JP2012062393A - ゴム組成物からなるタイヤ - Google Patents

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久美 藤木
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正明 泉池
Akifumi Ikuta
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Abstract

【課題】硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンやヘキサメトキシメチルメラミンを用いることのない樹脂組成物を含む高弾性で破断伸びが大きい特性を有するゴム組成物からなるタイヤであって、前記ゴム組成物を構成するゴム成分として、カーボンブラックの分散性が改良され、ゴムの補強性や耐摩耗性などの向上を図ることができ、かつマスターバッチ中のカーボンブラックの収率が落ちることがなく、その上カーボンブラックハンドリング性がよく製造できる方法で得られたカーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチを用いてなるゴム組成物からなるタイヤを提供することを目的とするものである。
【解決手段】天然ゴム及び合成ゴムのうち少なくとも1種からなるゴム成分と、ノボラック型レゾルシン樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を含む樹脂組成物を含有してなるゴム組成物からなるタイヤであって、前記ゴム組成物構成するゴム成分が、カーボンブラックを含む充填材を分散させてなるスラリー(A)と、ゴム成分を分散又は溶解させてなるゴム液(B)とを混合する工程を有するカーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチの製造方法で得られるマスターバッチからなり、かつ、該マスターバッチの製造方法が、カーボンブラック未造粒または造粒物を含む充填材を用いて、前記スラリー(A)の調整を行うマスターバッチを用いてなるゴム組成物からなるタイヤである。
【選択図】なし

Description

本発明は、高弾性で、破断伸びが大きくかつゴムの補強性や耐摩耗性、低発熱性などの向上を図ることのできるゴム組成物からなるタイヤに関する。
従来、タイヤのゴム部材等には高弾性なゴムが用いられている。ゴムを高弾性化する手段としては、カーボンブラック等の充填剤を増量したり(例えば、特許文献1参照)、加硫剤の硫黄を増量して架橋点を増やす等の手法が知られているが、カーボンブラック等の充填剤を増量した場合、ゴム組成物の工場作業性や破断時伸び等の耐破壊性が悪化したり、ゴム組成物の発熱特性が悪化したりするという課題がある。
これに対して、ゴム組成物の破断時伸びの低下を抑えながら高弾性化する手段として、例えば、フェノール類とアルデヒド類とを酸性触媒下で縮合反応させて得られる未変性のノボラック型フェノール系樹脂や、トール油あるいはカシュー油等の不飽和油、またはキシレンあるいはメシチレン等の芳香族炭化水素で変性した変性ノボラック型フェノール系樹脂と、これらの樹脂を硬化させるヘキサメチレンテトラミンを硬化剤として添加する方法が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
また、ゴムの補強用充填材として広く用いられているカーボンブラックは、タイヤ部材の補強用充填材などとして広く用いられている。このカーボンブラック自体は、ナノメートルレベルの微細な粒子であるため、そのままの状態では、飛散などにより、ハンドリング性が悪く、したがって、通常造粒乾燥したものが用いられている。
カーボンブラックの造粒プロセスは、大別すると、乾式法と湿式法とに分類される。湿式法は、粉末カーボンブラックと水または造粒助剤を添加した水溶液とを、一定の割合でかつ連続的に造粒機に供給してカーボンブラックを造粒する方法であり、現状における造粒プロセスの主要な工業的手段とされている。
前記造粒助剤としては、例えば糖蜜、リグニンスルホン酸マグネシウム、リグニンスルホン酸カリウムなどが用いられる。
このようなカーボンブラックの造粒乾燥品を用いることでハンドリング性は改良されるものの、カーボンブラック自体の表面活性が低下するためゴムの補強用充填材として用いる場合、ゴムの補強性や耐摩耗性の低下を免れないという問題があった。
ところで、低発熱性や耐摩耗性、耐亀裂性成長性、に優れたゴムの製造方法としてウエットマスターバッチ法が一般に知られている。これは、カーボンブラック、シリカ等の充填材と水とをあらかじめ一定の割合で混合し機械的な力で充填材を水中に微分散させたスラリーとゴムラテックスを混合し、その後、酸・無機塩・アミン等の凝固剤を加えて凝固させたものを、回収、乾燥するものである(例えば、特許文献4、5及び6参照)。
しかしながら、このウエットマスターバッチの製造に用いられるカーボンブラックは、市販の造粒乾燥品であって、前述した問題を有しており、ゴムの補強性や耐摩耗性は、必ずしも充分に満足し得るとはいえなかった。
そこで、未造粒のカーボンブラックをウエットマスターバッチに適用する技術が特許文献7に開示されている。この技術においては、未造粒のカーボンブラックがカーボンブラックの製造ラインから直接マスターバッチ製造工程へ導入される。この場合、カーボンブラックまわりの雰囲気には酸素が存在しないためカーボンブラックの表面は酸化を受けず、その表面活性は高く維持されるというメリットがある。しかしながら、カーボンブラックは未造粒であるためハンドリング性が悪く、飛散などによりマスターバッチ製造工程におけるカーボンブラック収率が低下しやすいという問題があり、また、マスターバッチの製造においては、未造粒のカーボンブラックを単にアジテーターを用いてゴムラテックス中に分散させるため、カーボンブラックの分散性が必ずしも充分ではないという問題もあった。
特開平9−272307号公報 特開平5−98081号公報 特開2001−226528号公報 特公昭51−43851号公報 特公昭54−10576号公報 特開2004−99625号公報 ヨーロッパ公開特許第1362880A号
本発明のタイヤは、このような状況下になされたもので、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンやヘキサメトキシメチルメラミンを用いることなく、高弾性で破断伸びが大きい特性を有するゴム組成物からなるタイヤであって、カーボンブラックの分散性が改良され、ゴムの補強性や耐摩耗性などの向上を図ることができ、かつマスターバッチ中のカーボンブラックの収率が落ちることがなく、その上カーボンブラックハンドリング性がよく製造できる方法で得られたカーボンブラック含有ゴムゴムウエットマスターバッチとを混合してなるゴム組成物からなるタイヤを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンやヘキサメトキシメチルメラミンを用いることのない特定の樹脂組成物と、カーボンブラックハンドリング性がよく製造できる特定のゴムウエットマスターバッチを用いることによって上記課題を解決し、その目的を達成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、
[1] 天然ゴム及び合成ゴムのうち少なくとも1種からなるゴム成分と、ノボラック型レゾルシン樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を含む樹脂組成物を含有してなるゴム組成物であって、前記ゴム組成物構成するゴム成分が、カーボンブラックを含む充填材を分散させてなるスラリー(A)と、ゴム成分を分散又は溶解させてなるゴム液(B)とを混合する工程を有するカーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチの製造方法で得られるマスターバッチからなり、かつ、該マスターバッチの製造方法が、カーボンブラック未造粒または造粒物を含む充填材を用いて、前記スラリー(A)の調整を行うマスターバッチを用いてなるゴム組成物からなるタイヤ、
[2] 前記カーボンブラック造粒物を含む充填材が、湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を含む充填材からなる上記[1]のゴム組成物からなるタイヤ、
[3] 前記カーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチ由来のゴム成分が、ゴム成分100質量部に対して、少なくとも50質量部である上記[1]又は[2]のゴム組成物からなるタイヤ、
[4] 前記ノボラック型レゾルシン樹脂が、レゾルシンとアルデヒド類とをモル比(アルデヒド類/レゾルシン)0.4以上0.8以下で反応させて得られるものである上記[1]〜[3]いずれかのゴム組成物からなるタイヤ、
[5] 前記レゾール型フェノール系樹脂におけるジメチレンエーテル基量が、フェノール類に由来する芳香環同士を結合しているアルデヒド類に由来する全結合基量に対して、20モル%以上80モル%以下である上記[1]〜[3]いずれかのゴム組成物からなるタイヤ、
[6] 前記樹脂組成物におけるノボラック型レゾルシン樹脂の含有量が、18質量%以上50質量%以下である上記[1]〜[5]いずれかのゴム組成物からなるタイヤ、
[7] 前記樹脂組成物の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して1質量部以上30質量部以下である上記[1]〜[6]いずれかのゴム組成物からなるタイヤ、
[8] 前記樹脂組成物が、予め充填剤を含む上記[1]〜[7]いずれかのゴム組成物からなるタイヤ、
[9] 前記充填剤が、乾式シリカである上記[8]のゴム組成物からなるタイヤ、
[10] 前記ゴム成分が、ジエン系合成ゴムである上記[1]〜[9]いずれかのゴム組成物からなるタイヤ、
[11] 前記ウエットマスターバッチの製法において、未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の含水率が、30〜70質量%である、上記[2]のゴム組成物からなるタイヤ、
[12] 前記ウエットマスターバッチの製法において、未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の直径が0.1〜10mmである、請求項2又は11に記載のゴム組成物からなるタイヤ、
[13] 前記ウエットマスターバッチの製法において、未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の硬さが、1.0〜100cNである、上記[2]又は[11],[12]いずれかのゴム組成物からなるタイヤ、
[14] 前記ウエットマスターバッチの製法において、未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の熱重量分析(TGA)による150℃〜900℃までのカーボンブラックの熱減量が0.87〜1.5%であり、かつトルエン着色透過度が90%以上である上記[2]又は[11]〜[13]いずれかのゴム組成物からなるタイヤ、
[15] 前記ウエットマスターバッチの製法において、スラリー(A)中の充填材の粒度分布が、体積平均粒径(mv)25μm以下で、90体積%粒径(D90)30μm以下であり、かつ当該スラリー(A)から回収した乾燥充填材の24M4DBP吸油量が、分散媒に分散させる前の乾燥状態の充填材の24M4DBP吸油量の93%以上を保持する、上記[1]〜[2]又は[11]〜[14]いずれかのゴム組成物からなるタイヤ、
[16] 前記ウエットマスターバッチの製法において、スラリー(A)が、未乾燥状態のカーボンブラック造粒物と、シリカ及び一般式(1)
nM・xSiOy・zH2O ・・・(1)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物,それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y、及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
で表される無機充填材の中から選ばれる少なくとも一種とからなる充填材を含む、上記[1]〜[2]又は[11]〜[15]いずれかのゴム組成物からなるタイヤ、
[17] 前記ウエットマスターバッチの製法において、ゴム液(B)におけるゴム成分が、天然ゴム及び/又は合成ジエン系ゴムである、上記[1]、[2]、[11〜16]いずれかのゴム組成物からなるタイヤ、
[18] 前記ウエットマスターバッチの製法において、ゴム液(B)が、天然ゴムラテックス及び/又は合成ジエン系ゴムラテックスである、上記[17]のゴム組成物からなるタイヤ、
[19] 前記ウエットマスターバッチの製法において、(a)スラリー(A)とゴム液(B)を混合し、(b)この混合液を化学的及び/又は物理的に凝固処理し、生成した凝固物を取り出す請求項[1]〜[2]及び[11]〜[18]いずれかのゴム組成物からなるタイヤ、及び
[20] 前記ウエットマスターバッチの製法において、老化防止、可塑化、しゃっ解、加工性改良、分散改良、カップリング、架橋速度調整、又は架橋密度調整のうち、少なくとも一種の効果を有するゴム用添加剤を含む上記[1]〜[19]いずれかのゴム組成物からなるタイヤ、
を提供するものである。
<樹脂組成物の効果>
(1)本発明のタイヤに用いられる樹脂組成物は、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンやヘキサメトキシメチルメラミンを用いることなく、高弾性でかつ破断伸びが大きい特性が得られる。
(2)樹脂組成物の硬化時の反応制御が容易であり、取り扱いや力学特性に優れる。
(3)硬化性が良好で、かつ熱安定性に優れ品質ばらつきのない樹脂組成物が得られ、特性が安定している。
(4)樹脂組成物の硬化性を向上させることができ、高弾性で破断伸びの大きい発熱性の低いゴム組成物が得られる。
(5)放置によるブロッキング製が改善されるなどの効果を有する。
<カーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチの効果>
また、本発明のタイヤに用いられるカーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチは、カーボンブラックとして、湿式法により造粒されたカーボンブラック、好ましくは未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を用いて充填材スラリーを調製し、これとゴム液とを混合してカーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチを製造するので、以下に示す効果を奏する。
(1)カーボンブラックのハンドリング性がよく、飛散などを抑制することができ、またカーボンブラック含有充填材スラリーの調製が容易である。
(2)未乾燥状態のカーボンブラック造粒物は、通常乾燥工程で与えられるような酸化的高温条件で処理されていないため表面活性が高く、当該マスターバッチを用いたゴム組成物はゴムの補強性や耐摩耗性などの向上を図ることができる。
(3)通常の湿式法によるカーボンブラック造粒乾燥物や未造粒カーボンブラックを用いたものよりも、マスターバッチにおけるカーボンブラックの収率が落ちることがない。
(4)カーボンブラック含有充填材スラリーとゴム液とを混合してマスターバッチを製造するので、マスターバッチ中のカーボンブラックの分散性が良好である。
(5)当該マスターバッチの製造における全所要エネルギーが少ない。
(6)未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の含水率が30〜70質量%程度である場合や、直径が0.1〜10mm程度である場合、あるいは硬さが1.0〜100cNである場合、上記(1)〜(5)の効果が良好に発揮される。
(7)充填材分散スラリー中の充填材が特定の粒度分布を有し、かつスラリーから回収した乾燥充填材の24M4DBP吸油量が特定の値を有する場合、上記(1)〜(5)の効果が、より良好に発揮される。
(8)カーボンブラック含有充填材スラリーとして、未乾燥カーボンブラック造粒物と、シリカや他の無機充填材とからなる充填材を分散させたスラリー、好ましくはこれらの水分散スラリーを用いることができ、この場合も、上記(1)〜(5)の効果を発揮することができる。
(9)ゴム成分を含むゴム液が、天然ゴムラテックス及び/又は合成ジエン系ゴムラテックスの場合、上記(2)の効果がより良好に発揮される。
(10)充填材分散スラリーとゴム液との混合物を、化学的や物理的に凝固処理して凝固物を取り出し、乾燥処理することにより、目的とするカーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチを効率よく製造することができる。
(11)乾燥処理に、特定の乾燥機や混練装置を用いることにより、カーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチを生産性よく製造することができる。
本発明のタイヤは、上記未乾燥カーボンブラック配合のカーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチとレゾール/ノボラック複合樹脂組成物との組み合わせによって、更に、高弾性で破断伸びの大きい低発熱性のゴム組成物を得ることができる
まず、本発明のタイヤの必須成分である樹脂組成物について説明する。
(樹脂組成物)
本発明のタイヤに用いられる樹脂組成物には、ノボラック型レゾルシン樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を必須成分とする樹脂組成物が含有される。ゴム組成物の弾性率を増大させるため熱硬化性樹脂であるフェノール系樹脂組成物を配合することは有効であるが、前記ノボラック型レゾルシン樹脂単独では、末端にメチロール基がないので硬化剤なしで硬化することができない。一方、レゾール型フェノール系樹脂は末端等にメチロール基を有するので、硬化剤がなくても硬化することができる。ただし、レゾール型フェノール系樹脂単独では樹脂の硬化性が遅く、ゴムの加硫時に樹脂の硬化が十分に進行しない。
そこで本発明においては、ノボラック型レゾルシン樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を樹脂組成物に含有させることにより、硬化剤を用いることなくゴム組成物における弾性率を増大させ、しかも大きな破断時伸びをも得られることを見出した。すなわち、前記ノボラック型レゾルシン樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を併用することで、レゾール型フェノール系樹脂とノボラック型レゾルシン樹脂との反応により嵩高い硬化物となり、これがゴム成分中での擬似架橋構造として高弾性化と高破断伸び化に有効に作用していると考えられる。
なお、本発明において前記「フェノール系樹脂」とは、フェノールのみを原料とする重縮合物のみでなく、クレゾール及びキシレノールなどのフェノール類を原料とする重縮合物を含めた広範なフェノール樹脂を意味するものである。
本発明のタイヤに用いるレゾール型フェノール系樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて合成される。実際には前記レゾール型フェノール系樹脂は、硬化前の前駆体として得られるが、前記反応においてアルカリ触媒を用いると主に付加反応が進行して低重合度のレゾール型フェノール系樹脂となる。
本発明におけるレゾール型フェノール系樹脂に用いるフェノール類としては、例えば、フェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール等のクレゾ−ル類;2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール等のキシレノール類;o−エチルフェノール、m−エチルフェノール、p−エチルフェノール等のエチルフェノール類;イソプロピルフェノール、ブチルフェノール、p−tert−ブチルフェノール等のブチルフェノール類;p−tert−アミルフェノール、p−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−クミルフェノール等のアルキルフェノール類;フルオロフェノール、クロロフェノール、ブロモフェノール、ヨードフェノール等のハロゲン化フェノール類;p−フェニルフェノール、アミノフェノール、ニトロフェノール、ジニトロフェノール、トリニトロフェノール等の1価フェノール置換体、及び、1−ナフトール、2−ナフトール等の1価のフェノール類;レゾルシン、アルキルレゾルシン、ピロガロール、カテコール、アルキルカテコール、ハイドロキノン、アルキルハイドロキノン、プロログルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシナフタリン等の多価フェノール類;などが挙げられる。これらを単独あるいは2種以上を混合して使用することができる。
これらのフェノール類の中でも、経済的に有利なフェノール、クレゾール類、及びビスフェノールAから選ばれるものが好ましい。
本発明におけるレゾール型フェノール系樹脂及びノボラック型レゾルシン樹脂に用いるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ポリオキシメチレン、クロラール、ヘキサメチレンテトラミン、フルフラール、グリオキザール、n−ブチルアルデヒド、カプロアルデヒド、アリルアルデヒド、ベンズアルデヒド、クロトンアルデヒド、アクロレイン、テトラオキシメチレン、フェニルアセトアルデヒド、o−トルアルデヒド、サリチルアルデヒド等が挙げられる。これらを単独または2種以上組み合わせて使用することができる。
これらのアルデヒド類の中でも、反応性が優れ、安価であるホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドから選ばれるものが好ましい。
前記レゾール型フェノール系樹脂は、上述したフェノール類及びアルデヒド類を、アルカリ金属やアミン類、二価金属塩などの触媒の存在下で反応させることによって合成することができる。
前記合成する際に用いる触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属の水酸化物;カルシウム、マグネシウム、バリウムなどアルカリ土類金属の酸化物及び水酸化物;炭酸ナトリウム、アンモニア水、トリエチルアミン、ヘキサメチレンテトラミンなどのアミン類;酢酸マグネシウムや酢酸亜鉛などの二価金属塩;などの物質を単独または2種以上併用することができる。
前記レゾール型フェノール系樹脂の合成において、フェノール類とアルデヒド類との反応モル比としては、フェノール類1モルに対して、アルデヒド類を0.80モル以上2.50モル以下とすることが好ましく、より好ましくは、1.00モル以上2.30モル以下とする。モル比が前記範囲であると、反応制御が容易でありレゾール型フェノール系樹脂を確実に得ることができる。
また、本発明において、樹脂組成物に用いるレゾール型フェノール系樹脂のジメチレンエーテル基量は、フェノール類に由来する芳香環同士を結合しているアルデヒド類に由来する全結合基量に対して、20モル%以上80モル%以下であることが好ましく、25モル%以上75モル%以下であることがより好ましい。ジメチレンエーテル基量が上記範囲にあると、硬化性が良好で、かつ熱安定性に優れ品質ばらつきのないフェノール系樹脂組成物を得ることができる。
前記レゾール型フェノール系樹脂における結合基の比率は、1H−NMR法に準拠して測定したものである。具体的には、レゾール型フェノール樹脂をピリジン触媒中、無水酢酸で処理して、メチロール基をアセチル化し、このアセチル化物の1H−NMRを測定した。
各結合基量は、測定されたスペクトルからアセトンのピーク(2.04ppm)を基準に、各々メチレン基(約3.8ppm)、ジメチレンエーテル基(約4.5ppm)、メチロール基(約5.0ppm)とし、これらピークの積分強度比を、メチレン基、メチロール基については1/2倍、ジメチレンエーテル基については1/4倍とした値の比率より、アルデヒド類に由来する全結合基量(メチレン基量、ジメチレンエーテル基量及びメチロール基量の和)に対するジメチレンエーテル基量の比率(モル%)を算出した。
装置は、日本電子社製NMR測定装置「JNM−AL300」(周波数:300MHz)を使用した。なお、上記測定方法は、レゾール型フェノール系樹脂の原料としてフェノールとホルムアルデヒドとを用いた場合であるが、これ以外のフェノール類及びアルデヒド類を用いた場合でも、基本的に同じ原理で測定することができる。
一方、前記ノボラック型レゾルシン樹脂に用いるレゾルシン類としては、例えば、レゾルシン、2−メチルレゾルシン、5−メチルレゾルシン及び2,5−ジメチルレゾルシン等のメチルレゾルシン類、4−エチルレゾルシン、4−クロロレゾルシン、2−ニトロレゾルシン、4−ブロモレゾルシン、4−n−へキシルレゾルシンなどが挙げられる。これらを単独あるいは2種以上混合して使用することができる。
これらのレゾルシン類の中でも、経済的に有利なレゾルシン及びメチルレゾルシン類から選ばれるものが好ましい。
上記ノボラック型レゾルシン樹脂は、レゾルシン及び上述したアルデヒド類を、酸性触媒の存在下で反応させた後、脱水工程により水を除去して合成することができる。また、ノボラック型レゾルシン樹脂の合成に用いる触媒としては、シュウ酸、塩酸、硫酸、ジエチル硫酸、パラトルエンスルホン酸等の酸類を、単独または2種類以上併用して使用できる。また、レゾルシンそのものが酸性を示すため、無触媒でも合成することができる。
前記ノボラック型レゾルシン樹脂の合成において、レゾルシンとアルデヒド類との反応モル比としては、レゾルシン1モルに対して、アルデヒド類を0.40モル以上0.80モル以下とすることが好ましく、より好ましくは、アルデヒド類を0.45モル以上0.75モル以下とする。モル比が前記範囲あると、反応の制御や樹脂の取り扱いが容易となる。
前記樹脂組成物におけるノボラック型レゾルシン樹脂の含有量としては、樹脂組成物全体に対して、18質量%以上50質量%以下とすることが好ましく、20質量%以上45質量%以上とすることがより好ましい。
ノボラック型レゾルシン樹脂の含有量を上記範囲とすることにより、本発明における樹脂成分の硬化性を向上させることができ、高弾性で発熱性の低いゴム組成物を得ることができる。
更に、本発明における樹脂組成物には、それ自身の放置によるブロッキング性を改良するために、予め充填剤を添加することも可能である。前記充填剤としては、種々のものが使用できるが、例えば、炭酸カルシウム、ステアリン酸カルシウム、シリカ、硫酸バリウム、タルク、クレー、黒鉛等が挙げられ、これらを単独または2種以上を併用して用いることができる。これらの中でもシリカを用いることが好ましく、特に乾式シリカであることが、ゴム組成物としたときの物性に対するデメリットが少ない点で好ましい。
前記充填剤の添加量としては、樹脂組成物100質量部に対して、充填剤を1質量部以上40質量部以下で使用するのが好ましい。これにより、ゴム組成物の弾性率や破断時伸びを阻害することなく、樹脂組成物の放置によるブロッキング性を改善することができる。
本発明における樹脂組成物を得るため、前記レゾール型フェノール系樹脂とノボラック型レゾルシン樹脂とを混合する方法は、両成分が均一に混合分散し得る方法であればよく、特に限定されない。例えば、反応途中のレゾール型フェノール系樹脂中にノボラック型フェノール系樹脂を添加し混合する方法、反応途中のノボラック型フェノール系樹脂中にレゾール型フェノール系樹脂を添加し混合する方法、あるいは、レゾール型フェノール系樹脂とノボラック型フェノール系樹脂とを単に粉砕混合する方法、さらには、二軸押出機やオープンロール、加圧式混練機で混練する方法等がある。
本発明におけるフェノール系樹脂組成物は、その形状は粉末または固形であることが好ましい。形状が粉末または固形でなく、半固形または液状であると、成形品への配合時に作業性が劣るという問題を生じ好ましくない。
本発明のタイヤに用いられる前記フェノール系樹脂組成物の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して1質量部以上30質量部以下とすることが好ましく、5質量部以上20質量部以下とすることがより好ましい。含有量が上記範囲にあると、高弾性で破断時伸びの高いゴム組成物を得ることができる。
次に、本発明のタイヤに用いられるゴムウエットマスターバッチの製造方法について説明する。
[ゴムウエットマスターバッチの製造方法]
本発明のタイヤに用いられるゴムウエットマスターバッチ(以下、単にウエットマスターバッチと称することがある。)の製造方法は、カーボンブラックを含む充填材を分散させてなるスラリー(A)と、ゴム成分を分散又は溶解させてなるゴム液(B)とを混合する工程、を有するカーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチの製造方法であって、前記スラリー(A)の調製を、湿式法により造粒されたカーボンブラック造粒物を含む充填材を用いて行うことを特徴とする。前記カーボンブラック造粒物は、湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物であることが好ましい。
(スラリー(A))
スラリー(A)は、カーボンブラックを含む充填材を分散媒に分散させてなるスラリーである。
<カーボンブラック>
本発明においては、スラリー(A)の調製に用いる好ましいカーボンブラックとして、湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を使用する。
湿式法によるカーボンブラックの造粒方法については特に制限はなく、従来公知の方法、例えばカーボンブラックの塑性限界より若干低い含水率に相当する造粒水を加え攪拌転動する方法などを採用することができる。なお、前記造粒水には、所望により、造粒助剤、例えば糖蜜、リグニンスルホン酸マグネシウム、リグニンスルホン酸カリウムなどを含有させることができる。
未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の製造に用いるカーボンブラックのグレードとしては、通常ゴム工業に用いられるもの、例えばSAF、HAF、ISAF、FEF、GPF、及びこれらのグレードの混合物などを挙げることができる。
本発明においては、未乾燥状態のカーボンブラック造粒物として、含水率が30〜70質量%の範囲にあるものが、ビード状になり、分散の観点から好ましい。より好ましい含水率は、55〜65質量%である。
また、当該カーボンブラック造粒物の熱重量分析(TGA)法による150℃から900℃までのカーボンブラックの加熱減量が0.87〜1.5質量%であることが好ましい。加熱減量を0.87質量%未満にするとタイヤの転がり抵抗が悪化する。一方、加熱減量が1.5質量%を超えると、カーボンブラックを製造することが困難となる。
この観点から、加熱減量が0.88〜1.4質量%であることが好ましく、0.89〜1.2質量%であることが更に好ましい。
さらに、当該カーボンブラック造粒物の直径は、取扱い性やスラリー中の分散性などの観点から、0.1〜10mm程度が好ましく、0.5〜5mmがより好ましい。
さらにまた、当該カーボンブラック造粒物の硬さは、取扱い性及びスラリー中の分散性などの観点から、1.0〜100cNが好ましく、10〜50cNがより好ましい。
また、当該カーボンブラック造粒物のトルエン着色透過度が90%以上であることが好ましい。トルエン着色透過度が90%未満の場合は、補強性の阻害となるタール分が多く存在するため望ましくない。
このような未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を用いることにより、ハンドリング性がよく、飛散などを抑制することができ、かつスラリー中の分散性が良好となり、しかもカーボンブラックの表面活性が高いので、ゴムの補強性や耐摩耗性などの向上を図ることができる。
<無機充填材>
本発明においては、スラリー(A)は、前記乾燥又は未乾燥状態のカーボンブラック造粒物と、シリカ及び一般式(1)
nM・xSiOy・zH2O ・・・(1)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
で表される無機充填材の中から選ばれる少なくとも一種とからなる充填材を含むことができる。
前記シリカは特に限定されないが、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカが好ましい。これらは単独に又は混合して使用することができる。
前記一般式(1)で表わされる無機充填材は、具体的には、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al23)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al23・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)3]、炭酸アルミニウム[Al2(CO32]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)2]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO3)、タルク(3MgO・4SiO2・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO2・9H2O)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n-1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)2]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al23)、クレー(Al23・2SiO2)、カオリン(Al23・2SiO2・2H2O)、パイロフィライト(Al23・4SiO2・H2O)、ベントナイト(Al23・4SiO2・2H2O)、ケイ酸アルミニウム(Al2SiO5 、Al4・3SiO4・5H2O等)、ケイ酸マグネシウム(Mg2SiO4、MgSiO3等)、ケイ酸カルシウム(Ca2・SiO4等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al23・CaO・2SiO2等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO4)、炭酸カルシウム(CaCO3)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)2・nH2O]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO32]、各種ゼオライトのように電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩などが使用できる。
また、一般式(1)で表される無機充填材としては、Mがアルミニウム金属、アルミニウムの酸化物又は水酸化物、それらの水和物、及びアルミニウムの炭酸塩から選ばれる少なくとも一種のものが好ましい。
<スラリー(A)の調製>
本発明においては、当該スラリー(A)は、乾燥又は未乾燥状態のカーボンブラック造粒物と、必要に応じて用いられるシリカ及び前記一般式(1)で表される無機充填材の中から選ばれる少なくとも一種とからなる充填材を、高速せん断ミキサーを用いて分散媒中に分散させてなるものが好ましい。
本発明において、スラリー(A)の調製に用いられる高速せん断ミキサーとは、ローターとステーター部からなる高速せん断ミキサーであって、高速で回転するローターと、固定されたステーターが狭いクリアランスで設置され、ローターの回転によって高いせん断速度を生み出す。
高速せん断とは、せん断速度が、通常2000/s以上、好ましくは4000/s以上であることを意味する。
高速せん断ミキサーは、市販品としては、例えば特殊機化工業社製ホモミキサー、独PUC社製コロイドミル、独キャビトロン社製キャビトロン、英シルバーソン社製ハイシアミキサーなどが挙げられる。
本発明におけるスラリー(A)の特性としては、(i)スラリー液中の充填材の粒度分布は、体積平均粒子径(mv)が25μm以下で、90体積%粒径(D90)が30μm以下であり、かつ(ii)スラリー(A)から回収した乾燥充填材の24M4DBP吸油量は、分散媒に分散させる前の24M4DBP吸油量の93%以上保持することが好ましい。ここで、24M4DBP吸油量は、ISO 6894に準拠して測定される値である。
さらに好ましくは、体積平均粒子径(mv)が20μm以下、かつ90体積%粒径(D90)が25μm以下である。粒度が大きすぎるとゴム中の充填材分散が悪化し、補強性、耐摩耗性が悪化することがある。
他方、粒度を小さくするためにスラリーに過度のせん断力をかけると、充填材のストラクチャーが破壊され、補強性の低下を引き起こす。スラリー(A)から回収乾燥した充填材の24M4DBP吸油量が、分散媒に分散させる前の充填材の24M4DBP吸油量の93%以上であることが望ましい。さらに好ましくは96%以上である。
スラリー(A)において、前記充填材の濃度は1〜15質量%とするのが好ましく、特に2〜10質量%の範囲であることが好ましい。充填材の濃度が1質量%未満では必要とするスラリー容量が多くなりすぎ、また15質量%を超えると、スラリー(A)の粘度が高くなりすぎて、作業上問題が生じる。
本発明においては、このスラリー(A)としては、水分散スラリーであることが、特に後述のゴム液(B)として天然ゴムラテックス及び/又は合成ゴムラテックスを用いる場合に、混合性の観点から好ましい。
(ゴム液(B))
本発明におけるゴム液(B)は、ゴム成分を溶解又は分散させてなるものであって、ゴム成分として、天然ゴム及び/又は合成ジエン系ゴムを用いることができる。当該ゴム液(B)としては、天然ゴムラテックス及び/又は合成ジエン系ゴムラテックス、あるいは溶液重合による合成ジエン系ゴムの有機溶媒溶液などを挙げることができるが、これらの中で、得られるウエットマスターバッチの性能や製造しやすさなどの観点から、天然ゴムラテックス及び/又は合成ジエン系ゴムラテックスが好適である。
天然ゴムラテックスとしては、フィールドラテックス、アンモニア処理ラテックス、遠心分離濃縮ラテックス、酵素処理やケン化処理などによって得られる脱蛋白ラテックス、化学変性ラテックス前記のものを組み合わせたものなど、いずれも使用することができる。
合成ジエン系ゴムラテックスとしては、例えばスチレン−ブタジエン重合体ゴム、ニトリルゴム、ポリクロロプレンゴムなどのラテックスを使用することができる。
これらのラテックスは一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
((a)工程)
本発明における(a)工程は、前記のスラリー(A)とゴム液(B)とを混合する工程である。
カーボンブラック含有充填材スラリー(A)とゴム液(B)との混合は、例えばホモミキサー中に該スラリー(A)を入れ、攪拌しながら、ゴム液(B)を滴下する方法や、逆にゴム液(B)を攪拌しながら、これに該スラリー(A)を滴下する方法がある。また、一定の流量割合をもったスラリー(A)流とゴム液(B)流とを激しい水力攪拌の条件下で混合する方法などを用いることもできる。
このようにして、カーボンブラック含有充填材スラリー(A)とゴム成分を含むゴム液(B)との混合液が調製される。
((b)工程)
本発明における(b)工程は、前記(a)工程で得られた混合液を、化学的及び/又は物理的に凝固処理し、形成された凝固物を取り出す工程である。
化学的凝固処理方法は、従来公知の方法、例えば蟻酸、硫酸などの酸や、塩化ナトリウムなどの塩を加えることによって行われる。
一方、物理的凝固処理方法としては、スチーム加熱や凍結など温度を変化させることによって凝固を促進させる方法や、強いせん断力を加えて凝固する方法が挙げられる。
これら化学的、物理的凝固法は、単独でも複数の方法を組み合わせて用いてもよい。
この凝固処理により形成された凝固物は、従来公知の固液分離手段を用いて、取り出され、充分に洗浄される。洗浄は、通常水洗法が採用される。
((c)工程)
本発明における(c)工程は、前記(b)工程で取り出され、洗浄された凝固物を脱水及び乾燥処理する工程である。
脱水の手段としては、遠心脱水、圧搾脱水、単軸又は複軸スクリューを用いたスクイザなど、また乾燥の手段としては熱風乾燥機、減圧乾燥機、凍結乾燥機など公知の手段を用いることができる。
また、機械的なせん断力をかけながら、脱水乾燥処理する方法も好ましい方法である。この場合、工業的生産性の観点から、連続混練機又は連続多軸混練押出機を用いることが好ましい。さらには、同方向回転、あるいは異方向回転の連続多軸混練押出機を用いることが好ましく、特に連続二軸混練押出機を用いることが好ましい。
このようにして、本発明のタイヤに用いられるゴムウエットマスターバッチを効率よく製造することができる。
本発明のタイヤに用いられるゴムウエットマスターバッチの製造方法によれば、前述のように、湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を用いてカーボンブラック含有充填材分散スラリーの調製をすることにより、通常のカーボンブラック造粒乾燥物や、未造粒カーボンブラックを用いたものに比べてゴム中のカーボンブラックの分散性が改良され、しかも表面活性が高いカーボンを用いることができるため、ゴムの補強性や耐摩耗性などの向上を図ることのでき、かつ得られたウエットマスターバッチ中のカーボンブラックの収率が落ちることがなく、その上、カーボンブラックのハンドリング性がよいゴムウエットマスターバッチを効率よく提供することができる。
本発明はまた、前記本発明の方法で得られたカーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチをも提供する。
[カーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチ]
本発明のゴム組成物に用いられるカーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチは、前述した本発明における製造方法で得られたマスターバッチであって、後述するゴム組成物の調製に用いられるが、当該ウエットマスターバッチの保管中の劣化などを防止するために、各種ゴム添加剤を含むものが好ましい。
(老化防止剤)
本発明で使用される老化防止剤としては、アミン系、キノリン系、フェノール系、有機ホスファイト系あるいはチオエーテル系などが挙げられるが、これらの中でアミン系及びキノリン系老化防止剤が好ましい。
アミン系老化防止剤としては、例えばN−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、アルキル化ジフェニルアミン、4,4’−(α,α−ジメチルベンジル)ジフェニルアミン、N−フェニル−N’−(3−メタクリロイロキシ−2−ヒドロキシプロピル)−p−フェニレンジアミン、N−(1−メチルヘプチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、オクチル化ジフェニルアミンとその誘導体、N,N’−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミンなどが挙げられ、キノリン系老化防止剤としては、例えば2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンの重合物、6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリンなどが挙げられる。
これらの老化防止剤は一種を単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のゴム組成物に用いられるカーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチに、前記の老化防止剤を含有させる方法としては、前述した本発明のゴム組成物に用いられるゴムウエットマスターバッチの製造方法において説明したスラリー(A)の調製時、ゴム液(B)の調製時、(A)(B)の混合生成物であるウエットマスターバッチ調整時、脱水乾燥時のいずれであってもよく、また、乾燥後のマスターバッチと添加剤を攪拌機等を用いて混合する方法が好適である。
また、加硫ゴムとして好ましい性能を発揮することを目的として、各種ゴム薬品を含むことができる。その成分としては、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、プロセス油、亜鉛華、スコーチ防止剤、分散助剤、ステアリン酸等の通常ゴム業界で用いられる各種薬品等を挙げることができる。
本発明のタイヤに用いられる前記フェノール系樹脂組成物の含有量は、前記ゴム成分100質量部に対して1質量部以上30質量部以下とすることが好ましく、5質量部以上20質量部以下とすることがより好ましい。含有量が上記範囲にあると、高弾性で破断時伸びの高いゴム組成物を得ることができる。
[ゴム組成物]
本発明のゴム組成物からなるタイヤは、前述した本発明におけるゴム組成物に用いられるカーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチと樹脂組成物を用いて得られたものであり、得られたゴム組成物は、高弾性で、破断伸びが大きくかつゴムの補強性や耐摩耗性、低発熱性に優れたゴム組成物を得ることができる。
本発明のゴム組成物においては、ゴム成分の全体に対してカーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチに由来するゴム成分を50質量%以上含むことが好ましい。
(他のゴム成分)
上記ウエットマスターバッチに追加して用いられる他のゴム成分としては、通常の天然ゴム及びジエン系合成ゴムが挙げられ、ジエン系合成ゴムとしては、例えばスチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリブタジエン(BR)、ポリイソプレン(IR)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレン共重合体(EPDM)及びこれらの混合物などが挙げられる。
(配合成分)
本発明のゴム組成物には、本発明の目的を損なわない範囲で、加硫剤、加硫促進剤、老化防止剤、プロセス油、亜鉛華、スコーチ防止剤、分散助剤、ステアリン酸等の通常ゴム業界で用いられる各種薬品を添加することができる。
上記加硫剤としては、硫黄等が挙げられ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、硫黄分として0.1〜10.0質量部が好ましく、0.5〜5.0質量部がより好ましい。
本発明のゴム組成物で使用できる加硫促進剤は、特に限定されるものではないが、例えば、M(2−メルカプトベンゾチアゾール)、DM(ジベンゾチアジルジスルフィド)、CZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、NS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)等のチアゾール系、あるいはDPG(ジフェニルグアニジン)等のグアニジン系の加硫促進剤等を挙げることができ、その使用量は、ゴム成分100質量部に対し、0.1〜5.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.2〜3.0質量部である。
また、本発明のゴム組成物で使用できる軟化剤として用いるプロセス油としては、例えば、パラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等を挙げることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、ヒステリシスロス、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部以下であれば加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)が悪化するのを抑制することができる。
更に、本発明のゴム組成物で使用できる老化防止剤としては、例えば3C(N−イソプロピル−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、6C[N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン]、AW(6−エトキシ−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリン)、ジフェニルアミンとアセトンの高温縮合物等を挙げることができる。その使用量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1〜6.0質量部が好ましく、更に好ましくは0.3〜5.0質量部である。
(ゴム組成物の調製、用途)
本発明のゴム組成物は、前述した樹脂組成物、カーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチ、及び所望により用いられる他のゴム成分や各種配合成分を、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサーなどの混練り機を用いて混練りすることによって調製することができる。
本発明のゴム組成物は、タイヤ用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業用品等の用途にも用いることができる。特にタイヤ用ゴムとして好適に使用され、例えばトレッドゴム、サイドゴム、プライコーティングゴム、ビードフイラーゴム、ベルトコーティングゴムなどあらゆるタイヤ部材に適用することができる。
本発明はまた、前記本発明のゴム組成物を用いてなるタイヤをも提供する。
[タイヤ]
本発明のタイヤは、前記本発明のゴム組成物を用いて通常の方法によって製造される。すなわち、樹脂組成物、ウエットマスターバッチ、と共に必要に応じて、上記のように、他のゴム成分や各種薬品を含有させたゴム組成物が未加硫の段階で、例えばタイヤトレッドに加工され、タイヤ成型機上で通常の方法により貼り付け成型され、生タイヤが成型される。この生タイヤを加硫機中で加熱、加圧してタイヤが得られる。
このようにして得られた本発明のゴム組成物は、補強性優れた高弾性で破断伸びの大きい発熱性の低いゴム組成物が得られ、それを用いたタイヤは耐摩耗性や低発熱性などに優れている。
次に、本発明を実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
各実施例、比較例における各種測定は下記の方法により行なった。
<フェノール系樹脂の製造>
(レゾール型フェノール樹脂)
攪拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、フェノール1000部及び37%ホルムアルデヒド水溶液1294部を加え(モル比(ホルムアルデヒド/フェノール)=1.50)、さらに酢酸亜鉛5部を加えた。1時間還流させ、反応によって生じる水の真空除去を行い、90℃になった時点でさらに1時間反応させ、常温(25℃)で固形のレゾール型フェノール樹脂1145部を得た。
このレゾール型フェノール樹脂について、前述の条件で1H−NMRにて解析した結果、アルデヒドに由来する全結合基量に対するジメチレンエーテル基量は、45モル%であった。
(ノボラック型レゾルシン樹脂)
攪拌装置、還流冷却器及び温度計を備えた反応装置に、レゾルシン1000部及びシュウ酸3部を加えた。内温が100℃になるまで加熱して、温度到達後、37%ホルムアルデヒド水溶液369部を30分間かけて逐添した(モル比(ホルムアルデヒド/フェノール)=0.50)。その後1時間還流させ、反応によって生じる水の常圧除去、真空除去を170℃になるまで行い、常温で固形のノボラック型レゾルシン樹脂1040部を得た。
<樹脂組成物の製造>
上記で得られた各ノボラック型レゾルシン樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を、第1表に示す組み合わせ及び組成にて混合し、衝撃式粉砕機により粉砕して、粉末状の樹脂組成物[1]〜[3]を得た。
Figure 2012062393
<未乾燥カーボンブラック造粒物>
(1)平均含水率
るつぼ中約1gサンプルについて、乾燥前及び105℃5時間乾燥後の重量を測定し、以下の計算式に従って算出した。これを5回繰り返しその平均値を平均含水率とした。
含水率(%)=(乾燥前重量(g)−乾燥後重量(g))/乾燥前重量(g)×100
(2)加熱減量
通常の熱重量測定装置を用い、窒素雰囲気下で昇温速度15℃/minにて150℃から900℃まで昇温したときの供試カーボンブラック質量の減少分を質量%で表わした。
(3)トルエン着色透過度
トルエン着色透過度(%)は、JIS K6218:1997の第8項B法に記載の方法により測定され、純粋なトルエンとの百分率で表示される。
(4)平均直径
光学顕微鏡を用い倍率30倍にて1000個の粒子直径を測定し、その平均値を平均直径とした。
(5)平均硬さ
JIS K 6219−3に準拠して測定。
<充填材分散スラリー>
(4)スラリー液中の充填材の粒度分布測定(体積平均粒径(mv)、90体積%累積粒径(D90))
レーザー回折型粒度分布計(MICROTRAC FRA型)を使用し、水溶媒(屈折率1.33)を用いて測定した。粒子屈折率(Particle refractive index)は全ての測定において1.57を用いた。また、充填材の再凝集を防ぐため、分散後直ちに測定を行った。
(5)充填材の24M4DBP吸油量
ISO 6894に準拠して測定した。
(6)スラリー化エネルギー指数
スラリー化に要した電力量を測定し、比較例2を基準として指数化した。数値が小さいほどエネルギー消費量が小さく、好ましい。
<配合ゴム>
(7)カーボンブラック含有量
JIS K 6227/ISO 1408:1995に準拠して測定した。
<ゴム組成物の加硫物性>
(8)破断時伸び及び破断強度
得られた加硫ゴムを、JISダンベル状3号形に打ち抜いたサンプルについて、JISK6251に準拠して25℃で引っ張り試験を行い、破断時伸びと破断強度とを測定した。結果を第2表−1、第2表−2に示す。
(9)動的弾性率E’
得られた加硫ゴムについて、東洋精機社製スぺクトロメータを用い、初期荷重100g、歪み2%、測定周波数50Hz、測定温度25℃及び60℃にて動的弾性率E’及び損失正接tanδを測定した。結果を第2表−1、第2表−2に示す。
製造実施例1:ウエットマスターバッチ(1)
(1)カーボンブラックスラリーの調製
水中に、平均含水率52質量%の湿式造粒後未乾燥状態のカーボンブラック(N330:平均直径1.7mm、平均硬さ21.5cN、カーボンブラックの製造時に湿式造粒機の出口より取り出したもの)を、ドライ換算で50質量部投入し、シルバーソン社製ハイシアミキサーにて、4800rpmの回転速度で30分間スラリー化処理を行い、スラリー濃度約5質量%のカーボンブラック含有スラリーを作製した。なお、カーボンブラックスラリーの調製は、スラリー20kgスケールで実施した。ここで得られたスラリーのカーボンブラックの粒度分布は体積平均粒径mv=4.9μm、D90(90体積%粒径)=8.3μmであった。
また、分散前のカーボンブラック(CB)の24M4DBP吸油量は88mL/100g、スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量は85mL/100gであり、DBP吸油量の保持率([スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量/分散前CBの24M4DBP吸油量]×100)は97%であった。
さらに、スラリー化エネルギー指数は60であった。
(2)ウエットマスターバッチの製造
上記(1)で得られたカーボンブラック含有スラリー全量と、10質量%に希釈したアンモニアを含む天然ゴム濃縮ラテックス1000質量部とを攪拌しながら混合したのち、これに蟻酸を添加してpH4.7に調製して凝固させた。次いで、この凝固物を不織布でろ過し、脱水したのち、二軸押出機で吐出温度150℃となるよう連続的に処理することで、ウエットマスターバッチを製造した。
このウエットマスターバッチ中のカーボンブラックの含有量(質量%)を求めた。その結果を第2表−1、−2に示す。
製造実施例2:ウエットマスターバッチ(2)
(1)カーボンブラックスラリーの調製
製造実施例1(1)において、スラリー化処理時間を15分間に変更した以外は、製造実施例1(1)と同様にして、スラリー濃度約5質量%のカーボンブラック含有スラリーを作製した。ここで得られたスラリーのカーボンブラックの粒度分布は体積平均粒径mv=5.3 μm、D90(90体積%粒径)=8.5μmであった。
また、分散前のカーボンブラック(CB)の24M4DBP吸油量は88mL/100g、スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量は87mL/100gであり、DBP吸油量の保持率([スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量/分散前CBの24M4DBP吸油量]×100)は99%であった。
さらに、スラリー化エネルギー指数は43であった。
(2)ウエットマスターバッチの製造
上記(1)で得られたカーボンブラック含有スラリー全量を用い、製造実施例1(2)と同様にしてウエットマスターバッチを製造し、評価を行った。その結果を第2表−1、−2に示す。
製造実施例3:ウエットマスターバッチ(3)
(1)カーボンブラックスラリーの調製
製造実施例1(1)において、未乾燥状態の熱重量分析(TGA)による150℃〜900℃までのカーボンブラックの熱減量を1.4質量%に変更した以外は、製造実施例1(1)と同様にして、スラリー濃度約5質量%のカーボンブラック含有スラリーを作製した。ここで得られたスラリーのカーボンブラックの粒度分布は体積平均粒径mv=5.0μm、D90(90体積%粒径)=8.4μmであった。
また、分散前のカーボンブラック(CB)の24M4DBP吸油量は89mL/100g、スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量は87mL/100gであり、DBP吸油量の保持率([スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量/分散前CBの24M4DBP吸油量]×100)は98%であった。
さらに、スラリー化エネルギー指数は60であった。
(2)ウエットマスターバッチの製造
上記(1)で得られたカーボンブラック含有スラリー全量を用い、製造実施例1(2)と同様にしてウエットマスターバッチを製造し、評価を行った。その結果を第2表−1、−2に示す。
製造実施例4:ウエットマスターバッチ(4)
(1)カーボンブラックスラリーの調製
製造実施例1(1)において、未乾燥カーボンブラック造粒物の代わりに、フラッフィ状の未造粒カーボンブラック(N330、カーボンブラックの製造時、バグフィルタ後の粉砕機出口より取り出したもの)を用いた以外は、実施例1(1)と同様にして、スラリー濃度約5質量%のカーボンブラック含有スラリーを調製した。ここで得られたスラリーのカーボンブラックの粒度分布は体積平均粒径mv=5.6μm、D90(90体積%粒径)=8.7μmであった。
また、分散前のカーボンブラック(CB)の24M4DBP吸油量は93mL/100g、スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量は92mL/100gであり、DBP吸油量の保持率([スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量/分散前CBの24M4DBP吸油量]×100)は99%であった。
さらに、スラリー化エネルギー指数は56であった。
(2)ウエットマスターバッチの製造
上記(1)で得られたカーボンブラック含有スラリー全量を用い、製造実施例1(2)と同様にしてウエットマスターバッチを製造し、評価を行った。その結果を第2表−1、−2に示す。
製造実施例5:ウエットマスターバッチ(5)
(1)カーボンブラックスラリーの調製
製造実施例1(1)において、未乾燥カーボンブラック造粒物の代わりに、湿式造粒後乾燥したカーボンブラック(N330:平均直径1.0mm、平均硬さ7.7cN)を用いた以外は、実施例1と同様にして、スラリー濃度約5質量%のカーボンブラック含有スラリーを調製した。ここで得られたスラリーのカーボンブラックの粒度分布は体積平均粒径mv=5.4μm、D90(90体積%粒径)=8.9μmであった。
また、分散前のカーボンブラック(CB)の24M4DBP吸油量は87mL/100g、スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量は85mL/100gであり、DBP吸油量の保持率([スラリー回収乾燥CBの24M4DBP吸油量/分散前CBの24M4DBP吸油量]×100)は98%であった。
さらに、スラリー化エネルギー指数は100であった。
(2)ウエットマスターバッチの製造
上記(1)で得られたカーボンブラック含有スラリー全量を用い、製造実施例1(2)と同様にしてウエットマスターバッチを製造し、評価を行った。その結果を第2表−1、−2に示す。
Figure 2012062393
Figure 2012062393
実施例1〜8及び比較例1〜8
実施例1〜8及び比較例1〜8は、第1表に示す[1]〜[3]の樹脂組成物及び製造実施例1〜5で得られたウエットマスターバッチを用い、バンバリーミキサーを使用し、第2表−1、−2に示す配合組成の各ゴム組成物を調製した。
比較例6〜8は、マスターバッチを用いず、第2表に示す配合組成の各成分をバンバリーミキサーで混練して、ゴム組成物を調製した。
各ゴム組成物を150℃で30分間加硫処理して、試験用サンプルを作製し、加硫ゴム物性を評価した。その結果を第2表−1、−2に示す。
第2表−1、−2から分かるように、実施例のゴム組成物は、比較例のゴム組成物に比べて、破壊時延び、破断時強力及び動的弾性率が高く、tanδ(低発熱性)が小さく、補強性優れた高弾性で破断伸びの大きい発熱性の低いゴム組成物が得られる。それを用いたタイヤは耐摩耗性や低発熱性などに優れている。
また、従来のドライ配合に本発明における樹脂組成物[1]を組み合わせた比較例6は、破壊時延び、破断時強力及び動的弾性率は高いが、低発熱性の効果が実施例対比劣る。従来のドライ練りは本発明におけるウエットマスターバッチよりカーボン分散が悪いことに起因すると考えられる。
本発明における樹脂組成物に替わってノボラック型フェノールホルムアルデヒド樹脂(フェノール樹脂A)とヘキサメチレンテトラミンの組み合わせの比較例1、比較例4及び比較例7はいずれも、破断時伸び、破断時強度及び動的弾性率が実施例対比小さい。
また、本発明における樹脂組成物に替わって、本実施例で製造したレぞール型ホルムアルデヒド樹脂(フェノール樹脂B)を用いた比較例3,5及び8は低発熱性の効果が実施例対比劣る。
本発明のゴム組成物によれば、硬化剤としてヘキサメチレンテトラミンやヘキサメトキシメチルメラミンを用いることのない樹脂組成物を含む高弾性で破断伸びが大きい特性を有するゴム組成物であって、前記ゴム組成物を構成するゴム成分として、カーボンブラックの分散性が改良され、ゴムの補強性や耐摩耗性などの向上を図ることができ、かつマスターバッチ中のカーボンブラックの収率が落ちることがなく、その上カーボンブラックハンドリング性がよく製造できる方法で得られたカーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチを用いてなるゴム組成物を提供するこができる。
本発明のゴム組成物は、タイヤ用途を始め、防振ゴム、ベルト、ホースその他の工業用品等の用途にも用いることができる。特にタイヤ用ゴムとして好適に使用され、例えばトレッドゴム、サイドゴム、プライコーティングゴム、ビードフイラーゴム、ベルトコーティングゴムなどあらゆるタイヤ部材に適用することができる。

Claims (20)

  1. 天然ゴム及び合成ゴムのうち少なくとも1種からなるゴム成分と、ノボラック型レゾルシン樹脂及びレゾール型フェノール系樹脂を含む樹脂組成物を含有してなるゴム組成物からなるタイヤであって、前記ゴム組成物構成するゴム成分が、カーボンブラックを含む充填材を分散させてなるスラリー(A)と、ゴム成分を分散又は溶解させてなるゴム液(B)とを混合する工程を有するカーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチの製造方法で得られるマスターバッチからなり、かつ、該マスターバッチの製造方法が、カーボンブラック未造粒または造粒物を含む充填材を用いて、前記スラリー(A)の調整を行うマスターバッチを用いてなるゴム組成物からなるタイヤ。
  2. 前記カーボンブラック造粒物を含む充填材が、湿式法により造粒された未乾燥状態のカーボンブラック造粒物を含む充填材からなる請求項1に記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  3. 前記カーボンブラック含有ゴムウエットマスターバッチ由来のゴム成分が、ゴム成分100質量部に対して、少なくとも50質量部である請求項1又は2に記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  4. 前記ノボラック型レゾルシン樹脂が、レゾルシンとアルデヒド類とをモル比(アルデヒド類/レゾルシン)0.4以上0.8以下で反応させて得られるものである請求項1〜3のいずれかに記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  5. 前記レゾール型フェノール系樹脂におけるジメチレンエーテル基量が、フェノール類に由来する芳香環同士を結合しているアルデヒド類に由来する全結合基量に対して、20モル%以上80モル%以下である請求項1〜4のいずれかに記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  6. 前記樹脂組成物におけるノボラック型レゾルシン樹脂の含有量が、18質量%以上50質量%以下である請求項1〜5のいずれかに記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  7. 前記樹脂組成物の含有量が、前記ゴム成分100質量部に対して1質量部以上30質量部以下である請求項1〜6のいずれかに記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  8. 前記樹脂組成物が、予め充填剤を含む請求項1〜7のいずれかに記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  9. 前記充填剤が、乾式シリカである請求項8に記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  10. 前記ゴム成分が、ジエン系合成ゴムである請求項1〜9のいずれかに記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  11. 前記ウエットマスターバッチの製法において、未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の含水率が、30〜70質量%である、請求項2に記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  12. 前記ウエットマスターバッチの製法において、未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の直径が0.1〜10mmである、請求項2又は11に記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  13. 前記ウエットマスターバッチの製法において、未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の硬さが、1.0〜100cNである、請求項2又は11〜12のいずれかに記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  14. 前記ウエットマスターバッチの製法において、未乾燥状態のカーボンブラック造粒物の熱重量分析(TGA)による150℃〜900℃までのカーボンブラックの熱減量が0.87〜1.5%であり、かつトルエン着色透過度が90%以上である請求項2又は11〜13のいずれかに記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  15. 前記ウエットマスターバッチの製法において、スラリー(A)中の充填材の粒度分布が、体積平均粒径(mv)25μm以下で、90体積%粒径(D90)30μm以下であり、かつ当該スラリー(A)から回収した乾燥充填材の24M4DBP吸油量が、分散媒に分散させる前の乾燥状態の充填材の24M4DBP吸油量の93%以上を保持する、請求項1〜2又は11〜14のいずれかに記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  16. 前記ウエットマスターバッチの製法において、スラリー(A)が、未乾燥状態のカーボンブラック造粒物と、シリカ及び一般式(1)
    nM・xSiOy・zH2O ・・・(1)
    [式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムから選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物,それらの水和物、及び前記金属の炭酸塩の中から選ばれる少なくとも一種であり、n、x、y、及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である。]
    で表される無機充填材の中から選ばれる少なくとも一種とからなる充填材を含む、請求項1〜2又は11〜15のいずれかに記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  17. 前記ウエットマスターバッチの製法において、ゴム液(B)におけるゴム成分が、天然ゴム及び/又は合成ジエン系ゴムである、請求項1〜2又は11〜16のいずれかに記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  18. 前記ウエットマスターバッチの製法において、ゴム液(B)が、天然ゴムラテックス及び/又は合成ジエン系ゴムラテックスである、請求項17に記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  19. 前記ウエットマスターバッチの製法において、(a)スラリー(A)とゴム液(B)を混合し、(b)この混合液を化学的及び/又は物理的に凝固処理し、生成した凝固物を取り出す請求項1〜2又は11〜18のいずれかに記載のゴム組成物からなるタイヤ。
  20. 前記ウエットマスターバッチの製法において、老化防止、可塑化、しゃっ解、加工性改良、分散改良、カップリング、架橋速度調整、又は架橋密度調整のうち、少なくとも一種の効果を有するゴム用添加剤を含む請求項1〜19のいずれかに記載のゴム組成物からなるタイヤ。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014040524A (ja) * 2012-08-22 2014-03-06 Sumitomo Rubber Ind Ltd タイヤ用ゴム組成物および空気入りタイヤ
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WO2016107054A1 (zh) * 2014-12-29 2016-07-07 中国石油天然气集团公司 一种交联剂的制造方法、交联剂及调剖剂的制造方法

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