JP2012074682A - 配線パターンの形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】触媒層の凝集を抑制し、また炭素の拡散性を制御して、欠陥の無いグラファイト膜を形成することができるグラフェン構造を含むグラファイト膜による配線パターンの形成方法の提供。
【解決手段】触媒層の凝集を抑制し、また炭素の拡散速度を適切に速度に調節することができる合金層又は積層体からなる触媒層を利用して、グラフェン構造を有するグラファイト膜で構成された配線パターンの形成方法を提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、良好な膜質のグラフェン構造を含むグラファイト膜を有する配線パターンを形成する技術に関する。
従来集積回路の配線材料として銅が利用されていたが、近年その銅に替わる配線材料として、炭素素材であるグラフェンやグラファイト(多層グラフェン)等の利用が提案されている。このようなグラファイト等で形成された集積回路の配線は、銅に比べて微細化にともなう抵抗率の上昇を抑えることができるため、熱問題の解消や配線遅延(処理速度低下)問題等の解消が期待される。
集積回路の基板上に配線材料となるグラファイト膜を形成する方法としては、例えば特許文献1において、ニッケルやコバルト、鉄等を原料とする触媒層をその結晶方位が揃うように基板上に堆積させ、それに対して炭素原子を供給しながら600℃等の高温CVD(化学的気相成長)処理を行うことで、その触媒層上に同様に結晶方位が制御され所望の電気伝導性が得られるグラフェンシートを形成する方法が開示されている。
また、例えば特許文献2においては、基板上にニッケルやコバルト、鉄、プラチナ等の金属からなる触媒層を堆積し、その上にグラフェン層を形成する技術が開示されており、なかでも、これら触媒層は複数の金属を組み合わせて構成されてもよいことも開示されている。
更に、例えば非特許文献2においては、グラファイト膜ではなくカーボンナノコイルを形成する方法に関し、炭素の拡散し易い物質と、拡散し難い物質との2種類の物質を微粒子化したものを触媒に利用することで、低温(450℃)下での処理によって高品質なカーボンナノコイルを形成する方法が開示されている。
非特許文献2においては、より具体的には、基板の上にアモルファスカーボンを堆積し、その上にニッケル薄膜からなる触媒層を乗せて加熱処理を行うことで、前記アモルファスカーボンを炭素源として触媒層の上にグラフェン層を形成する技術が開示されている。
特開2009−164432号公報 米国特許公開第2009/0110627号公報
石川豊、「銅とニッケルの合金薄膜を触媒に用いたカーボンナノコイルの低温合成と線径制御」(表面技術59巻、5号、346−348ページ、2008年5月1日発行) Maxwell Zhengほか、「Metal-catalyzed crystallization of amorphous carbon to graphene」(APPLIED PHYSICS LETTERS 96, 063110(2010))
しかし、上記従来の技術には以下のような問題がある。即ち、特許文献1のグラファイト膜の形成技術においては、触媒は単一原料であり、例えばニッケルであれば触媒層への炭素の浸入量、拡散量が大きいため、必要以上の炭素源が析出され形成されたグラファイト膜が欠陥構造となることが多い。
また、触媒金属が銅である場合、逆に炭素の浸入量、拡散量が少ないため表面反応しか起きず、単層のグラフェン膜が形成されてしまい配線材料としては好適ではない、という問題もある。
また、特許文献2においては、複数の金属元素を組み合わせて触媒層として利用することが開示されているものの、具体的な組合せについては何らの開示も示唆もなく、また、その触媒層を構成する金属元素に対する炭素の拡散についても触れられておらず、特許文献1と同様に触媒層における炭素の拡散量の問題を解決することができない。そのため、グラファイト膜が欠陥構造となったり、あるいは単層のグラフェン膜が形成されてしまったりして配線材料としては好適ではない、という問題がある。
更に、グラファイト膜は、450℃等の低温での処理では良質な膜が形成され難いため、600〜1000℃程度の温度で成膜することが好ましい。しかし、高温で処理するとその熱で触媒層が凝集してしまい、粒子化した触媒が基板表面上に点在することになる。そして、上記特許文献1及び2いずれの文献においても、触媒となる金属あるいは複数の金属の組合せにおける加熱時の凝集性について開示も示唆も無く、この凝集性の問題を解決することができない。そのため、これら特許文献1及び2に開示された技術でグラファイト膜が形成できたとしても、配線材料として十分な電気特性等を発揮できないというおそれがある。
また、非特許文献1の技術は、螺旋形状のカーボンナノコイルが形成されるため、平面的な膜が求められる配線材料として好適では無い、という問題がある。
更に、上記特許文献及び非特許文献に記載の技術においては、配向性の高いグラファイト膜を形成することが容易ではない。特許文献1では結晶方向を制御した触媒層でグラファイト膜の配向性を高めているが、そのためには触媒層の結晶方向を制御する必要がある。
また、グラファイト膜で配線パターンを形成し電子デバイスとして利用するには、従来、パターニングした金属薄膜を触媒としてグラファイト膜を形成した後、基板上への「移し取り」を行っていた。しかし、グラファイト膜を別の基板に「移し取る」工程はリスクが高く、またその後のプロセスが連続して行えない、という問題もある。
また、更に、上記特許文献及び非特許文献に開示されているグラファイト膜の形成方法においては、グラファイト膜は触媒層の上に形成される。そのため触媒層の分だけ配線層の高さが嵩上げされてしまい、高アスペクト比(高さhと幅wの比h/w)の配線パターンを得ることが難しい、という課題もある。また、触媒層は配線に必ずしも必要な要素ではなく、この触媒層が無いほうが電子の平均自由行程が長いグラファイトのみで構成することができ、それにより低抵抗な配線とすることができる。
そこで、本発明は、以上のような問題を解決すべく、触媒層の凝集を抑制し、また炭素の拡散性を制御して、欠陥の無いグラファイト膜を形成することができるグラフェン構造を含むグラファイト膜による配線パターンの形成方法を提供することを目的とする。
以上のような問題を解決すべく、本発明は、第一に、
基材上に、炭素を拡散する第一成分と、前記第一成分の凝集及び/又は前記第一成分への炭素の拡散を抑制する第二成分と、を含む触媒層を形成する触媒層形成工程と、
前記触媒層のうちの前記基材とは反対側の面に、グラフェン構造を含むグラファイト膜を形成するグラファイト膜形成工程と、
を有すること、
を特徴とする配線パターンの形成方法(第一の方法)を提供する。
また、本発明は、第二に、
基材上に、炭素化合物で構成された炭素化合物層を形成する炭素化合物層形成工程と、
前記炭素化合物層のうちの前記基材とは反対側の面に、炭素を拡散する第一成分と、前記第一成分の凝集及び/又は前記第一成分への炭素の拡散を抑制する第二成分と、を含む触媒層を形成する触媒層形成工程と、
前記炭素化合物層及び前記触媒層を有する前記基板を加熱し、前記炭素化合物層からグラフェン構造を含むグラファイト膜を形成するグラファイト膜形成工程と、
を有すること、
を特徴とする配線パターンの形成方法(第二の方法)を提供する。
上記第一の方法においては、前記触媒層のうちの前記基材とは反対側の面(露出面)上に、グラフェン構造を含むグラファイト膜が形成され、上記第二の方法においては、前記触媒層と基材との間に炭素源(炭素化合物層)を配置した積層体を形成した後、当該炭素源からグラフェン構造を含むグラファイト膜を形成する。
このような構成を有する本発明によれば、触媒層を構成する第二成分が、第一成分の凝集抑制及び/又は炭素の前記第一成分への拡散抑制、という機能を有するため、触媒層の凝集を抑制し、また炭素の拡散性を制御して、欠陥の無いグラフェン構造を含むグラファイト膜で構成された配線パターンをより確実に形成することができる。
ここで、本発明における「グラフェン構造を含むグラファイト膜」とは、例えば炭素原子レベルの厚さを有するグラフェン構造を含んでいればよく、一層のグラフェン構造で構成されたグラファイト膜及び複数層のグラフェン構造(積層体)で構成されたグラファイト膜を含む概念である。
したがって、本発明における「グラフェン構造を含むグラファイト膜」の厚さは、例えば0.3nm〜20nmであればよいが、後述する基材の種類等に応じて適宜選択することができる。例えば半導体装置では配線パターン幅が10nm程度である場合、「グラフェン構造を含むグラファイト膜」の電気容量値が高くなり過ぎて処理速度が遅くなってしまわないように、アスペクト比が高くなり過ぎない厚さ、例えば10nm〜20nmの厚さとすればよい。
上記の本発明において、第一成分及び第二成分の(金属)元素は、例えば炭素拡散係数に着目して選択することができ、第一成分の炭素拡散係数Dと第二成分の炭素拡散係数Dとが、関係式:D>Dを満たすこと、が好ましい。炭素拡散係数は、金属等の材料の基本的な物性として、実験データとして集められており、例えば社団法人日本金属学会編、「改訂第4版 金属データブック」(平成16年2月29日発行)等に記載されている。
また、上記の本発明においては、前記触媒層が、前記第一成分及び前記第二成分を含む合金層で構成されていても、前記第一成分を含む第一層及び前記第二成分を含む第二層の積層体で構成されていてもよい。例えば合金層における第一成分及び第二成分の組成や積層体における第一層及び第二層の厚さ等を適宜調整することによって、合金層及び積層体のいずれにおいても本発明の効果を得ることができる。後者の場合には、第一層及び第二層のいずれの側において「グラフェン構造を含むグラファイト膜」を形成してもよいが、詳細は後述する。
また、前記第一成分及び前記第二成分は、それぞれニッケル、コバルト、鉄、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニオブ、レニウム、銅、ルテニウム、白金、金、ホウ素、リン、チッ素、酸素、硫黄及び炭素よりなる群から選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
なお、これらのうちの代表的な(金属)元素の炭素拡散係数D(m/s)は以下のとおりである。
ニッケル :1.2×10−5
コバルト :7.6×10−5
鉄(α−Fe) :2.3×10−5
タングステン :9.2×10−7
チタン(α−Ti):7.9×10−6
チタン(β−Ti):3.9×10−7
タンタル :6.4×10−7
モリブデン :1.0×10−6
ニオブ :3.3×10−6
また、例えば、前記第一成分は、ニッケル、コバルト及び鉄よりなる群から選択される少なくとも一種であってよく、前記第二成分は、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニオブ、レニウム、銅、ルテニウム、白金、金、ホウ素、リン、チッ素、酸素、硫黄及び炭素よりなる群から選択される少なくとも一種であってよい。
また、前記触媒層は、ニッケル、コバルト、鉄、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニオブ、レニウム、銅、ルテニウム、白金、金、ホウ素、リン、チッ素、酸素、硫黄及び炭素よりなる群から少なくとも二種の元素を含むこと、が好ましい。
更に具体的には、前記触媒層は、例えば、ニッケル−ホウ素、ニッケル−リン、ニッケル−タングステン−リン、ニッケル−タングステン−ホウ素、コバルト−ホウ素、コバルト−リン、コバルト−タングステン−リン、コバルト−タングステン−ホウ素、又は銅−タングステンで構成されていること、が好ましい。
上記の本発明において、基材としては、従来公知の種々の材料を用いることができ、例えば、二酸化ケイ素(SiO)、各種ガラス、シリコン(Si)等の絶縁体、銅(Cu)等の金属、SiC等の半導体、サファイア等が挙げられる。その他には、例えば、Si(チッ化ケイ素)、SiOF(フッ素添加シリコン酸化膜)、SiON(チッ素添加シリコン酸化膜)、SiOC(SiOにカーボンをドープしたもの)、BN、HSQ(フッ素添加シリコン酸化膜:層間絶縁材料)、キセロゲル、エアロゲル、パールレン、ポリナフタレン、非晶質カーボン・フッ化物(a-CF)、MSQ(有機SOG:超LSI用低誘電率層間絶縁材料)、SiCOH(メチルを含むSiO。ブラックダイヤモンド等がある。)等が挙げられる。ただし、多層構造の配線パターンを形成可能であり、製造工程に高温を必要としないという観点から、二酸化ケイ素等の絶縁体や銅等の金属が好ましい。
また、上記第二の方法における前記炭素化合物は、アモルファスカーボン等のカーボン又は有機シラン化合物等の有機化合物であること、が好ましい。
上記のような本発明の配線パターンの形成方法は、半導体装置の製造方法に好適に適用することができ、したがって、本発明は上記配線パターンの形成方法を含む半導体装置の製造方法も提供する。
以上のような本発明によれば、従来の「移し取り」工程を用いることなく、触媒層の凝集を抑制し、また炭素の拡散性を制御して、欠陥の無いグラフェン構造を含むグラファイト膜で構成された配線パターンをより確実に形成することができる。即ち、触媒層の高温での凝集を防ぎ、また触媒層の炭素の拡散性を好適に調節して、高品質で高い結晶配向性を備える「グラフェン構造を含むグラファイト膜」からなる配線パターンを形成することができる。したがって、電気特性や機械的強度等に優れた配線パターンや半導体装置を作製することができる。
特に第二の方法によれば、上記のような炭素の拡散性や高温での凝集性が制御された触媒層の下に炭素源を配置して熱処理を行うことで、触媒層の上ではなくその下にグラファイト膜を形成することができる。グラファイト膜の形成後にその上にある触媒層はエッチング等の従来公知の方法によって容易に除去することが可能であり、したがって、配線のアスペクトを好適に調節し、かつ高品質な配線材料を得ることができる。
本発明の実施形態1の配線パターンの形成方法の一例を説明するための図 触媒層の厚みに応じて形成されるグラファイト膜の膜質を比較するためのラマンスペクトル図 スパッタ法と無電解めっき法それぞれによる触媒層の形成の一例を表す概念図 本発明の実施形態2の配線パターンの形成方法の一例を説明するための図 実施形態2の実施例6の方法でグラファイト膜を形成した基板の透過電子顕微鏡写真を示す図(エッチングにより触媒層を除去する前)
以下に、図面を参照しながら本発明の一実施形態を説明する。なお、本発明はこれら実施形態に何ら限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
≪実施形態1≫
本実施形態は、
基材上に、炭素を拡散する第一成分と、前記第一成分の凝集及び/又は前記第一成分への炭素の拡散を抑制する第二成分と、を含む触媒層を形成する触媒層形成工程と、
前記触媒層のうちの前記基材とは反対側の面に、グラフェン構造を含むグラファイト膜を形成するグラファイト膜形成工程と、
を有すること、
を特徴とする配線パターンの形成方法(第一の方法)の一実施形態である。
本実施形態は、より具体的には、例えば、ニッケル、コバルト、鉄等のいずれか一又は二以上からなる第一成分と、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニオブ、レニウム、銅、ルテニウム、白金、金、ホウ素、リン、チッ素、酸素、硫黄、炭素等のいずれか一又は二以上からなる第二成分を含む触媒を利用して、あるいは上記第一成分を主とする層と第二成分を主とする層とを積層した触媒層を用いてグラファイト膜を形成し、そのグラファイト膜から配線パターンを形成する方法である。特に、この触媒層の上層にグラファイト膜を形成する方法について開示する。
図1を用いて本実施形態の配線パターンの形成方法の一例を説明する。図1の(a)に示すように、基板上に例えば気相成長法等で酸化Si膜等の絶縁膜を形成したあと、図1の(b)に示すように、上述したような第一成分と第二成分を含む触媒をその基板の酸化Si膜上に形成する。そして、図1の(c)に示すように、その触媒の形成された基板に、例えばCVD等の気相成長法等を用いてグラファイト膜を形成する。
そして、このように形成したグラファイト膜に配線レジストパターンを形成し、ドライエッチング等で配線以外の部分を選択的に除去することで、グラファイト膜からなる配線パターンを形成する。
あるいは、図1(b)に示すように触媒層を基板上に形成した後に、触媒層に配線パターンを形成しても良い。この場合、図1(c)のグラファイト膜を形成する工程において、触媒層のない箇所ではグラファイトが形成されず、一方でパターン形成された触媒層上にのみにグラファイトが形成される。
以下に本実施形態の配線パターンの形成方法における各工程について詳述する。
(1)触媒層
本実施形態の触媒層の組成について説明する。「触媒層」は、炭素を拡散し易い第一成分と、該第一成分の凝集を抑制する物質又は/及び、炭素の第一成分への拡散を抑制する物質を有する第二成分とを含む。あるいは「触媒層」とは、主として炭素を拡散し易い第一成分を有する層と、主として第一成分の凝集を抑制する物質又は/及び、第一成分への炭素の拡散を抑制する物質を有する第二成分を含む層と、を積層したものである。
本実施形態において、第一成分として利用できる物質として、例えばニッケル、コバルト、鉄を挙げることができる。第一成分として利用する場合にはこれらは単独で又は二以上の物質を組み合わせて利用することができる。
また、第二成分として利用できる物質として、例えば高融点金属であるタングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニオブ、レニウムや銅、貴金属類であるルテニウム、白金、金、及び半導体用ドーパントとして用いられるホウ素、リン、チッ素や、酸素、硫黄、炭素を挙げることができる。これらの物質は単独で又は二以上の物質を組み合わせて利用することができる。
なお、第二成分に関して、第一成分の凝集を抑制させる物質と、炭素の第一成分への拡散を抑制する物質とは共通である場合がある(例えば第一成分がコバルトで、第二成分がタングステンの場合)。一方、第二成分に関して、第一成分の凝集を抑制させる作用はないが、炭素の第一成分への拡散を抑制する物質として、例えばホウ素(B)を用いることができる。第二成分のホウ素(B)は、第一成分であるニッケル(Ni)にドープすることによって、ニッケルへの炭素拡散を抑制することができるとともに、得られるグラファイト膜にホウ素原子がドープされてその電気的特性が向上するため、好ましい。なお、ニッケルへのホウ素のドープによって触媒層の再結晶化温度が降下し凝集が生じ易くなることもあるが、この場合、基材を例えばCuで構成すれば凝集を効果的に抑制することができる。
また、第一成分と第二成分の組成比は設計事項であって特に限定しないが、以下のような要素を考慮して設計すると良い。即ち、第一成分の比率を増やすほど、堆積されるグラファイト膜の膜厚が増加する。一方、第二成分の比率を増やすほど、高温でのグラファイト膜形成処理に際して発生する触媒層の凝集は生じにくくなる。そこで、例えばグラファイトの膜質が好適となる処理温度に耐えうる(凝集の抑えられる)組成比等適宜選択することができる。触媒相は、あるいは、組成が漸次変化する傾斜材料からなる触媒層であっても良い。
また、第一成分と第二成分とを含む合金層で触媒層を構成する場合は、第一成分と第二成分とを含む合金相図に基づいて、両者の組成比を決定してもよい。安定的な化合物を形成せず第一成分及び第二成分の効果をより確実に引き出すことができるという観点から、例えば、ニッケル−ホウ素の合金の場合は、ホウ素の組成比は0質量%超で17質量%以下であればよく、銅−タングステンの合金の場合は、タングステンの組成比は、0質量%超、約71質量%以下であればよい。なお、タングステンの組成比の上限は、銅−タングステンの合金の抵抗を上げ過ぎないという観点から、約55質量%であってもよい。
また、第二成分が典型元素を含む場合、その第一成分と第二成分(典型元素)の組成比は適宜選択することができるが、触媒層の凝集抑制の観点から第二成分の量は5質量%以上が好ましく、更に好ましくは8質量%以上である。
また、Bの替わりの典型元素として、リン(P)、チッ素(N)、酸素(O)、硫黄(S)、炭素(C)等の典型元素を用いても良い。特にホウ素やリンを第二成分とする場合、形成されるグラファイト膜にこれらが入ることがある。そしてホウ素(3族)やリン(5族)はホールや電子の供給源、即ち、半導体におけるドーパントとして作用するため、このようなグラファイト膜は低抵抗な配線層に好適である。
ここで、例えば集積回路における銅配線を基材とすれば、本発明はいわゆるダマシンプロセスに適用することも可能である。即ち、銅電解めっき層からなる銅配線を形成した後、その上に本発明における触媒層(例えばニッケル−ホウ素やコバルト−タングステン−リン)を形成すれば、更にその上にグラフェン構造を含むグラファイト膜を形成することができる。特に触媒層がニッケル−ホウ素やコバルト−タングステン−リン等の場合、ホウ素やリンがグラファイト膜にドープされその電気的特性が向上し好ましい。なお、ダマシンプロセスにおいては、銅配線上へのニッケル−ホウ素やコバルト−タングステン−リンの形成はメタルキャップと呼ばれる。
ここで、銅は、アルミニウムよりも配線抵抗が低いため、配線材料として注目されているが、配線表面の銅は、電流を流すとエレクトロマイグレーションにより動いて配線にボイド(孔)が生じて断線しやすくなる問題があった。また、銅はシリコンにしみ込み易く(マイグレーション)、それが原因で配線のショートを引き起こすおそれがあった。これに対し、銅配線表面を「メタルキャップ」と呼ばれる薄いコバルト合金膜等で被覆して安定化させ、銅配線の信頼性の向上を図る配線構造が提案されている。本発明は、このような配線構造にも適用可能であり、例えば上記のコバルト−タングステン−リンの触媒層は、触媒としての機能を発揮するとともにメタルキャップとしての機能も兼ね備える。
また、他の触媒層の組成については、例えばニッケル−タングステン−リン、ニッケル−タングステン−ホウ素、コバルト−タングステン−リン、コバルト−タングステン−ボロン、コバルト−タングステン−リン−ホウ素、銅−タングステン等も有効な触媒として挙げられる。
また、触媒層の膜厚は実際にグラファイト膜からなる配線パターン等の設計に応じて適宜選択することができ、例えば1nm〜500nm程度の膜厚が好ましい。また触媒層が第一成分と第二成分の積層を有してなる場合には、積層体全体が2nm〜500nmの範囲内となるようそれぞれの層が1nm〜499nmの範囲内で適宜調整されると良い。
(2)触媒層形成工程
続いて、触媒層の形成方法の一例について詳述する。本実施形態では触媒を基材上に形成する。基材としては半導体用基板が挙げられ、金属基板やガラスエポキシ基板、シリコン基板等が好ましい。基板上に形成とは、基板の上に直接的に形成する場合と、基板の表面に酸化シリコン膜を被膜して酸化シリコン上に触媒を形成する場合のいずれも含まれるが、更に半導体装置の各種の素子や配線の上に重ねて形成される場合も基板上に形成する場合に該当する。
上記のような組成を有する触媒層の形成方法については、例えばスピンコート、ディッピング、刷毛塗り、スプレイコート、静電塗装、電着塗装等の塗装法、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式成膜法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザCVD等の化学蒸着法、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の気相成膜法、溶射等が挙げられるが、なかでも無電解めっき等の湿式成膜法が、微細パターン表面に均一な薄膜形成が容易であり、製造コストを比較的抑えられるメリットもあり、好ましい。また、スパッタであれば、スパッタガスをアルゴンとし、圧力を1mPa、直流電力を90Wとする条件等が好ましく挙げられる。
また、無電解めっきによって触媒層を形成する場合、基板上に触媒層を堆積させる際の触媒として作用する下地層としてPd膜を付着させることも可能である。またそのPd膜の基板上への付着方法としては、物理的蒸着、Pd微粒子を含む溶液の塗布、あるいは有機シラン分子を基板との結合層として利用し、塩化Pd溶液からの析出によって基板上にPdを付着させる方法等を採用することも可能である。
また、基板に対する触媒層の密着性を向上するために基板上に密着性を向上させるための中間層を設けてもよい。例えばチタン、タンタル、チッ化チタン、チッ化タンタル等の薄膜、等を挙げることができる。
(3)グラファイト膜形成工程
上記のようにして基板上に形成した触媒層表面に、グラファイト膜を形成する。例えば触媒層を形成した基板に対して、エタノール等のアルコール蒸気(炭素源)を供給する熱CVD処理を行うことでグラファイト膜が形成できる。なお熱CVD処理における加熱温度は600℃が好適例であるが、例えば350℃から1000℃の範囲で適宜設定可能である。
上記炭素源であるアルコールとしては、メタノール、エタノール及びブタノール等が挙げられる。上記炭素源としては、例えばメタン(CH)、アセチレン(C)、エチレン(C)及びエタン(C)等のいずれか一種の純ガス又は二種以上の混合ガス、また、ベンゼン環を含むガスも用いることもできる。また、二酸化炭素(CO)や一酸化炭素(CO)も利用することができ、その場合には、プラズマCVD装置を用いるとよい。更に、湿式で成膜する場合にはPMMA等を炭素源として用いることもできる。
また、その他のグラファイト膜の形成方法として、熱CVD処理を行う替わりに、例えばアモルファスカーボン等の炭素源を前記基板上に形成した触媒層の上に堆積させる。なお、その堆積方法は蒸着やディッピング、スピンコート、スプレイコート等が挙げられる。そして、その基板に対して例えば600℃等で加熱処理を行い、触媒上にグラファイト膜を形成する方法である。
あるいは、その加熱温度や第一成分と第二成分の組成を適宜選択することで、触媒層内に拡散した炭素をその触媒層の下に析出させ、触媒層と基板(上の酸化Si膜)の間にグラファイト膜を生成する方法も挙げられる。
あるいは、触媒層を基板上に堆積する前に、基板上に例えば有機シラン分子からなる炭素化合物層を蒸着やディッピング、スピンコート、スプレイコート等で堆積する。つづいて本発明の第一成分と第二成分を含む触媒層を前述のようにしてその基板/炭素層の上に形成する。そしてその触媒の上にアモルファスカーボン等の炭素層を蒸着やディッピング、スピンコート、スプレイコート等で堆積する。そしてこれを加熱すると、触媒はその上下からグラファイト膜の形成に必要十分な量の炭素を取り込むことができる。
そして、十分な炭素が内部に拡散した触媒層から、触媒層の上又は/及び下に炭素が析出され、触媒層の上や下にグラファイト膜を形成することができる。この場合、例えば上に形成されたグラファイト膜と触媒層を取り除くことで、基板上のグラファイト膜のみを次の配線パターンの形成に利用するようにしても良い。
このようにして形成されるグラファイト膜(触媒層の上下にグラファイト膜が形成される場合は、配線パターン形成に利用される下のグラファイト膜)の膜厚(触媒層の厚みも含む)としては例えば10nmが挙げられるが、その膜厚は任意であり、望ましくは、配線のアスペクト比が2以下となるような配線幅以下の膜厚が望ましく、更には、凝集を生じない範囲で合金触媒層の膜厚は薄ければ薄いほど良い。
また、上記グラファイト膜(触媒層も含む)は平坦な基板上に形成させるのみならず、基板に配線パターン等を予め形成し、少なくともパターン側面及び底面に触媒及びグラファイト膜を形成しても良い。更に、グラファイト膜形成工程の加熱処理は、基材(基板)が銅等の金属製である場合には、当該基材に電流を流しながら行ってもよい。また、グラファイト膜の形成後に、当該基材に電流を流しながら加熱(アニール)処理を行ってもよい。これによれば、いわゆるelectro−migrationにより、炭素原子が綺麗に配向したグラフェン構造を含むグラファイト膜が得られる。
(4)配線パターン形成工程
つづいて、上記のようにして形成したグラファイト膜からなる配線パターンを形成する工程について詳述する。なお、前述のとおり、所望の配線パターンを形成するための工程として、グラファイト膜の形成後にパターン形成工程を実行する手順と、触媒層の形成後、グラファイト膜の形成前にパターン形成を実行する手順とがある。
前者の手順においては、まず、上記のグラファイト膜の形成工程によって基板全面にグラファイト膜を形成した後で、フォトリソグラフィーを用いて配線レジストパターンを形成する。つづいて例えばドライエッチング等によって配線以外の部分を選択的に除去し、配線パターン部のみにグラファイト膜を残す。なおグラファイト膜の除去(ドライエッチング)には、酸素を含むガスを用いることができる。
そしてグラファイト膜のエッチングの後に残存する触媒層のエッチングにはフッ素や塩素を含むガスを用いることができる。このようにしてグラファイト膜からなる配線パターンを形成した後、通常のプラズマCVD法等により配線表面を被膜する。
また、後者の手順においては、基板全面に触媒層を堆積した後、グラファイト膜を形成する前にフォトリソグラフィーにより触媒層に配線パターンを形成する。この配線のパターン形成には、例えば、塩素あるいは四フッ化炭素(CF)等のフッ素含有ガスを用いた通常のドライエッチングを用いることができる。そして、そのように配線パターンに形成された触媒層を含む基板に対して前記の熱CVD処理を行い、グラファイト膜をその触媒層の配線パターンに形成する。
つまり触媒層の堆積していない酸化膜表面では触媒作用がないためグラファイトが形成されず、一方で触媒作用をもつ触媒層上にのみに選択的にグラファイトが形成されるため、所望の配線パターンとすることができる。その後配線表面を酸化膜等の絶縁層を覆って配線ができる。このプロセスのメリットは、前者の手順におけるドライエッチングによるグラファイト膜の除去プロセスがないので比較的簡単なプロセスとすることができる点にある。
(5)作用効果
グラファイト膜の膜質を向上させて低抵抗の配線パターンを得るためには、前述のとおり600℃以上の高温処理によってグラファイト膜を形成することが好ましいが、処理温度が高いほど触媒の融点に近づくため、触媒の凝集が生じ易くなる。そこで、凝集を抑えるためには従来公知の代表的な2つの方法を使用することができる。
その従来の第一の方法は触媒層の膜厚を厚くしておく方法である。ただし、この方法においては、例えば製品要求等で配線幅が50nm以下とされている場合、触媒層を50nm以上の膜厚にすると配線パターンの高さ(h)と幅(w)のアスペクト比(h/w)が1以上となり、更にその上にグラファイト膜の膜厚が加わることになる。そのため、配線加工が困難となるだけでなく、配線間容量が増加して配線抵抗(R)と配線容量(C)の積CRに比例して配線遅延が増大(処理速度が低下)し、消費電力も増大するおそれがある。
また、従来の第二の方法は、触媒として融点の高いタングステン、チタン等を用いる方法である。本願発明者の実験によれば、チタン等を触媒とした場合、その厚さを10nm程度以下にしても触媒の凝集は生じない。ただし、熱CVD処理を行った場合、Ni等を触媒とする場合と異なり十分な厚さのグラファイト膜が形成されないおそれもある。
ここで、グラファイト膜の形成及び質の確認はラマンスペクトル分析により実施することができる。ラマンスペクトル分析とは、対象物にレーザ等を照射しその散乱光を分光器に通して分析する方法であり、その検出光の振動数等を観察することによって触媒層上にグラファイトがきちんと形成されたか否か、また形成されたグラファイトの膜質の良好か否かを判定することができる。
ラマンスペクトルにおいては、1590cm−1付近と、1350cm−1付近にそれぞれG、Dと一般的に呼ばれるピークが観察され、Gはグラファイト構造を示し、Dは欠陥構造を反映したピークであり、G/Dのピーク強度比が大きいほど、グラファイトとしての結晶性が良く膜質が良いことを表す。
本実施形態の配線パターンの形成方法では、上記のような第一成分と第二成分を含む触媒層を利用していることから、グラファイト膜形成時に高温で処理を行っても凝集が抑えられると同時に、第一成分の触媒作用によって、上記ラマンスペクトル分析でG/Dのピーク強度比が大きい良質なグラファイト膜を形成することができる。あるいは、第一成分への必要以上の炭素の拡散を抑制し好適な量の炭素が析出するよう制御することができるため良質なグラファイト膜を形成することができる。その結果、微細な配線パターンでも高アスペクト比を維持でき、製造し易く、かつ、配線間容量の小さなグラファイト膜を用いた配線を形成できる。
また、無電解メッキを用いて触媒層を形成する場合、基板が平坦でなくてもその上へ均一な膜質のグラファイト膜を堆積し易いというメリットがある。即ち、グラファイト膜の膜質は、図2に示すように触媒層の膜厚に依存するため、均一な膜質のグラファイト膜を堆積するためには触媒の膜厚均一性が必要となる。そして凹凸のある基板上にスパッタ法で触媒を形成する場合には、パターンによる影ができるため膜厚を均一にするのが困難である。一方、無電解めっきを用いる場合には、表面での化学反応により膜が堆積するため、図3に模式的に示しているように、めっき液が浸み込めばどこでも均一な膜厚形成が可能であり、グラファイト膜の膜質の均一性につながる。基板上に堆積できるメリットとして、横方向の寸法を縮小しても3次元的な形状により配線幅を実効的に広くできる効果がある。
≪実施形態2≫
本実施形態は、
基材上に、炭素化合物で構成された炭素化合物層を形成する炭素化合物層形成工程と、
前記炭素化合物層のうちの前記基材とは反対側の面に、炭素を拡散する第一成分と、前記第一成分の凝集及び/又は前記第一成分への炭素の拡散を抑制する第二成分と、を含む触媒層を形成する触媒層形成工程と、
前記炭素化合物層及び前記触媒層を有する前記基板を加熱し、前記炭素化合物層からグラフェン構造を含むグラファイト膜を形成するグラファイト膜形成工程と、
を有すること、
を特徴とする配線パターンの形成方法(第二の方法)の一実施形態である。
本実施形態では、上記実施形態1と同様に、第一成分と第二成分を含む触媒層を利用してグラファイト膜を形成し、そのグラファイト膜から配線パターンを形成する方法である。そして、上記実施形態1では触媒層の上方にグラファイト膜を形成したが、本実施形態では触媒層の下に炭素源となる層(例えば有機シラン化合物等)を堆積し加熱(アニール)等することにより、触媒層の下にグラファイト膜を形成する。
(1)配線の形成方法
図4を用いて本実施形態の配線パターンの形成方法の一例を説明する。図4の(a)に示すように、基板上に例えば気相成長法等で酸化シリコン膜等の絶縁膜を形成した後、図4の(b)に示すように、酸化シリコン膜上に炭素化合物層を堆積する。
つづいて、図4の(c)に示すように、炭素化合物層の上に、スパッタ法や気相成長法等を用いて触媒層を形成する。そして、図4の(d)に示すように、例えば不活性炉等を利用して加熱(アニール)処理を行いグラファイト膜を触媒層の下に形成する。
この加熱(アニール)処理は、上記実施形態1と同様に、基材(基板)が銅等の金属製である場合には、当該基材に電流を流しながら行ってもよい。また、触媒層の更に上面に銅等の金属層を形成し、当該金属層に電流を流しながら加熱(アニール)処理を行ってもよい。更に、後述するように、グラファイト膜の形成後に触媒層を除去し、その後に当該基材に電流を流しながら加熱(アニール)処理を行ってもよい。これによれば、いわゆるelectro−migrationにより、炭素原子が綺麗に配向したグラフェン構造を含むグラファイト膜が得られる。
本実施形態ではグラファイト膜が触媒層の下に形成されるため、グラファイト膜の形成後、触媒層の除去を容易に行うことができる。このように形成したグラファイト膜に配線レジストパターンを形成し、ドライエッチング等で配線以外の部分を選択的に除去することで、グラファイト膜からなる配線パターンを形成することができる。
あるいは、図4(c)に示すように触媒層を基板上に形成した後に、触媒層に配線パターンを形成しても良い。この場合、図4(d)のグラファイト膜を形成する工程において、触媒層のない箇所ではグラファイト膜が形成されず、一方でパターン形成された触媒層上にのみにグラファイト膜が形成される。
以下に本実施形態の配線パターンの形成方法における各工程について詳述する。
(2)炭素化合物層
炭素化合物層の形成に関し、まず、はじめに形成される炭素化合物層の組成について説
明する。具体的に、本実施形態の炭素源からなる層は炭素が含まれているものであれば基本的に問わない。
例えば、アモルファスカーボン等の炭素化合物層であっても良いし、炭素源となるシラノール基を有する有機シラン化合物(例えば、アルキルシラン、アルコキシシラン、アリルシラン、アミノシラン等)等を挙げることができ、例えばアミノエチルアミノ・エチルアミノ・プロピルトリメトキシシラン(TAMS)や3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTES)等が挙げられる。また、炭素の一部がチッ素や硫黄で置換されても良い。この炭素化合物層の膜厚はとくに限定しないが、例えば10nm等が好ましい。
また、上記有機シラン分子を含む炭素化合物層は、自己集合単分子層に近い形で、基材の酸化膜表面に均一に数nmの膜厚で形成される。また分子量の大きな有機分子を用いることで、有機分子膜に含まれる炭素量及び膜厚を増加することができる。
(3)炭素化合物層形成工程
つづいて、この炭素化合物層の形成方法の一例について詳述する。本実施形態では炭素化合物層を、グラファイト膜の炭素源として基板上(そして後述する触媒層の下)に形成する。
基材としては、金属基板やガラスエポキシ基板、シリコン基板等を挙げることができる。基材上に形成とは、基板の上に直接的に形成する場合と、基板の表面に酸化シリコン膜を被膜して酸化シリコン上に触媒を形成する場合のいずれも含まれるが、更に、半導体装置の各種の素子や配線の上に重ねて形成される場合も基板上に形成する場合に該当する。
そして、そのような基板の上に炭素化合物を形成する方法としては、一般的に真空蒸着法、CVD法、あるいは液体供給のディッピング法やスピンコート法、スプレイコート法等で行うことができる。また、この炭素化合物層に無電解めっきにおける触媒作用を持つPd等の元素を混入させても良い。
なお、基材上には、例えば上記酸化膜(O)等のように、シランカップリングを形成する元素を含む化合物からなる膜で被覆することが望ましい。そうすることで、炭素化合物層を好適に基材に吸着させることができる。
(4)触媒層
触媒層の組成や形成方法については、実施形態1のものと基本的には同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
ただし、本実施形態における触媒層の膜厚は、1〜5000nmの範囲であれば良い。本実施形態では、前述のとおりグラファイト膜の形成後に触媒層のみ除去可能であるため、配線幅との比(アスペクト)に対する触媒層の厚みの影響を考慮する必要が無い。したがって、触媒層の凝集抑制の観点から、なるべく厚みを持たせて堆積することが好ましい。
(5)グラファイト膜形成工程
次に、本実施形態では加熱(アニール)処理を行うことでグラファイト膜を形成する。その加熱方法としては不活性炉や真空加熱炉のほか、レーザや電子ビームの照射装置による加熱処理が挙げられる。
また、加熱処理における温度は600℃が好適であるが特にその温度に限定はされず、例えば350℃から1000℃の範囲であれば良く、グラファイト膜の膜質の向上のためには500℃から750℃の範囲が好ましいが、例えば膜厚や触媒層の結晶状態等に応じて適宜設定可能である。又加熱時間も10分から60分の範囲で同様に適宜設定可能である。
そして、加熱後、同じ不活性雰囲気中等で、例えば10℃/秒等の冷却速度で冷却することができる。この冷却における冷却速度も、形成するグラファイト膜の膜厚等に応じて適宜調整可能である。
触媒層の下に形成された炭素化合物層から触媒層に供給された炭素が、第一成分と第二成分を含む触媒層の機能によって、その触媒層の上方(ベースの反対側)のみならずその下方に析出される。
触媒層を第一成分を含む第一層と第二成分を含む第二層とのを積層体で構成する場合、主として炭素を拡散し易い第一成分を含む第一層を下側(基板及び炭素化合物層の側)に配置し、その第一層の上に主として第一成分の凝集を抑制する物質及び/又は炭素の第一成分への拡散を抑制する物質を有する第二成分を含む第二層を積層すると良い。
このような上下関係で積層することで、第一成分の触媒層に拡散した炭素が、その上に積層された第二成分層に邪魔されて上方には析出されず、その下方に析出されることになる。そのため、触媒層の下にグラファイト膜を形成することができる。
そして、触媒層の下にグラファイト膜が形成された後、硝酸、塩酸、過酸化水素を含む混酸水溶液、あるいはその他ニッケルやコバルト用の周知のエッチング液を用いて、触媒層を選択的に除去する。このようにして、基板の酸化膜上にグラファイト膜のみを残すことができる。
(6)配線パターン形成工程
つづいて、上記のようにして形成したグラファイト膜から配線パターンを形成するが、前述のとおり、所望の配線パターンを形成するための工程として、グラファイト膜の形成後にパターンを形成する手順と、触媒層の形成後でグラファイト膜の形成前にパターンを形成する手順とがある。この配線パターン形成のための両手順は上記実施形態1と同様であるため、ここではその詳細な説明を省略する。
(7)作用効果
前述の非特許文献2のように、アモルファスカーボン層上にNi層を触媒層として堆積して加熱する技術では、炭素は触媒層中を拡散してその上方に析出されるため触媒層の表面でグラファイト膜が形成される。したがって、本実施例のように触媒層を除去することができずグラファイト膜の下に触媒層が残ってしまう。
本実施形態の配線パターンの形成方法では、炭素化合物層の上に形成され、炭素を拡散し易い第一成分と、第一成分の凝集を抑制する物質又は/及び、第一成分への炭素の拡散を抑制する物質を有する第二成分を含む触媒を利用しているため、その触媒層の下に形成された炭素化合物層から触媒層に供給された炭素が、第一成分と第二成分を含む触媒層の機能によって、その触媒層の下方に析出される。
あるいは、第一成分と第二成分を積層させたもの触媒とする場合、炭素を拡散し易い第一成分を含む第一層を下側(基板及び炭素層の側)に配置し、その上に凝集性を抑制する物質又は/及び炭素の拡散を抑制する物質を有する第二成分を含む第二層を積層することで、第一成分の触媒層に拡散した炭素が、その上に積層された第二成分層に邪魔されて上方には析出されず、その下方に析出されることになる。そのため、触媒層の下にグラファイト膜を形成することができる。
そして、触媒層の下にグラファイト膜が形成された後、触媒層を選択的に除去することができるため、基板の酸化膜上にグラファイト膜のみを残すことができる。
また、触媒層を除去し基板の酸化膜上にグラファイト膜のみを残すことができるため、配線にした場合にグラファイト固有の電気伝導特性により低抵抗化が実現できる。また触媒層の厚みで配線の高さが嵩上げされることが無いので容易に高アスペクト比とすることができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、以下に本発明の代表的な実施例について説明する。実施例1〜5は上記第一の方法に関し、実施例6〜7は上記第二の方法に関する。
≪実施例1:スパッタ法で形成したNi−W触媒層の利用≫
まず、シリコン基板の表面にCVD法で酸化シリコン膜の絶縁膜を形成した。そしてその酸化シリコン膜上に、例えば元素組成比がそれぞれ10%、90%であるニッケル(Ni:第一成分)とタングステン(W:第二成分)からなる合金ターゲットを用いてスパッタ法を行い、膜厚10nmのNi−W合金を触媒層として堆積した。本実施例ではアルゴンをスパッタガスとし、圧力を1mPa、直流電力を90Wとする条件下で実験を行い、その結果Ni−W合金におけるNiとWの組成はそれぞれ、約11質量%と約89質量%であった。
つづいて、このように触媒層を形成した基板をCVD(化学的気相成長法)装置内に設置し、触媒層表面を露出した状態で加熱CVD処理を行うことでグラファイト膜を形成した。この熱CVD工程は、エタノールをアルゴンガスでバブリングすることでエタノール蒸気を含有したアルゴンガスを生成し、そのアルゴンガスを600℃に加熱した前記の触媒層表面に供給することによって行い、膜厚10nmの良好なグラファイト膜を形成した。
≪実施例2:スパッタ法で形成したNi−B触媒層の利用≫
まず、実施例1で用いたのと同じ基板の表面にCVD法で酸化シリコン膜の絶縁膜を形成した。そしてその酸化シリコン膜上に、元素組成比がそれぞれ85%、15%であるNiとBからなる合金ターゲットを用いてスパッタ法を行い、膜厚10nmのNi−B合金を堆積した。なおアルゴンをスパッタガスとし、圧力1mPa、直流電力90Wの条件で行って、Ni−B合金におけるNiとBの組成比はそれぞれ、90%と10%となった。
つづいて、このように触媒層を形成した基板をCVD(化学的気相成長法)装置内に設置し、触媒面を露出した状態で加熱CVD処理を行うことでグラファイト膜を形成した。この熱CVD工程は、エタノールをアルゴンガスでバブリングすることでエタノール蒸気を含有したアルゴンガスを生成し、そのアルゴンガスを600℃に加熱した前記の触媒層表面に供給することによって行った。これにより膜厚10nmの良好なグラファイト膜が形成できた。
そして、上記のようにニッケル−ホウ素を触媒に用いた場合のグラファイト膜と、比較例としてニッケル又はチタンのみの触媒を用いた場合に得られたグラファイト膜(比較例1及び2)のラマンスペクトルを比較したところ、本実施例のグラファイト膜は比較例のグラファイト膜より優れていることが確認された。
したがって、第一の方法と同様に、典型元素をニッケルにドープすることによって触媒層の再結晶化温度が上昇し、凝集が生じにくくなることによって、従来方法と比較して配線幅50nm以下の微細配線でも、アスペクト比を抑えて、製造し易く、かつ、配線間容量の小さなグラファイト/触媒積層構造を用いた配線を形成できることがわかった。また、ホウ素をニッケルにドープすると、上記のように、ニッケルへの炭素拡散を抑制することができ、得られるグラファイト膜にホウ素原子がドープされ、その電気的特性が向上することが期待された。
なお、この作用効果は本実施例2にのみ限定されるわけではなく、本件発明の第一成分と典型元素である第二成分の組合せによって得られるものであり、本発明の特徴ある効果である。
≪実施例3:無電解めっき法で形成したNi−B触媒層の利用≫
まず、実施例1で用いたのと同じ基板の表面にCVD法で酸化シリコン膜の絶縁膜を形成した。そしてその酸化シリコン膜上にパラジウム(Pd)膜を付着させた。このPd膜は、無電解めっきの際にNi−B合金等を堆積させる際の触媒として作用させるために、形成した。
次に、表面にPd膜を付着させた基板を、Ni−Bめっき浴(硫酸ニッケル六水和物0.1モル、クエン酸0.2モル、ジメチルアミンボラン0.05モルを成分とし、テトラメチルアンモニウムハイドライドをpH調整剤としてpH=9に調整された溶液)に70℃で浸漬して、10nmのNi−B膜を堆積した。
つづいて、このようにNi−B触媒層を形成した基板をCVD(化学的気相成長法)装置内に設置し、触媒面を露出した状態で熱CVD処理を行うことでグラファイト膜を形成した。この熱CVD工程は、エタノールをアルゴンガスでバブリングすることでエタノール蒸気を含有したアルゴンガスを生成し、そのアルゴンガスを600℃に加熱した前記の触媒層表面に供給することによって行った。これにより膜厚10nmの良好なグラファイト膜が形成できた。
≪実施例4:無電解めっき法で形成したCo−W−P−B触媒層の利用≫
まず、実施例1で用いたのと同じ基板の表面にCVD法で酸化シリコン膜の絶縁膜を形成した。そしてその酸化シリコン膜上にパラジウム(Pd)膜を付着させた。このPd膜は、無電解めっきの際にCo−W−P−B合金を堆積させる際の触媒として作用させるために、形成した。
つぎに、硫酸コバルト七水和物0.082モル、ホウ酸0.502モル、ホスフィン酸ナトリウム0.169モル、タングステン酸ナトリウム0.03モル、クエン酸ナトリウム0.492モルを成分とし、水酸化カリウムでpHを9に調整しためっき液を用意した。このめっき液を80℃に加熱し、表面にPd膜を付着させた基板をこのめっき液に浸漬した。すると膜厚10nmのCo−W−P−B合金膜が基板上に堆積し、Coが0.85、Wが0.04、Pが0.11で、Bはほとんど検出されないCo−W−P−B触媒層を得ることができた。
なお、本実施例ではタングステンの組成を5質量%程度として試験を行ったが、めっき液中のタングステン酸ナトリウムの濃度によって組成を変化させることが可能であった。
つづいて、Co−W−P−B触媒層を形成した基板をCVD(化学的気相成長法)装置内に設置し、触媒層表面を露出した状態で熱CVD処理を行うことでグラファイト膜を形成した。この熱CVD工程は、エタノールをアルゴンガスでバブリングすることでエタノール蒸気を含有したアルゴンガスを生成し、そのアルゴンガスを600℃に加熱した前記の触媒層表面に供給することによって行った。これにより膜厚10nmの良好なグラファイト膜が形成できた。
≪実施例5:無電解めっき法で形成したCo−W−P−B/Ni−B触媒層の利用≫
まず、実施例1で用いたのと同じ基板の表面にCVD法で酸化シリコン膜の絶縁膜を形成した。そしてその酸化シリコン膜上にパラジウム(Pd)膜を付着させた。つづいて、Pd膜を付着させた基板をNi−Bめっき浴に浸漬して2nmのNi−B層を堆積した。
つぎに、硫酸コバルト七水和物0.082モル、ホウ酸0.502モル、ホスフィン酸ナトリウム0.169モル、タングステン酸ナトリウム0.03モル、クエン酸ナトリウム0.492モルを成分とし、水酸化カリウムでpHを9に調整しためっき液を用意した。このめっき液を80℃に加熱し、表面にNi−B層を堆積させた基板をこのめっき液に浸漬した。すると膜厚10nmのCo−W−P−B合金膜が基板上のNi−B層の上に堆積し、Co−W−P−B/Ni−B触媒層を得ることができた。
つづいて、Co−W−P−B/Ni−B触媒層を形成した基板をCVD(化学的気相成長法)装置内に設置し、触媒層表面を露出した状態で熱CVD処理を行うことでグラファイト膜を形成した。この熱CVD工程は、エタノールをアルゴンガスでバブリングすることでエタノール蒸気を含有したアルゴンガスを生成し、そのアルゴンガスを600℃に加熱した前記の触媒層表面に供給することによって行った。これにより膜厚10nmの良好なグラファイト膜が形成できた。
≪実施例6:炭素化合物層:アモルファスカーボン層の利用≫
まず、実施例1で用いたのと同じ基板の表面にCVD法で酸化シリコン膜の絶縁膜を形成した。そしてその基板上に、炭素棒をソースとして、真空蒸着法によってアモルファスカーボンからなる炭素化合物層を膜厚10nmとなるよう堆積した。
つづいて、そのアモルファスカーボン層上に触媒層として、元素組成比がそれぞれ50質量%であるニッケルとタングステンからなる合金ターゲットを用いてスパッタ法を行い、膜厚100nmのニッケル−タングステン合金層を触媒層として堆積した。なお、スパッタガスをアルゴンとし、その圧力を1mPa、直流電力を100Wとする条件を採用した。
つづいて、配線パターン形成のため、その触媒層をフォトリソグラフィーにより配線パターンに加工した。この配線加工には、四フッ化炭素(CF)含有ガスを用いたドライエッチングにて行った。
そして、配線パターンを形成した炭素化合物層と触媒層を堆積した基板を、チッ素雰囲気中600℃で30分間加熱した。そして加熱後、10℃/秒の冷却速度で同じくチッ素雰囲気中で冷却した。すると、触媒層の機能によって炭素がその下方に析出された。そのため、配線パターンに加工された触媒層の下(触媒層と基板の間)にグラファイト膜が形成された。
つづいて、混酸水溶液を用いたエッチングにより、グラファイト膜の上にある触媒層を選択的に除去した。このようにして、膜厚10nmで触媒層が除去されたグラファイト膜からなる配線パターンを形成することできた。
≪実施例7:炭素化合物層:有機シラン化合物層の利用≫
まず、実施例1で用いたのと同じ基板の表面にCVD法で酸化シリコン膜の絶縁膜を形成した。そしてその酸化シリコン膜を形成した基板を、有機シラン化合物であるアミノエチルアミノ・エチルアミノ・プロピルトリメトキシシラン(TAMS)を1質量%含む60℃のトルエン溶液に浸漬し、酸化膜表面に有機シラン分子層を吸着させた。
その後、基板をメタノールにより洗浄し、その上に有機シラン化合物層を形成した。この有機シラン化合物層は、自己集合単分子層に近い形で、基板の酸化膜表面に均一に数nmの膜厚で形成された。また、分子量の大きな化合物を用いることで、有機分子膜に含まれる炭素量及び膜厚を増加させることができた。
つづいて、その有機シラン化合物層を堆積した基板を、塩化パラジウム溶液に浸漬し、有機分子にパラジウム(Pd)を吸着させてPd膜を形成した。このPd膜は、次のステップであるNi−Bの無電解めっきにおいて触媒として作用させるために形成した。
次に、Ni−Bめっき浴(硫酸ニッケル六水和物0.1モル、クエン酸0.2モル、ジメチルアミンボラン0.05モルを成分とし、テトラメチルアンモニウムハイドライドをpH調整剤としてpH=9に調整された溶液)に70℃で浸漬して40nmのNi−Bの合金層を堆積した。
そして、有機シラン化合物層と触媒層を堆積した基板を、不活性炉内でチッ素雰囲気中600℃で30分間加熱した。そして加熱後、10℃/秒の冷却速度で同じくチッ素雰囲気中で冷却すると触媒層の下(触媒層と基板の間)にグラファイト膜が形成された。図5に、上記のようにグラファイト膜を形成し、エッチングにより触媒層を除去する前の状態の基板の透過電子顕微鏡写真を示した。
つづいて、混酸水溶液を用いたエッチングにより、グラファイト膜の上にある触媒層を選択的に除去した。このようにして、触媒層が除去されたグラファイト膜を形成することできた。
その後、フォトリソグラフィーを用いて上記触媒層を除去し形成したグラファイト膜上に配線レジストパターンを形成した。つづいて酸素を含むガスを用いたドライエッチングにより配線パターン以外のグラファイト膜を選択的に除去した。このようにしてグラファイト膜を配線パターンになるよう形成した後、不要なフォトレジストを除去し、プラズマCVD法により配線表面を被膜した。このようにして良質で所望の配線パターンを得ることができた。
図5に示すように、本実施形態の配線パターンの形成方法によって、触媒層であるニッケル−ホウ素合金層からなる触媒層と基板の酸化層との間に、グラファイト膜が形成された。
以下の表1に、上記実施例の内容をまとめて記載した。

Claims (13)

  1. 基材上に、炭素を拡散する第一成分と、前記第一成分の凝集及び/又は前記第一成分への炭素の拡散を抑制する第二成分と、を含む触媒層を形成する触媒層形成工程と、
    前記触媒層のうちの前記基材とは反対側の面に、グラフェン構造を含むグラファイト膜を形成するグラファイト膜形成工程と、
    を有すること、
    を特徴とする配線パターンの形成方法。
  2. 前記第一成分の炭素拡散係数Dと前記第二成分の炭素拡散係数Dとが、関係式:D>Dを満たすこと、
    を特徴とする請求項1に記載の配線パターンの形成方法。
  3. 前記触媒層が、前記第一成分及び前記第二成分を含む合金層で構成されていること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の配線パターンの形成方法。
  4. 前記触媒層が、前記第一成分を含む第一層及び前記第二成分を含む第二層の積層体で構成されていること、
    を特徴とする請求項1又は2に記載の配線パターンの形成方法。
  5. 前記触媒層は、ニッケル、コバルト、鉄、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニオブ、レニウム、銅、ルテニウム、白金、金、ホウ素、リン、チッ素、酸素、硫黄及び炭素よりなる群から少なくとも二種の元素を含むこと、
    を特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の配線パターンの形成方法。
  6. 前記触媒層が、ニッケル−ホウ素、ニッケル−リン、ニッケル−タングステン−リン、ニッケル−タングステン−ホウ素、コバルト−ホウ素、コバルト−リン、コバルト−タングステン−リン、コバルト−タングステン−ホウ素、又は銅−タングステンで構成されていること、
    を特徴とする請求項1〜4のうちのいずれかに記載の配線パターンの形成方法。
  7. 基材上に、炭素化合物で構成された炭素化合物層を形成する炭素化合物層形成工程と、
    前記炭素化合物層の前記基材とは反対側の面に、炭素を拡散する第一成分と、前記第一成分の凝集及び/又は前記第一成分への炭素の拡散を抑制する第二成分と、を含む触媒層を形成する触媒層形成工程と、
    前記炭素化合物層及び前記触媒層を有する前記基板を加熱し、前記炭素化合物層からグラフェン構造を含むグラファイト膜を形成するグラファイト膜形成工程と、
    を有すること、
    を特徴とする配線パターンの形成方法。
  8. 前記第一成分の炭素拡散係数Dと前記第二成分の炭素拡散係数Dとが、関係式:D>Dを満たすこと、
    を特徴とする請求項7に記載の配線パターンの形成方法。
  9. 前記触媒層が、前記第一成分及び前記第二成分を含む合金層で構成されていること、
    を特徴とする請求項7又は8に記載の配線パターンの形成方法。
  10. 前記触媒層が、前記第一成分を含む第一層及び前記第二成分を含む第二層の積層体で構成されていること、
    を特徴とする請求項7又は8に記載の配線パターンの形成方法。
  11. 前記触媒層は、ニッケル、コバルト、鉄、タングステン、チタン、タンタル、モリブデン、ニオブ、レニウム、銅、ルテニウム、白金、金、ホウ素、リン、チッ素、酸素、硫黄及び炭素よりなる群から少なくとも二種の元素を含むこと、
    を特徴とする請求項7〜10のうちのいずれかに記載の配線パターンの形成方法。
  12. 前記触媒層が、ニッケル−ホウ素、ニッケル−リン、ニッケル−タングステン−リン、ニッケル−タングステン−ホウ素、コバルト−ホウ素、コバルト−リン、コバルト−タングステン−リン、コバルト−タングステン−ホウ素、又は銅−タングステンで構成されていること、
    を特徴とする請求項7〜10のうちのいずれかに記載の配線パターンの形成方法。
  13. 前記炭素化合物が、アモルファスカーボン又は有機シラン化合物であること、
    を特徴とする請求項7〜12のうちのいずれかに記載の配線パターンの形成方法。



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