[実施例1]
本実施例のぱちんこ遊技機は、従来にいう第1種ぱちんこ遊技機に相当する遊技性を有し、その遊技性を実現するために始動入賞口、特別図柄表示装置、保留ランプ、リールユニットを備える。すなわち、このぱちんこ遊技機は、いわゆるドラム回転式の表示装置を備え、その表示装置が、周面に図柄が配された複数列のリールと、各リールを個々に駆動可能なモータとを含むリールユニットとして構成されている。遊技球が始動入賞口に入球すると、当否抽選が実行され、その当否抽選の結果が「大当り」であった場合、大入賞口が開閉を繰り返す特別遊技が開始される。大入賞口が開放されて遊技球が入球すると、その都度所定数の賞球が払い出されることで遊技者は大きな利益を獲得できる。当否抽選の結果は特別図柄の変動表示という形で直接表示される一方、3つの図柄の組み合わせからなる装飾図柄という形で演出的に表示される。これら特別図柄と装飾図柄とは同じ当否抽選の結果を示すものとして対応づけられており、その変動開始タイミングおよび変動停止タイミングも一致するように制御が行われる。
このような遊技性においては、電源投入時の遊技状態が問題となる。すなわち、停電など予期せぬ電源遮断などにより遊技の進行が中断されても、バックアップ機能により中断時の遊技状態が記憶されるため、電源復帰時にその遊技情報が読み出されて電力遮断前の遊技状態が再現される。しかし、図柄変動中に電源遮断が発生してその変動が中断された場合には、電源復帰時に残余の図柄変動を表示させなければならないところ、電源復帰時の各リールの位置が不定であるため、その位置決めの処理に時間を要する。すなわち、リールユニットは機械的表示手段であるため、電源遮断があっても各リールはその慣性によって回転を継続するため、各リールが完全に停止したときの図柄の状態を内部的に把握することができない。このため、電源復帰時に如何に各リールの位置を速やかに把握して図柄変動制御に移行できるかが重要となる。本実施例では、電源遮断時に中断された図柄変動の残り時間が短くても円滑に図柄変動が再開できるよう電源復帰時の制御を工夫している。以下、そのような構成を説明する。
図1は、ぱちんこ遊技機の前面側における基本的な構造を示す。ぱちんこ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤で構成される。ぱちんこ遊技機10の遊技機枠は、外枠11、前枠12、透明板13、扉14、上球皿15、下球皿16、および発射ハンドル17を含む。外枠11は、開口部分を有し、ぱちんこ遊技機10を設置すべき位置に固定するための枠体である。前枠12は、外枠11の開口部分に整合する枠体であり、図示しないヒンジ機構により外枠11へ開閉可能に取り付けられる。前枠12は、遊技球を発射する機構や、遊技盤を着脱可能に収容させるための機構、遊技球を誘導または回収するための機構等を含む。
透明板13は、ガラスなどにより形成され、扉14により支持される。扉14は、図示しないヒンジ機構により前枠12へ開閉可能に取り付けられる。上球皿15は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下球皿16への遊技球の抜き取り等をする機構を有する。下球皿16は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。上球皿15と下球皿16の間にはスピーカ18が設けられており、後述する演出を制御する手段によって遊技状態などに応じた効果音が出力される。
遊技盤50は、外レール54と内レール56により区画された遊技領域52上に、アウト口58、特別図柄表示装置61、リールユニット60、始動入賞口(以下、「始動口」という)62、センター飾り64、大入賞口66、作動口68、一般入賞口72を含む。さらに遊技領域52には、図示しない複数の遊技釘や風車などの機構が設置される。
始動口62は、遊技球の入球が当否抽選を実行する契機となる入球口であって、遊技球の入球を検出するための始動入賞検出装置74と、始動口62に設けられた拡開機構63(いわゆる電動チューリップ)を拡開させるための普通電動役物ソレノイド76を備える。拡開機構63は、始動口62の開口部上部に設けられた二つの羽根部材で構成され、閉鎖時は始動口62の真上から落下する遊技球だけが入球できる程度の狭い開口幅となる。一方、拡開機構63が拡開された開放時は始動口62の開口幅が拡がることとなり、始動口62の真上だけでなくその近傍を落下する遊技球も始動口62へ誘導でき入球容易性が向上する。当否抽選は、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定する抽選であり、始動口62へ入球があるたびに実行される。始動入賞検出装置74は、始動口62への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す始動入賞情報を生成する。
一般入賞口72は、遊技球の入球を検出するための一般入賞検出装置73を備える。一般入賞検出装置73は、一般入賞口72への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す一般入賞情報を生成する。
大入賞口66は、遊技球の入球を検出するための入賞検出装置78と、大入賞口66を開放させるための大入賞口ソレノイド80を備える。入賞検出装置78は、大入賞口66への遊技球の入球を検出するセンサであり、入球時にその入球を示す大入賞口入賞情報を生成する。大入賞口66は、特別図柄192が所定の態様にて停止したときに開始される特別遊技において「大当り」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。大入賞口66は、例えばアウト口58の上方等の位置に設けられる。大入賞口66の設置個数としては、一つだけ設置する構成に限らず、複数個の大入賞口66を設置してそれぞれを遊技状態等に応じて使い分ける構成としてもよい。大入賞口66の入賞検出装置78は、遊技球の通過を検出するセンサを備えて構成される。
特別図柄表示装置61は、遊技領域52の左方に設けられ、当否抽選の結果を示す特別図柄192を変動表示する表示装置であり、本実施例では7セグメントLEDで構成される。特別図柄192は、始動口62への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に対応した図柄である。特別図柄192の変動表示が停止したときの図柄態様が、あらかじめ当りと定められた図柄であった場合に、その停止図柄が表示されたタイミングが大当り発生タイミングとなる。停止図柄は、図柄変動の終了時に表示すべき図柄である。本実施例における特別図柄192は、当りの図柄態様である「0」〜「9」といった数字、文字、記号、または外れの図柄態様である「−」の記号で表される。これらの数字または記号が高速で次々に入れ替わって特別図柄表示装置61へ表示されることにより、特別図柄192の図柄変動表示が実現される。
なお、特別図柄192の態様は上記の数字または記号に限られず、英字などの文字であってもよいし、7セグメントLEDを構成する各セグメントの組合せで形成される一般に意味を持たない記号であってもよい。また、7セグメントLEDは、「8の字」を形成する7個のセグメントおよび「ドット」を表す1個のセグメントからなる8個のセグメントで構成されてもよい。この場合、8個のセグメントを組み合わせることにより8ビット分の数値を表現できる。さらに、特別図柄表示装置61を7セグメントLEDではないLEDドットアレーを用いて、その点灯パターンや点灯色の組合せで複数種類の特別図柄192を表現してもよい。
リールユニット60は、遊技領域52の略中央に設けられ、特別図柄192の変動表示と連動する形で装飾図柄190を変動表示するドラム回転式の表示装置である。装飾図柄190は、特別図柄192で示される抽選の結果表示を視覚的に演出するための図柄である。リールユニット60は、装飾図柄190として、スロットマシンのゲームを模した複数列の図柄を変動させる複数列のリールと、そのリールを個別に駆動可能な駆動手段としてのステッピングモータとを含む。本実施例においては、左図柄191,中図柄193および右図柄195の3列の図柄をそれぞれ変動させる3列のリールが設けられ、各リールの外周面にそって「0」〜「6」の数字図柄と、「*」の記号からなるブランク図柄とが配設されている。ブランク図柄「*」は昇順または降順に配された数字図柄の間にそれぞれ配されるため、各リールにはその外周面にそって合計12個の図柄が配されていることになる。
ただし、本実施例における数字図柄は当否抽選の結果を示すための停止図柄組合せの一部となる図柄であるのに対し、ブランク図柄は当否抽選の結果を示すための停止図柄組合せの一部とはならない図柄である点で異なる。すなわち、数字図柄は、その複数が同じライン上に停止されたときに構成される停止図柄組合せが当り図柄組合せとなった場合に、当否抽選の結果が当りとなったことを示す。これに対し、ブランク図柄は、その複数が同じライン上に停止されても当否抽選の結果を示すことはなく、その停止により、停止図柄候補の停止図柄組合せを表示可能なライン数を制限するように機能する。なお、リールユニット60の詳細については後述する。
ここで、特別図柄192は必ずしも演出的な役割をもつことを要しないため、本実施例ではリールユニット60の左下方の特別図柄表示装置61にて目立たない大きさで表示させる。ただし、特別図柄自体に演出的な役割をもたせることで装飾図柄を用いずに表現する手法を採用する場合には、特別図柄を7セグメントLEDではなく液晶ディスプレイに表示させる構成としてもよい。
作動口68は、遊技盤50の左側方位置に設けられる。作動口68は、通過検出装置69を含む。通過検出装置69は、作動口68への遊技球の通過を検出するセンサであり、通過時にその通過を示す通過情報を生成する。作動口68への遊技球の通過は拡開機構63を拡開させるか否かを決定する開放抽選の契機となる。作動口68を遊技球が通過すると、開放抽選の結果を示す図柄である普通図柄が普通図柄表示装置59に変動表示される。したがって、開放抽選は「普通図柄抽選」とも呼ぶ。本実施例における普通図柄表示装置59は、便宜上、二つのランプで構成されるとともに、それらのうちいずれのランプが点灯しているかによって普通図柄の表示状態が表現される。例えば、第1のランプの点灯が外れを示し、第2のランプが当りを示すとき、それらが交互に点灯と消灯を繰り返すことによって普通図柄の変動表示が表現され、最終的にいずれかの点灯状態にて停止されることで普通図柄の停止図柄が表現される。
普通図柄表示装置59はリールユニット60の右下方に設けられる。変動開始から所定時間の経過後に、普通図柄の変動表示が停止する。このとき、通常状態では例えば1/256程度の低確率にて普通図柄が当りの図柄で停止し、後述する入球容易状態では例えば250/256程度の高確率にて普通図柄が当りの図柄で停止する。普通図柄が当りの図柄で停止すると、拡開機構63が所定時間拡開される。拡開機構63の開放時間は、例えば通常状態では0.1秒間であり、入球容易状態では6秒間である。
リールユニット60の周囲には、センター飾り64が設けられる。センター飾り64は、遊技球の流路、リールユニット60の保護、装飾等の機能を有する。遊技領域52の左下部には、特別図柄保留表示装置20が設けられ、その対称位置である遊技領域52の右下部には、普通図柄表示装置59の下に普通図柄保留表示装置22が設けられている。
特別図柄保留表示装置20は、4個のランプからなり、その点灯個数によって当否抽選の保留数を表示する。当否抽選の保留数は、図柄変動中または特別遊技中に始動口62へ入賞した抽選結果の個数であり、図柄変動がまだ実行されていない入賞球の数を示す。当否抽選の保留数が3個になると、遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が通常より短縮される(以下、「短縮変動」ともいう)。同様に、当否抽選の保留数が4個になると、さらに遊技効率を高めるために外れの場合の図柄変動時間が上記3個の場合よりもさらに短縮される(以下、「超短縮変動」ともいう)。
普通図柄保留表示装置22もまた4個のランプからなり、その点灯個数によって普通図柄変動の保留数を表示する。普通図柄変動の保留数は、普通図柄の変動中に作動口68を通過した遊技球の個数であり、普通図柄の変動がまだ実行されていない普通図柄抽選の数を示す。
リールユニット60の上方および下方には、それぞれ遊技効果ランプ90が設けられている。操作ボタン82は、遊技者が遊技機へ所定の指示を入力するために操作する操作入力手段であり、その操作入力の内容に応じて演出内容等に変化が加えられる。操作ボタン82は、上球皿15近傍の外壁面に設けられる。本実施例における操作ボタン82は一つのボタンで構成されるが、複数のボタンや十字キーなどの方向指示ボタンで構成されてもよい。
以上のような構成においてなされる遊技の方法および制御の流れを概説する。遊技者が発射ハンドル17を手で回動させると、その回動角度に応じた強度で上球皿15に貯留された遊技球が1球ずつ内レール56と外レール54に案内されて遊技領域52へ発射される。遊技者が発射ハンドル17の回動位置を手で固定させると一定の時間間隔で遊技球の発射が繰り返される。遊技領域52の上部へ発射された遊技球は、複数の遊技釘や風車に当りながらその当り方に応じた方向へ落下する。遊技球が一般入賞口72や始動口62、大入賞口66の各入賞口へ落入すると、その入賞口の種類に応じた賞球が上球皿15または下球皿16に払い出される。一般入賞口72等の各入賞口に落入した遊技球はセーフ球として処理され、アウト口58に落入した遊技球はアウト球として処理される。なお、各入賞口は遊技球が通過するゲートタイプのものを含み、本願において「落入」「入球」「入賞」というときは「通過」を含むものとする。
遊技球が始動口62に落入すると、特別図柄表示装置61およびリールユニット60において特別図柄192および装飾図柄190が変動表示される。特別図柄192および装飾図柄190の変動表示は、表示に先だって決定された変動表示時間の経過後に停止される。特別図柄192は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動パターンにしたがって変動表示される。装飾図柄190は、その変動開始から停止までの変動態様が定められた変動演出パターンにしたがって変動表示される。変動パターンおよび変動演出パターンはそれぞれ複数種ずつ用意され、それぞれが長短様々な変動時間をもつ。変動パターンにしたがって特別図柄192が変動表示される間、同じ変動時間をもつ変動演出パターンにしたがって装飾図柄190が変動表示される。変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄192および装飾図柄190の変動が停止される。
装飾図柄190の変動表示としては、まず変動開始とともにスロットマシンのリール回転のように3列とも図柄を変動させ、変動終了タイミングへ近づいたときに一列ずつ停止させることで最終的な停止態様としての図柄組合せを表示する。停止時の特別図柄192および装飾図柄190が大当りを示す停止態様となった場合、通常遊技よりも遊技者に有利な遊技状態である特別遊技に移行し、大入賞口66の開閉動作が開始される。大当りを示す装飾図柄190の停止態様は、例えば3つの図柄の種類が一致する組合せ(当り図柄組合せ)の態様である。
変動演出パターンには、通常外れ演出パターン、リーチ外れ演出パターン、リーチ大当り演出パターンが含まれる。通常外れ演出パターンは、通常の外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ外れ演出パターンは、あと一つ図柄が揃えば大当りとなる状態であるリーチ状態を経て外れの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。リーチ大当り演出パターンは、リーチ状態を経て大当りの図柄組合せを表示するときの演出パターンである。特に、リーチ状態を経るときのパターンとしては、長短様々な変動時間をもつパターンが含まれ、相対的に変動時間の短いリーチパターンを「ノーマルリーチ」と称し、変動時間の長いリーチパターンを「スーパーリーチ」と称する。
特別遊技は、開始デモ演出と呼ばれる演出表示によって開始される。開始デモ演出の表示後に大入賞口66が開放され、その開放が約30秒間続いた後、または9球以上の遊技球が落入した後で一旦閉鎖される。このような大入賞口66の開放から閉鎖までが、基本的には単位遊技と呼ばれるが、1回の単位遊技の間に複数回の短時間の開放を繰り返す場合があってもよい。大入賞口66の開閉ないし単位遊技が所定の複数回数、例えば15回繰り返された後、終了デモ演出と呼ばれる演出表示によって特別遊技が終了される。なお、本実施例における開始デモ演出および終了デモ演出は、遊技効果ランプ90やリールユニット60の後述するバックライトによる所定の点灯および点滅表示、およびリールの特定の駆動態様により行われる。これに対し、当否抽選が小当りと呼ばれる結果に該当した場合は小当り遊技が実行される。小当りは、当否抽選の結果としては外れに含まれる結果である。小当り遊技は、一部の種類の特別遊技と類似の態様にて実行される単位遊技である。ただし、小当り遊技として実行される単位遊技は1回だけであり、複数回数の単位遊技が実行される特別遊技とは異なる。
特別遊技が終了した後の通常遊技においては特定遊技の一つである特別図柄192および装飾図柄190の変動時間短縮(以下、適宜「時短」という)が開始される。特別図柄192および装飾図柄190の時短は、特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が通常状態よりも短縮される状態である。特別図柄192および装飾図柄190の変動時間は、所定の変動回数、例えば100回の変動表示がなされた後で元の変動時間に戻されるが、その変動回数に達する前に大当りが発生すれば時短も終了する。時短により特別図柄192および装飾図柄190の変動時間が短縮されるため、通常の変動時間のまま図柄変動がなされる通常状態の場合と比べて、大当りが発生するまでの時間を短縮することができ、大当りの獲得容易性を相対的に高めることができる。
特別図柄192および装飾図柄190の時短中は、特定遊技の一つである入球容易状態が実施される。入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、拡開機構63の開放延長が実施されることにより始動口62への入球容易性が高められる状態である。普通図柄の時短は、普通図柄の変動時間が通常状態より短縮される状態である。開放抽選の確率変動は、開放抽選の当り確率を通常状態より高める状態である。拡開機構63の開放延長は、拡開機構63の開放時間を通常状態よりも長くする状態である。このように、入球容易状態においては、一定時間あたりの普通図柄の変動回数が通常状態よりも増加する可能性が高まる上、始動口62への入球容易性も増すため、始動口62への入球数が増加する可能性も高い。したがって、特別図柄192および装飾図柄190の時短および入球容易状態により、その期間中は始動口62への入球による賞球を得られる機会が増加する結果、持ち玉をほとんど減らさずに遊技し続けることが可能となる。
なお、本実施例における入球容易状態は、普通図柄の時短、開放抽選の確率変動、拡開機構63の開放延長という3つの機能を用いて始動口62への入球容易性を高める。ただし、変形例としては、これら3つの機能のうち、1つまたは2つの機能を用いて始動口62への入球容易性を高める構成としてもよい。このように3つの機能のうち一部だけを用いても始動口62への入球容易性を高めることは可能である。また、3つの機能のうち少なくともいずれかを、実施する期間と実施しない期間とで遊技状態に応じて切り替える構成としてもよい。
特別遊技が発生した場合であってそのときの当り停止図柄が特定の態様であった場合、特別遊技の終了後に特定遊技の一つである当否抽選の確率変動遊技(以下、適宜「確変」という)がさらに開始される。当否抽選の確変中は、通常の確率状態より当りの確率が高い当否抽選が行われ、比較的早期に新たな特別遊技が発生し得る。当否抽選の確変は次の大当りが発生するまで継続されるが、変形例として、所定の限定的な回数の図柄変動がなされたときに終了する構成であってもよい。本実施例においては、確変が開始されるときに同時に特別図柄192および装飾図柄190の時短や入球容易状態も開始されるが、変形例として時短や入球容易状態の開始を伴わない確変が実行される場合があってもよい。
図2は、ぱちんこ遊技機の背面側における基本的な構造を示す。電源スイッチ40はぱちんこ遊技機10の電源をオンオフするスイッチである。メイン基板102は、ぱちんこ遊技機10の全体動作を制御し、特に始動口62へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。サブ基板104は、リールユニット60における表示内容、遊技効果ランプ90の点灯を制御し、特にメイン基板102による抽選結果に応じて表示内容を変動させ、その演出の進行に沿って遊技効果ランプ90の点灯を作動させる。メイン基板102およびサブ基板104は、遊技制御装置100を構成する。裏セット機構39は、賞球タンク44や賞球の流路、賞球を払い出す払出ユニット43等を含む。払出ユニット43は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク44から供給される遊技球を上球皿15へ払い出す。払出制御基板45は、払出ユニット43による払出動作を制御する。発射装置46は、上球皿15の貯留球を遊技領域52へ1球ずつ発射する。発射制御基板47は、発射装置46の発射動作を制御する。電源ユニット48は、ぱちんこ遊技機10の各部へ電力を供給する。
図3は、本実施例におけるぱちんこ遊技機10の機能ブロックを示す。ぱちんこ遊技機10において、遊技制御装置100は、始動口62、大入賞口66、一般入賞口72、作動口68、特別図柄表示装置61、リールユニット60、普通図柄表示装置59、操作ボタン82、スピーカ18、遊技効果ランプ90、RAMクリアスイッチ92のそれぞれと電気的に接続されており、各種制御信号の送受信を可能とする。遊技制御装置100は、遊技の基本動作だけでなく、図柄変動表示や電飾等の演出的動作も制御する。遊技制御装置100は、遊技の基本動作を含むぱちんこ遊技機10の全体動作を制御するメイン基板102(「主制御装置」として機能する)と、図柄の演出等を制御するサブ基板104(「副制御装置」として機能する)とに機能を分担させた形態で構成される。遊技制御装置100は、ハードウエア的にはデータやプログラムを格納するROMやRAM、演算処理に用いるCPU等の素子を含んで構成される。
本実施例におけるメイン基板102は、入球判定手段110、当否抽選手段112、図柄決定手段114、変動パターン決定手段115、保留制御手段116、メイン表示制御手段118、特別遊技制御手段120、特定遊技実行手段122、開閉制御手段124、メイン状態記憶手段126、初期化実行手段127、電断復帰制御手段128を備える。を備える。本実施例におけるサブ基板104は、パターン記憶手段130、図柄態様決定手段131、演出決定手段132、演出表示制御手段134、位置判定手段136を備える。なお、メイン基板102に含まれる各機能ブロックは、いずれかがメイン基板102ではなくサブ基板104に搭載されるかたちで構成されてもよい。同様に、サブ基板104に含まれる各機能ブロックは、いずれかがサブ基板104ではなくメイン基板102に搭載されるかたちで構成されてもよい。
ただし、メイン基板102とサブ基板104の間におけるデータの送受信はメイン基板102からサブ基板104への一方向であるため、そのような一方向でのデータ送受信にて全体動作が実現されるよう各構成がメイン基板102とサブ基板104に配置される。このようにメイン基板102からサブ基板104へのデータ送信の一方向性が保たれるため、サブ基板104に含まれる構成からメイン基板102に含まれる構成へはデータを送信することができず、データ送信の要求もできない。したがって、メイン基板102で生成された情報は、メイン基板102がサブ基板104へ一方的に送信しない限りサブ基板104から参照することはできない。
入球判定手段110は、各入賞口への遊技球の入球を判定する。入球判定手段110は、始動入賞情報を受け取ると遊技球が始動口62に入賞したと判断し、大入賞口入賞情報を受け取ると遊技球が大入賞口66に入賞したと判断し、一般入賞情報を受け取ると遊技球が一般入賞口72に入賞したと判断する。入球判定手段110は、通過情報を受け取ると遊技球が作動口68を通過したと判断する。
当否抽選手段112は、始動口62への入球を契機に、通常遊技より遊技者に有利な状態である特別遊技へ移行するか否かを判定するための乱数の値を当否抽選値として取得する。たとえば、当否抽選値は「0」から「65535」までの値範囲から取得される。なお、本願にいう「乱数」は、数学的に発生させる乱数でなくてもよく、ハードウエア乱数やソフトウエア乱数などにより発生させる疑似乱数でもよい。当否抽選手段112が当否抽選値として取得する値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、所定の保留上限数を超えない範囲で当否抽選値が保留される。
当否抽選手段112は、当否判定で参照する当否判定テーブルを複数保持する。複数の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられた大当りの範囲設定に応じて当否確率が定まる。当否抽選手段112は、通常時には通常確率による当否判定テーブルを参照し、確率変動時には通常確率より当りの確率が高くなる当否判定テーブルを参照する。当否抽選手段112は、複数の当否判定テーブルのうちいずれかを参照し、当否抽選値が当りであるか否かを判定する。
当否抽選手段112は、遊技球が作動口68を通過した場合に、普通図柄を決定するための開放抽選として抽選値を取得する。当否抽選手段112は、開放抽選の抽選値と当否結果の対応関係が定められた当否テーブルを保持し、その当否テーブルを参照して開放抽選の当否結果を決定する。通常状態においては1/256の確率で当りとなる当否テーブルを参照し、入球容易状態においては250/256の確率で当りとなる当否テーブルを参照する。普通図柄の抽選値は、保留制御手段116により一時的に保留される。ただし、保留制御手段116により保留される所定の保留上限数を超えない場合にだけ抽選値が保留される。
図4は、当否判定テーブルを模式的に示す図である。本図の当否判定テーブルには、大当り、小当り、外れの判定結果と当否抽選値とが対応付けられており、対応付けられたそれぞれの範囲設定に応じて大当り当否確率や小当りの当否確率が定まる。当否抽選手段112は、当否判定において本図の当否判定テーブルを参照する。当否抽選手段112による当否抽選においては、通常時には図4(a)の通り、当否抽選値が0〜399の範囲に該当したときのみ大当りとなる。確変時には図4(b)の通り、大当りの範囲が拡大され、当否抽選値が0〜399の範囲に該当する場合だけでなく、400〜2999の範囲に該当する場合にも大当りとなる。このように、大当りに該当する範囲は遊技状態に応じて変化する。大当りに該当した場合、15R大当りと2R大当りのいずれとなるか、および、確変を伴うか否かは、特別図柄の停止図柄に応じて別途決定される。なお、本図では単一の当否判定テーブルによって通常時と確変時の双方の大当り範囲を示したが、当否判定テーブルは通常時用と確変時用とで別個に用意してもよい。
本実施例においては、当否抽選値が大当り範囲に該当しない、いわゆる外れとなった場合であっても、所定の範囲に該当した場合には小当りとなる。本図の例では、当否抽選手段112が取得する当否抽選値が65000〜65535の範囲に該当した場合に小当りとなる。このように、大当りに該当しなかった場合、本来はすべて「外れ」であるが、本図の例では大当りに該当しなかった場合のうち小当りにも該当しなかった場合の当否抽選値範囲を特に「外れ」と表現している。なお、本図では大当りか否かの判定テーブルと小当りか否かの判定テーブルとを単一の当否判定テーブルの形で実現する例を示したが、それぞれを別個のテーブルとして実現してもよい。
図3に戻り、当否抽選手段112による判定結果は、特別図柄表示装置61において特別図柄のかたちで変動表示される。また、当否抽選手段112による判定結果を演出的に示す装飾図柄がリールユニット60において変動表示される。当否抽選手段112は、図柄変動を開始するタイミングにおいて、その図柄変動に対応する抽選の結果を図柄変動の制御コマンドとともに図柄態様決定手段131および演出決定手段132へ送信する。
図柄決定手段114は、特別図柄表示装置61に表示させる特別図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による抽選の結果に応じて決定する。図柄決定手段114は、特別図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄判定テーブルを保持する。図柄決定手段114は、特別図柄を決定するための図柄抽選値を取得し、当否抽選手段112による当否判定結果と図柄抽選値とに応じて特別図柄の停止図柄を決定する。
図柄決定手段114は、普通図柄表示装置59に表示させる普通図柄の停止図柄を、当否抽選手段112による開放抽選の結果に応じて決定する。図柄決定手段114は、開放抽選の結果を普通図柄のかたちで普通図柄表示装置59に変動表示させるために、開放抽選の結果に応じて普通図柄の停止図柄を決定する。決定された停止図柄が所定の図柄となった場合に普通図柄が当りに該当したと判定され、その停止図柄にて普通図柄の変動表示が停止された後に開閉制御手段124が始動口62の拡開機構63を所定時間拡開する。
図柄決定手段114は、決定した停止図柄を示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。
図5は、図柄判定テーブルを模式的に示す図である。図5(a)は当否判定結果が大当りであった場合に参照するテーブルであり、図5(b)は当否判定結果が外れであった場合に参照するテーブルであり、図5(c)は当否判定結果が小当りであった場合に参照するテーブルである。図柄決定手段114は、図柄判定において本図の図柄判定テーブルを参照する。各図柄判定テーブルには、「0」〜「9」の数字および「−」の記号で表される特別図柄と図柄抽選値との対応関係が定められている。特別図柄の種類はそれぞれ大当り、小当り、外れの当否判定結果と対応付けられており、奇数の数字が大当りに対応し、偶数の数字が小当りに対応し、「−」の記号が外れに対応する。
図5(a)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち奇数の数字である特別図柄「1」「3」「5」「7」「9」が大当りに対応付けられている。そのうち、特別図柄「7」は確変を伴う15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「0〜99」に対応付けられる。特別図柄「3」は確変を伴う2R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられる。特別図柄「1」「5」「9」は確変を伴わない15R大当りを示し、図柄抽選値の範囲「150〜189」に特別図柄「1」が対応付けられ、「190〜229」に特別図柄「5」が対応付けられ、「230〜255」に特別図柄「9」が対応付けられる。
図5(b)に示す通り、特別図柄「−」は当否判定結果が外れの場合における全範囲の図柄抽選値に対応付けられている。
図5(c)に示す通り、特別図柄「0」〜「9」のうち偶数の数字である特別図柄「0」「2」「4」「6」「8」が小当りに対応付けられている。特別図柄「0」は図柄抽選値の範囲「0〜49」に対応付けられ、特別図柄「2」は図柄抽選値の範囲「50〜99」に対応付けられる。特別図柄「4」は図柄抽選値の範囲「100〜149」に対応付けられ、特別図柄「6」は図柄抽選値の範囲「150〜199」に対応付けられ、特別図柄「8」は図柄抽選値の範囲「200〜255」に対応付けられる。
図3に戻り、変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果に応じて複数種の変動パターンからいずれかの変動パターンを選択する。変動パターン決定手段115は、変動パターンを決定するために参照すべき変動パターンテーブルを保持する。図柄決定手段114は、決定した変動パターンを示すデータをメイン表示制御手段118、図柄態様決定手段131、演出決定手段132へ送出する。変動パターン決定手段115は、複数種の変動パターンを記憶する。複数種の変動パターンは、長短様々な変動時間をもつとともに、その変動時間にて複数の図柄で構成される装飾図柄による図柄変動も実行されることを前提として規定される。各変動パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動表示時間が定められており、その変動表示時間の経過時に特別図柄および装飾図柄の変動が停止される。
図6は、変動パターンテーブルを模式的に示す図である。変動パターン決定手段115は、当否判定結果が外れのときは図6(a)に示される外れ用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が15R大当りのときは図6(b)に示される15R大当り用の変動パターンテーブルを参照する。当否判定結果が2R大当りまたは小当りのときは図6(c)に示される2R大当りおよび小当り用の変動パターンテーブルを参照する。
図6(a)においては、パターン抽選値0〜10には「スーパー1」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値11〜20には「スーパー2」というスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値21〜255には「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のいずれかの変動パターンが対応付けられている。このように、当否判定結果が外れの場合、スーパーリーチ、ノーマルリーチ、リーチなしのいずれも選択される可能性がある。なお、外れ用の変動パターンテーブルにおいて、特に「リーチなし」の変動パターンを選択するとき、時短状態においては通常状態よりもさらに変動時間が概ね短い変動パターンが選択されるよう異なるテーブルを参照する。また、外れ用の変動パターンテーブルは保留数ごとに参照すべき欄が異なるように規定されるが、通常状態を例とするその詳細は後述する図7において説明する。
図6(b)においては、パターン抽選値0〜120には「スーパー1」のスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値121〜240には「スーパー2」のスーパーリーチが対応付けられている。パターン抽選値241〜250には「ノーマル1」のリーチが対応付けられ、パターン抽選値251〜255には「ノーマル2」のリーチが対応付けられている。このように、当否判定結果が15R大当りの場合はリーチ付きの変動パターンが選択される。
図6(c)においては、パターン抽選値0〜122には「スーパー3」というスーパーリーチが対応付けられ、パターン抽選値123〜255には「ノーマル3」というノーマルリーチが対応付けられている。このように当否判定結果が2R大当りまたは小当りの場合は「スーパー3」または「ノーマル3」がそれぞれ約50%の確率で選択される。
図3に戻り、変動パターン決定手段115は、普通図柄の変動表示時間を決定する。通常状態においては変動表示時間を60秒に決定し、入球容易状態においては変動表示時間を6秒に決定する。
保留制御手段116は、始動口62へ新たな入球があって新たに当否抽選が実行されるときにそれ以前の入球ないし抽選に対応する図柄変動が表示されている場合、新たな入球に基づく当否抽選の結果をその抽選に対応する図柄の変動表示開始まで保留する。本実施例では当否抽選の結果として4個を上限として当否抽選値を保留球として保持する。ここでいう当否抽選値は、当否抽選値、図柄抽選値、変動パターン抽選値を含む。保留制御手段116はさらに、当否抽選手段112により取得された普図抽選値を保留球として保持する。これらの保留数がそれぞれ特別図柄保留表示装置20、普通図柄保留表示装置22の点灯数または点滅数により表される。
メイン表示制御手段118は、当否抽選手段112による抽選の結果を、変動パターン決定手段115により決定された変動パターンにしたがって特別図柄192の変動表示として特別図柄表示装置61に表示させる。メイン表示制御手段118は、それ以前になされた当否抽選に対応する図柄の変動表示が終了していることを新たな図柄変動の開始条件とする。メイン表示制御手段118は、特別図柄192の変動表示を開始するタイミングと停止するタイミングにて、変動開始コマンドと変動停止コマンドを演出表示制御手段134へ送信する。変動開始コマンドを送信するとき、判定された当否判定結果、停止図柄、変動パターンのそれぞれを示す値を変動開始コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。変動停止コマンドを送信するとき、あらためて停止図柄を示す値を変動停止コマンドとともに演出表示制御手段134へ送信する。これにより、メイン表示制御手段118および演出表示制御手段134による変動表示が同期し、連動が保たれる。メイン表示制御手段118は、普通図柄抽選の結果を普通図柄の変動表示として普通図柄表示装置59に表示させる。
特別遊技制御手段120は、当否抽選手段112による当否抽選が特別遊技への移行を示す結果となった場合、特別図柄192が所定の大当り態様で停止されたときに特別遊技作動条件が成立したと判定し、大入賞口66を開放させることにより特別遊技を実行する。特別遊技は、大入賞口66の開閉動作を複数回数連続して継続する遊技であり、1回の開閉を単位とした複数回の単位遊技で構成される。特別遊技には、単位遊技を15回繰り返す15R大当りと、15R大当りより開放時間が短い単位遊技を2回だけ繰り返す2R大当りがある。15R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を原則として約30秒間開放させる。2R大当りにおいては、1回の単位遊技において大入賞口66を約0.5秒間だけ開放させる。特別遊技制御手段120は、単位遊技の設定ラウンド数を消化したときに特別遊技を終了させる。なお、2R大当りとなった場合においても、所定の条件を満たした場合には、15R大当りと同様の開放態様で大入賞口66を開放させてもよい。
特定遊技実行手段122は、確変状態、時短状態、および入球容易状態における通常遊技を制御する。特定遊技実行手段122は、特別遊技の終了後に遊技状態を時短状態および入球容易状態へ移行させる。一方、特別遊技の終了後に確変状態へ移行させるのは、図柄決定手段114により決定された図柄が確変への移行を伴う大当り図柄であった場合に限られる。時短状態および入球容易状態は、特別図柄192の変動表示回数が特別遊技の終了時点から数えて所定の終了条件回数、例えば100回に達するまで継続される。ただし、同時に確変状態へ移行した場合は確変状態が続く限り時短状態および入球容易状態も継続される。すなわち、次の大当りが発生するまで継続される。
このように時短状態および入球容易状態の終期は遊技状態に応じて定まる。時短状態においては、特別図柄192の変動表示時間が概ね短くなるよう、変動パターン決定手段115が変動時間の短い変動パターンを選択する。ただし、通常状態においては、保留制御手段116による当否抽選結果の保留数に応じた変動パターンテーブルを参照し、保留制御手段116による保留数が少なくなるほど変動時間の長い変動パターンが出現しやすくなる。入球容易状態においては、普通図柄の時短、普通図柄の確変、拡開機構63の開放延長が実施される。一方、確変状態は、次の大当りによる特別遊技が実行されるまで継続される。確変状態の間は当否抽選手段112による当否判定結果が大当りとなる確率が高い値のまま維持される。
開閉制御手段124は、始動口62の普通電動役物や大入賞口66の開閉を制御する。開閉制御手段124は、普通図柄が特定の図柄で停止されると、普通電動役物ソレノイド76に開放指示を送り、始動口62を開放させる。また、開閉制御手段124は、特別遊技中、大入賞口ソレノイド80に開放指示を送り、大入賞口66を開放させる。
メイン状態記憶手段126は、「情報記憶手段」として機能し、メイン基板102による制御状態を含む遊技状態を記憶する。具体的には、当否抽選の結果や決定された変動パターンの情報、図柄変動中、特別遊技中あるいは特定遊技中(確変中、時短中)である等の現在の遊技状態や、図柄変動の経過情報を表す変動残余時間などを後述するバックアップRAMの所定領域にそれぞれ格納する。仮に外的要因等によって図柄変動中に電源が遮断されたとしても、電源再投入時にバックアップRAMから必要な情報が読み出されてサブ基板104側に送信される。
初期化実行手段127は、RAMクリアスイッチ92を介した外部入力があったとき、またはメイン状態記憶手段126による記憶処理中にエラーが発生したときなど、予め設定した初期化条件が成立したときに、それまでバックアップRAMに記憶されていたデータをクリアする初期化処理を実行する。
電断復帰制御手段128は、「電断処理手段」,「電断復帰手段」および「電断復帰コマンド送信手段」として機能し、電源遮断時に後述する電断時処理を実行し、電源投入時に後述する電源投入時処理を実行する。電源ユニット48(図3参照)には電圧監視手段が設けられており、メイン基板102への供給電圧が基準電圧を下回ると、メイン基板102に向けてその旨を表す「電断信号」を出力する。電断復帰制御手段128は、この電断信号を受信すると、遊技状態を保存するための後述する電断時処理を実行する。また、このように電源が遮断された後に再投入されると、電断復帰制御手段128は、遊技制御を正常に開始するための後述する電源投入時処理を実行する。
パターン記憶手段130は、リールユニット60による装飾図柄190の図柄変動演出の表示過程が定められた複数の変動演出パターンを保持する。変動演出パターンには、3列の図柄からなる装飾図柄190の各図柄の変動開始から停止までの変動過程(つまり、複数列のリールの変動過程)が定められている。
演出決定手段132は、当否抽選手段112から受け取る当否抽選の結果に基づき、変動パターン決定手段115により決定された特別図柄の変動パターンに対応する変動演出パターンを選択する。そして、選択した変動演出パターンをパターン記憶手段130から読み出し、その変動演出パターンの情報を演出表示制御手段134へ送る。演出決定手段132は、変動演出パターンを選択するために参照すべきパターンテーブルを保持する。
各変動演出パターンには、その図柄変動の終了条件としてパターンごとに変動時間が定められており、その変動時間の経過時に図柄変動が停止される。演出決定手段132は、特別図柄の変動パターンに応じて、変動時間が等しい変動演出パターンを選択する。
図柄態様決定手段131は、装飾図柄190の停止図柄の組合せとその配置を、当否抽選手段112による当否抽選の結果、特別図柄の停止図柄、特別図柄の変動パターン、装飾図柄の変動演出パターンに応じて決定する。図柄態様決定手段131は、決定した停止図柄の組合せを示す情報を演出表示制御手段134へ送信する。図柄態様決定手段131は、装飾図柄の停止図柄を決定するために参照すべき図柄判定テーブルを保持する。
装飾図柄190の停止図柄は、3つの図柄の組合せとして形成される。本実施例では、当否抽選手段112による当否判定結果が15R大当りの特別遊技への移行を示す場合には、「111」,「222」,「333」,「444」,「555」および「666」のいずれかである3つの図柄が有効ライン上に揃った特定の組合せが選択される。なお、本実施例では、当否抽選結果が確変移行を伴う大当り(「確変大当り」ともいう)であれば、「111」,「333」および「555」のいずれか、つまり3つの図柄が奇数図柄で揃った組合せが選択される。一方、当否抽選結果が確変移行を伴わない大当り(「通常大当り」ともいう)であれば、「222」,「444」および「666」のいずれか、つまり3つの図柄が奇数図柄で揃った組合せが選択される。当否判定結果が2R大当り又は小当りの場合には、「135」および「246」のいずれかである奇数図柄又は偶数図柄が左から昇順に並ぶ所定の組合せが選択される。すなわち、本実施例における2R大当りや小当りの特定の組合せは3つの図柄が揃った組合せとはなっていない。当否判定結果が大当りでも小当りでもない場合は、「312」や「546」のように3つの図柄が揃っていない組合せであって、2R大当りや小当りのときに選択される特定の組合せに該当しない組合せが選択される。当否判定結果が15R大当りではない場合であって、リーチ付きの外れを示す変動パターンが選択された場合は、「151」や「323」のように一つだけ図柄が揃っていない組合せを選択する。演出決定手段132は、装飾図柄190の停止図柄組合せと装飾図柄の変動パターンデータを演出表示制御手段134へ送る。
演出表示制御手段134は、当否抽選手段112による当否抽選の結果として、選択された変動演出パターンデータにしたがってリールユニット60の各リールを駆動し、装飾図柄を変動表示させる。演出表示制御手段134は、装飾図柄190の変動開始コマンドを受け取ったときに新たな図柄変動を開始させる。演出表示制御手段134は、電源復帰時に電断復帰コマンドを受信すると、電断復帰処理として、装飾図柄を後述する特定図柄組合せにて停止させる変動表示制御を実行する。その具体的内容については後に詳述する。演出表示制御手段134は、遊技効果ランプ90の点灯および消灯や、スピーカ18からの音声出力などの演出処理をさらに制御する。
位置判定手段136は、ぱちんこ遊技機10への電力供給が遮断状態から復帰したときに、リールユニット60の各リールの回転方向の位置(当否判定結果が示される有効ライン上に位置する図柄に対応する)を判定する。電源復帰後の装飾図柄の変動表示がこれらの位置情報に基づいて実行されるためである。各リールの位置は、各リールにおいて各図柄に対応づけられたいずれかの検出片が、リールユニット60の本体に設けられた位置検出センサにより検出されることにより判定されるが、その詳細については後述する。
図7は、外れ用の変動パターンテーブルを詳細に示す図である。本図の変動パターンテーブル210においては、保留数ごとにそれぞれ変動パターンに対応付けられたパターン抽選値の範囲が異なる。具体的には、保留数が少ないほど変動時間が相対的に長い変動パターンに割り当てられたパターン抽選値の範囲が広くされており、それら変動時間の長い変動パターンが選択される確率を高めている。そのため、保留制御手段116による保留数が少ないほど平均的な変動時間が長くなる。したがって、保留制御手段116による保留数が所定数、例えば1〜2個より少なくなった場合に、変動時間の長い変動パターンの選択確率が通常より高くなり、変動時間が比較的長くなりやすい。
第1欄212には、保留制御手段116による当否抽選の結果保留数が1の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。同様に、第2欄214、第3欄216、第4欄218に、保留制御手段116による当否抽選の結果保留数がそれぞれ2、3、4の場合のパターン抽選値範囲と変動パターンとの対応関係が示される。すなわち、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218が保留数ごとの変動パターンテーブルを示すと考えることができる。本図では、外れのときに選択され得る複数の変動パターンを変動時間別に5種類に分類した例を説明するが、実際にはそれらの分類ごとに複数の変動演出パターンが用意されており、全体で数十種類の変動演出パターンがその分類ごとの抽選値範囲に対応付けられていることに等しい。なお、本図の第2欄214、第3欄216、第4欄218の各パターン抽選値範囲の割合と第1欄212におけるパターン抽選値範囲の割合を比較するために、第1欄212のパターン抽選値範囲の割合を示す破線を第2欄214、第3欄216、第4欄218に描いている。
第1範囲222には、抽選値が0から10までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー1」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。第2範囲224には、抽選値が11から20までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218のいずれにも「スーパー2」というスーパーリーチの変動パターンが対応付けられる。このように、抽選値が0から10までのパターン抽選値と抽選値が11から20までのパターン抽選値の場合には、保留数にかかわらず同じ変動時間の変動パターンが選択される。
第3範囲226には、抽選値が21から255までのパターン抽選値に該当する場合の変動パターンとして、第1欄212、第2欄214、第3欄216、第4欄218にはそれぞれノーマルリーチである「ノーマル1」「ノーマル2」と「リーチなし外れ」の3種類の変動パターンが対応付けられる。ただし、それぞれの変動パターンが対応付けられるパターン抽選値の範囲は保留数によって異なる。第1欄212では、「ノーマル1」「ノーマル2」「リーチなし」のそれぞれが対応付けられる抽選値範囲の大きさがそれぞれほぼ等しく、21から255をほぼ3等分した範囲が対応付けられている。これに対し、第2欄214では、「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさが「リーチなし」に対応付けられる抽選値範囲より小さい。また、第3欄216および第4欄218では「ノーマル1」「ノーマル2」のそれぞれに対応付けられる抽選値範囲の大きさがさらに小さくなっている。
「ノーマル1」「ノーマル2」の変動時間は「リーチなし外れ」の変動時間より長くてもよく、また「リーチなし外れ」のときは時短状態のように変動時間が短縮される場合もあるため、上記の第3範囲226の設定内容に応じて平均的な変動時間が異なることとなる。保留数が0から1、2、3、4と多くなるにつれて「ノーマル1」および「ノーマル2」のパターン抽選値範囲は小さくなり、逆に「リーチなし外れ」のパターン抽選値範囲が大きくなる。したがって、保留数が多いほど平均的な変動時間は短くなり、逆に保留数が少ないほど平均的な変動時間は長くなる。このように保留数ごとにパターン抽選値範囲と変動パターンの対応関係が異なる変動パターンテーブルを用いることにより、保留数が少なくなったときに変動時間の長い変動パターンが選択されやすくなる制御を実現することができる。
第3欄216に対応付けられた「リーチなし外れ」の変動パターンは、第1欄212、第2欄214に対応付けられた「リーチなし外れ」よりも変動時間が短い、いわゆる「短縮変動」の変動パターンである。また、第4欄218に対応付けられた「リーチなし外れ」の変動パターンは、第1欄212、第2欄214に対応付けられた「リーチなし外れ」よりも変動時間が短く、第3欄216の「短縮変動」よりもさらに変動時間が短い、いわゆる「超短縮変動」の変動パターンである。
ここで、後述する特徴的構成に関連し、本実施例における電断復帰の方法について概説する。すなわち、例えば図柄変動中に停電等の外的要因により遊技制御装置100への電源供給が遮断されると、その図柄変動は中断を余儀なくされる。一方、その電断によってリールユニット60への電力供給が停止されても、リール206はその慣性によって回転を継続する可能性がある。また特に、本実施例ではサブ基板104側で電源遮断時の遊技制御状態のバックアップがなされていないため、電源遮断後にリール206をどこまで回転させていたか、装飾図柄190により表示予定であった当否抽選の結果、変動パターンにしたがう図柄変動の変動残余時間、装飾図柄190の停止図柄等の情報が不明となってしまう。本実施例では、そのような場合であっても電源復帰時にはその中断された図柄変動の残りを円滑に再開できるよう電断投入時処理が実行される。
すなわち、メイン基板102には、電源ユニット48から電源供給を受けて稼動する処理ユニットが実装されている。この処理ユニットは、演算処理を実行するCPU、遊技プログラムが格納されたROM、遊技プログラムを実行する上で作業領域として機能する揮発性の処理用RAM、遊技データをバックアップするための不揮発性のバックアップRAM等を備えている。ROMには、遊技プログラムのほか、その遊技プログラムに初期状態を示すパラメータ群(以下、単に「初期状態データ」とよぶ)が保持される。電源が遮断されるとCPUが動作を停止し、処理用RAM上のデータも消失するが、バックアップRAMに格納された遊技データは保持される。ここでいう「遊技データ」とは、初期状態データと後述の中途状態データを含むデータであり、このうちの全部または一部のデータがバックアップの対象となる。
バックアップRAMは、中途状態データを保持する。ここでいう「中途状態データ」とは、前回の電源遮断時における遊技状態を示す遊技データである。電源が投入されると、CPUは、遊技プログラムをROMから処理用RAMにロードする。そして、バックアップRAMに適切な中途状態データが存在しないときには、初期状態データを処理用RAMにロードし、その初期状態データに基づいて遊技プログラムを実行することにより、初期状態から遊技を開始する。一方、バックアップRAMに中途状態データが適切にバックアップされていれば、CPUは、初期状態データの代わりに中途状態データを処理用RAMにロードし、その処理用RAMにロードされた中途状態データに基づいて遊技プログラムを実行する。これにより、電源遮断時に中断された遊技状態が再現可能となる。
電源が遮断されると、電源ユニット48から処理ユニットへの供給電圧は徐々に低下する。電源ユニット48の電圧監視手段は、その供給電圧が所定の電断判定値を下回ると、電断信号をメイン基板102の処理ユニットに向けて送信する。電断復帰制御手段128は、その電断信号を受信すると、特定の遊技データを退避するための電断時処理を実行する。すなわち、この電断時処理によって処理用RAM上の遊技データ、当否抽選結果や決定された変動パターン、図柄変動の有無などの遊技状態を含む中途状態データの全部または一部がバックアップRAMに退避される。電断時処理中には、通常の遊技処理はスリープする。供給電圧がCPUが稼動可能な最低電圧を下回ると、CPUは停止してしまう。このため、CPUは、供給電圧が所定の電断判定値を下回ってからさらに最低電圧を下回る前に電断時処理を完了させる。
一方、サブ基板104にも、電源ユニット48から電源供給を受けて稼動する処理ユニットが実装されている。この処理ユニットもCPU、ROM、処理用RAM等を備えている。ROMには、演出制御等の遊技プログラムが保持される。サブ基板104のパターン記憶手段140の機能は主としてROMにより実現され、その処理過程で用いられるフラグ等の情報が処理用RAMに記憶される。サブ基板104の他の手段の各機能は、主としてCPUが実行する遊技プログラムにより実現される。ただし、本実施例のサブ基板104はバックアップ機能を有しないため、電源が遮断されるとCPUが動作を停止し、処理用RAM上のデータは消失する。
電源が投入されると、CPUは、遊技プログラムをROMから処理用RAMにロードして遊技プログラムを実行する。装飾図柄の変動処理に関しては、位置判定手段136により逐次判定される各リールの位置情報(つまり有効ライン上に位置する図柄情報)が処理用RAMに格納される。仮に図柄変動中に停電等の外的要因により電源供給が遮断されると、装飾図柄の変動表示はその中断を余儀なくされ、処理用RAM上の位置情報データも消失する。本実施例では、そのような場合であっても電源復帰時にはその中断された装飾図柄の変動表示を速やかに再開できるように後述する電断投入時処理が実行される。
次に、本実施例における特徴的構成および制御の内容について説明する。本実施例では上述のように、停電など予期せぬ電源遮断が発生して図柄変動が途中で中断されたとしても、電源復帰時には電源遮断前に決定されていた変動パターンおよび停止図柄に応じて特別図柄および装飾図柄を停止させる。すなわち、電源遮断時における図柄変動の残存時間が短く、かつ電源遮断により各リールの停止位置が不定になったとしても、電源復帰時にサブ基板104側で各リールの位置決めを速やかに行うことで、変動停止コマンドの受信とともに装飾図柄を当否抽選結果を示す態様にて円滑に停止できるよう制御する。そのための構成および電断復帰制御の方法について説明する。
まず、リールユニット60の各リールの位置検出のための具体的構成およびその位置検出方法について説明する。図8〜図10は、リールユニットの構成を表す説明図である。各図においては便宜上、遊技盤50からリールユニット60を抜き出したものが示されている。図8(a)はリールユニット60の斜視図であり、図8(b)はリールユニット60を構成するリール装置の斜視図である。図9は、リール装置の分解斜視図である。図10(a)はリール装置の正面図であり、図10(b)は図10(a)の被検出部材231のみを抜き出した側面図である。
図8(a)に示すように、リールユニット60は、長方形状のケース200に左リール装置201,中リール装置203,右リール装置205を収容するように構成されている。各リール装置は、個別のリールとそれを駆動するモータ等のアクチュエータを含む。ケース200の内部には各リールを個別に回転させるためのアクチュエータや、各リールの回転方向の位置を検出するためのセンサが収容されており、そのアクチュエータへ駆動電流を供給したり、センサの出力信号を取り出したりするための図示しないハーネスが外部に引き出されている。ハーネスは、サブ基板104および電源ユニット48に接続されている。
すなわち、左リール装置201は左図柄191が配設された左リール206aを含み、中リール装置203は中図柄193が配設された中リール206bを含み、右リール装置205は右図柄195が配設された右リール206cを含む。左リール206a,中リール206bおよび右リール206cの3列のリールは、ケース200内の左右に並設され、その一部がケース200の前面側の開口部211から露出するように支持されている。すなわち、各リールは、その周面の一部が遊技者に提示可能に配置されている。なお、以下の説明において左リール206a,中リール206bおよび右リール206cを特に区別しない場合には、適宜「リール206」と総称する。
図8(b)に示すように、各リール装置(左リール装置201,中リール装置203,右リール装置205)は、ベース部材213に固定されたモータの回転軸にリール206が回転自在に支持されるようにして構成されている。そして、ベース部材213がケース200に固定されることにより、左リール206a,中リール206bおよび右リール206cが、その回転軸が同一軸線上に配置されるようにケース200に支持されている。各リール装置は、各リールの回転方向の位置を検出するための位置検出センサ215を備えている。
図9に示すように、ベース部材213には、モータ217、バックライト219、位置検出センサ215が配設されている。モータ217は、ステッピングモータからなり、その通電方向の切り替えにより正転又は逆転駆動される。バックライト219は断面円弧状の本体を有し、通電により複数の色に点灯又は点滅可能に構成されている。バックライト219は、リール206の内方に配置され、特定の演出が行われる際に点灯又は点滅されてリール206を内方から照らす。位置検出センサ215は、リール206に固定される後述の検出片を検出する。後述するように、リール206に設けられる複数の検出片をそれぞれ検出することにより、リール206の回転方向の位置ひいては遊技者に提示される図柄を検出することができる。
リール206は、透光性を有する円筒状のリール本体207を有し、そのリール本体207の外周面にそってリールテープ208を巻き付けるように貼付して形成される。リールテープ208には後述のように、その長手方向にそって複数の図柄(数字図柄「1」〜「6」および6つのブランク図柄「*」)が印刷されている。その複数の図柄は、リール本体207の外周面にそって等間隔(30度ごと)に印刷されている。リール206には、その一方の開口部を直径方向に架橋するように十字状の梁220が設けられており、その梁220の中心に円筒軸221が形成されている。リール206は、その円筒軸221がモータ217の回転軸に固定されることにより、モータ217に回転自在に支持される。リール206は、モータ217およびバックライト219の周囲を囲むように配設される。リール本体207が透光性を有するため、バックライト219の点灯又は点滅態様がリール206を装飾する形で演出的に提供されるようになる。
リール206には、3つの被検出部材231,232,233が取り付けられる。各被検出部材は、板状部材を十字状に加工して形成されたものである。被検出部材には、その中心から半径方向外向きに延びるアーム234が90度おきに設けられ、各アーム234の先端部の片側面に検出片235が突設されている。すなわち、各被検出部材には4つの検出片235が設けられており、被検出部材231、被検出部材232、被検出部材233の順にリール本体207に組み付けられる。
図10(a)に示すように、被検出部材231は、梁220にそった形でリール本体207に組み付けられる。被検出部材231の4つの検出片235は、梁220を厚み方向に貫通する挿通孔を介して位置検出センサ215側に延出する。被検出部材232は被検出部材231に対して30度ずれるように取り付けられ、被検出部材233は被検出部材232に対してさらに30度ずれるように取り付けられる。その結果、図示のように、3つの被検出部材231,232,233に設けられた12個の検出片235が位置検出センサ215が位置する円周上にそって等間隔(30度ごと)に配置される。
図10(b)に示すように、位置検出センサ215は、発光部と受光部とを有する透過型のフォトセンサからなり、各検出片235が発光部と受光部との間に位置して受光部による受光が遮断されたときに、該当する検出片235を検出する。12個の検出片235は、それぞれ遮光位置が異なる形状を有するため、演出表示制御手段134は、いずれの検出片235が検出されたか、つまりリール206の回転方向の位置を判定することができる。一方、各検出片が検出されるときにいずれかの図柄が後述する有効ライン上に位置するような位置関係が設定されているため、演出表示制御手段134は、位置検出センサ215の検出情報によりリール206に配されたいずれの図柄が有効ライン上に位置したかを判定することができる。なお、変形例においては、12個の検出片235の幅を異ならせ、それぞれモータ217の回転速度に対する遮光時間が異なるようにし、その遮光時間に基づいていずれの検出片235が検出されたか、ひいてはいずれの図柄が有効ライン上に位置したかを判定するようにしてもよい。
図11は、位置検出センサによる検出方法を示す模式図である。(a)〜(c)は、それぞれ位置検出センサ215による検出方法の具体例を示す説明図である。すなわち、本実施例では図11(a)に示すように、図柄番号1の図柄が第1有効ラインL1に到達したことを検出するための検出片235〜図柄番号12の図柄が第1有効ラインL1に到達したことを検出するための検出片235の合計12個の検出片235が設けられており、各検出片の長さ(発光部からの光を遮光する部分の長さ:「遮光長さ」ともいう)が異なっている。図示のように、位置検出センサ215は、12個の発光素子とそれに対応する12個の受光素子を含む。各発光素子から対向する受光素子に向けて発光されるため、受光素子は、その光が遮蔽されない限り、それを受光することができる。このため、例えば図柄番号1の図柄に対応する検出片が第1有効ラインL1に位置したときには1つの発光素子からの光が遮蔽され、図柄番号3の図柄に対応する検出片が第1有効ラインL1に位置したときには3つの発光素子からの光が遮蔽される。演出表示制御手段134は、受光素子の検出状況から検出片235が有効ラインに到達したときの遮光状態(または受光状態)を判定することにより、いずれの図柄が有効ライン上に位置したかを判定することができる。
なお、変形例においては、これとは異なる検出方法を採用してもよい。例えば図11(b)に示すように、各検出片の長さ方向に異なる態様で貫通孔を設け、各検出片による遮光態様(遮光位置の組み合わせ:「遮光パターン」ともいう)が異なるようにしてもよい。図示の例では、位置検出センサ215は、4個の発光素子とそれに対応する4個の受光素子を含む。各検出片における貫通孔は、発光素子と受光素子とをつなぐ複数の光路のいずれかに合わせて設けられる。このため、例えば図柄番号1の図柄に対応する検出片が第1有効ラインL1に位置したときには4つの発光素子からの光が全て受光素子側で検出される。また、図柄番号3の図柄に対応する検出片が第1有効ラインL1に位置したときには3つの発光素子からの光が受光される(特定の1つの位置の光は遮蔽される)。演出表示制御手段134は、受光素子の検出状況から検出片235が有効ラインに到達したときの遮光位置(または受光位置)のパターンを判定することにより、いずれの図柄が有効ライン上に位置したかを判定することができる。
あるいは、図11(c)に示すように、各検出片として光の透過率の異なるものを使用し、各検出片による透過率が異なるようにしてもよい。このようにしても、演出表示制御手段134は、いずれかの検出片235が有効ラインに到達したときの透過率(光の透過量や光の強度)を判定することにより、いずれの図柄が有効ライン上に位置したかを判定することができる。
図12は、各リールにおける図柄の配列と図柄番号との対応関係を示す説明図である。演出決定手段132は、各リールの図柄を図柄番号にて管理し、その図柄番号の組み合わせにより装飾図柄190の停止図柄を特定する。本実施例では「1」〜「12」の図柄番号が設定されている。通常の図柄変動制御においてリール206が正転される場合、各図柄は図柄番号「1」〜「12」の順に有効ライン上に表示されるようになる(図中矢印参照)。
図示のように、左図柄191については、図柄番号「1」に対して数字図柄「1」、図柄番号「2」に対してブランク図柄「*」、図柄番号「3」に対して数字図柄「2」、・・・といった具合に対応づけられている。すなわち、左図柄191は、図柄番号に対して数字図柄が昇順に対応づけられ、既に述べたように各数字図柄の間にはブランク図柄が設定される。中図柄193については、図柄番号「1」に対してブランク図柄「*」、図柄番号「2」に対して数字図柄「4」、図柄番号「3」に対してブランク図柄「*」、・・・といった具合に対応づけられている。すなわち、中図柄193も図柄番号に対して数字図柄が昇順に対応づけられ、各数字図柄の間にはブランク図柄が設定されるが、左図柄191とはその対応関係が異なっている。右図柄195については、図柄番号「1」に対して数字図柄「6」、図柄番号「2」に対してブランク図柄「*」、図柄番号「3」に対して数字図柄「5」、・・・といった具合に対応づけられている。すなわち、右図柄195は、図柄番号に対して数字図柄が降順に対応づけられ、各数字図柄の間にはブランク図柄が設定される。なお、このように左図柄191および中図柄193が昇順に配列されているのに対し、右図柄195が降順に配列されているのは、有効ラインを複数形成する(マルチラインを形成する)ためである。
図13は、電源復帰時に装飾図柄の決定のために参照される復帰図柄決定テーブルを模式的に示す図である。ただし、説明の便宜上、同図には復帰図柄決定テーブルの一部が示されている。また、テーブルの欄外にテーブルの構成方法を示すための装飾図柄(遊技者に提示される図柄の表示)の例を示している。
図柄態様決定手段131は、停電など予期せぬ電源遮断などにより図柄変動の途中で遊技の進行が中断されても、その電源復帰時に図柄変動を円滑に再開させるために、図柄変動の残り時間が少なくても装飾図柄を決定された停止図柄にて停止できるよう電源復帰時の停止図柄を決定する。すなわち、図柄態様決定手段131は、電源復帰時に3列の図柄(左図柄191,中図柄193,右図柄195)の位置情報を取得し、速やかに停止図柄組合せ(停止図柄パターン)を決定する。具体的には、電源復帰時の停止図柄パターンとして、当り図柄組合せではない特定図柄組合せを実質的に最短で停止させることができる最短停止図柄パターンを決定し、その情報を演出表示制御手段134に送る。演出表示制御手段134は、3列の図柄をその最短停止図柄パターンにて停止させるようリールユニット60の各リールを駆動する。
このため、図示の復帰図柄決定テーブルには、当り図柄組合せではない特定図柄組合せを構成する複数の停止図柄パターンが定義されている。なお、ここでいう「特定図柄組合せ」としては、当否抽選の結果が外れであることを示す外れ図柄組合せのほか、当否抽選の結果を示す停止図柄組合せの一部とはならないブランク図柄を含む図柄組合せが定義されている。なお、2R大当りおよび小当りであることを示す図柄組合せについても特定図柄組合せから除外されている。すなわち、上述のように左図柄191,中図柄193,右図柄195の停止図柄候補として数字図柄「1」〜「6」およびブランク図柄「*」が設けられていることから、それらの組合せのうち、大当りを示す図柄組合せ、小当りを示す図柄組合せが除外されたものを特定図柄組合せとして定義している。本実施例では上述のように、「135」および「246」が2R大当り又は小当りを示す図柄組合せとして設定されているため、これらの図柄組合せが除外される。なお、本実施例では、2R大当りおよび小当りについては中央の横ライン(図14の有効ラインL1)にのみ表示されるように制御される。変形例においては、上下の横ライン(有効ラインL2,L3)や斜めライン(L4,L5)においても表示されるようにしてもよい。その場合には、各有効ラインにおいて2R大当りおよび小当りを示す図柄組合せについても除外されるように復帰図柄決定テーブルが構成される。
すなわち、図示のように、左図柄191が「1」である特定図柄組合せとして、「1*6」,「1**」・・・といった図柄組合せが選択対象として設定されている。ただし、図柄態様決定手段131は、その図柄組合せを図柄番号の組み合わせとして管理しているため、例えば装飾図柄「1*6」については、図柄番号(1,1,1)として管理される。図示のように、装飾図柄「1*6」については、いずれの有効ラインについても大当りおよび小当りは示されていない。また、同図に太枠にて示した部分から分かるように、特定図柄組合せからは大当りを示す「111」や2R大当り又は小当りを示す「135」等が除外されている。すなわち、装飾図柄「111」に対応する図柄番号(1,8,11)や装飾図柄「135」に対応する図柄番号(1,12,3)については除外されている(図中の×を参照)。図柄態様決定手段131は、電源復帰時に有効ライン上又はその近傍に位置する図柄情報を取得したうえで図示の復帰図柄決定テーブルを参照し、3列の図柄による図柄組合せを最短で停止できる最短停止図柄パターンを決定する。
図14は、電源復帰時の装飾図柄の変動制御方法を示す説明図である。同図(a)〜(d)は装飾図柄の変動過程の一例を示している。図15は、電源復帰時の装飾図柄の変動制御を例示するタイミングチャートである。同図には上段から左リール206a(左図柄191)の変動状態、左リール206aを駆動するモータの動作状態、中リール206b(中図柄193)の変動状態、中リール206bを駆動するモータの動作状態、右リール206c(右図柄195)の変動状態、右リール206cを駆動するモータの動作状態をそれぞれ示している。同図の横軸は時間の経過を示している。
図14(a)に示すように、リールユニット60においては左リール206a,中リール206b,右リール206cが個別に回転駆動されることにより、左図柄191,中図柄193,右図柄195が変動表示される。なお、同図には、電源復帰時の図柄変動状態が示されており、複数列の図柄は通常時の図柄変動とは逆方向(上方向)に回転する例が示されている。変形例においては、電源復帰時においても通常時と同様に正方向(下方向)に回転させるようにしてもよい。各リールの図柄列には、その上段,中段,下段に3つの図柄が表示可能となっており、図示のように、3列の図柄組合せにより当否抽選の結果を表示可能なライン(有効ライン)が5つ形成される。すなわち、中段の横ラインである第1有効ラインL1、上段の横ラインである第2有効ラインL2、下段の横ラインである第3有効ラインL3、斜めラインである第4有効ラインL4および第5有効ラインL5が形成される。このため、いずれの有効ラインにて当り図柄組合せが表示されても大当りが示されることになる。ただし、有効ライン上にブランク図柄「*」が表示されると、その有効ラインは当否抽選結果を示すラインとしては機能しなくなる。つまり、上述のように、ブランク図柄「*」は有効ラインを制限する図柄として機能する。
ところで、電源遮断前に決定され変動表示が開始された当否抽選結果が外れであったにもかかわらず、電源復帰後に当り図柄組合せが表示された場合、最終的には外れ図柄組合せとなるよう調整変動を行えばよいとも言える。しかし、一旦当り図柄組合せが表示された後に外れの結果を示すことは、大当りを認識した遊技者を落胆させることにもなり、遊技機の稼働率向上を図る点で好ましくない。一方、本実施例では上述のように、サブ基板104側で電源遮断時の図柄の変動制御状態のバックアップはなされない。しかも、本実施例では当否抽選結果の情報は電断復帰コマンドには伴わず、その後に送信される変動停止コマンドに伴って送られてくる。このため、電源復帰時の装飾図柄の表示状態は不明となってしまう。そこで、本実施例では、第1有効ラインL1を基準とし、各図柄列において電源復帰時にその第1有効ラインL1に最短で到達する図柄を検出し、その第1有効ラインL1上に表示される図柄の図柄番号を把握する。そして、その第1有効ラインL1に大当りおよび小当りのいずれも示さない特定図柄組合せを速やかに停止できるように制御する。当否抽選の結果が外れであれば、その特定図柄組合せをそのまま停止させればよく、大当りや小当りであればその後の調整変動により停止図柄組合せを変更すればよい。
本実施例では、電源復帰時の装飾図柄の変動制御において、左図柄191、中図柄193、右図柄195の順に回転を開始し、第1有効ラインL1上に順次位置する左図柄191および中図柄193に応じて特定図柄組合せとなる最短停止図柄パターンを決定する。本実施例では、左図柄191が「基準図柄」に該当する。そして、特別図柄192の停止タイミングに合わせて右図柄195を停止させることにより当否抽選結果を表示する。すなわち、電源遮断状態から復帰し、メイン基板102からの電断復帰コマンドを受信すると(時刻t1)、図14(a)および図15の上段に示すように、まず左リール206aが駆動される。そして、最短で第1有効ラインL1に位置した左図柄191が検出されると、図14(b)に示すように、その左図柄191を停止させる(本実施例では有効ライン上で微少な揺れ変動をする擬似停止状態とする)。図柄態様決定手段131は、このとき第1有効ラインL1上に位置する左図柄191の図柄番号を特定する。
続いて、図14(b)および図15の中段に示すように、中リール206bが駆動される。そして、最短で第1有効ラインL1に位置した中図柄193が検出されると、図14(c)に示すように、その中図柄193を停止させる(本実施例では有効ライン上で微少な揺れ変動をする擬似停止状態とする)。図柄態様決定手段131は、このとき第1有効ラインL1上に位置する中図柄193の図柄番号を特定する。そして、この段階で特定された左図柄191と中図柄193の図柄番号の組合せを用いて図13の復帰図柄決定テーブルを参照し、右図柄195を含む特定図柄組合せを最短で停止可能な最短停止図柄パターンを選択する。図示の例では、左図柄191と中図柄193との図柄組合せが「11」であるため、図柄態様決定手段131は、右図柄195として「1」を除いて最短で停止可能な「*」が選択されるよう停止図柄パターン(1,8,12)を決定する。
続いて、図14(c)および図15の下段に示すように、右リール206cが駆動される。そして、右図柄195として第1有効ラインL1に停止図柄パターン(1,8,12)にしたがう「*」が位置したことが検出されると、図14(d)に示すように、その右図柄195を停止させる(本実施例では有効ライン上で微少な揺れ変動をする擬似停止状態とする)。演出表示制御手段134は、メイン基板102からの変動停止コマンドを受信すると、3列の図柄を確定的に停止させる(時刻t2)。
図16は、ぱちんこ遊技機における基本的な動作過程を示すフローチャートである。まず、所定の電源投入時処理を実行する(S10)。この電源投入時処理は、電源が投入されたときに遊技データをロードして遊技プログラムを正常に動作させるものである。この電源投入時処理は、通常は遊技機の起動が正常に終了された場合の電源投入時に実行されるが、停電などの予期しない電源遮断後の再投入時にも電断復帰処理として実行される。この断復帰処理の内容については説明の便宜上、S20の電断時処理の説明の後に述べることにする。
続いて、遊技球が始動口62、一般入賞口72、大入賞口66などへ入球した場合の処理を実行し(S11)、通常遊技中であれば(S12のY)、当否抽選などの通常遊技の制御処理を実行し(S14)、通常遊技中でなければ(S12のN)、特別遊技の制御処理(S16)や、小当り遊技の制御処理を実行し(S17)、S10の入賞処理においてセットされた賞球数により各種の入賞に応じた賞球払出を処理する(S18)。電源の遮断が検出されると、上述した電断時処理を実行する(S20)。
図17は、図16におけるS14の通常遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。通常遊技制御処理において、当否抽選値の保留がなされている場合であって(S30のY)、図柄変動が表示中でなければ(S32のN)、当否抽選手段112が当否判定処理を実行する(S34)。その判定結果に応じてメイン表示制御手段118が変動表示を開始するとともに、変動開始コマンドを演出表示制御手段134へ送信し、これを受信した演出表示制御手段134が変動演出パターンにしたがって演出画像の変動表示を開始する(S36)。S30において当否抽選値が保留されていなかった場合は(S30のN)、S32からS36までの処理がスキップされ、S32において図柄変動が表示中であった場合は(S32のY)、S34およびS36の処理がスキップされる。続いて、図柄変動表示がすでに開始されていれば(S38のY)、図柄変動表示処理を実行し(S40)、図柄変動表示が開始されていないときは(S38のN)、S40をスキップする。
図18は、図17におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。まず、当否抽選手段112が当否抽選値を読み出して(S42)、その当否抽選値に基づいて当否を判定する(S44)。図柄決定手段114は、当否判定結果に基づいて特別図柄の停止図柄を決定し(S46)、変動パターン決定手段115が特別図柄の変動パターンを選択する(S48)。なお、演出決定手段132は、当否判定結果および特別図柄に基づいて装飾図柄の停止図柄組合せを決定し、特別図柄の変動パターンに応じて装飾図柄の変動演出パターンを選択する。
図19は、図16におけるS16の特別遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が大当りであった場合(S90のY)、すでに特別遊技が開始済みであって(S92のY)、大入賞口66が開放済でなければ(S98のN)、大入賞口66の開放処理を実行する(S100)。このとき、設定された大当り演出の表示も開始する。大入賞口66が開放済みであれば(S98のY)、大入賞口66の閉鎖処理を実行する(S102)。その結果、大入賞口66が閉鎖状態になっていれば(S104のY)、S106へ移行する。閉鎖状態でなければ(S104のN)、S106以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S92において特別遊技が開始済みでない場合は(S92のN)、特別遊技を開始して(S94)、その開始デモ演出の表示を開始し(S96)、本処理を一旦終了する。
S106においては、特別遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。なお、ここでいう「デモ演出」は、開始デモ演出および終了デモ演出を含む。デモ演出中でなければ(S106のN)、後述する終了フラグを参照して特別遊技終了条件が満たされるか否かを判定し(S110)、特別遊技終了条件が満たされていれば(S110のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S112)、終了デモ演出の表示を開始する(S114)。特別遊技終了条件が満たされていなければ(S110のN)、本処理を一旦終了する。S106にてデモ演出中であると判定され(S106のY)、終了デモ演出が終了した場合(S116のY)、特別遊技を終了し(S118)、特定遊技、すなわち確変、時短、および入球容易状態を開始する(S120)。終了デモ演出が終了していない場合は(S116のN)、S118およびS120の処理をスキップする。大当りでない場合は(S90のN)、本図のS92以降のフローをスキップする。
図20は、図19におけるS100の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の開放タイミングとなったとき(S122のY)、開閉制御手段124は、通過フラグを一律にオフにするとともに開閉パターンの動作を設定し(S124)、大入賞口66を開放させる(S126)。また、現在の単位遊技の繰り返し回数に対応した大当り演出、または繰り返し回数が異なる回数になることに対応した大当り演出を設定して開始する。開放タイミングでないときは(S122のN)、S124およびS126の処理をスキップする。
図21は、図19におけるS102の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の閉鎖タイミングとなったとき、開閉制御手段124は大入賞口66を閉鎖させる。すなわち、特別遊技中において、入球数による終了条件が満たされるか(S130のY)、入球数による終了条件が満たされなくとも(S130のN)、開放時間による終了条件が満たされれば(S132のY)、大入賞口66を閉鎖する(S134)。開放時間による終了条件も満たされなければ(S132のN)、S134以降のフローをスキップする。
なお、15R大当りにおける入球数による終了条件は大入賞口66への10球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口66の開放開始から開閉パターンに沿った設定時間の経過である。15R大当りの場合は、その開放開始から30秒の経過であり、2R大当りの場合は、その開放開始から0.5秒の経過である。ただし、0.5秒の開放は極めて短いため、10球以上の入球はもちろん、入球そのものが困難である。その大入賞口の開放と同時に遊技球を打ち出したとしても入球困難であるため、大入賞口66の極短開放が行われる2R大当りについては、大入賞口66の開放前にその開放を予測して遊技球を打ち出す必要がある。一方、15R大当りにおける入球数による終了条件は大入賞口への10球以上の入球であり、開放時間による終了条件は、大入賞口66の開放開始から30秒の経過である。このとき、継続上限回数に達していれば(S136のY)、終了フラグをオンにする(S138)。継続上限回数に達していなければ(S136のN)、S138の処理をスキップする。本実施例においてこの継続上限回数は15回である。入球数による終了条件および開放時間による終了条件のいずれも満たされていなければ(S130のN,S132のN)、S134以降の処理をスキップする。
図22は、図16におけるS17の小当り遊技制御処理を詳細に示すフローチャートである。当否抽選の結果が小当りであった場合(S150のY)、既に小当り遊技が開始済みであって(S152のY)、大入賞口66が開放済でなければ(S158のN)、大入賞口66の開放処理を実行し(S160)、開放済みであれば(S158のY)、大入賞口66の閉鎖処理を実行する(S162)。その結果、大入賞口66が閉鎖状態になっていれば(S164のY)、S166へ移行する。閉鎖状態でなければ(S164のN)、S166以降の処理をスキップして本処理を一旦終了する。一方、S152において小当り遊技が開始済みでない場合は(S152のN)、小当り遊技を開始して(S154)、2R大当りと同様の開始デモ演出の表示を開始し(S156)、本処理を一旦終了する。
S166においては、小当り遊技中の演出であるデモ演出中であるか否かを判定する。デモ演出中でなければ(S166のN)、小当り遊技終了条件が満たされたか否かを判定する。ここでは、後述する終了フラグがオンになっていれば、小当り遊技終了条件が満たされることになる。小当り遊技終了条件が満たされていれば(S170のY)、その終了フラグをオフにしたうえで(S172)、終了デモ演出の表示を開始する(S174)。小当り遊技終了条件が満たされていなければ(S170のN)、本処理を一旦終了する。S166にてデモ演出中であると判定され(S166のY)、終了デモ演出が終了した場合(S176のY)、小当り遊技を終了する(S178)。終了デモ演出が終了していない場合は(S176のN)、S178の処理をスキップする。小当りでない場合は(S150のN)、本図のS152以降のフローをスキップする。
図23は、図22におけるS160の開放処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の開放タイミングとなったとき(S180のY)、開閉制御手段124は、開閉パターンの動作を設定し(S182)、大入賞口66の開放を開始する(S184)。開放タイミングでないときは(S180のN)、S182およびS184の処理をスキップする。
図24は、図22におけるS162の閉鎖処理を詳細に示すフローチャートである。設定された開閉パターンに基づく大入賞口66の終了タイミングとなったとき(S190のY)、終了フラグをオンにし(S192)、大入賞口66を閉鎖する(S194)。なお、この閉鎖タイミングは、大入賞口66の開放開始から0.5秒の経過したタイミングである。閉鎖タイミングでなければ(S190のN)、S192およびS194の処理をスキップする。
図25は、図16のS20における電断時処理を詳細に示すフローチャートである。
メイン基板102に電断信号が入力されると(S220のY)、図16から図24に示した通常の遊技処理は停止され、図柄変動情報を含む遊技状態を保存する処理が実行される。電断復帰制御手段128は、バックアップ対象となる遊技データを特定し、チェックサム(以下、「第1チェックサム」とよぶ)を生成してバックアップRAMに記録する(S222)。チェックサムの生成方式は、例えばその遊技データの特定の下位ビットに対して所定の加算処理を施すなど、既知の方式であればよい。このとき特定される遊技データには中途状態データが含まれており、電断復帰制御手段128は、その遊技データをバックアップRAMに退避させる(S224)。この遊技データのバックアップが正常に完了すると、バックアップRAMの所定領域に設定された正常処理フラグをオンにする(S226)。一方、電断信号の入力がなければ(S220のN)、本処理はスキップされる。なお、変形例においてはS226の処理を省略してもよい。
図26は、図16のS10に関連する電断復帰処理を詳細に示すフローチャートである。上述のように電源が遮断された後に再投入されると、まずサブ基板104が起動し、続いてメイン基板102が起動する。本実施例では、電源復帰時に電源ユニット48からメイン基板102への電源供給タイミングをサブ基板104への電源供給タイミングよりも設定時間遅延させることで、サブ基板104をメイン基板102よりも先に起動させる。なお、変形例においては、電源投入時にメイン基板102にて実行されるリセット処理のタイミングを、サブ基板104にて実行されるリセット処理のタイミングよりも遅延させることで、サブ基板104をメイン基板102よりも先に起動させるようにしてもよい。メイン基板102からそのメイン基板102が起動したタイミングで電断復帰コマンドとともに送信される遊技状態を含む各種コマンド情報をサブ基板104側で取りこぼさないようにするためである。電断復帰制御手段128は、RAMクリアスイッチ92がオンにされていれば(S230のY)、初期化実行手段127に上述した初期化処理を実行させる(S232)。このとき、バックアップRAMに中途状態データ等の遊技データが保持されていれば、消去される。RAMクリアスイッチ92がオンにされていない場合(S230のN)、電源遮断時の遊技状態を再現するための「再現処理」が実行される。すなわち、電断復帰制御手段128は、まずバックアップRAMを参照し、正常判定フラグがオンにされているかを判定する。そして、正常判定フラグがオンにされていれば(S234のY)、バックアップRAMから処理用RAMに中途状態データをロードするとともに、電源遮断時に生成した第1チェックサムも取得する。続いて、ロードした中途状態データから、第1チェックサムの生成方式と同一方式にて新たなチェックサム(以下、「第2チェックサム」とよぶ)を生成し、第1チェックサムと第2チェックサムとが一致するか否かを判定する。このとき、両チェックサムが一致していれば(S236のY)、ロードした中途状態データに基づいて、電源遮断時の遊技状態を再現する(S238)。
電源遮断時において図柄変動が途中で中断されていた場合には、メイン基板102において、この電源再投入時に電断復帰制御手段128がメイン表示制御手段118に特別図柄192の図柄変動を再開させる。また、電断復帰制御手段128は、その図柄変動が再開されたことを示す電断復帰コマンドをサブ基板104に送信する。サブ基板104には、この電断復帰コマンドとともに、メイン基板102における電源復帰時の遊技状態として図柄変動中である旨の情報、当否抽選結果の保留状態等の情報が送られる。サブ基板104においては、演出表示制御手段134がリールユニット60の駆動を開始し、位置判定手段136が各リールの位置を検出する。図柄態様決定手段131は、上述のように、検出された図柄情報に基づき最短停止図柄パターンを決定し、演出表示制御手段134は、その最短停止図柄パターンにしたがった停止図柄が停止表示されるよう制御する。なお、この装飾図柄の変動復帰制御の具体的処理内容については後述する。そして、正常処理フラグをオフにし(S240)、本処理を一旦終了する。
一方、正常処理フラグがオフになっている場合(S234のN)、チェックサムが一致しなかった場合には(S236のN)、S232へ移行して初期化処理を実行し、ROMから初期状態データをロードして、初期状態から遊技を開始する。
図27は、図26のS238に関連する変動復帰処理を詳細に示すフローチャートである。メイン基板102から電断復帰コマンドが送信され、サブ基板104側でこれを受信すると(S250のY)、演出表示制御手段134は、左リール206aの回転を開始する(S252)。そして、第1有効ラインL1に最初に到達した左図柄191が検出されると(S254のY)、その左図柄191を第1有効ラインL1上に擬似停止する(S256)。すなわち、微少な揺れ変動とする。
続いて、中リール206bの回転を開始する(S258)。そして、第1有効ラインL1に最初に到達した中図柄193が検出されると(S260のY)、その中図柄193を第1有効ラインL1上に擬似停止する(S262)。すなわち、微少な揺れ変動とする。図柄態様決定手段131は、このとき擬似停止されている左図柄191と中図柄193の図柄番号の組合せを用いて復帰図柄決定テーブルを参照し、右図柄195を含む特定図柄組合せを最短で停止可能な最短停止図柄パターンを決定する(S264)。そして、演出表示制御手段134は、右リール206cの回転を開始する(S266)。そして、最短停止図柄パターンにしたがう右図柄195が第1有効ラインL1に到達したことが検出されると(S268のY)、その右図柄195を第1有効ラインL1上に擬似停止する(S270)。すなわち、微少な揺れ変動とする。そして、メイン基板102から変動停止コマンドが送信され、サブ基板104側でこれを受信すると(S272のY)、演出表示制御手段134は、左図柄191,中図柄193および右図柄195の全てを確定的に停止させる(S274)。なお、電断復帰コマンドを受信しなければ(S250のN)、本処理を一旦終了する。
以上に説明したように、本実施例においては、停電など予期せぬ電源遮断などにより図柄変動中に遊技が中断されても、その電源復帰時にはその中断状態から残余の図柄変動が円滑に処理される。すなわち、本実施例ではメイン基板102のバックアップ機能により中断時の遊技状態が記憶されるため、電源復帰時にその図柄変動中であった旨の情報と変動残余時間とが読み出されて図柄変動が再開される。一方、サブ基板104は、バックアップ機能を有していないために、電源遮断時における図柄変動情報、当否抽選結果の情報、変動残余時間等の情報を記憶しておらず、また電源遮断後の各リールの位置が不定であるため、そのまま図柄変動制御を開始することはできない。しかも、電源復帰時にメイン基板102から送られる電断復帰コマンドには図柄変動中である旨の情報は含まれるものの、当否抽選結果や変動残余時間の情報等は含まれない。しかし、サブ基板104ではどのようなタイミングで変動停止コマンドを受信しようとも、その受信タイミングに合わせて装飾図柄を当否抽選結果を示す態様にて停止させなければならない。本実施例では、それを可能とするために、電源復帰時にメイン基板102から図柄変動情報が送られてくることを前提とした装飾図柄の変動再開および停止のための準備処理が行われる。
すなわち、電源復帰時にサブ基板104側では、複数列のリール(左リール206a,中リール206b,右リール206c)が回転され、各リールにおいて第1有効ラインL1に最初に到達する図柄(最短図柄)がそれぞれ検出され、各リールにおける図柄の位置(有効ライン上の図柄)が特定される。そして、その第1有効ラインL1に大当りおよび小当りのいずれも示さない特定図柄組合せを速やかに停止できるように制御される。当否抽選の結果の大半は外れであるため、変動停止コマンドの受信とともにその特定図柄組合せをそのまま停止すれば足りる場合がほとんどとなる。つまり、メイン基板102における特別図柄192の停止に同期し、当否抽選結果についても整合する形で、装飾図柄190を停止させることが可能となる。すなわち、仮に変動残余時間が少なかったとしても、中断状態から再開された特別図柄192の変動パターンにしたがって装飾図柄190を停止させることが可能になる。
以上、実施例1について説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
(変形例1)
上記実施例では、左図柄191および中図柄193をその回転から最短で停止させ、停止させて両図柄に基づき最短停止図柄パターンを特定し、残る右図柄195を回転させて特定図柄組合せ(当り図柄組合せとならない図柄組合せ)にて停止させる例を示した。変形例においては、それとは異なる手順で特定図柄組合せを停止させるようにしてもよい。図28は、変形例に係る電源復帰時の装飾図柄の変動制御方法を示す説明図である。同図は図14に対応する。図29は、変形例に係る電源復帰時の装飾図柄の変動制御を例示するタイミングチャートである。同図は図15に対応する。
本変形例においても、電源復帰時の装飾図柄の変動制御において、左図柄191、中図柄193、右図柄195の順に回転を開始して最短停止図柄パターンを決定するが、2番目に回転を開始する中図柄193の停止方法が上記実施例とは異なる。具体的には、中図柄193として左図柄191とは大当りおよび小当りのいずれの図柄組合せも構成し得ない非テンパイ図柄が第1有効ラインL1に最初に到達したときに中リール206bを擬似停止させる。本変形例では、非テンパイ図柄となる左図柄191と中図柄193との組み合わせパターンが最短停止図柄パターンとして設定されている。図柄態様決定手段131は、左図柄191に基づいて最短停止図柄パターンを特定し、その最短停止図柄パターンにしたがって最短で停止可能な中図柄193を特定する。演出表示制御手段134は、このように特定された中図柄193を停止させた後に右図柄195を回転させ、最短で第1有効ラインL1に到達した図柄にて停止させるようにする。
すなわち、電源遮断状態から復帰し、メイン基板102からの電断復帰コマンドを受信すると(時刻t1)、図28(a)および図29の上段に示すように、まず左リール206aが駆動される。そして、最短で第1有効ラインL1に位置した左図柄191が検出されると、図28(b)に示すように、その左図柄191を停止させる(本変形例では有効ライン上で微少な揺れ変動をする擬似停止状態とする)。図柄態様決定手段131は、このとき第1有効ラインL1上に位置する左図柄191の図柄番号を特定する。そして、この段階で復帰図柄決定テーブルを参照し、左図柄191と非テンパイ図柄となり、第1有効ラインL1に最初に到達する中図柄193を特定する。図示の例では、左図柄191が「1」であるため、図柄態様決定手段131は、中図柄193として「1」を除いて最短で停止可能な「*」が選択されるよう停止図柄パターンを決定する。
続いて、図28(b)および図29の中段に示すように、中リール206bが駆動される。特定された中図柄193が第1有効ラインL1に位置したことが検出されると、図28(c)に示すように、その中図柄193を停止させる(本変形例では有効ライン上で微少な揺れ変動をする擬似停止状態とする)。
続いて、図28(c)および図29の下段に示すように、右リール206cが駆動される。そして、最短で第1有効ラインL1に位置した右図柄195が検出されると、図28(d)に示すように、その右図柄195を停止させる(本変形例では有効ライン上で微少な揺れ変動をする擬似停止状態とする)。演出表示制御手段134は、メイン基板102からの変動停止コマンドを受信すると、3列の図柄を確定的に停止させる(時刻t2)。
(変形例2)
上記実施例では、左図柄191、中図柄193、右図柄195の順に回転を開始し、最短停止図柄パターンとなるように停止させる例を示した。本変形例においては、3列の図柄の回転を同時に開始し、特定図柄組合せにて停止させる。図30は、変形例に係る電源復帰時の装飾図柄の変動制御方法を示す説明図である。同図は図14に対応する。図31は、変形例に係る電源復帰時の装飾図柄の変動制御を例示するタイミングチャートである。同図は図15に対応する。
本変形例においては、電源遮断状態から復帰し、メイン基板102からの電断復帰コマンドを受信すると(時刻t1)、図30(a)および図31の上段に示すように、左リール206a、中リール206bおよび右リール206cの回転駆動が同時に開始される。そして、第1有効ラインL1上への到達が最初に検出された図柄を有するリールを最初に停止させて基準図柄とする。図示の例では、左図柄191の「1」が第1有効ラインL1に最初に到達したため、図30(b)に示すように、その左図柄191を停止させている(本変形例では有効ライン上で微少な揺れ変動をする擬似停止状態とする)。図柄態様決定手段131は、このとき第1有効ラインL1上に位置する左図柄191の図柄番号を特定する。なお、仮に中図柄193又は右図柄195の図柄が第1有効ラインL1に最初に到達した場合には、その図柄を基準図柄として停止させる。
続いて、次に右図柄195の「1」が第1有効ラインL1に到達したため、図30(c)に示すように、その右図柄195を停止させている(本変形例では有効ライン上で微少な揺れ変動をする擬似停止状態とする)。図柄態様決定手段131は、このとき第1有効ラインL1上に位置する右図柄195の図柄番号を特定する。そして、この段階で特定された左図柄191と右図柄195の図柄番号の組合せを用いて図13の復帰図柄決定テーブルを参照し、中図柄193を含む特定図柄組合せを最短で停止可能な最短停止図柄パターンを選択する。図示の例では、左図柄191と右図柄195との図柄組合せが「1−1」であるため、図柄態様決定手段131は、中図柄193として次に第1有効ラインL1に到達する「1」ではなく「*」が選択されるよう装飾図柄「1*1」に対応する最短停止図柄パターン(1,9,11)を決定する。
続いて、図30(d)および図31の下段に示すように、中図柄193として第1有効ラインL1に最短停止図柄パターンにしたがう「*」が位置したことが検出されると、その中図柄193を停止させる(本実施例では有効ライン上で微少な揺れ変動をする擬似停止状態とする)。演出表示制御手段134は、メイン基板102からの変動停止コマンドを受信すると、3列の図柄を確定的に停止させる(時刻t2)。
(変形例3)
本変形例においては、3列の図柄の回転を同時に開始し、各リールにおいて第1有効ラインL1上への到達が最初に検出された図柄の組み合わせに基づき、その状態から最短で特定図柄組合せが構成されるように最短停止図柄パターンを特定する。図32は、変形例に係る電源復帰時の装飾図柄の変動制御方法を示す説明図である。同図は図14に対応する。図33は、変形例に係る電源復帰時の装飾図柄の変動制御を例示するタイミングチャートである。同図は図15に対応する。
本変形例においては、電源遮断状態から復帰し、メイン基板102からの電断復帰コマンドを受信すると(時刻t1)、図32(a)および図33の上段に示すように、左リール206a、中リール206bおよび右リール206cの回転駆動が同時に開始される。そして、図32(b)に示すように、各リールにおいて第1有効ラインL1上への到達が最初に検出された図柄と2番目に検出された図柄とを停止させる。図示の例では、左図柄191および中図柄193の図柄組合せとして「11」が停止され(左図柄191と中図柄193については有効ライン上で微少な揺れ変動をする擬似停止状態とする)、右図柄195として「1」が第1有効ラインL1に差し掛かっている。図柄態様決定手段131は、このとき第1有効ラインL1上に位置する3列の図柄の図柄番号を特定する。ここで、右図柄195を「1」で擬似停止状態としないのは、遊技者に対し、装飾図柄として「111」という当り図柄組合せが表示された後に特定図柄組合せに変更されるような不利な印象を与えないようにするためである。
そして、この段階で特定された3列の図柄の図柄番号の組合せを用いて図13の復帰図柄決定テーブルを参照し、特定図柄組合せを最短で停止可能な最短停止図柄パターンを選択する。図示の例では、最短停止図柄パターンとして装飾図柄「116」に対応する(1,8,1)が決定されている。
続いて、図32(d)および図33の下段に示すように、決定された最短停止図柄パターンにしたがって各図柄を変動させる。図示の例では、左図柄191および中図柄193については停止状態に保持され、右図柄195が回転されて「6」にて停止されている(本実施例では有効ライン上で微少な揺れ変動をする擬似停止状態とする)。演出表示制御手段134は、メイン基板102からの変動停止コマンドを受信すると、3列の図柄を確定的に停止させる(時刻t2)。
(変形例4)
上記実施例では、図9および図10に示したように、リール206に配された図柄数(数字図柄およびブランク図柄を合わせて12個)に対応する12個の検出片235を設け、位置検出センサ215にてリール206の回転方向の位置ひいては有効ライン上に位置する図柄を検出する例を示した。変形例においては、例えば数字図柄又はブランク図柄に対応する数の検出片を設け、位置検出センサ215にてそれらを検出するようにしてもよい。その場合、検出片235が対応しない図柄が有効ラインに位置したか否かについては、検出片235が対応する図柄の位置を基準とするモータ217のステップ数から算出するようにしてもよい。あるいは、検出片235を一つ又は複数設け、位置検出センサ215を複数設けることにより、複数の図柄を検出できるようにしてもよい。
(変形例5)
上記実施例では、図14に実線にて示したように、左図柄191,中図柄193および右図柄195の回転をこの順序で開始し、同じ順序で停止させる例を示した。変形例においては、図14に波線にて示したように、左図柄191,中図柄193および右図柄195の全てのリールの回転を同時に開始し、予め定める順序にて停止させるようにしてもよい。すなわち、各リールの回転開始タイミングは同じにする一方、回転停止タイミングは順次行うようにしてもよい。
(変形例5)
上記実施例では、サブ基板104側において電源遮断時の遊技制御状態のバックアップがなされない構成について示した。変形例においては、サブ基板104側においても電源遮断時の遊技制御状態のバックアップがなされてもよい。ただし、サブ基板104側においてそのようなバックアップがなされても、電源遮断から各リールの回転が停止するまでには時間を要する。すなわち、各リールの位置情報についてはバックアップしてもほとんど意味をなさなくなる。このため、上記実施例のようにサブ基板104において電源復帰コマンドを受信してから図柄変動再開のための処理をする意義はある。ただし、当否抽選の結果などがバックアップされていれば、その情報の基づいて装飾図柄190の停止準備ができるようになり、図柄変動制御において有利にはなる。言い換えれば、サブ基板104側において電源遮断時の遊技制御状態のバックアップがなされない上記実施例の構成であるからこそ、上記実施例の効果がより顕著に発揮されるようになる。
[実施例2]
本実施例のぱちんこ遊技機10は、主に変動復帰処理の方法が実施例1と異なる。その他の構成や遊技方法は基本的に実施例1と共通するため、相違点を中心に説明し、共通点の説明は省略する。
図34は、各リールにおける図柄の配列と図柄番号との対応関係を示す説明図であり、図11に対応する。本実施例においては、変動復帰処理における装飾図柄の停止準備を変動初期化処理に続けて実行する。なお、変動初期化処理は、モータ217の回転制御量(ステップ数)とリール206の実際の回転量(ステップ数)とが整合し、装飾図柄の正確な変動表示制御を開始可能であることを確認するための処理である。具体的には、各リールの基準位置を検出し、その位置を基準として1回転分に相当するステップ数でリールを駆動し、その1回転分の回転駆動により再度基準位置が検出されれば正常と判定する。一方、その1回転分の回転駆動により再度基準位置が検出されなければエラー報知を行う。なお、この基準位置の検出処理は、エラー報知の前に複数回繰り返し実行してもよい。そして、複数回実行してもなお正常でないと判定された場合にエラー報知を行うようにしてもよい。
本実施例における電源復帰時の処理内容の概要は次のとおりである。すなわち、本実施例では、図中太枠で示した図柄番号(3,3,3)の停止図柄パターン(「基準停止図柄パターン」ともいう)が第1有効ラインL1に表示されるときの各リールの位置を基準位置に設定している。したがって、変動初期化処理が正常に終了したときには、装飾図柄として「2*5」の図柄組合せが停止表示されることになる。続いて、左図柄191については停止状態を維持したまま、中図柄193と右図柄195とを変動させ、あと一つ図柄が揃えば通常大当り(確変移行を伴わない大当り)を示す態様の外れ図柄組み合わせにて疑似停止させる。本実施例では、中図柄193として図中太枠で示した図柄番号8の図柄「1」を設定し、右図柄195として図中太枠で示した図柄番号9の図柄「2」を設定する。その結果、装飾図柄として、通常大当りを示す図柄に対して数字図柄が1コマ分ずれた「212」が疑似停止(揺れ変動)された状態で維持される。そして、変動停止コマンドを受信すると、当否抽選結果に応じた図柄組合せにて装飾図柄を確定的に停止表示させる。以下、その詳細について説明する。
図35および図36は、電源復帰時の装飾図柄の変動制御方法を示す説明図である。各図の(a)〜(d)は、変動復帰処理中における装飾図柄の変動過程の一例を示している。図37〜図39は、電源復帰時の装飾図柄の変動制御を例示するタイミングチャートである。図37は当否抽選結果が外れであった場合を示し、図38は当否抽選結果が通常大当りであった場合を示し、図39は当否抽選結果が確変大当り(確変移行を伴う大当り)であった場合を示している。
すなわち、電源復帰時に変動復帰処理が開始されると、図35(a)に示すように、左リール206a、中リール206bおよび右リール206cの全てのリールが同時に回転駆動される。そして、図35(b)に示すように、左図柄191,中図柄193,右図柄195のそれぞれが基準停止図柄パターンに対応する図柄組合せにて第1有効ラインL1に表示されたときに、各リールを一旦停止させる。つまり、各リールが、その基準位置が検出されたタイミングで順次停止される。
続いて、図35(c)および(d)に示すように、変動初期化処理として3列のリールを同時に回転させ、再度基準位置が検出されたときに停止させる(本変形例では有効ライン上で微少な揺れ変動をする疑似停止状態とする)。このとき、基準位置から各リールを回転させてから再度基準位置が検出されるまでのステップ数が設定値(1回転分に相当するステップ数)でなければエラー報知を行う。
変動初期化処理にて正常と判定されると、続いて図36(a)に示すように、左図柄191についてはそのまま疑似停止状態を維持し、中図柄193と右図柄195とを変動させ、通常大当りを示す図柄組合せと数字図柄が1コマ分ずれた「212」にて疑似停止させ、その状態を維持する。なお、本実施例においてその「1コマ分ずれた数字図柄」は確変大当りを示す図柄組合せを構成する図柄となっている。そして、変動停止コマンドを受信したタイミングで当否抽選結果に応じた図柄組合せを確定的に停止表示させる。すなわち、当否抽選結果が外れであれば、図36(b)に示すように、疑似停止状態の図柄組合せをそのまま停止させる。当否抽選結果が通常大当りであれば、図36(c)に示すように、中図柄193を変動させて「2」を停止表示させる。当否抽選結果が確変大当りであれば、図36(d)に示すように、左図柄191および右図柄195を変動させてそれぞれ「1」を停止表示させる。
すなわち、電源遮断時の図柄変動が示す予定であった当否抽選結果が外れであった場合には、図37に示すような変動復帰制御がなされる。図示の例では、時刻t1にメイン基板102にて電断復帰コマンドが送信され、サブ基板104にてこれを受信したため、左リール206a,中リール206bおよび右リール206cの全リールが駆動され、上述した変動初期化処理が開始されている。そして、その変動初期化処理が正常に終了したため、時刻t2にて中リール206bおよび右リール206cが駆動され、通常大当りから数字図柄が1コマずれる特定の図柄組合せを表示させる補正変動が行われている。そして、時刻t3ではその特定の図柄組合せによる微少な揺れ変動が表示され、時刻t4に変動停止コマンドを受信したため、その特定の図柄組合せのまま装飾図柄を確定的に停止表示(完全停止)されている。
一方、電源遮断時の図柄変動が示す予定であった当否抽選結果が通常大当りであった場合には、図38に示すような変動復帰制御がなされる。図示の例では、時刻t4にて変動停止コマンドを受信したことにより、特定の図柄組合せのまま左図柄191および右図柄195については装飾図柄を確定的に停止表示(完全停止)させている。そして、時刻t5にメイン基板102にて大当り開始コマンドが送信され、サブ基板104にてこれを受信したことを契機に、中リール206bが再度駆動され、通常大当りの図柄組合せを形成するための中図柄193の補正変動が行われ、その中図柄193が通常大当りの図柄組合せを形成する態様にて確定的に停止表示(完全停止)されている。その後、その通常大当りに係る特別遊技の開始を示す開始デモ演出が開始されている。
また、電源遮断時の図柄変動が示す予定であった当否抽選結果が確変大当りであった場合には、図39に示すような変動復帰制御がなされる。図示の例では、時刻t4にて変動停止コマンドを受信したことにより、特定の図柄組合せのまま中図柄193については装飾図柄を確定的に停止表示(完全停止)させている。そして、時刻t5にメイン基板102にて大当り開始コマンドが送信され、サブ基板104にてこれを受信したことを契機に、左リール206aおよび右リール206cが再度駆動され、確変大当りの図柄組合せを形成するための左図柄191および右図柄195の補正変動が行われ、その左図柄191および右図柄195が確変大当りの図柄組合せを形成する態様にて確定的に停止表示(完全停止)されている。その後、その確変大当りに係る特別遊技の開始を示す開始デモ演出が開始されている。
図40は、図26のS238に関連する変動復帰処理を詳細に示すフローチャートである。本実施例の変動復帰処理は、実施例1における図26の変動復帰処理に置き換えて実行される。
メイン基板102から電断復帰コマンドが送信され、サブ基板104側でこれを受信すると(S280のY)、演出表示制御手段134は、左リール206a,中リール206bおよび右リール206cの全リールの回転が開始を開始し、上述した変動初期化処理を開始する(S282)。すなわち、各リールを1回転させて基準位置を検出し、基準位置間のステップ数と1回転分の駆動ステップ数とが整合していることを確認する。その変動初期化処理が終了すると(S284のY)、左図柄191、中図柄193および右図柄195の全図柄を基準停止図柄パターンにて疑似停止表示する(S286)。そして、変動初期化処理が正常であった場合には(S288のY)、上述した特定の図柄組合せ(あと一つ図柄が揃えば通常大当りを示す図柄組合せ)を形成するよう中図柄193および右図柄195の補正変動を実行する(S290)。そして、その特定の図柄組合せが形成されると(S292のY)、中図柄193および右図柄195を疑似停止させる(S294)。そして、変動停止コマンドを受信すると(S296のY)、当否抽選結果が外れであれば(S298のY)、疑似停止表示されている3列の図柄を確定表示(完全停止)させ(S300)、外れでなければ(S298のN)、当否抽選結果に対応する図柄組合せとなるよう図柄の補正変動を実行し、その図柄組合せにて確定表示(完全停止)させる(S302)。
なお、変動初期化処理が正常でなければ(S288のN)、エラー報知を行い(S289)、本処理を一旦終了する。電断復帰コマンドを受信しなければ(S280のN)、本処理を終了する。
以上に説明したように、本実施例においても、停電など予期せぬ電源遮断などにより図柄変動中に遊技が中断されても、その電源復帰時にはその中断状態から残余の図柄変動が円滑に処理される。すなわち、電力供給が遮断された状態から復帰すると、複数列のリールの基準位置をそれぞれ検出するための変動初期化処理が実行される。そして、その変動初期化処理で検出された基準位置を利用する形でそのまま予備変動がなされて特定図柄組合せ(本実施例では基準位置に対応する基準図柄組合せ)に近づけられ、図柄変動停止の準備が行われる。その後、サブ基板104にて変動停止コマンドが受信されると、当否抽選結果を示す図柄組み合わせにて装飾図柄190が停止される。本実施例では特定図柄組合せが当り図柄組合せではなく、外れを示す外れ図柄組合せであって通常大当りを示す当り図柄組合せから数字図柄が1コマずれた図柄組合せとして設定されている。しかも、その1コマずれの図柄が確変大当りを示す図柄組合せを構成するものとなっている。このため、当否抽選結果が最も頻度の高い外れであれば、その特定図柄組合せをそのまま停止させればよい。一方、通常大当りであれば、その1コマずれを合わせる形で通常大当りを示す当り図柄組合せを停止させればよく、確変大当りであれば、その1コマずれの図柄を停止させ、残りの図柄列を同じ図柄にて停止させればよい。すなわち、当否抽選の結果が大当りおよび外れのいずれであっても、速やかな停止を実現することができる。
以上、実施例2について説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
(変形例1)
上記実施例では、図39および図40に示したように、当否抽選の結果が大当り(確変大当り又は通常大当り)であった場合、装飾図柄190の確定的な停止表示を大当りデモ開始コマンドを受信したタイミングで補正変動とともに実行する例を示した。変形例においては、変動停止コマンドを受信したタイミングで補正変動とともに確定的な停止表示を行ってもよい。
(変形例2)
上記実施例では、電源復帰後にメイン基板102が変動停止コマンドを送信するとともに当否抽選の結果を示す情報を送信し、サブ基板104側でその情報を取得する例を示した。変形例においては、メイン基板102が、電断復帰コマンドを送信するとともに当否抽選の結果を示す情報を送信し、サブ基板104側でその情報を取得するようにしてもよい。そして、変動初期化処理に続けて左図柄191,中図柄193および右図柄195をその当否抽選の結果を示す図柄組み合わせに近づけるための予備変動を表示させ、変動停止コマンドを受信したときに、その当否抽選の結果を示す図柄組み合わせにて装飾図柄190を停止させるようにしてもよい。このようにすれば、装飾図柄190を直ちに停止させることが可能となり、中断状態から再開された図柄変動の残り時間が如何に短くとも変動停止コマンドを受信したタイミングで装飾図柄190を停止表示できるようになる。
(変形例3)
上記実施例では、リール206に配された図柄数に対応する数の検出片235を設け、位置検出センサ215にてリール206の回転方向の位置ひいては有効ライン上に位置する図柄を検出する例を示した。変形例においては、リール206に配されたそのいずれか一つの図柄に対応する数の検出片を設けて基準位置とし、位置検出センサ215にてそれを検出するようにしてもよい。そして、検出片235が対応しない図柄が有効ラインに位置したか否かについては、検出片235が対応する図柄の位置を基準とするモータ217のステップ数から算出するようにしてもよい。その場合、演出決定手段132は、基準位置からのステップ数とリール206の回転位置(有効ライン上に表示される図柄)とが対応づけられたテーブルを保持し、そのテーブルに基づいて決定された図柄を停止させる。
図41は、変形例に係るリールの構成を示す説明図である。(a)は斜視図を表し、(b)は背面図を表している。図42は、各リールにおける図柄の配列と図柄番号との対応関係を示す説明図である。なお、図42における図柄の配列と図柄番号との対応関係は、図12における図柄の配列と図柄番号との対応関係とは異なるものとなっている。
すなわち、図41に示すように、本変形例のリール206には、検出片235が1つのみ設けられている。具体的には図示のように、リール本体207の4つの梁220の1つに検出片235が突設されている。したがって、リール206の回転方向の位置はその一箇所が基準位置として検出され、その基準位置を基準とするモータ217のステップ数から各リールの他の位置が検出される。すなわち、検出片235が検出されるときに第1有効ラインL1に位置する図柄が基準図柄となり、その基準図柄の回転量に応じて第1有効ラインL1に位置するその他の図柄が検出される。
図42に示すように、本実施例では各リールにおいて図柄番号1の裏面に検出片235(図中点線)が設けられ、位置検出センサ215によりその検出片235が検出されたときに図柄番号3の図柄が第1有効ラインL1に位置するような位置関係に設定されている。すなわち、各リールにおいて基準位置が検出されたときには、図中実線太枠にて示す図柄番号3の図柄組合せ(左図柄191が「2」,中図柄193が「3」,右図柄195が「2」)が第1有効ラインL1上に表示される。このとき、遊技者には図中二点差線枠にて示す領域が提示される。つまり、第2有効ラインL2には図柄番号2の図柄組合せが表示され、第3有効ラインL3には図柄番号3の図柄組合せが表示されるようになる。ただし、ブランク図柄「*」は、当否抽選の結果を示さないため、図示の第2有効ラインL2と第3有効ラインL3は実質的に機能しないものとなる。
本実施例では図示のように、基準位置が検出されるときの装飾図柄190は「232」となり、通常大当りを示す図柄組合せから数字図柄が1コマずれた態様となる。このため、サブ基板104側で変動停止コマンドを受信した際に当否抽選結果を示す情報が外れであれば、その基準図柄をそのまま停止させればよく、変動停止コマンドを受信したとほぼ同時に装飾図柄190を停止させることが可能となる。
(変形例4)
上記実施例では述べなかったが、サブ基板104において、変動初期化処理とは独立に制御できる対象(変動初期化処理の完了を待たずに開始可能な制御対象)については、電断復帰コマンドを受信したと同時に処理するようにしてもよい。例えば、遊技効果ランプ90の点灯・点滅表示を実行する旨のコマンドが含まれれる場合、図柄変動処理とは独立に実行可能であるため、その電断復帰コマンドを受信したと同時に処理してもよい。すなわち、復帰変動制御手段は、復帰情報として初期化処理とは独立に実行可能な制御情報が含まれる場合には、初期化処理に並行してその制御情報に基づく制御処理を実行するようにしてもよい。
(変形例5)
上記実施例では、変動初期化処理としてリール206を1回転させてエラーの有無を判定する例を示したが、変形例においては、1回転未満の回転でエラーの有無を判定するようにしてもよい。すなわち、上記実施例のように、各リールにおける位置の検出箇所が複数設けられている場合、特定の検出位置から他の検出位置までの駆動ステップ数と実際のステップ数とを比較してエラー判定を行うようにしてもよい。例えば、特定の図柄が有効ラインに位置した後、次の図柄が有効ラインに位置するまでのステップ数を検出対象としてもよい。より具体的には、特定の数字図柄が有効ラインに位置した後、1コマ分ずれた次の数字図柄が有効ラインに位置するまでのステップ数を検出対象としてもよい。このようにすることで、変動初期化処理を短時間に終了させることができ、装飾図柄190の停止準備をより速やかに行えるようになる。
(変形例6)
上記実施例では、図36に示したように、特定図柄組合せとして、外れを示す外れ図柄組合せであって通常大当りを示す当り図柄組合せから数字図柄が1コマずれた図柄組合せ(ブランク図柄「*」も含めれば2コマずれた図柄組合せ)として設定する例を示した。変形例においては、ブランク図柄「*」も含めて1コマずれた図柄組合せとして設定してもよい。具体的には、図36(a)において、中図柄193として数字図柄「1」ではなくブランク図柄「*」(数字図柄「2」と1コマずれたブランク図柄)を擬似停止させてもよい。そして、当否抽選の結果が外れであれば装飾図柄190として「2*2」をそのまま確定的に停止表示させ、通常大当りであれば、中図柄193を1コマずらして数字図柄「2」を第1有効ラインL1上に停止させ、通常大当りの当り図柄組合せ「222」を表示させるようにしてもよい。確変大当りであれば、中図柄193を1コマずらし、左図柄191および右図柄195を2コマずらすことにより確変大当りの当り図柄組合せ「111」を表示させるようにしてもよい。
[実施例3]
先の実施例、変形例では、電断復帰に関する処理構成を説明した。実施例3では、一般的な使用状態で行われるリールユニット60の制御態様について主に説明する。なお、特に言及しない限り、実施例3に係るぱちんこ遊技機の構成および制御態様は、上述の実施例および変形例を適宜組み合わせたものである。
実施例3に係るぱちんこ遊技機では、実施例2の変形例3で用いた図41に示すリール206が採用される。位置検出センサ215は回転位置検出装置として機能し、リール206に設けられた一つの検出片235を検出することによりリール206の回転方向の位置を検出する。この一つの検出片235は、図45において後述する図柄番号1の図柄が第1有効ラインL1上に到達したときに検出片235が位置検出センサ215によって検出されるよう、リール206が設けられている。なお、検出片235が検出されるときに第1有効ラインL1上に到達する図柄は他の図柄であってもよい。
図43は、実施例3におけるぱちんこ遊技機の機能ブロック図である。実施例3に係る変動パターン決定手段115は、通常変動決定手段248、準備目変動決定手段250および超短変動決定手段252を含む。実施例3では、パターン記憶手段130は、図柄として停止表示させる複数列の図柄の組み合わせとして複数の停止図柄パターンを保持する。このためパターン記憶手段130は、停止図柄パターン記憶手段として機能する。図柄態様決定手段131は、当否抽選の結果に基づき、パターン記憶手段130に格納された複数の停止図柄パターンからいずれかを選択する。実施例3に係る図柄態様決定手段131は、準備目決定手段254および超短図柄決定手段256を含む。演出表示制御手段134(図柄表示制御手段)は、3列のリール206の回転駆動を制御することにより、図柄を決定された変動パターンにしたがって変動表示させた後に選択された停止図柄パターンの図柄組み合わせにて停止表示させる。実施例3に係る演出表示制御手段134は、通常変動実行手段258、準備目変動実行手段260および超短変動実行手段262を含む。
さらに、左リール装置201、中リール装置203、および右リール装置205の各々は、位置検出センサ215、および検出片235を1つずつ有する。なお、図9に示すように各図柄の対応して左リール206a、中リール206b、および右リール206cの各々に検出片235が複数設けられてもよい。
実施例3では、時短中、および保留された抽選値の数が所定以上になったときに、保留された抽選値を効率よく消化するため、リールユニット60による図柄の変動時間を非常に短くする。上述のように時短中は、始動口62への入球容易性が高められる。具体的には、始動口62は、拡開機構63が閉鎖した入球困難な状態から、拡開機構63が開放された入球容易な状態へ変化可能に設けられる。なお、入球困難な状態および入球容易な状態が拡開機構63の閉鎖、開放に限られないことは勿論である。当否抽選手段112は普図抽選手段としても機能し、作動口68への入球を契機として始動口62が入球容易な状態へ変化する可否を判定するための普通図柄抽選を実行する。メイン表示制御手段118は普図表示制御手段として機能し、普通図柄抽選の結果を示す普通図柄を変動表示させる。特定遊技実行手段122は、特別遊技後の所定期間、普通図柄抽選が当りとなる確率が通常状態よりも高くなり、さらに始動口62が入球容易な状態となる期間が通常状態よりも相対的に長くなる時短遊技へ移行させ、普通図柄抽選の結果が当りとなり、普通図柄が当りを示す図柄にて停止されたときに始動口62を入球容易な状態へ変化させる。
このように時短中、および保留された抽選値の数が所定以上になったときは、リールユニット60による図柄の変動時間を非常に短くする「超短縮変動」を行う。実施例3において、「超短縮変動」とは、図柄一つ分下げるよう3列のリール206を回転駆動させることをいうものとする。なお、超短縮変動がこれに限られないことは勿論であり、互いに同じ複数または互いに異なる数の図柄を下げるよう3列のリール206を回転駆動させることをいうものであってもよい。
変動パターン決定手段115が保持する複数の変動パターン選択テーブルには、通常状態において通常参照される通常パターン選択テーブルに加え、短縮変動用パターン選択テーブルが含められている。
通常パターン選択テーブルに含まれる変動パターンの各々は、変動前に有効ライン上に停止されていた図柄にかかわらず、変動中に位置検出センサ215によって一以上の検出片235のいずれかが検知され且つ選択された停止図柄パターンの図柄組み合わせで変動停止する通常補正変動が実行されるよう設けられる。これに対して短縮変動用パターン選択テーブルは、含まれる変動パターンのうち当否抽選の結果が外れであったときの選択確率が最も高く設定された最頻変動パターンの変動時間が、通常パターン選択テーブルに含まれるいずれの変動パターンの変動時間よりも短くなるよう設けられている。変動パターン決定手段115は、時短中であって所定の条件を満たす場合、または保留された抽選値の数が所定以上になったとき、短縮変動用パターン選択テーブルを参照して変動パターンを選択することにより、通常パターン選択テーブルを参照したときよりも変動時間が短い変動パターンを選択する。リールユニット60の図柄はこの変動パターンにしたがって変動され、非常に短い変動時間で図柄が変動表示される。
しかし、リールユニット60は液晶表示装置などの平面パネルディスプレイと違い、リール206の各々を実際に回転させて停止させることが必要となる。ここで、リール206を実際に回転させるとき、まず希望する回転速度に達するまでの立ち上がり時間にある程度の時間がかかる。出力の高いモータを採用すれば、リール206の加速度を高めて立ち上がり時間にを短縮させることはある程度可能だが、モータのサイズは大きくなり、またコストも増加する。このため、遊技機に通常採用されるモータでは、この立ち上がり時間の短縮化も限界がある。さらに、あまりに急停止させるとリール206の耐久性に影響が及ぶため、減速時もある程度緩やかに減速させる必要がある。また、モータはステッピングモータが採用されており、リール206の駆動速度を高速にするにしたがって、モータの脱調の可能性も高くなる。
平面パネルディスプレイにおいて画像として図柄を変動させる場合は、このようなハードウェアの出力や耐久性の問題は生じないが、リール206を実際に回転させる場合にはこのようはハードウェア上の問題が生じる。このため、リールユニット60における図柄の変動表示の高速化は、平面パネルディスプレイに比べはるかに難しい。さらに、変動時間を短くすることによりリール206の各々を回転させることができる移動図柄数が限られてくる可能性があるが、この場合も、第1有効ラインL1〜第5有効ラインL5のいずれにおいても、当否抽選の結果を示す図柄の組み合わせとなるようリール206を駆動および停止させる必要がある。
図44(a)〜図44(e)は、実施例3に係るぱちんこ遊技機において、超短縮変動によってリール206の各々に表された図柄を変動させるときの一例を示す図である。例えば時短中に図44(a)に示すようにまずスーパーリーチやノーマルリーチなどの演出が実行されるリーチ用の変動パターンにしたがってリールユニット60の図柄が変動表示され、第1有効ラインL1においてリーチ状態となるが最終的に外れを示す図柄組み合わせで変動停止されたものとする。
次の当否抽選の結果が外れとなり、時短中であることからこのまま図柄一つ分下げるよう3列のリール206を回転駆動させる短縮補正変動を実行すると、図44(a)に示すように第1有効ラインL1でリーチ状態となっている場合は、その下の第3有効ラインL3で同様にリーチ状態を含む図柄組み合わせとなる。しかし超短縮変動であることから、例えば左リール206a、右リール206cが最初に変動停止し、中リール206bが最終的に変動停止する通常のリーチ用変動は行われないため、遊技者に違和感を感じさせるおそれがある。
このため実施例3に係るぱちんこ遊技機では、短縮変動用パターン選択テーブルに含まれる最頻変動パターンは、当否抽選の結果が外れであることを示す所定の図柄組み合わせである「準備目」から変動開始し選択された停止図柄パターンの図柄組み合わせで変動停止する短縮補正変動が実行されるよう設けられる。さらに短縮補正変動は、変動中に有効ラインを移動する図柄の数が通常補正変動よりも少なくなるよう設定される。以下、この短縮補正変動を「超短縮変動」という。
通常変動決定手段248は、通常パターン選択テーブルを参照して通常変動パターンを決定する。準備目変動決定手段250は、準備目の図柄組み合わせとするための準備目用変動パターンを決定する。超短変動決定手段252は超短縮変動を実行するための超短縮変動パターンを決定する。
準備目決定手段254は、当否抽選の結果が外れとなり、且つ短縮変動用パターン選択テーブルを参照して変動パターンを選択するための所定の短縮変動移行条件を満たす場合、準備目の停止図柄パターンを選択する。変動パターン決定手段115は、短縮変動移行条件を満たすとして準備目にて図柄が停止表示された場合、次に図柄を変動表示させるための変動パターンを、短縮変動用パターン選択テーブルを参照して決定する。超短図柄決定手段256は、超短縮変動パターンが選択された場合、超短縮変動後に停止表示すべき図柄の組み合わせを決定する。
通常変動パターンが選択された場合、通常変動実行手段258は、通常変動パターンにしたがてリール206上の図柄を変動表示させる。準備目用変動パターンが選択された場合、準備目変動実行手段260は、準備目用変動パターンにしたがってリール206上の図柄を変動表示させ、第1有効ラインL1〜第5有効ラインL5において準備目の図柄停止パターンとなるようリール206を停止させておく。次に超短縮変動パターンが選択された場合、超短変動実行手段262は、準備目で停止表示されている図柄を短縮変動用パターン選択テーブルの最頻変動パターンである超短縮変動パターンにしたがって変動表示させ、当否抽選の結果を示す図柄停止パターンで停止表示させる。このように短縮変動を行う前に準備目の図柄組み合わせで停止表示させておくことにより、短縮変動前にリール206の位置を把握するとともに、迅速に短縮変動の準備を行うことができ、正確な位置での停止も可能となる。
実施例3では、こうして図44(b)に示すように、超短縮変動を実行したならば、当否抽選の結果が当りを示す図柄組み合わせにならず、且つリーチ状態の図柄組み合わせも含まない図柄組み合わせとなる「準備目」とした後に、超短縮変動を実行して図44(c)に示すように、当否抽選の結果が外れであることを示す図柄組み合わせで3列のリール206の各図柄を停止させる。このため実施例3における準備目は、3列のリール206を超短縮変動させた場合に、当り図柄組み合わせにもならず、リーチ図柄組み合わせにもならない図柄組み合わせに予め設定されている。なお、超短縮変動を実行したときに当否抽選の結果が当りを示す図柄組み合わせになってもよく、また、超短縮変動を実行したときにリーチ図柄組み合わせとなるが最終的には当りを示す図柄組み合わせにならない、「リーチ外れ」の図柄組み合わせになってもよい。
実施例3では、図44(d)および図44(e)に示すように、いったん準備目で図柄を変動停止させることにより、その後複数回にわたって超短縮変動を実行することが可能となっている。これにより、時短中においても保留されている当否抽選値を効率よく消化することが可能となる。特に、超短縮変動における変動時間内にほぼ一定の速度で3つのリール206を駆動した場合に、同期的に表示される図柄組み合わせとなるよう、準備目を設定することが望ましい。具体的には、超短縮変動における変動時間Tの間にリール206を加速・定速・減速制御させるときの3つのリール206の移動角度を540度に設定したとき、「準備目」から3つのリール206全てが180度回転したときの図柄列が「外れ(第二準備目)」となるように設定しておくことで、複数回(特に3回以上)連続して超短縮変動を行っても、準備目と第二準備目が繰返し表示されるようになる。なお、超短縮変動における変動時間Tの間にリール206を加速・定速・減速の順で制御するときの3つのリール206の移動角度を720度等、リール206の複数回転分(360度の整数倍)になるように設定すれば、超短縮変動時には同一の「準備目」が出現し続けるようになり、図柄補正を行わずに全てのリール206の回転、停止を短時間で一定周期で行うことができる。
図45は、準備目の設定例を説明するための図である。上述のように、リールユニット60は、3列のリール206の各々のうち3つの図柄が装置前面から視認可能となるよう設けられており、このため遊技者からは縦3列横3列の計9つの図柄が視認可能となる。以下、3列のリール206の各々において図柄番号1の3つの図柄が上方の第2有効ラインL2に並び、図柄番号2の3つの図柄が中央の第1有効ラインL1に並び、図柄番号3の3つの図柄が下方の第3有効ラインL3に並んだ合計9つの図柄による停止態様を「第1表示態様300A」という。以下同様に、図柄番号3〜12、および1の各々の3つの図柄が中央の第1有効ラインL1に並ぶときに、第2有効ラインL2および第3有効ラインL3に並ぶそれぞれ3つの図柄とともに合計9つの図柄によって構成される停止態様を「第2表示態様300B〜第12表示態様300L」という。
このように同じ図柄番号の図柄が横に並ぶ場合、当否抽選の結果を表すために用いられる数字の図柄は斜めに並ぶことになる。このため、視認可能な領域では、第4有効ラインL4および第5有効ラインL5にのみ数字の図柄が並ぶことになる。なお、図柄番号と図柄の配置がこれに限られないことは勿論である。
また、リール206の各々において図柄番号1の図柄が第1有効ラインL1に並ぶとき、すなわちリール206の各々において位置検出センサ215によって検出片235が検知されて上述の変動初期化処理が実行されるとき、当否抽選の結果が外れであることを示す図柄の停止態様となるよう、各図柄がリール206に配置されている。これにより、位置検出センサ215によって検出片235が検知されたタイミングでリール206を停止させることにより、外れを示す停止態様で確実に図柄を停止させることができる。
上述のように、位置検出センサ215によって検出片235が常に検出されるためには、少なくともリール206を1回転、すなわち図柄12個分にわたってリール206を回転させる必要がある。実施例3では、超短縮変動させるための変動パターンは、3列のリール206のすべてにおいて、位置検出センサ215によって検出片235が検出されるために要する有効ライン上での図柄の最小移動数よりも少ない図柄が有効ライン上で移動するよう設けられる。具体的には、準備目から超短縮変動させる場合、図柄1つ分だけ表示される部分が下方に移動するよう3列のリール206が回転駆動される。このとき3列のリール206は、隣り合うリール206同士が相対的に移動しない状態を維持したまま回転駆動される。なお、超短縮変動においても、3列のリール206の各々が異なるタイミングで停止してもよい。例えば、左リール206a、右リール206c、中リール206bの順に3列のリール206の各々が停止されてもよく、他の順序により3つのリール206が停止してもよい。
また、超短縮変動におけるリール206の回転角度がこれに限られないことは勿論であり、例えば隣り合うリール206同士は相対的に移動しない状態を維持したまま、図柄が12個未満の所定の複数分(例えば4分の1回転分に相当する図柄3つ分)だけ表示される部分が下方に移動するよう3列のリール206が回転駆動されてもよい。例えば超短縮変動において4分の1回転分に相当する図柄3つ分だけ表示される部分が下方に移動するよう3列のリール206が回転駆動される場合、4回の超短縮変動を繰り返すことにより、位置検出センサ215により検出片235が検出されて変動初期化処理が可能となる。さらに、このとき、準備目から4分の1回転の超短縮変動を繰り返しても常に外れを示す図柄組み合わせとなるよう、準備目およびリール206の各々における図柄配列が設定されていてもよい。これにより、準備目にしてから超短縮変動を何度も繰り返すことが可能となり、4回に1回は常に変動初期化が可能となる。
なお、このようにリール206の各々に12図柄が配置されているときに、超短縮変動において3図柄分だけリール206を回転駆動させる態様に限定されないことは勿論であり、リール206の各々に配置された図柄数の公約数分の図柄が超短縮変動において移動するようリール206が回転駆動されてもよい。例えばリール206の各々に15図柄が配置されているときに、その公約数である5図柄分だけリール206を回転駆動させてもよい。このようにリール206に配置された図柄数の公約数分の図柄を超短縮変動において移動させることにより、周期的に同じ組み合わせで図柄を停止表示させることが可能となる。
また、3列のリール206の少なくとも1列が、他のリール206よりも多くの移動図柄数、または少ない移動図柄数だけ回転駆動されてもよい。例えば、超短縮変動において、左リール206aは図柄1つ分、右リール206cは図柄2つ分、中リール206bは図柄3つ分、それぞれ回転駆動されてもよい。さらに、超短縮変動において、3列のリール206の一部が、位置検出センサ215によって検出片235が検出されるために要する有効ライン上での図柄の最小移動数よりも少ない図柄が有効ライン上で移動するよう設けられてもよく、その他のリール206を位置検出センサ215による位置検出が可能な位置まで駆動させてから停止させるべき位置にて停止させるよう3列のリール206の各々が回転駆動されてもよい。例えば超短縮変動において、左リール206aおよび右リール206cのみ図柄1つ分だけ回転駆動し、中央のリール206を1回転させてから停止させるべき位置にて停止させてもよい。さらに、超短縮変動において、左リール206aが1図柄分、右リール206cが2図柄分、中リール206bが3図柄分など、リール206の各々が互いに異なる図柄移動数で回転してもよい。
ここで、例えば図45に示す状態のまま3列のリール206を回転させていくと、第5表示態様300Eおよび第11表示態様300Kで、第4有効ラインL4および第5有効ラインL5の双方において右の図柄と左の図柄が揃う、「リーチ状態」となる。一般的にはリーチ状態となると、遊技者を煽るためにリーチ状態を維持したまま中リール206bを左リール206aおよび右リール206cよりも後に停止させる。しかしながら、超短縮変動では3列の図柄を同時に変動開始させ、同時に変動停止させるため、このように第4有効ラインL4および第5有効ラインL5においてリーチ状態となると遊技者が違和感を覚える可能性がある。
このため、図柄態様決定手段131は、準備目および超短縮変動の停止態様を決定するとき、リーチ状態となる図柄組み合わせを含む第5表示態様300Eおよび第11表示態様300Kが決定されることを回避し、これ以外の表示態様を決定する。さらに、例えばこのようにリーチ状態となる図柄組み合わせを含む第5表示態様300Eから図柄一つ分変動した第4表示態様300Dを準備目としてそこから超短縮変動を開始する場合、第3表示態様300C、第2表示態様300B、第1表示態様300A、第12表示態様300Lの計4回にわたって、リーチ状態となる図柄組み合わせを含まない外れ態様でリール206の各々を変動停止させることができる。
このため、実施例3では、リーチ状態となる図柄組み合わせを含む表示態様から超短縮変動1回分だけ3列のリール206を回転せたときの図柄の表示態様を「準備目」として設定している。こうすることにより、超短縮変動を4回くり返しても図柄がリーチ状態を含んで停止されることを回避できる。図45の例では、リーチ状態となる第5表示態様300Eから図柄一つ分変動させたときの表示態様である第4表示態様300Dと、同じくリーチ状態となる第11表示態様300Kから図柄一つ分変動させたときの表示態様である第10表示態様300Jの2つの表示態様が準備目として設定されている。このため、第4表示態様300Dから超短縮変動を4回連続して実行することができ、第10表示態様300Jから超短縮変動を4回連続して実行することができる。なお、準備目は、図45に示すように当否を示すために用いられる数字の図柄がどの有効ラインにも並ばない表示態様に限られないことは勿論であり、例えば当否抽選の結果を表すために用いられる数字の図柄が横方向に延在する有効ライン、すなわち第1有効ラインL1、第2有効ラインL2、または第3有効ラインL3に並ぶ表示態様であってもよい。
なお、所定の準備目となったときに、位置検出センサ215によって検出片235が検知されるよう、図9に示すようにリール206の各々に検出片235が配置されていてもよい。実施例3では、例えば準備目となる第4表示態様300Dおよび第10表示態様300Jのうち一方となったときに、位置検出センサ215によって検出片235が検知されるよう、リール206の各々に検出片235が配置されていてもよい。これにより、位置検出センサ215によって検出片235が検知されたときに、準備目の停止態様で正確に各図柄を停止させることができる。
なお、例えばリール206が1回転するごとに位置検出センサ215によって検出片235が2回、または4回など複数回検知されるよう、検出片235がリール206に複数設けられている場合において、すべての準備目に対し、準備目の停止態様となるときに位置検出センサ215によって検出片235が検知されるよう、リール206の各々に検出片235が配置されていてもよい。例えば実施例3では、準備目である第4表示態様300Dで図柄が停止したときに位置検出センサ215によって検出片235が検知され、さらにもう一つの準備目である第10表示態様300Jで図柄が停止した場合においても位置検出センサ215によって検出片235が検知されるよう、検出片235がリール206に複数配置されていてもよい。これにより、正確に準備目の停止態様で図柄を停止させることができる。
以下、超短縮変動を実行するための実施例3の制御手順について、フローチャートに関連して説明する。
図46は、実施例3に係るぱちんこ遊技機における、図17におけるS34の当否判定処理を詳細に示すフローチャートである。S42〜S46は図18と同様である。S50〜S54は、図18におけるS48を細分化したものである。特別図柄が決定されると、変動パターン決定手段115は、リール206に表された図柄を変動させるための変動パターンを選択するときに参照すべき変動パターン選択テーブルを決定するテーブル決定処理を実行する(S50)。参照すべき変動パターン選択テーブルが決定すると、変動パターン決定手段115は、変動パターンを決定するための変動パターン決定処理を実行する(S52)。変動パターンが決定されると、図柄態様決定手段131は、第1有効ラインL1〜第5有効ラインL5に停止させるべき図柄組み合わせを決定するための停止図柄パターン決定処理を実行する(S54)。
図47は、図46におけるS50のテーブル決定処理の手順を示すフローチャートである。時短中は始動口62への入球容易性が高められるため、高い頻度で当否抽選値が当否抽選手段112によって取得される。こうして取得された当否抽選値を効率的に消化させるため、変動時間が相対的に短い超短縮変動によって3列のリール206が回転駆動され図柄が変動表示される。したがって変動パターン決定手段115は、時短の終期回数に達したか否かを判定するため時短開始からの変動回数をカウント中か否かを判定することにより、時短中か通常状態かを判定する(S400)。
通常状態の場合(S400のN)、変動パターン決定手段115は、通常状態において変動パターンを選択するための通常テーブル選択処理を実行する(S414)。時短中の場合(S400のY)、変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果が外れか否かを判定する(S402)。当否抽選の結果が当りの場合(S402のN)、変動パターン決定手段115は、以下のS404およびS406をスキップし、第1短縮変動用パターン選択テーブルを選択する(S408)。なお、当否抽選の結果は当りであるため、第1短縮変動用パターン選択テーブルが選択された場合においてもリーチ用の変動パターンが選択されるため、超短縮変動パターンは選択されない。
上述のように、実施例3では準備目から連続4回の超短縮変動が可能となっている。変動パターン決定手段115は、超短縮変動パターンを選択した場合、サブ基板104へ超短縮変動コマンドを送信する。サブ基板104の演出表示制御手段134は、超短縮変動コマンドを受信した場合、リール206の各々を1図柄分移動させる超短縮変動を実行する。変動パターン決定手段115は、サブ基板104への超短縮変動コマンドの連続送信回数を超短縮変動カウンタによりカウントしている。変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果が外れの場合(S402のY)、変動パターン決定手段115は、この超短縮変動カウンタを参照して前回サブ基板104に超短縮変動コマンドを送信したか否かを判定し(S404)、前回の変動は超短縮変動であったか否かを判定する。変動パターン決定手段115は、前回の変動パターンがどれであったかを次回の変動パターン選択時まで保持しておく。変動パターン決定手段115は、これを利用して前回の変動は超短縮変動であったか否かを判定する。前回は超短縮変動の場合(S404のY)、変動パターン決定手段115は、超短縮変動カウンタを参照して、超短縮変動コマンドの連続送信回数が3回以下か否かを判定し(S406)、超短縮変動の連続回数は3回以下か否かを判定する。
超短縮変動カウンタの値が、サブ基板104への超短縮変動コマンドの連続送信回数が3回であることを示す値の場合、すなわち超短縮変動の連続回数が3回以下の場合(S406のY)、4回の上限回数に達していないことから、変動パターン決定手段115は、超短縮変動パターンを選択するため、変動パターンの選択時に参照すべき変動パターン選択テーブルとして第1短縮変動用パターン選択テーブルを選択する(S408)。
変動パターン決定手段115は、準備目用変動パターンを選択した場合、準備目用変動コマンドをサブ基板104に送信する。変動パターン決定手段115は、準備目用変動コマンドを前回送ったことを示す送信履歴を保持している。前回は超短縮変動でない場合(S404のN)、変動パターン決定手段115は、この履歴を参照して準備目用変動コマンドをサブ基板104に前回送信したか否かを判定し(S410)、図柄の停止態様が準備目か否かを判定する。図柄の停止態様が準備目でない場合(S410のN)、前回は通常パターン選択テーブルを参照して変動パターンが選択され且つ準備目となっていないと判定する。通常パターン選択テーブルを参照して変動パターンが選択された場合、超短縮変動などを考慮した図柄の停止態様とはなっていないため、通常パターン選択テーブル参照時の停止態様がたまたま準備目となっている場合を除き、超短縮変動させるためには図柄の停止態様を予め準備目とする必要がある。このため変動パターン決定手段115は、図柄を準備目まで変動させるための準備目用変動パターンを選択すべく、参照すべき変動パターン選択テーブルとして特殊パターン選択テーブルを選択する(S412)。
変動パターン決定手段115が保持する複数の変動パターン選択テーブルには、図柄を準備目とするための変動パターンを選択するときに参照される特殊パターン選択テーブルが含められている。特殊パターン選択テーブルは、通常パターン選択テーブルおよび短縮変動用パターン選択テーブルとは変動パターンの選択傾向が異なるよう対応関係が定められている。変動パターン決定手段115は、短縮変動移行条件を満たす場合、この特殊パターン選択テーブルを参照して、準備目で停止表示させるために図柄を変動表示させるときの変動パターンを選択する。
図柄の停止態様が準備目の場合(S410のY)、変動パターン決定手段115は、前回において準備目用パターン選択テーブルを参照して変動パターンが選択されて準備目となった、または前回において通常パターン選択テーブルを参照して変動パターンが選択されたがたまたま準備目となったと判定し、第1短縮変動用パターン選択テーブルを選択する(S408)。超短縮変動の連続回数が4回の上限回数に達している場合(S406のN)、次に超短縮変動させるとリーチ状態の図柄組み合わせを含む表示態様となり遊技者に違和感を与える可能性があるため、変動パターン決定手段115は、図柄の停止態様を再び準備目とすべく、特殊パターン選択テーブルを選択する(S412)。
図48は、図47におけるS414の通常テーブル選択処理の手順を示すフローチャートである。図48は、通常状態における変動パターン選択テーブルの選択処理を示している。上述のように、変動パターン決定手段115は、準備目用変動コマンドを前回送ったことを示す送信履歴を保持している。変動パターン決定手段115は、この履歴を参照して準備目用変動コマンドをサブ基板104に前回送信したか否かを判定し(S430)、図柄の表示態様がすでに準備目となっているか否かを判定する。すでに準備目となっている場合(S430のY)、当否抽選の結果が外れであればそのまま超短縮変動が可能である。このため変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果が外れか否かを判定し(S432)、当否抽選の結果が外れの場合(S432のY)、短縮変動用パターン選択テーブルを選択する(S434)。
当否抽選の結果が当りの場合(S432のN)、超短縮変動パターンを選択することができないため、変動パターン決定手段115は、参照すべき変動パターン選択テーブルとして通常パターン選択テーブルを選択する(S436)。
図柄の停止態様が準備目以外の態様の場合(S430のN)、変動パターン決定手段115は、保留されている当否抽選値は上限個数である4個に達しているか否かを判定する(S438)。保留されている当否抽選値は4個に達している場合(S438のY)、変動パターン決定手段115は、当否抽選の結果が外れか否かを判定する(S440)。当否抽選の結果が外れの場合(S440のY)、変動パターン決定手段115は、図柄を超短縮変動させるための短縮変動移行条件を満たすとして、保留されている当該所定数の当否抽選の結果のうち一つの当否抽選の結果を次に消化して表示するための停止図柄パターンを準備目の停止図柄パターンとすべく、図柄を準備目で変動停止させるための特殊パターン選択テーブルを選択する(S442)。なお、図柄の表示態様を準備目とするための保留当否抽選値数が4個に限られないことは勿論である。
このように図柄決定手段114は、複数の停止図柄パターンからいずれかを選択するときに、保留されている当否抽選の結果が所定数以上となっている場合、短縮変動移行条件を満たすとして、保留されている当該所定数の当否抽選の結果のうち一つの当否抽選の結果を次に消化して表示するための停止図柄パターンとして、準備目の停止図柄パターンを選択する。これにより、リールユニット60を有する遊技機においても、保留されている当否抽選値の数が多くなったときに、図柄の変動時間を短縮して効率的に当否抽選値を消化させることが可能となる。
なお、図柄決定手段114は、時短遊技中から通常状態に遊技状態が変化する場合、保留されている当該所定数の当否抽選の結果のうち一つの当否抽選の結果を消化して表示するための停止図柄パターンを選択するときに、保留されている当否抽選の結果が所定数以上となっている場合であっても、短縮変動移行条件を満たさないと判定して準備目の停止図柄パターンの選択を回避する。このとき変動パターン決定手段115は、短縮変動移行条件を満たさないと判定された場合、短縮変動用パターン選択テーブルの参照を回避する。時短から通常状態に戻ると、始動口62の入球容易性も元に戻り、当否抽選値も保留されにくくなる。したがってこのような場合に超短縮変動を回避することで、当否抽選値が保留されにくくなっているにもかかわらず当否抽選値が短時間の間に消化させることを回避できる。
保留されている当否抽選値が3個以下の場合(S438のN)、変動パターン決定手段115は、通常パターン選択テーブルを選択する(S436)。当否抽選の結果が当りの場合(S440のN)、準備目とすることができないため、変動パターン決定手段115は、参照すべき変動パターン選択テーブルとして通常パターン選択テーブルを選択する(S436)。
図49は、通常パターン選択テーブルを示す図である。通常パターン選択テーブルには、当否抽選の結果が当りのときの変動パターンとして、スーパーリーチの演出を実行するための変動パターンA1〜C1、およびノーマルリーチの演出を実行するための変動パターンD1〜F1が、それぞれ変動時間と対応付けられて保持されている。また、当否抽選の結果が外れのときの変動パターンとして、スーパーリーチの演出を実行するための変動パターンA2〜C2、およびノーマルリーチの演出を実行するための変動パターンD2〜F2、およびリーチがない演出を実行するための変動パターンGが、それぞれ変動時間と対応付けられて保持されている。同じ変動パターンA1と変動パターンA2など、同じアルファベットが付されている変動パターンは、特別図柄192の変動開始から変動停止するまでの期間のうち途中までの演出過程が互いに共通する演出が実行されるものである。これらの選択確率をこの通常パターン選択テーブルにおいて調整することで、当りの期待度を演出毎に異ならせることができる。
図49に示すように、通常パターン選択テーブルにおいて各変動パターンは変動パターン抽選値と対応付けられている。変動パターン決定手段115は、変動パターンを選択するとき、変動パターン抽選を実行し、取得した変動パターン抽選値に対応する変動パターンを選択する。当否抽選は当りになるよりも外れになる確率が高く、また、当否抽選が外れになったときも、変動パターンA2〜F2、Gの中で変動パターンGが最も高い確率で選択されるよう、変動パターン抽選値と各変動パターンとが対応付けられている。このため、変動パターンGが通常パターン選択テーブルにおける最頻変動パターンとなる。
図50は、第1短縮変動用パターン選択テーブルを示す図である。第1短縮変動用パターン選択テーブルには、当否抽選の結果が当りのときの変動パターンとして、スーパーリーチの演出を実行するための変動パターンH1、I1、およびノーマルリーチの演出を実行するための変動パターンJ1が、それぞれ変動時間と対応付けられて保持されている。また、当否抽選の結果が外れのときの変動パターンとして、スーパーリーチの演出を実行するための変動パターンH2、I2、およびノーマルリーチの演出を実行するための変動パターンJ2、およびリーチがない演出を実行するための変動パターンKが、それぞれ変動時間と対応付けられて保持されている。当否抽選が外れになったときも、変動パターンH2〜J2、Kの中で変動パターンKが最も高い確率で選択されるよう、変動パターン抽選値と各変動パターンとが対応付けられている。このため、変動パターンKが第1短縮変動用パターン選択テーブルにおける最頻変動パターンとなる。
変動パターンKは、超短縮変動を実行するための超短縮変動パターンであり、変動時間は2秒に設定されている。このように変動パターンKは、通常パターン選択テーブルに含まれるどの変動パターンよりも変動時間が短く設定されている。なお、超短縮変動パターンの変動時間がこの時間に限られないことはもちろんである。
図51(a)は、特殊パターン選択テーブルを示す図である。特殊パターン選択テーブルは、フローチャートを用いて後述するように、当否抽選の結果が外れのときにのみ参照される。なお、特殊パターン選択テーブルは、当否抽選の結果が当りのときに参照されてもよい。特殊パターン選択テーブルには、変動パターンLのみが含められている。変動パターン決定手段115は、準備目で停止させるまでの図柄の変動パターンを、この特殊パターン選択テーブルを参照して選択する。したがって変動パターンLは、図柄の表示態様を準備目にするための準備目用変動パターンとして利用される。準備目用変動パターンが選択された場合、図柄に対して準備目用の補正変動が実行される。変動パターンLの変動時間は5秒に設定されている。このように変動パターンLの変動時間は、超短縮変動パターンである変動パターンKの返上時間より長く、通常パターン選択テーブルの最頻変動パターンであり且つ変動時間が最短の変動パターンである変動パターンGの変動時間よりも短く設定されている。なお、変動パターンLの変動時間がこれに限られないことは勿論であり、変動パターンGよりも長い変動時間が設定されていてもよい。
さらに、この変動パターンLの変動時間は、3列のリール206の全てについて、位置検出センサ215によって検出片235が検出され、且つ図柄を任意の位置に停止できる最小回転角度にわたって回転駆動させるために必要な時間とされている。この変動パターンLの変動時間、すなわち準備目にするための図柄の変動時間について、図51(b)に関連して詳細に説明する。
図51(b)は、準備目に移行するための図柄変動の一例を示す図である。位置検出センサ215によって検出片235が常に検出されるためには、リール206は1回転、すなわち12図柄分回転させる必要がある。さらにそこから任意の図柄を停止させるべき位置に到達するまで回転させるためには、位置検出センサ215によって検出片235が検知されたときにちょうど到達している場合があることを考慮して、リール206は12図柄中少なくとも11図柄分回転可能とさせる必要がある。このためこの変動パターンLの5秒という変動時間は、リール206の各々を、上記12図柄と上記11図柄の和である23図柄分、すなわち2回転弱回転させることが可能な時間とされている。
図51(b)に示す例では、左リール206aを5図柄分回転させることにより、位置検出センサ215によって検出片235が検出される変動初期化処理が可能であり、中リール206bを3図柄分回転させることにより変動初期化処理が可能であり、右リール206cを11図柄分回転させることにより変動初期化処理が可能となっている。また、この例では、左リール206aの停止図柄が変動前の停止図柄から16図柄目となっており、中リール206bの停止図柄が変動前の停止図柄から22図柄目となっており、右リール206cの停止図柄が変動前の停止図柄から23図柄目となっている。このように23図柄分を移動可能な時間を準備目とするための変動パターンLの変動時間をこのような時間とすることにより、リール206の位置を正確に把握しつつ、準備目に図柄を迅速且つ適切に停止させることができる。なお、変動パターンLの変動時間がこの時間に限られないことは勿論であり、上記のように3列のリール206の全てについて、位置検出センサ215によって検出片235が検出され、且つ図柄を任意の位置に停止できる最小回転角度にわたって回転駆動させるために必要な時間とされていればよい。
図52(a)は、第2短縮変動用パターン選択テーブルを示す図である。第2短縮変動用パターン選択テーブルもまた、フローチャートを用いて後述するように、当否抽選の結果が外れのときにのみ参照される。第2短縮変動用パターン選択テーブルには、超短縮変動パターンであり変動時間が2秒の変動パターンKのみが含められている。
図52(b)は、超短縮変動の一例を示す図である。図52(b)に示す例では、変動初期化処理するまでに必要なリール206の各々の図柄移動数は図51(b)と同様の位置である。このように、超短縮変動では、リール206の各々は1図柄分のみ回転して停止する。このため、リール206の各々は超短縮変動中は必ずしも変動初期化処理を実行することはできない。なお、変形例にて後述するが、リール206の各々の変動初期化処理が実行できるよう超短縮変動の変動時間やリール206の各々の図柄移動数が設定されていてもよい。
図53は、図46におけるS54の停止図柄パターン決定処理の手順を示すフローチャートである。図柄態様決定手段131は、上述と同様に時短中か通常状態かを判定する(S450)。通常状態の場合(S450のN)、図柄態様決定手段131は、通常用の停止図柄パターン決定処理する(S458)。時短中の場合(S450のY)、図柄態様決定手段131は、当否抽選の結果が当りか否かを判定し(S452)、当りの場合(S452のY)、当りの図柄停止パターンを決定する(S454)。当りでない場合(S452のN)、図柄態様決定手段131は、外れ図柄組み合わせ決定処理を実行する(S456)。
図54は、図53におけるS456の外れ図柄組み合わせ決定処理の手順を示すフローチャートである。図柄態様決定手段131は、準備目用変動パターンが選択されているか否か、すなわち変動パターンLが選択されているか否かを判定する(S480)。準備目用変動パターンが選択されている場合(S480のY)、図柄態様決定手段131は、図柄の停止図柄パターンとして、準備目の図柄停止パターンに決定する(S482)。
準備目用変動パターンが選択されていない場合(S480のN)、図柄態様決定手段131は、超短縮変動パターンが選択されているか否かを判定する(S484)。超短縮変動パターンの場合(S484のY)、図柄態様決定手段131は、超短縮変動用の図柄停止パターンに決定する(S486)。具体的には、図柄態様決定手段131は、上述したように、現在の図柄停止パターンから図柄一つ分だけ3列のリール206を回転させたときの図柄の組み合わせを、次に図柄を停止させるための図柄停止パターンとして決定する。超短縮変動パターンも準備目用変動パターンも選択されていない場合(S484のN)、図柄態様決定手段131は、リーチ用の外れ図柄停止パターンに決定する(S488)。なお、このとき図柄態様決定手段131は、リーチ演出が実行されない外れ図柄停止パターンに決定してもよい。
以上に説明したように、本実施例では、変動パターンを選択するときの変動パターン選択テーブルとして、通常状態において通常参照される通常パターン選択テーブルに加え、短い短縮変動用パターン選択テーブルをさらに含む。短縮変動用パターン選択テーブルは、含まれる変動パターンのうち当否抽選の結果が外れであったときの選択確率が最も高く設定された最頻変動パターンである短縮変動パターンの変動時間が、通常パターン選択テーブルに含まれるいずれの変動パターンの変動時間よりも短くなるよう設けられている。通常パターン選択テーブルに含まれる変動パターンの各々は、変動前に有効ライン上に停止されていた図柄にかかわらず、変動中に位置検出センサ215によって一以上の検出片235のいずれかが検知され且つ選択された停止図柄パターンの図柄組み合わせで変動停止する通常補正変動が行われるよう設けられる。短縮変動用パターン選択テーブルに含まれる短縮変動パターンは、当否抽選の結果が外れであることを示す所定の図柄組み合わせである準備目から変動開始し、選択された停止図柄パターンの図柄組み合わせで変動停止する短縮補正変動が行われるよう設けられる。さらに短縮補正変動は、変動中に第1有効ラインL1を移動する図柄の数が通常補正変動よりも少なくなるよう設定される。図柄決定手段114は、当否抽選の結果が外れとなり、且つ短縮変動用パターン選択テーブルを参照して変動パターンを選択するための所定の短縮変動移行条件を満たす場合、準備目の停止図柄パターンを選択する。変動パターン決定手段115は、短縮変動移行条件を満たすとして準備目にて図柄が停止表示された場合、次に図柄を変動表示させるための変動パターンを、短縮変動用パターン選択テーブルを参照して決定する。決定された図柄の停止態様や変動パターンは、メイン基板102からサブ基板104に送信される。サブ基板104の演出表示制御手段134は、準備目で停止表示されているとき、図柄を短縮変動用パターン選択テーブルの短縮変動パターンにしたがって変動表示させ、当否抽選の結果が外れであったことを示す図柄組み合わせで停止表示させる。これにより、超短縮変動において、当否抽選の結果が外れであったことを示す図柄組み合わせで正確に停止表示させることができる。
なお、実施例3は、実施例1または2の構成をすべて含んでいる。このため、例えば準備目の図柄組み合わせで停止中であって次に超短縮変動を実行する直前に電断が生じた場合においても、実施例1または2における電断復帰処理を実行することにより、リール206の各々において適切に変動初期化処理を実行することができる。したがって、その後に超短縮変動やその他の変動を適切に実行することができる。例えば外れ態様にて図柄を変動停止させるべく超短縮変動を実行する直前に電断した場合に、実施例1または2に記載の電断復帰処理を適用することで、最短時間で外れ態様にて図柄を変動停止させることができる。すなわち、電断復帰処理、すなわち変動初期化処理を実行しつつ、超短縮変動を可能な限りにおいて実現可能としている。もし電断復帰変動後において、最短の移動による外れ態様での変動停止に電断復帰処理、すなわち変動初期化処理が間に合わない場合においても、その次の図柄変動以降で変動初期化処理が適切に実行可能となる。さらに、電断復帰処理後において、変動初期化処理を実行するための時間を確保することを目的とした、電断復帰後用の変動パターンテーブルが設けられてもよい。第1パターン決定手段114および第2パターン決定手段119は、電断復帰後に、この電断復帰後用の変動パターンテーブルを用いて、変動初期化用の変動パターンを選択してもよい。これにより、例えば電断復帰直後の図柄変動において、電断復帰後用の変動パターンテーブルを用いて、変動初期化用の変動パターンを選択することで、変動初期化処理を確実に実行しつつ、電断復帰後の変動初期化処理時以外は、通常変動、準備目変動、および超短縮変動を適切に実行可能となる。
以上、実施例3について説明した。この実施例はあくまで例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
(変形例1)
図柄決定手段114は、所定の特別図柄が停止表示させるべき特別図柄として決定された場合、短縮変動移行条件を満たすとして、図柄が所定数の変動終了後に図柄を停止表示させるときの停止図柄パターンとして、準備目の停止図柄パターンを選択する。変動パターン決定手段115は、短縮変動移行条件を満たすとして準備目にて図柄が停止表示された場合、次に図柄を変動表示させるための変動パターンを、短縮変動用パターン選択テーブルを参照して決定する。これにより、特別図柄が示す、特別図柄変動終了後の遊技性に応じて、リール206を超短縮変動させることができる。
(変形例2)
図9および図10に示すように、リール206に被検出部材231、232、233が取り付けられ、リール206の各々に表された複数の図柄の各々が第1有効ラインL1を通過するときに、検出片235が位置検出センサ215によって検出されるように左リール装置201、中リール装置203、および右リール装置205の各々が設けられてもよい。これによって、図柄一つ一つの位置を検知することができ、高いリール206の各々の図柄の位置を高い精度で検出することができる。
(変形例3)
超短縮変動において、常に位置検出センサ215によって検出片235が検知されるようリール206の各々を駆動してもよい。例えば実施例3のようにリール206が1回転するごとに位置検出センサ215が検出片235を1回しか検知できない場合は、超短縮変動においても、リール206の各々を1回転以上、すなわち12個の図柄移動分以上回転させることができる変動時間に超短縮変動が設定されていてもよい。または、例えばリール206が4分の1回転するごと、すなわち3つの図柄移動ごとに位置検出センサ215が検出片235を1回検知する場合、超短縮変動においても、リール206の各々を4分の1回転以上、例えば4個の図柄移動分以上回転させることができる変動時間に超短縮変動が設定されていてもよい。これにより、正確な位置に図柄を停止させることができる。また、例えば2回の図柄変動に1回位置検出センサ215によって検出片235が検知されるようリール206の各々を駆動するなど、所定回数の図柄変動に1回、位置検出センサ215によって検出片235が検知されるようリール206の各々を駆動してもよい。これらの場合においても、超短縮変動は、通常パターン選択テーブルにおいて変動時間が最短の変動パターンよりも移動図柄数が少なくなるよう変動時間が設定されていてもよい。
(変形例4)
図柄決定手段114は、準備目となったときに、当否抽選の結果が当りとなっている確率が準備目となっていないときよりも高いことを示唆するよう、すなわち期待度が高いことを示唆するよう、準備目にて停止させることを決定してもよい。これにより、準備目に、いわゆる「チャンス目」としての機能を持たせることができる。
具体的には、図柄決定手段114は、例えば第1の当否抽選値と、第1の当否抽選値よりも後に消化される第2の当否抽選値を保留している場合に、当否抽選の結果が当りとなっている確率が準備目となっていないときよりも高いことを示唆するよう、第2の当否抽選値の当否に応じて第1の当否抽選値に基づく図柄の停止態様を準備目に決定する。ここで、「消化する」とは、その当否抽選値の当否を示すために図柄を変動表示させることをいう。さらに具体的には、第2の当否抽選値が外れを示す値であるときに第1の当否抽選値に基づく図柄の停止態様を準備目に決定する場合に対する、第2の当否抽選値が当りを示す値であるときに第1の当否抽選値に基づく図柄の停止態様を準備目に決定する場合の確率が、第1の当否抽選値に基づく図柄の停止態様を準備目以外に決定する場合よりも高くなるよう、図柄決定手段114は図柄の停止態様を決定する。例えば、これにより準備目の後に超短縮変動され外れ態様で図柄が停止する確率が90%、リーチ演出後に外れ態様で図柄が停止する確率が5%、リーチ演出後に当り態様で図柄が停止する確率が5%などに設定することで、準備目に5%の期待度を持たせることができる。
なお、変動パターン決定手段115は、準備目となった次の図柄変動において超短縮変動とならなかった場合に、超短縮変動となったときよりも当否抽選の結果が大当りである可能性、すなわち期待度が高くなるよう変動パターンを選択してもよい。これにより、準備目になったにもかかわらず超短縮変動よりも長い変動時間で図柄が変動したときに、当否抽選の結果が大当りである可能性が高いことを遊技者に示唆することができる。
(変形例5)
図55は、実施例3の変形例5における超短縮変動での図柄変動の一例を示す図である。変形例5では、超短縮変動は、リール206の各々が1回転以上する所定の移動図柄数だけリール206の各々が回転するよう設定されている。図55に示す例では、超短縮変動は、リール206の各々が1+4分の1回転、すなわち、15図柄分だけリール206の各々が回転するよう設定されている。なお、この場合も上述と同様に準備目から1と4分の1回転の超短縮変動を繰り返しても常に外れを示す図柄組み合わせとなるよう、準備目およびリール206の各々における図柄配列が設定されていてもよい。このように超短縮変動においてリール206の各々を1回転以上回転させることにより、超短縮変動中に変動初期化処理を可能とすることができる。このため、超短縮変動においてもリール206の回転方向の位置を正確に把握して停止させることができる。
(変形例6)
リール206の各々において位置検出センサ215によって検出片235が検出されるとき、準備目の図柄組み合わせが表示されるよう、リール206上に図柄が配列され且つ位置検出センサ215が配置されていてもよい。これにより、準備目にすることで変動初期化処理をより確実に実行可能となる。