JP2012067634A - 内燃機関の燃料供給制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】目標燃圧を可変に設定する燃料供給制御装置において、高い降圧応答性を安定的に得られ、かつ、電力消費を充分に低減できるようにする。
【解決手段】通常モードでは、燃圧FUPRを目標燃圧TGFUPRに近づけるように、燃料ポンプの駆動デューティDUTYを決定する、フィードバック制御を実施する(S109)。係るフィードバック制御中に、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRよりも第1判定閾値SL1以上に高くなると、降圧モードに移行し、駆動デューティDUTYを0%に変更して燃料ポンプを停止させる(S103→S104→S107)。燃料ポンプを停止させたことで、FUPR−TGFUPR≦SL2が成立するようになると、通常モードに復帰させる(S106→S108→S109)。
【選択図】図2

Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射弁に燃料を供給する燃料ポンプを駆動する燃料供給制御装置に関する。
特許文献1には、燃料噴射弁に供給する燃料圧力の検出値が、上限値と下限値とで挟まれる領域内であるときに、圧力の検出値を目標値に一致させるように燃料ポンプの制御デューティを設定し、圧力の検出値が前記下限値を下回る場合には、前記制御デューティを100%に設定し、圧力の検出値が前記上限値を上回る場合には、前記制御デューティを0%にして燃料ポンプを停止させる、内燃機関の制御装置が開示されている。
特開2008−014183号公報
しかし、特許文献1の制御装置のような、固定の上限値よりも実際の燃料圧力が高くなった場合に燃料ポンプを停止させる処理を、目標燃圧を可変に設定する燃料供給制御装置に適用した場合、目標燃圧の変化に対して適切なタイミングで燃料ポンプを停止させることができず、燃料ポンプを停止させることによる、降圧応答性の改善効果や、電力消費の低減による燃費の改善効果を充分に得ることができないという問題があった。
そこで、本願発明は、目標燃圧を可変に設定する燃料供給制御装置において、高い降圧応答性を安定的に得られ、かつ、電力消費を充分に低減できるようにすることを目的とする。
そのため、本願発明は、燃料噴射弁への燃料の供給圧力を検出する圧力検出手段と、内燃機関の運転状態に基づき、前記供給圧力の目標値を設定する目標設定手段と、前記圧力検出手段による検出値と前記目標値とに基づき、前記燃料ポンプに加える第1操作量を演算する圧力制御手段と、前記圧力検出手段による検出値が前記目標値よりも所定以上に高くなったときに、前記燃料ポンプに加える操作量を前記第1操作量から前記第1操作量よりも小さい第2操作量に変更する降圧制御手段と、を備えるようにした。
上記発明によると、目標燃圧を可変に設定する燃料供給制御装置において、高い降圧応答性を安定的に得られ、かつ、電力消費を充分に低減できる。
実施形態における車両用内燃機関のシステム構成図である。 燃料ポンプの駆動制御の第1実施形態を示すフローチャートである。 燃料ポンプの駆動制御の第1実施形態における制御特性を示すタイムチャートである。 燃料ポンプの駆動制御の第2実施形態を示すフローチャートである。 燃料ポンプの駆動制御の第2実施形態における制御特性を示すタイムチャートである。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る燃料供給制御装置を含む、車両用内燃機関のシステム構成図である。
図1において、内燃機関(エンジン)1は、吸気通路(吸気ポート)2に燃料噴射弁3を備え、燃料噴射弁3は、内燃機関1に対して燃料を噴射する。
燃料噴射弁3が噴射した燃料は、空気と共に吸気バルブ4を介して燃焼室5内に吸引され、点火プラグ6による火花点火によって着火燃焼する。燃焼室5内の燃焼ガスは、排気バルブ7を介して排気通路8に排出される。
吸気通路2の燃料噴射弁3を配設した部分よりも上流側に、スロットルモータ9で開閉する電子制御スロットル10を配し、この電子制御スロットル10の開度によって内燃機関1の吸入空気量を調整する。
また、内燃機関1は、燃料タンク11内の燃料を燃料ポンプ12によって燃料噴射弁3に圧送する燃料供給装置13を備える。
燃料供給装置13は、燃料タンク11、燃料ポンプ12、圧力調整弁(プレッシャレギュレータ)14、オリフィス15、燃料ギャラリー配管16、燃料供給配管17、燃料戻し配管18、ジェットポンプ19、燃料移送管20を含む。
燃料ポンプ12は、モータでポンプインペラを回転駆動する電動式ポンプであり、燃料タンク11内に設けてある。
燃料ポンプ12の吐出口には燃料供給配管17の一端が接続され、燃料供給配管17の他端は燃料ギャラリー配管16に接続され、更に、燃料ギャラリー配管16に燃料噴射弁3の燃料供給口を接続してある。
燃料戻し配管18は、燃料タンク11内で燃料供給配管17から分岐延設され、燃料戻し配管18の他端は燃料タンク11内に開口される。
燃料戻し配管18には、上流側から順に、圧力調整弁14、オリフィス15、ジェットポンプ19を設けてある。
圧力調整弁14は、燃料戻し配管18を開閉する弁体14aと、該弁体14aを燃料戻し配管18上流側の弁座に向けて押圧するコイルスプリングなどの弾性部材14bとから概略構成されている。そして、圧力調整弁14は、燃料噴射弁3に供給される燃料圧力が最小圧力FPMINを超えたときに開弁し、燃料圧力が最小圧力FPMIN以下であるときに閉弁する。
前述のように、圧力調整弁14は、燃料噴射弁3に供給される燃料圧力が最小圧力FPMINよりも高くなると開弁するが、圧力調整弁14の下流側に設けたオリフィス15によって、燃料戻し配管18を介して燃料タンク11内に戻される燃料流量を絞るようになっている。このため、燃料ポンプ12からの燃料の吐出量を、戻し流量以上に増やすことで、最小圧力FPMINを超える圧力にまで燃料圧力を昇圧できるようになっている。
換言すれば、圧力調整弁14の開弁圧である最小圧FPMINをベースに、燃料ポンプ12の吐出量を制御することで、燃料圧力を、機関運転状態に応じた目標燃圧(目標燃圧≧FPMIN)にまで昇圧できるようになっている。
尚、燃料ポンプ12の吐出量の制御によって、最小圧FPMINを超える燃料圧力にまで昇圧できる程度に、燃料戻し配管18によって燃料タンク11内に戻される燃料量(リリーフ流量)が絞られるようになっていればよく、例えば、オリフィス15を設けずに、圧力調整弁14が流量(リリーフ流量)を絞る機能を備える構成であってもよい。
ジェットポンプ19は、圧力調整弁14、オリフィス15を介して燃料タンク11内に戻される燃料の流れによって、燃料移送管20を介して燃料を移送させるものである。
燃料タンク11は、底面の一部が盛り上がって底部空間を2つの領域11a,11bに隔てている所謂鞍型の燃料タンクであり、燃料ポンプ12の吸い込み口は領域11a内に開口するため、領域11b内の燃料を領域11a側に移送させないと、領域11b内の燃料が残存することになってしまう。
そこで、ジェットポンプ19は、圧力調整弁14及びオリフィス15を介して燃料タンク11の領域11a内に戻される燃料の流れによって、燃料移送管20内に負圧を作用させ、燃料移送管20が開口する領域11b内の燃料を、燃料移送管20を介してジェットポンプ19まで導き、戻し燃料と共に領域11a内に排出させる。
本実施形態では、上記のように、ジェットポンプ19を備えるが、燃料タンク11が所謂鞍型でない場合、即ち、燃料タンク11の底部空間が隔成されずに、燃料ポンプ12の吸い込み口から燃料タンク11内の燃料を残量なく吸引できる場合には、ジェットポンプ19及び燃料移送管20を省略することができる。また、燃料タンク11が所謂鞍型でなく、かつ、燃料戻し配管18、圧力調整弁14、オリフィス15、ジェットポンプ19及び燃料移送管20を備えない構成であってもよい。
マイクロコンピュータを備えるECM(エンジン・コントロール・モジュール)31は、燃料噴射弁3による燃料噴射、点火プラグ6による点火、電子制御スロットル10の開度などを制御する。
また、マイクロコンピュータを備えるFPCM(フューエル・ポンプ・コントロール・モジュール)30は、燃料ポンプ12の駆動信号(駆動出力)を出力して燃料ポンプ12を制御する。
ECM31とFPCM30とは相互に通信可能に構成され、ECM31は、燃料ポンプ12の駆動デューティ(操作量)などを指示する信号PINSをFPCM30に向けて送信する。燃料ポンプ12の駆動デューティ(%)は、燃料ポンプ12を回転駆動するモータの電圧を制御する操作量であって、1周期当たりの通電時間割合(オン時間割合)を示し、駆動デューティが増大することで、モータの平均印加電圧が増加し、燃料ポンプ12の吐出圧(吐出流量)が増大する。
また、FPCM30は、自己診断の結果を示す信号DIAGなどをECM31に向けて送信する。
ECM31は、燃料ギャラリー配管16内の燃圧FUPR(燃料ポンプ12の吐出圧、燃料噴射弁3への燃料供給圧)を検出する燃圧センサ(圧力検出手段)33、図外のアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)ACCを検出するアクセル開度センサ34、内燃機関1の吸入空気流量QAを検出するエアフローセンサ35、内燃機関1の回転速度NEを検出する回転センサ36、内燃機関1の冷却水温度TW(機関温度)を検出する水温センサ37、排気中の酸素濃度に応じて内燃機関1の空燃比A/Fを検出する空燃比センサ38などからの検出信号を入力する。
そして、ECM31は、吸入空気流量QAと機関回転速度NEとに基づいて基本噴射パルス幅TPを演算し、基本噴射パルス幅TPをそのときの燃圧FUPRに応じて補正する一方、空燃比センサ38の出力に基づいて実際の空燃比を目標空燃比に近づけるための空燃比フィードバック補正係数LAMBDAを演算し、燃圧FUPRに応じて補正した基本噴射パルス幅TPを、更に空燃比フィードバック補正係数LAMBDAなどで補正して、最終的な噴射パルス幅TIを演算する。
そして、各気筒の噴射タイミングになると、燃料噴射弁3に対して噴射パルス幅TIの噴射パルス信号を出力し、燃料噴射弁3による燃料噴射量及び噴射タイミングを制御する。
また、ECM31は、内燃機関1の負荷を示す基本噴射パルス幅TPや機関回転速度NEなどに基づいて点火時期(点火進角値)を演算し、点火時期において点火プラグ6による火花放電がなされるように、図外の点火コイルへの通電を制御する。
また、ECM31は、アクセル開度ACCなどから電子制御スロットル10の目標開度を演算し、電子制御スロットル10の実開度が目標開度に近づくようにスロットルモータ9を駆動制御する。
更に、ECM31は、燃圧センサ33が検出した燃圧FUPR、及び、内燃機関1の運転条件に基づいて決定した目標燃圧TGFUPRに基づき、燃料ポンプ12の駆動デューティDUTY(駆動電圧)を決定し、この駆動デューティDUTY(%)を示すパルス信号PINSを、燃料ポンプ12の駆動指示信号としてFPCM30に送信する。
そして、FPCM30は、ECM31側から受信したパルス信号PINSに基づいて燃料ポンプ12の駆動信号(駆動デューティDUTY)を決定して出力する。尚、FPCM30の回路・機能を、ECM31が備えることで、ECM31とFPCM30とを一体化した構成とすることができる。
以下では、ECM31による燃料ポンプ12の制御(駆動デューティDUTYの決定処理)を、図2のフローチャートに従って説明する。
ステップS101では、基本噴射パルス幅TP(機関負荷)、機関回転速度NE、冷却水温度TW(機関温度)、内燃機関1が始動状態であるか否かなどの、内燃機関1の運転状態を検出すると共に、燃圧センサ33の出力から燃圧FUPRを検出する。
ステップS102(目標設定手段)では、機関運転状態に基づいて目標燃圧TGFUPRを決定する。
具体的には、例えば、高負荷・高回転ほど目標燃圧TGFUPRを高く設定し、また、高温再始動時である場合に、冷機始動時よりも高い目標燃圧TGFUPRを設定する。但し、目標燃圧TGFUPRの特性を上記のものに限定するものではなく、機関運転状態に基づいて目標燃圧TGFUPRを可変に設定する構成であればよい。
ステップS103では、燃圧FUPRから目標燃圧TGFUPRを減算した結果が、第1判定閾値SL1(>0)よりも大きいか否か、換言すれば、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRよりも第1判定閾値SL1以上に高いか否かを判断する。
尚、第1判定閾値SL1は、燃圧FUPRを目標燃圧TGFUPRに近づけるように駆動デューティDUTYを決定する制御(フィードバック制御)で発生する燃圧の脈動範囲を超えていて、かつ、フィードバック制御では充分な応答で目標燃圧TGFUPR付近に収束させることができない制御偏差に相当する。
従って、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRよりも第1判定閾値SL1以上に高い場合には、後述するフィードバック制御では、目標燃圧TGFUPRよりも燃圧FUPRが高い状態を速やかに解消することができないものと推定できる。
ステップS103で、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRよりも第1判定閾値SL1以上に高い(FUPR−TGFUPR>SL1である)と判断すると、ステップS104へ進み、降圧モードフラグFに1を設定する。尚、降圧モードフラグFの初期値は0である。
ステップS104で降圧モードフラグFに1を設定した後は、ステップS107(降圧制御手段)へ進み、駆動デューティDUTYを既定値である0%(第2操作量)に変更して固定して燃料ポンプ12を停止させる、降圧モード(オープン制御モード)を実施する。
燃料ポンプ12を停止させ、燃料ポンプ12からの燃料の吐出を中止させれば、燃料噴射弁3が噴射する燃料分が燃料配管内に補給されないことになり、燃圧FUPRの目標燃圧TGFUPRに向けた降圧を促進させることができる。
そして、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRよりも第1判定閾値SL1以上に高くなったときに、それまでのフィードバック制御で決定していた駆動デューティDUTY(第1操作量)から、より低い駆動デューティDUTY=0%(第2操作量)にまでステップ的に低下させるから、燃圧FUPRと目標燃圧TGFUPRとの偏差に基づき駆動デューティDUTY(第1操作量)を徐々に変化させる場合に比べて、より速やかに降圧させることができる。
また、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRよりも第1判定閾値SL1以上に高く、燃料ポンプ12の駆動が不要になった時点で直ちに燃料ポンプ12を停止させるので、燃料ポンプ12による無駄な電力消費を抑制でき、内燃機関1の燃費性能を向上できる。
更に、そのときの目標燃圧TGFUPRを燃圧FUPRがどれだけ上回っているかに基づき、燃料ポンプ12を停止させるタイミングを判断するから、目標燃圧TGFUPRが変化しても、燃料ポンプ12を停止させるタイミング(圧力レベル)を適切に判断でき、以って、高い降圧応答性を安定的に得られ、かつ、電力消費を最大限に低減できる。
尚、ステップS107(降圧モード)では、駆動デューティDUTYを0%に変更したが、燃料ポンプ12が燃料を吐出しない範囲内の0%よりも高い値を既定値(第2操作量)として定めて、この0%よりも高い値に変更させることができる。
この場合も、燃料ポンプ12を停止させる場合と略同等の降圧応答性が得られ、また、充分な燃費性能の向上効果を得られる。更に、上記のように、0%よりも高い値に変更させるようにすれば、駆動デューティDUTYを0%に変更する場合に比べ、燃料ポンプ12の駆動が必要になったときに、燃圧を応答良く立ち上げることができる。
また、降圧モードにおいて、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRよりも第1判定閾値SL1以上に高いと判断する直前にフィードバック制御で設定した駆動デューティDUTY(第1操作量)を基準とし、この基準とする駆動デューティDUTYよりも一定値だけ小さい駆動デューティDUTYや、基準とする駆動デューティDUTYの一定割合(<100%)の駆動デューティDUTYなど、フィードバック制御での駆動デューティDUTYよりも低い駆動デューティDUTYに変更しても良い。
前述のように、駆動デューティDUTYを、既定値である0%若しくは燃料を吐出しない0%よりも高い値に変更させた方が、制御が簡易でかつより高い降圧応答及び燃費性能が得られるが、燃料ポンプ12の駆動が必要になったときの燃圧の立ち上がりは、フィードバック制御での駆動デューティDUTYよりも低い駆動デューティDUTYに変更した方が、より高い応答を示す。
一方、ステップS103で、燃圧FUPRから目標燃圧TGFUPRを減算した結果が、第1判定閾値SL1以下であると判断すると、ステップS105へ進み、降圧モードフラグFが1であるか否かを判断する。
降圧モードフラグFが1である場合は、降圧モードの実行中であって、駆動デューティDUTYを0%に変更して燃料ポンプ12を停止させたことで燃圧FUPRが低下し、燃圧FUPRから目標燃圧TGFUPRを減算した結果が、第1判定閾値SL1以下になった状態であり、その場合には、ステップS106へ進む。
ステップS106では、駆動デューティDUTYを0%に変更して燃料ポンプ12を強制的に停止させる降圧モードの終了タイミング(DUTY=0%の第2操作量から、フィードバック制御による第1操作量に戻すタイミング)であるか否かを、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRよりも第2判定閾値SL2以上に高いか否かに基づいて判断する。
尚、前記第2判定閾値SL2は、SL1>SL2>0の関係を満たす値であり、強制的に燃料ポンプ12を停止させる処理の終了タイミング(燃料ポンプ12の起動タイミング)が遅くなって、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRを下回るようになってしまうことを抑制できる範囲内で極力小さい値とする。
ここで、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRよりも第2判定閾値SL2以上に高いと判断した場合は、燃料ポンプ12を停止させた当初よりも燃圧FUPRが低下したものの、目標燃圧TGFUPRよりも高い状態を保持していることになるため、ステップS107へ進み、降圧モードによって駆動デューティDUTYを0%に保持させ、燃料ポンプ12の停止状態を継続させる。
即ち、FUPR−TGFUPR>SL1が成立してから、FUPR−TGFUPR≦SL2となるまでの期間、駆動デューティDUTYを0%に保持する降圧モード(オープン制御)を実施する。
そして、ステップS106で、燃圧FUPRから目標燃圧TGFUPRを減算した結果が、第2判定閾値SL2以下であると判断すると、燃料ポンプ12を停止させた効果で、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPR付近にまで低下したことになり、これ以上燃料ポンプ12の停止状態を継続させると、逆に燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRを下回るようになってしまう可能性がある。
そこで、ステップS106で、FUPR−TGFUPR≦SL2であると判断すると、ステップS108へ進んで降圧モードフラグFを0にリセットした後、ステップS109(圧力制御手段)へ進む。
ステップS109では、通常モード(フィードバック制御モード)として、燃圧FUPRを目標燃圧TGFUPRに近づけるように駆動デューティDUTYを決定する、フィードバック制御を実施する。フィードバック制御においては、PID(比例・積分・微分)制御の他、モデル規範形適応制御などの適応制御、ファジー制御、ニューロ制御などを用いることができる。
また、ステップS106で降圧モードフラグFが0であると判断した場合も、ステップS109へ進んで、通常モードにより、燃圧FUPRを目標燃圧TGFUPRに近づけるように駆動デューティDUTYを決定する。
そして、係る通常モードで駆動デューティDUTYを決定している状態で、FUPR−TGFUPR>SL1と判定されるようになるまで、燃圧FUPRが上昇すると、降圧モードに切り替え、駆動デューティDUTYを0%にして、燃料ポンプ12を停止させる。
図3のタイムチャートは、図2のフローチャートに従って駆動デューティDUTYを決定する場合における駆動デューティDUTYの変化を、燃圧FUPRの変化と共に示す。
図3において、時刻t1で、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRよりも第1判定閾値SL1以上に高くなったと判断すると、燃圧FUPRを目標燃圧TGFUPRに近づけるように駆動デューティDUTYを決定する通常モード(フィードバック制御モード)から降圧モード(オープン制御モード)に切り替え、駆動デューティDUTYを、フィードバック制御で決定した駆動デューティDUTY(第1操作量)よりも小さい0%(第2操作量)にまでステップ的に変化させることで、燃料ポンプ12を停止させる。
その後、燃圧FUPRが、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRよりも第2判定閾値SL2(<第1判定閾値SL1)以上に高い状態を維持する間は、降圧モード(オープン制御モード)をそのまま継続することで、駆動デューティDUTYを0%のまま保持し、燃料ポンプ12の停止状態を継続させる。
そして、時刻t2において、FUPR−TGFUPR≦SL2が成立したことを検出すると、通常モード(フィードバック制御モード)に復帰し、駆動デューティDUTYを、0%(第2操作量)から、燃圧FUPRを目標燃圧TGFUPRに近づけるように決定した値(第1操作量)に戻し、燃圧FUPRを目標燃圧TGFUPR付近に収束させるようにする。
ここで、降圧モード(オープン制御モード)の間は、駆動デューティDUTYを0%にし、燃料ポンプ12を停止させるから、燃料ポンプ12における電力消費を抑制でき、また、燃圧FUPRを速やかに目標燃圧TGFUPR付近にまで降圧させることができる。
更に、降圧モード(オープン制御モード)の開始・終了判定における燃圧レベルは、目標燃圧TGFUPRの変化に応じて変化するから、目標燃圧TGFUPRに収束させるのに適切なタイミングで燃料ポンプ12を停止させ、また、適切なタイミングで燃料ポンプ12を再起動させることができる。
尚、第1上限値>第2上限値>目標燃圧TGFUPRを満たす第1上限値及び第2上限値を、目標燃圧TGFUPRが高くなるほどより高い値に設定し、燃圧FUPRが第1上限値よりも高くなったときに通常モードから降圧モードに移行し、降圧モードで燃圧FUPRが第2上限値よりも低くなったときに降圧モードから通常モードに戻すようにしてもよい。
図4のフローチャートは、ECM31による燃料ポンプ12の制御(駆動デューティDUTYの決定処理)の駆動デューティDUTYの決定処理の第2実施形態を示す。
但し、ステップS207(降圧制御手段)における降圧モードの処理内容のみが、図2のフローチャートに示した第1実施形態に対して異なるので、以下では、ステップS207以外の各ステップにおける処理内容の説明を省略し、主にステップS207における処理内容を詳述する。
ステップS203で、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRよりも第1判定閾値SL1以上に高いと判断し、ステップS204で降圧モードフラグを1に設定すると、ステップS207へ進む。
ステップS207では、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRよりも第1判定閾値SL1以上に高いと判断した初回、換言すれば、通常モードから降圧モードに切り替えた時点での燃圧FUPR、即ち、TGFUPR+SL1を燃圧FUPRの初期圧に設定する。
そして、初期圧に対応する駆動デューティDUTY(第2操作量)を0%とし、初期圧から燃圧FUPRが減少するに従って、換言すれば、TGFUPR+SL1よりも燃圧FUPRが低くなるに従って、駆動デューティDUTY(第2操作量)を徐々に増大変化させる。
即ち、燃圧FUPRがTGFUPR+SL1よりも高い、降圧モードの初期段階では、駆動デューティDUTYを0%に保持して降圧開始を待ち、駆動デューティDUTYを0%にして燃料ポンプ12を停止させた効果として降圧が始まると、燃圧FUPRが、TGFUPR+SL1よりも低下するほど駆動デューティDUTYをより高い値に変更する。
駆動デューティDUTYを0%から徐々に増大させれば、燃料ポンプ12が動き出して、吐出流量を増やし、これにより、降圧速度を抑制することになる。従って、燃料ポンプ12の停止状態を保持することで降圧速度が過剰になり、通常モードに移行したときに、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRを下回ってしまうことを抑制でき、通常モードに戻した後の燃圧の収束安定性を向上させることができる。
尚、初期圧に対して与える駆動デューティDUTY(第2操作量)を0%に限定するものではなく、燃料ポンプ12が燃料を吐出しない範囲内の0%よりも高い値としたり、通常モードでの駆動デューティDUTY(第1操作量)を基準とし、該基準値よりも低い値として与えることができる。
また、駆動デューティDUTYの増大速度は、一定とする他、燃圧FUPRが低下するに従ってより速く変化させてもよい。
更に、初期圧に対して与えた駆動デューティDUTY(例えば0%)を、設定時間だけ保持させ、その後、駆動デューティDUTYを増大変化させたり、初期圧に対して与えた駆動デューティDUTY(例えば0%)を保持させている状態で、燃圧FUPRの降下速度が判定速度よりも速くなった時点で、駆動デューティDUTYの増大変化を開始させたりしてもよい。
図5のタイムチャートは、図4のフローチャートに従って駆動デューティDUTYを決定する場合における駆動デューティDUTYの変化を、燃圧FUPRの変化と共に示す。
図5において、時刻t1で、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRよりも第1判定閾値SL1以上に高くなったと判断すると、燃圧FUPRを目標燃圧TGFUPRに近づけるように駆動デューティDUTYを決定する通常モード(フィードバック制御モード)から降圧モード(オープン制御モード)に切り替え、駆動デューティDUTYを、フィードバック制御で決定した駆動デューティDUTY(第1操作量)よりも小さい0%(第2操作量)にまでステップ的に変化させることで、燃料ポンプ12を停止させる。
その後、燃圧FUPRが、燃圧FUPRが目標燃圧TGFUPRよりも第1判定閾値SL1以上に高い状態を維持する間は、駆動デューティDUTYを0%に保持し、時刻t2で目標燃圧TGFUPR+第1判定閾値SL1よりも燃圧FUPRが低くなると、駆動デューティDUTYの増大変化を開始する。
そして、時刻t3において、FUPR−TGFUPR≦SL2が成立したことを検出すると、通常モード(フィードバック制御モード)に復帰し、駆動デューティDUTYを、燃圧FUPRを目標燃圧TGFUPRに近づけるように決定した値(第1操作量)に戻し、燃圧FUPRを目標燃圧TGFUPR付近に収束させるようにする。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術的思想について、以下に効果と共に記載する。
(イ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関の燃料供給制御装置において、
前記第2操作量の少なくとも初期値が、前記燃料ポンプを停止させる操作量である内燃機関の燃料供給制御装置。
上記発明によると、燃料ポンプを停止させる操作量を与えることで、降圧を最大限に促進でき、また、電力消費を効果的に抑制できる。
(ロ)請求項3記載の内燃機関の燃料供給制御装置において、
前記圧力検出手段による検出値が前記目標値よりも第1判定閾値以上に高くなったときに、前記第1操作量から前記第2操作量に変更し、前記圧力検出手段による検出値が前記目標値に第2判定閾値(<第1判定閾値)を加えた圧力以下になったときに、前記第2操作量から前記第1操作量に戻す内燃機関の燃料供給制御装置。
上記発明によると、第1操作量では応答良く圧力を低下させることができない程に圧力が高くなったときに、第1操作量から第2操作量に変更し、圧力が目標値に充分に近づき、第2操作量で目標値付近に応答良く収束させることができるようになってから、第1操作量に戻すことができる。
(ハ)請求項2記載の内燃機関の燃料供給制御装置において、
前記第2操作量を、所定期間だけ初期値に保持した後、前記供給圧力の低下に応じて前記第2操作量を徐々に増大させる内燃機関の燃料供給制御装置。
上記発明によると、第2操作量の初期値による降圧効果を得てから、第2操作量を増大変化させ、降圧速度が過大になることを抑制できる。
1…内燃機関(エンジン)、3…燃料噴射弁、11…燃料タンク、12…燃料ポンプ、14…圧力調整弁(プレッシャレギュレータ)、15…燃料ギャラリー配管、16…燃料供給配管、17…燃料戻し配管、30…FPCM(フューエル・ポンプ・コントロール・モジュール)、31…ECM(エンジン・コントロール・モジュール)、33…燃料圧力センサ(圧力検出手段)

Claims (3)

  1. 内燃機関の燃料噴射弁に燃料を供給する燃料ポンプを駆動する燃料供給制御装置であって、
    前記燃料噴射弁への燃料の供給圧力を検出する圧力検出手段と、
    前記内燃機関の運転状態に基づき、前記供給圧力の目標値を設定する目標設定手段と、
    前記圧力検出手段による検出値と前記目標値とに基づき、前記燃料ポンプに加える第1操作量を演算する圧力制御手段と、
    前記圧力検出手段による検出値が前記目標値よりも所定以上に高くなったときに、前記燃料ポンプに加える操作量を前記第1操作量から前記第1操作量よりも小さい第2操作量に変更する降圧制御手段と、
    を備えた内燃機関の燃料供給制御装置。
  2. 前記降圧制御手段が、前記第2操作量を、前記供給圧力の低下に応じて徐々に増大させる請求項1記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
  3. 前記降圧制御手段が、前記燃料ポンプに加える操作量を前記第1操作量から前記第2操作量に変更した時点から、所定以上に前記供給圧力が低下したときに、前記燃料ポンプに加える操作量を前記第2操作量から第1操作量に戻す請求項1又は2記載の内燃機関の燃料供給制御装置。
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