JP2012066783A - 制御装置及び移動体 - Google Patents

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Abstract

【課題】外力に応じて走行する移動体において、操舵桿グリップの回転とは異なる方法で旋回動作を実現すること。
【解決手段】外力に応じて走行する移動体であって、車体が回転する際の角速度を検出する角速度センサによって検出された角速度に応じて、前記移動体の駆動部の動作を制御する制御器を備える。さらには、前記移動体の移動速度を演算する速度演算器と、前記速度演算器によって演算された前記移動速度に応じて、前記制御器における制御の係数を変更する制御係数変更器と、をさらに備え、前記制御器は、前記制御係数変更器によって変更された係数に基づいて前記駆動部の動作を制御しても良い。
【選択図】図7

Description

この発明は、外力に応じて走行する移動体の制御に関するものである。
従来から、荷物等を運搬するためのハンディカートの車輪を、電動機を用いて駆動し、人力をアシストする電動推進式ハンディカート(手押し電動ハンディカート)が知られている(例えば、特許文献1参照)。この電動推進式ハンディカートは、第1および第2の車輪を有する本体と、本体に揺動自在に取り付けられた略棒状の操舵桿とを備えている。本体は、筐体と、この筐体の内部に配置された直流電源、および制御装置とを備えている。
また、操舵桿は、操舵桿本体部と、この操舵桿本体部の一端に設けられた操舵桿グリップとを備えている。操舵桿グリップは、操舵桿本体部から筐体が配置されている進行方向前方に向かって延出するように形成されている。そして、使用者は、電動推進式ハンディカートを前方に配置した状態で操舵桿グリップを把持し、操舵桿本体部をやや手前に押し倒して車輪を駆動させる。これにより、電動推進式ハンディカートが進行方向前方に向かって走行するので、使用者の荷物等の運搬作業が軽減される。
このような電動推進式ハンディカートでは、旋回動作をどのように実現するかが一つの課題となる。上述の従来技術にあっては、操舵桿グリップの回転に応じて旋回動作が行われていた。具体的には以下のように構成されていた。電動推進式ハンディカートの操舵桿グリップは、操舵桿の軸を中心として回転するように取り付けられており、この回転角が電動推進式ハンディカートの制御装置によって目標旋回角速度として検出される。そして、制御装置が、電動推進式ハンディカートに搭載されたレートジャイロによって計測されるヨーレートと目標旋回角速度とに応じてフィードバック制御を行い、旋回動作を実現していた。
発明協会公開技報公技番号2009−501759号
しかしながら、操舵桿グリップを不用意に回転させてしまうと、目標旋回角速度が大きな値として入力され、不意に大きく旋回してしまうおそれがあった。特に、電動推進式ハンディカートの操作に不慣れな使用者にとっては、旋回の制御が困難となる場合があった。このような問題は、上述した電動推進式ハンディカートの具体例のみに限らず、外力に応じて走行する移動体であって旋回動作を上記のように実現したものであれば全てに共通する問題であった。
上記事情に鑑み、本発明は、外力に応じて走行する移動体において、操舵桿グリップの回転とは異なる方法で旋回動作を実現することを可能とする技術を提供することを目的としている。
本発明の一態様は、制御装置であって、外力に応じて走行する移動体の車体が回転する際の角速度を検出する角速度センサによって検出された角速度に応じて、前記移動体の駆動部の動作を制御する制御器を備える。
本発明の一態様は、上記の制御装置であって、前記移動体の移動速度を演算する速度演算器と、前記速度演算器によって演算された前記移動速度に応じて、前記制御器における制御の係数を変更する制御係数変更器と、をさらに備え、前記制御器は、前記制御係数変更器によって変更された係数に基づいて前記駆動部の動作を制御する。
本発明の一態様は、上記の制御装置であって、前記角速度センサは、鉛直方向に伸びる軸を中心とした回転における角速度を検出し、前記制御器は、前記角速度に応じて、前記移動体の旋回動作を制御する。
本発明の一態様は、上記の制御装置であって、前記角速度センサは、鉛直方向に伸びる軸及び進行方向に水平に伸びる軸に直交した軸を中心とした回転における角速度を検出し、前記制御器は、前記角速度に応じて、前記移動体の前記進行方向への速度を制御する。
本発明の一態様は、移動体であって、上記の制御装置と、前記制御装置による制御に応じて駆動する駆動部と、車体フレームと、を備える。
本発明により、外力に応じて走行する移動体において、操舵桿グリップの回転とは異なる方法で旋回動作を実現することが可能となる。
本発明の実施形態における手押し電動ハンディカートの斜視図である。 本発明の実施形態における手押し電動ハンディカートの背面図である。 本発明の実施形態におけるハンドル部の内部構造を示す斜視図である。 本発明の実施形態におけるハンドル部の内部構造の斜視図であって、起歪体を取り外した状態を示す。 力及び回転の符号が示す方向を表す図である。 減速器付電動モータ8の構成を表す概略ブロック図である。 制御基板の第一実施形態の構成を表す概略ブロック図である。 制御基板の第二実施形態の構成を表す概略ブロック図である。 制御基板の第三実施形態の構成を表す概略ブロック図である。
(手押し電動ハンディカート)
次に、この発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、手押し電動ハンディカートの斜視図である。図2は、手押し電動ハンディカートの背面図である。なお、以下の説明において、説明を簡単にするために、使用者の進行方向前方を単に前方、進行方向後方を単に後方、進行方向を向いて右側を単に右側、進行方向を向いて左側を単に左側、鉛直方向上側を単に上側、地面側を単に下側などとして説明する場合がある。
図1に示すように、手押し電動ハンディカート1は、使用者Uが押して使用するタイプの電動ハンディカートであって、車体フレーム2と、車体フレーム2の後方側の左右に設けられた一対の車輪3と、車体フレーム2の後方から上方に向かって延出する棒状の操舵桿4と、操舵桿4の上端に設けられたハンドル部5とを備え、ハンドル部5を使用者Uが把持するようになっている。
(車体フレーム)
車体フレーム2は中空状のパイプにより形成されたものであって、操舵桿4の下部から下方に向かって二又状に分岐して延出する二又フレーム6を有している。二又フレーム6の間には、所定のスペースが形成される。
また、各二又フレーム6の先端には、それぞれ上方に向かって折り返すようにU字状に形成されたU字フレーム7が連設されている。各U字フレーム7は、上下方向に延出する一対の直線フレーム10a,10bと、これら直線フレーム10a,10bの下端同士を連設する円弧フレーム11とにより構成されている。
また、一対の直線フレーム10a,10bには、両者に跨るステー61が設けられ、ここに、それぞれ減速機付電動モータ8が取り付けられている。すなわち、各減速機付電動モータ8は、U字フレーム7の内周側に配置された状態になっている。また、減速機付電動モータ8は、円弧フレーム11との間に隙間Sが形成されるように配置されている。
減速機付電動モータ8は、モータケース12内に、不図示のモータ部(車輪駆動モータ505)と、例えばハイポサイクロイド減速機構等からなる減速機構(減速器106R、減速器106L)を収納したものである。そして、モータ部の出力は、減速機構に伝達された後、減速機構の出力軸9から出力される。出力軸9は、モータケース12に設けられている不図示の軸受部を介し、左右方向外側に向かって突出している。ここで、不図示の軸受部は、例えば一対のアンギュラ玉軸受けを背面組み合わせしてなる。
また、出力軸9の先端には車輪3が取り付けられており、出力軸9が車輪3の車軸として機能するようになっている。さらに、モータケース12の下部には、水抜き孔13が形成されており、モータケース12内に侵入した雨水が速やかに排水される。
U字フレーム7の一対の直線フレーム10a,10bのうち、前方側に位置している直線フレーム10bの先端には、直線フレーム10bと略直交する方向に沿って、かつ前方に向かってそれぞれ一対の前出フレーム14が延出されている。この前出フレーム14とU字フレーム7との接続部には、円弧部15が形成されており、前出フレーム14とU字フレーム7とが滑らかに連設されている。
前出フレーム14には左右にブラケット16が複数固定されており、これらブラケット16にコントローラボックス17が取り付けられている。コントローラボックス17には、減速機付電動モータ8に給電を行うためのバッテリ18、減速機付電動モータ8の駆動制御を行うための制御基板58、手押し電動ハンディカート1の傾きを検出するジャイロセンサ59などが収納されている。
コントローラボックス17の後面17aには、バッテリ18や制御基板58と減速機付電動モータ8と電気的に接続するためのコネクタ19a、および制御基板58とハンドル部5とを電気的に接続するためのコネクタ19bが設けられている。これらコネクタ19a,19bには、それぞれハーネス20a,20bの一端が接続されている。そして、ハーネス20aの他端は、減速機付電動モータ8に接続されている一方、ハーネス20bの他端は、ハンドル部5に接続されている。
また、コントローラボックス17の後面17aには、バッテリ18に外部電力を供給し、バッテリ18の充電を行うための充電用コネクタ21が設けられている。さらに、コントローラボックス17は、この上面17bが前出フレーム14と面一になるように配置されており、上面17b上に荷物Nが載置できるようになっている。すなわち、コントローラボックス17上の空間は、荷物Nを載置するための荷室Hとしての役割を有する。
前出フレーム14の前端には、乗り上げ補助装置22が設けられている。乗り上げ補助装置22は、手押し電動ハンディカート1が走行路上の段差を乗り上げる際に使用するものである。
また、乗り上げ補助装置22は、使用者Uが手押し電動ハンディカート1から手を離した状態で、この手押し電動ハンディカート1の操舵桿4が鉛直方向に沿った姿勢のスタンド状態を安定維持する役割も有している。
乗り上げ補助装置22は、前出フレーム14の前端に連設されている補助フレーム23と、補助フレーム23に設けられた1つの補助輪24とにより構成されている。補助フレーム23は、一対の前出フレーム14の前端から、それぞれ前出フレーム14と略直交する方向に沿って、かつ下方に向かって延出する一対の脚フレーム25a,25bと、これら脚フレーム25a,25bの先端に跨るように設けられ、水平方向に沿って延在している連結フレーム26とが互いに円弧部27を介して滑らかに連設されたものである。そして、連結フレーム26の長手方向略中央に、補助輪24が設けられている。
ここで、手押し電動ハンディカート1は、補助輪24、および車輪3が接地している状態で、前出フレーム14が略水平方向に沿うように、かつ操舵桿4が略垂直方向に沿うように構成されている。
(操舵桿)
操舵桿4は、中空状の基部パイプ71と、基部パイプ71内に挿入され、この基部パイプ71に対してスライド自在に設けられた中空状の上部パイプ72とを有している。そして、基部パイプ71の下部に、二又フレーム6の上端が接続されている。また、基部パイプ71には、籠取付用ブラケット29が取り付けられている。
また、基部パイプ71、および上部パイプ72の内部には、コントローラボックス17のコネクタ19bに一端が接続されているハーネス20bが挿通されている。ハーネス20bは、基部パイプ71の下端から長手方向略中央に至る間に、螺旋状に配索された螺旋配索部30を有している。
この螺旋配索部30により、上部パイプ72の進退移動による操舵桿4の長さの変化を吸収し、ハーネス20bに無理な引張応力や圧縮応力がかかるのを阻止できる。このように構成された操舵桿4における上部パイプ72の上端に、ハンドル部5が取り付けられている。
(ハンドル部)
図3は、ハンドル部の内部構造を示す斜視図である。図4は、ハンドル部の内部構造であって、起歪体を取り外した状態の斜視図である。
図3、図4に示すように、ハンドル部5は、操舵桿4から後方に向かって屈曲延出するようにL字状に形成された筐体35を有している。筐体35は、右側(図3、図4における紙面手前側)に開口部35aを有する箱状に形成されており、この開口部35aを閉塞するように不図示のカバーが取り付けられるようになっている。
また、筐体35は、操舵桿4の上部パイプ72の上方に配置されているブラケット収納部36とブラケット収納部36の上端に一体成形され、後方(図3、図4における左方)に向かって延出された把持部37とにより構成されている。
ブラケット収納部36の下端には、上部パイプ72よりも大きく開口された開口部36aが形成されている。また、ブラケット収納部36には、上部パイプ72の上端に固定されているブラケット38、イグニッションスイッチ40、モード切替スイッチ41、トグルスイッチ42、およびスイッチレバー44が収納されている。
ブラケット38は、上部パイプ72の上端に設けられたコネクタ39を避けるように、上部パイプ72に外嵌可能に形成されている。
コネクタ39は、操舵桿4内に配索されているハーネス20bの他端と、イグニッションスイッチ40、モード切替スイッチ41、トグルスイッチ42、および後述の歪みゲージ55とを電気的に接続するためのものである。
モード切替スイッチ41は、手押し電動ハンディカート1の走行モードを切り替えるためのスイッチである。走行モードとしては、例えば、車輪3を常時一定速度で駆動させる「常時駆動モード」や、操舵桿4の傾きに基づいて使用者Uの歩行速度を算出し、この歩行速度に応じて車輪3の回転速度を可変させる「通常モード」や、使用者Uの歩行速度が「通常モード」を使用する使用者Uよりも比較的遅い場合に使用する「低速モード」等などが挙げられる。
モード切替スイッチ41の切り替え信号は、コネクタ39、およびハーネス20bを介してコントローラボックス17に収納されている制御基板58に出力されるようになっている。これにより、減速機付電動モータ8の駆動制御が行われる。
スイッチレバー44は、手押し電動ハンディカート1を起動させるためのものであって、筐体35の把持部37の下方から延出するように設けられている。そして、使用者Uがスイッチレバー44を押し上げるとトグルスイッチ42がオンするようになっている。トグルスイッチ42のオン信号は、コントローラボックス17に収納されている制御基板58に出力され、減速機付電動モータ8の駆動制御が行われる。
図4に詳示するように、上部パイプ72の上端に固定されているブラケット38の上端には、ベースプレート45がボルト・ナット46によって締結固定されている。ベースプレート45は、起歪体47を取り付けるためのものであって、筐体35の把持部37に沿うように前後方向(図3、図4における左右方向)に長く帯状に形成されたベース本体45aを有している。
ベース本体45aは、把持部37に形成されているベースプレート収納部37aに収納されている。ベース本体45aには、前端側に起歪体47を固定するための2つの固定ピン48が突設されていると共に、後端側に起歪体47の変位を規制するストッパ49が突設されている。
起歪体47は、筐体35の把持部37に沿って前後方向(図3、図4における左右方向)に長く形成され、ロバーバル機構を構成している。すなわち、起歪体47は、上部はり51と、下部はり52と、これらはり51,52の前端を跨るように一体形成された固定部53と、はり51,52の後端を跨るように一体成形された可動部54とを有している。これにより、起歪体47は、ほぼ上下方向に変形可能、つまり、操舵桿4の軸方向に沿って変形可能になっている。
各はり51,52には、それぞれ両端側に薄肉部51a,52aが形成されており、上部はり51の上面における薄肉部51aに対応する位置と、下部はり52の下面における薄肉部52aに対応する位置にそれぞれ歪みゲージ55が貼付されている。歪みゲージ55は、起歪体47の歪み変形を検出するためのものであって、歪みゲージ55によって検出された信号は、コネクタ39、およびハーネス20bを介してコントローラボックス17に収納されている制御基板58に出力される。
起歪体47の固定部53は平板状に形成されたものであって、ベースプレート45から突設された2つの固定ピン48に対応する位置に、これら固定ピン48を挿通可能な2つの挿通孔53aが形成されている。これら挿通孔53aに固定ピン48を挿通することにより、ベースプレート45に起歪体47が固定される。
一方、可動部54は円柱状に形成されており、左右両側に2方取り部54aが形成されている。また、可動部54には、2方取り部54aを貫通するように案内ピン56が設けられている。案内ピン56は、可動部54の2方取り部54aから突出した状態になっている。
ここで、筐体35の把持部37には、ベースプレート収納部37aの後端に起歪体47の可動部54を収納可能な可動部収納部37bが形成されている。この可動部収納部37bに可動部54が収納されることにより、起歪体47に筐体35が支持される。
筐体35は、起歪体47の可動部54に支持されている一方、筐体35のブラケット収納部36には、下端に開口部36aが形成されている。このため、使用者Uは、把持部37を把持した状態で、ブラケット収納部36の開口部36aと操舵桿4の上部パイプ72との間に生じるガタ分だけ筐体35を上下方向に傾倒させたり、筐体35を右回りや左回りに捻ったりすることができる。このとき、起歪体47に生じる歪みが、歪みゲージ55によって検出される。
ここで、ベースプレート45のストッパ49は、起歪体47の各はり51,52の後部に形成されている薄肉部51a,52a間に突設されている。これにより、筐体35が所定以上に上下方向に傾倒し、起歪体47に所定以上の歪み応力がかかるのを防止できる。
また、筐体35の可動部収納部37bには、起歪体47の可動部54から突出している案内ピン56に対応する位置に、この案内ピン56を受け入れ可能な溝57が形成されている。この溝57は、僅かに上下方向に長く形成されており、案内ピン56に対する筐体35の右回り方向や左回りの方向の変位を吸収できるようになっている。すなわち、溝57によって、筐体35の右回りや左回りの捻り動作による起歪体47の捩れ変形を防止できる。
(手押し電動ハンディカートの動作)
次に、手押し電動ハンディカート1の動作について説明する。
まず、手押し電動ハンディカート1を使用するにあたって、使用者Uは、操舵桿4よりも後方に立つ(図1参照)。手押し電動ハンディカート1には、乗り上げ補助装置22が設けられているので、使用者Uが手押し電動ハンディカート1から手を離した状態であってもスタンド状態が安定維持される。
その後、使用者Uは、ハンドル部5のイグニッションスイッチ40をオンし、ハンドル部5の把持部37を把持する。そして、ハンドル部5をやや手前に引き、操舵桿4をやや手前に押し倒す。すると、補助輪24が車輪3の出力軸(車軸)9を中心にして地面から浮き上がる方向に変位する(このような姿勢を、以下、走行姿勢という)。
ここで、車体フレーム2にコントローラボックス17が配置されているので、手押し電動ハンディカート1の下部側の重心は、操舵桿4よりも前方に位置している。一方、ハンドル部5は、操舵桿4から後方に向かって屈曲延出するようにL字状に形成された筐体35内に各部品が設けられているので、手押し電動ハンディカート1の上部側の重心は、操舵桿4よりも後方に位置している。
このように、手押し電動ハンディカート1は、下部側の重心と上部側の重心とが互いに操舵桿4を挟んで反対側に位置した状態になっている。このため、手押し電動ハンディカート1全体の重心は、操舵桿4よりも著しく前方に位置しておらず、使用者Uが容易に操舵桿4を手前に押し倒し、容易に補助輪24を地面から浮き上がらせることができる。
(直進走行)
手押し電動ハンディカート1が走行姿勢を採り、直進走行させる場合、ハンドル部5の把持部37を強く握り締め、スイッチレバー44を押し上げると、トグルスイッチ42がオンする。トグルスイッチ42のオン信号は、コントローラボックス17に収納されている制御基板58に出力され、2つの減速機付電動モータ8を手押し電動ハンディカート1が前進するように駆動させる。
ここで、手押し電動ハンディカート1の走行速度が使用者Uの歩行速度よりも速くなると、手押し電動ハンディカート1が使用者Uから離れる方向に走行していくことになる。すると、ハンドル部5が引っ張られて手前に向かって傾倒し、ハンドル部5内に設けられている起歪体47の可動部54が、固定部53よりも手前に向かって、つまり、上方に向かって歪み変形する。
一方、手押し電動ハンディカート1の走行速度が使用者Uの歩行速度よりも遅くなると、手押し電動ハンディカート1が使用者U側に向かってくることになる。すると、ハンドル部5が操舵桿4側に向かって押圧されて傾倒し、ハンドル部5内に設けられている起歪体47の可動部54が、固定部53よりも奥に向かって、つまり、下方に向かって歪み変形する。
このような起歪体47の歪み変形は、起歪体47の薄肉部51a,51bに設けられている歪みゲージ55によって検出される。そして、歪みゲージ55による検出信号(操作力信号)がコントローラボックス17の制御基板58に出力される。
ここで、手押し電動ハンディカート1の走行モードを、使用者Uの歩行速度に応じて車輪3の回転速度を可変させる「通常モード」や「低速モード」に設定している場合、歪みゲージ55による検出信号に基づいて、減速機付電動モータ8の駆動制御が行われる。
すなわち、手押し電動ハンディカート1の走行速度が使用者Uの歩行速度よりも速くなると、制御基板58から減速機付電動モータ8を減速させる信号が出力される。一方、手押し電動ハンディカート1の走行速度が使用者Uの歩行速度よりも遅くなると、制御基板58から減速機付電動モータ8を増速させる信号が出力される。このため、使用者Uと手押し電動ハンディカート1の車輪3との間の距離が所望の距離に維持される。
さらに、手押し電動ハンディカート1を停止させる場合、ハンドル部5の把持部37の握りを弱くするとスイッチレバー44が下がり、トグルスイッチ42がオフになる。トグルスイッチ42のオフ信号は、制御基板58に出力され、2つの減速機付電動モータ8が停止する。
手押し電動ハンディカート1を停止させた状態にあっては、減速機付電動モータ8のセルフロック機能がブレーキとして機能する。このため、外力(人力)によって手押し電動ハンディカート1が動いてしまうことを防止できるので、手押し電動ハンディカート1を使用者Uの杖として機能させることもできる。
(旋回走行)
次に、手押し電動ハンディカート1が走行姿勢を採り、旋回走行させる場合について説明する。
手押し電動ハンディカート1を右旋回させるときは、ハンドル部5の把持部37を把持した状態で、使用者Uが手押し電動ハンディカート1を旋回させたい方向に向かって傾ける。すると、この傾きがコントローラボックス17に設けられているジャイロセンサ59によって検出される。そして、ジャイロセンサ59による検出信号が制御基板58に出力され、左右の減速機付電動モータ8が各々駆動制御される。
より具体的には、例えば、手押し電動ハンディカート1を右方に向かって傾けた場合、右側に配置された減速機付電動モータ8の回転速度よりも左側に配置された減速機付電動モータ8の回転速度が速くなる。これにより、手押し電動ハンディカート1が右旋回する。
一方、手押し電動ハンディカート1を左方に向かって傾けた場合、左側に配置された減速機付電動モータ8の回転速度よりも右側に配置された減速機付電動モータ8の回転速度が速くなる。これにより、手押し電動ハンディカート1が左旋回する。
ここで、左右の減速機付電動モータ8の回転速度差は、ジャイロセンサ59によって検出される手押し電動ハンディカート1の傾き量に基づいて決定される。すなわち、手押し電動ハンディカート1の傾き量が大きいほど左右の減速機付電動モータ8の回転速度差が大きくなり、手押し電動ハンディカート1が急旋回する。
そして、ジャイロセンサ59によって手押し電動ハンディカート1の左右方向への傾きが検出されない場合、左右の減速機付電動モータ8の回転速度差がなくなり、手押し電動ハンディカート1が直進走行する。なお、このような旋回走行時の制御基板58の動作については、より詳細に後述する。
(力、回転の符号)
図5は、以下の説明において用いる力及び回転の符号が示す方向を表す図である。ヨー角速度については、時計周りに向いた回転方向が+(正)の符号で表され、反時計周りに向いた回転方向が−(負)の符号で表される。車輪3の回転方向については、前進する方向へ向いた回転方向が+(正)の符号で表され、後退する方向へ向いた回転方向が−(負)の符号で表される。操作力については、操舵桿4に沿って下方向へ向いた力が+(正)の符号で表され、操舵桿4に沿って上方向へ向いた力が−(負)の符号で表される。ピッチ角速度については、前方へ車体が傾く方向が+(正)で表され、後方へ車体が傾く方向が−(負)で表される。
(モータ装置)
図6は、減速器付電動モータ8の構成を表す概略ブロック図である。減速器付電動モータ8は、モータ制御部500、車輪駆動モータ505、モータ位置検出回路506、回転速度演算器507、減速器508を備える。また、モータ制御部500は、加減算器501、モータPI制御器502、モータ駆動回路503、モータ電流センサ504を備える。また、減速器付電動モータ8は、制御基板58からモータ指令電流値を受ける。また、減速器付電動モータ8は、制御基板58に対しモータ回転速度を出力する。
なお、図6に図示される減速器付電動モータ8は、右側の減速器付電動モータ8R及び左側の減速器付電動モータ8Lに共通する構成である。そのため、右側の減速器付電動モータ8Rと左側の減速器付電動モータ8Lそれぞれについての個別の説明は省略する。図6におけるモータ指令電流値は、右側の減速器付電動モータ8Rにとっては右モータ指令電流値であり、左側の減速器付電動モータ8Lにとっては左モータ指令電流値である。
モータ制御部500には、モータ指令電流値が入力される。加減算器501は、モータ制御部500に入力されたモータ指令電流値と、モータ電流センサ504から出力される計測値と、の差分を電流偏差信号として生成する。加減算器501は、電流偏差信号をモータPI制御器502に出力する。
モータPI制御器502は、電流偏差信号に応じて駆動信号を生成する。モータPI制御器502は、電流偏差信号が大きいほど大きな駆動信号を生成し、電流偏差信号が小さいほど小さな駆動信号を生成する。また、モータPI制御器502は、電流偏差信号が+(正)の値であれば+(正)の駆動信号を生成し、電流偏差信号が−(負)の値であれば−(負)の駆動信号を生成する。モータPI制御器502は、生成した駆動信号をモータ駆動回路503へ出力する。
モータ駆動回路503は、駆動信号に応じて、車輪駆動モータ505に対し駆動電力を供給する。モータ駆動回路503は、駆動信号が大きいほど大きな駆動電力を供給し、駆動信号が小さいほど小さな駆動電力を供給する。また、モータ駆動回路503は、駆動信号が+(正)の値であれば前進する方向へ車輪3が回転するように駆動電力を供給する。一方、モータ駆動回路503は、駆動信号が−(負)の値であれば後退する方向へ車輪3が回転するように駆動電力を供給する。
モータ電流センサ504は、車輪駆動モータ505に流れる電流を計測し、計測結果に応じた計測値を加減算器501へ出力する。
車輪駆動モータ505は、モータ駆動回路503から供給される電力によって駆動し、車輪3が回転するための駆動力を、減速器508を介して車輪3に供給する。モータ位置検出回路506は、車輪駆動モータ505の回転位置を検出する。回転速度演算器507は、モータ位置検出回路506によって検出される回転位置に基づいて、車輪駆動モータ505の回転速度(モータ回転速度)を演算する。回転速度演算器507は、演算したモータ回転速度を制御基板58へ出力する。
(制御基板)
以下、制御基板58の構成及び動作について説明する。なお、制御基板58には、第一実施形態〜第三実施形態があるため、各実施形態に係る制御基板58(58a〜58c)について説明する。
[第一実施形態]
図7は、制御基板58の第一実施形態である制御基板58aの構成を表す概略ブロック図である。制御基板58aは、モータ指令電流値制御部101、第一ローパスフィルタ102、前進速度演算器103、ゲインスケジューラ104、第一PI制御器105、加減算器106、加減算器107を備える。制御基板58aは、歪みゲージ55から操作力信号を受け、ジャイロセンサ59からヨー角速度信号を受ける。また、制御基板58aは、右側の減速器付電動モータ8Rに対し右モータ指令電流値を出力し、左側の減速器付電動モータ8Lに対し左モータ指令電流値を出力する。
モータ指令電流値制御部101は、歪みゲージ55から出力される操作力信号に応じて、左右の減速器付電動モータ8に対する暫定電流指令値(右暫定電流指令値、左暫定電流指令値)を出力する。右暫定電流指令値は、右側の減速器付電動モータ8Rに対して出力され、左暫定電流指令値は、左側の減速器付電動モータ8Lに対して出力される。操作力が+(正)であった場合には、モータ指令電流値制御部101は、前進する方向へ車輪3が回転するような暫定電流指令値を出力する。一方、操作力が−(負)であった場合には、モータ指令電流値制御部101は、後退する方向へ車輪3が回転するような暫定電流指令値を出力する。また、モータ指令電流値制御部101は、操作力が小さいほど車輪3が低速で回転するような暫定電流指令値を出力し、操作力が大きいほど車輪3が高速で回転するような暫定電流指令値を出力する。
第一ローパスフィルタ102は、ジャイロセンサ59によって検出されるヨー角速度信号を受け、ヨー角速度信号の高周波成分を除去する。そして、第一ローパスフィルタ102は、高周波成分が除去されたヨー角速度信号を、第一PI制御器105に対して出力する。
前進速度演算器103は、右車輪3Rを駆動する減速器付電動モータ8Rと、左車輪3Lを駆動する減速器付電動モータ8Lとから、それぞれのモータの回転速度を受ける。そして、前進速度演算器103は、各モータの回転速度に基づいて、手押し電動ハンディカート1の前方への速度(前進速度)を算出する。前進速度演算器103は、算出した前進速度をゲインスケジューラ104へ出力する。なお、手押し電動ハンディカート1が後退している場合には、−(負)の値を持った前進速度が算出される。
ゲインスケジューラ104は、前進速度演算器103によって算出された前進速度の大きさに応じて、第一PI制御器105の係数(ゲイン)を変更するための制御係数を生成する。ゲインスケジューラ104は、前進速度の絶対値が大きいほどゲインを小さくする制御計数を生成し、前進速度の絶対値が小さいほどゲインを大きくする制御係数を生成する。ゲインスケジューラ104は、生成した制御係数を第一PI制御器105へ出力する。
第一PI制御器105は、第一ローパスフィルタ102を通過したヨー角速度信号に応じて、第一電流指令値を算出する。このとき、第一PI制御器105は、ゲインスケジューラ104によって生成された制御係数に応じて、第一電流指令値を算出する際に用いる係数を変更する。以下、第一電流指令値の算出方法について詳細に説明する。
第一PI制御器105は、ヨー角速度信号が+(正)である場合には、手押し電動ハンディカート1が右方向(時計回りの方向)に旋回するように、第一電流指令値を算出する。一方、第一PI制御器105は、ヨー角速度信号が−(負)である場合には、手押し電動ハンディカート1が左方向(反時計回りの方向)に旋回するように、第一電流指令値を算出する。
より具体的には、第一PI制御器105は、ヨー角速度信号が+(正)である場合には、右モータ指令電流値が左モータ指令電流値よりも小さくなるように、第一電流指令値を生成する。図面から明らかなように、制御基板58aでは、第一電流指令値は、右暫定電流指令値から減算され、左暫定電流指令値に加算される。そのため、PI制御器104は、+(正)の値を持つ第一電流指令値を算出することによって、手押し電動ハンディカート1が右方向に旋回するように制御を行う。
また、第一PI制御器105は、ヨー角速度信号が−(負)である場合には、右モータ指令電流値が左モータ指令電流値よりも大きくなるように、第一電流指令値を生成する。図面から明らかなように、制御基板58aでは、第一電流指令値は、右暫定電流指令値から減算され、左暫定電流指令値に加算される。そのため、PI制御器104は、−(負)の値を持つ第一電流指令値を算出することによって、手押し電動ハンディカート1が左方向に旋回するように制御を行う。
また、第一PI制御器105は、ヨー角速度信号の絶対値が大きいほど大きな第一電流指令値を算出し、ヨー角速度信号の絶対値が小さいほど小さな第一電流指令値を算出する。このように第一PI制御器105が動作することによって、ヨー角速度信号が大きいほど、右モータ指令電流値と左モータ指令電流値との差が大きくなる。
また、第一PI制御器105は、制御係数が示すゲインが大きいほど、より大きな第一電流指令値を算出し、制御係数が示すゲインが小さいほど、より小さな第一電流指令値を算出する。そのため、同じヨー角速度信号が入力された場合であっても、第一PI制御器105は、制御係数が示すゲインが大きい場合には、制御係数が示すゲインが小さい場合に比べて、より大きな第一電流指令値を算出する。
さらに具体的には、第一PI制御器105は、以下に示す式1にしたがって第一電流指令値を算出する。式1において、rはヨー角速度を表し、uは前進速度を表し、KRP(u)及びKRI(u)は、制御係数によって決定されるゲインを表し、i1は第一電流指令値を表す。
Figure 2012066783
加減算器106は、右暫定電流指令値から第一電流指令値を減算し、減算結果を右モータ指令電流値として右減速器付電動モータ8Rに出力する。
加減算器107は、左暫定電流指令値に第一電流指令値を加算し、加算結果を左モータ指令電流値として左減速器付電動モータ8Lに出力する。
このように構成された第一実施形態の制御基板58aによれば、ジャイロセンサ59によって検出されるヨー角速度に応じて、左右の旋回が制御される。そのため、操舵桿グリップの回転とは異なる手段によって左右の旋回動作を実現することが可能となる。
また、このように構成された第一実施形態の制御基板58aによれば、手押し電動ハンディカート1の速度が、左右の各車輪駆動モータ505の回転速度に基づいて、前進速度演算器103によって演算される。ゲインスケジューラ104が、演算された前進速度に応じて、第一PI制御器105の係数を変更する。第一PI制御器105が、ジャイロセンサ59によって検出されたヨー角速度信号に基づいて、ゲインスケジューラ104によって変更された係数を用いて、第一電流指令値を算出する。加減算器106が、右暫定電流指令値から第一電流指令値を減算することによって右モータ指令電流値を出力し、加減算器107が、左暫定電流指令値に第一指令電流値を加算することによって左モータ指令電流値を出力する。そして、右減速器付電動モータ8Rが右モータ指令電流値に基づいて駆動し、左減速器付電動モータ8Lが左モータ指令電流値に基づいて駆動する。そのため、手押し電動ハンディカート1の速度が低い場合には、右減速器付電動モータ8Rと左減速器付電動モータ8Lとの回転速度の差が大きくなる。したがって、使用者Uは、低速時であっても容易に所望の方向へ旋回を行うことが可能となる。このように、低速時に旋回を行うことが困難であったという従来の問題点を解決できる。さらに、手押し電動ハンディカート1の速度が高い場合には、右減速器付電動モータ8Rと左減速器付電動モータ8Lとの回転速度の差が小さくなる。したがって、使用者Uは、高速時であっても、車体のぐらつきが小さくなり、安定して所望の方向へ旋回を行うことや直進を行うことが可能となる。このように、高速時、特に高速で直進を行っている際に、走行が不安定になってしまうという従来の問題点を解決できる。
[第二実施形態]
図8は、制御基板58の第二実施形態である制御基板58bの構成を表す概略ブロック図である。制御基板58bは、第二ローパスフィルタ201、操作力目標値記憶部202、加減算器203、第二PI制御器204、第三ローパスフィルタ205、第三PI制御器206、加減算器207を備える。制御基板58bは、歪みゲージ55から操作力信号を受け、ジャイロセンサ59からピッチ角速度信号を受ける。また、制御基板58bは、右側の減速器付電動モータ8Rに対し右モータ指令電流値を出力し、左側の減速器付電動モータ8Lに対し左モータ指令電流値を出力する。
第二ローパスフィルタ201は、歪みゲージ55から出力される操作力信号を受け、操作力信号の高周波成分を除去する。そして、第二ローパスフィルタ201は、高周波成分が除去された操作力信号を加減算器203に対して出力する。
操作力目標値記憶部202は、操作力信号の目標値(操作力目標値)を記憶しており、操作力目標値を加減算器203に出力する。
加減算器203は、操作力信号から操作力目標値を減算することによって操作力偏差信号を生成する。そして、加減算器203は、生成された操作力偏差信号を第二PI制御器204に出力する。
第二PI制御器204は、操作力偏差信号に応じて、左右の減速器付電動モータ8に対する第二電流指令値を出力する。操作力偏差信号が+(正)であった場合には、第二PI制御器204は、前進する方向へ車輪3が回転するような第二電流指令値を出力する。一方、操作力偏差信号が−(負)であった場合には、第二PI制御器204は、後退する方向へ車輪3が回転するような第二電流指令値を出力する。また、第二PI制御器204は、操作力偏差信号の絶対値が小さいほど車輪3が低速で回転するような(小さな)第二電流指令値を出力する。また、第二PI制御器204は、操作力偏差信号の絶対値が大きいほど車輪3が高速で回転するような(大きな)第二電流指令値を出力する。
より具体的には、第二PI制御器204は、以下に示す式2にしたがって第二電流指令値を算出する。式2において、Fは操作力信号を表し、Frefは操作力目標値を表し、eFは操作力偏差信号を表し、KFP及びKFIは第二PI制御器204に予め設定されているゲインを表し、i2は第二電流指令値を表す。
Figure 2012066783
第三ローパスフィルタ205は、ジャイロセンサ59によって検出されるピッチ角速度信号を受け、ピッチ角速度信号の高周波成分を除去する。そして、第三ローパスフィルタ205は、高周波成分が除去されたピッチ角速度信号を、第三PI制御器206に対して出力する。
第三PI制御器206は、第三ローパスフィルタ205を通過したピッチ角速度信号に応じて、第三電流指令値を算出する。第三PI制御器206は、ピッチ角速度信号の絶対値が大きいほど大きな第三電流指令値を生成し、ピッチ角速度信号の絶対値が小さいほど小さな第三電流指令値を生成する。また、第三PI制御器206は、ピッチ角速度信号が+(正)である場合には、+(正)の駆動信号を生成し、ピッチ角速度信号が−(負)の値である場合には、−(負)の第三電流指令値を生成する。
より具体的には、ピッチ角速度信号が+(正)であった場合には、第三PI制御器206は、前進する方向へ車輪3が回転するような(正の)第三電流指令値を出力する。一方、ピッチ角速度信号が−(負)であった場合には、第三PI制御器206は、後退する方向へ車輪3が回転するような(負の)第三電流指令値を出力する。また、第三PI制御器206は、ピッチ角速度信号が小さいほど車輪3が低速で回転するような(小さな)第三電流指令値を出力し、ピッチ角速度信号が大きいほど車輪3が高速で回転するような(大きな)第三電流指令値を出力する。第三PI制御器206は、生成した第三電流指令値を加減算器207へ出力する。
さらに具体的には、第三PI制御器206は、以下に示す式3にしたがって第三電流指令値を算出する。式3において、qはピッチ角速度信号を表し、KQP及びKQIは第三PI制御器206に予め設定されているゲインを表し、i3は第三電流指令値を表す。
Figure 2012066783
加減算器207は、第二電流指令値と第三電流指令値とを加算し、モータ指令電流値を生成する。加減算器207によって生成されたモータ指令電流値は、右側の減速器付電動モータ8Rに対しては右モータ指令電流値として出力され、左側の減速器付電動モータ8Lに対しては左モータ指令電流値として出力される。
このように構成された第二実施形態の制御基板58bによれば、ジャイロセンサ59によって検出されたピッチ角速度の向き及び大きさに応じて第三PI制御器206が第三電流指令値を算出する。加減算器207は、歪みゲージ55によって検出された操作力信号に応じた第二電流指令値に対し、第三電流指令値を加算する。そして、加算後のモータ指令電流値に応じて、減速器付電動モータ8が駆動する。そのため、手押し電動ハンディカート1の車体が前方へ倒れるようにピッチ角速度が変化した場合には、手押し電動ハンディカート1の前進速度が増し、ピッチ角速度がゼロに近づくように車体が制御される。一方、手押し電動ハンディカート1の車体が後方へ倒れるようにピッチ角速度が変化した場合には、手押し電動ハンディカート1の前進速度が小さくなり、ピッチ角速度がゼロに近づくように車体が制御される。したがって、手押し電動ハンディカート1の車体が急に倒れることを防止することが可能となる。したがって、使用者Uは安定して手押し電動ハンディカート1を走行させることが可能となる。さらに、ピッチ角度に応じた前進速度の制御が行われないため、使用者Uは所望のピッチ角度で走行させることが可能となる。
[第三実施形態]
図9は、制御基板58の第三実施形態である制御基板58cの構成を表す概略ブロック図である。制御基板58cは、モータ指令電流値制御部101、第一ローパスフィルタ102、前進速度演算器103、ゲインスケジューラ104、第一PI制御器105、加減算器106、加減算器107、第二ローパスフィルタ201、操作力目標値記憶部202、加減算器203、第二PI制御器204、第三ローパスフィルタ205、第三PI制御器206、加減算器207を備える。制御基板58cは、歪みゲージ55から操作力信号を受け、ジャイロセンサ59からヨー角速度信号及びピッチ角速度信号を受ける。また、制御基板58cは、右側の減速器付電動モータ8Rに対し右モータ指令電流値を出力し、左側の減速器付電動モータ8Lに対し左モータ指令電流値を出力する。
制御基板58cは、第一実施形態における制御基板58aの各構成と、第二実施形態における制御基板58bの各構成とを備える。また、加減算器207によって出力される信号が、右暫定電流指令値として加減算器106に入力され、左暫定電流指令値として加減算器107に入力される。
このように構成された第三実施形態の制御基板58cによれば、第一実施形態の制御基板58aによる作用及び効果と、第二実施形態の制御基板58bによる作用及び効果とを実現させることが可能となる。
なお、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述の実施形態に種々の変更を加えたものを含む。
例えば、上述の実施形態では、起歪体47の薄肉部51a,52aに対応する位置に歪みゲージ55を貼付し、この歪みゲージ55によって起歪体47の歪み変形を検出することにより、手押し電動ハンディカート1の走行制御を行う場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、歪みゲージ55に代わって起歪体47の歪み変形を検出可能なセンサを用いてもよい。
また、上述の実施形態では、車体フレーム2の前出フレーム14の前端に設けられた乗り上げ補助装置22を、補助フレーム23と1つの補助輪24とにより構成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、補助輪24に代わって摺動摩擦係数の小さい樹脂プレートなどを用いてもよい。また、補助輪24の個数は1つに限られるものではなく、複数設けてもよい。補助輪24を複数設けることにより、段差乗り上げ時にさらに手押し電動ハンディカート1を安定させることができ、より使い勝手のよい手押し電動ハンディカート1を提供することが可能になる。
さらに、上述の実施形態では、コントローラボックス17の上面17bを前出フレーム14と面一になるように配置し、上面17b上に荷物Nを載置できるように構成した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、左右の前出フレーム14を跨るプレートを設け、このプレートの上面に荷物Nを載置するように構成する一方、プレートの下面にコントローラボックス17を配置するように構成してもよい。このようにすることで、コントローラボックス17の荷物Nを載置することによって受ける衝撃を回避できる。
そして、上述の実施形態では、操舵桿4の前方に配置されたコントローラボックス17内に、バッテリ18、制御基板58、ジャイロセンサ59などが収納されている場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、コントローラボックス17内に少なくともバッテリ18が収納されていればよい。すなわち、少なくとも操舵桿4の前方には、バッテリ18が配置されていればよい。
また、上述の実施形態では、車体フレーム2の左右に車輪3を1つずつ設け、これら車輪3にそれぞれ減速機付電動モータ8を連結した場合について説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、車体フレーム2の左右に、それぞれ減速機付電動モータ8に連結された車輪3が少なくとも1つずつ設けられていればよい。すなわち、例えば、車体フレーム2の左右に、それぞれ従動輪として減速機付電動モータ8に連結されていない複数の車輪3を設けてもよい。
また、上述の実施形態における手押し電動ハンディカート1は、使用者が自身の後方で引っ張って歩くように使用されても良い。
また、上述の実施形態における手押し電動ハンディカート1は、本発明における移動体の一実施例にすぎない。すなわち、上述した第一実施形態〜第三実施形態のいずれかにおける制御基板58(58a〜58c)を搭載し、制御基板58に対して必要な入力(ヨー角速度信号、ピッチ角速度信号、操作力信号)を行い、外力に応じた制御基板58による制御にしたがって走行する移動体であれば、どのような移動体であっても良い。
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
1…手押し電動ハンディカート, 3…車輪 8…減速器付電動モータ(駆動部), 55…歪みゲージ, 59…ジャイロセンサ(角速度センサ), 500…モータ制御部, 501…加減算器, 502…モータPI制御器, 503…モータ駆動回路, 504…モータ電流センサ, 505…車輪駆動モータ, 506…モータ位置検出回路, 507…回転速度演算器, 508…減速器, 58a,58b,58c…制御基板, 101…モータ指令電流値制御部, 102…第一ローパスフィルタ, 103…前進速度演算部(速度演算器), 104…ゲインスケジューラ(制御係数変更器), 105…第一PI制御器, 106,107…加減算器, 201…第二ローパスフィルタ, 202…操作力目標値記憶部, 203,207…加減算器, 204…第二PI制御器, 205…第三ローパスフィルタ, 206…第三PI制御器

Claims (5)

  1. 外力に応じて走行する移動体の車体が回転する際の角速度を検出する角速度センサによって検出された角速度に応じて、前記移動体の駆動部の動作を制御する制御器を備える制御装置。
  2. 前記移動体の移動速度を演算する速度演算器と、
    前記速度演算器によって演算された前記移動速度に応じて、前記制御器における制御の係数を変更する制御係数変更器と、
    をさらに備え、
    前記制御器は、前記制御係数変更器によって変更された係数に基づいて前記駆動部の動作を制御する、
    請求項1に記載の制御装置。
  3. 前記角速度センサは、鉛直方向に伸びる軸を中心とした回転における角速度を検出し、
    前記制御器は、前記角速度に応じて、前記移動体の旋回動作を制御する
    請求項1又は2に記載の制御装置。
  4. 前記角速度センサは、鉛直方向に伸びる軸及び進行方向に水平に伸びる軸に直交した軸を中心とした回転における角速度を検出し、
    前記制御器は、前記角速度に応じて、前記移動体の前記進行方向への速度を制御する
    請求項1に記載の制御装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の制御装置と、
    前記制御装置による制御に応じて駆動する駆動部と、
    車体フレームと、
    を備える移動体。
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