JP2012075900A - ブリリアントカットされた宝石 - Google Patents

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Abstract

【課題】ブリリアントカットされる宝石の美的価値をさらに向上させる。
【解決手段】クラウン角(α)が32.8°以上33.0°以下の範囲であるブリリアントカットされた宝石を提供する。
【選択図】図1a

Description

本願は、ブリリアントカットされた宝石に関する。
切り子面がカットされた宝石(ファセットカットされた宝石)の輝度を増すために、長い時間をかけて様々な形態のカット(研磨方法)が開発されてきた。これらのカットは、一方においてはそれぞれの切り子面(小平面、ファセット)の数が異なっており、また他方においては切り子面の位置の幾何学的関係が異なっていた。
いわゆるブリリアントカットは、特にダイヤモンドにおいて、非常に美的なカットであると評価されてきた。なぜならこのカットはダイヤモンドの「ファイア」と呼ばれる分散光に大きく影響を与えるからである。このファイアは数多くの内部の光の反射に基づいてもたらされる。これら光反射は、特有のカットによって特徴付けられる特別な相対的角度の関係を有している個々の切り子面で発生する。結果として、宝石、特にダイヤモンドのカットは、発生するファイアにとって決定的な要素である。
特定のカットに依存しているところの、宝石の美的特徴の更なる諸要素には、動いている宝石の輝きを表しているシンチレーション(閃光)と、宝石から出射する光のコントラスト(明暗差)と明るさを表わしているブリリアンス(光輝)とがある。ブリリアントカットされたダイヤモンドは、一般的にブリリアントとも呼称される。
ブリリアントカットされている宝石は、少なくとも32面の切り子面とテーブル面とを備えており上部とも称されるクラウンと、少なくとも24面の切り子面を備えており底部とも称されるパビリオンと、を備えている。宝石のテーブル面と反対側の底端部は、キューレットと称される点もしくは丸められた(面取りされた)点の形状が形成される。宝石の上部と底部の間の部分には、いわゆるロンディステまたはガードルが存在する。この宝石は対称形状にカットされている。
合衆国宝石鑑定協会「Gems & Gemology(宝石及び宝石鑑定)」、2004年秋号、202−228ページ
本発明は、ブリリアントカットされる宝石の美的な印象をさらに向上させることの問題に対処している。本発明は、例えば宝石の発光効率を増し、或いは輝度や明度を増加させることを目的とする。
これらの目的は「請求項1」の特徴によって達成される。
それについて、研究過程で、宝石に、クラウン角を32.8°から33°にしたブリリアントカットを施すと非常に高い発光効率が得られた。このカットによって優れた宝石の煌き(シンチレーション)およびブリリアンスが実現された。
クラウン角とは、宝石の側面図で示すクラウンの境界側線とガードル面との間に形成される角度のことである。この境界側線は宝石の縦軸を含んだ平面へのクラウン切り子面の直角投影である。
ガードル面とは、テーブルと平行に配置されており、宝石が最大断面寸法を有する平面のことである。ガードル面は宝石の縦方向に対して垂直に配向されている。
反射した光の割合に対応する宝石の発光効率または輝度を測定するため、照明構造物と、合衆国宝石鑑定協会(GIA)が開発した測定仕様とを利用して測定が実施される。対応する測定仕様は非特許文献1の雑誌「Gems & Gemology(宝石及び宝石鑑定)」(2004年秋号、202〜228ページ、特に219ページ)に記載されている。ここでは宝石の光輝度の測定のための測定構造物が図示されている。実際の測定に代わり、測定を宝石の形状に基づいたコンピュータシミュレーションによって行うこともできる。シミュレーション測定によって、特に輝度及び/又は発光効率に関する宝石のいくつかの特徴的な光特有または放射線特有のパラメータ値が得られる。
基円部の中央に位置する宝石には、半球状の照明構造物から、宝石表面に対して垂直に方向付けられた放射線が照射される。この照明構造物は、宝石の側部切り子面も同様に照射するように十分に広角なランバートビームを発生させる。宝石から反射される光量は、ほぼ全ての可能な反射光の平均値を表すため、宝石の発光効率または光輝度の量的測定値が提供される。反射光量又は後方散乱光量の割合が高いほど、光効率と輝度は高く、高い特性の美的な認識によって達成される宝石の反射特性は良くなる。
反射光または後方散乱光の測定は、宝石の寸法に比して大きく離れて設置され、狭い測定域を備えた光電流検出器で行う。
本発明の別な好適実施態様は「従属請求項」に記してある。
1好適実施態様ではパビリオン角は41.7°から41.9°の範囲である。
パビリオン角とは、宝石の側面図が示すパビリオンの境界側線とガードル面との間に形成される角度のことである。この境界側線は宝石の縦軸を含んだ平面へのパビリオン切り子面の直角投影によって形成されるものである。
本発明による宝石は任意の天然宝石素材または合成宝石素材で製造できるが、本発明によってブリリアントカットされるガラス素材または合成素材で成る宝石でも同様に可能である。
少なくとも大部分であって、好ましくは全体が立方晶ジルコニア(キュービックジルコニア)を含んで製造されたブリリアントカットされた宝石であれば、32.8°から33°の間のクラウン角、及び/又は41.7°から41.9°の間のパビリオン角を有したものは特に発光効率が高いことが研究を通じて発見された。
パビリオンは、少なくとも24面のパビリオン切り子面を有しており、それらはテーブルの反対側の端部に点またはキューレットの形態で結集する。一つの実施形態では8面のパビリオン切り子面がガードル側に位置する点を有し、16面のパビリオン切り子面がガードルと境界を接する辺を有する。これらパビリオン切り子面の辺の反対側端部は点であり、ガードルから離れている。後者のパビリオン切り子面の直角投影はパビリオン角を形成する。
本発明の一つの実施形態においては、ガードル面と、ガードルに接した点、あるいはガードルから離れて位置する点を有したパビリオン切り子面との間の角度は41.7°から41.9°の範囲である。追加的または代替的には、ガードル面と、ガードルと境界を接する辺を有したパビリオン切り子面との間の角度は42.8°から43.0°の範囲である。
宝石のクラウンは、8面のクラウン切り子面とそれぞれ1本の辺で接するテーブルを含む。本発明の一つの実施形態では、これらクラウン切り子面はガードル平面と20.2°から20.4°の角度を形成する。
クラウンはさらに16面のクラウン切り子面を含む。それらはガードルに接する1本の辺を有している。本発明の一つの実施形態ではこれらクラウン切り子面はガードル面と39.3°から39.5°の範囲の角度を形成する。
クラウンはさらに8面の別クラウン切り子面を有する。それぞれの切り子面はガードルと点で接する。本発明の一つの実施形態ではこれらクラウン切り子面とガードル面との間の角度は32.8°から33.0°の範囲である。後者のクラウン切り子面の直角投影はクラウン角を形成する。
本発明のさらなる詳細および利点は添付図面を利用した以下の詳細な説明において解説されている。
図1aは、本発明の宝石の側面図である。 図1bは、本発明の宝石の平面図である。 図1cは、本発明の宝石の底面図である。 図2はクラウン角とパビリオン角の定義を説明する概略図である。 図3aと図3bは光線の進路を示す概略図を利用した従来技術による宝石と本発明による宝石の対比図であって、図3aは、従来のブリリアントカットされた宝石1’を示す。 図3aと図3bは光線の進路を示す概略図を利用した従来技術による宝石と本発明による宝石の対比図であって、図3bは、本発明による宝石1を示す。 図4は、発光効率または光輝度を測定するための測定構造物を図示した概略図である。
図1aは本発明による宝石の側面図である。ガードル4はクラウン2とパビリオン3とを分離する。ガードル4は宝石1の最大断面寸法の領域である。宝石の縦軸に対応する縦方向には宝石の対称軸が概略的に図示されている。
パビリオン3は2種類のパビリオン切り子面8と9を有する。ここでは16面のパビリオン切り子面9はガードル4と接する辺を含む。反対側でパビリオン切り子面9はキューレット6に向かって1点に結集する。残りのパビリオン切り子面8はガードル4と接する点を含んでいる。
クラウン2は32面の切り子面10、11および12、並びにガードル面7と平行なテーブル5を含んでいる。
16面のクラウン切り子面12はガードル4と辺で接し、テーブル5の方向に1点を有する。8面のさらなるクラウン切り子面10はテーブル5とそれぞれ1本の辺で接する。残りの8面のクラウン切り子面11はそれぞれ全部で4点を有している。その中の1点はテーブル5と接し、他の点はガードル4と接する。
クラウン2の境界側線16もまたクラウン切り子面12の直角投影として形成され、パビリオン3の境界側線17はパビリオン切り子面9の直角投影として形成される。
本発明の一実施例では、宝石1は立方晶ジルコニア製であり、境界側線16とガードル面7との間で32.9°のクラウン角αを有し、境界側線17とガードル面7との間で41.8°のパビリオン角βを有する。ガードル面7と、ガードル4に辺で接するクラウン切り子面12との間の角度は39.4°である。ガードル面7と、テーブル5と辺で接するクラウン切り子面10との間の角度は20.3°である。ガードル面7と残余クラウン切り子面11との間の角度は32.9°である。ガードル面7と、ガードル4と辺で接するパビリオン切り子面9との間の角度は42.9°である。ガードル面7と残余パビリオン切り子面8との間の角度は41.8°である。
図1bは宝石1のクラウン2を示す平面図である。テーブル5に概略的に図示されている直交座標は宝石1が対称形状であることを示している。
図1cは宝石1のパビリオン3を示す底面図である。互いに境界を接するパビリオン切り子面8が形成するキューレット6には別の直交座標が図示されており、宝石1の対称性を表している。
図2はクラウン角αとパビリオンβとを概略的に説明するものである。クラウン角はガードル面7とクラウン2の境界側線16との間に形成され、パビリオン角βはパビリオン3の境界側線17とガードル面7との間に形成される。
図3aは従来のブリリアントカットされた宝石1’を図示する。宝石に入射する光線13はパビリオン3’で部分的にのみ反射される。これは異なるパビリオン切り子面がカットされている角度による。特にクラウン角とパビリオン角による。光線の一部は屈折光線14の形態でパビリオン3’から出射する。クラウン2’から出射する光線15の量とクラウン2’に入射する光線13の量の比が発光効率である。
図3bは図3aと類似しているが本発明による宝石1を図示する。異なる切り子面の固有の幾何学形態およびクラウン角αとパビリオン角βの特性によって発光効率は大きく改善されている。すなわち大部分の光線がパビリオン3の領域内部で完全反射し、複数回の内部反射後にクラウン2に入射した光線13のほぼ全体がクラウン2から出射した光線15として宝石を眺める人物の眼に返ってくる。
図4は、前記の雑誌「Gems & Gemology(宝石及び宝石鑑定)」の記事の測定仕様を利用した宝石の輝度または発光効率を測定する測定構造物の概略図である。半球形態の照明構造物16の基円部の中央に位置する宝石1は、宝石1のクラウン2に白色散乱光が放射されるように光線18で照射される。遮蔽領域19を除いて光線ビームが宝石1に半球状に投射され、反射される。宝石1を収容する窪部を除いて基円部17は遮蔽されており、基円部17の下方からは宝石1には光は全く投射されない。宝石1の反対側の半球構造物16の領域19も遮蔽されており、46°の領域角γを有している。この領域からは宝石1には光は一切届かない。領域19は3°の開口角を有する開口部20を含む。この開口部20は検出器のための測定部として機能する。従って開口部20の上方には光電流を測定する検出器が設置できる。その結果、光特有の特定値、例えば光輝度がコンピュータシミュレーションによってこの開口部20の領域で計算できる。
宝石1から反射される光量は、ほぼ全ての可能な反射光の平均値であり、宝石1の発光効率または光輝度の量的測定値を提供する。何回も内部反射を繰り返した後ではあるが、宝石への最初の投射で光が開口部に直接的に反射して戻るように光は個々の切り子面で反射する。

Claims (5)

  1. クラウン角(α)が、32.8°以上33.0°以下の範囲であることを特徴とするブリリアントカットされた宝石。
  2. パビリオン角(β)が41.7°以上41.9°以下の範囲であることを特徴とする請求項1記載の宝石。
  3. 宝石(1)は少なくとも大部分が立方晶ジルコニアであって、好ましくは、全部が立方晶ジルコニアであることを特徴とする請求項1または2記載の宝石。
  4. ガードル面(7)と、ガードル(4)側に点を有したパビリオン切り子面(8)との間の角度は41.7°以上41.9°以下の範囲であり、及び/又は前記ガードル面(7)と、前記ガードル(4)に辺で接するパビリオン切り子面(9)との間の角度は42.8°以上43.0°以下の範囲であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の宝石。
  5. ガードル面(7)と、テーブル(5)に辺で接するクラウン切り子面(10)との間の角度は20.2°以上20.4°以下の範囲であり、及び/又は前記ガードル面(7)と、前記ガードル(4)に接する点を有したクラウン切り子面(11)との間の角度は32.8°以上33.0°以下の範囲であり、及び/又は前記ガードル面(7)と、前記ガードル(4)に辺で接する前記クラウン切り子面(12)との間の角度は39.3°以上39.5°以下の範囲であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の宝石。
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