JP2010018956A - 地盤改良構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】不均質な地盤を均質化させるとともに、コストダウン及び工期短縮を図ることができる地盤改良構造及び地盤改良方法を提供することを目的とする。
【解決手段】地中埋設物10,11が埋設された埋設物領域1,2と、地中埋設物が埋設されていない原地盤領域3と、を有する不均質な地盤Gに造成される地盤改良構造において、原地盤領域3に第一地盤改良体12が造成されているとともに、埋設物領域1,2に第一地盤改良体12と異なる第二地盤改良体13,14,15が造成されており、第一地盤改良体12が設けられた原地盤領域3と第二地盤改良体13,14,15が設けられた埋設物領域1,2とは、せん断波速度の深さ方向の分布が同等になっている。
【選択図】図2

Description

本発明は、不均質な地盤に対する地盤改良構造に関する。
一般に、建物の建設予定地の地盤が軟弱地盤である場合、例えば下記特許文献1、2に示されているような地盤改良を行う場合が多い。これにより、建設予定地の地盤の剛性を向上させ、安定した地盤に建物を建設することができる。
ところで、建設予定地の一部の地盤内に、例えば既存建物の基礎や地中構造物、鉱滓等の地中埋設物が存在している場合がある。この場合、建設予定地には、地中埋設物が埋設された埋設物領域と、地中埋設物が無い原地盤領域と、がそれぞれ存在し、建設予定地の地盤が不均質となる。このような不均質な地盤では、埋設物領域と原地盤領域とで剛性が異なるため、不同沈下が生じやすく、また、地震時の地盤応答が建物平面位置によって異なることで建物の設計が複雑化するとともに地震時に建物被害が生じやすくなる。
そこで、従来、建設予定地の地盤が不均質である場合、埋設物領域を掘削して地中埋設物を撤去し、その後、埋設物領域を砂や砂礫等の締め固めやすい土質材料で埋め戻して転圧し、建設予定地の地盤を均質化する。そして、必要に応じて建設予定地全体に地盤改良を均一に行い、その後、その地盤上に建物を建設する。
特開2001−115444号公報 特開平11−256563号公報
しかしながら、上記した従来の方法では、地中埋設物の撤去と埋め戻しに膨大やコストと工期がかかるという問題がある。
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、不均質な地盤を均質化させるとともに、コストダウン及び工期短縮を図ることができる地盤改良構造及び地盤改良方法を提供することを目的としている。
本発明に係る地盤改良構造は、地中埋設物が埋設された埋設物領域と、地中埋設物が埋設されていない原地盤領域と、を有する不均質な地盤に造成される地盤改良構造において、前記原地盤領域に第一地盤改良体が造成されているとともに、前記埋設物領域に第一地盤改良体と異なる第二地盤改良体が造成されており、前記第一地盤改良体が設けられた前記原地盤領域と前記第二地盤改良体が設けられた前記埋設物領域とは、せん断波速度の深さ方向の分布が同等になっていることを特徴としている。
地中埋設物が埋設された埋設物領域は、地中埋設物が埋設されていない原地盤領域と比較して、鉛直剛性及びせん断剛性のうちの少なくとも一方が大きくなっているが、上記した本発明に係る地盤改良構造により、埋設物領域における埋設物の撤去等を行うことなく、地盤改良後の原地盤領域と埋設物領域との鉛直剛性及びせん断剛性のいずれもが同等となる。
また、本発明に係る地盤改良構造は、前記第二地盤改良体による前記埋設物領域の改良率が、前記第一地盤改良体による前記原地盤領域の改良率よりも小さいことが好ましい。
これにより、地盤改良の材料を換えることなく、原地盤領域におけるせん断波速度の深さ方向の分布と埋設物領域におけるせん断波速度の深さ方向の分布とが同等となる。
本発明に係る地盤改良構造によれば、地盤改良後の原地盤領域と埋設物領域との鉛直剛性及びせん断剛性のいずれもが同等となるので、不均質な地盤を均質化させることができる。これにより、不同沈下を抑制することができ、また、地震時の地盤応答が単純化し、これにより、建物の設計を簡素化することができるとともに、地震時に建物被害を軽減させることができる。また、埋設物領域における埋設物の撤去等を行うことなく、原地盤領域と埋設物領域とを均質化させることができるので、コストダウン及び工期短縮を図ることができる。
以下、本発明に係る地盤改良構造の実施の形態について、図面に基いて説明する。
図1は地盤改良の対象の地盤Gを表した斜視図であり、図2は地盤Gに形成される地盤改良構造を表した平面図である。
まず、地盤改良の対象の地盤Gについて説明する。
図1、図2に示すように、本実施の形態における改良対象の地盤Gは、建物Xの建設予定地であり、その一部分に地中埋設物10,11が埋設された不均質地盤である。具体的説明すると、地盤Gは、鉱滓10(本発明における地中埋設物に相当する。)が埋設された鉱滓埋設領域1と、既存杭11(本発明における地中埋設物に相当する。)が埋設された既存杭埋設領域2と、鉱滓10や既存杭11等の地中埋設物が埋設されていない原地盤領域3と、を有している。
次に、上記した構成からなる地盤Gに対して造成される地盤改良構造について説明する。
本実施の形態における地盤改良構造は、公知の固結工法によって地盤G中に石灰やセメント等の固結材を攪拌混合させることで土を化学的に固結させたものである。
具体的に説明すると、図2に示すように、地盤Gのうち、原地盤領域3の地盤G中には、壁状の地盤改良体12(本発明における第一地盤改良体に相当する。)が平面視格子状に造成されている。この地盤改良体12は、土と固結材とを横方向に連続的に攪拌混合して形成される壁状の地盤改良体である。
また、鉱滓埋設領域1は、鉱滓10が埋設されていることで原地盤領域3よりも剛性が高くなっているので、せん断波速度の深さ方向の分布が原地盤領域3と同等となるように、原地盤領域3と比較して低い改良率で地盤改良されている。具体的に説明すると、鉱滓埋設領域1では、ある程度のボリュームを有する鉱滓10が存在しており、鉛直剛性及びせん断剛性が共に高くなっている。したがって、鉱滓埋設領域1には、鉛直剛性が高くてせん断剛性が低い杭状の地盤改良体13(本発明における第二地盤改良体に相当する。)と、壁状の地盤改良体14(本発明における第二地盤改良体に相当する。)と、が造成されている。杭状の地盤改良体13は、円柱形状の地盤改良体であり、複数の地盤改良体13は、平面視において鉱滓10の周囲に配設されているとともに、間隔をおいて配設されている。壁状の地盤改良体14は、上記した原地盤領域3の格子状の地盤改良体12と同等の幅(壁厚)で形成されているとともに、原地盤領域3の格子状の地盤改良体12よりも広い間隔で配列されている。
なお、本実施の形態における「改良率」とは、対象の領域(例えば鉱滓埋設領域1)全体の体積を100として、その領域における地盤改良体(例えば杭状の地盤改良体13及び壁状の地盤改良体14)の総体積の割合(%)のことをいう。
また、既存杭埋設領域2は、既存杭11が埋設されていることで原地盤領域3よりも剛性が高くなっているので、せん断波速度の深さ方向の分布が原地盤領域3と同等となるように、原地盤領域3と比較して低い改良率で地盤改良されている。すなわち、建設範囲の複数の異なる平面位置における、同一深度のせん断波速度の値のすべてが、それらの平均値に対して±20%の範囲内になるようにする。例えば、建設範囲のA地点、B地点、C地点での深度10mにおけるせん断波速度が250m/s、300m/s、340m/sと仮定すると、このときの平均値が297m/sであり、その±20%の範囲が237〜356m/sとなるため、A地点(250m/s)、B地点(300m/s)、C地点(340m/s)は全て平均値に対して±20%の範囲内にあることになる。このような状況が、地表から検討対象となる地盤深度まで続くようにする。なお、「検討対象となる地盤深度」とは、それ以深では地層が一様で、せん断波速度の深度分布が同等とみなせる深度をいう。また、せん断波速度を評価するための平面範囲は、計画建物の1スパン(スパン=柱と柱の中心間距離)で囲まれる範囲を最低単位とし、最大でも1辺が5スパンで囲まれる範囲とする。一般的には1スパンが10m前後であるので、せん断波速度を評価する平面範囲としては、10m×10m〜50m×50mとなり、この単位ごとに建設範囲を分割して、それぞれの範囲ごとに深さ方向のせん断波速度の分布を評価する。なお、平面範囲は、埋設部や障害物の大きさや分布範囲、分布形状などによって適宜変更する。
具体的に説明すると、既存杭埋設領域2では杭状の地下埋設物である既存杭11が複数存在しており、既存杭埋設領域2では、鉛直剛性が高くてせん断剛性が低くなっている。したがって、既存杭埋設領域2には、鉛直剛性及びせん断剛性が共に大きい格子状の地盤改良体15(本発明における第二地盤改良体に相当する。)が造成されている。この格子状の地盤改良体15は、上記した原地盤領域3の格子状の地盤改良体12と同間隔で配列されているとともに、原地盤領域3の格子状の地盤改良体12よりも幅(壁厚)が小さくなっている。
上記した構成からなる地盤改良構造によれば、鉱滓10や既存杭11の撤去等を行うことなく、地盤改良後の鉱滓埋設領域1、既存杭埋設領域2及び原地盤領域3の鉛直剛性及びせん断剛性のいずれもが同等となる。これにより、不均質な地盤Gを均質化させることができ、地盤Gの不同沈下を抑制することができる。また、地震時の地盤応答が単純化し、これにより、建物の設計を簡素化することができるとともに、地震時に建物被害を軽減させることができる。また、鉱滓10や既存杭11の撤去等を行うことなく、鉱滓埋設領域1、既存杭埋設領域2及び原地盤領域3を均質化させることができるので、コストダウン及び工期短縮を図ることができる。
また、上記した構成からなる地盤改良構造によれば、杭状の地盤改良体13及び壁状の地盤改良体14による鉱滓埋設領域1の改良率が格子壁状の地盤改良体12による原地盤領域3の改良率よりも小さく、また、格子状の地盤改良体15による既存杭埋設領域2の改良率が、格子壁状の地盤改良体12による原地盤領域3の改良率よりも小さいので、地盤改良の材料を換えることなく、原地盤領域3におけるせん断波速度の深さ方向の分布と、鉱滓埋設領域1や既存杭埋設領域2におけるせん断波速度の深さ方向の分布とが同等となる。これにより、鉱滓埋設領域1や既存杭埋設領域2に対する地盤改良と原地盤領域3に対する地盤改良とを同時期に共通の設備を用いて施工することができ、作業効率を向上させることができ、コストダウン及び工期短縮を図ることができる。
以上、本発明に係る地盤改良方法の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、上記した実施の形態では、原地盤領域3に壁状の地盤改良体12が格子状に造成されているが、本発明における原地盤領域に造成する地盤改良体は、原地盤領域の形状や地質に合わせて地盤改良体の形状を適宜変更することが可能であり、壁状の地盤改良体が格子状以外の形状に配設されていてもよく、或いは、杭状やブロック状等の壁状以外の地盤改良体であってもよい。また、上記した実施の形態では、鉱滓埋設領域1に杭状の地盤改良体13と壁状の地盤改良体14とが造成され、既存杭埋設領域2に格子状の地盤改良体15が造成されているが、本発明における埋設物領域に造成する地盤改良体は、埋設物領域の形状や、埋設物(鉱滓10や既存杭11)の形状、存在範囲の大きさ等に合わせて適宜変更することが可能であり、格子壁状やそれ以外の壁状、杭状、ブロック状等の地盤改良体であってもよい。
また、上記した実施の形態では、鉱滓埋設領域1や既存杭埋設領域2における改良率を原地盤領域3における改良率と比較して小さくすることで、各領域1〜3のせん断波速度の深さ方向の分布を同等となるようにしているが、本発明は、各領域1〜3における改良率を変えることなく、各領域1〜3のせん断波速度の深さ方向の分布を同等となるようにしてもよい。例えば、埋設物領域(鉱滓埋設領域1、既存杭埋設領域2)では、原地盤領域3の地盤改良において用いる固結材と異なる固結材を用いて地盤改良することも可能である。具体的には、原地盤領域3の地盤改良において用いる固結材よりも強度が低い固結材を埋設物領域の地盤改良に用いることで、各領域1〜3において改良率を変えることなく、各領域1〜3のせん断波速度の深さ方向の分布を同等にすることができる。
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
本発明の実施の形態を説明するための不均質地盤の斜視図である。 本発明の実施の形態を説明するための地盤改良構造の平面図である。
符号の説明
1 鉱滓埋設領域(埋設物領域)
2 既存杭埋設領域(埋設物領域)
3 原地盤領域
10 鉱滓(埋設物)
11 既存杭(埋設物)
12 地盤改良体(第一地盤改良体)
13 地盤改良体(第二地盤改良体)
14 地盤改良体(第二地盤改良体)
15 地盤改良体(第二地盤改良体)
G 地盤(不均質地盤)

Claims (2)

  1. 地中埋設物が埋設された埋設物領域と、地中埋設物が埋設されていない原地盤領域と、を有する不均質な地盤に造成される地盤改良構造において、
    前記原地盤領域に第一地盤改良体が造成されているとともに、前記埋設物領域に第一地盤改良体と異なる第二地盤改良体が造成されており、
    前記第一地盤改良体が設けられた前記原地盤領域と前記第二地盤改良体が設けられた前記埋設物領域とは、せん断波速度の深さ方向の分布が同等になっていることを特徴とする地盤改良構造。
  2. 請求項1記載の地盤改良構造において、
    前記第二地盤改良体による前記埋設物領域の改良率が、前記第一地盤改良体による前記原地盤領域の改良率よりも小さいことを特徴とする地盤改良構造。
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