JP2012092023A - 新規なナフトラクタム化合物 - Google Patents
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- KPFUSWBPMWFVJR-UHFFFAOYSA-N CC1c2cc(C(c3cccc4c3C3CC=C4)=[N+]3[O-])ccc2N(CCO)C(C)(C)C1 Chemical compound CC1c2cc(C(c3cccc4c3C3CC=C4)=[N+]3[O-])ccc2N(CCO)C(C)(C)C1 KPFUSWBPMWFVJR-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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Abstract
Description
本発明は新規なナフトラクタム化合物に関する。
ナフトラクタム系染料は非常に鮮明で発色性が高い事が特徴であり、バイオレット、ブルーの色材として各種塗料、水性インキ、油性インキ、インクジェット用インキ、カラーフィルター用、情報記録媒体用色素など幅広い用途で使用されている。一般に色材に要求される特性はそれぞれ用途によって異なるものの色相が鮮明で高発色性を有し、着色物が光や熱などに対し堅牢である事がどのような用途においても要求される。しかしながら、一般のナフトラクタム系染料は発色性が優れる反面、耐光性や耐熱性、耐湿熱性、耐水性などの堅牢性が劣るという欠点がある。
このため、ナフトラクタム系染料の鮮明性及び発色性を有し、且つ高堅牢な染料が要望されているが、これらの性能を兼ね備えた染料は見出されていない。特許文献1にはナフトラクタム化合物と塩素イオンやフッ化ホウ素イオンとの塩化合物が記載されているが、本発明者らの検討の結果、特許文献1に記載のナフトラクタム化合物は耐光性や耐熱性、耐水性が不十分である事がわかった。
本発明は前記のごとく、ナフトラクタム系染料の鮮明性及び発色性を有し、且つ耐光性、耐熱性、耐湿熱性、耐水性などの堅牢性に優れる新規なナフトラクタム化合物ならびに該化合物を用いた染料組成物を提供する事を目的とする。
本発明者らは前記の課題を解決すべく、鋭意研究を行った結果、カチオン性のナフトラクタム化合物と特定のアニオンとの塩化合物がナフトラクタム系染料の鮮明性及び発色性を維持し、かつ従来に比べ飛躍的に耐光性、耐熱性、耐湿熱性、耐水性が向上する事を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、
(1)下記一般式(1)で示されるナフトラクタム化合物
(一般式(1)中、R1は水素原子、C1−C6のアルキル基、シアノ基で置換されたC1−C6のアルキル基、又はカルボキシル基もしくはカルバモイル基で置換されたC1−C6のアルキル基を表し、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1−C6のアルキル基、C1−C6のアルコキシ基、C1−C6のアルキルアミノ基、アシルアミノ基、アミノ基又はヒドロキシ基を表す。Arはアリール基を、Aは―NR4R5、―SR6または―OR7を表し、R4〜R7はそれぞれ独立に、水素原子、C1−C6のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリル基を表し、Ar部と環を形成してもよい。Z−はビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンまたはトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオンを表す。)、
(2)下記一般式(2)で示される(1)に記載のナフトラクタム化合物
(一般式(2)中、R1〜R3、及びZ−は式(1)におけるのと同じ意味を表し、R8〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アリル基、アルケニル基またはアルキニル基を表す。)、
(3)Z−がトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオンである(1)又は(2)に記載のナフトラクタム化合物、
(4)(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のナフトラクタム化合物及び油性溶媒を含有する油性染料組成物、
(5)(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のナフトラクタム化合物及び水性媒体を含有する水性染料組成物、
に関する。
(1)下記一般式(1)で示されるナフトラクタム化合物
(2)下記一般式(2)で示される(1)に記載のナフトラクタム化合物
(3)Z−がトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオンである(1)又は(2)に記載のナフトラクタム化合物、
(4)(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のナフトラクタム化合物及び油性溶媒を含有する油性染料組成物、
(5)(1)乃至(3)のいずれか一つに記載のナフトラクタム化合物及び水性媒体を含有する水性染料組成物、
に関する。
本発明のナフトラクタム化合物は、鮮明性及び発色性に優れ、油性または水性染料組成物を形成して染料着色体に加工すると、従来品よりも堅牢性に優れた特性を示すものである。すなわち、本発明のナフトラクタム化合物は染料着色体に利用でき、カラーフィルターやインクジェット用インキ等の幅広い用途に応用できる。
本発明を詳細に説明する。本発明のナフトラクタム化合物は、前記式(1)及び式(2)で表される。
一般式(1)及び式(2)において、アリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基、ベンゾピレニル基等の芳香族炭化水素残基;ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子;アルキル基としては、例えばメチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、iso−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル等のC1−C6のアルキル基;シクロアルキル基としては、例えばシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基、シクロヘプチル基等;アルコキシ基としては、前記のアルキル基と同じC1−C6のアルキル基を有したアルコキシ基;アルコキシカルボニル基としては、前記のアルキル基と同じC1−C6のアルキル基を有したアルコキシカルボニル基;アシルアミノ基としては、例えばアセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基等;アルケニル基としては、例えばビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等;アルキニル基としては、例えばエチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等、が挙げられる。
一般式(1)のArはアリール基であり、例えばフェニル基またはナフチル基が挙げられるが、これらは置換基を有しても良く、該置換基としては特に制限はないが脂肪族炭化水素残基、芳香族残基、シアノ基、イソシアノ基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、ニトロ基、アシル基、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、置換もしくは無置換アミノ基、アルコキシル基、アルコキシアルキル基、芳香族オキシ基、カルボキシル基、カルバモイル基、アルデヒド基、アルコキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基等が挙げられる。
一般式(1)のAは―NR4R5、―SR6、―OR7を示し、R4〜R7はそれぞれ独立に、水素原子、C1−C6のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリル基を表し、前記のAr部と環を形成してもよい。
一般式(1)及び式(2)のZ−はビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンまたはトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオン表し、特にトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオンが好ましい。
本発明のナフトラクタム化合物としては耐熱性、耐湿熱性及び耐水性等の堅牢性に優れる点で前記式(2)の化合物が好ましい。一般式(2)のR1は水素原子、C1−C6のアルキル基、C1−C6のシアノアルキル基、又はカルボキシル基もしくはカルバモイル基で置換されたC1−C6のアルキル基を表し、中でも水素原子やアルキル基が好ましく、該アルキル基としてはメチル基、エチル基またはシアノエチル基がより好ましい。
一般式(1)及び式(2)のR2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、C1−C6のアルキル基、C1−C6のアルコキシ基、C1−C6のアルキルアミノ基、アシルアミノ基、アミノ基又はヒドロキシ基を表し、中でも水素原子やハロゲン原子が好ましく、特に水素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。
一般式(2)に記載のR8〜R14はそれぞれ独立に、水素原子、C1−C6のアルキル基、シクロアルキル基、アリール基またはアリル基を表し、アルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基が好ましい。
本発明のナフトラクタム化合物は、公知文献(例えば、特公昭41−20714、特公昭42−24535、特公昭43−7024、特開昭52−76329、特開昭52−147631)に記載された合成法で得られる。
また、本発明のナフトラクタム化合物を塩交換により合成する場合は、アニオン部Z−が塩素アニオンである入手容易な化合物を反応溶媒(例えば、水、またはメタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、N,N−ジメチルホルアミド(以下DMFと略記)、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略記)等の水溶性極性溶媒が挙げられ、これらの溶媒は単独、または混合してもよい。)に溶解し、対応する塩または酸を0.5〜3等量程度加え、所定温度(例えば0〜100℃)で攪拌し、析出した結晶をろ取する事により容易に得られる。
上記式(1)で示される具体例を、下記一般式(3)で示される構造式の置換基A1〜A6、B、K、及びアニオン部Z−にて以下の表1の通りに示すが、本発明はこれらに限定されない。
表1
表1中、アニオン部Z−がαの場合はトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオンを、βの場合はビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンをそれぞれ表す。
表1中、アニオン部Z−がαの場合はトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオンを、βの場合はビストリフルオロメタンスルホニルイミドアニオンをそれぞれ表す。
本発明のナフトラクタム化合物は、油性染料組成物、または水性染料組成物として各種塗料、水性インキ、油性インキ、インクジェット用インキ、カラーフィルター用着色組成物に用いられる。油性染料組成物および水性染料組成物は、例えば普通紙、コート紙、プラスチックフィルム、プラスチック基板などの被着色材料に用いられる。また、本発明の染料組成物を被着色材料に付与する方法としては、オフセット印刷、凸版印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷などの各種印刷方法あるいはスピンコーター、ロールコーター等による塗工方法が挙げられる。
本発明の油性または水性染料組成物は、本発明のナフトラクタム化合物及び、油性染料組成物の場合は油溶性有機溶媒を、水性染料の場合は水性媒体を含有する。本発明の油性または水性染料組成物において、本発明のナフトラクタム化合物を0.2〜40質量%を含有させるのが好ましく、さらには0.5〜20質量%含有させるのがより好ましい。また本発明の油性または水性染料組成物において、色相の調整などの目的で必要に応じて前記式(1)以外の色材を添加してもよい。添加できる色材としては、例えば酸性染料、反応性染料、直接性染料、カチオン染料、塩基性染料などの水溶性染料、分散染料、ソルベント染料などの油溶性染料、有機顔料、カーボンブラック等が挙げられ、溶媒に溶解した状態あるいは分散した状態で添加される。
本発明の水性染料組成物は、水性媒体に前記式(1)のナフトラクタム化合物を分散させて調製する事ができる。水性媒体としては、水または水溶性有機溶媒が挙げられる。水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール等のアルコール類;エチレンエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、1,3−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール誘導体;エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン等のアミン類;2−ピロリドン、NMP、1,3−ジメチル−イミダゾリジノン、等が挙げられる。
本発明の油性染料組成物は、少なくとも1種以上の油溶性有機溶媒に前記式(1)のナフトラクタム化合物を溶解または分散させて調製する事ができる。用いられる油溶性有機溶媒としては、例えば、エタノール、ペンタノール、オクタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、テトラフルオロプロパノール等のアルコール類;エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート等のグリコール誘導体;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ブチルフェニルエーテル、ベンジルエーテル、ヘキシルエーテル等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ブチル等のエステル類;アセトニトリル、DMF、ジメチルスルホキシド、スルホラン、NMP、2−ピロリドン等の極性有機溶媒、等が挙げられる。これらの溶媒は単独で使用してもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
油性染料組成物に用いられる分散剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、アルキルナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合物、クレオソート油スルホン酸のホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートのアンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルサルフェートのアンモニウム、ポリオキシアルキルエーテル燐酸エステル塩等公知のアニオン界面活性剤、ビニルナフタレン誘導体、α、β−エチレン性不飽和カルボン酸の脂肪族アルコールエステル等、スチレン、スチレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、メタクリル酸、メタクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、無水マレイン酸、無水マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマール酸、フマール酸誘導体等から選ばれた少なくとも2つ以上の単量体からなるブロック共重合体、或いはランダム共重合体、またはこれらの塩等の高分子分散剤等が挙げられ、これらの1種以上を分散する色素化合物に対して10〜100質量%で使用するのが好ましい。またこれらの分散剤と併せて、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドの共重合物等の公知のノニオン系の界面活性剤やシリコーン系、アセチレン系の公知の消泡剤を必要に応じ、顔料分散時及び/または顔料分散化後に添加する事ができる。
顔料を微粒子に分散するために、サンドミル(ビーズミル)、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、超音波分散機、マイクロフルイダイザー等が用いられるが、中でもサンドミル(ビーズミル)が一般に用いられる。またサンドミル(ビーズミル)における顔料の粉砕においては、小粒径のビーズを使用し、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理する必要があり、また粉砕処理後に濾過、遠心分離等で粗粒子を除去する必要がある。
本発明の染料組成物は必要に応じてその他の添加剤として表面調整剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤等を添加しても良い。表面調整剤としては、例えばポリシロキサン系あるいはポリジメチルシロキサン系の界面活性剤、防腐・防黴剤としてはデヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ソジウムピリジンチオン−1−オキサイド、ジンクピリジンチオン−1−オキサイド、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、1−ベンズイソチアゾリン−3−オンのアミン塩等が挙げられ、pH調整剤としては例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等の水酸化アルカリ金属類;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等の3級アミン類、等が挙げられる。
また本発明の油性または水性染料組成物中には被着色体への色素の定着性を向上させる目的で、必要な範囲内で組成物中の媒体と相溶性のあるポリアミド系、ポリウレタン系、ポリエステル系、エポキシ系又はポリアクリル系樹脂を含有させても良い。また、エチレン性不飽和基を有するモノマーやオリゴマー、重合開始剤等を含有させてもよい。本発明の油性または水性染料組成物は上記各成分を溶媒に溶解あるいは分散、または混合する事によって調製できる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものでは無い。尚、実施例中、「部」は特定しない限り「質量部」を表す。実施例にて得られた各種化合物の分解温度は、TG/DTAにより測定した。また、耐湿熱性や耐水性等の評価は染料着色体の色度(L値、a値、b値)を下記の色度測定装置により測定し評価した。測定機器名は以下の通りである。
1.TG/DTA(示唆熱重量同時測定):
セイコーインスツル(株)製商品名TG/DTA220
2.色度測定装置:(株)島津製作所製UV−3150
1.TG/DTA(示唆熱重量同時測定):
セイコーインスツル(株)製商品名TG/DTA220
2.色度測定装置:(株)島津製作所製UV−3150
実施例1(表1における化合物No.1の合成)
特開昭52−76329の実施例1に記載の方法により下記式(4)により表される化合物を得た。
100mlビーカーに、上記式(4)の化合物1部、水20部を仕込み、常温で30分間攪拌した。これにDMF1部にトリストリフルオロメタンスルホニウムメチドのセシウム塩1部を溶解させた溶液を滴下し、3時間攪拌した。析出した染料をろ取、水洗、乾燥し、染料(表1における化合物No.1)0.8部を得た。
分解温度260℃、極大吸収波長:601m(シクロヘキサノン)
特開昭52−76329の実施例1に記載の方法により下記式(4)により表される化合物を得た。
分解温度260℃、極大吸収波長:601m(シクロヘキサノン)
実施例2
油性染料組成物及び染料着色体の作成
前記実施例1で得られた化合物No.1の0.5部をテトラフルオロプロパノール10部に溶解し、油性染料組成物を作成した。得られた油性染料組成物をポリカーボネート基盤にスピンコートし、80℃で30分乾燥し、染料着色体を作成した。
油性染料組成物及び染料着色体の作成
前記実施例1で得られた化合物No.1の0.5部をテトラフルオロプロパノール10部に溶解し、油性染料組成物を作成した。得られた油性染料組成物をポリカーボネート基盤にスピンコートし、80℃で30分乾燥し、染料着色体を作成した。
比較例1 (比較化合物の合成)
上記式(4)の化合物5部を水50部に溶解し、攪拌しながら、メタンスルホン酸ナトリウム5部を水50部に溶解させた溶液を加えた。3時間攪拌した後、析出した結晶をろ取、水洗、乾燥し、青色の結晶(下記式(5)の化合物)1.0部を得た。
分解温度:167℃、極大吸収波長:601m(シクロヘキサノン)
上記式(4)の化合物5部を水50部に溶解し、攪拌しながら、メタンスルホン酸ナトリウム5部を水50部に溶解させた溶液を加えた。3時間攪拌した後、析出した結晶をろ取、水洗、乾燥し、青色の結晶(下記式(5)の化合物)1.0部を得た。
分解温度:167℃、極大吸収波長:601m(シクロヘキサノン)
なお、以下の表3及び表4における比較例1は、上記式(5)の化合物を使用し、同様に染料着色体を作成した。
耐湿熱性試験について
上記の方法で得られた染料着色体を、85℃、85%RHの条件の恒温恒湿機中96時間放置した。試験前後の染料着色体を分光光度計でL値、a値、b値を、標準光としてC光源、2度視野角で測色し、下記式より色差を求めた。尚、色差が小さいほど、色相の変化が少ないため優れている事を示す。
色差=[(試験前L値−試験後L値)2+(試験前a値−試験後a値)2+(試験前b値−試験後b値)2]1/2
耐湿熱試験における測色の測定値および色差を以下の表2乃至表4に示す。
上記の方法で得られた染料着色体を、85℃、85%RHの条件の恒温恒湿機中96時間放置した。試験前後の染料着色体を分光光度計でL値、a値、b値を、標準光としてC光源、2度視野角で測色し、下記式より色差を求めた。尚、色差が小さいほど、色相の変化が少ないため優れている事を示す。
色差=[(試験前L値−試験後L値)2+(試験前a値−試験後a値)2+(試験前b値−試験後b値)2]1/2
耐湿熱試験における測色の測定値および色差を以下の表2乃至表4に示す。
化合物No.1の測色結果を以下の表2に示す。
表2
L値 a値 b値
試験前 90.09 −2.24 −14.7
試験後 90.29 −0.78 −15.1
試験前後差 −0.2 −1.46 0.41
表2
L値 a値 b値
試験前 90.09 −2.24 −14.7
試験後 90.29 −0.78 −15.1
試験前後差 −0.2 −1.46 0.41
比較例1の測色結果を以下の表3に示す。
表3
L値 a値 b値
試験前 91.42 −3.55 −10.27
試験後 93.08 −1.99 −4.83
試験前後差 −1.66 −1.56 −5.44
表3
L値 a値 b値
試験前 91.42 −3.55 −10.27
試験後 93.08 −1.99 −4.83
試験前後差 −1.66 −1.56 −5.44
上記の表2及び表3から化合物No.1及び比較例1の色差を求めた結果を以下の表4に示す。
表4
色 差
化合物No.1 1.5
比較例1 5.9
表4
色 差
化合物No.1 1.5
比較例1 5.9
表4の結果から明らかなように、比較例1の染料着色体の試験前後の色差が5.9と大きな値を示すのに対し、本発明の染料着色体は色差1.5と非常に小さな値を示し、耐湿熱性にきわめて優れていることがわかる。
耐水性試験
上記の方法で得られた染料着色体を、70℃の温水中に10秒間放置した。試験前後の染料着色体を分光光度計でL値、a値、b値を、標準光としてC光源、2度視野角で測色し、同様に色差を求め、評価した。
耐水性試験における測色の測定値および色差を以下の表5乃至表7に示す。
上記の方法で得られた染料着色体を、70℃の温水中に10秒間放置した。試験前後の染料着色体を分光光度計でL値、a値、b値を、標準光としてC光源、2度視野角で測色し、同様に色差を求め、評価した。
耐水性試験における測色の測定値および色差を以下の表5乃至表7に示す。
化合物No.1の測色結果を以下の表5に示す。
表5
L値 a値 b値
試験前 89.44 −2.29 −14.51
試験後 90.76 −2.2 −12.58
試験前後差 −1.32 −0.09 −1.93
表5
L値 a値 b値
試験前 89.44 −2.29 −14.51
試験後 90.76 −2.2 −12.58
試験前後差 −1.32 −0.09 −1.93
比較例1の化合物の測色結果を以下の表6に示す。
表6
L値 a値 b値
試験前 91.77 −3.56 −10.34
試験後 94.02 −2.51 −6.2
試験前後差 −2.25 −1.05 −4.14
表6
L値 a値 b値
試験前 91.77 −3.56 −10.34
試験後 94.02 −2.51 −6.2
試験前後差 −2.25 −1.05 −4.14
上記の表5及び表6から化合物No.1および比較例1の色差を求めた結果を以下の表7に示す。
表7
色 差
化合物No.1 2.3
比較例1 4.8
表7
色 差
化合物No.1 2.3
比較例1 4.8
表7の結果から明らかなように、比較例1の染料着色体の試験前後の色差が4.8と大きな値を示すのに対し、本発明の染料着色体は色差2.3と非常に小さな値を示し、耐水性にきわめて優れている事がわかる。
以上より、本発明のナフトラクタム化合物はその分解温度の比較から耐熱性に優れ、その染料着色体は耐湿熱性及び耐水性に優れた特性を有するものであり、本発明のナフトラクタム化合物を含む染料組成物はカラーフィルター用インキやインクジェット用インキ等の、幅広いアプリケーションへの可能性を有し、産業的な価値が高いと言える。
Claims (5)
- 下記一般式(1)で示されるナフトラクタム化合物
- Z−がトリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオンである事を特徴とする請求項1又は2に記載のナフトラクタム化合物。
- 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のナフトラクタム化合物と油性溶媒を含有する油性染料組成物。
- 請求項1乃至4のいずれか一項に記載のナフトラクタム化合物及び水性媒体を含有する水性染料組成物。
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