JP2012063121A - ターボ冷凍機及びターボ冷凍機の改造方法 - Google Patents

ターボ冷凍機及びターボ冷凍機の改造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ガイドベーン制御をする冷凍機に回転速度制御を付加した冷凍機、特に既設のガイドベーン制御をする冷凍機を改造してガイドベーン制御と回転速度制御の両方を行えるようにし、省エネルギー化を図ったターボ冷凍機及びターボ冷凍機の改造方法を提供する。
【解決手段】 冷媒液を蒸発させて冷媒ガスを発生し、蒸発潜熱で被冷却媒体を冷却する蒸発器10と、前記冷媒ガスを吸入して圧縮する羽根車23と、羽根車23の入り口に設けられ、開度が可変のガイドベーン25を有するターボ圧縮機20と、ターボ圧縮機20で圧縮した冷媒ガスから熱を奪い、前記冷媒ガスを凝縮する凝縮器30と、ターボ圧縮機20を駆動する可変速駆動機21と、ガイドベーン25の開度を調節して冷凍出力を制御する第一の制御部70b−1と、可変速駆動機21の回転速度を調節してガイドベーン25の開度を所定の設定開度に制御する第二の制御部70b−2とを備えるターボ冷凍機。

【選択図】 図5

Description

本発明は、ガイドベーン制御をする冷凍機に回転速度制御を付加した冷凍機に関し、特に既設のガイドベーン制御をする冷凍機を改造してガイドベーン制御と回転速度制御の両方を行えるようにし、省エネルギー化を図ったターボ冷凍機及びターボ冷凍機の改造方法を提供するものである。
従来、冷水を製造する蒸発器、システム内に取り込んだ熱を冷却水に放熱する凝縮器、システムを構成するために必要な昇圧装置である圧縮機を基本構成要素とする蒸気圧縮式冷凍機がある。このような冷凍機では、ガイドベーンを全開とし、インバータによる回転速度制御により冷凍容量(冷凍出力)を制御するインバータ制御と、ガイドベーン開度の増減により冷凍容量を制御するガイドベーン制御とを併用していた。それは、一般にガイドベーン開度を下げて冷凍容量(圧縮冷媒蒸気量)を抑制することに比べて、回転速度を下げて抑制したほうが、効率低下の度合いが小さく、一方、ガイドベーンで冷凍容量を制御する場合は、低容量において効率の低下はあるもののサージングが起こりにくいという特徴があるからである。
そのような観点から、ガイドベーン制御とインバータ制御とを併用し、両制御を状況によって切り替えて運転する冷凍機があった(例えば特許文献1参照)。
特開2006−234320号公報(段落0014、0024、図7等)
しかし、従来はターボ冷凍機の可変速制御を行おうとする場合、多くは新設機に限られていた。その理由としては、以下のようなものが挙げられる。第一に、ガイドベーン制御装置を備える既設機は一般に制御系も古い技術で構成されており、回転速度制御のような高度な制御を行うためには、制御装置一式の交換が必要となる場合が多い。そのための制御系の開発には多大な費用と労力が必要であるが、旧式の装置を改造するという、決して価格的に評価されにくい作業に対して、開発投資の回収が見込めない。
第二に、ガイドベーン制御装置を備える既設機は幾多のモデルチェンジを経ていることが多いために千差万別であり、現場毎に種々の検討や計画が必要となる。そのため、見積だけでも多大な労力が必要になり、事業として引き合わない。特に、既設機は現場毎にオプション対応をしていることが多く、それらオプションを含めて再度制御盤を設計し直すには設計コストが多大となる。
第三に、回転速度制御は種々のパラメータを最適に制御するために微調整が必要である。新設機であれば、試験機により最適なパラメータの検証を行い、低いリスクで装備して出荷できるが、改造した既設機では十分な検証を行うことが難しい。したがって、現場毎のチューニングに多大な労力を要し、さらに設定が不適切であった場合にトラブルを発生するリスクを考えると実行は困難を極める。
そこで本発明は、ガイドベーン制御をする冷凍機に回転速度制御を付加した冷凍機、特に既設のガイドベーン制御をする冷凍機を改造してガイドベーン制御と回転速度制御の両方を行えるようにし、省エネルギー化を図ったターボ冷凍機を容易に提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るターボ冷凍機は、例えば図1に示すように、冷媒液を蒸発させて冷媒ガスを発生し、蒸発潜熱で被冷却媒体を冷却する蒸発器10と;前記冷媒ガスを吸入して圧縮する羽根車23と、羽根車23の入り口に設けられ、開度が可変のガイドベーン25を有するターボ圧縮機20と;ターボ圧縮機20で圧縮した冷媒ガスから熱を奪い、前記冷媒ガスを凝縮する凝縮器30と;ターボ圧縮機20を駆動する可変速駆動機21と;ガイドベーン25の開度を調節して冷凍出力を制御する第一の制御部70b−1(例えば図5参照)と;可変速駆動機21の回転速度を調節してガイドベーン25の開度を所定の設定開度に制御する第二の制御部70b−2(例えば図5参照)とを備える。
本態様のように構成すると、第一の制御部を備えるので、ガイドベーン制御により冷凍容量を制御することができ、第二の制御部を備えるので、速度制御によりガイドベーンの開度を所定の設定開度に制御することができ、速度制御により冷凍容量を直接制御することなく、回転速度を適切な回転速度として、効率のよいターボ冷凍機を提供することができる。特に既設のターボ冷凍機の効率改善が容易にできるという利点を有する。なお、ガイドベーンの開度は、蒸発器により処理する冷凍負荷に応じて調節されるが、具体的には例えば蒸発器の被冷却媒体の出口温度に応じて調節される。
本発明の第2の態様に係るターボ冷凍機では、第1の態様に係るターボ冷凍機において、第二の制御部70b−2が回転速度SPを調節する応答速度を、第一の制御部70b−1がガイドベーン25の開度GVを調節する応答速度よりも遅くするとよい。
本態様のように構成すると、第二の制御部が回転速度を調節する応答速度を、第一の制御部がガイドベーンの開度を調節する応答速度よりも遅くするので、制御の安定化を図ることができる。
本発明の第3の態様に係るターボ冷凍機では、例えば図6又は図8に示すように、第1又は第2の態様に係るターボ冷凍機において、第二の制御部70b−2は、回転速度SPに下限値である最低回転速度を設定し、前記最低回転速度より低くならないように調節する。
本態様のように構成すると、回転速度に下限値である最低回転速度を設定し、ターボ圧縮機の回転速度が前記最低回転速度より低くならないように調節するので、ターボ圧縮機がサージングを起こすのを防止することができる。
本発明の第4の態様に係るターボ冷凍機では、例えば図5又は図7に示すように、第3の態様に係るターボ冷凍機において、第二の制御部70b−2は、蒸発器10の運転条件PLと凝縮器30の運転条件PHとから理論回転速度を算出し、前記算出した理論回転速度に基づいて、前記最低回転速度を定める、最低回転速度演算器73−2を備える。
本態様のように構成すると、蒸発器の運転条件と凝縮器の運転条件とから理論回転速度を算出し、前記算出した理論回転速度に基づいて、前記最低回転速度を定める、最低回転速度演算器を備えるので、それぞれの運転条件に応じた最低回転速度を定めることができ、効率の良い回転速度制御装置を、条件に応じたできるだけ広い範囲で活用することができる。
本発明の第5の態様に係るターボ冷凍機では、例えば図2、図5、図7に示すように、第4の態様に係るターボ冷凍機において、前記最低回転速度の設定の条件に、ガイドベーン25の開度GVを加える。
本態様のように構成すると、最低回転速度の設定の条件に、ガイドベーンの開度を加えるので、ガイドベーンの開度により僅かながらも変化する最低回転速度を補正することが可能となる。したがって、最低回転速度を安全を見た高めの値に設定することなく、条件に応じた最適な値とすることが可能となる。いいかえれば、効率の良い回転速度制御装置を、条件に応じたできるだけ広い範囲で活用することができる。
本発明の第6の態様に係るターボ冷凍機では、例えば図1に示すように、第3乃至第5の態様のいずれか1の態様に係るターボ冷凍機において、ガイドベーン25の開度GVを検出するガイドベーン検出器15と;ターボ圧縮機20の吸込圧力を検出する吸込圧力検出器P1と;ターボ圧縮機20の吐出圧力を検出する吐出圧力検出器P2とを備え;第二の制御部70b−2は、吸込圧力検出器P1で検出した吸込圧力と、吐出圧力検出器P2で検出した吐出圧力とに基づいて、前記最低回転速度を演算し、ガイドベーン検出器15で検出したガイドベーン開度に基づいて、前記演算した最低回転速度を補正して該補正した最低回転速度を前記下限値である最低回転速度とするように構成される。
本態様のように構成すると、第二の制御部は、吸込圧力と、吐出圧力とに基づいて、前記最低回転速度を演算し、ガイドベーン開度に基づいて、前記演算した最低回転速度を補正して該補正した最低回転速度を前記下限値である最低回転速度とするので、効率の良い回転速度制御装置を、条件に応じたできるだけ広い範囲で活用することができる。
本発明の第7の態様に係るターボ冷凍機の改造方法では、例えば図1に示すように、冷媒液を蒸発させて冷媒ガスを発生し、蒸発潜熱で被冷却媒体を冷却する蒸発器10と、前記冷媒ガスを吸入して圧縮する羽根車23と羽根車23の入り口に設けられ開度が可変のガイドベーン25を有するターボ圧縮機20と、ターボ圧縮機20を駆動する電動機21と、ターボ圧縮機20で圧縮した冷媒ガスから熱を奪い前記冷媒ガスを凝縮する凝縮器30と、ガイドベーン25の開度を調節して冷凍容量を制御する第一の制御部70b−1とを有するターボ冷凍機を改造する方法であって;電動機21に、周波数を変換して駆動電力を供給するインバータ80を接続する工程と;インバータ80の周波数を調節してガイドベーン25の開度を所定の設定開度に制御する第二の制御部70b−2を付加する工程と;前記第二の制御部70b−2にガイドベーン25の開度GVを伝える信号線を接続する工程とを備える。
本態様のように構成すると、既設のターボ冷凍機を改造してガイドベーン制御と回転速度制御の両方を行えるようにし、省エネルギー化を図ったターボ冷凍機を提供することができる。
本発明によれば、ガイドベーン制御をする冷凍機に回転速度制御を付加した冷凍機を提供することができ、特に既設のガイドベーン制御をする冷凍機を改造してガイドベーン制御と回転速度制御の両方を行えるようにし、省エネルギー化を図ったターボ冷凍機を容易に提供することができる。
本発明の第一の実施の形態にかかるターボ冷凍機の構成を示す全体概略図である。 第一の制御部と第二の制御部を有する制御手段を示すブロック図である。 ターボ圧縮機の回転速度を変えてターボ冷凍機の容量を制御した場合の特性(冷却水入口温度と冷凍容量比の関係)を示す図である。 冷却水入口温度とターボ圧縮機の回転速度(インバータ周波数)の関係及び冷却水入口温度とサージング限界の仕事の関係を示す図である。 第一の実施の形態の制御装置の実例を示す、制御ブロック図である。 ガイドベーン開閉演算器の内部フローの一例を示す図である。 第二の実施の形態の制御装置の実例を示す、制御ブロック図である。 ガイドベーン開閉演算器の内部フローの別の例を示す図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において、互いに同一又は相当する部分には同一又は類似の符号を付し,重複した説明は省略する。
図1の本発明の実施の形態であるターボ冷凍機101を示す全体概略構成図を参照して、本発明の第一の実施の形態を説明する。本図に示す冷凍機はターボ冷凍機、すなわちターボ圧縮機(遠心圧縮機)を使った蒸気圧縮式冷凍機である。ターボ冷凍機101は、冷媒液を蒸発させて冷媒ガスを発生し、その蒸発潜熱で被冷却媒体である冷水を冷却する蒸発器10と、蒸発器10で発生した冷媒ガスを吸入して圧縮し、蒸発器10から凝縮器30まで冷媒ガスを昇圧、圧縮するターボ圧縮機20とを備える。凝縮器30は、圧縮された冷媒ガスから熱を奪い、これを凝縮し、凝縮熱を冷却水に放出する。凝縮器30と蒸発器10間には、凝縮器30から蒸発器10の圧力まで冷媒液を減圧する絞り機構(減圧装置)40を備える。
さらに、ターボ圧縮機20を駆動する可変速駆動機としての電動機21と、電動機21の起動・停止に使用する電動機起動盤60と、商用電源75から供給される電源の周波数を自在に制御して電動機21に供給するインバータ80と、電動機21に供給される電源の周波数を指示する速度指令信号C1をインバータ80に対して出力してターボ冷凍機101の運転を制御する制御手段70aと、蒸発器10の冷水出口温度TLを検出する冷水温度検出器13と、凝縮器30の冷却水入口温度THを検出する冷却水温度検出器14と、蒸発器10内の冷媒の圧力(低圧側圧力)PLを検出する低圧側圧力検出器P1と、凝縮器30内の冷媒の圧力(高圧側圧力)PHを検出する高圧側圧力検出器P2と、を備えて構成されている。冷水温度検出器13は、蒸発器10の冷水出口配管11に設置される。
電動機21は、周波数変換器(スイッチングインバータ、以下「インバータ」という)80により周波数が変換される電源で駆動されることにより、可変速駆動機として作用する。ターボ圧縮機20、増速機、電動機21を含む回転体の回転速度SPを、主軸の危険回転速度等により定まる最高回転速度以下の速度で、任意に変更することができる。最高回転速度のリミットは、制御手段70a内又はインバータ80内でかけるとよい。
なおターボ圧縮機20は、ケーシング内に遠心式の単段又は多段の羽根車23を内蔵し(図示は単段)、その吸込み側にガイドベーン25を設置し、また電動機21と羽根車23の間に歯車機構等からなる増速装置を設置して構成されている。遠心式の羽根車23の吸い込み側は、軸方向に向いており、冷媒ガスを軸方向に吸い込む。
冷凍負荷が設計値であり、それに対応する冷凍容量が設計値のときは、冷媒ガスは軸方向に流入している。羽根車23と冷媒ガスの流れの関係を表わす速度三角形(羽根車23に対する相対速度を表わす)(不図示)で見ると、冷媒ガス流入方向と羽根車23の入り口角度とは一致しており損失は最小限に抑えられる。ところが、冷凍負荷が低下し部分負荷になると、それに応じて制御される結果、冷凍容量が低下し、軸方向に流入している冷媒ガスの体積流量が減少する。結果として、流入方向と羽根車23の入り口角度とに偏差が生じる。その結果、ターボ圧縮機の効率が低下し、ヘッド発生能力も低下する。ガイドベーン25を備えるときは、これを開閉することにより冷媒ガスの流入方向を調整する。その結果、速度三角形上で冷媒ガスの羽根車23への流入方向を、羽根車23の入り口角度と一致させることができ、効率低下を抑制することができる。また発生するヘッドの低下もほとんど生じない。このようにして、ガイドベーン25による制御では、少なくとも開度があまり小さくない範囲では、発生するヘッドの低下を生じさせることなく、吸い込む冷媒ガスの体積流量を調節することができる。したがって後述のサージング現象を抑えながら、冷凍容量を増減することができる。
但し、ガイドベーン開度GVが小さくなると、吸い込みガスを希薄化して、流入冷媒ガスの質量流量を調節するダンパ制御に近くなる。言い換えれば、ターボ圧縮機20は吸込みガイドベーン25が全開の状態で所定の吸込み能力及び仕事が得られるように設計するものであるから、吸込みガイドベーン25によって吸込み能力が減少する方向に動作すれば当然ターボ圧縮機20の効率は設計状態の運転に比較して低下し、この結果ターボ冷凍機101の省エネルギー運転の効果は低下する。
また、ガイドベーン25の開度GVが小さいときは、ダンパによる圧力損失分に相当するヘッドの低下を伴うので、サージング現象の抑制効果は低下する。この問題には、後述の設定回転速度の補正で対処することができる。
ターボ圧縮機20の吐出管は凝縮器30に接続され、ターボ圧縮機20の吸込み管は蒸発器10に接続されている。なお低圧側圧力検出器P1は蒸発器10に設置する代りにターボ圧縮機20の吸込み側(吸込み管)に設置してその吸込み圧力を検出するようにしても良い。また高圧側圧力検出器P2は凝縮器30に設置する代わりにターボ圧縮機20の吐出側(吐出管)に設置してその吐出圧力を検出するようにしてもよい。
本発明の実施の形態では、ガイドベーン開度が後述の目標値(全開付近の開度)にあるときは、回転速度SPにより冷凍容量が制御されていると見ることができる。そこで、回転速度SPによる冷凍容量制御について説明する。ターボ圧縮機20の発生するヘッドHと羽根車23の吸込ガスの体積流量との関係を示す、性能曲線(HVカーブ)(不図示)においては、ヘッドHは羽根車23の回転速度SPの2乗に比例し、体積Vは回転速度SPに比例する。一方ターボ冷凍機101では、蒸発器10の蒸発温度(あるいは蒸発圧力)と凝縮器30の凝縮温度(あるいは凝縮圧力)で決まる必要ヘッドがある。したがって、ターボ圧縮機20が発生するヘッドHが前記必要ヘッド以下になるとサージング現象が起きる。そのヘッドHに対応する回転速度以下にターボ圧縮機20の回転速度を下げることはできない。ここでは、この回転速度を「最低回転速度」と呼ぶことにする。
制御手段70aは、前記冷水温度検出器13が検出した冷水出口温度TLを表わす冷水出口温度信号S1と、低圧側圧力検出器P1が検出した低圧側圧力PLを表わす低圧側圧力信号S7と、高圧側圧力検出器P2が検出した高圧側圧力PHを表わす高圧側圧力信号S8と、ガイドベーン開度GVを表わすガイドベーン開度信号S3を入力し、これらの検出信号に基づいてインバータ80に速度指令信号(インバータ回転速度調節信号)C1を出力する。また、ガイドベーン25にその開閉用のガイドベーン開度調節信号C2を出力する。制御手段70aの詳細は後述する。
なお、後述の最低回転速度演算器では、蒸発器10の運転条件としての低圧側圧力信号S7(PL)と凝縮器30の運転条件としての高圧側圧力信号S8(PH)とに基づいて最低回転速度LOWSPを演算するが、その代わりにやはり蒸発器10の運転条件としての冷水出口温度TLを表わす冷水出口温度信号S1と冷却水温度検出器14が検出した、凝縮器30の運転条件としての冷却水入口温度THを表わす冷却水入口温度信号S2とに基づいてもよい。詳細は後述する。
以上のように構成されたターボ冷凍機101においては、蒸発器10とターボ圧縮機20と凝縮器30と減圧装置40で冷媒が蒸発、加圧圧縮、凝縮、及び減圧を繰り返して冷凍サイクルが構成される。本発明の実施の形態では、ターボ冷凍機101の制御手段70aは負荷を監視し、負荷の増減に合わせてガイドベーンの開度GVを増減する。これをここでは「負荷制御」と呼ぶ。
本実施の形態のターボ冷凍機101において、制御手段70aは、冷水温度検出器13から、冷水出口温度TLを受信する。本実施の形態では、冷水温度検出器13は冷水出口配管11に設けられているので、S1は冷水出口温度TLを示す信号である。一方、制御手段70aには、冷水出口設定温度SETTLが設定されている。制御手段70aからは、ガイドベーンの開度を調節するガイドベーン開度調節信号C2がガイドベーン25を駆動するガイドベーンモータに向けて出力される。冷水出口温度TLには、冷凍負荷の増減が最も直接的に反映される。すなわちターボ冷凍機101が安定して運転されているとき、冷凍負荷が増えると冷水出口温度TLは上昇する。負荷制御により、これが冷水出口設定温度SETTLになるように制御されるのである。
また制御手段70aは、前述のように、蒸発器10に設置された圧力検出器P1から圧力信号S7(PL)と、凝縮器30に設置された圧力検出器P2から圧力信号S8(PH)と、ガイドベーン25に設置されたガイドベーン開度検出器15からガイドベーン開度信号S3(GV)を受信する。そして、ガイドベーン25の開度GVを調節するガイドベーン開度調節信号C2を出力する。
図2のブロック図を参照して、制御手段70aの構成と作用を詳細に説明する。制御手段70aは、第一の制御部としての負荷制御装置70aー1の部分を備える。負荷制御装置70aー1は、ガイドベーン制御装置72を有する。ガイドベーン制御装置72には、冷水出口温度信号S1(TL)が入力される。また冷水出口設定温度SETTLが設定されている。冷水出口設定温度SETTLは、信号S6として与えてもよいし、設定ダイヤルやキーボード等から人為的に与えてもよい。ガイドベーン制御装置72からは、制御信号であるガイドベーン開度調節信号C2をガイドベーン25(ガイドベーンモータ)に送信する。
ガイドベーン制御装置72は、比例制御装置(P)、比例積分制御装置(PI)、あるいは比例積分微分制御装置(PID)のいずれであってもよい(図5参照)。比例制御装置であるときは、簡易な制御装置となる。多少のオフセットは残るが、空調ではあまり問題とならない。典型的には、比例積分制御装置とする。このときは、オフセットが残らず、冷水出口温度TLを冷水出口設定温度SETTLに一致させる制御が可能となる。比例積分微分制御装置とするときは、変化を先取りして制御できるので早い応答が可能となる。
制御手段70aは、さらに第二の制御部としての回転速度制御装置70a―2の部分を備える。回転速度制御装置70a―2は、インバータ制御装置71を有する。インバータ制御装置71には、ガイドベーン開度信号S3(GV)が入力される。
電動機21の回転速度とターボ圧縮機20の回転速度は、定数である増速機の増速比だけの差があるだけで、完全な対応関係にある。したがって、電動機21の回転速度を調節すると言うときは、ターボ圧縮機20の回転速度を調節すると同義である。さらには、インバータ80の周波数を使ってもよい。実質的に電動機21の回転速度に対応するからである。以下、単に「回転速度」というときは、ターボ圧縮機20の回転速度(羽根車23の回転速度)、電動機21の回転速度、インバータの周波数を意味する。また回転速度の代わりに、適宜、速度比(回転速度/最低回転速度)で説明する場合もある。
制御手段70aは、さらに最低回転速度演算装置73を備える。最低回転速度演算装置73は、ターボ圧縮機20がサージングを起こさずに運転できる最低回転速度を演算する。インバータ制御装置71には、ガイドベーン設定開度SETGVを表わす信号S9が送られる。最低回転速度演算装置73には、低圧側圧力信号S7(PL)、高圧側圧力信号S8(PH)及びガイドベーン開度信号S3(GV)が入力する。
本図で理解できるように、第一の制御部としての負荷制御装置70aー1と第二の制御部としての回転速度制御装置70a―2とは、ターボ圧縮機20及びインバータ80を介する信号の入出力で結びつけられているものの、ハードウエアとしては分離可能である。すなわち、既設のガイドベーン制御装置72を含む負荷制御装置70a−1に、インバータ制御装置71を含む回転速度制御装置70a−2を後付けで追加が可能である。
図3を参照して、ターボ圧縮機20すなわち遠心式の圧縮機に特有のサージング現象を説明する。この性能カーブ自体は従来技術と変わらない。本実施の形態を構成するターボ冷凍機を回転速度制御する場合のサージング限界を理解するために示すものである。本図は、パラメータを回転速度比とし、ターボ圧縮機20の回転速度SPを変えてターボ冷凍機101の冷凍容量を制御した場合の特性(冷却水入口温度THと冷凍容量比の関係)を示す図である。ここで回転速度比は圧縮機の回転速度の定格回転速度に対する百分率(%)であり、冷却水温度が約32℃、冷凍容量比が1.0のときにほぼ100%となる。
本図から分かるように、冷却水の温度THが低下すればターボ圧縮機20の回転速度を下げて冷凍容量制御運転が可能であるが限界値があることも示している。例えば、冷却水温度が32℃の場合に注目すると、回転速度が約100%で冷凍容量比は1.0となる。回転速度を91.5%まで下げると、冷凍容量比は約0.71となる。しかしながら、ここでサージング限界線に達する。即ち冷却水入口温度32℃一定の条件下で負荷が減少すれば、冷凍容量比が約0.71までは、ターボ圧縮機20の回転速度SPを下げることにより対応可能であるが、ここでサージング限界線に達してターボ圧縮機20の安定運転が不可能な領域に入る。この限界回転速度が、冷却水温度が32℃のときの最低回転速度である。
図4の線図を参照して、サージング限界線ひいてはある状態における「最低回転速度」を求める方法を説明する。本図は、ガイドベーン25が全開の状態における、冷却水入口温度THとターボ圧縮機20の回転速度(インバータ周波数)%の関係、及び冷却水入口温度THとサージング限界の仕事の関係を示す図である。
本発明の実施の形態では、ターボ圧縮機20の最低回転速度は、限界回転速度に基づいて最低回転速度演算装置73により演算され決められる。この境界である限界回転速度は、本実施の形態では先ず蒸発器10内の圧力(又はターボ圧縮機20の吸込み圧力)(圧力信号はS7(PL))、及び凝縮器30内の圧力(又はターボ圧縮機20の吐出圧力)(圧力信号はS8(PH))の二点の情報だけで決定される。即ちターボ圧縮機20の仕事を等温仕事で表示すれば低圧側、高圧側の圧力をそれぞれPL、PHとして仕事Wcは、
Wc=PL×V1×Log(PH/PL) …式(1)
となる。ここでV1はターボ圧縮機吸込みの比容積であり、PL×V1の値はターボ冷凍機101の起動時を除き運転中にほとんど変化はない。即ちPL×V1はターボ冷凍機101の仕様が決まれば常数として設定可能であり、ターボ圧縮機20の限界仕事は低圧側と高圧側の二点の圧力PL、PHを検出すれば算出可能である。
これによってターボ圧縮機101の推奨回転速度及びこれに対応するサージング限界線が冷却水の温度(この例では冷却水入口温度TH)によって単純に決定できることが分かる。図4で示す直線関係は、容量制御特性を示す図3中のサージング限界線上の回転速度SP及びこの位置でのターボ圧縮機20の運転状態から容易に導けるもので、圧力PL、PHの他に冷却水温度THを検知すればこれによってターボ冷凍機101の安定運転領域を決定できることを示している。なお冷却水温度として冷却水入口温度をとったが、出口温度であってもよい。ただし、出口温度は運転中のターボ冷凍機の冷凍負荷により敏感に上下するのに対して、入口温度は運転中のターボ冷凍機のそのときの冷凍容量に直接影響をうけず、冷却塔等から供給される温度そのものなので安定しており、サージング限界を求めるのに、より適している。
以上が、ターボ圧縮機20の回転速度を下げて制御する運転における、サージングを避けるための最低回転数という限界値である。
図2に戻って制御手段70aによる制御を説明する。以上のことからこのターボ冷凍機101において、冷凍負荷の増減を判断して冷凍容量制御を行う手法として、冷水温度検出器13によって冷水出口温度TLを検出しその冷水出口温度信号S1を制御手段70aのガイドベーン制御装置72に送る。この温度TLが目標値SETTL(冷水出口設定温度)になるように、ガイドベーンの開度GVを調節する。冷凍機では負荷の大小を冷水温度により判断することが多く、特に冷水出口温度TLによって判断する。
本発明の実施の形態のターボ冷凍機101は、ターボ圧縮機20のガイドベーン25の開度GVがガイドベーン設定開度SETGVになるように回転速度SPを調節する制御手段として、第二の制御部である回転速度制御装置70a−2を備える(インバータ制御装置71を含む)。インバータ制御装置71は、ガイドベーン25が全開近くの開度であるガイドベーン設定開度SETGVになるようにターボ圧縮機20の回転速度SPを調節する。ガイドベーン設定開度SETGVについては後述する。
最低回転速度演算器73については、図5を参照して詳述する。
このシステムにおいては、中間期等で季節的に冷却水温度THが低くなると、まずガイドベーン制御装置72が働いて冷凍容量を絞る。ガイドベーン25の開度GVがガイドベーン設定開度SETGVよりも閉側に動くと、インバータ制御装置71がガイドベーン開度GVをガイドベーン設定開度SETGVに維持するべく、回転速度SPを低下させる。回転速度SPが低下すると、冷凍機の出力が低下するので、これを補償するようにガイドベーン開度GVが増加し、最終的にガイドベーン設定開度SETGVとなる。一方、さらに負荷が小さい場合、続けてガイドベーン開度GVの低下、回転速度SPの低下、ガイドベーン開度GVの増加(復元)、の繰り返しとなる。ついには最低回転速度LOWSPまで落ちたところで、それ以下に回転速度を下げることはできないので、この最低回転速度LOWSPで運転が継続される。その状態でさらに冷凍負荷が低下するか、あるいは冷却水温度が低下(凝縮温度Tcが低下)すると、冷凍容量を下げるために、ガイドベーン制御装置72が働き、ガイドベーン25の開度GVが閉側に動いて行く。インバータ制御装置71も稼働状態にあるが、回転速度SPが回転速度LOWSPにまで落ちているので、事実上ガイドベーン制御装置72だけが働いていることと同じになり、ガイドベーン制御装置72だけにより冷凍容量が制御される状態が続く。
逆にガイドベーン25がある程度閉の状態で運転している際に、冷凍負荷が増えてゆくと、ガイドベーン25は開側に動き、ついにはガイドベーン設定開度SETGVに至る。そのときはまだターボ圧縮機20の回転速度SPは最低回転速度LOWSPのままである。さらに冷凍負荷が増えると、ガイドベーン制御装置72によりガイドベーン25の開度GVが開側に動いて行く。するとインバータ制御装置71が、ガイドベーン開度GVをガイドベーン設定開度SETGVに維持するように、回転速度SPを調節し、上昇させる。このときは、事実上回転速度制御だけが働いていることと同じになり、インバータ制御装置(回転速度制御部)71により冷凍容量が制御される状態が続く。
本実施の形態では、インバータ制御装置71の応答速度は、ガイドベーン制御装置72の応答速度よりも遅く設定される。言い換えれば、インバータ制御装置71の時定数は、ガイドベーン制御装置72の時定数よりも長く設定される。したがって、冷凍負荷の変化あるいは冷却水温度の変化には、先ずガイドベーン制御装置72が応答して、ガイドベーン開度GVを調節することにより冷凍容量が制御される。したがって、例えば既設のガイドベーン制御装置を備えたターボ冷凍機をインバータ制御装置付きに改造したときは、改造前と同様に制御装置が働き、それにインバータ制御が加わった形となり、成績係数が改善される。
本発明の実施の形態であるターボ冷凍機の重要な特徴として、「ターボ圧縮機20の回転速度は、ガイドベーン開度GVに追従する」点があげられる。すなわち、本実施の形態のターボ冷凍機101では、従来のターボ冷凍機と違って、ガイドベーン25の開度GVを調節して冷凍容量を制御するガイドベーン制御と回転速度SPの調節によりガイドベーン25の開度GVを制御する回転速度制御とは両方とも常に活きており、両制御の間で、モード切り替えをすることがない。したがって、モード切り替えに伴って起こりがちな、頻繁に2つのモードを行き来する現象を抑えることができ、安定した制御が可能となる。モードの切り替えがないので、切り替えられるとすればその瞬間に起こりがちなターボ冷凍機の応答速度や各種定数の変化も問題とならず、ターボ冷凍機の挙動の変化の心配もない。
以上の実施の形態では、最低回転速度演算装置73には、低圧側圧力信号S7(PL)と高圧側圧力信号S8(PH)とを入力する場合で説明したが、それぞれ蒸発器10の蒸発温度信号と凝縮器30の凝縮温度信号を入力してもよい。また冷水出口温度信号S1(TL)と冷却水入口温度信号S2(TH)をそれぞれ入力してもよい。厳密に言えば、冷水出口温度TLと冷却水入口温度THでは、サージング限界が実際の限界から多少ずれるが、蒸発器10と凝縮器30の蒸発圧力・凝縮圧力、あるいは蒸発温度・凝縮温度の検出器を省略でき、装置が簡易になる。この場合、冷凍容量を検出するために用いる冷水出口温度検出器13を最低回転速度演算に兼用することができる。
最低回転速度を、蒸発器10の蒸発圧力(低圧側圧力PL)と凝縮器30との凝縮圧力(高圧側圧力PH)により演算するのがよいとしたが、具体的には、あらかじめ冷媒の特性により、いくつかの圧力差に応じた最低回転速度を計算して制御手段70aの記憶部に記憶させておき、演算された圧力比における最低回転速度を記憶部から取り出して演算するとよい。なお、このときにベーン開度GVによりこの最低回転速度に補正をかけることとしてもよい。すなわち、ベーン開度GVが小さい場合にはサージングが発生しやすくなるので、ベーン開度GVに応じて、あらかじめ最低回転速度を高くしてもよい。
図5の制御ブロックダイアグラムを参照して、第一の実施の形態のターボ冷凍機101の制御を説明する。制御手段70bは、制御手段70aを具体的に展開した実例である。制御手段70b及びこれを構成する演算器類は、実務的にはプログラマブルコントローラー内に論理回路や記述言語などにより仮想的に設けるとよい。ここでは、制御手段70bはPID演算器により、冷水出口温度TLを監視し、これを一定に保つようにターボ圧縮機101のベーン開度GVを調節する。
本実施の形態では、制御手段70bは第一の制御部としての負荷制御装置70b−1と第二の制御部としての回転速度制御装置70b−2を含んで構成される。負荷制御装置70b−1はガイドベーン制御装置72を含み、ガイドベーン制御装置72はPID演算器72−1を有して構成されている。
ベーン開閉演算器(図5ではPID演算器)72−1には、冷水温度TLを表わす信号S1と冷水出口設定温度SETTLを表わす信号S6が入力される。
また、ガイドベーン制御装置72は、PID演算器72−1とサーボ演算器72−2を有する。前述のように、サーボ演算器72−2がベーン25の指令開度SGVと実開度GVとを比較演算し、ベーン開度GVを略指令開度SGVとするように動作する。このようにして、ガイドベーン制御装置72は、受信した冷水温度TLが冷水出口設定温度SETTLになるようにガイドベーン開度調節信号C2をガイドベーンモータMに送信する。ガイドベーン開度調節信号C2は例えば比例速度信号に応じた時間だけ送信される。このようにして、ガイドベーン制御装置72は、ガイドベーン25の開度GVを時間比例制御により制御する。
具体的には、冷水出口温度TLが目標温度である冷水出口設定温度SETTLになるように、ここで目標温度により連続的にPID演算を行い、「指令開度SGV」(図中、信号はC2−1)を決定する。
なお、冷水出口温度TLに代えて冷水入口温度、外部からの設備側の状態信号など、設備側の負荷の増減を代表する量であれば何により制御してもよい。ただし、冷水出口温度TLとすれば設備側の負荷の増減に冷凍機が対応できているかを最も顕著に検出できる。また冷水出口配管11に設置した温度検出器13で容易に、かつ確実に検出することができ都合がよい。また、演算もPID制御ではなく、ターボ冷凍機20の負荷制御に用いられる演算方式であればどの方式でも同等の効果を得ることができる。各制御方式の特徴、効果は既に説明した通りである。既設のターボ冷凍機を改造する場合は、このガイドベーン制御装置は、既設の冷凍機の負荷制御装置であり、従来技術とは特段の相違はないであろう。ここまでを既設の冷凍機の制御装置により行っても問題はない。
回転速度制御装置70b−2は、インバータ制御装置71と最低回転速度演算装置73とを含む。本実施の形態では、インバータ制御装置71は加速減速演算器71−1を有して構成されている。加速減速演算器71−1には、ベーン開度GV(信号はS3)が入力される。またベーン開度GVの目標値であるガイドベーン設定開度SETGV(信号はS9)が設定されている。さらに既に説明した最低回転速度LOWSPが補正演算器73−4を経由して入力される(補正された補正最低回転速度LOWSP2(信号はS5a))。この入力される最低回転速度は実際には先に説明したように、さらに余裕(例えば1.01倍)を持たせた値とする。このようにして、ガイドベーン25の開度GVが目標値であるガイドベーン設定開度SETGVになるように、ここで連続的に、ベーン開度GVとベーン開度の目標値SETGVとの比較演算を行い、指令回転速度(図中、信号はC1)を決定する。本実施の形態では、加速減速演算器71−1は、規定時間おきに回転速度の加速減速の判断を行う。
最低回転速度演算装置73は、PH/PL演算器73−1と最低回転速度演算器73−2を有し、PH/PL演算器73−1が低圧側圧力信号S7、高圧側圧力信号S8を受信して最低回転速度演算器73−2に送り、ここで最低回転速度を求め回転速度LOWSPを演算する。また、ガイドベーン開度信号S3(GV)を使って、最低回転速度を補正する。最低回転速度演算器73からは、演算された最低回転速度を表わす最低回転速度信号S5aがインバータ制御装置71に送られる。なお最低回転速度演算器73−2が演算した最低回転速度をLOWSP1、補正演算器73−4で補正された補正最低回転速度をLWOSP2とし、さらに後述の余裕を持たせた最低回転速度をLOWSP3とするが、特に区別する必要がないとき、あるいは総括的に呼ぶ場合は、単にLOWSPとする。
最低回転速度演算装置73をさらに具体的に説明する。最低回転速度演算器73−2は、PH/PL演算器73−1で計算した比(PH/PL)を元に、予め計算された演算テーブル73−3を参照して、最低回転速度を仮計算する。すなわち最低回転速度LOWSP1が求まる。最低回転速度LOWSP1は、低圧側圧力PLと高圧側圧力PHでほぼ決めることができるが、先に説明したように、ガイドベーン25が全開から閉方向に動くにつれて、わずかながら高くなる。そこで、ガイドベーン開度GVを基に、補正演算器73−4で、ガイドベーン25が低開度の場合に開度GVに応じた係数を最低回転速度LOWSP1に乗じて、最終的な最低回転速度を決定する。すなわち、ガイドベーン開度信号S3(GV)を受信して、最低回転速度LOWSP1を補正して補正最低回転速度LOWSP2(信号はS5a)とするとよい。この最低回転速度信号S5aを加速減速演算器71−1に送る。
加速減速演算器71−1に入力する最低回転速度は、実際にサージングする回転速度よりも高い値とする。すなわち、求められた最低回転速度LOWSP2に余裕を持たせた値LOWSP3(不図示)とする。余裕は、ターボ圧縮機やインバータ制御装置の特性によるが、典型的には0.01%以上10%以下、好ましくは0.1%以上2.0%以下、より好ましくは0.5%以上1.0%以下とするのがよい。余裕が小さ過ぎるとすぐに最低回転速度に達してサージングを起こす恐れが高くなる。余裕が大きすぎるとターボ圧縮機を高い効率で運転する範囲がそれだけ狭まってしまう。最低回転速度は速度比で言えば、例えば1.0%の余裕を持たせたときは、前記最低回転速度LOWSP2の1.010倍の速度比となる(不図示)。余裕は0.1%のように低い値でもよく、その場合は、前記最低回転速度LOWSP2の1.001倍の速度比となる。そのような余裕は、演算過程で乗じてもよいし、演算テーブル73−3に余裕を見たデータを保存しておくことにより与えてもよい。
最低回転速度と補正及び余裕の関係を整理して説明すれば、サージング限界値を最低回転速度LOWSP1として計算で求める。その限界値に、ベーン開度GVに基づき補正して最低回転速度LOWSP2を求める。さらにこの値に余裕を持たせた最低回転速度LOWSP3を求める。ベーン開度GVに基づく補正と余裕を持たせた値を求める順序は逆でもよい。
なお、補正演算器73−4(図5参照)を備えず、ガイドベーン開度信号S3(GV)で最低回転速度を補正しないときは、使用する可能性のある最小のガイドベーン開度のときの最低回転速度に余裕、例えば1.010を乗じた値を最低回転速度の値とすればよい。ガイドベーン全開のときの余裕が多少大きすぎることとなるが、演算を簡略にできる。
なお、本発明の別の実施の形態では、この方式に限らず、冷却水入口温度THにより最低回転速度を決定する方法、ターボ圧縮機20の出入口のエンタルピ差等により演算する方法、ターボ圧縮機20のマップ演算により決定する方法などで計算してもよい。
以上のように加速減速演算器71−1で演算される速度指令信号C1がインバータ80に送信される。インバータ80を介して、電動機21はこのようにして送信された速度指令信号C1の指令する周波数(回転速度)で運転される。
また、最低回転速度の演算については、先に説明したように理論値を計算して求めるのではなく、次のようにして現場で取得した値に基づいて行ってもよい。可変速運転に入る前に、まず定速運転の状態で、定格回転速度で、想定される最大ヘッドの状態で運転する。サージングが発生していないことを確認して、このときの凝縮器圧力と蒸発器圧力との比(R)を測定・記録し、これを「最高圧力比(RH)」として記録する。
ここで、可変速運転に入ってからは、次の演算式により最低回転速度を決定する。

最低回転速度(NL)=定格回転速度(N0)×log(R)/log(RH) ・・・式(2)

なお、加速減速演算器71−1には、RHを記録してから入力しても、log(RH)を計算して入力してもよい。あるいは演算器に調整モードを設けて、装置が自動で値を演算・記憶するようにするのがもっともよい。
これは、前述のように、圧縮機の最低回転速度が原理的に圧力比の指数に比例するためである。最高圧力比(RH)において定格回転速度で運転してサージングを発生しないのであるから、これにより演算された最低回転速度で運転する限り、サージングは発生しない。これにさらに余裕をもたせる必要はない。すなわち、ここで計算される「最低回転速度」は、本当の意味での限界ではなく、一定の余裕度を持った値であり、さらに下げることでさらなる省エネルギー化を計ることは可能である。
しかし、このようにすることで、本来は工場内で精密な測定を繰り返して決定する最低回転速度の演算式を、現場における簡便な測定と計算により設定することができる。また、危険回転速度等の問題がない場合は、圧縮機を従来以上に増速することで、サージングを防止することもできる。なお、回転速度および回転速度の整数倍(特に3倍の速度)が、軸の危険回転速度にかからないように設定値や回転速度を修正あるいは制限するべきであることは言うまでもない。
図6の単純化した内部フローチャートを参照して、加速減速演算器71−1(図5参照)の作用を説明する。スタート後、まず規定時間ごとに、加速減速演算器71−1は現在のベーン開度GVと目標値SETGVとの比較を行う(ST1)。本実施の形態では、ガイドベーンの開度GVの目標値としては上限GV1と下限GV2が与えられている。ガイドベーンGVは上限GV1と下限GV2との間に入るように制御される。これもガイドベーンの開度を所定の設定開度に制御する実施の形態の一つである。
この実施の形態では、開度GVが目標値SETGVの上限値(GV1)を上回っている場合(YES)、回転速度SPを加速する(ST3)。このようにすると、回転速度SPの増加により、冷凍容量が増す。それにより、冷凍機の冷水温度TLが低下し、ガイドベーンは閉方向に制御される。開度GVが目標値SETGVの上限値(GV1)を下回っている場合(NO)は、開度を下限値(GV2)と比較するステップST4に進む。
なお、開度GVが目標値SETGVの上限値と等しい場合は、ST3とST4のいずれに進むものとしてもよい。幅のない1点であるからどちらに進んでも結果に大差はない。実際の制御装置では、いずれかに特定するとよい。その場合、等しい場合を含めた判断ステップについて、「を下回っている場合」を「以下の場合」のように読み替えればよい。以下、大小の比較のステップについては同様である。
開度が下限値(GV2)を下回っている場合(YES)、回転速度SPを減速する(ST5)。これにより、冷水温度TLが上昇し、ガイドベーン25が開くことで、目標値SETGVに漸近する。ここで、目標値SETGVとしては制御可能な範囲でできるだけ大きな開度がよい。具体的には、80〜99%程度とするのがよく、さらに好ましくは90〜97%、具体的には95%前後の開度に設定する。可能であれば、ガイドベーンの可動範囲を105%程度まで拡大した上で、100%とするのが最良である。(ここでいう100%開度は定格運転条件として設計された開度のことであり、ガイドベーンの機械的な可動範囲としての100%開度ではない。)ガイドベーンの開度80〜100(可能な場合は105)%ではターボ圧縮機20の効率はあまり変わらないので開度100%に設定しなくてもよい。なお、前述のように回転速度は最低回転速度を下回らないように制限する。これは、減速を行わない場合であっても運転条件の変化により最低回転速度が増加することがあるので、加速減速の有無にかかわらず行うことがよく、その制御周期は加速減速の周期と変えてもよい。
開度が下限値(GV2)を上回っている場合(NO)、回転速度と最低回転速度の比較ステップ(ST6)に進む。ここで前述のように回転速度SPが最低回転速度を下回る場合(YES)は、回転速度SPを上昇させ最低回転速度とする(ST7)。回転速度SPが最低回転速度を上回る場合(NO)は、問題がないので規定時間判断ステップST1に戻る。
このように制御すると、ガイドベーンは従来の冷凍機と同じ開閉動作をするが、ガイドベーン開度GVができるだけ大きな開度(目標値SETGV近く)となり、かつ、回転速度SPはできるだけ小さく維持されることになる。すなわち、回転速度SPを調節する応答速度を、ガイドベーンの開度GVを調節する応答速度よりも遅くしたターボ冷凍機となる(開度が上限値と下限値の間にあるときは、回転速度の増減速は行われない。これは回転速度調節の応答速度をガイドベーン開度調節の応答速度よりも遅くした場合の1形態と考えることができる)。この場合、厳密には、ガイドベーン開度GVが全開とならないために、その分の効率低下はあるものの、定速の装置と比較すると、回転速度SPの低減による省エネルギーの効果の方が遙かに大きくなる。
本発明の特筆すべき利点は、従来のガイドベーン開度による冷凍機の負荷制御装置をそのまま流用し、回転速度制御を行うことができることである。図5に示す、ガイドベーン制御装置72を含む太枠部分70b−1は、既存の冷凍機の負荷制御装置そのものであり、それ以外の部分を別途の制御器(回転速度制御装置70b−2)で構成すれば、既存の冷凍機の制御器からガイドベーン開度信号S3(GV)のみを、回転速度制御装置70b−2に伝送すればよく、既設の冷凍機であってもごく簡単な改造で実装できる。
図7を参照して本発明の第二の実施の形態を説明する。本実施の形態は、既設の冷凍機に回転速度制御装置70c−2と、可変速装置としてのインバータ80(図1参照)を付加し、可変速制御システムに改造する例である。本実施の形態では、既存の冷凍機に、圧力センサーP1、P2を取り付け、回転速度制御装置70c−2に入力する。
基本的には、図5の実施の形態と同じであるが、ガイドベーン開度GVについては、負荷制御装置70c−1を介してではなくガイドベーンモータ側で信号を分岐し、回転速度制御装置70c−2に入力している。ここで、ベーン開度GVの信号S3としては、電流信号、電圧信号、ポテンショ抵抗値の3通りのいずれかとするとよい。また、ベーンコントロールモータがサーボモータである場合は、指令値を以て開度信号としてもよい。
ここで、電圧信号の場合は、電圧値を計測して入力すればよく、電流値の場合はいわゆるシグナルアイソレータなどにより分岐すればよい。ただし、ポテンショ抵抗値であり、さらに2線式のものの場合には、一般論としては分岐するのは難しいとされる。それは、ポテンショの両端の電圧は、既存の冷凍機の制御器内にある固定抵抗と直列に接続されていて、開度に対して電圧は双曲線的に変化するため、線形化の必要があるからである。しかし、本実施の形態では、アナログ値としてのベーン開度が必要なわけではなく、目標値としての開度の目安がわかれば十分である。また、それぞれの開度に対する電圧値を目標値として設定しても何ら不都合はなく、また、精度が低くても特段の不都合がないので、ポテンショメータの両端の電圧を以て開度と考えても差し支えない。
図8の単純化した内部フローチャートを参照して、加速減速演算器71−1(図5、図7参照)の作用を説明する。この実施の形態では、図6の加速減速演算器の判断フローに加えて、高ヘッド時の定速運転機能と、冷水温度による加速減速制御の改善を図っている。以下図6のフローと同じステップは適宜説明を省略する。
まず、本フローでは凝縮器30の圧力が高く、あまり回転速度SPを落として運転することが見込めない場合には、制御の安定性を優先して回転速度SPを定速度(最高速度)に固定する。この判断基準としては、凝縮器30の圧力の他、冷却水温度THや凝縮器30と蒸発器10との圧力比などを用いてもよく、また、手動による切り替えでもよい。また、回転速度SPを固定速度とする方法は、インバータ80に一定値の速度指令を与えるほか、いわゆる商用切り替えにより、商用電源75につなぎ替えることで運転してもよい。
具体的には、スタート後、まず規定時間ごとに、加速減速演算器71−1は現在のベーン開度GVと目標値SETGVとの比較を行う(ST1)。ステップST1で規定時間が経過したと判断されると(YES)、凝縮器30の凝縮圧力PHが規定圧力以下か否かを判断する(ST11)。ステップST11で、凝縮圧力PHが既定圧力を超えている(NO)の場合は、ステップST12に進み回転速度SPを一定速度(最高速度)に固定する。そしてステップST6に進む。
ここで凝縮圧力の規定圧力は、設計圧力(例えば冷却水入口温度が32℃のときの凝縮圧力)、あるいはそれよりもやや低い圧力とする。さらに具体的には、凝縮圧力と最低回転速度の関係を求め、その最低回転速度がターボ圧縮機20の定格回転速度に対して所定の余裕をもって低くなるような圧力を規定圧力とするとよい。所定の余裕は1〜20%とする。さらに好ましくは3〜10%である。なぜならば、回転速度を低減した場合の軸動力は、おおむね回転速度の3乗に比例するため、所定の余裕として1%を仮定した場合の省エネルギー効果は3%程度と見込まれる。すなわち、十分な省エネルギー効果(10%程度)を得られることが期待できない場合(所定の余裕として約3%に相当)は、回転速度を定速度として安定性を優先することを選択しうる。あるいは、前述のように商用切り替えにより定速度運転を行う場合は、インバータ効率(一般に95〜99%)以上に省エネルギー効果が見込まれない場合には、インバータ運転を行わないこととすることもできる。
ステップST11で、凝縮器30の凝縮圧力PHが、既定圧力以下(YES)の場合は、ステップST2に進む。ステップST2でガイドベーンの開度GVが上限値(GV1)を上回っている場合(YES)は、冷水温度TLが目標温度以上かを判断するステップST13に進む。
ステップST13で冷水温度TLが目標温度以上の場合(YES)は、回転速度SPを加速する(ST3)。そしてステップST6に進む。ステップST13で冷水温度TLが目標温度以上でない場合(NO)は、そのままステップST6に進む。
ステップST2でガイドベーンの開度GVが上限値(GV1)を下回っている場合(NO)は、ステップ4に進む。
ステップST4で、ガイドベーンの開度GVが下限値(GV2)を上回っている場合(NO)は、回転速度と最低回転速度の比較ステップ(ST6)に進む。以下図6の場合と同様である。
ステップST4で、ガイドベーンの開度GVが下限値(GV2)を下回っている場合(YES)は、冷水温度TLが目標値以下かを判断するステップST14に進む。
ステップST14で、冷水温度TLが目標値以下の場合(YES)は、ステップST5に進み回転速度SPを減速する。そしてST6に進む。
ステップST14で、冷水温度TLが目標値を超えている場合(NO)は、そのままステップST6に進む。
以上のように、本実施の形態では、冷水温度信号S1(TL)を別途取り込み、判断の材料としている。具体的には、冷水温度TLが目標値以上である場合には減速を行わず、冷水温度TLが目標値以下である場合には加速を行わない。これは、それぞれの条件下ではガイドベーン制御が収束していないことが想定されるためで、ガイドベーン制御がほぼ収束した段階で加速減速の判断を行うこととしている。このようにすると、いわゆるハンチングによる制御の不安定を効果的に抑止できる。
ここで冷水温度の目標値には余裕を持たせてもよい。すなわち、ステップST13の目標値は目標温度よりも幾分(1℃程度)低い値とし、ステップ14の目標値は目標温度よりも幾分(1℃程度)高い値としてもよい。例えば目標値が5℃の場合、冷水温度TLが4℃未満の場合は加速を行わず、6℃超の場合は減速を行わない。
一般に既設の冷凍機のガイドベーン制御装置の応答速度は速くない。それは例えば空調用の冷凍機では、空調負荷の変化は緩やかであるから、応答速度を速くする必要がなく、むしろ緩やかな空調負荷の変化に適した速さにするのが好ましいからである。したがって既設の冷凍機に改造によって付加する速度制御装置では、上記のように緩やかな変化をする冷水温度信号TLが目標値から外れている場合に、差異を拡大する方向の制御を抑制すると、制御が安定する。
以上のように本実施の形態では、既設の制御盤内にはごく軽微な変更か、条件によっては一切の手を加えずに改造を行うことができ、設定値も現場において適切に設定することができる。この場合、現場毎に行ったオプション対応は既設の制御盤が引き続きそのまま使用できるのであるから、付加装置側には現場対応の必要がほとんどない。どの現場であっても同一の付加装置を用意して取り付ければよいので、これにより低リスクかつ低コストでターボ冷凍機を可変速制御に改造できる。
既設の冷凍機からの信号は、冷凍機に計測器を設置して取り出してもよいし、冷凍機の制御装置がこれらの情報を持っている場合は、この制御装置から出力させてもよい。また、後述する制御回路を冷凍機の制御装置に内蔵させてもよい。一般に、旧式の装置には高圧スイッチおよび低圧スイッチのみのものが多いため、連続量(アナログ信号)としての圧力信号を得るためには、多くは圧力伝送器(センサー)ごと追加し、その信号を得ることになる。既設の圧力伝送器等があれば、その信号を分岐するか、冷凍機の制御装置から改めて信号を出力することとしてもよい。
一方、ガイドベーン開度はポテンショメータによるフィードバックを得ているものがほとんどであるので、その信号を分岐すればよい。この開度信号が、特に2線式のポテンショなどによく使用される抵抗値信号である場合には、ポテンショの両端の電圧等を計測する。この場合、開度信号が実開度に対して非線形となる場合もあるが、これは特に不都合ではない。あるいは、ガイドベーンの駆動機(アクチュエータ)が、サーボモータ等である場合には、指令信号を以て開度信号としてもよい。いずれにせよ、ガイドベーン開度あるいはそれに相当する物理量を得て制御器に取り込むのは難しくない。
以上の制御の要点は以下の通りである。取り出した信号に基づいて、本発明の実施の形態では圧縮機の最低回転速度(実務的にはインバータの最低周波数であることが多い)と、圧縮機の加速減速の判断を行う。まず、最低回転速度は、蒸発器と凝縮器との圧力差により演算するのがよい。具体的には、先に説明したように、あらかじめ冷媒の特性により、いくつかの圧力差に応じた最低回転速度を計算して制御装置に記憶させておき、演算された圧力比における最低回転速度を演算することがよい。なお、このときにベーン開度によりこの回転速度に補正をかけることとしてもよい。すなわち、ベーン開度が小さい場合にはサージングが発生しやすくなるので、ベーン開度に応じて、あらかじめ最低回転速度を増してもよい。
次に、加速減速の判断は、次のように行う。本発明の実施の形態では、加速減速の判断は、基本的にベーン開度GVにより行う。すなわち、ベーン開度GVが目標値を超えている場合には加速すべきと判断し、目標値未満である場合には減速すべきと判断する。これは、たとえば一般的な目標値制御(PID制御等)により、加減速を行うこととしてもよい。ただし、既に説明したように、一般の温度制御等とは異なり、収束する速度は意図的に遅くするのがよい。
なお、本発明においては、ターボ冷凍機は、典型的にはターボ冷凍機(冷水等の被冷却媒体を冷却する)であるが、広義には、ターボヒートポンプすなわちターボ圧縮式ヒートポンプも含む概念である。ヒートポンプでは凝縮器で加熱された温水等の被加熱媒体が出力となる。また、被冷却媒体は熱源流体と読み替える。
本発明によれば、ガイドベーン制御をする冷凍機に回転速度制御を付加した冷凍機を提供することができ、特に既設のガイドベーン制御をする冷凍機を改造してガイドベーン制御と回転速度制御の両方を行えるようにし、省エネルギー化を図ったターボ冷凍機を容易に提供することができる。
10 蒸発器
11 冷水出口配管
13 冷水温度検出器
14 冷却水温度検出器
15 ガイドベーン開度検出器
20 ターボ圧縮機
21 電動機
23 羽根車
25 ガイドベーン
30 凝縮器
40 絞り機構
60 電動機起動盤
70a 制御手段
70b 制御手段
70a−1、70b−1、70c−1 負荷制御装置(第一の制御部)
70a−2、70b−2、70c−2 回転速度制御装置(第二の制御部)
71 インバータ制御装置(第一の制御部)
71−1 加速減速演算器
72 ガイドベーン制御装置(第二の制御部)
72−1 ベーン開閉演算器
73 最低回転速度演算装置
73−1 PH/PL演算器
73−2 最低回転速度演算器
73−3 演算テーブル
73−4 補正演算器
75 商用電源
80 インバータ
101 ターボ冷凍機
C1 速度指令信号(インバータ回転速度調節信号)
C2 ガイドベーン開度調節信号
S1 冷水出口温度信号
S2 冷却水入口温度信号
S3 ガイドベーン開度信号
S4 回転速度信号
S5a 最低回転速度信号
S6 冷水出口温度設定値信号
S7 低圧側圧力信号(蒸発圧力信号)
S8 高圧側圧力信号(凝縮圧力信号)
TL 冷水出口温度
TH 冷却水入口温度
GV ガイドベーン開度
SETGV ガイドベーン設定開度
SP 回転速度
SETTL 冷水出口設定温度
PL 低圧側圧力(蒸発圧力)
PH 高圧側圧力(凝縮圧力)
P1 低圧側圧力検出器(蒸発圧力検出器)
P2 高圧側圧力検出器(凝縮圧力検出器)

Claims (7)

  1. 冷媒液を蒸発させて冷媒ガスを発生し、蒸発潜熱で被冷却媒体を冷却する蒸発器と;
    前記冷媒ガスを吸入して圧縮する羽根車と、前記羽根車の入り口に設けられ、開度が可変のガイドベーンを有するターボ圧縮機と;
    前記ターボ圧縮機で圧縮した冷媒ガスから熱を奪い、前記冷媒ガスを凝縮する凝縮器と;
    前記ターボ圧縮機を駆動する可変速駆動機と;
    前記ガイドベーンの開度を調節して冷凍出力を制御する第一の制御部と;
    前記可変速駆動機の回転速度を調節して前記ガイドベーンの開度を所定の設定開度に制御する第二の制御部とを備える;
    ターボ冷凍機。
  2. 前記第二の制御部が前記回転速度を調節する応答速度を、前記第一の制御部が前記ガイドベーンの開度を調節する応答速度よりも遅くした、請求項1に記載のターボ冷凍機。
  3. 前記第二の制御部は、前記回転速度に下限値である最低回転速度を設定し、前記最低回転速度より低くならないように調節する、請求項1又は請求項2に記載のターボ冷凍機。
  4. 前記第二の制御部は、前記蒸発器の運転条件と前記凝縮器の運転条件とから理論回転速度を算出し、前記算出した理論回転速度に基づいて、前記最低回転速度を定める、最低回転速度演算器を備える、請求項3に記載のターボ冷凍機。
  5. 前記最低回転速度の設定の条件に、前記ガイドベーンの開度を加えた請求項4に記載のターボ冷凍機。
  6. 前記ガイドベーンの開度を検出するガイドベーン検出器と;
    前記ターボ圧縮機の吸込圧力を検出する吸込圧力検出器と;
    前記ターボ圧縮機の吐出圧力を検出する吐出圧力検出器とを備え;
    前記第二の制御部は、前記吸込圧力検出器で検出した吸込圧力と、前記吐出圧力検出器で検出した吐出圧力とに基づいて、最低回転速度を演算し、前記ガイドベーン検出器で検出したガイドベーン開度に基づいて、前記演算した最低回転速度を補正して該補正した最低回転速度を前記下限値である最低回転速度とする、請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載のターボ冷凍機。
  7. 冷媒液を蒸発させて冷媒ガスを発生し、蒸発潜熱で被冷却媒体を冷却する蒸発器と、前記冷媒ガスを吸入して圧縮する羽根車と前記羽根車の入り口に設けられ開度が可変のガイドベーンを有するターボ圧縮機と、前記ターボ圧縮機を駆動するモータと、前記ターボ圧縮機で圧縮した冷媒ガスから熱を奪い前記冷媒ガスを凝縮する凝縮器と、前記ガイドベーンの開度を調節して冷凍容量を制御する第一の制御部とを有するターボ冷凍機を改造する方法であって;
    前記モータに、周波数を変換して駆動電力を供給するインバータを接続する工程と;
    前記インバータの周波数を調節して前記ガイドベーンの開度を所定の設定開度に制御する第二の制御部を付加する工程と;
    前記第二の制御部に前記ガイドベーンの開度を伝える信号線を接続する工程とを備える;
    ターボ冷凍機の改造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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