JP2012068083A - 印刷品質検査装置 - Google Patents

Abstract

【課題】 透明フィルムおよび通常の紙ならびに蒸着紙というように三種類の印刷用紙に印刷された絵柄の品質を同じ構成で検査でき、コストダウンを図るとともに、オペレータの負担を軽減させ、かつ印刷資材の無駄の発生を防止する。
【解決手段】 被印刷部材が蒸着紙２Ａの場合は、光源２２から出射され、拡散反射板２４の反射点２４ａで反射した光が被検査点２ａに照射された後、入射経路３２を経てカメラ２３に入射する。被印刷部材が通常の紙の場合は、被印刷部材の拡散反射面で反射された光がカメラ２３に入射する。被印刷部材が透明フィルムの場合は、透明フィルムを透過した光が圧胴１１の表面で鏡面反射してカメラ２３に入射する。
【選択図】 図７

Description

本発明は、透明フィルムおよび通常の紙ならびに蒸着紙に印刷された絵柄の印刷品質を検査する印刷品質検査装置に関するものである。

従来、透明フィルムに印刷された印刷物の絵柄が正常な状態で印刷されているかどうかを自動的に検査する印刷品質検査装置は存在しなかった。したがって、オペレータが一定枚数毎に印刷された透明フィルムを抜き取り、目視で検査するようにしていたので、オペレータの負担が大きいという問題があった。また、オペレータの抜き取り検査の間に印刷不良が発生した場合、不良印刷物の発生に気付かず、そのまま出荷してしまうという問題や、気付いたとしても、それまでに大量の不良印刷物が発生し、印刷資材が無駄になるという問題もあった。

一方、通常の紙の印刷用紙にインキで印刷された印刷物の絵柄、および、その表面が鏡面状に形成された蒸着紙にインキで印刷された印刷物の絵柄の両方が正常な状態で印刷されているかどうかを検査する印刷品質検査装置としては、暗視野用照明光源と明視野用照明光源との二種類の照明光源を備え、通常の紙の印刷用紙に印刷された印刷物の絵柄を検出する場合は、暗視野用照明光源を点灯させて暗視野用照明光を用いて検出し、蒸着紙に印刷された絵柄を検出する場合は、暗視野用照明光源および明視野用照明光源の両方を点灯させて暗視野用照明光および明視野用照明光の両方を用いて検出するものがある（例えば、特許文献１参照）。

また、特許文献２には、被検査物と照明光源との間に光拡散部材を設け、照明光源から出射された照明光が光拡散部材を通過するときに種々の方向に散乱し、散乱した照明光が被検査物の被検査面にほぼ均一な照度で照明し、被検査面を撮像カメラによって撮像される印刷品質検査装置が開示されている。

特開平１１−１０８６３７号公報（段落〔００３３〕〜〔００３７〕および段落〔００３８〕〜〔００４１〕、図１０〜図１５） 特開平１１−１０８６３５号公報（段落〔００１４〕および〔００１５〕、図１）

上述した特許文献１に開示されたような従来の印刷品質検査装置においては、暗視野用照明光源と明視野用照明光源との二種類の光源が必要となるため、コストアップにつながるとともに、通常の紙の印刷用紙に印刷された印刷物か、蒸着紙に印刷された印刷物かを切り替えるスイッチをオペレータがいちいち操作しなければならないため、オペレータの負担が大きいというだけではなく、切り替え忘れにより誤検出が発生し、オペレータが気付かない場合はそのまま印刷を続けることになるため、印刷資材の無駄が大量に発生してしまうという問題もあった。また、特許文献２に開示された印刷品質検査装置においては、半透明材料によって形成された光拡散部材が被検査物と照明光源との間に介在するため、被検査面に照射される照明光の光量が不足し、通常の紙の印刷用紙に印刷された絵柄を検出することができないといった問題があった。

本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、透明フィルムおよび通常の紙ならびに蒸着紙というように三種類の印刷用紙に印刷された絵柄の印刷品質を同じ構成で検査できるようにしたことにある。また、別の目的は、製造コストの削減を図るとともに、オペレータの負担を軽減させ、かつ印刷資材の無駄の発生を防止するところにある。

この目的を達成するために、本発明は、光を照射する光照射装置と、被印刷部材に印刷された絵柄を撮像する撮像装置と、前記撮像装置からの検出信号と予め記憶された基準信号とを比較し、被印刷部材に印刷された絵柄の印刷品質を検査する制御装置とを備えた印刷品質検査装置において、鏡面反射部材を表面に備え、前記被印刷部材を保持して搬送する搬送胴を設け、前記光照射装置を、前記鏡面反射部材で鏡面反射された当該光照射装置からの直接光が前記撮像装置に入射しない位置に設け、かつ、前記鏡面反射部材から鏡面反射された光の前記撮像装置への入射経路に対して、前記光照射装置と反対の位置に、円弧状で、前記搬送胴からの曲率半径が変化する形状に形成された拡散反射板を設け、前記被印刷部材が光が透過する被印刷部材である場合は、前記光照射装置から照射された光が前記拡散反射板で拡散反射され、前記拡散反射板で拡散反射された光が前記被印刷部材を透過し、前記被印刷部材を透過した光が前記鏡面反射部材で鏡面反射され、前記鏡面反射部材で鏡面反射された光が前記撮像装置に入射するようにし、前記被印刷部材が蒸着材が蒸着された鏡面状の表面を有する被印刷部材である場合は、前記光照射装置から照射された光が前記拡散反射板で拡散反射され、前記拡散反射板で拡散反射された光が前記被印刷部材の表面で鏡面反射され、前記被印刷部材の表面で鏡面反射された光が前記撮像装置に入射するようにし、前記被印刷部材が拡散反射表面を有する被印刷部材である場合は、前記被印刷部材の表面で拡散反射された光が前記撮像装置に入射するようにしたものである。

本発明は、前記発明において、前記光照射装置は、前記被印刷部材の被検査点における法線に対して、前記被印刷部材の搬送方向上流側に設けられ、前記拡散反射板は、前記被印刷部材の被検査点における法線に対して、前記被印刷部材の搬送方向下流側に設けられ、前記撮像装置は、前記被印刷部材の被検査点における法線に対して、前記被印刷部材の搬送方向上流側に設けられているものである。

本発明によれば、蒸着材が蒸着された鏡面状の表面を有する被印刷部材、拡散反射表面を有する被印刷部材だけでなく、光が透過する被印刷部材に印刷された印刷物の絵柄の印刷品質も検査することができる。また、三種類の被印刷部材に印刷された絵柄の印刷品質を同じ構成の印刷品質検査装置によって検査することができるため、製造コストを低減することができる。また、三種類の被印刷部材に印刷された絵柄の印刷品質を検査するのに、オペレータがスイッチの切替をすることなく同じ状態で行うことができるため、オペレータの負担が軽減されるというだけではなく、切り替え忘れにより誤検出が発生するようなことがないから、印刷資材の無駄を防止することができる。

また、本発明のうちのいずれか一つの発明によれば、蒸着材が蒸着された鏡面状の表面を有する被印刷部材が搬送中に暴れて搬送胴から浮き上がったり、反りが発生していたとしても、拡散反射板で乱反射した光が被印刷部材の浮き上がり部や反りを照射するため、検査が可能になる。

本発明に係る印刷品質検査装置を適用した枚葉輪転印刷機の側面図である。 図１におけるII部の拡大図である。 本発明に係る印刷品質検査装置のブロック図である。 本発明に係る印刷品質検査装置の側面図である。 本発明に係る印刷品質検査装置において、鏡面状の表面を有する被印刷部材で鏡面反射した光がカメラに入射しない位置に光源が設けられている状態を説明するための側面図である。 本発明に係る印刷品質検査装置において、搬送胴で鏡面反射された光がカメラに入射しない位置に光源が設けられている状態を説明するための側面図である。 本発明に係る印刷品質検査装置において、被印刷部材が蒸着紙の場合、光源から照射された光が拡散反射板で拡散反射され、拡散反射板で拡散された光が蒸着紙の表面で鏡面反射され、鏡面反射された光がカメラに入射する状態を説明するための側面図である。 本発明に係る印刷品質検査装置において、蒸着紙に浮き上がりや反りがある場合、光源から照射された光が拡散反射板で拡散反射され、拡散反射板で拡散された光が蒸着紙の浮き上がり部や反り部で鏡面反射され、鏡面反射された光がカメラに入射する状態を説明するための側面図である。 本発明に係る印刷品質検査装置において、被印刷部材が通常の紙の場合、被印刷部材の表面で拡散反射された光がカメラに入射する状態を説明するための側面図である。 本発明に係る印刷品質検査装置において、被印刷部材が透明フィルムの場合、光源から照射された光が拡散反射板で拡散反射され、拡散反射板で拡散反射された光が透明フィルムを透過し、透過した光が搬送胴の表面で鏡面反射され、鏡面反射された光がカメラに入射する状態を説明するための側面図である。

以下、本発明の実施の形態を図１ないし図１０に基づいて説明する。

図１に全体を符号１で示す枚葉輪転印刷機は、積載された被印刷部材２を一枚ずつ給紙する給紙装置３と、給紙された被印刷部材２に六色の印刷を施す六組の印刷ユニット４Ａないし４Ｆからなる印刷部４と、被印刷部材２の印刷面にニスをコーティングするコーティング部５と、コーティングされた被印刷部材２を乾燥させて排紙パイル６に排紙する排紙装置７とによって概ね構成されている。

図２において、１１は表面に鏡面反射部材としてのニッケル・クロム処理が施された搬送胴としての圧胴であって、外周部の二等分する部位には、被印刷部材２の前端を保持して搬送する従来から広く知られているくわえ爪装置（図示せず）が設けられている。１２は圧胴１１に対向し周面にニス供給装置（図示せず）からニスが供給されるコータ胴であって、圧胴１１のくわえ爪装置にくわえられて搬送される被印刷部材２が圧胴１１とコータ胴１２との間を通過するときに被印刷部材２の印刷面にニスがコーティングされる。

１３は圧胴１１に対接する排紙胴と同軸上に支持されたスプロケットと排紙装置７の前端部に支持されたスプロケット（いずれも図示せず）との間に張架された排紙チェーンであって、圧胴１１のくわえ爪装置にくわえられて搬送される被印刷部材２のくわえ替えが行われる排紙爪が設けられている。

このような構成において、給紙装置３のサッカー装置（図示せず）によってフィーダーボード１５に給紙された被印刷部材２は、当てと横針装置によって天地方向と幅方向が揃えられ、スイング装置を介して印刷ユニット４Ａに供給される。印刷ユニット４Ａで一色目の印刷が行われた後、順次印刷ユニット４Ｂないし４Ｆで二色目ないし六色目の印刷が行われ、コーティング部５において印刷面にニスがコーティングされた後、排紙チェーン１３によって搬送され、排紙パイル６に落下され積載される。

次に、図２ないし図１０を用いて、コーティング部５に備えられた本発明の特徴である印刷品質検査装置について説明する。なお、図４ないし図１０において、実際は被印刷部材２は圧胴１１の表面に貼り付いた状態で搬送されるが、説明の便宜上、被印刷部材２を圧胴１１の表面から離間させた状態に表示している。

図４に全体を符号２０で示す印刷品質検査装置は、被印刷部材２に印刷された絵柄に光を照射する光照射装置としての第１および第２の光源２１，２２と、フレーム１８に立設された架台１９に取り付けられ（図２参照）、被印刷部材２から反射された前記第１および第２の光源２１，２２からの光を用いて、被印刷部材２に印刷された絵柄を撮像する撮像装置としてのカメラ２３と、前記第１および第２の光源２１，２２からの殆どの光を輝度むらなく均一に多方向に散乱させるように反射させる拡散反射板２４と、カメラ２３からの検出信号と予め記憶された基準信号とを比較し、被印刷部材２に印刷された絵柄の印刷品質を検査する制御装置２５（図３参照）とを備えている。この印刷品質検査装置２０によって検査される絵柄が検出される被印刷部材２は、表面にアルミ等の蒸着材が蒸着された鏡面状の表面を有する蒸着紙２Ａと、表面に拡散反射面を有する通常の紙２Ｂと、光を透過する透明フィルム２Ｃとの三種類である。

第１および第２の光源２１，２２は、圧胴１１の胴軸方向に延在する蛍光灯によって構成されており、これら光源２１，２２は、被印刷物２の搬送方向下流側（図４中左方側）が開放されたランプハウス３１によって囲まれている。これら第１および第２の光源２１，２２は、図５に示すように、これら第１および第２の光源２１，２２から出射され、蒸着紙２Ａの表面で鏡面反射し、鏡面反射した直接光がカメラ２３に入射しない位置に設けられ、かつ、これら第１および第２の光源２１，２２は、図６に示すように、これら第１および第２の光源２１，２２から出射され、圧胴１１の表面１１ａで鏡面反射し、鏡面反射した直接光がカメラ２３に入射しない位置に設けられている。すなわち、第１および第２の光源２１，２２から出射され、蒸着紙２Ａの表面で鏡面反射した直接光が、および、第１および第２の光源２１，２２から出射され、圧胴１１の表面１１ａで鏡面反射した光はカメラ２３に入射しないように構成されている。

図４において、カメラ２３は被印刷部材２の被検査点２ａの絵柄の印刷品質を検査するものであって、被検査点２ａで反射し、入射経路３２を経てカメラ２３へ入射される光を検出する。すなわち、被印刷部材が蒸着紙２Ａの場合は、図７に示すように、第２の光源２２から出射された光が拡散反射板２４の反射点２４ａで反射し、蒸着紙２Ａの被検査点２ａで鏡面反射し、入射経路３２を経てカメラ２３へ入射する。

また、被印刷部材が通常の紙２Ｂの場合は、図９に示すように、第１および第２の光源２１，２２から出射された光が、直接、通常紙２Ｂの被検査点２ａで拡散反射し、入射経路３２を経てカメラに入射する場合と、第１および第２の光源２１，２２から出射された光が、拡散反射板２４で反射し、間接的に、通常紙２Ｂの被検査点２ａで拡散反射し、入射経路３２を経てカメラ２３に入射する場合とがある。

また、被印刷部材が透明フィルム２Ｃの場合は、図１０に示すように第２の光源２２から出射された光が拡散反射板２４の反射点２４ｃで拡散反射し、透明フィルム２Ｃの被検査点２ｃを通過した後、透明フィルム２Ｃを通過し、圧胴１１の表面１１ｃで鏡面反射し、再び透明フィルム２Ｃを通過して入射経路３２を経てカメラ２３へ入射する。なお、蒸着紙２Ｂで鏡面反射した光および圧胴１１の表面１１ｃで鏡面反射した光がカメラ２３に入射する入射経路３２は同じであるが、蒸着紙２Ｂの表面で鏡面反射する点と圧胴１１の表面１１ｃで鏡面反射する点とは被印刷部材２の厚さ分だけ異なるため、第２の光源２２から出射され、入射経路３２に達するまでの光が通る経路は、その分だけ異なる。

第１および第２の光源２１，２２は、図４に示すように、被印刷部材２の被検査点２ａにおける法線３５（圧胴１１の中心Ｏ点と被検査点２ａとを結ぶ線の延長線）に対して、被印刷部材２の搬送方向上流側に位置している。一方、拡散反射板２４は、法線３５に対して被印刷部材２の搬送方向下流側に位置している。すなわち、拡散反射板２４は、法線３５に対して第１および第２の光源２１，２２と反対の位置に設けられている。

この拡散反射板２４は、第１および第２の光源２１，２２から出射され、当該拡散反射板２４で反射した光が、図９に示すように被印刷部材２の被検査点２ａに集光されるように断面が円弧状に形成されている。同時に、この拡散反射板２４は、図７に示すように、第２の光源２２から出射され拡散反射板２４のある反射点２４ａで反射される光が被印刷部材２の被検査点２ａを照射した後、入射経路３２を経てカメラ２３に入射されるとともに、図１０に示すように第２の光源２２から出射され拡散反射板２４の他の反射点２４ｃで反射される光が透明フィルム２Ｃの被検査点２ｃを通過して圧胴１１の表面１１ｃで鏡面反射した後、入射経路３２を経てカメラ２３に入射されるように、圧胴１１の中心Ｏ点からの曲率半径が変化する形状に形成されている。また、同様に、図８に示すように第１の光源２１から出射され拡散反射板２４の他の反射点２４ｂで反射される光が蒸着紙２Ａの後述する浮き上がり部２ｂを照射した後、入射経路３２を経てカメラ２３に入射されるように、圧胴１１の中心Ｏ点からの曲率半径が変化する形状に形成されている。

カメラ２３は、図４に示すように入射経路３２が法線３５に対して角度αだけ傾斜するように、被印刷部材２の搬送方向上流側に位置している。

次に、図３を用いて、カメラ２３からの検出信号と予め記憶された基準信号とを比較し、被印刷部材２に印刷された絵柄の印刷品質を検査する制御装置２５について説明する。同図において、カメラ２３はレンズ４１等の光学系およびこの光学系を介して結像される画像をこれに対応する電気信号に変換するＣＣＤ４２からなる。図中全体を二点鎖線で囲む制御装置２５は、基準信号としての基準画像データを個別に読み込み、記憶する基準メモリ４３を有するとともに、良否判定用の検出信号としての判定画像データを読み込み、記憶する検出メモリ４４を有する。

メモリコントローラ４５は基準メモリ４３および検出メモリ４４へのデータの読み込みを制御する。判定レベル設定回路４６は基準画像データと判定画像データの許容し得るレベル差を予め設定しておくものである。比較器４７は基準画像データと判定画像データとを比較し、両者のレベル差が判定レベル設定回路４６に設定した許容レベル差以上の場合に、このことを表す信号を送出する。すなわち、ＣＣＤ４２の各画素に対応する基準画像データと判定画像データとを逐一比較することにより各画素に対応する両データのレベルを比較し、一個でも許容差以上となっている場合には信号を送出する。

補正回路４８は圧胴１１の回転速度に合わせてアンプ４９のゲインを調整するものである。カメラ２３に同一光量が入射しても圧胴１１の回転速度が速いほどＣＣＤ４２の出力レベルが小さくなるので補正回路４８を設けて回転速度の影響を補正している。５０はＣＣＤコントローラ、５１はＡ／Ｄコンバータである。このように構成された制御装置２５は、次の各信号により制御される。

すなわち、位相信号は、圧胴１１の回転位相を検出するロータリエンコーダの出力信号であり、圧胴１１の１回転毎に立ち上がるパルス信号である基準信号および圧胴１１の一定回転毎に立ち上がるデータ読み込みおよび書き出し用のパルス信号でもあるクロックパルスからなり、メモリコントローラ４５、判定レベル設定回路４６、補正回路４８およびＣＣＤコントローラ５０に供給される。基準値メモリ信号はメモリコントローラ４５を介して基準メモリ４３に基準画像データを読み込ませるための信号であり、図示しないスイッチを投入することにより供給される。

判別スタート信号は基準画像データと判定画像データとの比較を開始させるための信号であり、図示しないスイッチを投入することにより供給される。判定精度操作信号は判定レベル設定回路４６におけるプリセット値、すなわち許容レベル差の値を調整する信号である。

このような構成において、先ず、作業者が試刷りを行いながら実際に印刷された印刷物の状態を確認して、その良否を判定し良好であれば基準値メモリ信号を送出せしめる。その後、基準位置を表す基準信号がロータリエンコーダより送出された時点で圧胴１１に保持されて搬送される被印刷部材２から基準画像データの基準メモリ４３への読み込みを開始し、この基準画像データを基準メモリ４３へ記憶する。

このように圧胴１１に保持されて搬送される被印刷部材２の基準データを基準メモリ４３に記憶した後、判定スタート信号により所定の判別処理を開始する。この処理は、基準画像データの読み込み時と全く同態様で、圧胴１１の回転に伴い検出メモリ４４に対応する圧胴１１に保持されて搬送される被印刷部材２の判定画像データを読み込み、この判定画像データと基準画像データとを比較することにより両者のレベル量が許容レベル差内に収まっているか否かにより判定する。こうして、被印刷物２に印刷された絵柄の良否が検出される。

次に、図５ないし図１０を用いて、このように構成された印刷品質検査装置２０による検査動作について説明する。先ず、図５、図７、図８を用いて、被印刷部材２が蒸着紙２Ａの場合について説明する。この場合、第１および第２の光源２１，２２から出射され、圧胴１１によって保持され搬送される蒸着紙２Ａの表面で鏡面反射される光は、図５に示すように、カメラ２３に直接入射されることはない。

一方、図７に示すように第２の光源２２から出射され、拡散反射板２４の反射点２４ａで反射した光が、蒸着紙２Ａの被検査点２ａに照射されると、入射経路３２を経てカメラ２３に入射される。この場合、被検査点２ａに絵柄がない場合は拡散反射板２４からの光がそのままカメラ２３に入射し、絵柄がある場合は、インキによってその色が吸収され、その色に応じて入射する光量が減る。制御装置２５では、カメラ２３によって検出した判定画像データと予め基準メモリ４３に記憶されている基準画像データとを比較し、蒸着紙２Ａに印刷された絵柄の良否を検出する。

このように、第１および第２の光源２１，２２から出射され、蒸着紙２Ａの表面で鏡面反射される光がカメラ２３に直接入射されることはないから、カメラ２３には光源２１，２２が映し出されることがなく、かつ拡散反射板２４で拡散反射された光のみが蒸着紙２Ａの表面で鏡面反射されてカメラ２３に入射されるため、通常の紙２Ｂの場合と同様に蒸着紙２Ａに印刷された絵柄の品質を検査することができる。

次に、図８を用いて、蒸着紙２Ａが搬送中に暴れて圧胴１１から浮き上がったり、蒸着紙２Ａ自体に反りが発生している場合について説明する。上述したように、拡散反射板２４は、図８に示すように第１の光源２１から出射され拡散反射板２４の反射点２４ｂで反射される光が蒸着紙２Ａの浮き上がり部２ｂを照射した後、鏡面反射されて入射経路３２を経てカメラ２３に入射されるというように、圧胴１１の中心Ｏ点からの曲率半径が変化する形状に形成されている。

したがって、図８に示すように、圧胴１１のくわえ爪装置にくわえられて搬送される蒸着紙２Ａが暴れて紙尻が圧胴１１の表面から浮き上がり浮き上がり部２ｂが形成された場合、第１の光源２１から出射され拡散反射板２４の反射点２４ｂで反射される光が、蒸着紙２Ａの浮き上がり部２ｂを照射した後、鏡面反射されて入射経路３２を経てカメラ２３に入射される。

このように、拡散反射板２４が圧胴１１の中心Ｏ点からの曲率半径が変化する形状に形成され、さらに第１および第２の光源２１，２２が蒸着紙２Ａの被検査点２ａにおける法線３５に対して、蒸着紙２Ａの搬送方向上流側に設けられるとともに、拡散反射板２４が法線３５に対して蒸着紙２Ａの搬送方向下流側に設けられ、かつカメラ２３が法線３５に対して蒸着紙２Ａの搬送方向上流側に設けられていることにより、蒸着紙２Ａに浮き上がり部２ｂや反りが発生しても、拡散反射板２４で反射され、蒸着紙２Ａの浮き上がり部２ｂや反り部で鏡面反射した光が確実にカメラ２３に入射されるため、カメラ２３によって蒸着紙２Ａに印刷された絵柄の印刷品質を検査することが可能になる。

次に、図９を用いて、被印刷部材２が通常の紙２Ｂの場合について説明する。通常の紙２Ｂが拡散反射表面を有しているので、図９では、拡散反射表面を模式的に表現するために、被検査点２ａを説明の便宜上、多角形に描写している。この通常の紙２Ｂの場合は、第１および第２の光源２１，２２から出射され拡散反射板２４で反射されて被検査点２ａに照射された光は、被検査点２ａで拡散反射されてカメラ２３に入射する。

このとき、拡散反射板２４が断面円弧状に形成されていることにより、光源２１，２２から拡散反射板２４へ出射された光が被検査点２ａに集光されるため、カメラ２３に入射する光量が増大するから、カメラ２３に入射する光量が不足するというようなことがない。同様に、第１および第２の光源２１，２２から直接被検査点２ａに照射された光の一部も、被検査点２ａにおける拡散反射によりカメラ２３に入射するから、カメラ２３に入射する光量が増大する。

この場合、被検査点２ａに絵柄がない場合は第１および第２の光源２１，２２および拡散反射板２４からの光がそのままカメラ２３に入射し、絵柄がある場合は、インキによってその色が吸収され、その色に応じて入射する光量が減る。制御装置２５では、カメラ２３によって検出した判定画像データと予め基準メモリ４３に記憶されている基準画像データとを比較し、通常の紙２Ｂに印刷された絵柄の良否を検出する。

次に、図１０を用いて、被印刷部材２が透明フィルム２Ｃの場合について説明する。この場合は、上述した蒸着紙２Ａの場合と同様に、第２の光源２２から出射され、拡散反射板２４の反射点２４ｃで拡散反射された光が透明フィルム２Ｃの被検査点２ｃに照射されると、被検査点２ｃに絵柄がない場合はそのまま光量を保ったまま被検査点２ｃを通過し、絵柄がある場合はインキによってその色の光が吸収され、その色に応じて減少した光量で被検査点２ｃを通過する。被検査点２ｃを通過した光は、圧胴１１の表面で鏡面反射され、再び透明フィルム２Ｃを通過してカメラ２３に入射する。カメラ２３に入射した光は制御装置２５において判定画像データとして読み込まれ、この判定画像データが予め基準メモリ４３に記憶されている基準画像データと比較され，透明フィルム２Ｃに印刷された絵柄の印刷品質が検出される。

このように、オペレータが一定枚数毎に印刷された透明フィルム２Ｃを抜き取り、目視で検査することなく自動的に検査することができるため、オペレータの負担が軽減されるというだけではなく、印刷資材の無駄を防止することができる。また、従来のように、オペレータの抜き取り検査の間に印刷不良が発生するようなことがないから、不良印刷物の発生に気付かずに、そのまま出荷してしまうということもないとともに、大量の不良印刷物も発生するようなこともないから、印刷資材が無駄になるということもない。

また、本発明によれば、蒸着材が蒸着された鏡面状の表面を有する蒸着紙２Ａ、拡散反射表面を有する通常の紙２Ｂだけでなく、光が透過する透明フィルム２Ｃに印刷された絵柄の印刷品質を検査することができる。また、三種類の被印刷部材２Ａ，２Ｂ，２Ｃに印刷された絵柄の印刷品質を同じ構成の印刷品質検査装置２０によって検査することができるため、製造コストを低減することができる。また、三種類の被印刷部材２Ａ，２Ｂ，２Ｃに印刷された絵柄の印刷品質を検査するのに、オペレータがスイッチの切替をすることなく同じ状態で行うことができるため、オペレータの負担が軽減されるというだけではなく、切り替え忘れにより誤検出が発生するようなことがないから、印刷資材の無駄を防止することができる。

なお、本実施の形態においては、照射装置として、第１および第２の光源２１，２２の二つの光源を用いたが、光量が十分得られるのであれば、光源は一つでもよく、また、必要に応じて三つ以上としてもよい。

１…枚葉輪転印刷機、２…被印刷部材、２ａ，２ｃ…被検査点、２Ａ…蒸着紙、２Ｂ…通常の紙、２Ｃ…透明フィルム、１１…圧胴（搬送胴）、２０…印刷品質検査装置、２１…第１の光源（光照射装置）、２２…第２の光源（光照射装置）、２３…カメラ（撮像装置）、２４…拡散反射板、２４ａ，２４ｂ，２４ｃ…反射点、２５…制御装置、３１…ランプハウス、３２…入射経路、３５…法線。

Claims (2)

1. 光を照射する光照射装置と、
   被印刷部材に印刷された絵柄を撮像する撮像装置と、
   前記撮像装置からの検出信号と予め記憶された基準信号とを比較し、被印刷部材に印刷された絵柄の印刷品質を検査する制御装置とを備えた印刷品質検査装置において、
   鏡面反射部材を表面に備え、前記被印刷部材を保持して搬送する搬送胴を設け、
   前記光照射装置を、前記鏡面反射部材で鏡面反射された当該光照射装置からの直接光が前記撮像装置に入射しない位置に設け、
   かつ、前記鏡面反射部材から鏡面反射された光の前記撮像装置への入射経路に対して、前記光照射装置と反対の位置に、円弧状で、前記搬送胴からの曲率半径が変化する形状に形成された拡散反射板を設け、
   前記被印刷部材が光が透過する被印刷部材である場合は、前記光照射装置から照射された光が前記拡散反射板で拡散反射され、前記拡散反射板で拡散反射された光が前記被印刷部材を透過し、前記被印刷部材を透過した光が前記鏡面反射部材で鏡面反射され、前記鏡面反射部材で鏡面反射された光が前記撮像装置に入射するようにし、
   前記被印刷部材が蒸着材が蒸着された鏡面状の表面を有する被印刷部材である場合は、前記光照射装置から照射された光が前記拡散反射板で拡散反射され、前記拡散反射板で拡散反射された光が前記被印刷部材の表面で鏡面反射され、前記被印刷部材の表面で鏡面反射された光が前記撮像装置に入射するようにし、
   前記被印刷部材が拡散反射表面を有する被印刷部材である場合は、前記被印刷部材の表面で拡散反射された光が前記撮像装置に入射するようにしたことを特徴とする印刷品質検査装置。
2. 前記光照射装置は、前記被印刷部材の被検査点における法線に対して、前記被印刷部材の搬送方向上流側に設けられ、
   前記拡散反射板は、前記被印刷部材の被検査点における法線に対して、前記被印刷部材の搬送方向下流側に設けられ、
   前記撮像装置は、前記被印刷部材の被検査点における法線に対して、前記被印刷部材の搬送方向上流側に設けられていることを特徴とする請求項１記載の印刷品質検査装置。

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