JP2012085755A - 空気バネ式マットレス - Google Patents

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Abstract

【課題】圧搾空気が導入される気嚢に用いられる素材の引張強度に依存することなく、気嚢の破裂を防止しつつ内部の空気の圧力を高めることができる空気バネ式マットレスを、提供する。
【解決手段】
気嚢2は、カバー6に収容された状態で、電気ポンプ3によって圧搾空気を導入される。自由状態において気嚢2を膨らませた場合における当該気嚢2の外寸は、カバー6の内寸よりも大きい。即ち、あらゆる断面方向において、カバー6の断面の内周長は、自由状態において気嚢2に外接する包絡線長よりも長い。
【選択図】図7

Description

本発明は、空気ベッドに用いられる空気バネ式マットレスに関する。
一般に、空気ベッドのマットレスは、複数の気室を並べて相互に連通させることによって平面矩形の形状に形成された構造の気嚢のみから構成されている。そして、かかる構成を有する気嚢は、足踏み式又は電動式のポンプに接続され、ポンプが圧搾空気を導入することにより膨らみ、マットレスとして求められる厚さと弾力性を有する形態になるのである。
かかるマットレスの堅さは、気嚢内部に充填された空気の圧力に依り定まるが、気嚢内部における空気の圧力は気嚢素材の引張強度に依存して制限される。即ち、気嚢内に空気を導入していくと、気嚢内部の空気は、大気圧を若干上回った圧力を保ちつつ気嚢を膨らませるが、気嚢が膨らみ切ると、気嚢内部の空気の圧力が大気圧を超えて上昇していく。この時の気嚢内外の気圧差は、気嚢素材を引き延ばす力として作用するので、当該力が気嚢素材の引張強度を超えた場合には、気嚢は破裂してしまう。なお、空気ベッドに就寝者が乗った場合には、就寝者の体重が、気嚢を押し潰して内部の空気の圧力を上昇させるように作用する。そのため、空気ベッドに所定体重の就寝者が乗っても気嚢内外の圧力差が気嚢素材の破裂させない限度に、気嚢の内部の空気の圧力は制限されるのである。そして、従来の空気ベッドの気嚢素材としては、気密性や軽量性や折り畳みの容易性を重視して、ビニールが用いられることが一般的であったが、ビニールは引張強度に劣るので、内部の圧力を高して、コイルスプリング式のマットレスと同等の堅さを得ることは、困難であった。
なお、非特許文献1及び2には、気嚢を封筒型のシーツに挿入した形態のエアベッドが開示されている。かかるシーツは、就寝者の肌に触れる部分の肌触りを向上させるため、また、就寝者から発される汗を吸収する目的のために、用いられるものである。そのため、非特許文献1及び2には、シーツを用いて空気ベッドの堅さを向上させるための条件についてのアイデアは、何等開示されていない。
コールマン社、"Foxy Lady Queen Size Airbed"、[online]、[平成22年8月29日検索]、インターネット<URL:http://www.colemanaustralia.com.au/gear/foxy-lady/foxy-bedding/foxy-lady-queen-size-airbed.aspx>
児玉隆志,"Ready Bed",[online]、[平成22年8月29日検索]、インターネット<URL:http://item.rakuten.co.jp/cherrybell/readybedtinker/>
本発明の課題は、圧搾空気が導入される気嚢に用いられる素材の引張強度に依存することなく、気嚢の破裂を防止しつつ内部の空気の圧力を高めることができ、もって、コイルバネ式マットレスに匹敵する堅さを実現できる空気バネ式マットレスの提供である。
本発明による空気バネ式マットレスは、略扁平な形状を有するとともに空気により膨張可能な気嚢と、略扁平な形状を有するとともに、前記気嚢が出し入れされる開口部を有するカバーとを備え、前記カバーの内寸は、自由状態において前記気嚢を膨張させた場合における前記気嚢の外寸よりも小さいことを特徴とする。
以上のように構成された本発明によると、圧搾空気が導入される気嚢に用いられる素材の引張強度に依存することなく、気嚢の破裂を防止しつつ内部の空気の圧力を高めることができ、もって、コイルバネ式マットレスに匹敵する堅さを実現できる。
実施形態による空気バネ式マットレスの正面図 空気バネ式マットレスの上面図 気嚢の斜視図 自由状態における気嚢の幅方向における断面図 カバーの斜視図 カバーの幅方向における断面図 気嚢をカバーに挿入して圧搾空気を導入した状態における空気バネ式マットレスの幅方向における断面図
以下、図面に基づいて、本案の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施形態の一例である空気バネ式マットレス1の正面図である。当該空気バネ式マットレス1は、電気ポンプ3を内蔵した気嚢2(図3参照)の全体を直方体形状を有するカバー6(図5参照)によって包み込んでなる構造を、有している。なお、図2は空気バネ式マットレスの平面図である。そして、以下では、同図に示されたL−L線と並行な長手方向が「縦方向」と定義され、同図に示されたW−W線と平行な短手方向が「幅方向」と定義されることとする。
図3に示すように、気嚢2は、電気ポンプ3を内蔵し、当該電気ポンプ3によって膨らまされた状態においては、略直方体形状を呈する袋である。
電気ポンプ3は、家庭用の交流コンセントに接続される電源線4及び有線リモコンスイッチ5を備え、その外面を気嚢2の正面(縦方向における就寝者の頭部に近接した端面)中央部を貫通させた状態で、気嚢2に対して気密に取り付けられている。そして、電気ポンプ3における気嚢2の正面を貫通した面には、空気の吸排出口3aが設けられている。そして、電気ポンプ3は、電源線が家庭用の交流コンセントに接続された状態で、有線リモコンスイッチ5の吸気ボタン5aが押下されると、気嚢2内の圧力が所定の上限値に達するまで、吸排出口3aを通じて外気を気嚢2内に導入することで、当該気嚢2を膨らませる。また、電気ポンプ3は、電源線が家庭用の交流コンセントに接続された状態で、有線リモコンスイッチ5の排気ボタン5bが押下されると、吸排出口3aを通じて気嚢2内の空気を排気することで、当該気嚢2を萎ませる。
気嚢2は、ある程度以上の柔軟性及び引張強度と高度の気密性とを備えた素材(例えば、ビニール)から構成された気密な袋であり、上記電気ポンプ3のみによって外気の導入及び排気が可能となっている。そして、気嚢2内部は、幅方向における断面図である図4に示すように、気嚢2の上面に相当する上面膜2aと気嚢2の下面に相当する下面膜2bとの間に掛け渡されているとともに縦方向に延びた複数(図4の例では4枚)の隔壁2c
によって、縦方向に延びた複数(図4の例では5つ)の気室2dに、区画されている。これら複数の気室2dは、各隔壁2cに設けられた図示せぬ切れ目により、相互に連通している。従って、一個の電気ポンプ3により、気嚢2全体を膨らませることが可能であるとともに、全気室2dから同時に排気をすることが可能なのである。各隔壁2cは、気嚢2内部の圧力が高まり気嚢2が膨んだ状態にあっても上面膜2aと下面膜2bとの間が拡がらない様に制限するように機能する。そのため、気嚢2が膨らんだ状態にあっても、気嚢全体の形状は、ほぼ直方体となるように維持されるのである。なお、当該気嚢2の外面は、折り畳んだ状態で経年変化により溶着しないように、起毛処理を施されている。
図5は、カバー6の斜視図であり、図6は、幅方向におけるカバー6の断面図である。これら各図に示されるようにカバー6は、矩形の上面布6a及び下面布6bを角筒状の側面布6cの上下開口端に夫々縫いつけることによって形成され、全体として直方体の袋状を有している。なお、カバーにおける上面布6aと側面布6cとの縫い代,及び、下面布6bと側面布6cとの縫い代は、夫々、全周にわたってリブ6dによって補強されている。
これらカバー6を構成する各布6a,6b,6cの素材としては、折り畳みを可能とする程度の柔軟性を有するとともに引張強度に優れ且つ伸縮性に乏しい素材が用いられる。かかる素材としては、例えば、木綿製のキルティング地が挙げられる。また、各リブ6dは、縫い代の補強の機能とともに、カバー6に直方体形状を維持させるフレームとしての機能も有しているので、各布6a,6b,6cよりも堅い布地であることが望ましい。
側面布6cにおけるカバー6の正面(縦方向における就寝者の頭部に近接した端面)に当たる箇所には、上面布6aとの縫い代と平行に、ジッパーによって開閉自在な開口6fが設けられている。当該開口6fは、カバーの正面における両端を超えて更に若干量だけ両側面に延びており、そのため、上方から見ると、コの字型に形成されている。当該開口6fは、気嚢2全体をカバー6に収納し又はカバー6から取り出すために開けられたものである。また、側面布6cにおけるカバー6の正面に相当する箇所には、気嚢2をカバー6内に収容させた状態において電源線4及び有線リモコン5を通り抜けさせるためのスリット6eが、形成されている。
以上に説明した気嚢2とカバー6とのサイズ面における条件を以下に示す。ここで、図4を参照して、気嚢2の内外の圧力差が気嚢2を破裂させる程度に至らぬ様に気嚢2を膨らませた自由状態(外部からの制約を受けない状態をいう。以下同じ)における気嚢2の厚さの最大値をDmと定義し、同状態における気嚢2の幅の最大値をWmと定義する。また、かかる自由状態においては、上面膜2a及び下面膜2bにおける隔壁2cが取り付けられた部分が凹むが、かかる凹みを捨象した当該気嚢2の幅方向における断面の外寸を、当該断面に外接する包絡線(図4において破線により示される)の長さEWmとして定義する。同様に、自由状態における気嚢2の長さの最大値をLmと定義し、当該気嚢2の縦方向における断面の外寸を、当該断面に外接する包絡線の長さELmとして定義する。また、図6を参照して、カバー6を構成する各布6a,6b,6cが平面性を維持することによりカバー6全体が直方体形状を呈している状態におけるカバー6の幅方向における内寸(上面布6a及び下面布6bの幅と一致)をWcと定義し、かかる状態におけるカバー6の厚方向における内寸(側面布6cの高さと一致)をDcと定義し、かかる状態におけるカバー6の縦方向における内寸(上面布6a及び下面布6bの縦方向における長さと一致)をLcと定義する。また、カバー6の幅方向における断面の内周長をPWcと定義し、カバーの縦方向における断面の内周長をPLcと定義する。
そして、空気バネ式マットレス1における幅方向(図2におけるW−W線の方向)においても、縦方向(図2におけるL−L線の方向)においても、上記自由状態における気嚢
2の外寸がカバー6の内寸よりも大きいことが、本実施形態における特徴である。より厳密に述べると、空気バネ式マットレス1における幅方向(図2におけるW−W線の方向)においても、縦方向(図2におけるL−L線の方向)においても、上記自由状態における気嚢2の各方向の断面に外接する包絡線の長さEWm,ELmが、カバー6の各方向における断面の内周長PWc,PLcよりも長いことが、本実施形態における特徴である。この場合、上記自由状態における気嚢2の幅の最大値Wmは、カバー6の幅方向における内寸Wcよりも大きいことが望ましく、上記自由状態における気嚢2の縦方向の長さの最大値Lmは、カバー6の縦方向の内寸Lcよりも長いことが望ましく、上記自由状態における気嚢2の厚さの最大値Dmは、カバー6の厚方向における内寸Dcよりも大きいことが望ましい。
以上の条件を備えた場合には、図7に示すように、気嚢2が膨張して破裂するに至る前に、気嚢2の全外表面がカバー6の内面に密接することになるが、カバー6は引張強度に優れるとともに伸縮性に乏しいので、それ以上の気嚢2の膨張が制限される。よって、更に気嚢2内の空気の圧力を高めることが可能になるので、空気バネ式マットレス1全体の堅さを、コイルバネ式マットレスに匹敵する程に堅くすることが可能となる。
なお、本実施形態においては、開口6fを閉緘するためにジッパーを用いたが、開口6fを閉緘する手段はジッパーに限られず、面ファスナー(マジックテープ[株式会社クラレの登録商標])であっても良いし、ホックであっても良いし、スナップボタンであっても良いし、紐であっても良い。また、開口6fの大きさは、少なくとも気嚢2を完全に排気した状態において、気嚢2を出し入れできるものであれば足りる。また、開口6fの位置はカバー6の側面布6cにおける正面に限られず、例えば、下面布6bに設けられていても良いし、上面布6aに設けられても良い。また、開口6fは、気嚢2全体を露出できる形態を有していても良い。例えば、開口6fがカバー6の側面布6cを構成する4側面のうち3面以上を横切って形成されていても良いし、上面布6aの周縁を1周するように形成されていても良い。
また、気嚢2に圧搾空気を導入する手段は、電気ポンプに限られず、足踏み式ポンプ等の人力ポンプであっても良いし、人間の口であっても良い。
1 空気バネ式マットレス
2 気嚢
3 電気ポンプ

Claims (3)

  1. 略扁平な形状を有するとともに空気により膨張可能な気嚢と、
    略扁平な形状を有するとともに、前記気嚢が出し入れされる開口部を有するカバーとを備え、
    前記カバーの内寸は、自由状態において前記気嚢を膨張させた場合における前記気嚢の外寸よりも小さいことを特徴とする空気バネ式マットレス。
  2. 所定の断面方向における前記カバーの断面の内周長は、自由状態において前記気嚢を膨張させた場合における前記所定の方向に沿って前記気嚢に外接する包絡線の長さよりも短い
    ことを特徴とする請求項1記載の空気バネ式マットレス。
  3. あらゆる断面方向において、前記カバーの断面の内周長が自由状態において前記気嚢を膨張させた場合における前記所定の方向に沿って前記気嚢に外接する包絡線の長さよりも短いとの条件を満たす
    ことを特徴とする請求項2記載の空気バネ式マットレス。
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