JP2012062614A - 刺繍の刺し方及び刺繍用具 - Google Patents

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繁治 大西
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Abstract

【課題】刺繍を施す布を張らなくても、その布に刺繍を施すことのできる画期的な方法とその方法を実施するための刺繍用具とを提供することを目的とする。
【解決手段】ゴースを矩形の木枠に強く張った状態で、押しピンを用いて木枠に固定したものを上下一対用意する。次に、そうして張設されたゴースを、刺繍を施す布の表面と裏面に密着させてから、万力等を用いて上下の木枠を上下から押し付けて固定する。
しかる後、重ねられた表裏のゴースと布に対して刺繍を施し、刺繍が完成すれば、ゴースを木枠から外して、刺繍糸と布との間に挟まったゴースを、毛抜きを用いて取り除く。そうすれば、布を張らなくても、布に刺繍を施すことができるので、従来は不可能であった絞り染めの生地であっても微細な刺繍を施すことができる。
【選択図】図3

Description

本発明は、日本刺繍の刺し方とその刺し方を実施するための刺繍用具に関する。
従来の日本刺繍の刺し方は、刺繍枠で囲まれた中空に、刺繍を施す布をたこ糸でもって強く張り、その布に刺繍糸を上下から刺す技法である。こうした布の張り方は、古くから周知であるが、公報を挙げれば、下記公開実用新案公報に記載されている。
実開昭61−180195号
ところが、たこ糸を用いて布を張ると、布が伸びることがあるので、薄くて弱い布に刺繍を施す場合は、布の特性を考えながら最も安全な方法で刺繍を施す高度な職人技が求められる。それでも、絞り染めの反物は、刺繍枠に張ることができないので、玄人でも刺繍が不可能とされている。
同様に、たこ糸を用いずに大小2つの刺繍枠の間に布を挟んで張設する近代式の刺繍方法を用いても、絞り染めの反物には、刺繍を施すことができない。
本発明は、刺繍を施す布を張らなくても、その布に繊細な刺繍を施すことができる画期的な方法とその方法を実施するための刺繍用具とを提供することを目的とする。
請求項1の発明は、刺繍を施す本体布の表面と裏面に、強く張られたゴースを密着させ、そのゴースの上から刺繍を施した後、本体布と刺繍糸との間に挟まったゴースを解して取り除くことを特徴とする。
ゴースは、一般的には、綿または絹の透けた張りのある薄織物(広辞苑参照)を指すが、ここでは、特に極細の絹糸で織られた羽二重を使用する。そのゴースを木枠に強く張ったものを上下一対用意する。そうして用意したゴースを本体布の表面と裏面に密着させる。即ち、ゴースの張られた上下の木枠をゴース面が接するように重ね、その間に本体布を挟んでサンドイッチにする。そして、上下に重ねた木枠の四隅を万力等で上下から押し付けて固定する。これにより、刺繍を施す本体布は、木枠に張られた上下のゴースと密着してずれないようになる。
次に、そうして重ねたゴースの上から刺繍を施し、刺繍が完成すれば、万力等を木枠から外してゴースを本体布から浮かせ、浮いたゴース部分を切り取って、刺繍が施されたゴース部分を本体布に残して分離する。そして、刺繍糸と本体布との間に挟まったゴースを、毛抜きを用いて丁寧に引き抜く。そうすれば、本体布に直接刺繍を施したようになる。
請求項2の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ゴースに下絵が描かれていることを特徴とする。この下絵は、ゴースに事前に印刷したものでも、後から手書きしたものでも良い。こうしておけば、本体布に下絵を描かないので、本体布を保護することになるし、ゴースを取り除けば、下絵も消滅する。
請求項3の発明は、ゴースがそれぞれ張設された上下一対の木枠と、ゴースが張設された上下の木枠の間に刺繍を施す本体布を介在させてから、上下の木枠の四隅を上下方向から押さえて固定する固定具とを備えたことを特徴とする。
上記木枠は、矩形が好ましいが、刺繍を施す面積に応じて、円形、楕円形等の種々の形状のものが採用可能である。また、ゴースを木枠に固定するときは、押しピンを用いるのが好ましいが、それに限定されるものではなく、例えば、上下に嵌合する木枠を用いてゴースの周縁を、嵌合する木枠の間に挟んで固定するものであっても良い。
請求項1に記載の発明によれば、刺繍を施す本体布を引っ張るのではなく、その代わりとして、木枠に強く張ったゴースを本体布の表裏面に密着させ、その上から刺繍糸を刺すので、本体布を引っ張らずに繊細な刺繍を施すことができる。したがって、本体布が薄くて弱い生地であっても、また玄人でなくても、微細な刺繍を施すことができる。しかも、従来では、刺繍を施すことが全く不可能であった絞り染めの反物にも極めて簡単に刺繍を施すことができるのである。
請求項2に記載の発明によれば、刺繍を施す本体布には下絵を描かずに、その上に重ねるゴースに下絵を描くので、刺繍後にゴースを取り除けば、同時に下絵も消し去ることができる。また、色筆で下絵を描けば、本体布が色生地であっても、針の刺し違いや配色ミスを無くすことができる。
請求項3に記載の発明によれば、木枠に張設したゴースを、刺繍を施す本体布の表裏面に密着させることができるので、本体布を引っ張らずに、それを刺繍が可能な程度に木枠に固定することができる。したがって、本体布を伸ばしたり、傷めたりすることがないから、素人でも玄人並みの刺繍を施すことができる。
上部の木枠にゴースを張った状態の斜視図 下部の木枠にゴースを張った状態の斜視図 上下一対の木枠の間に本体布を挟んで固定した状態の斜視図 上下のゴースとその間に挟まれた本体布に対して刺繍を施した状態の斜視図 上下一対の木枠からゴースを開放した状態の斜視図 本体布と刺繍糸との間に残ったゴースを取り去った状態の斜視図
以下、本発明の実施の形態を、図1〜図6を用いて説明する。
図1は、矩形の上部の木枠1の下面にゴース3を張った状態を示し、図2は、同一形状の下部の木枠2の上面にゴース3を張った状態を示す。ゴース3を木枠1、2に張り付けるときは、木枠1,2より広めのゴース3を用意し、それを広げたところに木枠1、2を押し当て、その木枠1,2からはみ出たゴース3の周縁を、木枠1,2の側面に押しピン4で固定していく。その際、押しピン4のピッチを調節してゴース3に張りむらが生じないようにする。また、ゴース3の周縁を厚紙等の心材に巻いてから木枠1,2の側面に心材を沿わせて押しピン4で固定してもよい。
ゴース3の木枠1、2への固定は、これに限定されるものではなく、例えば、矩形の内枠にそれより大きめのゴース3を被せ、その上から外枠を嵌め込んでゴース3を内枠と外枠との間に挟んで固定するものであってもよい。
こうして上下の木枠1,2に張られたゴース3が用意できると、次に、下部木枠1の上面に張られたゴース3の上に、刺繍を施す本体布5を被せ、その上から上部木枠2をその底面のゴース3を下にして重ね合わせる。そして、図3に示すように、上下の木枠1,2の各側面を一致させた後、図3に示す万力等の固定具6を用いて、上下の木枠1,2の四隅を上下から押さえて固定する。
そして、上部木枠1のゴース3に刺繍の下絵を描くが、その際用いる絵筆は、従来の胡粉に拘らず、最近の油性ペンで描くことができる。また、事前にゴースに下絵を印刷しておいても良い。
こうして準備が整うと、刺繍糸7をゴース3の上下から刺して、ゴース3と本体布5の三層体に刺繍を施し、出来上がったら四隅の万力(固定具)6を外す(図4)。
続いて、上下の木枠1,2を本体布5から少し浮かせ、刺繍が施されたゴース部分を残してその回りを切り取り、木枠1,2に固定されたゴース3と分離する。すると、図5に示すように、切り取られたゴース3が刺繍糸7と本体布5との間に縫いこまれた状態で残る。
しかし、こうして切り取られたゴース3は、縦糸と横糸のみで織り上げられた平絹布であり、毛抜きを用いれば、これらの縦糸と横糸を容易に引き抜くことができる。そこで、切り取られたゴース3を毛抜きで丁寧に取り除けば、刺繍糸7を本体布5に密着させることができるし、併せて、下絵も取り除くことができる。図6は、そうして仕上げた状態を示す。
こうした刺繍方法を用いれば、刺繍を施す布を張らなくても刺繍ができるので、従来は不可能であった絞り染めの反物にも刺繍を施すことができる。
1 上部の木枠
2 下部の木枠
3 ゴース
4 押しピン
5 本体布
6 固定具
7 刺繍糸

Claims (3)

  1. 刺繍を施す本体布の表面と裏面に、強く張られたゴースを密着させ、そのゴースの上から刺繍を施した後、本体布と刺繍糸との間に挟まったゴースを解して取り除くことを特徴とする刺繍の刺し方。
  2. 前記ゴースに下絵が描かれていることを特徴とする請求項1に記載の刺繍の刺し方。
  3. ゴースがそれぞれ張設された上下一対の木枠と、ゴースが張設された上下の木枠の間に刺繍を施す本体布を介在させてから、上下の木枠の四隅を上下方向から押さえて固定する固定具とを備えたことを特徴とする刺繍用具。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN110331529A (zh) * 2019-08-02 2019-10-15 嘉兴市日日木制品有限公司 一种新型榉木绣花圈及其制造方法

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