JP2012071492A - 建築材料並びにその施工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、塩化ビニル樹脂などの(A)熱可塑性樹脂、および(B)アミロペクチンを含む粉粒状物質を、(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して(B)アミロペクチンが5重量部乃至40重量部なるように、例えば(B)アミロペクチンを含有するうるち米、もち米、或いはコンスターチ等のデンプン粉粒状物質を配合し、更に必要に応じて(C)加工助剤や(D)相溶化剤を含有させた熱可塑性樹脂組成物を少なくとも接着面に有する押出成形体とし、該接着面がサンドクロスやサンドペーパーなどで前記粉粒状物質が露出するように処理されている押出成形体。
【選択図】なし
Description
上記問題を解決するために、建築材料の表面に予め紙を積層した材料が提案されたが、積層した紙自体が破れやすい、剥がれやすいという欠点があった(特許文献1)。この欠点を解決すべく、新たに、建築材料の表面に予め変性ウレタン樹脂などの表面処理剤層を設けることが提案され、一応の目的が達成された(特許文献2、同3)。
一方、有効資源の活用の観点から、種々のバイオマス材料を熱可塑性樹脂に配合することが提案され、更には供給過剰状態の余剰米の活用の観点から米を配合した樹脂成形体も提案されている(特許文献4、同5)。
本発明者らは、建築材料の表面に積層物を設けるのではなく、建築材料そのものを改良して接着剤との親和性を向上させ、壁紙、石膏ボード等との接着強度を向上させることを考え検討した。そして、デンプン中のアミロペクチンに着目し、建築材料を構成する樹脂成分に当該アミロペクチンを特定量配合し、しかも特定の接着剤と組み合わせた場合に、壁紙などとの接着性が向上することを見出し、既に提案した(特許文献6)。
本発明者らは、アミロペクチンによる接着性の発現と成形体の成形性や変形性との調整を図るべく鋭意検討した結果、アミロペクチン含有量を減少させても、成形体の表面を特定処理してアミロペクチンを含む粉粒状物質を表面に露出させることにより、同等の接着強度を発現し、且つ、変形を抑制できることを見出して、本発明を完成するに至った。
上記押出成形体の発明において、
1)(A)熱可塑性樹脂が、塩化ビニル樹脂であること、
2)アミロペクチンを含む粉粒状物質が露出した面のぬれ張力が、50mN/m以上であること、
3)アミロペクチンを含む粉粒状物質を露出させる手段が、研磨,研削,または切削であること、
が好適である。
上記建築材料において、建築材料が、壁紙仕上げ用下地材または内装建材であることが好ましい。
本発明によれば、更に、前記建築材料と、天然繊維からなる被着面を有する内装仕上げ材または内装下地ボードとを水系接着剤を用いて接合することを特徴とする建築材料の施工方法が提供される。
本発明の樹脂組成物に熱可塑性を付与する樹脂成分であり、熱可塑性の樹脂であればその種類は特に制限されない。具体的には、塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂などが挙げられる。成形性並びに成形体の剛性や外観の観点から、PVC樹脂が好適である。
これらの樹脂は、その構造や化学組成を一部変質した樹脂、添加材を配合してその性質を改良した樹脂を含み、一般に市販されているものをそのまま使用できる。例えば、ポリエチレンやポリプロピレンは、エチレンやプロピレンの単独重合体のみならず、その物性を改良するためのブテンー1などの他の重合性単量体との共重合体も含まれる。塩化ビニル樹脂としては、可塑剤を含む軟質塩化ビニル樹脂や可塑剤を含まない硬質塩化ビニル樹脂がある。
アミロペクチンは、アミロースと共にデンプンを構成する基本成分である。本発明においては、このアミロペクチンの存在が接着性の向上に寄与する。デンプンは、通常アミロペクチンとアミロースを含み、そのデンプンの由来作物により両者の構成比は異なる。代表的な数値を表1に示す。
本発明の押出成形体は、成形体を全て上記熱可塑性樹脂組成物から構成しても良いが、接着面が存在する部位のみを上記熱可塑性樹脂組成物で構成し他の部位は該熱可塑性樹脂組成物と親和性を有する熱可塑性樹脂で構成された共押出成形体、所謂二色成形体とすることもできる。
上記組成の熱可塑性樹脂組成物をその一部に有する押出成形体は、アミロペクチンの含有量が少ないため接着強度の点では十分ではない。このため、該押出成形体の表面を処理して、含有されているアミロペクチンが多量に表面に露出するための処理をすることが、接着強度の向上の観点から必須となる。但し、処理として、通常行われるプラズマ処理や溶剤処理などの化学的処理方法ではこの効果が発現しない。
上記露出処理を行うことにより、成形体の露出面のぬれ張力は、JIS K 6788に準拠して測定した場合、50mN/m以上となり、接着強度の向上に寄与する。
加工性改良剤は、本発明に使用される熱可塑性樹脂組成物の溶融粘度、溶融張力を向上させ成形加工性を改善する成分であり、具体的には、フッ素系樹脂またはアクリル変性樹脂等が挙げられ、好ましくは、(A)熱可塑性樹脂と(B)アミロペクチンの合計量100重量部に対して0.5乃至10重量部含有される。0.5重量部未満ではその効果が生ぜず、10重量部を超えると成形物の外観が低下して好ましくない。
相溶化剤は、本発明の熱可塑性樹脂組成物の相溶性、分散性を改善する成分であり、具体的には、α-オレフィン共重合樹脂またはメチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂が挙げられ、好ましくは、(A)熱可塑性樹脂と(B)アミロペクチンの合計量100重量部に対して0.5乃至15重量部含有される。0.5重量部未満ではその効果が生ぜず、15重量部を超えてもその効果は変化しない。該α-オレフィン共重合樹脂は、α−オレフィンと無水マレイン酸などの共重合樹脂、または変性樹脂であり、タフマー(三井化学社)、アドマー(三井化学社)、ブラストマー(ダウケミカル社)などとして市販されている。メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂としては、カネエース(カネカ社)、メタブレン(三菱レイヨン社)などとして市販されている。
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、上記(A)〜(D)成分に加えて、本発明の特徴を損なわない範囲で、無機または有機の充填剤、難燃剤、安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、滑剤、防かび剤などの各種添加剤、更には、染料や顔料などの着色剤を任意に配合することができる。
上記必須並びに任意の成分を混合して熱可塑性樹脂組成物とする方法は、特に限定されず公知の方法で実施することができる。通常は、ヘンシェルミキサー等の混合機を用いて各成分を混合する。熱可塑性樹脂組成物の存在形態は特に限定されず、各成分を混合した混合物,更には該組成物を溶融混練してペレット状にしたものなどが挙げられる。
上記熱可塑性樹脂組成物は押出成形法により、目的に応じた所定の成形体とされる。その成形機や成形条件などは従来公知の中から任意に選択して決定すれば良い。
本発明の成形体からなる建築材料は、高い接着強度を発現するという特質を有するため、壁紙を貼着する壁紙仕上げ用下地材、或いは石膏ボードに代表される内装下地ボード上に接着して使用する内装建材として極めて有用である。内装建材としては、巾木、廻り縁、見切り、点検口、腰壁などの内装建材が挙げられる。
本発明の施工方法の発明においては、建築材料と壁紙や石膏ボードなどの被着体との接着に、水性接着剤を使用することが必要である。水性接着剤を使用することにより、アミロペクチンの水不溶性の性質と被着体の天然繊維からなる被着面の性質とが、水性であるという特質と好適に絡まって、高い接着強度を発現しているものと推察される。従って、非水性の有機溶媒系接着剤ではその効果がでない。
以下の実施例及び比較例で用いた各種成分と略号は、以下の通りである。
(1)PVC樹脂(太洋塩ビ社製;PVCと略す)
(2)ABS樹脂(日本エイアンドエル社製;ABSと略す)
(3)ポリプロピレン樹脂(プライムポリプロJ705UG、プライムポリマー社製;
PPと略す) MFR=9.0
(4)ポリエチレン樹脂(エボリューSP0510、プライムポリマー社製;
PEと略す) MFR=0.5
(1)うるち米由来デンプン粉粒状物質
アミロペクチン含有量 85重量%、アミロース含有量 15重量%
(2)コンスターチ由来デンプン粉粒状物質
アミロペクチン含有量 75重量%、アミロース含有量 25重量%
(3)もち米由来デンプン粉粒状物質
アミロペクチン含有量 100重量%
(1)フッ素系樹脂:プラヘルパーPEX1505、東京インキ社製
(2)アクリル変性樹脂:メタブレンP−530A、三菱レイヨン社製
(3)アクリル変性樹脂:カネエースPA−20、カネカ製
(1)α-オレフィン共重合樹脂:タフマー、三井化学社製
(2)メチルメタクリレート・ブタジエン・スチレン樹脂:カネエースB−564、
カネカ製
(1)可塑剤:フタル酸ジイソノニル(DINPと略す)、ジェイ・プラス社製
(2)防かび剤:大和化学工業社製
(F)水性接着剤:
(1)デンプン系接着剤(ヤヨイ化学工業社製)
(2)カゼイン系接着剤(新田ゼラチン社製)
(3)天然ゴム系接着剤(積水化学工業社製)
(4)セルロース系接着剤(セメダイン社製)
(5)酢酸ビニル系接着剤(コニシ社製)
(1)塩化ビニール製壁紙(接着面:紙)
(2)下地調整剤(パテ):下塗り用パテ アタッチ(ヤヨイ化学工業製)
(1)ナイロングリッドブラシ(#60研磨剤入り):(理研コランダム社製)
(2)サンドクロス#180:(住友スリーエム社製)
(3)サンドペーパー#120:(トラスコ中山社製)
表2に示す処方に従って、熱可塑性樹脂、デンプン粉粒状物質或いは加工性改良剤、相溶化剤、その他添加剤を押出機に投入し、150乃至200℃のシリンダー温度で溶融混練して押出し、厚さ2mm×幅35mmのシート状成形体を作製した。成形体の露出処理は、各々次のように処理した。
各処理を行った成形体について、以下の方法で各種性状を測定し、その結果を表2に示した。
JIS K 6768「プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」に準拠して測定した。
長さ300mmの試験体を、40℃・95%RHの環境に168時間置き、寸法変化、曲がり変化を測定した。
○:寸法変化(伸び)は長さ1.5mm以内、曲り1mm以下
×:寸法変化(伸び)は長さ1.5mm以上、曲り1mm以上
成形安定性とメヤニ(樹脂付着物)の発生の有無を確認した。
◎:通常の樹脂とほぼ同じように成形ができ、メヤニが発生しない
○:材料特性を考慮したうえで成形する必要がある。メヤニは発生しない
△:材料特性を考慮したうえで成形する必要がある。メヤニはごくわずかに発生する
×:成形できない。または、メヤニが大量に発生する
各実施例および比較例で得られた基材(幅35mm×長さ200mm)の板に下地調整剤を均一に塗布し、常温で7日間静置した後、碁盤目剥離試験(25マス)を実施して密着性を確認した。
〔評価方法〕
○:剥離せず
×:剥離数が5マス以上
各実施例および比較例で得られた基材(幅35mm×長さ200mm)に、表2に示す接着剤をその紙面に塗布した塩化ビニル製壁紙を貼り合わせ、常温で7日間放置したのち後、手で壁紙を剥離して確認した。
〔評価方法〕
○:壁紙が材破した
×:剥離時に抵抗がなく、基材−接着剤間で界面剥離する
Claims (7)
- (A)熱可塑性樹脂、および(B)アミロペクチンを含む粉粒状物質を含有してなる熱可塑性樹脂組成物を少なくともその接着面に有する押出成形体であって、該組成物が(A)熱可塑性樹脂100重量部に対して、5重量部乃至40重量部の(B)アミロペクチンを含有し、接着面における前記アミロペクチンを含む粉粒状物質が露出されていることを特徴とする前記押出成形体。
- (A)熱可塑性樹脂が、塩化ビニル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の押出成形体。
- アミロペクチンを含む粉粒状物質が露出した面のぬれ張力が、50mN/m以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の押出成形体。
- アミロペクチンを含む粉粒状物質を露出させる手段が、研磨,研削,または切削であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の押出成形体。
- 請求項1乃至4の何れかに記載の押出成形体からなることを特徴とする建築材料。
- 建築材料が、壁紙仕上げ用下地材または内装建材であることを特徴とする請求項5に記載の建築材料。
- 請求項5または6に記載の建築材料と、天然繊維からなる被着面を有する内装仕上げ材または内装下地ボードとを水系接着剤を用いて接合することを特徴とする建築材料の施工方法。
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