JP2012057716A - 流体搬送用ホースの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】空隙のないワイヤ補強層をもつ流体搬送用ホースを容易に製造することができる流体搬送用ホースの製造方法を提供する。
【解決手段】内側補強層3の外周を第1未加硫ゴム層4で被覆してからワイヤ補強層6を形成すると共に、それらワイヤ補強層6及び第1未加硫ゴム層4を第2未加硫ゴム層7で被覆してからカバーゴム層9で被覆した後に加硫する。
【選択図】図5
【解決手段】内側補強層3の外周を第1未加硫ゴム層4で被覆してからワイヤ補強層6を形成すると共に、それらワイヤ補強層6及び第1未加硫ゴム層4を第2未加硫ゴム層7で被覆してからカバーゴム層9で被覆した後に加硫する。
【選択図】図5
Description
本発明は流体搬送用ホースの製造方法に関し、更に詳しくは、空隙のないワイヤ補強層をもつ流体搬送用ホースを容易に製造することができる流体搬送用ホースの製造方法に関する。
マリンホースに代表される流体荷役用の大口径のホースにおいては、高圧で送り出される石油などの流体が、ホース外部へ漏洩して海水汚染の事故を生じないような構造にする必要がある。そのため、このタイプの流体搬送用ホースの内部構造には、流体に対する耐侵食性を有する内面ゴム層の外側に複数層からなる補強層群を配置し、それら補強層群の外側にカバーゴム層を設けたものが多く用いられている。
上記の補強層群は、例えば特許文献1に示すように、ゴム引きした補強コードからなる内側補強層と、その外側に配置された補強ワイヤー層などから構成されている。
上記の補強ワイヤー層は、金属ワイヤを内側補強層の外周に所定のピッチで螺旋状に巻き回すことにより構成され、ホース本体に主に周方向の強度を付与すると共に、ホース本体が湾曲したときにキンクが発生するのを防止し、更に外圧によるホース本体の潰れを防止している。
このような補強ワイヤー層を成形するに際しては、図11に示すように、金属ワイヤ5間のスペースに内側補強層3やカバーゴム層8が入り込んで局部的に変形しないように、金属ワイヤ5を巻き回した後に、加硫ゴムからなる断面が矩形状で厚さが金属ワイヤ5の外径と等しい帯状材料(以下、「フィラー」という。)13を金属ワイヤ5間に螺旋状に巻き回すことが行われている。
しかしながら、金属ワイヤ5の断面が円形状であるのに対して、上述したようにフィラー13の断面は矩形状であるため、加硫後に両者の間に空隙14が生じて流体搬送用ホースの品質を低下させるという問題があった。また、流体搬送用ホースの外径は大きいため、フィラー13を巻き回す作業に手間がかかるという問題もあった。
本発明の目的は、空隙のないワイヤ補強層をもつ流体搬送用ホースを容易に製造することができる流体搬送用ホースの製造方法を提供することにある。
上記の目的を達成する第1発明の流体搬送用ホースの製造方法は、未加硫の内面ゴム層を有機繊維コードからなる内側補強層で被覆し、前記内側補強層の外周に、金属ワイヤを張力を加えつつホース長手方向に所定のピッチで螺旋状に巻き回してワイヤ補強層を形成し、前記ワイヤ補強層をカバーゴム層で被覆する流体搬送用ホースの製造方法において、前記内側補強層の外周を第1未加硫ゴム層で被覆してから前記ワイヤ補強層を形成すると共に、前記ワイヤ補強層及び第1未加硫ゴム層を第2未加硫ゴム層で被覆してから前記カバーゴム層で被覆することを特徴とするものである。
上記の目的を達成する第2発明の流体搬送用ホースの製造方法は、未加硫の内面ゴム層を有機繊維コードからなる内側補強層で被覆し、前記内側補強層の外周に、金属ワイヤを張力を加えつつホース長手方向に所定の間隔をおいて螺旋状に巻き回してワイヤ補強層を形成し、前記ワイヤ補強層をカバーゴム層で被覆する流体搬送用ホースの製造方法において、前記内側補強層の外周を前記金属ワイヤの外径未満の厚さを有する未加硫の発泡ゴム層で被覆してから前記ワイヤ補強層を形成し、前記発泡ゴム層との間に空間部が生じるように該ワイヤ補強層を前記カバーゴム層で被覆することを特徴とするを特徴とするものである。
第1発明の流体搬送用ホースの製造方法によれば、内側補強層の外周を第1未加硫ゴム層で被覆してからワイヤ補強層を形成し、更に第2未加硫ゴム層を被覆するようにしたので、第1未加硫ゴム層及び第2未加硫ゴム層は金属ワイヤに比べて非常に軟らかいため、金属ワイヤに沿って変形して金属ワイヤ間のスペースを十分に埋めた状態で加硫されて硬化するので、ワイヤ補強層に空隙が生じるのを防止することができる。また、フィラーを巻き付ける代わりに、第1未加硫ゴム層と第2未加硫ゴム層とを被覆するだけなので、製造作業を容易にすることができる。
第2発明の流体搬送用ホースの製造方法によれば、内側補強層の外周を金属ワイヤの外径未満の厚さを有する未加硫の発泡ゴム層で被覆してからワイヤ補強層を形成し、発泡ゴム層との間に空間部が生じるようにワイヤ補強層をカバーゴム層で被覆するようにしたので、加硫中に発泡ゴム層が発泡して空間部に拡がって金属ワイヤ間のスペースを埋めるので、ワイヤ補強層に空隙が生じることを防止することができる。また、フィラーを巻き付ける代わりに、発泡ゴム層を被覆するだけなので、製造作業を容易にすることができる。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
本発明の実施形態からなる流体搬送用ホースの製造方法を、図1〜5に基づいて以下に説明する。
まず、マンドレル1の外周に未加硫の内面ゴム層2を被覆してから、内側補強層3を積層する(図1)。内面ゴム層2は、ホース内を流れる流体への耐侵食性に優れたゴム組成物から形成する。また、内側補強層3は、ホース軸方向にバイアスに配列した有機繊維コードからなる補強層を、層間でコードが互いに交差するように複数積層することで構成する。
次に、内側補強層3の外周を第1未加硫ゴム層4で被覆した後に(図2)、第1未加硫ゴム層4の上から、金属ワイヤ5を張力を加えつつホース長手方向に所定のピッチで螺旋状に巻き回してワイヤ補強層6を形成する(図3)。このとき、第1未加硫ゴム層4は、金属ワイヤ5に比べて非常に軟らかいため、金属ワイヤ5が第1未加硫ゴム層4にめり込んで、実質的に内側補強層3の外周に金属ワイヤ5が巻き付けられた状態になる。
そして、ワイヤ補強層6及び第1未加硫ゴム層4を第2未加硫ゴム層7で被覆する(図4)。この第2未加硫ゴム層7を形成するゴム組成物は、第1未加硫ゴム層4と同じ硬さのゴム組成物又はエラストマーを用いることが好ましい。第2未加硫ゴム層7は第1未加硫ゴム層4と同じく、金属ワイヤ5に比べて非常に軟らかいため、金属ワイヤ5に沿って容易に変形して第1未加硫ゴム層4と一緒に金属ワイヤ5間のスペースを埋めるようになる。
最後に、第2未加硫ゴム層7を繊維補強層8及びカバーゴム層9で被覆してホース本体10Aを構成する(図5)。なお、繊維補強層8を用いない場合もある。
このようにして成形されたホース本体10Aを加硫すると、第1未加硫ゴム層4及び第2未加硫ゴム層7が、金属ワイヤ5間のスペースを十分に埋めた状態で硬化するため、ワイヤ補強層6に従来のように空隙14が生じるのを防止することができる。また、フィラー13を巻き付ける代わりに、第1未加硫ゴム層4と第2未加硫ゴム層7とを被覆するだけなので、製造作業を容易にすることができる。
第1未加硫ゴム層4の厚さは、金属ワイヤ5の外径(例えば、約5〜14mm)の1/3〜1/2の大きさとすることが望ましい。厚さがこの範囲を外れると、ワイヤ補強層6に空隙が生じやすくなったり、ホース本体10Aの外径が過度に増加したりする。また、第2未加硫ゴム層7の厚さは特に限定するものではないが、繊維補強層8やカバーゴム層9との間に隙間が生じないような厚さとすることが好ましい。
また、この第1未加硫ゴム層4は、未加硫状態でのムーニー粘度が20〜40ML(1+4) 125℃(JIS K6300−1に準拠)であるゴム組成物から形成することが望ましい。ムーニー粘度が、20未満になると第1未加硫ゴム層4が柔らか過ぎて、粘着したり寸法安定性が低下したりして加工が困難となる。また、40超になると金属ワイヤ5の第1未加硫ゴム層4への埋没が不十分となる。
未加硫状態でのムーニー粘度が20〜40ML(1+4) 125℃となるゴム組成物としては、ゴムーゴム間の接着性及びゴム−金属間の接着性を考慮して、ジエン系ゴム組成物が好ましく選択される。ジエン系ゴム組成物は、天然ゴム(NR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、塩素化ポリエチレンゴム(CM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム(CSM)などが例示されるが、NR、SBR及びBRのうちから選ばれる少なくとも1つのゴム組成物又はそれらの混合物を用いることが望ましい。
上記の製造方法においては、第2未加硫ゴム層7の外側に外側補強層を積層してもよい。外側補強層は、内側補強層3と同じく、ホース軸方向にバイアスに配列した有機繊維コードからなる補強層を、層間でコードが互いに交差するように複数積層することで構成する。
本発明の別の実施形態からなる流体搬送用ホースの製造方法を、図6〜9に基づいて以下に説明する。
まず、マンドレル1の外周に未加硫の内面ゴム層2を被覆してから、内側補強層3を積層する(図6)。
次に、内側補強層3の外周を未加硫の発泡ゴム層11で被覆する(図7)。発泡ゴム層11の厚さは、金属ワイヤ5の外径未満の大きさとする。この発泡ゴム層11を形成するゴム組成物としては、NR、SBR及びBRのうちから選ばれる少なくとも1つ又はそれらの混合物を用いることが望ましい。
そして、発泡ゴム層11の上から、金属ワイヤ5を張力を加えつつホース長手方向に所定のピッチで螺旋状に巻き回してワイヤ補強層6を形成する(図8)。このとき、発泡ゴム層11は未加硫状態であるため金属ワイヤ5に比べて非常に軟らかいので、金属ワイヤ5が発泡ゴム層11にめり込んで、実質的に内側補強層3の外周に金属ワイヤ5が巻き付けられた状態になる。
最後に、ワイヤ補強層6を繊維補強層8及びカバーゴム層9で被覆してホース本体10Bを構成する(図9)。繊維補強層8及びカバーゴム層9は金属ワイヤ5の頂部に跨るように被覆し、発泡ゴム層11との間に空間部12が形成されるようにする。
このようにして成形されたホース本体10Bを加硫すると、発泡ゴム層11が発泡して空間部12に拡がって金属ワイヤ5間のスペースを埋めるのでワイヤ補強層6に従来のように空隙14が生じるのを防止することができる(図10参照)。また、フィラー13を巻き付ける代わりに、発泡ゴム層11を被覆するだけなので、製造作業を容易にすることができる。
発泡ゴム層11については、発泡したときに金属ワイヤ5間のスペースを丁度埋めることができるように、あらかじめ厚さ(発泡ゴムの量)を決定しておくことが望ましい。そのような発泡ゴムの量は、発泡ゴムの材料特性(発泡倍率など)、流体搬送用ホースの寸法仕様及び加硫条件などから容易に求めることができる。
なお、上記の製造方法においては、ワイヤ補強層6の外周を外側補強層で被覆するようにしてもよい。
更に、上記のいずれの実施形態においても、ホース本体10A、10Bに浮力を与えることを目的として、上記の外側補強層の外周にスポンジゴムを螺旋状に巻き付けて浮力層を形成する場合もある。
本発明の流体搬送用ホースの製造方法の用途は、特に限定されるものではないが、流体荷役用の大口径ホースの製造に好ましく適用され、特に沖合のタンカーと陸部の備蓄タンク等との間の洋上で石油を搬送するマリンホースの製造に好適に用いることができる。
1 マンドレル
2 内面ゴム層
3 内側補強層
4 第1未加硫ゴム層
5 金属ワイヤ
6 ワイヤ補強層
7 第2未加硫ゴム層
8 繊維補強層
9 カバーゴム層
10A、10B ホース本体
11 発泡ゴム層
12 空間部
13 フィラー
14 空隙
2 内面ゴム層
3 内側補強層
4 第1未加硫ゴム層
5 金属ワイヤ
6 ワイヤ補強層
7 第2未加硫ゴム層
8 繊維補強層
9 カバーゴム層
10A、10B ホース本体
11 発泡ゴム層
12 空間部
13 フィラー
14 空隙
Claims (9)
- 未加硫の内面ゴム層を有機繊維コードからなる内側補強層で被覆し、前記内側補強層の外周に、金属ワイヤを張力を加えつつホース長手方向に所定のピッチで螺旋状に巻き回してワイヤ補強層を形成し、前記ワイヤ補強層をカバーゴム層で被覆する流体搬送用ホースの製造方法において、
前記内側補強層の外周を第1未加硫ゴム層で被覆してから前記ワイヤ補強層を形成すると共に、前記ワイヤ補強層及び第1未加硫ゴム層を第2未加硫ゴム層で被覆してから前記カバーゴム層で被覆することを特徴とする流体搬送用ホースの製造方法。 - 前記第1未加硫ゴム層の厚さが、前記金属ワイヤの外径の1/3〜1/2の大きさである請求項1に記載の流体搬送用ホースの製造方法。
- 前記第1未加硫ゴム層及び第2未加硫ゴム層を形成するゴム組成物の未加硫時におけるムーニー粘度が20〜40ML(1+4) 125℃である請求項1又は2に記載の流体搬送用ホースの製造方法。
- 前記第1未加硫ゴム層及び/又は第2未加硫ゴム層が、ジエン系ゴム組成物から形成されている請求項1〜3のいずれかに記載の流体搬送用ホースの製造方法。
- 前記ジエン系ゴム組成物が、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム及びブタジエンゴムのうちから選ばれる少なくとも1つである請求項4に記載の流体搬送用ホースの製造方法。
- 未加硫の内面ゴム層を有機繊維コードからなる内側補強層で被覆し、前記内側補強層の外周に、金属ワイヤを張力を加えつつホース長手方向に所定の間隔をおいて螺旋状に巻き回してワイヤ補強層を形成し、前記ワイヤ補強層をカバーゴム層で被覆する流体搬送用ホースの製造方法において、
前記内側補強層の外周を前記金属ワイヤの外径未満の厚さを有する未加硫の発泡ゴム層で被覆してから前記ワイヤ補強層を形成し、前記発泡ゴム層との間に空間部が生じるように該ワイヤ補強層を前記カバーゴム層で被覆することを特徴とする流体搬送用ホースの製造方法。 - 前記未加硫の発泡ゴム層の加硫後における体積が、前記内側補強層と前記金属ワイヤと前記カバーゴム層との間に形成されるスペースの体積と等しくなるようにした請求項6に記載の流体搬送用ホースの製造方法。
- 前記発泡ゴム層を形成するゴム組成物が、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴム及びブタジエンゴムのうちから選ばれる少なくとも1つである請求項6又は7に記載の流体搬送用ホースの製造方法。
- 前記流体搬送用ホースが石油搬送用のマリンホースである請求項1〜8のいずれかに記載の流体搬送用ホースの製造方法。
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JP2010201339A JP2012057716A (ja) | 2010-09-08 | 2010-09-08 | 流体搬送用ホースの製造方法 |
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CN103438296A (zh) * | 2013-07-26 | 2013-12-11 | 三橡有限公司 | 一种深海漂浮胶管 |
WO2015163308A1 (ja) * | 2014-04-25 | 2015-10-29 | 横浜ゴム株式会社 | マリンホースの製造方法およびマリンホース |
JP2015202550A (ja) * | 2014-04-16 | 2015-11-16 | 横浜ゴム株式会社 | 未加硫ゴム製の帯状部材の切断方法および切断装置 |
WO2024084732A1 (ja) * | 2022-10-20 | 2024-04-25 | 横浜ゴム株式会社 | スチールワイヤおよびマリンホース並びにスチールワイヤの曲げ性能の評価方法 |
-
2010
- 2010-09-08 JP JP2010201339A patent/JP2012057716A/ja active Pending
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