JP2012066787A - 制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】係合装置の応答遅れによる内燃機関の始動時間の長期化を抑制することが可能な制御装置を実現する。
【解決手段】内燃機関始動条件の成立時に係合装置CSを係合して内燃機関11を始動させる内燃機関始動制御を実行する内燃機関始動制御部46と、係合装置CSが解放状態とされるとともに内燃機関11が停止状態とされた解放停止状態において、出力部材Oに伝達する駆動力を増加させるために内燃機関始動条件が成立する可能性である特定始動可能性を判定する特定始動可能性判定部51と、特定始動可能性判定部51により特定始動可能性があると判定された場合に、液圧により動作する係合装置CSへの供給圧を、解放圧より高く解放側スリップ境界圧より低い圧に設定された解放側スリップ準備圧まで上昇させる始動準備制御を実行する始動準備制御部52と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、内燃機関に駆動連結される入力部材と車輪に駆動連結される出力部材とを結ぶ動力伝達経路上に、入力部材の側から係合装置、回転電機の順に設けられた駆動装置を制御対象とする制御装置に関する。
上記のような制御装置に関する従来技術として、例えば下記の特許文献1に記載された技術がある。この特許文献1には、回転電機(当該特許文献1におけるモータジェネレータMG、以下同様)の出力トルクのみにより車両を走行させる電動走行モード(EVモード)から、係合装置(第1クラッチCL1)を係合して少なくとも内燃機関(エンジンE)の出力トルクにより車両を走行させるパラレル走行モード(エンジン走行モード)へ移行する際に、駆動力が不足するのを改善するための技術が記載されている。
具体的には、特許文献1には、係合装置が解放状態とされるとともに内燃機関が停止状態とされた解放停止状態において内燃機関を始動して、電動走行モードからパラレル走行モードに移行する際に、内燃機関の回転数がトルク制御可能な回転数まで上昇することを待たずに内燃機関を点火して始動することが記載されている(段落0009等参照)。これにより、内燃機関の始動時間を短縮して駆動力不足を改善することが可能とされている。また、内燃機関の始動タイミングをより早期化するため、係合装置の差回転が一定値以上になった場合に係合装置の締結力を増加させることが記載されている(段落0127参照)。なお、特許文献1の構成では目標モードが電動走行モードからパラレル走行モードに切り替わった後に、すなわち、内燃機関始動条件が成立した後に、上記のような制御が行われる(段落0125〜0132参照)。
ところで、一般的に、係合装置には係合圧の指令値に対する応答遅れがあり、実際の係合圧は指令値の変化に対して遅れて追従する。しかしながら、上記特許文献1に記載の構成では、内燃機関始動条件が成立した後に内燃機関の始動のための係合装置に対する制御が開始されるため、内燃機関始動条件が成立してから内燃機関が始動されるまでに要する時間に、係合装置の応答遅れに相当する時間がそのまま待機時間として含まれてしまうおそれがある。
特開2008−189102号公報
そこで、係合装置の応答遅れによる内燃機関の始動時間の長期化を抑制することが可能な制御装置の実現が望まれる。
本発明に係る、内燃機関に駆動連結される入力部材と車輪に駆動連結される出力部材とを結ぶ動力伝達経路上に、前記入力部材の側から係合装置、回転電機の順に設けられた駆動装置を制御対象とする制御装置の特徴構成は、予め定められた内燃機関始動条件の成立時に、前記係合装置を係合して内燃機関を始動させる内燃機関始動制御を実行する内燃機関始動制御部と、前記係合装置が解放状態とされるとともに前記内燃機関が停止状態とされた解放停止状態において、前記出力部材に伝達する駆動力を増加させるために前記内燃機関始動条件が成立する可能性である特定始動可能性を判定する特定始動可能性判定部と、前記特定始動可能性判定部により前記特定始動可能性があると判定された場合に、液圧により動作する前記係合装置への供給圧を、前記係合装置が定常的に解放状態となる圧である解放圧より高く、前記係合装置が解放状態とスリップ係合状態との境界の解放側スリップ境界状態となる圧である解放側スリップ境界圧より低い圧に設定された解放側スリップ準備圧まで上昇させる始動準備制御を実行する始動準備制御部と、を備えた点にある。
なお、「駆動連結」とは、2つの回転要素が駆動力を伝達可能に連結された状態を意味し、当該2つの回転要素が一体的に回転するように連結された状態、或いは当該2つの回転要素が一又は二以上の伝動部材を介して駆動力を伝達可能に連結された状態を含む概念として用いている。このような伝動部材としては、回転を同速で又は変速して伝達する各種の部材が含まれ、例えば、軸、歯車機構、ベルト、チェーン等が含まれる。また、このような伝動部材として、回転及び駆動力を選択的に伝達する係合装置、例えば摩擦クラッチや噛み合い式クラッチ等が含まれていても良い。ここで、「駆動力」は「トルク」と同義で用いている。
また、「回転電機」は、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)、及び必要に応じてモータ及びジェネレータの双方の機能を果たすモータ・ジェネレータのいずれをも含む概念として用いている。
また、「解放状態」は、対象となる係合装置の一方側回転部材と他方側回転部材との間で回転及び駆動力が伝達されない状態を意味し、「スリップ係合状態」は、対象となる係合装置の一方側回転部材と他方側回転部材とが回転速度差を有する状態で係合されている状態を意味する。
この特徴構成によれば、特定始動可能性があると判定されると、係合装置への供給圧が解放側スリップ準備圧まで上昇されるので、その後内燃機関始動条件が成立した場合に、係合装置を係合するのに要する時間を短縮して迅速に内燃機関を始動させることができる。
補足説明すると、係合装置が解放状態とされた状態で内燃機関始動条件が成立すると、内燃機関と回転電機との間で駆動力の授受が行われるように、係合装置への供給圧を解放側スリップ境界圧より大きな圧(以下、この段落において「所定圧」という。)まで上昇させる必要がある。そして、本構成では、係合装置は液圧により動作するものであるため、係合装置には応答遅れが存在する。そのため、内燃機関始動条件の成立時における係合装置への供給圧が零に近いほど、係合装置への供給圧を上記所定圧まで上昇させるのに要する時間が長くなる。この点に関し、上記の特徴構成によれば、特定始動可能性があると判定されると、係合装置への供給圧が解放側スリップ準備圧まで上昇されるので、その後内燃機関始動条件が成立した場合に、係合装置への供給圧を上記所定圧まで迅速に上昇させ、内燃機関と回転電機との間で駆動力の授受が行われる状態を早期に実現することができる。これにより、内燃機関始動条件の成立前に特定始動可能性があると判定されていた場合に、係合装置の応答遅れにより内燃機関の始動時間が長くなるのを抑制することができる。
このように、上記の特徴構成によれば、特定始動可能性があると判定された後に内燃機関始動条件が成立した場合における、係合装置の応答遅れによる内燃機関の始動時間の長期化を抑制することができる。なお、上記の特徴構成によれば、特定始動可能性、すなわち、内燃機関を迅速に始動させることが特に望まれるような状況の発生可能性がある場合に、実際にそのような状況が発生してから内燃機関が始動されるまでの時間の短縮を図ることができるため、運転者の要求する駆動力を応答良く実現することが可能となる。
ここで、前記係合装置が第一係合装置であり、前記駆動装置は、前記動力伝達経路上における前記回転電機と前記出力部材との間に、前記第一係合装置とは別の第二係合装置を備え、前記始動準備制御部は、前記第二係合装置が完全係合状態とされ、前記特定始動可能性判定部により前記特定始動可能性があると判定された場合に、前記始動準備制御として、更に、液圧により動作する前記第二係合装置への供給圧を、前記第二係合装置が定常的に完全係合状態となる圧である完全係合圧より低く、前記第二係合装置が完全係合状態とスリップ係合状態との境界の係合側スリップ境界状態となる圧である係合側スリップ境界圧より高い圧に設定された係合側スリップ準備圧まで低下させる構成とすると好適である。
なお、「完全係合状態」は、対象となる係合装置の一方側回転部材と他方側回転部材とが一体回転する状態で係合されている状態を意味する。
この構成によれば、内燃機関の始動時における初爆トルク等に起因するショックの発生を抑制すべく、内燃機関の始動制御時に第二係合装置をスリップ係合状態とする制御を行う場合に、第二係合装置の応答遅れによる内燃機関の始動時間の長期化を抑制することができる。
また、前記特定始動可能性判定部は、車両が走行する道路の勾配が予め定められた判定閾値以上の上り坂である場合に前記特定始動可能性があると判定し、前記勾配が前記判定閾値未満である場合に前記特定始動可能性がないと判定し、前記始動準備制御部は、前記始動準備制御の実行後に前記特定始動可能性判定部により前記特定始動可能性がないと判定された場合には、前記供給圧を当該始動準備制御の実行前の状態に戻す復帰制御を実行する構成とすると好適である。
この構成によれば、道路の上り勾配が大きい場合には内燃機関の駆動力が必要とされる可能性が高くなることに基づき、特定始動可能性の有無を適切に判定することができる。また、始動準備制御が実行された後に特定始動可能性がないと判定された場合には復帰制御が実行されるため、係合装置を内燃機関の始動の準備のための状態とする必要性が低くなった場合に、係合装置をより安定した状態へと迅速に戻すことができる。
ここで、上記のように、前記特定始動可能性判定部が、前記勾配が前記判定閾値以上の上り坂である場合に前記特定始動可能性があると判定し、前記勾配が前記判定閾値未満である場合に前記特定始動可能性がないと判定する構成において、前記回転電機は、蓄電装置から供給された電力により駆動力を発生するとともに、前記蓄電装置の状態に応じて発生可能な駆動力が異なるように構成され、前記判定閾値が、前記回転電機により発生可能な駆動力が小さくなるに従って小さくなる値に設定されていると好適である。
この構成によれば、蓄電装置から供給可能な電力が少ない場合には、回転電機により発生可能な駆動力が小さくなり、当該駆動力が小さくなるに従って回転電機の駆動力のみでは車両に要求される駆動力が得られない状況が発生する可能性が高くなることに基づき、蓄電装置の状態に応じて特定始動可能性の有無を適切に判定することができる。
本発明の実施形態に係る駆動装置及びその制御装置の概略構成を示す模式図である。 本発明の実施形態に係る始動準備制御及び内燃機関始動制御を行う際の各部の動作状態の一例を示すタイムチャートである。 本発明の実施形態に係る始動準備制御及び内燃機関始動制御を含む全体の処理手順を示すフローチャートである。 本発明の実施形態に係る内燃機関始動制御の処理手順を示すフローチャートである。 本発明のその他の実施形態に係る駆動装置及びその制御装置の概略構成を示す模式図である。 本発明のその他の実施形態に係る駆動装置及びその制御装置の概略構成を示す模式図である。
本発明に係る制御装置の実施形態について、図面を参照して説明する。本実施形態に係る制御装置3は、駆動装置1を制御対象とする駆動装置用制御装置とされている。ここで、本実施形態に係る駆動装置1は、駆動力源として内燃機関11及び回転電機12の双方を備えた車両(ハイブリッド車両)6を駆動するための車両用駆動装置(ハイブリッド車両用駆動装置)である。以下、本実施形態に係る制御装置3について、詳細に説明する。
なお、本明細書では、液圧により動作する各係合装置の係合圧を以下のように定義している。係合装置が定常的に解放状態となる圧を「解放圧」とする。解放圧は、例えば零とされる。また、係合装置が解放状態とスリップ係合状態との境界の解放側スリップ境界状態となる圧を「解放側スリップ境界圧」とする。また、係合装置がスリップ係合状態と完全係合状態との境界の係合側スリップ境界状態となる圧を「係合側スリップ境界圧」とする。そして、係合装置が定常的に完全係合状態となる圧、言い換えれば、係合装置が伝達する駆動力の変動にかかわらず完全係合状態(直結係合状態)となる圧を「完全係合圧」とする。
1.駆動装置の構成
まず、本実施形態に係る制御装置3による制御対象となる駆動装置1の構成について説明する。本実施形態に係る駆動装置1は、いわゆる1モータパラレルタイプのハイブリッド車両用の駆動装置として構成されている。この駆動装置1は、図1に示すように、内燃機関11に駆動連結される入力軸Iと車輪15に駆動連結される出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路上に、入力軸Iの側から、発進クラッチCS、回転電機12、及び変速機構13、の順に備えている。これらは、同軸上に配置されている。なお、変速機構13には後述するように変速用の第一クラッチC1が備えられており、これにより、入力軸Iと出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路上における回転電機12と出力軸Oとの間に、発進クラッチCSとは別の係合装置である第一クラッチC1が設けられている。これらの各構成は、駆動装置ケース(図示せず)内に収容されている。本実施形態においては、入力軸Iが本発明における「入力部材」に相当し、出力軸Oが本発明における「出力部材」に相当する。
内燃機関11は、機関内部における燃料の燃焼により駆動されて動力を取り出す原動機であり、例えば、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の公知の各種エンジンを用いることができる。内燃機関11は入力軸Iと一体回転するように駆動連結されている。本例では、内燃機関11のクランクシャフト等の出力軸が入力軸Iに駆動連結されている。なお、内燃機関11が、ダンパ等の他の装置を介して入力軸Iに駆動連結された構成としても好適である。内燃機関11は、発進クラッチCSを介して回転電機12に駆動連結されている。
発進クラッチCSは、内燃機関11と回転電機12との間に設けられている。発進クラッチCSは、入力軸Iと中間軸Mとを選択的に駆動連結する摩擦係合装置である。発進クラッチCSは液圧により動作するように構成され、本例では作動液として油が用いられる。すなわち、本例では、発進クラッチCSは油圧により動作する。また、本実施形態では、発進クラッチCSは、湿式多板クラッチとして構成されており、その周囲を覆うクラッチハウジング内に油密状態で配置されている。本実施形態においては、発進クラッチCSが本発明における「第一係合装置」に相当する。
回転電機12は、ロータとステータとを有して構成され(図示せず)、電力の供給を受けて動力を発生するモータ(電動機)としての機能と、動力の供給を受けて電力を発生するジェネレータ(発電機)としての機能と、を果たすことが可能とされている。回転電機12のロータは中間軸Mと一体回転するように駆動連結されている。また、回転電機12は、蓄電装置16に電気的に接続されている。具体的には、回転電機12は、インバータ装置(図示せず)を介して蓄電装置16に電気的に接続されている。蓄電装置16は、バッテリやキャパシタ等を用いて構成することができ、本例ではバッテリとされている。回転電機12は、蓄電装置16から電力の供給を受けて力行し、或いは、内燃機関11が出力するトルクや車両6の慣性力により発電した電力を蓄電装置16に供給して蓄電させる。また、回転電機12のロータと一体回転する中間軸Mは、変速機構13に駆動連結されている。すなわち、中間軸Mは、変速機構13の入力軸(変速入力軸)となっている。
変速機構13は、本実施形態では、変速比の異なる複数の変速段を切替可能に有する自動有段変速機構である。変速機構13は、これら複数の変速段を形成するために、一又は二以上の遊星歯車機構等の歯車機構と、この歯車機構の回転要素の係合又は解放を行い、変速段を切り替えるためのクラッチやブレーキ等の複数の摩擦係合装置と、を備えている。ここでは、変速機構13は変速用の複数の摩擦係合装置のうちの1つとして、第一クラッチC1を備えている。
第一クラッチC1は液圧により動作するように構成され、本例では作動液として油が用いられる。すなわち、本例では、第一クラッチC1は油圧により動作する。また、本実施形態では、第一クラッチC1は、湿式多板クラッチとして構成されている。そして、第一クラッチC1は、中間軸Mと変速機構13内に設けられた変速中間軸Sとを選択的に駆動連結するように設けられている。本実施形態においては、第一クラッチC1が本発明における「第二係合装置」に相当する。変速中間軸Sは、変速機構13内の他の摩擦係合装置や軸部材を介して出力軸Oに駆動連結されている。
変速機構13は、複数の摩擦係合要素の係合状態に応じて形成される各変速段についてそれぞれ設定された所定の変速比で、中間軸Mの回転速度を変速するとともにトルクを変換して、出力軸Oへ伝達する。変速機構13から出力軸Oへ伝達されたトルクは、出力用差動歯車装置14を介して左右二つの車輪15に分配されて伝達される。これにより、駆動装置1は、内燃機関11及び回転電機12の一方又は双方のトルクを車輪15に伝達させて車両6を走行させることができる。
また、本実施形態においては、駆動装置1は、中間軸Mに駆動連結されるオイルポンプ(図示せず)を備えている。オイルポンプは、オイルパン(図示せず)に蓄えられた油を吸引し、駆動装置1の各部に油を供給するための油圧源として機能する。オイルポンプは、中間軸Mを介して伝達される回転電機12及び内燃機関11の一方又は双方の駆動力により駆動されて作動し、油を吐出して油圧を発生させる。オイルポンプからの圧油は、油圧制御装置25により所定油圧に調整されてから、発進クラッチCSや変速機構13内に備えられる第一クラッチC1等に供給される。なお、このオイルポンプとは別に、電動オイルポンプを備えた構成としても良い。
また、図1に示すように、駆動装置1が搭載された車両6の各部には、複数のセンサ、具体的には、入力軸回転速度センサSe1、中間軸回転速度センサSe2、出力軸回転速度センサSe3、アクセル開度センサSe4、蓄電状態センサSe5、及び勾配センサSe6が備えられている。
入力軸回転速度センサSe1は、入力軸Iの回転速度を検出するセンサである。入力軸回転速度センサSe1により検出される入力軸Iの回転速度は、内燃機関11の回転速度に等しい。中間軸回転速度センサSe2は、中間軸Mの回転速度を検出するセンサである。中間軸回転速度センサSe2により検出される中間軸Mの回転速度は、回転電機12の回転速度に等しいため、回転電機12の回転センサを中間軸回転速度センサSe2として用いることができる。出力軸回転速度センサSe3は、出力軸Oの回転速度を検出するセンサである。本例では、出力軸回転速度センサSe3により検出される出力軸Oの回転速度に基づき、制御装置3が車速を導出する。アクセル開度センサSe4は、アクセルペダル17の操作量を検出することによりアクセル開度を検出するセンサである。
蓄電状態センサSe5は、蓄電装置16の状態(本例では、温度及び蓄電量)を検出するセンサである。本実施形態では、蓄電状態センサSe5は、電圧センサや電流センサ等を含み、バッテリのSOC(state of charge:充電状態)を検出することにより蓄電量を検出する。また、蓄電状態センサSe5は、温度センサを含み、蓄電装置16の温度を検出する。
勾配センサSe6は、車両6が走行する道路(路面)の勾配を検出するセンサであり、車両6の前後方向の水平面に対する傾斜角を検出することにより路面の勾配を検出する。勾配センサSe6は、例えば、振子部材を備えた傾斜センサにより構成される。これらの各センサSe1〜Se6による検出結果を示す情報は、次に説明する制御装置3へ出力される。
2.制御装置の構成
次に、本実施形態に係る制御装置3の構成について説明する。図1に示すように、本実施形態に係る制御装置3は、主に内燃機関11を制御するための内燃機関制御ユニット30と、主に回転電機12、発進クラッチCS、及び変速機構13を制御するための駆動装置制御ユニット40と、を備えている。内燃機関制御ユニット30及び駆動装置制御ユニット40は、駆動装置1の各部の動作制御を行う中核部材としての機能を果たしている。
これらの内燃機関制御ユニット30及び駆動装置制御ユニット40は、それぞれCPU等の演算処理装置を中核部材として備えるとともに、RAMやROM等の記憶装置等を有して構成されている(図示せず)。そして、ROM等に記憶されたソフトウェア(プログラム)又は別途設けられた演算回路等のハードウェア、或いはそれらの両方により、内燃機関制御ユニット30及び駆動装置制御ユニット40の各機能部が構成されている。これらの各機能部は、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。更に、内燃機関制御ユニット30と駆動装置制御ユニット40との間でも、互いに情報の受け渡しを行うことができるように構成されている。
そして、制御装置3を構成する内燃機関制御ユニット30及び駆動装置制御ユニット40は、上述した各センサSe1〜Se6、具体的には、入力軸回転速度センサSe1、中間軸回転速度センサSe2、出力軸回転速度センサSe3、アクセル開度センサSe4、蓄電状態センサSe5、及び勾配センサSe6の検出結果の情報を取得可能に構成されている。
内燃機関制御ユニット30は、内燃機関制御部31を備えている。内燃機関制御部31は、内燃機関11の動作制御を行う機能部である。内燃機関制御部31は、内燃機関11の出力トルク(内燃機関トルクTe)及び回転速度の制御目標を決定し、この制御目標に応じて内燃機関11を動作させることにより、内燃機関11の動作制御を行う。本実施形態では、内燃機関制御部31は、後述する要求トルク決定部42により決定される車両要求トルクのうち、内燃機関11による負担分である内燃機関要求トルクを決定する。そして、内燃機関制御部31は、決定された内燃機関要求トルクに基づいて内燃機関トルクTeを制御する。
駆動装置制御ユニット40は、走行モード決定部41、要求トルク決定部42、回転電機制御部43、発進クラッチ動作制御部44、変速機構動作制御部45、内燃機関始動制御部46、特定始動可能性判定部51、及び始動準備制御部52を備えている。
走行モード決定部41は、車両6の走行モードを決定する機能部である。走行モード決定部41は、例えば、出力軸回転速度センサSe3の検出結果に基づき導出される車速と、アクセル開度センサSe4により検出されるアクセル開度と、蓄電状態センサSe5により検出される蓄電量等に基づいて、駆動装置1が実現すべき走行モードを決定する。その際、走行モード決定部41は、メモリ等の記録装置に記憶して備えられた、車速、アクセル開度及びバッテリ充電量と走行モードとの関係を規定したモード選択マップ(図示せず)を参照する。
本例では、走行モード決定部41が決定可能な走行モードには、電動走行モードとパラレル走行モードとが含まれる。電動走行モードでは、発進クラッチCSが解放状態とされ、回転電機12の出力トルク(回転電機トルクTm)のみにより車両6を走行させる。電動走行モードは、例えば車両6の発進時に選択される。パラレル走行モードでは、発進クラッチCSが完全係合状態とされ、少なくとも内燃機関トルクTeにより車両6を走行させる。その際、回転電機12は、必要に応じて正の回転電機トルクTm(>0)を出力して内燃機関トルクTeによる駆動力を補助し、或いは負の回転電機トルクTm(<0)を出力して内燃機関トルクTeの一部によって発電する。なお、ここで説明したモードは一例であり、これら以外の各種モードを備える構成を採用することも可能である。
要求トルク決定部42は、車両6を走行させるために必要とされる車両要求トルクを決定する機能部である。要求トルク決定部42は、出力軸回転速度センサSe3の検出結果に基づき導出される車速と、アクセル開度センサSe4により検出されるアクセル開度とに基づいて、所定のマップ(図示せず)を参照する等して車両要求トルクを決定する。要求トルク決定部42により決定された車両要求トルクは、内燃機関制御部31及び回転電機制御部43に出力される。
回転電機制御部43は、回転電機12の動作制御を行う機能部である。回転電機制御部43は、回転電機トルクTm及び回転速度の制御目標を決定し、この制御目標に応じて回転電機12を動作させることにより、回転電機12の動作制御を行う。本実施形態では、回転電機制御部43は、要求トルク決定部42により決定される車両要求トルクのうち、回転電機12による負担分である回転電機要求トルクを決定する。そして、回転電機制御部43は、決定された回転電機要求トルクに基づいて回転電機トルクTmを制御する。なお、内燃機関制御部31と回転電機制御部43とが協働することにより、内燃機関トルクTeと回転電機トルクTmとの合計が車両要求トルクに等しくなるように、内燃機関11及び回転電機12の動作が制御される。
ところで、回転電機12は、上記のように蓄電装置16から供給された電力により駆動力を発生する。そして、蓄電装置16が回転電機12に供給可能な電力は、蓄電装置16の状態に応じて変化し、蓄電装置16の温度が適正温度域から外れている状態や蓄電量が少ない状態では、当該供給可能な電力は低くなる。このような状態で無理に回転電機12に電力を供給すると、蓄電装置16の性能を低下させてしまうおそれがある。よって、回転電機制御部43は、蓄電装置16の状態に応じて、決定する回転電機要求トルクに上限を課すように構成されている。その上限値は、蓄電装置16の温度に応じて、蓄電装置16の温度が適正温度域内であれば高く、蓄電装置16の温度が適正温度域から低温側或いは高温側に外れていれば低く設定され、また、蓄電装置16の蓄電量が低下するに従って低い値に設定される。このように、蓄電装置16の状態に応じて回転電機12が発生可能な駆動力は異なり、当該発生可能な駆動力は、蓄電装置16の温度が適正温度域から外れると低下するとともに、蓄電装置16の蓄電量が低下するに従って低下する。
発進クラッチ動作制御部44は、発進クラッチCSの動作を制御する機能部であり、第一係合装置動作制御部として機能する。ここで、発進クラッチ動作制御部44は、発進クラッチCSに対する油圧指令値Pcsを生成し、発進クラッチCSに供給される油圧が油圧指令値Pcsとなるように、油圧制御装置25を制御する。例えば、発進クラッチ動作制御部44は、発進クラッチCSへの供給圧を解放側スリップ境界圧未満の圧(例えば解放圧)とすることにより、発進クラッチCSを解放状態とする。また、発進クラッチ動作制御部44は、発進クラッチCSへの供給圧を係合側スリップ境界圧より大きい圧(例えば完全係合圧)とすることにより、発進クラッチCSを完全係合状態とする。
また、発進クラッチ動作制御部44は、発進クラッチCSへの供給圧を解放側スリップ境界圧より大きくかつ係合側スリップ境界圧未満の圧とすることにより、発進クラッチCSをスリップ係合状態とする。発進クラッチCSのスリップ係合状態では、入力軸Iと中間軸Mとが相対回転する状態で、これらの間で駆動力が伝達される。なお、発進クラッチCSの完全係合状態又はスリップ係合状態で伝達可能なトルクの大きさは、発進クラッチCSのその時点での係合圧に応じて決まる。このときのトルクの大きさを、発進クラッチCSの伝達トルク容量とする。本実施形態では、発進クラッチCSに対する油圧指令値Pcsに応じて、比例ソレノイド等で発進クラッチCSへの供給油量及び供給圧の大きさを連続的に制御することにより、発進クラッチCSの伝達トルク容量の増減が連続的に制御可能となっている。なお、発進クラッチCSのスリップ係合状態で伝達されるトルクの向きは、入力軸Iと中間軸Mとの間の相対回転の向きに応じて決まる。
変速機構動作制御部45は、変速機構13の動作を制御する機能部である。変速機構動作制御部45は、アクセル開度及び車速に基づいて目標変速段を決定すると共に、変速機構13に対して決定された目標変速段を形成させる制御を行う。その際、変速機構動作制御部45は、メモリ等の記録装置に記憶して備えられた、車速及びアクセル開度と目標変速段との関係を規定した変速マップ(図示せず)を参照する。変速マップは、アクセル開度及び車速に基づくシフトスケジュールを設定したマップである。変速機構動作制御部45は、決定された目標変速段に基づいて、変速機構13内に備えられた摩擦係合装置への供給圧を制御して目標変速段を形成する。
上記のとおり、変速機構13には変速用の第一クラッチC1が備えられている。この第一クラッチC1は、例えば完全係合状態でワンウェイクラッチと協働して第1速段を形成する。この第一クラッチC1も、当然に変速機構動作制御部45の制御対象に含まれる。よって、変速機構動作制御部45は、第一クラッチ動作制御部(第二係合装置動作制御部)として機能する。ここでは、変速機構動作制御部45の中の第一クラッチC1の動作を制御する機能部を、特に第一クラッチ動作制御部45aとする。第一クラッチ動作制御部45aは、第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1を生成し、第一クラッチC1に供給される油圧が油圧指令値Pc1となるように、油圧制御装置25を制御する。例えば、第一クラッチ動作制御部45aは、第一クラッチC1への供給圧を解放側スリップ境界圧未満の圧(例えば解放圧)とすることにより、第一クラッチC1を解放状態とする。また、第一クラッチ動作制御部45aは、第一クラッチC1への供給圧を係合側スリップ境界圧より大きい圧(例えば完全係合圧)とすることにより、第一クラッチC1を完全係合状態とする。
また、第一クラッチ動作制御部45aは、第一クラッチC1への供給圧を解放側スリップ境界圧より大きくかつ係合側スリップ境界圧未満の圧とすることにより、第一クラッチC1をスリップ係合状態とする。第一クラッチC1のスリップ係合状態では、中間軸Mと変速中間軸Sとが相対回転する状態で、これらの間で駆動力が伝達される。なお、第一クラッチC1の完全係合状態又はスリップ係合状態で伝達可能なトルクの大きさは、第一クラッチC1のその時点での係合圧に応じて決まる。このときのトルクの大きさを、第一クラッチC1の伝達トルク容量とする。本実施形態では、第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1に応じて、比例ソレノイド等で第一クラッチC1への供給油量及び供給圧の大きさを連続的に制御することにより、第一クラッチC1の伝達トルク容量の増減が連続的に制御可能となっている。なお、第一クラッチC1のスリップ係合状態で伝達されるトルクの向きは、中間軸Mと変速中間軸Sとの間の相対回転の向きに応じて決まる。
内燃機関始動制御部46は、予め定められた内燃機関始動条件の成立時に、発進クラッチCSを係合して内燃機関11を始動させる内燃機関始動制御を実行する機能部である。この内燃機関始動制御では、回転電機12のトルク(回転電機トルクTm)により内燃機関11が始動される。なお、内燃機関始動制御は、内燃機関始動制御部46を中核として制御装置3内の他の機能部と協同で実行される。内燃機関始動制御の具体的内容については、後に第3節で説明する。
ここで、内燃機関始動条件は、停止状態の内燃機関11を始動させるための条件であり、車両6が内燃機関11の駆動力を必要とする状況となった場合に成立する。例えば、電動走行モードでの走行中に車両要求トルクに対して回転電機トルクTmが不足するため、回転電機トルクTmよりも大きなトルクを出力可能な内燃機関11を始動させてパラレル走行モードとする決定が走行モード決定部41により行われた場合に、内燃機関始動条件が成立する。また、蓄電装置16の蓄電量(バッテリの充電量)が予め定められた閾値以下にまで減少したため、内燃機関11を始動させてその駆動力により回転電機12に発電させて蓄電装置16を充電する決定が行われた場合にも、内燃機関始動条件が成立する。
特定始動可能性判定部51は、発進クラッチCSが解放状態とされるとともに内燃機関11が停止状態とされた状態(以下、単に「解放停止状態」という。)において、出力軸Oに伝達する駆動力を増加させるために(例えば車両6の加速のために)内燃機関始動条件が成立する可能性である特定始動可能性を判定する機能部である。特定始動可能性判定部51は、予め定められたタイミングで特定始動可能性の判定を実行するように構成されている。ここで、予め定められたタイミングは、例えば、所定の周期毎に繰り返し設定されたタイミングとすることができる。なお、特定始動可能性判定部51による判定は、本例では、車両6が電動走行モードで走行中の場合にのみ実行される。
本実施形態では、特定始動可能性判定部51は、車両6が走行する道路の勾配が予め定められた判定閾値(正数)以上の上り坂である場合に特定始動可能性があると判定し、勾配が判定閾値未満である場合に特定始動可能性がないと判定する。ここで、勾配は、上り坂を正、下り坂を負として定義している。なお、上記のように、車両6には勾配センサSe6が備えられており、特定始動可能性判定部51は、勾配センサSe6の検出結果に基づき判定を行う。
また、本実施形態では、特定始動可能性判定部51による特定始動可能性の有無の判定に用いられる上記の判定閾値が、回転電機12により発生可能な駆動力が小さくなるに従って小さくなる値に設定されている。上記のように、回転電機12が発生可能な駆動力は、蓄電装置16の温度が適正温度域から外れると低下し、また蓄電装置16の蓄電量が低下するに従って低下する。特定始動可能性判定部51は、蓄電状態センサSe5が検出した蓄電状態(本例では、温度及び蓄電量)に基づき、当該蓄電状態に対応する判定閾値を導出する。本実施形態では、特定始動可能性判定部51は、蓄電状態と判定閾値との関係を規定したマップ(図示せず)を参照して蓄電状態に対応する判定閾値を取得するように構成されている。当該マップには、判定閾値が、蓄電装置16の温度が適正温度域から外れると小さくなるとともに、蓄電装置16の蓄電量が小さくなるに従って小さくなるように規定されている。なお、特定始動可能性判定部51が、蓄電装置16の温度や蓄電量を変数とする所定の演算式に基づき、蓄電装置16の温度や蓄電量から判定閾値を算出して導出する構成とすることもできる。
始動準備制御部52は、特定始動可能性判定部51により特定始動可能性があると判定された場合に始動準備制御を実行する機能部である。始動準備制御は、特定始動可能性があると判定された後に内燃機関始動条件が成立した場合に、内燃機関11を迅速に始動させることを可能とするための制御である。なお、始動準備制御は、始動準備制御部52を中核として制御装置3内の他の機能部と協同で実行される。
具体的には、始動準備制御部52は、特定始動可能性判定部51により特定始動可能性があると判定された場合に、始動準備制御として、発進クラッチCSへの供給圧を、解放圧より高く解放側スリップ境界圧より低い所定の準備圧(以下、「解放側スリップ準備圧P1」という。)まで上昇させる。また、始動準備制御部52は、第一クラッチC1が完全係合状態とされ、特定始動可能性判定部51により特定始動可能性があると判定された場合に、始動準備制御として、第一クラッチC1への供給圧を、完全係合圧より低く係合側スリップ境界圧より高い所定の準備圧(以下、「係合側スリップ準備圧P2」という。)まで低下させる。
なお、始動準備制御部52は、始動準備制御の実行後に特定始動可能性判定部51により特定始動可能性がないと判定された場合には、発進クラッチCS及び第一クラッチC1への供給圧を当該始動準備制御の実行前の状態に戻す復帰制御を実行する。
3.始動準備制御及び内燃機関始動制御の内容
本実施形態に係る始動準備制御及び内燃機関始動制御の具体的内容について、図2を参照して説明する。図2は、電動走行モードからパラレル走行モードに走行モードが切り替えられる際のタイムチャートの一例を示す図である。すなわち、図2は、解放停止状態から始動準備制御及び内燃機関始動制御が順に実行され、回転電機トルクTmの一部を車輪15に伝達しながら、回転電機トルクTmの他の一部により内燃機関11を始動させる際のタイムチャートの一例を示す図である。なお、図2では、時刻T01において特定始動可能性判定部51により特定始動可能性があると判定され、時刻T01より後の時刻である時刻T02において内燃機関始動条件が成立する場合を想定している。
時刻T01までは、発進クラッチCSに対する油圧指令値Pcsは解放圧(本例では零)とされており、発進クラッチCSは解放状態にある。また、時刻T01までは第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1は完全係合圧P0とされており、第一クラッチC1は完全係合状態にある。なお、回転電機12の制御はトルク制御とされており、回転電機12は基本的には車両要求トルクに応じた回転電機トルクTmを出力している。
時刻T01で特定始動可能性判定部51により特定始動可能性があると判定されると、始動準備制御部52を中核として始動準備制御が実行される。すなわち、始動準備制御は、特定始動可能性ありとの判定をトリガーとして開始される。具体的には、発進クラッチ動作制御部44は、発進クラッチCSに対する油圧指令値Pcsを、解放圧から解放側スリップ準備圧P1まで上昇させ、発進クラッチCSへの供給圧を、解放圧から解放側スリップ準備圧P1まで上昇させる。
本例では、発進クラッチ動作制御部44は、発進クラッチCSに対する油圧指令値Pcsを、いわゆるガタ詰めのための予備充填(シリンダ内の油の予備充填)を行うために解放側スリップ準備圧P1より高い圧まで瞬時に(すなわちステップ的に)上昇させ、所定時間の経過後、当該圧から解放側スリップ準備圧P1まで瞬時に(すなわちステップ的に)低下させる。これにより、発進クラッチCSに対する油圧指令値Pcsが、解放圧から解放側スリップ準備圧P1まで上昇する。
なお、解放側スリップ準備圧P1は、解放側スリップ境界圧に近い圧とするほど、内燃機関11の始動時間の短縮の観点から好適である。本実施形態では、解放側スリップ準備圧P1は、発進クラッチCSがスリップ係合を開始する直前の係合直前状態となる圧、すなわち、駆動力の伝達が開始される直前の状態が維持される圧である係合直前圧(ストロークエンド圧)に設定される。なお、係合直前状態では、発進クラッチCSが有するピストンのストロークが終了しており、当該ピストンの両側に作用する力が釣り合った状態となる。
また、第一クラッチ動作制御部45aは、第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1を、完全係合圧P0から係合側スリップ準備圧P2まで低下させる。これにより、第一クラッチC1への供給圧が、完全係合圧P0から係合側スリップ準備圧P2まで低下する。本例では、第一クラッチ動作制御部45aは、第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1を、係合側スリップ準備圧P2より大きな所定圧までは瞬時に(すなわちステップ的に)低下させ、その後当該所定圧から係合側スリップ準備圧P2まで一定の時間変化率で低下させる。本実施形態では、係合側スリップ準備圧P2は、第一クラッチC1の伝達トルク容量がその時点での回転電機トルクTmと等しくなる値よりも所定圧だけ高い圧に設定される。なお、係合側スリップ準備圧P2が係合側スリップ境界圧に近い程、内燃機関11の始動時間の短縮を図ることができる。
時刻T02で内燃機関始動条件が成立すると、内燃機関始動制御部46を中核として内燃機関始動制御が実行される。すなわち、内燃機関始動制御は、予め定められた内燃機関始動条件の成立をトリガーとして開始される。具体的には、第一クラッチ動作制御部45aは、第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1を現時点での油圧指令値(本例では係合側スリップ準備圧P2)から一定の時間変化率で低下させる。これにより、第一クラッチC1への供給圧が徐々に低下する。そして、しばらくすると第一クラッチC1はスリップし始め、第一クラッチC1はスリップ係合状態となる。なお、第一クラッチC1のスリップ係合状態は、当該第一クラッチC1の一方側回転部材である中間軸Mの回転速度と他方側回転部材である変速中間軸Sの回転速度(車速と変速機構13における変速比とに基づいて導出される)との差が、所定のスリップ判定閾値NA(例えば10〜50rpm)以上となったことにより判定することができる。図2に示す例では、時刻T03において第一クラッチC1がスリップ係合状態にあると判定される。
そして、時刻T03において第一クラッチC1がスリップ係合状態にあると判定されると、第一クラッチ動作制御部45aは、第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1をその時点における値に固定する。すなわち、第一クラッチC1への供給圧が、時刻T03における値に固定され、第一クラッチC1の伝達トルク容量がその時点の容量に固定される。なお、時刻T05まで第一クラッチC1の伝達トルク容量は上記容量に維持されるため、内燃機関11及び回転電機12側から第一クラッチC1を介して出力軸Oに伝達されるトルクの大きさが一定に維持される。なお、第一クラッチC1がスリップ係合状態とされた後に(すなわち、時刻T03以降に)車両要求トルクが変更された場合には、第一クラッチC1への伝達トルク容量(係合圧)を、当該車両要求トルクの増減に合わせて増減させる構成としても好適である。
また、第一クラッチC1がスリップ係合状態となると、回転電機12の制御を回転速度制御とする。回転電機12の回転速度制御では、第一クラッチC1の両側の中間軸Mと変速中間軸Sとの間に所定の回転速度差ΔNt(例えば、50〜200rpm)が生じるように回転電機12の回転速度が制御される。すなわち、回転電機12の回転速度の目標値を、第一クラッチC1の出力側部材である変速中間軸Sの回転速度に所定の回転速度差ΔNtを加算した値に設定する。なお、回転電機12のトルクの目標値は、回転速度を当該回転速度の目標値とするように自動的に設定される。
また、第一クラッチC1がスリップ係合状態にあると判定されると(時刻T03)、発進クラッチ動作制御部44は、発進クラッチCSに対する油圧指令値Pcsを現時点での油圧指令値(本例では解放側スリップ準備圧P1)から所定圧まで上昇させる。これにより、発進クラッチCSへの供給圧が当該所定圧まで上昇する。なお、図2に示す例では、発進クラッチ動作制御部44は、発進クラッチCSに対する油圧指令値Pcsを解放側スリップ準備圧P1から所定圧まで瞬時に(すなわちステップ的に)上昇させる。この所定圧は、発進クラッチCSの伝達トルク容量が、内燃機関11の被駆動トルクの大きさ以上となる圧に設定される。すなわち、発進クラッチCSの伝達トルク容量は、内燃機関11の被駆動トルク以上の容量に固定される。ここで、内燃機関11の「被駆動トルク」とは、当該内燃機関11の出力軸(クランクシャフト)を回転駆動(クランキング)するために外部から供給する必要があるトルクである。
内燃機関11の回転速度は、発進クラッチCSを介して発進クラッチCSの伝達トルク容量を上限として回転電機12側から伝達されるトルクにより上昇する。内燃機関11の回転速度が上昇してやがて点火可能回転速度に達すると、内燃機関始動制御部46は、内燃機関11の燃焼室への燃料噴射を開始すると共にその燃焼室内に噴射された燃料に対して点火し、内燃機関11を始動させる。その後、内燃機関11は自立運転することになる。
内燃機関11の回転速度が更に上昇してその回転速度が回転電機12の回転速度と同期すると(時刻T04)、発進クラッチ動作制御部44は発進クラッチCSに対する油圧指令値Pcsを上記所定圧から完全係合圧まで瞬時に(すなわちステップ的に)上昇させる。これにより、発進クラッチCSへの供給圧が完全係合圧まで上昇し、発進クラッチCSは完全係合状態となる。なお、内燃機関11と回転電機12との同期は、内燃機関11(入力軸I)の回転速度と回転電機12(中間軸M)の回転速度との差が所定の閾値(例えば、10rpm〜50rpm)以下となったことにより判定することができる。
なお、内燃機関11と回転電機12との同期後、内燃機関11の出力トルク(内燃機関トルクTe)により内燃機関11及び回転電機12の回転速度が一時的に急上昇しているが、その後回転電機12の回転速度制御において、第一クラッチC1の両側の中間軸Mと変速中間軸Sとの間の回転速度差の目標値をゼロに設定することにより、中間軸Mの回転速度と変速中間軸Sの回転速度との差はゼロに向かって収束する。なお、回転電機12のトルクの目標値は、中間軸Mの回転速度と変速中間軸Sの回転速度との差をゼロとするように自動的に設定される。
そして、時刻T05において中間軸Mの回転速度と変速中間軸Sの回転速度との差が所定の同期判定閾値ND(例えば、30rpm〜100rpm)以下となると、第一クラッチ動作制御部45aは、第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1を時刻T03において固定された値から一定の時間変化率で上昇させる。これにより、第一クラッチC1への供給圧が徐々に上昇する。この処理は所定時間(例えば100〜400ms)だけ継続して行われ、その後時刻T06において、第一クラッチ動作制御部45aは、第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1を完全係合圧まで瞬時に(すなわちステップ的に)上昇させる。これにより、第一クラッチC1への供給圧が完全係合圧まで上昇し、第一クラッチC1は完全係合状態となる。なお、本例では、回転電機12の制御は、時刻T05において、回転速度制御からトルク制御に切り替えられる。
本実施形態では、このように始動準備制御及び内燃機関始動制御を順に実行することで、内燃機関始動条件が成立した際に発進クラッチCSへの供給圧の上昇に要する時間を短縮できるので、走行モードが電動走行モードからパラレル走行モードに切り替わるまでの時間(時刻T02から時刻T06までの時間)を短く抑えることが可能となっている。例えば、車両6が上記判定閾値以上の勾配の上り坂に進入し、運転者が車両6の減速を抑制するため(例えば、車速を維持するためや加速のため等)にアクセルペダル17を強く踏み込んだ場合に、内燃機関11を迅速に始動させ、運転者の要求する駆動力を応答良く実現することが可能となっている。
また、本実施形態では、上記のように第一クラッチC1のスリップ係合状態で内燃機関始動制御を実行することで、内燃機関11の始動時における中間軸Mの回転速度変化の影響を受けることなく、第一クラッチC1を介したトルク伝達の向きを一定の向き(ここでは、中間軸M側から出力軸O側へ向かう向き)に維持することができる。また、第一クラッチC1を介して出力軸O側に伝達されるトルクの大きさを、第一クラッチC1の伝達トルク容量に応じた大きさに維持することができる。これにより、内燃機関11の初爆トルク等に起因する出力軸Oのトルク変動を抑制してショックの発生を抑制することが可能となっている。
ところで、上述したように、始動準備制御の実行後に特定始動可能性判定部51により特定始動可能性がないと判定された場合には、発進クラッチCSや第一クラッチC1への供給圧を当該始動準備制御の実行前の状態に戻す復帰制御を実行する。図示は省略するが、図2に示す例では、始動準備制御の実行前の状態において発進クラッチCSへの供給圧は解放圧であるため、発進クラッチ動作制御部44は、復帰制御として、発進クラッチCSに対する油圧指令値Pcsを解放側スリップ準備圧P1から解放圧まで低下させ、発進クラッチCSへの供給圧を解放側スリップ準備圧P1から解放圧まで低下させる。また、図2に示す例では、始動準備制御の実行前の状態において第一クラッチC1への供給圧は完全係合圧P0であるため、第一クラッチ動作制御部45aは、復帰制御として、第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1を係合側スリップ準備圧P2から完全係合圧P0まで上昇させ、第一クラッチC1への供給圧を係合側スリップ準備圧P2から完全係合圧P0まで上昇させる。
4.始動準備制御及び内燃機関始動制御の処理手順
次に、本実施形態に係る始動準備処理及び内燃機関始動制御の処理手順について、図3及び図4のフローチャートを参照して説明する。図3は、始動準備制御及び内燃機関始動制御を含む全体の処理手順を示すフローチャートであり、図4は、図3のステップ#06における内燃機関始動制御の処理手順を示すフローチャートである。以下に説明する各処理手順は、制御装置3の各機能部により実行される。各機能部がプログラムにより構成される場合には、制御装置3が備える演算処理装置が、上記の各機能部を構成するプログラムを実行するコンピュータとして動作する。
図3に示すように、電動走行モードでの走行中に(ステップ#01:Yes)、特定始動可能性があると判定されると(ステップ#02:Yes)、始動準備制御が実行される。具体的には、始動準備制御として、発進クラッチ動作制御部44が発進クラッチCSに対する油圧指令値Pcsを解放側スリップ準備圧P1とするとともに(ステップ#03)、第一クラッチ動作制御部45aが第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1を係合側スリップ準備圧P2とする(ステップ#04)。本例では、上記のように、発進クラッチCSに対する油圧指令値Pcsは、いわゆるガタ詰めのための予備充填(シリンダ内の油の予備充填)を行うために所定時間だけ解放側スリップ準備圧P1より高圧にされた後、解放側スリップ準備圧P1に固定される。なお、ステップ#03とステップ#04とは同時に並行して実行する構成とすることができ、また、ステップ#03とステップ#04との内の一方の実行後に他方を実行する構成とすることもできる。
始動準備制御の実行後に、内燃機関始動条件が成立したか否かが判定される(ステップ#05)。そして、内燃機関始動条件が成立した場合(ステップ#05:Yes)、内燃機関始動制御が実行される(ステップ#06)。なお、内燃機関始動制御の詳細については、後に説明する。一方、内燃機関始動条件が成立しない場合には(ステップ#05:No)、特定始動可能性がないと判定されたか否かが判定される(ステップ#07)。ここで、特定始動可能性がないと判定されていない場合(ステップ#07:No)、すなわち、特定始動可能性の有無の判定がなされていない場合や、特定始動可能性の有無の判定がなされ、特定始動可能性が依然としてあると判定された場合には、処理はステップ#05に戻される。
一方、ステップ#07の判定で特定始動可能性がないと判定された場合(ステップ#07:Yes)、復帰制御が実行される。具体的には、復帰制御として、発進クラッチCSに対する油圧指令値Pcsを解放圧とするとともに(ステップ#08)、第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1を完全係合圧P0とする(ステップ#09)。なお、ステップ#08とステップ#09とは同時に並行して実行する構成とすることができ、また、ステップ#08とステップ#09との内の一方の実行後に他方を実行する構成とすることもできる。
次に、ステップ#06の内燃機関始動制御について、図4を参照して説明する。内燃機関始動制御が開始されると、第一クラッチ動作制御部45aは、第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1を一定の時間変化率で低下(スイープダウン)させる(ステップ#11)。このスイープダウンは、第一クラッチC1がスリップ係合状態にあると判定(ステップ#12:Yes)されるまで継続して実行される。本例では、上述したように、中間軸Mの回転速度と変速中間軸Sの回転速度の差が所定のスリップ判定閾値NA以上であると、第一クラッチC1がスリップ係合状態にあると判定される。
第一クラッチC1がスリップ係合状態にあると判定されると(ステップ#12:Yes)、第一クラッチ動作制御部45aは、第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1をその時点における値に固定する(ステップ#13)。また、発進クラッチ動作制御部44は、発進クラッチCSに対する油圧指令値Pcsを、当該発進クラッチCSの伝達トルク容量が内燃機関11の被駆動トルク以上の容量となる値に設定する。なお、回転電機12の制御は回転速度制御とされ、中間軸Mと変速中間軸Sとの間に所定の回転速度差ΔNtが生じるように回転電機12の回転速度が制御される。
そして、発進クラッチCSを介して伝達される回転電機トルクTmの一部により内燃機関11の回転速度が上昇し、内燃機関11の回転速度と回転電機12の回転速度とが同期すると(ステップ#15:Yes)、発進クラッチ動作制御部44は、発進クラッチCSに対する油圧指令値Pcsを完全係合圧とする(ステップ#16)。その後、回転電機12の回転速度制御により中間軸Mの回転速度と変速中間軸Sの回転速度との差はゼロに向かって収束し、中間軸Mの回転速度と変速中間軸Sの回転速度との差が所定の同期判定閾値ND以下となると、第一クラッチ動作制御部45aは、第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1を一定の時間変化率で上昇(スイープアップ)させる(ステップ#18)。このスイープアップは、所定時間が経過していない間(ステップ#19:No)は継続して実行される。そして、所定時間が経過すると(ステップ#19:Yes)、第一クラッチ動作制御部45aは、第一クラッチC1に対する油圧指令値Pc1を完全係合圧P0とする(ステップ#20)。以上で、内燃機関始動制御の処理が終了する。
5.その他の実施形態
最後に、本発明に係るその他の実施形態を説明する。なお、以下の各々の実施形態で開示される特徴は、その実施形態でのみ利用できるものではなく、矛盾が生じない限り、別の実施形態にも適用可能である。
(1)上記の実施形態では、始動準備制御部52が、第一クラッチC1が完全係合状態とされ、特定始動可能性判定部51により特定始動可能性があると判定された場合に、始動準備制御として、第一クラッチC1への供給圧を係合側スリップ準備圧P2まで低下させる構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、内燃機関始動条件の成立後に、第一クラッチC1への供給圧の低下を開始する構成とすることもできる。
(2)上記の実施形態では、第一クラッチC1のスリップ係合状態で内燃機関始動制御を実行する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、第一クラッチC1を完全係合状態としたまま内燃機関を始動させる構成とすることも可能である。
(3)上記の実施形態では、特定始動可能性判定部51による特定始動可能性の有無の判定に用いられる勾配の判定閾値が、回転電機12により発生可能な駆動力が小さくなるに従って小さくなる値に設定されている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、上記判定閾値が、回転電機12により発生可能な駆動力の大きさによらず一定値に設定されている構成とすることも可能である。また、運転者が車両6の運転モード(例えば、エコモード、スポーツモード等)を選択可能とされ、上記判定閾値が、運転モードに応じて異なる値に設定される構成とすることも可能である。例えば、運転者がスポーツモードのような駆動力の応答性が高い運転モードを選択した場合に、上記判定閾値が小さく設定される構成とすることができる。
(4)上記の実施形態では、車両6が勾配Se6センサを備え、特定始動可能性判定部51が、勾配センサSe6の検出結果に基づき特定始動可能性の有無の判定を行う構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、車両6が加速度センサを備え、特定始動可能性判定部51が、加速度センサにて検出された加速度と回転電機12の出力トルク(回転電機トルクTm)との関係から導出される道路の勾配に基づき、特定始動可能性の有無を判定する構成とすることもできる。
(5)上記の実施形態では、特定始動可能性判定部51が、車両が走行する道路の勾配が判定閾値以上の上り坂である場合に特定始動可能性があると判定する構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、車両6が道路情報(少なくとも、制限速度の情報或いは道路種別の情報を含む)を取得可能に構成され、特定始動可能性判定部51が、当該道路情報に基づき特定始動可能性の有無の判定を行う構成とすることもできる。例えば、車両6が制限速度の高くなる道路に進入した場合(例えば、一般道から高速道路に進入した場合等)には、車両6の加速のために運転者がアクセルペダル17を強く踏み込むことが予想される。すなわち、出力軸Oに伝達する駆動力を増加させるために、内燃機関始動条件が成立する可能性がある。よって、特定始動可能性判定部51が、取得した道路情報に基づき、制限速度が予め定められた閾値(例えば、20km/h、40km/h、60km/h等)以上高くなる道路に車両6が進入した場合に、特定始動可能性があると判定する構成とすることができる。また、特定始動可能性判定部51が、取得した道路情報に基づき、車両6が一般道から高速道路に進入した場合に、特定始動可能性があると判定する構成とすることもできる。なお、車両6が道路情報を取得可能な構成は、例えば、車両6が道路情報を有するナビゲーション装置を備える構成により実現することができる。
(6)上記の実施形態では、制御装置3による制御対象となる駆動装置1において、変速機構13に備えられる複数の摩擦係合装置の内の1つである変速用の第一クラッチC1が「第二係合装置」とされている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、変速機構13に備えられる他のクラッチ、ブレーキ等の摩擦係合装置が「第二係合装置」とされた構成とすることもできる。
(7)上記の実施形態では、制御装置3による制御対象となる駆動装置1において、変速機構13に備えられる変速用の第一クラッチC1が「第二係合装置」とされている構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、入力軸Iと出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路上で回転電機12と出力軸Oとの間に設けられた係合装置であれば、変速機構13に備えられる変速用の係合装置とは別の係合装置を「第二係合装置」とすることも可能である。例えば図5に示すように、回転電機12と変速機構13との間にトルクコンバータ21等の流体伝動装置を備える場合において、当該トルクコンバータ21が有するロックアップクラッチCLが「第二係合装置」とされた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、制御装置3は、ロックアップクラッチCLの動作を制御するロックアップクラッチ動作制御部48を「第二係合装置動作制御部」として備えている。そして、上記の実施形態における第一クラッチ動作制御部45aが第一クラッチC1の動作を制御するのと同様の態様で、ロックアップクラッチ動作制御部48がロックアップクラッチCLの動作を制御することで、上記の実施形態と同様の各種の作用効果を得ることが可能である。
(8)或いは、例えば図6に示すように、回転電機12と変速機構13との間に設けられる伝達クラッチCTが「第二係合装置」とされた構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。この場合、制御装置3は、伝達クラッチCTの動作を制御する伝達クラッチ動作制御部49を「第二係合装置動作制御部」として備えている。そして、上記の実施形態における第一クラッチ動作制御部45aが第一クラッチC1の動作を制御するのと同様の態様で、伝達クラッチ動作制御部49が伝達クラッチCTの動作を制御することで、上記の実施形態と同様の各種の作用効果を得ることが可能である。
(9)なお、制御装置3による制御対象となる駆動装置1において、ロックアップクラッチCL又は伝達クラッチCTが「第二係合装置」とされた構成では、変速機構13を、例えば変速比を無段階に変更可能な自動無段変速機構や、変速比の異なる複数の変速段を手動で切替可能に備えた手動有段変速機構、固定変速比(「1」を含む)の変速段を1つだけ有する固定変速機構等として構成することも可能である。また、入力軸Iと出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路上に、少なくとも発進クラッチCS、回転電機12、及び第二係合装置の順に設けられているのであれば、変速機構13の位置は任意に設定することが可能である。
更に、制御装置3による制御対象となる駆動装置1にロックアップクラッチCL又は伝達クラッチCTが備えられる場合であっても、当該ロックアップクラッチCL又は伝達クラッチCTではなく、変速機構13に備えられる変速用の第一クラッチC1を「第二係合装置」として、本実施形態に係る始動準備制御及び内燃機関始動制御を実行する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(10)上記の実施形態では、入力軸Iと出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路上における回転電機12と出力軸Oとの間に、発進クラッチCSとは別の第二係合装置として、液圧により動作する係合装置(図1における第一クラッチC1、図5におけるロックアップクラッチCL、図6における伝達クラッチCT)が備えられた構成を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されるものではなく、入力軸Iと出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路上における回転電機12と出力軸Oとの間に、発進クラッチCSとは別の第二係合装置として、液圧以外の動力により動作する係合装置(例えば、電磁力に応じて係合圧が制御される電磁式クラッチ等)が備えられた構成とすることすることも可能である。また、入力軸Iと出力軸Oとを結ぶ動力伝達経路上における回転電機12と出力軸Oとの間に係合装置が備えられておらず、回転電機12と出力軸Oとが常時駆動連結された構成とすることも可能である。
(11)上記の実施形態においては、制御装置3が、主に内燃機関11を制御するための内燃機関制御ユニット30と、主に回転電機12、発進クラッチCS、及び変速機構13を制御するための駆動装置制御ユニット40と、を備えている場合を例として説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、例えば単一の制御装置3が内燃機関11、回転電機12、発進クラッチCS、及び変速機構13等の全てを制御する構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。或いは、制御装置3が、内燃機関11、回転電機12、及びそれ以外の各種構成、を制御するためのそれぞれ個別の制御ユニットを備える構成とすることも、本発明の好適な実施形態の一つである。
(12)その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の実施形態はこれに限定されない。すなわち、本願の特許請求の範囲に記載された構成及びこれと均等な構成を備えている限り、特許請求の範囲に記載されていない構成の一部を適宜改変した構成も、当然に本発明の技術的範囲に属する。
本発明は、内燃機関に駆動連結される入力部材と車輪に駆動連結される出力部材とを結ぶ動力伝達経路上に、入力部材の側から係合装置、回転電機の順に設けられた駆動装置を制御対象とする制御装置に好適に利用することができる。
1:駆動装置
3:制御装置
6:車両
11:内燃機関
12:回転電機
15:車輪
16:蓄電装置
46:内燃機関始動制御部
51:特定始動可能性判定部
52:始動準備制御部
CS:発進クラッチ(第一係合装置)
C1:第一クラッチ(第二係合装置)
CL:ロックアップクラッチ(第二係合装置)
CT:伝達クラッチ(第二係合装置)
I:入力軸(入力部材)
O:出力軸(出力部材)
P0:完全係合圧
P1:解放側スリップ準備圧
P2:係合側スリップ準備圧

Claims (4)

  1. 内燃機関に駆動連結される入力部材と車輪に駆動連結される出力部材とを結ぶ動力伝達経路上に、前記入力部材の側から係合装置、回転電機の順に設けられた駆動装置を制御対象とする制御装置であって、
    予め定められた内燃機関始動条件の成立時に、前記係合装置を係合して内燃機関を始動させる内燃機関始動制御を実行する内燃機関始動制御部と、
    前記係合装置が解放状態とされるとともに前記内燃機関が停止状態とされた解放停止状態において、前記出力部材に伝達する駆動力を増加させるために前記内燃機関始動条件が成立する可能性である特定始動可能性を判定する特定始動可能性判定部と、
    前記特定始動可能性判定部により前記特定始動可能性があると判定された場合に、液圧により動作する前記係合装置への供給圧を、前記係合装置が定常的に解放状態となる圧である解放圧より高く、前記係合装置が解放状態とスリップ係合状態との境界の解放側スリップ境界状態となる圧である解放側スリップ境界圧より低い圧に設定された解放側スリップ準備圧まで上昇させる始動準備制御を実行する始動準備制御部と、
    を備えた制御装置。
  2. 前記係合装置が第一係合装置であり、
    前記駆動装置は、前記動力伝達経路上における前記回転電機と前記出力部材との間に、前記第一係合装置とは別の第二係合装置を備え、
    前記始動準備制御部は、前記第二係合装置が完全係合状態とされ、前記特定始動可能性判定部により前記特定始動可能性があると判定された場合に、前記始動準備制御として、更に、液圧により動作する前記第二係合装置への供給圧を、前記第二係合装置が定常的に完全係合状態となる圧である完全係合圧より低く、前記第二係合装置が完全係合状態とスリップ係合状態との境界の係合側スリップ境界状態となる圧である係合側スリップ境界圧より高い圧に設定された係合側スリップ準備圧まで低下させる請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記特定始動可能性判定部は、車両が走行する道路の勾配が予め定められた判定閾値以上の上り坂である場合に前記特定始動可能性があると判定し、前記勾配が前記判定閾値未満である場合に前記特定始動可能性がないと判定し、
    前記始動準備制御部は、前記始動準備制御の実行後に前記特定始動可能性判定部により前記特定始動可能性がないと判定された場合には、前記供給圧を当該始動準備制御の実行前の状態に戻す復帰制御を実行する請求項1又は2に記載の制御装置。
  4. 前記回転電機は、蓄電装置から供給された電力により駆動力を発生するとともに、前記蓄電装置の状態に応じて発生可能な駆動力が異なるように構成され、
    前記判定閾値が、前記回転電機により発生可能な駆動力が小さくなるに従って小さくなる値に設定されている請求項3に記載の制御装置。
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