JP2012061721A - 合成木材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造コストを低減するとともに、樹脂含浸ムラを生じさせない合成木材の製造法を提供する。
【解決手段】上記合成木材の製造方法を、発泡硬化性フラン樹脂組成物と、長繊維強化フラン樹脂ロッドを交互に成形型に投入し、その際、各ロッドを平行に揃え、成形型を加熱し、前記樹脂組成物を発泡硬化させて成形するものとする。
【選択図】なし
【解決手段】上記合成木材の製造方法を、発泡硬化性フラン樹脂組成物と、長繊維強化フラン樹脂ロッドを交互に成形型に投入し、その際、各ロッドを平行に揃え、成形型を加熱し、前記樹脂組成物を発泡硬化させて成形するものとする。
【選択図】なし
Description
本発明は、合成木材の製造方法に関し、詳しくは製造コストを低減するとともに、樹脂含浸ムラを生じさせない合成木材の製造方法に関する。
従来の繊維強化硬質ウレタン樹脂発泡体からなる合成木材は、通常連続成形設備を用い製造されている(例えば特許文献1参照)が、設備コストがかかり、品種も限られる上に、製造工程が含浸と発泡に分けられているため、含浸ムラが生じるのを避けられず、とりわけ断面の大きい合成木材の場合、成形時、上から樹脂を垂らし、含浸させるため、下側まで樹脂を含浸させるのに時間がかかるし、上下での樹脂含浸ムラが発生し、密度差が大きくなるなどの問題を有していた。
本発明の課題は、このような事情の下、製造コストを低減するとともに、樹脂含浸ムラを生じさせない合成木材の製造法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、合成木材の製造方法において、発泡熱硬化性樹脂組成物と、長繊維強化熱硬化性樹脂ロッドとを交互に成形型に投入し、前記樹脂組成物を発泡硬化させることにより、上記課題が達成されることを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、発泡熱硬化性樹脂組成物と、長繊維強化熱硬化性樹脂ロッドを交互に成形型に投入し、その際、各ロッドを平行に揃え、成形型を加熱し、前記樹脂組成物を発泡硬化させて成形することを特徴とする合成木材の製造方法が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、発泡熱硬化性樹脂組成物は、フラン樹脂と硬化剤と発泡剤とを含有することを特徴とする合成木材の製造方法が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、フラン樹脂は、フルフリルアルコール縮合フラン樹脂、フルフリルアルコール・フェノール縮合フラン樹脂、フルフリルアルコール・アルデヒド縮合フラン樹脂、エポキシ変性フラン樹脂、尿素変性フラン樹脂及びメラミン変性フラン樹脂の中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする合成木材の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第2又は3の発明において、硬化剤は、酸であることを特徴とする合成木材の製造方法が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第2又は3の発明において、硬化剤は、アンモニウム塩又はアミン塩であることを特徴とする合成木材の製造方法が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第2〜5のいずれかの発明において、発泡剤は、プロパン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、イソプロピルエーテル、トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン、イソプロピルクロリド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする合成木材の製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、熱硬化性樹脂ロッドは、強化長繊維に熱硬化性樹脂を含浸させ、硬化させてなるロッドであることを特徴とする合成木材の製造方法が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、強化長繊維は、ガラス長繊維であることを特徴とする合成木材の製造方法が提供される。
本発明の合成木材の製造方法によれば、製造コストを低減するとともに、樹脂含浸ムラを生じさせないという顕著な効果が奏される。
本発明の合成木材の製法は、発泡熱硬化性樹脂組成物と、長繊維強化熱硬化性樹脂ロッドを交互に成形型に投入したのち、成形型を加熱し、前記樹脂組成物を発泡硬化させて成形することで特徴付けられる。
発泡熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂と発泡剤を含有し、適宜さらに硬化剤を含有する。
熱硬化性樹脂として好ましくは、フラン樹脂やフェノール樹脂が用いられる。
発泡熱硬化性樹脂組成物は、フラン樹脂と硬化剤と発泡剤とを含有する発泡性フラン樹脂組成物であるのが、ゲルタイムが自由に調整しやすいので好ましい。
フラン樹脂は、フラン系樹脂であれば特に限定されないが、フルフリルアルコール縮合フラン樹脂、フルフリルアルコール・フェノール縮合フラン樹脂、フルフリルアルコール・アルデヒド縮合フラン樹脂、エポキシ変性フラン樹脂、尿素変性フラン樹脂、メラミン変性フラン樹脂等が好ましい。
フラン樹脂は、上記ロッドに対しムラなく投入されうるように、粘性が高すぎないものがよく、好ましくは200〜6000、より好ましくは1000〜3000cpsの粘度を有するものが用いられる。
熱硬化性樹脂として好ましくは、フラン樹脂やフェノール樹脂が用いられる。
発泡熱硬化性樹脂組成物は、フラン樹脂と硬化剤と発泡剤とを含有する発泡性フラン樹脂組成物であるのが、ゲルタイムが自由に調整しやすいので好ましい。
フラン樹脂は、フラン系樹脂であれば特に限定されないが、フルフリルアルコール縮合フラン樹脂、フルフリルアルコール・フェノール縮合フラン樹脂、フルフリルアルコール・アルデヒド縮合フラン樹脂、エポキシ変性フラン樹脂、尿素変性フラン樹脂、メラミン変性フラン樹脂等が好ましい。
フラン樹脂は、上記ロッドに対しムラなく投入されうるように、粘性が高すぎないものがよく、好ましくは200〜6000、より好ましくは1000〜3000cpsの粘度を有するものが用いられる。
硬化剤としては、酸、例えば硫酸や塩酸等の無機酸、トルエンスルホン酸やキシレンスルホン酸等の有機酸などが用いられ、その他アンモニウム塩やアミン塩なども用いられる。アンモニウム塩、アミン塩は、常温環境下ではそのまま安定に存在し、長いポットライフを確保することができ、一方、加熱硬化時には加熱によりアンモニア又はアミンと遊離酸とに解離され、解離したアンモニア又はアミンはフラン樹脂中に微少量含まれるホルムアルデヒドと反応してアミン化合物を形成し安定化されるとともに、遊離酸によりフラン樹脂は速やかに硬化するため、硬化時間の短縮とポットライフの長期化の両立が実現可能となる。
アンモニウム塩としては、硬化時の加熱で反応し酸を発生させるものであれば特に限定されないが、常温時の安定性と硬化時の加熱による反応速度の点から、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム等が好ましい。
アミン塩としては1級アミン塩、2級アミン塩が好ましく、中でも常温時の安定性と硬化時の加熱による反応速度の点から、例えばメチルアミン塩酸塩、ジメチルアミン塩酸塩、エチルアミン塩酸塩、ジエチルアミン塩酸塩等の塩酸塩、硫酸塩などの鉱酸塩がより好ましい。
アンモニウム塩、アミン塩はフラン樹脂への添加・分散を容易にするために希釈剤に溶解あるいは分散させることが好ましく、希釈剤としては水、メタノールやフルフリルアルコール等のアルコール類が挙げられる。希釈度はアンモニウム塩、アミン塩の希釈剤への溶解度により決定され、硬化剤としての機能を損なわない範囲で適宜でよいが、通常、10重量%〜80重量%程度に希釈される。
硬化剤の添加量は、フラン樹脂および硬化剤の種類や希釈濃度、目的とする硬化温度・硬化時間により調整されるため特に限定されないが、好ましくはフラン樹脂100重量部に対し1〜30重量部、より好ましくは3〜20部、さらに好ましくは5〜15重量部とするのがよい。
発泡剤としては、例えばプロパン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の低沸点の炭化水素、イソプロピルエーテル等のエーテル、トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン、イソプロピルクロリド等のハロゲン化炭化水素、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
樹脂の発泡倍率は適宜調整される。
樹脂の発泡倍率は適宜調整される。
発泡剤の添加量は、フラン樹脂および発泡剤の種類や希釈濃度、目的とする発泡温度・発泡時間により調整されるため特に限定されないが、好ましくはフラン樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部、中でも0.3〜2重量部とするのがよい。
次に、長繊維強化熱硬化性樹脂ロッドは、強化長繊維に熱硬化性樹脂、好ましくはフラン樹脂やフェノール樹脂を含浸させ、硬化させてなるロッドであり、特に長繊維強化フラン樹脂ロッドが好ましい。
強化長繊維としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維などの無機質繊維や、芳香族ポリアミド繊維等の合成繊維や天然繊維等の有機質繊維等が挙げられ、とりわけ強度や経済性の面からガラス繊維が適している。繊維の形態としては、ヤーン、クロス、ロービング、ロービングクロス、クロスマット等が好ましい。
強化長繊維としては、例えばガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、セラミック繊維などの無機質繊維や、芳香族ポリアミド繊維等の合成繊維や天然繊維等の有機質繊維等が挙げられ、とりわけ強度や経済性の面からガラス繊維が適している。繊維の形態としては、ヤーン、クロス、ロービング、ロービングクロス、クロスマット等が好ましい。
長繊維強化フラン樹脂ロッドは、強化長繊維がガラス繊維の場合、例えば、以下の工程を連続して行うことによって製造することができる。
(i)ガラス繊維のロービングを引き出し、ガイドを通してフラン樹脂が満たされた含浸槽に引き込む。
(ii)ガラス繊維にフラン樹脂を含浸させ、ガイドにてフラン樹脂をしごく。
(iii)樹脂含浸されたガラス繊維を硬化部(乾燥炉)に引き込み、熱を加え樹脂を硬化させる。
(iv)引取り装置にて樹脂の硬化した樹脂含浸ガラス繊維を引取り、所定の長さに切断する。
含浸用のフラン樹脂は、上記発泡性フラン樹脂組成物におけるフラン樹脂と同様のものが用いられ、さらにはガラス繊維にスムーズに含浸されるように、粘性が高すぎないものがよく、好ましくは200〜6000cps、より好ましくは1000〜3000cpsの粘度を有するものが用いられる。
含浸されたフラン樹脂の硬化剤としては、上記成形用のフラン樹脂組成物に配合されるのと同様の硬化剤を用いうるが、好ましくはエチルアミン塩酸塩等のアミン塩が用いられる。
含浸槽のフラン樹脂は、8時間以上硬化しないことがのぞましい。
このような好適条件下とすることにより、含浸設備の清掃回数を削減でき、連続生産が可能になる。
硬化部における硬化温度は通常50〜500℃、好ましくは100〜400℃の範囲で選ばれる。
(i)ガラス繊維のロービングを引き出し、ガイドを通してフラン樹脂が満たされた含浸槽に引き込む。
(ii)ガラス繊維にフラン樹脂を含浸させ、ガイドにてフラン樹脂をしごく。
(iii)樹脂含浸されたガラス繊維を硬化部(乾燥炉)に引き込み、熱を加え樹脂を硬化させる。
(iv)引取り装置にて樹脂の硬化した樹脂含浸ガラス繊維を引取り、所定の長さに切断する。
含浸用のフラン樹脂は、上記発泡性フラン樹脂組成物におけるフラン樹脂と同様のものが用いられ、さらにはガラス繊維にスムーズに含浸されるように、粘性が高すぎないものがよく、好ましくは200〜6000cps、より好ましくは1000〜3000cpsの粘度を有するものが用いられる。
含浸されたフラン樹脂の硬化剤としては、上記成形用のフラン樹脂組成物に配合されるのと同様の硬化剤を用いうるが、好ましくはエチルアミン塩酸塩等のアミン塩が用いられる。
含浸槽のフラン樹脂は、8時間以上硬化しないことがのぞましい。
このような好適条件下とすることにより、含浸設備の清掃回数を削減でき、連続生産が可能になる。
硬化部における硬化温度は通常50〜500℃、好ましくは100〜400℃の範囲で選ばれる。
本発明の合成木材を成形する際における、発泡硬化性フラン樹脂組成物の発泡、硬化は、樹脂の過発泡防止のため、通常50〜150℃、好ましくは50〜100℃で行われる。
次に実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらの例により何ら限定されるものではない。
(実施例1)
1210番手のガラス長繊維(日東紡社製)にTFC社製フラン樹脂(粘度2255cps)を含浸させ、350℃で硬化させ、所望サイズに切断し、ロッド(直径2mm程度、ガラス繊維含有率82重量%)を作成した。
上記ロッドを7969本使用し、140×200×700mm寸法の合成木材を以下のようにして作成した。
このロッドと、TFC社製フラン樹脂(粘度2255cps)100重量部に対し、硬化剤(p−トルエンスルホン酸)を12重量部、発泡剤(炭酸水素ナトリウム)を0.8重量部、シリコーン系界面活性剤を3重量部配合してなる発泡熱硬化性フラン樹脂組成物とを、ロッドと発泡硬化性フラン樹脂組成物の割合が重量比で63:37となるように金型に交互に投入し、その際、各ロッドを平行に揃え、金型を70℃で60分加熱し、該樹脂組成物を発泡、硬化させて上記所望寸法の合成木材を成形した。
このようにして合成木材を製造すると、製造コストが低減され、樹脂含浸ムラが生じなかった。
1210番手のガラス長繊維(日東紡社製)にTFC社製フラン樹脂(粘度2255cps)を含浸させ、350℃で硬化させ、所望サイズに切断し、ロッド(直径2mm程度、ガラス繊維含有率82重量%)を作成した。
上記ロッドを7969本使用し、140×200×700mm寸法の合成木材を以下のようにして作成した。
このロッドと、TFC社製フラン樹脂(粘度2255cps)100重量部に対し、硬化剤(p−トルエンスルホン酸)を12重量部、発泡剤(炭酸水素ナトリウム)を0.8重量部、シリコーン系界面活性剤を3重量部配合してなる発泡熱硬化性フラン樹脂組成物とを、ロッドと発泡硬化性フラン樹脂組成物の割合が重量比で63:37となるように金型に交互に投入し、その際、各ロッドを平行に揃え、金型を70℃で60分加熱し、該樹脂組成物を発泡、硬化させて上記所望寸法の合成木材を成形した。
このようにして合成木材を製造すると、製造コストが低減され、樹脂含浸ムラが生じなかった。
本発明の合成木材の製造方法は、製造コストを低減するとともに、樹脂含浸ムラを生じさせないので、産業上大いに有用である。
Claims (8)
- 発泡熱硬化性樹脂組成物と、長繊維強化熱硬化性樹脂ロッドを交互に成形型に投入し、その際、各ロッドを平行に揃え、成形型を加熱し、前記樹脂組成物を発泡硬化させて成形することを特徴とする合成木材の製造方法。
- 発泡熱硬化性樹脂組成物は、フラン樹脂と硬化剤と発泡剤とを含有することを特徴とする請求項1に記載の合成木材の製造方法。
- フラン樹脂は、フルフリルアルコール縮合フラン樹脂、フルフリルアルコール・フェノール縮合フラン樹脂、フルフリルアルコール・アルデヒド縮合フラン樹脂、エポキシ変性フラン樹脂、尿素変性フラン樹脂及びメラミン変性フラン樹脂の中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項2に記載の合成木材の製造方法。
- 硬化剤は、酸であることを特徴とする請求項2又は3に記載の合成木材の製造方法。
- 硬化剤は、アンモニウム塩又はアミン塩であることを特徴とする請求項2又は3に記載の合成木材の製造方法。
- 発泡剤は、プロパン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、イソプロピルエーテル、トリクロルモノフルオロメタン、トリクロルトリフルオロエタン、イソプロピルクロリド、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムの中から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記載の合成木材の製造方法。
- 長繊維強化熱硬化性樹脂ロッドは、強化長繊維に熱硬化性樹脂を含浸させ、硬化させてなるロッドであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の合成木材の製造方法。
- 強化長繊維は、ガラス長繊維であることを特徴とする請求項7に記載の合成木材の製造方法。
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Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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2010
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