JP2012071830A - 車両のサイドミラー周辺空気流制御装置 - Google Patents

車両のサイドミラー周辺空気流制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】車体外側造形面に沿ってサイドミラーに向かう空気流をサイドミラーに衝突することのないよう偏向させるに際し、ほとんど空気抵抗の増大無しにこれを実現する。
【解決手段】ドアミラー9に向かう空気流が通過する車体外側造形面の領域にあるヘッドランプレンズ11の外側面に、空気流方向に延在する空気流二分突条11aを設け、。突条11aの内側面を、空気流方向下流へ向かうにつれ車幅方向内方へ向かいつつ、最終的にドアミラー9よりも内方に指向するような内向き曲面の空気流内方案内縦壁11bとなし、内側空気流αを層流状態でドアミラー9よりも車幅方向内方に偏向させる。突条11aの外側面を、車両側方から見たとき空気流方向下流へ向かうにつれ下方へ向かいつつ、最終的にドアミラー9よりも下方に指向するような傾斜面の外側空気流下方案内面11cとし、外側空気流βを層流状態でドアミラー9の下方に向け偏向させる。
【選択図】図15

Description

本発明は、車両走行中、運転席から車両の斜め後方を視認し得るよう車体に取り付けたドアミラーなどのサイドミラーに向かう空気流を良好に制御し得るようにした車両のサイドミラー周辺空気流制御装置に関するものである。
車両には、運転席から車両の斜め後方を視認できるよう、ドアミラーなどのサイドミラーを車体に取り付けて設ける。
しかしサイドミラーは、その設置目的に照らして当然であるが、車体側方から張り出しており、走行中の走行風が直接衝突するのは勿論であるが、そのほかに、車体外側面に沿って流れた空気流もサイドミラーに衝突する。
サイドミラーに直接衝突する走行風は、障害物に影響されていないため略整流であって、サイドミラー衝突時に大きな風切り音を発生することがない。
しかし車体外側面に沿って流れた空気流は、車体外側面の形状による影響を受け、乱されており、この空気流がサイドミラーに衝突すると、サイドミラーから大きな風切り音が発生する。
この問題解決のため従来、例えば特許文献1に記載のような対策が提案された。
この提案技術は、サイドミラーの前方における車体上面に(乗用車などの場合)、空気流方向を横切るよう車幅方向へ延在する衝立を設けたり、または車両前面に(商用車などの場合)、空気流方向を横切るよう車両上下方向へ延在する衝立を設けたものである。
かかる特許文献1に記載の技術にあっては、車両の走行中、上記のごとくに設けた衝立により、当該衝立に衝突した走行風を、車両上方から見たとき車幅方向外方へ略90°方向変換(屈曲)させて、サイドミラーの直前を車幅方向内側から車幅方向外方へ横切るサイドミラー直前横切り空気流を作り出すことができる。
特許文献1所載の提案技術は、このサイドミラー直前横切り空気流により、サイドミラーに向かっている空気流を車幅方向外方へ押しのけることで、この空気流がサイドミラーに衝突することのないようにすることを狙ったものである。
上記した風切り音の問題を解決しようとする技術としては、その他に従来、例えば特許文献2,3に記載のような対策も提案されている。
特許文献2の提案技術は、車体カウルパネルに上方隆起部や側方張り出し部を設定し、これにより車体走行風を、サイドミラーの直前でその上方および外方へ偏向させて、車体走行風が直接サイドミラーに衝突するのを緩和することを狙ったものである。
また特許文献3の提案技術は、サイドミラーの直前において車体面にディフレクタを設け、これにより車体走行風を、サイドミラーの直前でその上方へ偏向させて、車体走行風が直接サイドミラーに衝突するのを緩和することを狙ったものである。
特開平06−312673号公報 特開昭60−163174号公報 特開昭61−094484号公報
しかし、特許文献1の提案になるサイドミラー周辺空気流制御技術のように、車体上面に空気流を横切るよう車幅方向へ延在させて設けた衝立や、車両前面に空気流を横切るよう車両上下方向へ延在させて設けた衝立で、サイドミラーに向かう空気流を横方向外側へ押しのけるためのサイドミラー直前横切り空気流を作り出すのでは、以下の問題を生ずる懸念がある。
つまり上記の衝立が、これに衝突した走行風を車両上方から見たとき車幅方向外方へ略90°屈曲させてサイドミラー直前横切り空気流を作り出す必要があるため、
走行風が衝立に衝突して90°もの大きな角度に亘って屈曲されるときに大きな動圧を発生させることとなり、車両の走行抵抗が大きくなるのを避けられない。
従って特許文献1の提案技術は、車両の走行抵抗が大きくなるという犠牲を払わないと、サイドミラーの風切り音を低減することができないという問題を生じていた。
また特許文献2,3の提案になるサイドミラー周辺空気流制御技術では、車体走行風をサイドミラーの直前で、これに衝突するのを緩和するようサイドミラーの上方や外方へ偏向させるものであるため、
かかる偏向方向に起因し、また車体側面の上方が車幅方向内方へ内傾しているため、サイドミラーの上方や外方を通過した後の空気流が車体側面から離れたところを通ることとなって、車体側面に沿うような空気流たり得ない。
かように車体側面から離れたところを通過する空気流は、車体側面に沿うような空気流に較べて、車体側面による横方向ガイド効果を享受し得ないことから、車体側面に沿うよう流れている空気流や横風などによって、空気流方向を横切る方向の外力を受けたとき乱流傾向となり易く、この乱流で車両の走行抵抗が増大され易いという問題を生ずる。
更に特許文献2,3の提案技術では、車体走行風をサイドミラーの直前でサイドミラーの上方や外方へ偏向させるべく車体に設けた空気流偏向部が、サイドミラーの直前に位置することもあり、空気流方向後端において断面積を急減される形状となり、以下の問題をも生ずる。
つまり、上記空気流偏向部を通過した後の偏向空気流が、急に空気流案内面を失って空気流偏向部から剥離されることとなり、その結果として偏向後の空気流が渦流を生じて乱流となるため、当該乱流気味の空気流がサイドミラーに衝突するのを十分には緩和しきれない。
従って、特許文献2,3の提案になるサイドミラー周辺空気流制御技術では、空気流がサイドミラーに衝突して発生する風切り音に関した前記の問題を満足できる程度に解決することができない懸念がある。
加えて特許文献2,3の提案技術では、空気流偏向部を通過した偏向後の空気流が上述の通り渦流を生じて乱流傾向になることから、これが車両の走行抵抗を増大させてしまうという問題をも生ずる。
本発明は、上記の実情に鑑み、車両の走行抵抗を大きくさせるような弊害を生ずることなく、サイドミラーに向かう走行風をサイドミラーに衝突することのないよう通過させることができ、且つ、サイドミラーを通過した後も空気流が車体側面に沿うような空気流であり得るようにして、サイドミラー通過後の空気流が、車両の走行抵抗を増大させる乱流傾向になることのないようにしたサイドミラー周辺空気流制御装置を提案し、もって前記した諸問題を解消することを目的とする。
この目的のため、本発明による車両のサイドミラー周辺空気流制御装置は、以下のごとくにこれを構成する。
先ず、本発明の基礎前提となるサイドミラー周辺空気流制御装置を説明するに、これは、運転席から車両の斜め後方を視認し得るよう車体に取り付けたサイドミラーの周辺空気流を制御するためのものである。
本発明は、かかるサイドミラー周辺空気流制御装置に対し、以下のような空気流下方案内面を設けた構成に特徴づけられる。
この空気流下方案内面は、上記サイドミラーに向かう空気流を該サイドミラーの下方に偏向させるよう機能するもので、前記空気流が通過する車体外側造形面の領域に、タイヤホイールアーチ部の後端部よりも前方から前記空気流の流れ方向へ延在させて立設する。
かかる本発明のサイドミラー周辺空気流制御装置によれば、
上記の空気流下方案内面が、サイドミラーに向かう空気流をサイドミラーの下方へ偏向させるため、
車体外側造形面による影響を受けた空気流が、該空気流下方案内面による偏向によってサイドミラーの下方を通過し、サイドミラーに衝突することがなくなる。
このため上記の空気流がサイドミラーに衝突して発生する風切り音を防止、または低減することができると共に、当該空気流がサイドミラーに衝突して発生する動圧を殆ど無視し得る程度のものにし得る。
しかも、サイドミラーに向かう空気流を空気流下方案内面により直接、サイドミラーに到達する前にサイドミラーの下方へ偏向するようガイドすることで上記の作用効果が奏し得られるようにしたため、
上記空気流の偏向ガイドを司る空気流下方案内面による空気流の偏向角度がほんの僅かでよく、空気流下方案内面に発生する動圧も極僅かである。
かように空気流下方案内面における動圧が極僅かであることと、上記のごとくサイドミラーにおける動圧が極僅かであることとで、本発明のサイドミラー周辺空気流制御装置は、車両走行抵抗が増大するという犠牲を殆ど払うことなしにサイドミラーの風切り音を防止、または低減するという上記の作用効果を達成することができる。
また本発明によれば、空気流下方案内面が車両前後方向における設置位置を制約されないため、この空気流下方案内面が、上記のごとく偏向させた後の空気流を、層流状態でサイドミラーの下方に通過させるようなものとなすことも可能で、
上記偏向後の空気流が、空気流下方案内面から剥離されて渦流を生じ、乱流となるようなことがない。
このため、当該偏向後の空気流が乱流状態となってサイドミラーに衝突する事態も確実に防止することができ、この衝突による風切り音の問題を生ずることもない。
なお、上記偏向後の空気流が乱流状態になると、これが車両の走行抵抗を増大させる要因となるが、
本発明においては上記のごとく、上記偏向後の空気流が層流状態でサイドミラーの下方に通過するようになすことも可能で、かかる偏向後の空気流が車両の走行抵抗を大きくするという問題を生ずることもない。
更に、上記のごとく偏向後の層流状態にある空気流をサイドミラーの下方に通過させるため、
かかる空気流通過方向に起因して、また車体側面の下方が上方よりも車幅方向外方へ張り出していることから、サイドミラーの下方を通過した後の空気流が、車体側面に沿うような空気流であり得ることとなり、車体側面による横方向ガイド効果を享受し得て、空気流方向を横切る方向の外力を受けても乱流傾向となり難く、この乱流傾向で車両の走行抵抗が増大されるいという問題を生ずることもない。
本発明の一実施例になるサイドミラー周辺空気流制御装置を具えた車両の左前半部に係わる車体部分を車両上方から見て示す平面図である。 図1における車両の左前半部に係わる車体部分を車両左前の上方から見て示す斜視図である。 図1における車両の左前半部に係わる車体部分を車両前方から見て示す正面図である。 図1における車両の左前半部に係わる車体部分を車両側方から見て示す側面図である。 図4のA-A線上で断面とし、矢の方向に見て示す、ヘッドランプレンズの縦断背面図である。 図1における車両の左前半部に係わる車体部分に設けたヘッドランプレンズの詳細を示し、 (a)は、該ヘッドランプレンズを車両右前方から見て示す斜視図、 (b)は、該ヘッドランプレンズを同方向から見て、該ヘッドランプレンズの車幅方向内側面により制御される空気流と共に示した拡大斜視図である。 図1における車両の左前半部に係わる車体部分に設けたヘッドランプレンズを車両前方から見て、その車幅方向内側面により制御される空気流と共に示す斜視図斜視図である。 図1における車両の左前半部に係わる車体部分に設けたヘッドランプレンズの詳細を示し、 (a)は、該ヘッドランプレンズを車両左前方から見て示す斜視図、 (b)は、該ヘッドランプレンズを同方向から見て、該ヘッドランプレンズの車幅方向外側面により制御される空気流と共に示した拡大斜視図である。 図1における車両の左前半部に係わる車体部分に設けたヘッドランプレンズを車両右前方から見て、その車幅方向外側面により制御される空気流と共に示した斜視図である。 図6〜9に示したヘッドランプレンズの最大幅を説明するためのヘッドランプレンズの平面図である。 図1〜10に示す実施例のサイドミラー周辺空気流制御装置を具える車両を風洞実験して得られた空気流を示す車両の側面図である。 図1〜10に示す実施例のサイドミラー周辺空気流制御装置を具える車両を風洞実験して得られた空気流を示す車両の平面図である。 図1〜10に示す実施例のサイドミラー周辺空気流制御装置を具える車両を風洞実験して得られた空気流を示す車両の左後方からの斜視図である。 図1〜10に示す実施例のサイドミラー周辺空気流制御装置を具える車両を風洞実験して得られた空気流を示す車両の左前方からの斜視図である。 図1〜10に示す実施例のサイドミラー周辺空気流制御装置を具える車両を風洞実験して得られた空気流を示す車両の正面図である。
以下、本発明の実施の形態を、図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。
<構成>
図1〜4は、本発明の一実施例になるサイドミラー周辺空気流制御装置を具えた車両の左前半部に係わる車体部分を示し、
図1は車両上方から見た平面図、図2は左前の上方から見た斜視図、図3は車両前方から見た正面図、図4は車両左側方から見た側面図である。
これらの図において、1は、フロントウインドシールド、2は、車体ルーフパネル、3は、エンジンルームやモータルームの上部開口を塞ぐボンネット、4は、フロントグリル、5は、フロントバンパ、6は、左フロントフェンダ、7は、左ヘッドランプ、8は、左フロントドア、9は、運転席から車両の左斜め後方を視認し得るよう左フロントドア8に取り付けた左ドアミラー(左サイドミラー)をそれぞれ示す。
車体左前半部分が図1〜4に示すごとき車両の走行中は、車体外側形状を形作る車体外側造形面に沿って前方から後方へ向けて空気が流れる。
本実施例においては、かように車体外側造形面に沿って前方から後方へ向けて流れる空気流のうち、車体外側造形面に沿って特にドアミラー9に向かうよう流れる空気流が通過する車体外側造形面の領域、例えば車体外側造形面の一部を成すヘッドランプ7のレンズ11の外側面を、図4のA-A線上で断面として矢の方向に見た図5の断面図にも示すような形状となす。
つまり図1〜4に示すごとく、ヘッドランプレンズ11の外側面を、フロントフェンダ6内に収納した前輪(図11,13,14に12で示す)の回転中心よりも車両前後方向前方位置における前端から後端まで、上記空気流の流れ方向に延在する稜線(頂縁)が存在する中高形状となし、
これによりヘッドランプレンズ11の外側面に、上記空気流の流れ方向へ延在する空気流二分突条11aを設ける。
この空気流二分突条11aは、車体外側造形面に沿ってドアミラー9に向かうよう流れる空気流が相互に混ざり合って乱流となることのないよう当該空気流を、後で詳述するごとく車幅方向内外の内側空気流および外側空気流に二分するもので、
従って空気流二分突条11aの車幅方向位置は、上記のごとく空気流が相互に混ざり合って乱流となることのないようにするという本来の目的に最も叶うような位置に決定するのが良いのは勿論である。
このため本実施例においては空気流二分突条11aを、例えばその稜線がドアミラー9よりも車幅方向内方に位置するように配置する。
空気流二分突条11aの稜線よりも車幅方向内側における車幅方向内側面は、この面に沿ってドアミラー9に向かうよう流れる上記内側空気流を、ドアミラー9よりも車幅方向内方、好ましくはウインドシールド1に向け偏向させる空気流内方案内縦壁11bとして形成する。
このため空気流内方案内縦壁11b(空気流二分突条11aの車幅方向内側面)は図1,2および図6,7に明示するごとく、内側空気流の流れ方向下流へ向かうにつれ車幅方向内方へ向かいつつ、最終的にドアミラー9よりも車幅方向内方に指向するような内向き曲面により構成し、
これにより空気流を図6,7にαで示すごとく層流状態(空気が規則正しく流線上を移動している流れの状態)で、ドアミラー9の車幅方向内方に(ウインドシールド1に向け)偏向させるようにする。
なお、この空気流内方案内縦壁11bを構成する内向き曲面は、上記空気流の流れ方向下流端における空気流案内壁面が、空気流を図7にαで示すごとく、ドアミラー9および車体間の隙間Sよりも上方レベルに指向させるような上向き傾向の空気流案内面とする。
空気流二分突条11aの稜線よりも車幅方向外側における車幅方向外側面は、この面に沿ってドアミラー9に向かうよう流れる上記外側空気流を、ドアミラー9の下方に向け偏向させる外側空気流下方案内面11cとして、図1〜4に示すごとく車体前方側から上記空気流の流れ方向へ延在するよう形成する。
但しこの外側空気流下方案内面11cは図8,9に明示するように、空気流方向最後端が、これよりも更に空気流方向後方における車体パネルの外形に対し連続するような形状となす。
このため外側空気流下方案内面11c(空気流二分突条11aの車幅方向外側面)は図2〜5に明示するごとく、車両前後方向に見たとき車体の造形上基本的に、空気流二分突条11aの稜線に近い上側が車幅方向内方に傾斜しているが、車両の側方から車幅方向に見たときは外側空気流の流れ方向下流へ向かうにつれ車両上下方向下方へ向かいつつ、最終的にドアミラー9よりも下方に指向するような下方傾斜面により構成する。
これにより、外側空気流下方案内面11cを構成する当該下方傾斜面は、空気流を図8,9にβで示すごとくドアミラー9の下方へ偏向させると共に、当該偏向後の空気流がドアミラー9に衝突することなく、層流状態で当該ドアミラー9の下方を通過するようになすことができる。
ところで外側空気流下方案内面11c(空気流二分突条11aの車幅方向外側面)の最下縁領域は、図2〜5に明示するごとく略垂直な直立壁11dとし、
これにより外側空気流下方案内面11cの最下縁領域(直立壁11d)を、車両前後方向に見たときフェンダー6の外側面形状に対し不連続となるよう構成する。
かかる直立壁11dを設定した理由は以下のためである。
つまり、上記の下方傾斜面を外側空気流下方案内面11c(空気流二分突条11aの車幅方向外側面)の最下縁領域にまで設定すると、外側空気流下方案内面11c(空気流二分突条11aの車幅方向外側面)が、車両前後方向に見たときフェンダー6の外側面形状に連続することとなり、
ここにおける車体側面に沿ってドアミラー9に向かう側面空気流が巻き込まれて乱流となり、この乱流がドアミラー9に衝突して風切り音を発生させる。
本実施例のように、外側空気流下方案内面11c(空気流二分突条11aの車幅方向外側面)の最下縁領域に略垂直な直立壁11dを設定した理由は、
かかる平坦な直立壁11dで上記の車体側面空気流の巻き込みを防止することにより、この側面空気流が乱流となってドアミラー9に衝突するのを回避するためである。
なお、空気流二分突条11aの稜線を挟んで、その車幅方向内側に前記のごとくに設定した空気流内方案内縦壁11b、および車幅方向外側に上記のごとくに設定した外側空気流下方案内面11cは、それぞれの面の空気流方向下流側への延長面が相互に交差することのないような面とする。
かようにすることで、空気流二分突条11aにより二分された車幅方向内外の内側空気流αおよび外側空気流βが、相互に混ざり合って乱流となることのないようにすることができる。
また本実施例における空気流二分突条11aは、図10に示すように車両上方から見て、空気流内方案内縦壁11bの車幅方向内側張り出し部11eと、外側空気流下方案内面11cの車幅方向外側張り出し部11fとの間における最大幅Wmaxを、ドアミラー9の上下方向高さ以上とする。
かようにすることで、空気流二分突条11aにより二分された車幅方向内外の内側空気流αおよび外側空気流βの分離を確実なものとし、これら空気流が相互に混ざり合って乱流となるのを確実に防止しつつ、内側空気流αを前記したごとくドアミラー9の車幅方向内方に通過させると共に、外側空気流βを前記したごとくドアミラー9の下方に通過させるという、前記のサイドミラー周辺空気流制御を一層確実なものにすることができる。
更に本実施例における空気流二分突条11aは、同じく図10に示すように、空気流内方案内縦壁11bの車幅方向内側張り出し部11eと、外側空気流下方案内面11cの車幅方向外側張り出し部11fとの間における最大幅Wmaxに対し、この最大幅部位(張り出し部11e,11fを結ぶ線)から、空気流二分突条11aの空気流方向下流側後端11gに至るまでの距離Ltailが、少なくとも1.9倍の長さであるようなものとする(Ltail/Wmax≧1.9)。
この場合、空気流二分突条11aの最大幅部位から空気流方向下流側後端11gまでの下流領域において、空気流内方案内縦壁11bおよび外側空気流下方案内面11cの空気流方向角度変化が、空気流剥離限界である15度を越えた急なものになることがない。
このため、空気流二分突条11aの空気流方向上流側前端11hから最大幅部位までの上流領域により二分された車幅方向内外の内側空気流αおよび外側空気流βが、空気流二分突条11aの最大幅部位から空気流方向下流側後端11gまでの下流領域において空気流内方案内縦壁11bおよび外側空気流下方案内面11cから剥離されることがない。
従って、内側空気流αおよび外側空気流βがそれぞれ、空気流二分突条11aの空気流内方案内縦壁11bおよび外側空気流下方案内面11cによる案内下で偏向されるとき層流状態に保たれると共に、これら空気流内方案内縦壁11bおよび外側空気流下方案内面11cによる偏向後、これら空気流内方案内縦壁11bおよび外側空気流下方案内面11cから離れても内側空気流αおよび外側空気流βを層流状態のままドアミラー9の車幅方向内方および下方に指向させ得ることとなる。
このため、内側空気流αおよび外側空気流βを空気流内方案内縦壁11bおよび外側空気流下方案内面11cにより案内しつつ、層流状態でドアミラー9の車幅方向内方および下方に通過させることができる。
<作用効果>
上記した本実施例の構成になるサイドミラー周辺空気流制御装置の作用効果を、風洞実験により得られた空気の流れを示す図11〜15に基づき以下に説明する。
本実施例によれば、ドアミラー9に向かうよう流れる空気流が通過する車体外側造形面の領域にあって車体外側造形面の一部を成すヘッドランプレンズ11の外側面に、フロントフェンダ6内の前輪12(図11,13〜15参照)の回転中心よりも車両前後方向前方位置における前端から後端まで、空気流の流れ方向に延在する空気流二分突条11aを設けたため、以下の作用効果が奏し得られる。
車体外側造形面に沿ってドアミラー9に向かうよう流れる空気流が相互に混ざり合って乱流となることのないよう当該空気流を、図11〜15に示すごとく車幅方向内外の内側空気流αおよび外側空気流βに二分することができる。
しかも本実施例によれば、空気流二分突条11aの車幅方向内側面を、内側空気流αの流れ方向下流へ向かうにつれ車幅方向内方へ向かいつつ、最終的にドアミラー9よりも車幅方向内方に指向するような内向き曲面の空気流内方案内縦壁11bとして形成したため、
ドアミラー9に向かう内側空気流αを図11〜15に示すごとく、空気流内方案内縦壁11bの内向き曲面によってドアミラー9よりも車幅方向内方へ(ウインドシールド1に向け)確実に偏向させると共に、該偏向後の空気流αを層流状態でドアミラー9の車幅方向内方に通過させることができる。
かかる内側空気流αの偏向および制御は、空気流二分突条11aの前記した空気流方向上流側起点位置に起因して、空気流内方案内縦壁11bが前輪回転中心よりも車両前後方向前方の位置から空気流の流れ方向に延在することにより、一層確実なものとなし得る。
かくして、ドアミラー9に向かう内側空気流αをドアミラー9に衝突させないようにすることができ、
この空気流αがドアミラー9に衝突して発生する風切り音を防止、または低減することができると共に、当該空気流αがドアミラー9に衝突して発生する動圧を殆ど無視し得る程度のものにし得る。
また本実施例によれば、空気流内方案内縦壁11bが、上記のごとく偏向させた後の空気流αを、層流状態でドアミラー9の車幅方向内方に通過させるため、
上記偏向後の空気流αが、空気流内方案内縦壁11bから剥離されて渦流を生じ、乱流となるようなことがない。
このため、当該偏向後の空気流αが乱流状態となってドアミラー9に衝突する事態も確実に防止することができ、この衝突による風切り音の問題を生ずることもない。
なお、上記偏向後の空気流αが乱流状態になると、これが車両の走行抵抗を増大させる要因となるが、
本実施例においては、上記偏向後の空気流αが層流状態でドアミラー9の車幅方向内方に通過されるため、かかる偏向後の空気流αが車両の走行抵抗を大きくするという問題を生ずることもない。
更に、上記のごとく偏向後の層流状態にある空気流αをドアミラー9の車幅方向内方に通過させるため、
かかる空気流αの通過方向に起因して、車体側面が上方ほど車幅方向内方へ内傾していると雖も、ドアミラー9を通過した後の空気流αが図11〜15に示すごとく、車体側面に沿うような空気流であり得ることとなり、ドアミラー9の上方や外方を通過する場合のように、車体側面から離れたところを通過することがない。
このため、ドアミラー9を通過した後の空気流αが車体側面による横方向ガイド効果を享受し得て、空気流方向を横切る方向の外力を受けても乱流傾向となり難く、この乱流傾向で車両の走行抵抗が増大されるという問題を生ずることもない。
また、空気流内方案内縦壁11bの空気流方向下流端における空気流案内壁面を、空気流αが図7に明示するごとく、ドアミラー9および車体間の隙間Sよりも上方レベルに指向されるような上向き傾向の空気流案内面としたため、
空気流αがドアミラー9の車幅方向内方を通過するに当たって、上記の狭小な隙間Sを通過することがなく、空気流αがかかる狭小な隙間Sを通過することで音が発生することもない。
更に、車体外側造形面に沿ってドアミラー9に向かうよう流れる空気流が相互に混ざり合って乱流となることのないよう、空気流二分突条11aが当該空気流を車幅方向内外の内側空気流αおよび外側空気流βに二分するようにしたため、
そして、空気流二分突条11aの空気流内方案内縦壁11bおよび外側空気流下方案内面11cを、それぞれの面の空気流方向下流側への延長面が相互に交差することのないような面とすることにより、内側空気流αおよび外側空気流βが相互に混ざり合って乱流となることのないようにしたため、
空気流がドアミラー9に衝突するのを防止し得て、この衝突により大きな風切り音が発生する事態も回避することができる。
また空気流二分突条11aの車幅方向外側面を、車両側方から見たとき外側空気流βの流れ方向下流へ向かうにつれ車両上下方向下方へ向かいつつ、最終的にドアミラー9よりも下方に指向するような外側空気流下方案内面11cとして形成したため、
ドアミラー9に向かう外側空気流βを図11〜15に示すごとく、外側空気流下方案内面11cの上記下方傾斜によってドアミラー9の下方に向け偏向させると共に、該偏向後の空気流βを層流状態でドアミラー9の下方に通過させることができる。
かかる外側空気流βの下方への偏向および制御は、空気流二分突条11aの前記した空気流方向上流側起点位置に起因して、外側空気流下方案内面11cが前輪回転中心よりも車両前後方向前方の位置から空気流の流れ方向に延在することにより、一層確実なものとなし得る。
かくして、ドアミラー9に向かう外側空気流βをドアミラー9に衝突させないようにすることができ、
この空気流βがドアミラー9に衝突して発生する風切り音を防止、または低減することができると共に、当該空気流βがドアミラー9に衝突して発生する動圧を殆ど無視し得る程度のものにし得る。
また本実施例によれば、外側空気流下方案内面11cが、上記のごとく偏向させた後の空気流βを、層流状態でドアミラー9の下方に通過させるため、
上記偏向後の空気流βが、外側空気流下方案内面11cから剥離されて渦流を生じ、乱流となるようなことがない。
このため、当該偏向後の空気流βが乱流状態となってドアミラー9に衝突する事態も確実に防止することができ、この衝突による風切り音の問題を生ずることもない。
なお、上記偏向後の空気流βが乱流状態になると、これが車両の走行抵抗を増大させる要因となるが、
本実施例においては、上記偏向後の空気流βが層流状態でドアミラー9の下方に通過されるため、かかる偏向後の空気流βが車両の走行抵抗を大きくするという問題を生ずることもない。
一方で外側空気流下方案内面11cを図8,9に明示するように、その空気流方向最後端が、これよりも更に空気流方向後方における車体パネルの外形に対し連続するような形状にしたため、
外側空気流下方案内面11cよりも空気流方向後方における車体パネルの外形によって、空気流βが乱されるのを防止することができ、上記外側空気流下方案内面11cによる作用効果を保証することができる。
更に、上記のごとく偏向後の層流状態にある空気流βをドアミラー9の下方に通過させるため、
かかる空気流βの通過方向に起因して、また車体側面の下方が上方よりも車幅方向外方へ張り出していることから、ドアミラー9を通過した後の空気流βが図11〜15に示すごとく、車体側面に沿うような空気流であり得ることとなり、ドアミラー9の上方や外方を通過する場合のように、車体側面から離れたところを通過することがない。
このため、ドアミラー9を通過した後の空気流βが車体側面による横方向ガイド効果を享受し得て、空気流方向を横切る方向の外力を受けても乱流傾向となり難く、この乱流傾向で車両の走行抵抗が増大されるという問題を生ずることもない。
また本実施例では空気流二分突条11aを、図10に示す車幅方向内側張り出し部11eおよび車幅方向外側張り出し部11fの間における最大幅Wmaxが、ドアミラー9の上下方向高さ以上であるようなもとしたため、
空気流二分突条11aによる内側空気流αおよび外側空気流βの分離を確実なものとし、これら空気流が相互に混ざり合って乱流となるのを確実に防止しつつ、内側空気流αをドアミラー9の車幅方向内方に通過させると共に、外側空気流βをドアミラー9の下方に通過させるという、サイドミラー周辺空気流制御を一層確実なものにして、これによる前記の作用効果を更に顕著なものにすることができる。
更に本実施例では空気流二分突条11aを、同じく図10に示すように、上記の最大幅Wmaxに対し、この最大幅部位から空気流方向下流側後端11gに至るまでの距離Ltailが、少なくとも1.9倍の長さであるようなものとしたため(Ltail/Wmax≧1.9)、
空気流二分突条11aの空気流方向上流側前端11hから最大幅部位までの上流領域により二分された内側空気流αおよび外側空気流βが、空気流二分突条11aの最大幅部位から空気流方向下流側後端11gまでの下流領域において空気流内方案内縦壁11bおよび外側空気流下方案内面11cから剥離されることがない。
従って、内側空気流αおよび外側空気流βがそれぞれ、空気流二分突条11aの空気流内方案内縦壁11bおよび外側空気流下方案内面11cにより案内されるとき層流状態に保たれることとなる。
このため、内側空気流αおよび外側空気流βが空気流内方案内縦壁11bおよび外側空気流下方案内面11cにより案内されるとき乱流状態になることがなく、
この乱流に起因して内側空気流αおよび外側空気流βがドアミラー9に衝突し、風切り音が発生したり、走行抵抗が大きくなったりする問題を回避可能である。
ところで上記した何れの作用効果を達成するに際しても本実施例では、ドアミラー9に向かう空気流を直接、ドアミラー9に到達する前に、ドアミラー9よりも車幅方向内方や、ドアミラー9の下方へ偏向させると共に、この偏向後は層流状態でドアミラー9の車幅方向内方や、ドアミラー9の下方に通過させるようガイドすることで当該作用効果が奏し得られるようにしたため、
当該空気流の偏向ガイドを司る空気流内方案内縦壁11bおよび外側空気流下方案内面11cによる空気流の偏向角度がほんの僅かでよい。
従って、これら空気流内方案内縦壁11bおよび外側空気流下方案内面11cに発生する動圧も極僅かである。
かように空気流内方案内縦壁11bおよび外側空気流下方案内面11cにおける動圧が極僅かであることと、上記のごとくドアミラー9における動圧も極僅かであることとによって、
本実施例のサイドミラー周辺空気流制御装置は、車両走行抵抗が増大するという犠牲を殆ど払うことなしにドアミラー9の風切り音を防止、または低減するという上記の作用効果を達成することができる。
更に図示の実施例によれば、外側空気流下方案内面11cの最下縁領域を略垂直な直立壁11dとして構成したため、以下の作用効果をも奏し得る。
外側空気流下方案内面11cの最下縁領域にまで上記の下方傾斜面を設定すると、外側空気流下方案内面11cが車両前後方向に見てフェンダー6の外側面形状に連続することになるため、ここにおける車体側面に沿ってドアミラー9に向かう側面空気流が巻き込まれて乱流となり、この乱流がドアミラー9に衝突して風切り音を発生させる。
しかし図示した実施例のように、外側空気流下方案内面11cの最下縁領域に略垂直な直立壁11dを設定する場合、かかる平坦な直立壁11dが車両前後方向に見たときフェンダー6の外側面形状に連続することがなくなって、上記車体側面空気流の巻き込みを防止するよう機能することとなり、
当該車体側面空気流が、図6〜10に空気流βとして示すように、上記の巻き込みにより乱流となってドアミラー9に衝突するのを防止することができ、また、かかる乱流の衝突によってドアミラー9で大きな風切り音が発生するのを防止することができる。
そして図示の実施例では、上記の各作用効果を達成する空気流二分突条11a、空気流内方案内縦壁11b、外側空気流下方案内面11cおよび直立壁11dをヘッドランプレンズ11の外側面に設けたため、
これらを車体外板に設定する場合のような、高価なプレス型の変更が不要で、ヘッドランプレンズ11の形状変更のみによって安価に上記諸々の作用効果を達成することができる。
なお、従来車Aにあってはエンジンフードよりも高く突出したヘッドライトアーチ部が空気流方向に延在するよう設けられ、従来車Bにあってはエンジンフードよりも高く突出したターンシグナルアーチ部が空気流方向に延在するよう設けられているが、
これら両車に関する風洞実験データを入手して確認したところ、何れにおいても走行時の空気流がドアミラーを直撃しており、
従来車Aのヘッドライトアーチ部および従来車Bのターンシグナルアーチ部はそれぞれ、少なくとも、車体外形造形面に沿いドアミラーに向かっている空気流をドアミラーに衝突することのないよう偏向させるものでないことを確認した。
<その他の実施例>
なお、空気流二分突条11a、空気流内方案内縦壁11b、外側空気流下方案内面11cおよび直立壁11dは、ヘッドランプレンズ11の外側面のみに設ける代わりに、ヘッドランプレンズ11の周辺における車体外板にまで及ぶように設けてもよく、或いは、ヘッドランプレンズ11の外側面に設ける代わりに、車体外板のみに設けてもよく、
要は、前記作用効果を最も確実に、且つ良好に達成し得る車体外側造形面の領域に設定するのが良いのは言うまでもない。
また、空気流二分突条11a、空気流内方案内縦壁11b、外側空気流下方案内面11cおよび直立壁11dを設けたヘッドランプレンズ11の周辺における車体外側造形面は、
少なくともこれら空気流内方案内縦壁11b、外側空気流下方案内面11cおよび直立壁11dによる前記した作用を妨げない形状にするのは言うまでもないが、
好ましくは、空気流内方案内縦壁11b、外側空気流下方案内面11cおよび直立壁11dによる前記した作用を助長する形状にするのが良い。
1 フロントウインドシールド
2 車体ルーフパネル
3 ボンネット
4 フロントグリル
5 フロントバンパ
6 フロントフェンダ
7 ヘッドランプ
8 フロントドア
9 ドアミラー(サイドミラー)
11 ヘッドランプレンズ
11a 空気流二分突条
11b 空気流内方案内縦壁
11c 外側空気流下方案内面
11d 直立壁
12 前輪

Claims (2)

  1. 運転席から車両の斜め後方を視認し得るよう車体に取り付けたサイドミラーの周辺空気流を制御するための装置において、
    前記サイドミラーに向かう空気流を該サイドミラーの下方へ偏向させる空気流下方案内面を、前記空気流が通過する車体外側造形面の領域に、タイヤホイールアーチ部の後端部よりも前方から前記空気流の流れ方向へ延在させて立設したことを特徴とする車両のサイドミラー周辺空気流制御装置。
  2. 前記サイドミラーがフロントドアに取り付けられたドアミラーである、請求項1に記載された車両のサイドミラー周辺空気流制御装置において、
    前記空気流下方案内面は、前記空気流の流れ方向最上流端が前輪回転中心よりも車両前後方向前方に位置し、該最上流端から空気流の流れ方向に延在するものであることを特徴とする車両のサイドミラー周辺空気流制御装置。
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