JP2012062732A - 地盤改良方法 - Google Patents

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【課題】地盤改良された領域と地盤改良されていない領域とに跨ってLNG用のタンクを設置する場合において、LNG用のタンクを設置する全領域の地盤を均一化するための地盤改良方法を提供する。
【解決手段】地盤改良されていない領域4の地盤に多数の砂杭9,9…を打設することにより、LNG用のタンク10を設置する全領域5の地盤を均一化する。また、前記砂杭9,9…は、サンドコンパクションパイル工法により打設される。さらに、前記砂杭9,9…は、LNG用のタンク10の外周に沿った領域8にも打設される。
【選択図】 図4

Description

本発明は、液化天然ガス(Liquefied Natural Gas:LNG)用のタンクを設置する領域の地盤を改良するための地盤改良方法に関し、詳しくは、原油用のタンクなどの既存設備を撤去した跡地が一部に含まれるようにLNG用のタンクを設置するときの地盤改良方法に関する。
近年、二酸化炭素の増加による地球温暖化を解消するなどの観点から、クリーンなエネルギであるLNGの需要が増加している。したがって、今後、臨海工業地帯などにおいては、既存設備を撤去した跡地にLNG用のタンクを設置するニーズが高まるものと推測される。
LNG用のタンクは、地下式と地上式とに大別することができ、地上式のLNG用のタンクの一例を図5に示して説明する。このLNG用のタンク10は、プレストレストコンクリート(PC)外槽方式であり、低温用鋼製の内槽11と、常温用鋼製の外槽12と、前記内槽11と外槽12との間に充填される保冷材(パーライトと窒素ガス)13と、外槽12の側面部および底部を囲む有底円筒状のコンクリート構造体14とによって構成されている。
コンクリート構造体14の底部14aは、図示しないが、中心側が外周部よりも窪み、外周部が中心側よりもわずかに突出した構造とされることがある。そして、コンクリート構造体14の底部14aを支承する地盤には、多数本の鋼管杭のような基礎杭20,20…が打設され、基礎杭20,20…がLNG用のタンク10を支承し、不等沈下しないようにしている。
なお、臨海工業地帯のような軟弱地盤に原油用のタンクが設置される場合は、原油用のタンクが設置される領域のみ、サンドドレーン工法などによる地盤改良が実施されている。サンドドレーン工法は、軟弱地盤中に透水性の高い砂柱を鉛直方向に多数本造成し、さらに、地面にプレロードと称される土砂を盛り上げ、軟弱地盤内の水分を汲み上げるようにして搾り出し、地盤を圧密・強固に締め固める工法で、砂柱は、緩い状態で水を通しやすいように造成される。
特開平9−279565号公報
LNGはLNG船によって海上輸送されるため、LNG用のタンク10は臨海工業地帯に設置される。一方、原油用のタンクも臨海工業地帯に設置されており、撤去された原油用のタンクの跡地に、LNG用のタンク10を設置すると、土地の有効利用を図ることができる。
ただし、LNG用のタンク10は、レイアウトの関係などから、撤去された原油用のタンクの跡地と完全に重なるように設置することができないことがある。すなわち、LNG用のタンク10は、原油タンクが設置されていた領域と設置されていなかった領域とに跨って設置しなければならないことがある。
しかし、原油用のタンクが設置されていた領域の地盤は、サンドドレーン工法などによって地盤改良され、圧密・強固に締め固められている一方、原油用のタンクが設置されていない領域の地盤は、地盤改良されていないで軟弱である。したがって、LNG用のタンク10は、原油タンクの設置されていた領域と設置されていなかった領域とに跨って設置されると、地震のときにどのように挙動するか明確に解析することができない。また、LNG用のタンク10は、原油タンクの設置されていなかった領域側で沈下し(不等沈下)、内槽11、外槽12あるいはコンクリート構造体14に不均等な応力が加えられ、LNG用のタンク10が損壊することもあり得る。
そこで、本発明は、地盤改良された領域と地盤改良されていない領域とに跨ってLNG用のタンクを設置する場合において、LNG用のタンクを設置する全領域の地盤を均一化するための地盤改良方法を提供することを課題とする。
本発明に係る地盤改良方法は、地盤改良された領域と地盤改良されていない領域とに跨ってLNG用のタンクを設置するときの地盤改良方法であって、地盤改良されていない領域の地盤に多数の砂杭を打設することにより、LNG用のタンクを設置する全領域の地盤を均一化することを特徴としている。
この地盤改良方法によれば、地盤改良されていない領域の地盤に多数の砂杭が打設されることにより、この領域の地盤は、締め固められて地盤改良される。すなわち、この地盤改良された領域は、打設された砂杭によって、既に地盤改良されていた領域と均一化された地盤となる。したがって、この両領域に跨って設置されるLNG用のタンクは、地震時の挙動が明確になり、また、不等沈下しないようにすることができる。
また、前記地盤改良方法において、前記多数の砂杭が打設されて地盤改良された領域と、多数の砂杭が打設される以前に地盤改良されていた領域との両領域の地盤強度を測定することによってLNGタンク支持のための基礎杭の本数を算出し、両領域に当該基礎杭を打設する工程が含まれていることが好ましい。
この地盤改良方法によれば、LNGが打設された基礎杭によって支持される。基礎杭は、多数の砂杭が打設されて地盤改良された領域と、多数の砂杭が打設される以前に地盤改良されていた領域との両領域の地盤強度を測定することによって算出されるため、LNGタンクを支持するために必要かつ十分な本数を打設することができる。
また、前記地盤改良方法において、前記砂杭は、サンドコンパクションパイル工法により打設されることが好ましい。
この地盤改良方法によれば、砂杭がサンドコンパクションパイル工法によって打設されることにより、地盤改良されていない領域における圧密沈下や不等沈下が短期間に収束し、さらに、地盤の剪断抵抗や水平抵抗を増大することができる。なお、サンドコンパクションパイル工法は、軟弱地盤中に振動載荷あるいは衝撃荷重によって砂(粘性土などの類似材を含む)を圧入・拡径することにより、締め固められた砂杭を造成し、地盤を圧密・強固に締め固める締め固め法の一種である。
また、前記地盤改良方法において、前記砂杭は、LNG用のタンクの外周に沿った領域にも打設されていてもよい。
この地盤改良方法によれば、砂杭がLNG用のタンクの外周に沿った領域にも打設されることにより、LNG用のタンクの外周に沿った領域の地盤も均一化され、地震時のLNG用のタンクの挙動をより一層明確にすることができる。なお、LNG用のタンクの外周に沿った領域の幅は、砂杭の長さの0.6〜0.8倍程度にするのが好ましい。
本発明によれば、地盤改良されていない領域の地盤に多数の砂杭を打設し、地盤改良された領域と地盤改良されていない領域とに跨って設置されるLNG用のタンクにおける全領域の地盤が均一化されることにより、例えば原油タンクのような既存設備を撤去した跡地を有効利用して設置されたLNG用のタンクは、地震発生時の挙動が明確にされる。また、設置されたLNG用のタンクは、均一化された地盤上に設置されるため、不等沈下することがなく、LNG用のタンクは不均等な応力が生じないため、破損してLNGが流出するという事故が発生しないようにすることができる。
また、本発明は、原油タンクの跡地にLNG用のタンクを設置することが可能となることにより、既存の桟橋設備、冷却設備、受電設備、防火関係設備その他各種設備を利用することができ、原油タンクの跡地を利用しない場合よりも建設費を低減することができる。
本発明を実施する地盤を含む平面図である。 本発明を実施する前の地盤の状態を示す平面図である。 本発明を実施している途中の地盤の状態を示す平面図である。 本発明によって改良された地盤の状態を示す平面図である。 LNG用のタンクの概略断面図である。
本発明に係る地盤改良方法の一実施形態について、図1ないし図4を参照しながら説明する。本地盤改良方法は、図1に示すように、例えば臨海工業地帯の埋立て地1において遊休状態にある原油用のタンクを撤去し、その跡地2にLNG用のタンク10を設置する場合において実施する。臨海工業地帯においては、桟橋設備3その他の設備(図示せず)が残置されており、これらの設備を利用することができる。そして、LNG用のタンク10は、レイアウトの関係などから、原油用のタンクが撤去された跡地2を一部に含むように設置される。
原油用のタンクが撤去された跡地2は、図2に示すように、サンドドレーン工法によって打設された砂杭9,9によって既に地盤改良されているものの(網点で図示)、この跡地2の周囲4は地盤が改良されていない。以下、原油用のタンクが撤去された跡地2を「地盤改良された領域」2といい、この地盤改良された領域2の周囲4を「地盤改良されていない領域」4という。
LNG用のタンク10が地盤改良された領域2と地盤改良されていない領域4とに跨って設置されると、LNG用のタンク10は、異種地盤が評価の対象となるため、地震発生時に挙動が不明確となり、また、地盤改良されていない領域4側で沈下する。
そこで、まず、図3に示すように、地盤改良された領域2からはみ出してLNG用のタンク10を設置する領域(図面においては三日月形)7およびLNG用のタンク10の外周に沿った領域(図面においてはC字形)8の地盤に多数の砂杭9,9…を等間隔に打設する。多数の砂杭9,9…により、LNG用のタンク10を設置する全領域5、すなわち、地盤改良された領域2と、地盤改良されていない領域4の地盤は、均一化される。なお、領域8の幅(より詳しくは、領域8の内縁(タンク10の外面と一致)と領域8の外縁との距離)は、砂杭9の長さとの関係で定められ、例えば、砂杭9の長さの0.6〜0.8倍の範囲に設定するのが好ましく、特には2/3倍に設定するのが好ましい。
多数の砂杭9,9…は、沈下防止、液状化防止、改良の効果、施工期間、設計精度その他各種特徴に優れたサンドコンパクションパイル工法によって打設される。サンドコンパクション工法は、軟弱地盤中に振動載荷あるいは衝撃荷重によって砂(粘性土などの類似材を含む)を圧入・拡径することにより、砂杭9,9…を打設し、地盤を圧密・強固に締め固める締め固め法の一種である。
さらに詳しくは、所定の位置の軟弱地盤中にケーシングパイプ(図示せず)を所定の深さまで埋め込み、その後、ケーシングパイプ内に砂を充填し、最後に砂を地中に残存させるようにしてケーシングパイプを引き抜くことによって軟弱地盤内に砂杭9,9…が打設される(特許文献1参照)。
なお、砂杭9,9…は、地盤の状態に応じて、バイブロフローテーション工法やロッドコンバクション工法のような砂を締め固める手段や、サンドドレーン工法や生石灰杭工法のような排水を利用する手段によって打設してもよい。
次に、地盤改良された領域2と多数の砂杭9,9…が打設された領域7の全領域5の地盤強度を測定することにより、LNGタンク支持のための基礎杭6,6…の本数を算出する。そして、この算出結果に基づき、図4に示すように、LNG用のタンク10を設置する全領域5の地盤に多数本の鋼管杭のような基礎杭6,6…を等間隔に打ち込む。このようにして、LNG用のタンク10は、コンクリート構造体14の底部14a(図5参照)全面を設置する全領域5および周囲の領域地盤が砂杭9,9…によって均一化された上で、この基礎杭6,6…に支承される。
そして、LNG用のタンク10がコンクリート構造体14の底部14aの中心側で窪んだ形状とされているときは、周囲の突出した底部14aの形状に即して、砂杭9,9…が打設され、また、基礎杭6,6…が打ち込まれている。
このように、地盤改良された領域2と地盤改良されていない領域4とに跨って設置されたLNG用のタンク10の全領域5は、地盤が均一化されることにより、地震発生時のLNG用のタンク10の挙動を明確にすることができる。また、このLNG用のタンク10内にLNGが貯留されても、LNG用のタンク10は不等沈下することなく、安全性が確保される。さらに、LNG用のタンク10は、既存の桟橋設備3などの各種設備を使用して、LNGを貯留することができる。
なお、本発明は、前記の実施形態に限定することなく、特許請求の範囲に記載した技術的事項の範囲内において種々変更することができる。例えば、本発明は、原油用タンクの跡地だけでなく、各種の建築物の跡地であって地盤改良された領域に跨ってLNG用のタンク10を設置する場合でも実施することができる。また、砂杭9,9…や基礎杭6,6…の配置は、適宜、設計することができる。
2…地盤改良された領域
4…地盤改良されていない領域
5…LNG用のタンクを設置する全領域
6…基礎杭
9…砂杭
10…LNG用のタンク

Claims (4)

  1. 地盤改良された領域と地盤改良されていない領域とに跨ってLNG用のタンクを設置するときの地盤改良方法であって、
    地盤改良されていない領域の地盤に多数の砂杭を打設することにより、LNG用のタンクを設置する全領域の地盤を均一化することを特徴とする地盤改良方法。
  2. 前記多数の砂杭が打設されて地盤改良された領域と、多数の砂杭が打設される以前に地盤改良されていた領域との両領域の地盤強度を測定することによってLNGタンク支持のための基礎杭の本数を算出し、両領域に当該基礎杭を打設する工程が含まれていることを特徴とする請求項1に記載の地盤改良方法。
  3. 前記砂杭は、サンドコンパクションパイル工法により打設されることを特徴とする請求項1または2に記載の地盤改良方法。
  4. 前記砂杭は、LNG用のタンクの外周に沿った領域にも打設されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の地盤改良方法。
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