液)中には使用した微生物由来の固形物が存在する。この場合は、当該固形物が残存したまま使用しても良いし、除去してから使用することもできる。当該固形物を除去する場合には、ろ過や遠心分離といった公知の方法を使用することができる。
水溶液中の不純物として、非電解質の糖、蛋白質、非電荷有機物及び有電荷有機物を含むことができる。正電荷を有する化合物がカルニチンアミドである場合、含有する有電荷有機物としては特に限定されず、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ヒドロキシグルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、4−ヒドロキシクロトン酸などが挙げられる。これらの中でも、本発明においては、副生成物である4−ヒドロキシクロトン酸を好適に除去することができる。
また、本発明方法において回収できる化合物としては、正電荷を有する化合物である4級アンモニウム基及びカルバモイル基を有する化合物から変換されうるベタインを含むことができる。また、正電荷を有する化合物がカルニチンアミドである場合、カルニチンを含むことができる。
(2−1)水溶液のpH調整
正電荷を有する化合物を含む水溶液の電気透析を行う際の溶液のpHは4以下が好ましい。好ましくは3.5以下である。4以下にすることにより、電気透析での不純物除去率が向上したり、ベタインの回収率が上昇したり、水溶液中の凝集物や白濁の形成を抑制することができたりするからである。
pHの調整に用いる酸は、水溶液を酸性にすることができれば特に限定されない。例えば、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸などの無機酸や、酢酸、ギ酸、フマル酸、クエン酸、シュウ酸などの有機酸が挙げられ、これらの中でも取り扱い易さから塩酸が好ましい。
添加量は、所望のpHが得られる限り限定されない。添加方法も限定されず、固体状態で添加してもよいし、水溶液として添加することも可能である。また、必要に応じて該水溶液を攪拌してもよい。さらに、pH調整時の温度は、酸による当該正電荷を有する化合物の分解を防ぐ観点から、0〜30℃で実施することが好ましい。
(3)電気透析
(3−1)電気透析装置
本発明に使用する電気透析装置は特に限定されず、既存の装置を使用することができる。一般的な形態としては、例えば、陰極と陽極との間に、陽極側にアニオン交換膜を配置し、陰極側にカチオン交換膜を配置して、脱塩室と濃縮室を形成させたものが挙げられる。
図1は、本発明に好適に用いられる電気透析装置の一例を示した概略構成図である。図中符号1は脱塩側貯留槽、2は濃縮側貯留槽、3は脱塩側循環ポンプ、4は濃縮側循環ポンプ、5、7は脱塩槽、6は濃縮槽、10は処理槽、11は陽極、12は陰極、Aは陰イオン交換膜(アニオン膜)、Cは陽イオン交換膜(カチオン膜)、をそれぞれ示す。
本例の装置において、陽極11と陰極12を備えた処理槽10内に、多数の陰イオン交換膜Aと陽イオン交換膜Cとが交互に配列されており、陰イオン交換膜Aと陽イオン交換膜Cとに挟まれて脱塩槽5、7、および濃縮槽6が形成されている。脱塩槽5、7は陽極11側が陰イオン交換膜Aで区画され陰極12側が陽イオン交換膜Cで区画されており、濃縮槽6は陽極11側が陽イオン交換膜Cで区画され陰極12側が陰イオン交換膜Aで区画されている。
本例において、陰イオン交換膜Aおよび陽イオン交換膜Cに平行な方向が上下方向であり、脱塩槽5、7、および濃縮槽6の下端にそれぞれ入口5a、7a、6aが設けられ、上端にそれぞれ出口5b、7b、6bが設けられている。
脱塩側循環ポンプ3を駆動させると、脱塩側貯留槽1から脱塩槽の入口5a、7aを通って脱塩槽5、7内に液が供給され、脱塩槽の出口5b、7bから流出した脱塩液が脱塩側貯留槽1へ戻って、再び循環されるようになっている。
同様に、濃縮側循環ポンプ4を駆動させると、濃縮側貯留槽2から濃縮槽の入口6aを通って濃縮槽6内に液が供給され、濃縮槽の出口6bから流出した濃縮液が濃縮側貯留槽2へ戻って、再び循環されるようになっている。そして、脱塩槽5,7に、電荷を有する有機化合物を含む被処理液を供給し、濃縮槽6に濃縮水(例えば純水)を供給して、陽極11および陰極12間に直流電流を流すことにより、脱塩槽5,7内のイオンを濃縮槽6へ移動させる方法で電気透析を行う。
電気透析における印加電圧は、イオン交換膜1対に対して0.1〜1.0Vの範囲で決定することが好ましく、0.3〜0.7Vの範囲で決定することがより好ましい。電流密度は限界電流密度以下であることが好ましい。
(3−2)陰イオン交換膜・陽イオン交換膜
電気透析装置に使用する陰イオン交換膜Aの種類および陽イオン交換膜Cは特に限定はされないが、例えば、一般的に、一価イオン選択透過処理が施されたイオン交換膜を用いれば、不純物の拡散による浸透をより抑制することができる。
陽イオン交換膜Cの分画分子量は200〜500が好ましく、250〜400がより好ましい。陽イオン交換膜Cの分画分子量を200〜500とすることにより、例えば、カルニチンアミドのような正電荷を有するベタイン類を効率良く通過させることができる。かかる分画分子量の陽イオン交換膜Cは市販品から入手可能である。例えば、株式会社アストム製のネオセプタCMX(分画分子量300)等が挙げられる。
陰イオン交換膜Aの分画分子量は50〜200が好ましく、80〜150がより好ましい。陰イオン交換膜Aの分画分子量を50〜200とすることにより、例えば、ヒドロキシクロトン酸などの不純物の、(拡散を含めた)膜の通過を防ぐことができる。かかる分画分子量の陰イオン交換膜Aは市販品から入手可能である。例えば、株式会社アストム製のネオセプタACS(分画分子量100)等が挙げられる。
これらは陽イオン交換膜Cの分画分子量の方が、陰イオン交換膜Aの分画分子量よりも大きくなるように組み合わせて用いる。陽イオン交換膜Cの分画分子量と、陰イオン交換膜Aの分画分子量との差は100〜450であることが好ましく、150〜400がより好ましい。このような分画分子量の差を設けることにより、例えば、精製に供される正電荷を有する化合物としてカルニチンアミド類を用いた場合に、効率良く精製することができる。
(3−3)電気透析
pHを調整した正電荷を有する化合物を含む水溶液を電気透析装置の脱塩槽5、7に供給し、該電気透析装置の濃縮槽6に純水(濃縮水)を入れる。そして、電極間に所定時間、電圧を印加して、電気透析による精製を行う。
電気透析を実施する温度は、溶液が凍らない温度〜40℃以下とすればよい。40℃以下とすることにより、凝集物や白濁の形成を抑制する効果が強くなるからである。
この間、正電荷を有する化合物は、水溶液中ではカチオンの形態となっているため、電気透析装置に電圧を印加すると、陰極12側に引き寄せられ、カチオン膜Cを透過して濃縮槽6に移動する。一方、ろ液中に不純物として含まれている、非電解質の糖類・蛋白質、その他非電解質の物質等はイオン交換膜を透過できず、脱塩槽5、7内に残留する。こうして、濃縮槽6側の溶液を回収すると、主に正電荷を有する化合物が移動してきた濃縮水、すなわち、非電解質の糖、蛋白質、その他非電荷有機物が除去された水溶液を得ることができる。
更に、pHを4以下にすることにより、非電荷の有機物のみではなく、電荷を有する有機物が除去された水溶液を得ることが可能であり、これは全く予想し得なかったことである。特に、最終生成物としてベタインを取得する場合、pHを4以下にした電機透析により、水溶液中に含有されるベタインを不純物として除去することなく、高収率で回収することができ、ベタインの収率を向上させることが可能である。
(4)ベタインの合成
上記のようにして精製された正電荷を有する化合物を含む水溶液を用いて、当該化合物からベタインを合成することもできる。正電荷を有する化合物である、4級アンモニウム基及びカルバモイル基を有する化合物をベタインに変換するには、公知の方法を用いることができる。例えば、当該正電荷を有する化合物を加水分解してベタインを製造する方法が挙げられる。加水分解の際の溶媒としては特に限定されず、そのまま水溶液使用し、酸又は塩基触媒で加水分解することが好ましい。正電荷を有する化合物がカルニチンアミドである場合、電気透析で得られた水溶液を用いて上記方法を用いてカルニチンを合成することができる。
以上のようにして合成したカルニチンは、抽出、カラム分離、再結晶、電気透析、イオン交換法等の公知の方法により、単離精製することができる。加水分解反応によりカルニチンが薄い褐色に着色することがある。また、加水分解反応終了後の中和後にも着色することがある。この脱色のため、活性炭などによる脱色操作を行ってもよい。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、実施例に限定されるものではない。なお、特段の断りがない限り、「%」は、「質量%」を表すものとする。
[分析方法]
粗カルニチンアミド水溶液、精製カルニチンアミド水溶液中の不純物量は、以下に示す高速液体クロマトグラフィー条件により容易に測定することができる。詳細を以下に示す。
〔条件1〕
カラム:Nucleosil 100−N(CH、4.6×250mm(GL science社製)
移動相:50mMリン酸カリウム(pH4.7):アセトニトリル(ATN)=35:65
流量:1.0ml/min
カラムオーブン温度:40℃
検出:UV
保持時間:カルニチンアミド 7−8min
クロトノベタイン 12−13min
4−ヒドロキシクロトン酸(HCA) 5.0−5.2min
3−ヒドロキシグルタル酸 14−16min
カルニチン 10−11min。
〔条件2〕
カラム:ODS−3V、4.6×250mm(GL science社製)
移動相:0.05%CFCOOH
流量:1.0ml/min
検出:UV、RI
カラムオーブン温度:40℃
保持時間:4−ヒドロキシクロトンアミド(HCAm) 4.7min(UV)
3−ヒドロキシグルタロニトリル(Di−CN) 5.7min(RI)。
[電気透析装置]
実施例に用いた電気透析装置は、特段の記載がない限り、以下2条件のいずれかの仕様とした。
〔条件1〕
(1)電気透析装置:マイクロアシライザーS−3(株式会社アストム製)
(2)カチオン交換膜:分画分子量300:一価イオン選択透過性を有しない標準膜、ネオセプタCMX(商品名)アストム社製
(3)アニオン交換膜:分画分子量100:一価イオン選択透過性、ネオセプタACS(商品名)、アストム社製
(4)有効膜面積:550cm(脱塩槽10対)
(5)脱塩槽5または7内の電導度の測定は、電導計内蔵型のアストム社のアシラーザーS−3型を用いて行った。電導度は、イオンに解離したカルニチンアミドイオンの残量の目安であり、電導度の値をそろえる(等しくする)ということは、カルニチンアミドの回収率をどの条件でも一定にすることを意味する。
〔条件2〕
(1)電気透析装置:アシライザーAC10−100型(株式会社アストム製)。
(2)カチオン交換膜:分画分子量300:一価イオン選択透過性を有しない標準膜、ネオセプタCMX(商品名)アストム社製
(3)アニオン交換膜:分画分子量100:一価イオン選択透過性、ネオセプタACS(商品名)、アストム社製
(4)有効膜面積:10m(脱塩槽100対)
<参考例1:塩化カルニチンアミドの製造>
(イ)4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリルの合成
1,3−ジクロロ−2−プロパノールと青酸からハロヒドリンエポキシダーゼを用いて、4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリルを合成した。
(イ−1)ハロヒドリンエポキシダーゼの調製
大腸菌(Escherichia coli) JM109/pST111(FERM P−12065;特開平5−317066号参照)を、LB培地(1%バクトトリプトン、0.5%バクトイーストエキス、0.5%NaCl、1mM IPTG、50μg/mLアンピシリン)を100mL入れた500mL容三角フラスコに植菌し、37℃で20時間振盪培養した。前記培養菌体を遠心分離により集菌し、集菌した菌体を50mM トリス−硫酸緩衝液(pH 8.0)で洗浄し、50mM トリス−硫酸緩衝液(pH 8.0)で懸濁することでハロヒドリンエポキシダーゼ活性を持つ菌体液とした。
(イ−2)4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリルの合成
pH電極、pHコントローラーにより制御されたアルカリ投入管を装着し、攪拌器およびジャケット付きの1mのタンクに、水637.8kg、HCN22.2kgを入れ、30%NaOH3.3kgでpH7.5に調整した。1,3−ジクロロ−2−プロパノール50.0kgを入れ均一になるまで攪拌した。
上記のハロヒドリンエポキシターゼ活性を持つ菌体液100.0kgを加え、20℃で反応を開始した。系内のpH7.5〜7.6に維持するよう、30%NaOHを投入するようにpHコントローラーを設定し、投入されたNaOHとほぼ等モルの割合で1,3−ジクロロ−2−プロパノールとHCNを追加していくことで系内の1,3−ジクロロ−2−プロパノール濃度を0.5mol/kgを超えないよう、また、系内のシアンイオン濃度を1.1mol/kgを超えないようにした。
23時間後、4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリルを0.753mol/kg蓄積することができ,その光学純度は94.8%e.e.(R)体過剰であった。反応により消費された1,3−ジクロロ−2−プロパノールからの収率は96.3%であった。この反応液を塩酸でpH5.0に調節し、60℃、140torrで減圧して11時間蒸留し、未反応のHCN、1,3−ジクロロ−2−プロパノールを除去し、反応系内のHCNを硝酸銀で滴定し、1ppm以下であることを確認した。このときの液の組成は4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリル17.0%、Di−CN1.5%、水81.5%であった。
(ロ)4−クロロ−3−ヒドロキシブタンアミドの合成
(ロ−1)培養及び反応用菌体液の調整方法
ニトリルヒドラターゼ活性を有するロドコッカス・ロドクロウス(Rhodococcus rhodchchrous)J−1(FERM BP−1478)を30L溶ジャーファーメーター(高杉製作所社製)にてグリコース2%、尿素1%、ペプトン0.5%、酵母エキス0.3%、塩化コバルト0.05%を含む、20Lの培地(pH7.0)に植菌し、温度30℃で好気的に60時間培養した。上記の方法により培養した菌体を遠心分離により集菌し、50mMリン酸緩衝液(pH7.7)にて同量で2回洗浄後、縣濁し、反応用菌体液とした。
(ロ−2)4−クロロ−3−ヒドロキシブタンアミドの合成
攪拌器およびジャケット付きの1mのタンクに(イ)で合成した4−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリル水溶液500kgを投入し、NaOH水溶液で中和してpH7.06とした。次いで、J−1菌6.0kgを滴下し反応温度2℃で反応を開始した。4時間に−クロロ−3−ヒドロキシブチロニトリルの転化率は100%に達し、この時の反応液の組成は4−クロロ−3−ヒドロキシブタンアミド13.0%、Di−CN0.3%、J−1菌0.1%、水86.6%であった。
(ハ)4−クロロ−3−ヒドロキシブタンアミドの4級アミノ化反応
(ロ)で合成した4−クロロ−3−ヒドロキシブタンアミド水溶液に30%トリメチルアミン水溶液を114.0kg加え,30℃で反応を開始した。8時間後に4−クロロ−3−ヒドロキシブタンアミドの転化率は100%に達し、この時の反応液の組成は、塩化カルニチンアミド13.9%、Di−CN0.2%、J−1菌0.1%、水85.8%であった。
(ニ)pH調整,活性炭処理,濾過
(ハ)で得られた粗カルニチンアミド水溶液を塩酸水溶液で中和し、活性炭6.0kgを添加し、1時間攪拌後、遠心分離機により活性炭を分離し、塩化カルニチンアミド14.7%、Di−CN0.3%、HCAm0.4%、HCA0.04%、カルニチン0.6%、水83.96%の組成の水溶液を610.0kg得た。ここで得られた粗塩カルニチンアミド水溶液を電気透析の原料とした。
<実施例1>
参考例1で得られた粗カルニチンアミド水溶液600.1gに、36%塩酸を添加し、pH2.1とした後に、純水で希釈を行いカルニチンアミド濃度8.34%の粗カルニチンアミド水溶液を調整した。電気透析装置の条件1を用い、調整した粗カルニチンアミド水溶液699gを電気透析装置の脱塩側貯留槽に入れ、次いで、濃縮水として純水466.8gを濃縮側貯留槽に入れ、電圧10Vで電気透析を行った。脱塩槽5内の電導度をモニターし、0.6mS/cmになったところで電気透析を終了した。電気透析時間は105分であった。
その結果、濃縮液(回収液)として不純物の含有量が低減され、HCAm0.027%,HCA0.006%となった濃度7.62%の精製カルニチンアミド水溶液757.4gを得、カルニチンアミドの回収率は99.3%であった。電気透析中に、脱塩槽、濃縮槽共に凝集物や白濁は観測されなかった。
この水溶液に48%NaOH水溶液48.9gを加え、40℃に保って加水分解を行った。14時間後、カルニチンアミドの転化率は100%に達し、この時、反応液中のカルニチンの収率は99.3%であった。
<実施例2>
参考例1で得られた粗カルニチンアミド水溶液に、36%塩酸を添加し、pH3.0とした後に、純水で希釈を行いカルニチンアミド濃度7.70%の粗カルニチンアミド水溶液を調整した。電気透析装置の条件2を用い、調整した粗カルニチンアミド400.0kgを電気透析装置の脱塩側貯留槽に入れ、次いで、濃縮水として純水270.0kgを濃縮側貯留槽に入れ、電圧10Vで電気透析を行った。脱塩槽5内の電導度をモニターし、0.6mS/cmになったところで電気透析を終了した。電気透析時間は880分であった。
その結果、濃縮液(回収液)として不純物の含有量が低減され、HCAm 0.027%,HCA0.007%となった濃度7.53%の精製カルニチンアミド水溶液404.5kgを得、カルニチンアミドの回収率は98.9%であった。電気透析中に、脱塩槽、濃縮槽共に凝集物や白濁は観測されなかった。
<実施例3>
参考例1で得られた粗カルニチンアミド水溶液1354gに、36%塩酸を添加し、pH3.0とした後に、純水で希釈を行いカルニチンアミド濃度8.17%の粗カルニチンアミド水溶液を調整した。電気透析装置の条件1を用い、調整した粗カルニチンアミド1547gを電気透析装置の脱塩側貯留槽に入れ、次いで、濃縮水として純水1032gを濃縮側貯留槽に入れ、電圧10Vで電気透析を行った。脱塩槽5内の電導度をモニターし、0.6mS/cmになったところで電気透析を終了した。電気透析時間は233分であった。
その結果、濃縮液(回収液)として不純物の含有量が低減され、HCAm0.030%,HCA0.006%となった濃度7.64%の精製カルニチンアミド水溶液1636gを得、カルニチンアミドの回収率は98.9%であった。電気透析中に、脱塩槽、濃縮槽共に凝集物や白濁は観測されなかった。
この水溶液に48%NaOH水溶液67.1gを加え、40℃に保って加水分解を行った。14時間後、カルニチンアミドの転化率は100%に達し、この時、反応液中のカルニチンの収率は99.4%であった。また、これに続く電気透析工程では膜が目詰まりを起こしたり、再結晶操作では取得した結晶が黄褐色に着色したりするという問題は生じなかった。
<比較例1>
参考例1で得られた粗カルニチンアミド水溶液2440gをpH調整することなく、純水で希釈を行いカルニチンアミド濃度8.34%の粗カルニチンアミド水溶液を調整した。pHは7.5であった。電気透析装置の条件1を用い、調整した粗カルニチンアミド水溶液2043gを電気透析装置の脱塩側貯留槽に入れ、次いで、濃縮水として純水2676gを濃縮側貯留槽に入れ、電圧10Vで電気透析を行った。脱塩槽5内の電導度をモニターし、0.6mS/cmになったところで電気透析を終了した。電気透析時間は480分であった。
その結果、濃縮液(回収液)として不純物の含有量が低減され、HCAm 0.029%,HCA0.011%となった濃度7.45%の精製カルニチンアミド水溶液2266gを得、カルニチンアミドの回収率は99.1%であった。電気透析中、脱塩槽側の水溶液に白濁・凝集物が観察された。
この水溶液に48%NaOH水溶液143.1gを加え、40℃に保って加水分解を行った。14時間後、カルニチンアミドの転化率は100%に達し、この時、反応液中のカルニチンの収率は95.9%であった。
<比較例2>
参考例1で得られた粗カルニチンアミド水溶液pH調整することなく、純水で希釈を行いカルニチンアミド濃度8.0%の粗カルニチンアミド水溶液を調整した。pHは7.2であった。電気透析装置の条件2を用い、調整した粗カルニチンアミド水溶液600.0kgを電気透析装置の脱塩側貯留槽に入れ、次いで、濃縮水として純水400.0kgを濃縮側貯留槽に入れ、電圧10Vで電気透析を行った。脱塩槽5内の電導度をモニターし、0.6mS/cmになったところで電気透析を終了した。電気透析時間は1400分であった。
その結果、濃縮液(回収液)として不純物の含有量が低減され、HCAm0.028%,HCA0.012%となった濃度7.70%の精製カルニチンアミド水溶液616.5kgを得、カルニチンアミドの回収率は98.9%であった。電気透析中、脱塩槽側の水溶液に白濁・凝集物が観察された。濃縮槽側の水溶液は透明であったが、その後の電気透析工程では膜が目詰まりを起こしたり、再結晶操作では取得した結晶が黄褐色に着色したりするなど、諸操作で問題が発生した。
実施例1〜3及び比較例1〜2の結果を表1にまとめた。

Claims (5)

  1. 正電荷を有する化合物を電気透析により精製する方法であって、
    (イ)下記式(1)
    (式中、R1、R2、R3は、互いに同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜3の炭化水素基を表し、前記炭化水素基中、−CH−並びに−CHのCHはカルボニル基、スルホニル基、−O−又は−S−で置き換えられていてもよく、=CHは=O又は=Sで置き換えられていてもよい。また、−CH−のC−H、−CHのC−H、>CH−のC−H、=CH−のC−H並びに=CH、≡CHのC−Hは、N又はC−ハロゲンで置き換えられていてもよい。Aは、炭素数1以上6以下の直鎖状のアルキル鎖またはアルケニル鎖を表し、前記アルキル鎖またはアルケニル鎖中、−CH−、=CH−、並びに=C=は、カルボニル基、スルホニル基、−O−、又は−S−で置き換えられていてもよい。また、炭化水素鎖における水素原子は、ヒドロキシル基、ハロゲン、R1、R2、R3群から選ばれるいずれか又は二つ以上で置き換えられていてもよい。)
    で表される、正電荷を有する化合物を含む水溶液のpHを4以下に調整する工程、及び
    (ロ)(イ)で得られる水溶液を脱塩槽に供給して電圧を印加することにより、前記正電荷を有する化合物を陽イオン交換膜を透過させて濃縮槽に移動させる工程
    を含む方法。
  2. 電気透析において使用する陽イオン交換膜の分画分子量が200〜500である、請求項1記載の方法。
  3. 電気透析において使用する陰イオン交換膜の分画分子量が50〜200である、請求項1又は2記載の方法
  4. 電気透析をする際の正電荷を有する化合物の濃度が3〜20質量%である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 正電荷を有する化合物が、カルニチンアミドである請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
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