JP2012056326A - 空気入りラジアルタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】走路上の石等の突起物を踏んだ際のサイドカット故障の発生を抑制するとともに、トレッドゴムの放熱を促進して発熱量を抑制した重荷重用空気入りラジアルタイヤを提供する。
【解決手段】空気入りラジアルタイヤは、タイヤ外表面幅が、カーカス5の最大幅位置とタイヤ最大幅TW位置との間の領域で、タイヤ半径方向外側に向かうに従い漸増するとともに、タイヤ最大幅TW位置からタイヤ半径方向外側に向かうに従い漸減する外形形状を有するものであって、タイヤ最大幅TW位置とトレッド接地端との間の領域でタイヤ径方向に延在する、幅方向溝10よりも狭幅の細溝11を、幅方向溝10のタイヤ周方向の各隣接間に、少なくとも一本ずつ配設しており、細溝11のタイヤ径方向最内側の端部12が、幅方向溝10の溝底13よりもタイヤ径方向内側に位置し、前記細溝11は、溝深さが開口幅よりも大きく、且つ、タイヤ径方向に細長の形状とする。
【選択図】図1
【解決手段】空気入りラジアルタイヤは、タイヤ外表面幅が、カーカス5の最大幅位置とタイヤ最大幅TW位置との間の領域で、タイヤ半径方向外側に向かうに従い漸増するとともに、タイヤ最大幅TW位置からタイヤ半径方向外側に向かうに従い漸減する外形形状を有するものであって、タイヤ最大幅TW位置とトレッド接地端との間の領域でタイヤ径方向に延在する、幅方向溝10よりも狭幅の細溝11を、幅方向溝10のタイヤ周方向の各隣接間に、少なくとも一本ずつ配設しており、細溝11のタイヤ径方向最内側の端部12が、幅方向溝10の溝底13よりもタイヤ径方向内側に位置し、前記細溝11は、溝深さが開口幅よりも大きく、且つ、タイヤ径方向に細長の形状とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、空気入りラジアルタイヤ、特には建設車両に用いて好適なる重荷重用空気入りラジアルタイヤに関し、走路上の石等の突起物を踏んだ際のサイドカット故障の発生を抑制するとともに、トレッドゴムの放熱を促進することによりトレッドゴムの温度上昇を抑制した重荷重用空気入りラジアルタイヤに関するものである。
地下鉱山等の岩盤路を走行する建設車両用に用いられる重荷重用空気入りタイヤでは、図6に、タイヤの負荷転動時の幅方向断面をその半部について模式的に示すように、サイドウォール部22が、タイヤ幅方向外側に大きく膨出変形する。このため、タイヤの転動中に接触する石等の突起物によって、サイドウォール部22にサイドカットが生じるおそれが高く、このサイドカットがタイヤのカーカスにまで達すると、パンク等の故障を引き起こすおそれがあった。
そこで従来は、このような問題に対し、複数枚のコード交錯層からなるカーカスプライを配置したバイアスタイヤを広く一般に使用していた。これはすなわち、コード交錯層の厚みが厚いバイアスタイヤでは、サイドカット傷がタイヤの内面まで貫通し難く、耐サイドカット性に優れる利点があることによる。
一方、ラジアルタイヤは、製造工数、コスト面で有利であるとともに、耐摩耗性、トラクション性能、重量等の面でも優れているものの、この種の重荷重用空気入りラジアルタイヤでは、サイドウォール部に、例えばスチールコードからなるカーカスプライを一枚だけ配設する場合が多く、これに伴ってサイドウォール部のゴム厚みも薄くなることから、サイドカットがカーカスを容易に貫通してパンクに至るおそれが高かった。
このようなサイドカット故障を抑えるために、ラジアルタイヤでは、サイドウォール部のゴム厚みを厚くしたり、特許文献1に記載されているように、タイヤのサイドゴムに耐カット性に優れたゴムを配設することで、耐サイドカット性を向上させる技術が提案されているが、これによって尚、バイアスタイヤと同等レベルまで耐サイドカット性を向上させるには至っていなかった。
また、サイドカットそのものを受け難くするべく、例えば特許文献2に記載されているように、適用リムに装着され、内圧を充填した無負荷状態のタイヤの幅方向断面内で、タイヤ外表面幅を、カーカス層の最大幅位置から測って、カーカス層の最大幅位置からトレッド端までの半径方向距離の0.3〜0.7倍だけ離れた位置までの間で、漸増させ、かつ、前記位置からトレッド端までの間で、漸減させることで、重荷重によってサイドウォール部がタイヤ幅方向外側に大きく膨出変形したときでも、サイドウォール部を路面に対してほぼ垂直とすることで、サイドカットの発生を防止する技術が提案されている。
しかるに、この特許文献2に記載されたタイヤでは、トレッド接地端のタイヤ幅方向外側領域に位置するバットレスのゴムの厚みが厚くなってゴム体積が増加し、トレッドゴムの発熱量が増大し、トレッドゴム温度が上昇することによってタイヤの耐久性が低下するおそれがあった。
そこで、本発明は、走行時の石等の突起物に対する耐サイドカット性を低下させることなしに、トレッドゴムの発熱、ひいては温度上昇を抑制することが可能な重荷重用空気入りラジアルタイヤを提供することにある。
発明者らは、上記の耐サイドカット性の向上と、トレッドゴムの温度上昇の抑制とを高い次元で両立させた重荷重用空気入りラジアルタイヤを開発する方途につき鋭意検討していたところ、タイヤのトラクションの向上を目的として、トレッド部の、例えばタイヤ幅方向両端に配される幅方向溝に加えて、タイヤのショルダ部付近に適切な溝を設けることにより、トレッドゴムの発熱熱量をこれらの溝から放散させることが効果的であることを知見し、本発明を完成するに到った。従って、上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明の空気入りラジアルタイヤは、トレッド部と、一対のサイドウォール部と、一対のビード部と、各ビード部内のビードコア間にトロイド状に延在する少なくとも一枚のカーカスプライからなるラジアルカーカスと、カーカスのクラウン域の外周側に配置したトレッドゴムとを具え、少なくともトレッドショルダ域にトレッド幅方向に延びてトレッド端に開口する幅方向溝をトレッド周方向に間隔をおいて複数本配設してなり、
適用リムに組み付けて、規定の内圧を充填した無負荷状態で、タイヤ外表面幅が、カーカスの最大幅位置とタイヤ最大幅位置との間の領域で、タイヤ半径方向外側に向かうに従い漸増するとともに、タイヤ最大幅位置からタイヤ半径方向外側に向かうに従い漸減する外形形状を有する空気入りラジアルタイヤにおいて、
タイヤ最大幅位置とトレッド接地端との間の領域でタイヤ径方向に延在する、前記幅方向溝よりも狭幅の細溝を、該幅方向溝のタイヤ周方向の各隣接間に、少なくとも一本ずつ配設しており、該細溝のタイヤ径方向最内側の端部が、前記幅方向溝の溝底よりもタイヤ径方向内側に位置し、
前記細溝は、溝深さが開口幅よりも大きく、且つ、タイヤ径方向に細長の形状であることを特徴とする。
適用リムに組み付けて、規定の内圧を充填した無負荷状態で、タイヤ外表面幅が、カーカスの最大幅位置とタイヤ最大幅位置との間の領域で、タイヤ半径方向外側に向かうに従い漸増するとともに、タイヤ最大幅位置からタイヤ半径方向外側に向かうに従い漸減する外形形状を有する空気入りラジアルタイヤにおいて、
タイヤ最大幅位置とトレッド接地端との間の領域でタイヤ径方向に延在する、前記幅方向溝よりも狭幅の細溝を、該幅方向溝のタイヤ周方向の各隣接間に、少なくとも一本ずつ配設しており、該細溝のタイヤ径方向最内側の端部が、前記幅方向溝の溝底よりもタイヤ径方向内側に位置し、
前記細溝は、溝深さが開口幅よりも大きく、且つ、タイヤ径方向に細長の形状であることを特徴とする。
ここで、「適用リム」とは、タイヤが生産され、使用される地域に有効な産業規格であって、日本ではJATMA(日本自動車タイヤ協会) YEAR BOOK、欧州ではETRTO(European Tyre and Rim Technical Organisation) STANDARD MANUAL、米国ではTRA(THE TIRE and RIM ASSOCIATION INC.)YEAR BOOK等に規定されたリムをいうものとする。
また、「規定の内圧」とは、JATMA等で規定された最高空気圧を言うものとする。
また、「規定の内圧」とは、JATMA等で規定された最高空気圧を言うものとする。
そして、「カーカスの最大幅位置」とは、JATMA等に規定された適用リムにタイヤを組み付けて、JATMA等の規格にタイヤサイズに応じて規定された最高空気圧を充填した状態での、最外側のカーカスプライの最大幅位置を言うものとする。
また、「タイヤ最大幅位置」とは、JATMA等に規定された適用リムに、タイヤを組み付けて、JATMA等の規格にタイヤサイズに応じて規定された最高空気圧を充填した状態での、タイヤ幅方向断面内の最大幅位置を言うものとする。
また、「タイヤ最大幅位置」とは、JATMA等に規定された適用リムに、タイヤを組み付けて、JATMA等の規格にタイヤサイズに応じて規定された最高空気圧を充填した状態での、タイヤ幅方向断面内の最大幅位置を言うものとする。
なお、「トレッド接地端」とは、JATMA等に規定された適用リムにタイヤを組み付けて、JATMA等の規格にタイヤサイズに応じて規定された最高空気圧を充填した状態の前記タイヤ幅方向断面内において、トレッド接地面の延長線とタイヤ側面の延長線とが交わる位置を言うものとする。
請求項1に記載したところにおいて、好ましくは、各細溝を、タイヤ周方向に隣接する2つの幅方向溝の中央部に配置する。
ここで、「2つの幅方向溝の中央部」とは、該2つの幅方向溝の各幅方向中心から等距離にある部分を言うものとし、上記請求項にあっては、例えば、前記細溝が傾斜している場合等は、該細溝が、少なくとも一部において、前記「2つの幅方向溝の中央部」を通過し、または含んでいれば足りる。
請求項1または2に記載したところにおいて、好ましくは、前記細溝の最大深さdを、タイヤ最大幅OWの半幅1/2OWの、1.5%〜4.5%の範囲とする。
請求項1〜3のいずれかに記載したところにおいて、好ましくは、前記細溝の最大深さdと、該細溝の幅eとの比e/dを、0.2≦e/d≦0.55とする。
請求項1〜4のいずれかに記載したところにおいて、好ましくは、適用リムに組み付けて、規定の内圧を充填した無負荷状態のタイヤの幅方向断面内で、前記細溝の、該細溝を通過するタイヤ径方向線に対する傾斜角度γを、−20°≦γ≦20°とする。
ここで、「傾斜角度」とは、細溝の幅方向中心線の傾斜角度を言うものとし、例えば、前記細溝が屈曲等している場合は、該細溝の幅方向中心線の、タイヤ径方向両端部を結んだ線の傾斜角度を言うものとする。
請求項1〜5のいずれかに記載したところにおいて、好ましくは、タイヤの幅方向各側に設けられた前記細溝の各本数Nを、25≦N≦50本とする。
請求項1〜6のいずれかに記載したところにおいて、好ましくは、前記細溝を、トレッド部の接地面に開口させる。
請求項1〜6のいずれかに記載したところにおいて、好ましくは、前記細溝を、トレッド接地端よりもタイヤ径方向内側で終端させる。
本発明の空気入りラジアルタイヤによれば、タイヤ外表面幅を、カーカスの最大幅位置とタイヤ最大幅位置との間の領域で、タイヤ半径方向外側に向けて漸増させたことにより、サイドウォール部が、タイヤへの大きな負荷荷重の作用によりタイヤ幅方向外側に倒れ込んだときでも、路面に対してほぼ垂直となるので、タイヤの走行時に跳ね上げられた砕石等の、ゴムゲージが薄いタイヤ最大幅位置近傍のサイドウォール部への直撃を防止することができ、また、タイヤ外表面幅を、タイヤ最大幅位置からタイヤ半径方向外側に向けて漸減させたことにより、大きな負荷荷重の作用によって、サイドウォール部が、タイヤ幅方向外側へ倒れ込んだ際に、砕石等を包み込む姿勢とはならず、これがため、サイドウォール部へのカット傷を効果的に防止することができる。
しかも、この発明のタイヤでは、タイヤ最大幅位置とトレッド接地端との間の領域でタイヤ径方向に延在する、幅方向溝よりも狭幅の細溝を、該幅方向溝のタイヤ周方向の各隣接間に、少なくとも一本ずつ配設したことにより、タイヤのバットレス部付近のゴム体積が過度に増加してしまうのを防止するとともに、トレッドゴムの放熱面積を増大させることができる。
しかも、この発明のタイヤでは、タイヤ最大幅位置とトレッド接地端との間の領域でタイヤ径方向に延在する、幅方向溝よりも狭幅の細溝を、該幅方向溝のタイヤ周方向の各隣接間に、少なくとも一本ずつ配設したことにより、タイヤのバットレス部付近のゴム体積が過度に増加してしまうのを防止するとともに、トレッドゴムの放熱面積を増大させることができる。
従って、例えば、特許文献2に記載されたタイヤのように、タイヤの耐サイドカット性の向上を所期して、バットレスのゴムの厚みを厚くした場合であっても、トレッドゴムの温度上昇が有効に抑制されることになる。
また、本発明の空気入りラジアルタイヤでは、幅方向溝と位相をずらして上記のような細溝を設けているので、トレッド部の剛性が損なわれることなく、効果的にトレッドゴムの放熱を促進することになる。
その際、さらに、細溝のタイヤ径方向最内側の端部が、幅方向溝の溝底よりもタイヤ径方向内側に位置するように、細溝をタイヤ径方向に細長く延在させたことにより、より多くの放熱面積を確保していることも肝要である。
また、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、各細溝を、タイヤ周方向に隣接する2つの幅方向溝の中央部に配置した場合は、各幅方向溝によって区画されるタイヤのリブ付近、即ちショルダ部付近の陸部の剛性がより均一になるため、耐偏摩耗性等のタイヤの諸性能を向上することができる。
さらに、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記細溝の最大深さdを、タイヤ最大幅OWの半幅1/2OWの、1.5%〜4.5%の範囲とした場合は、トレッドゴムの放熱効果とショルダ部の剛性とを良好に両立させることができる。
尚、細溝の最大深さdを1/2OWの1.5%未満とした場合は、細溝による高い放熱効果を得られないおそれがあり、一方、これを1/2OWの4.5%より大きくした場合は、ショルダ部の剛性が弱くなって、カット傷を生じやすくなるおそれがある。
加えて、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記細溝の最大深さdと、該細溝の幅eとの比e/dを、0.2≦e/d≦0.55とした場合は、耐サイドカット性を損なうことなく、細溝による有効な放熱機能を発揮させることができる。
これはすなわち、細溝の最大深さdと、該細溝の幅eとの比e/dを、0.2未満とした場合は、細溝の溝深さに対して溝幅が小さすぎることから、十分な放熱効果が得られないおそれがあり、この一方で、これを0.55より大きくした場合は、耐サイドカット性が低下するおそれがある。
さらにまた、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、適用リムに組み付けて、規定の内圧を充填した無負荷状態のタイヤの幅方向断面内で、前記細溝の、該細溝を通過するタイヤ径方向線に対する傾斜角度γを、−20°≦γ≦20°とした場合は、路面の石や突起物等によって、細溝の溝壁にカット傷等が生じる可能性を十分に低減させることができる。
一方、前記傾斜角度γが±20°よりも大きい場合は、走行時に細溝の溝壁が路面上の石等に接触して、カット傷が生じやすくなってしまうおそれがある。
一方、前記傾斜角度γが±20°よりも大きい場合は、走行時に細溝の溝壁が路面上の石等に接触して、カット傷が生じやすくなってしまうおそれがある。
加えてまた、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、タイヤの幅方向各側に設けられた前記細溝の各本数Nを25〜50本とした場合は、トレッドゴムの放熱効果とショルダ部の剛性とを良好に両立させることができる。
尚、細溝の本数を24本以下とした場合は、細溝の本数が少ないために、十分な放熱効果を得られないおそれがあり、一方、これを51本以上とした場合は、ショルダ部の剛性が弱くなって、カット傷を生じやすくなるおそれがある。
本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、前記細溝を、トレッド部の接地面に開口させた場合は、トレッドゴムの放熱効果をさらに向上させることができ、この一方で、前記細溝を、トレッド接地端よりもタイヤ径方向内側で終端させた場合は、優れた耐サイドカット性を発揮しつつ、トレッド接地面に開口しない細溝によって、トレッドゴムの温度上昇を有効に抑制することができる。
以下に、図面を参照しながら本発明の空気入りラジアルタイヤを詳細に説明する。
図1に示すところにおいて、1はトレッド部を、2はトレッド部1のそれぞれの側部に連続して半径方向内方へ延びる一対のサイドウォール部を、そして3は各サイドウォール部2の半径方向内方に連続するビード部をそれぞれ示す。
図1に示すところにおいて、1はトレッド部を、2はトレッド部1のそれぞれの側部に連続して半径方向内方へ延びる一対のサイドウォール部を、そして3は各サイドウォール部2の半径方向内方に連続するビード部をそれぞれ示す。
図示の空気入りラジアルタイヤは、各ビード部3内のビードコア4間にトロイド状に延在する少なくとも一枚のカーカスプライからなるラジアルカーカス5と、カーカス5のクラウン域の外周側に配設した少なくとも2層のスチールベルト層からなるベルト6と、このベルト6の外周側にトレッドゴム7を具え、さらに、前記トレッド部1のショルダ域に、トレッド幅方向に延びる、最大深さDの幅方向溝10をトレッド周方向に間隔をおいて複数本具える。
ここで、サイドウォール部2の耐カット性の低下を防止するため、タイヤの外形形状は、図1に示すように、適用リムRに組み付けて、規定の内圧を充填した無負荷状態で、タイヤ外表面幅が、カーカス5の最大幅位置とタイヤ最大幅位置9との間の領域で、タイヤ半径方向外側に向かうに従い漸増するとともに、タイヤ最大幅位置9からタイヤ半径方向外側に向かうに従い漸減する形状とする。
ここにおいて、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいては、図1に示すように、適用リムRに組み付けて、規定の内圧を充填した無負荷状態のタイヤの、タイヤ最大幅位置9とトレッド接地端Tとの間の領域8で、タイヤ径方向に延在する幅方向溝10よりも狭幅の細溝11を、該幅方向溝10のタイヤ周方向の各隣接間に、少なくとも一本ずつ配設してあり、該細溝11のタイヤ径方向最内側の端部12が、幅方向溝10の溝底13よりもタイヤ径方向内側に位置することが肝要である。
尚、この空気入りラジアルタイヤにおいては、図2に示すように、上記細溝11のそれぞれが、タイヤ周方向に隣接する2つの幅方向溝10の中央部に位置する。この図示例では、幅方向溝10と細溝11とが、それぞれ等間隔に配置されている。
また、図1に示すところにおいて、細溝の最大深さdは、タイヤ最大幅OWの半幅OW/2の、4.5%である。
また、図1に示すところにおいて、細溝の最大深さdは、タイヤ最大幅OWの半幅OW/2の、4.5%である。
これらの細溝11は、例えば図3(a)に示すもののように、該細溝11を通過するタイヤ径方向線に対して傾斜していてもよく、その際の傾斜角度γとしては、±20°の範囲内であることが好ましい。
尚、図示されないが、細溝11は、その延在方向に沿って屈曲していてもよい。
尚、図示されないが、細溝11は、その延在方向に沿って屈曲していてもよい。
また、この図示例では、タイヤの幅方向の各側に36本、合計72本の細溝が設けてある。トレッドゴムの放熱効果とショルダ部の剛性とのバランスに鑑みれば、タイヤの幅方向各側に設ける細溝の本数としては、25〜50本の範囲内が好ましいが、本発明においては、必要に応じて細溝の本数を、24本以下または51本以上とすることができる。
また、図3(b)に、細溝11の延在方向と垂直に切断した断面で示すように、この空気入りタイヤにおいて、細溝11の最大深さdと、該細溝の幅eとの比e/dは、0.30である。
ところで、図1に示すように、適用リムRに組み付けて、規定の内圧を充填した無負荷状態のタイヤの幅方向断面内で、カーカス5の最大幅位置を通るリム径ラインと平行な仮想直線l1とタイヤ外表面との交点pと、その交点pよりタイヤ径方向外側に位置するタイヤ最大幅位置9とを結ぶ直線l2の、タイヤの赤道面に平行な直線l3に対する傾斜角度αは、0°<α≦30°とすることが好ましい。このことによれば、サイドカットの発生抑制効果を発揮させつつ、タイヤのバットレスのゴム体積増加を防止することができる。
そして、耐サイドカット性とバットレスのゴム体積とのバランスを図るとの観点から、より好ましくは、前記傾斜角度αを5°≦α≦10°の範囲とする。この場合は、耐サイドカット性を確保しつつトレッドゴムの発熱量の増加をより効果的に抑制することが可能となる。
そして、耐サイドカット性とバットレスのゴム体積とのバランスを図るとの観点から、より好ましくは、前記傾斜角度αを5°≦α≦10°の範囲とする。この場合は、耐サイドカット性を確保しつつトレッドゴムの発熱量の増加をより効果的に抑制することが可能となる。
加えて、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、同様の無負荷状態のタイヤの幅方向断面内で、前記タイヤ最大幅位置9とトレッド接地端Tとを結ぶ直線l4の、タイヤ赤道面に平行な直線l5に対する傾斜角度βを、0°<β≦30°とした場合は、バットレスの外表面が路面に対して過度に傾斜してしまうことが防止されるため、耐カット性の低下を防止することができ、また、タイヤのトレッド接地幅の減少による耐摩耗性の低下等を防止することができる。
このようなタイヤにおいて、さらに耐摩耗性等のタイヤ諸性能との両立を図る上で、タイヤ最大幅位置9とトレッド接地端Tとを結ぶ直線l4の、タイヤ赤道面CLに平行な直線l5に対するタイヤ幅方向内側への鋭角側の傾斜角度βは5°≦β≦10°とすることが好ましい。βを5°以上とすることにより、バットレスのゴム体積を減少させてトレッドゴムの発熱量をより効果的に抑制し、また、βを10°以下とすることにより、タイヤのトレッド接地面の減少をより効果的に防ぐことができ、例えば耐摩耗性等のタイヤ諸性能への影響を防ぐことができる。
そしてまた、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、同様の無負荷状態のタイヤの幅方向断面内で、トレッドセンターからタイヤ最大幅位置までのタイヤ径方向距離hが、タイヤ断面高さSHに対して0.20SH≦h≦0.40SHとした場合は、タイヤのバットレスのゴムの厚みが、厚すぎず、また薄すぎないため、耐サイドカット性及びトレッドゴムの発熱の抑制効果をバランス良く確保することができる。
ここで、「タイヤ断面高さSH」とは、タイヤの外径とリム径の差の1/2を言うものとする。
また、この際、前記距離hを、0.28SH≦h≦0.36SHとすれば、耐サイドカット性の向上効果とトレッドゴムの発熱の抑制効果とを、さらに効果的に得ることが可能である。
また、この際、前記距離hを、0.28SH≦h≦0.36SHとすれば、耐サイドカット性の向上効果とトレッドゴムの発熱の抑制効果とを、さらに効果的に得ることが可能である。
なお、図1に示す空気入りタイヤでは、上述したような、傾斜角度αを10°、傾斜角度βを9°とし、また、距離hを、タイヤ断面高さSHに対してh=0.33SHとした。
ところで、本発明の空気入りラジアルタイヤにおいて、上記傾斜角α及びβを0°<β≦30°の範囲内とし、且つ、上記距離hを0.20SH≦h≦0.40SHの範囲内とした場合は、図5に模式的に示すように、無負荷状態のタイヤ幅方向断面内で、バットレス8が、タイヤ幅方向外側に迫り出してタイヤ最大幅位置に到る形状を有し、その最大幅位置からタイヤ径方向内側ではタイヤ幅が漸減する形状を有する。これがため、荷重の作用によってサイドウォール部2のタイヤ径方向内方部分がタイヤ幅方向外側に膨出したときには、図1に示すように、バットレスからサイドウォール部2の下部にかけて、路面に対してほぼ垂直となる姿勢をとることになるので、サイドカットそのものを受け難くなる。
本発明の空気入りラジアルタイヤでは、例えば、図1に示すように、細溝11をトレッド部1の接地面に開口させることができる一方で、必要に応じて、図4に示すように、細溝111を、トレッド接地端Tよりもタイヤ径方向で終端させることもできる。
尚、図示例では、空気入りタイヤの上記ラジアルカーカス5は、各ビード部3に埋設された六角形断面のビードコア4間に、本体部分5aをトロイド状に延在させるとともに、側部部分5bを、ビードコア4の周りで、タイヤ幅方向内側から外側に向けて折り返して配設してなるが、側部部分5bは、ビードコア4の周りでタイヤ幅方向外側から内側に向けて折り返すことも可能である。
ここで、カーカスプライは、例えば、タイヤ周方向と直交する方向に延びるスチールコード、有機繊維コード等にて形成することができる。また、カーカスの側部部分5bは、リム径ラインから測って、例えば、タイヤ断面高さSHの0.30〜0.46%の範囲内まで延在させることができる。
前記ベルト6は、図では四層のコード交錯ベルト層により形成されているが、ベルト層の層数は、所要に応じて適宜に増減することができる。また、トレッドゴム7の表面には、図示の幅方向溝10に加え、トレッド周方向等に延びる適宜の溝を形成することができる。
図1に示すところに従って、表1の諸元を有する、タイヤサイズ26.5R25のスムースタイヤを試作し、これを実施例タイヤ1とした。また、この実施例タイヤ1と同様の構造及びサイズにつき、細溝11の深さd、傾斜角度γ及び本数Nを変化させて試作したスムースタイヤを実施例タイヤ2とし、同様に、細溝11を設けないで試作したスムースタイヤを従来例タイヤとした。
得られた上記供試タイヤのそれぞれにつき、下記に示す評価方法にて、耐サイドカット性及びトレッドゴムの発熱温度を評価した。
得られた上記供試タイヤのそれぞれにつき、下記に示す評価方法にて、耐サイドカット性及びトレッドゴムの発熱温度を評価した。
(耐サイドカット性)
実施例タイヤ1、実施例タイヤ2及び従来例タイヤの各30本について実地試験を行い、その試験後に、それぞれのカット故障本数/供試タイヤ本数を調査した。この結果を表1に示す。
実施例タイヤ1、実施例タイヤ2及び従来例タイヤの各30本について実地試験を行い、その試験後に、それぞれのカット故障本数/供試タイヤ本数を調査した。この結果を表1に示す。
(発熱温度)
実施例タイヤ1、実施例タイヤ2及び従来例タイヤのそれぞれを、22.00/3.0のリムに組み付けて、内圧を650kPa、負荷重量18500kgとし、試験速度10km/hにてドラム試験機で24時間走行させた後の、トレッドゴムの温度を測定した。表1に、従来例タイヤの測定温度を0℃とした各タイヤの差分値を示す。
実施例タイヤ1、実施例タイヤ2及び従来例タイヤのそれぞれを、22.00/3.0のリムに組み付けて、内圧を650kPa、負荷重量18500kgとし、試験速度10km/hにてドラム試験機で24時間走行させた後の、トレッドゴムの温度を測定した。表1に、従来例タイヤの測定温度を0℃とした各タイヤの差分値を示す。
表1より、本発明の実施例タイヤはいずれも、従来例タイヤと同等の耐サイドカット性を示す一方で、タイヤ各点での温度上昇を効果的に抑制していることがわかる。
上記結果から、本発明の空気入りタイヤは、耐サイドカット性及びトレッドゴムの発熱量を高い次元で実現したものであると言える。
CL 赤道面
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ビードコア
5 ラジアルカーカス
5a 本体部分
5b 折返し部分
6 ベルト
7 トレッドゴム
8 タイヤ最大幅位置とトレッド接地端との間の領域
9 タイヤ最大幅位置
10 幅方向溝
11 細溝
12 細溝のタイヤ径方向最内側の端部
13 溝底
TW トレッド接地幅
OW タイヤ最大幅
SH タイヤ断面高さ
R 適用リム
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 ビードコア
5 ラジアルカーカス
5a 本体部分
5b 折返し部分
6 ベルト
7 トレッドゴム
8 タイヤ最大幅位置とトレッド接地端との間の領域
9 タイヤ最大幅位置
10 幅方向溝
11 細溝
12 細溝のタイヤ径方向最内側の端部
13 溝底
TW トレッド接地幅
OW タイヤ最大幅
SH タイヤ断面高さ
R 適用リム
Claims (8)
- トレッド部と、一対のサイドウォール部と、一対のビード部と、各ビード部内のビードコア間にトロイド状に延在する少なくとも一枚のカーカスプライからなるラジアルカーカスと、カーカスのクラウン域の外周側に配置したトレッドゴムとを具え、少なくともトレッドショルダ域にトレッド幅方向に延びてトレッド端に開口する幅方向溝をトレッド周方向に間隔をおいて複数本配設してなり、
適用リムに組み付けて、規定の内圧を充填した無負荷状態で、タイヤ外表面幅が、カーカスの最大幅位置とタイヤ最大幅位置との間の領域で、タイヤ半径方向外側に向かうに従い漸増するとともに、タイヤ最大幅位置からタイヤ半径方向外側に向かうに従い漸減する外形形状を有する空気入りラジアルタイヤにおいて、
タイヤ最大幅位置とトレッド接地端との間の領域でタイヤ径方向に延在する、前記幅方向溝よりも狭幅の細溝を、該幅方向溝のタイヤ周方向の各隣接間に、少なくとも一本ずつ配設しており、該細溝のタイヤ径方向最内側の端部が、前記幅方向溝の溝底よりもタイヤ径方向内側に位置し、
前記細溝は、溝深さが開口幅よりも大きく、且つ、タイヤ径方向に細長の形状であることを特徴とする空気入りラジアルタイヤ。 - 各細溝が、タイヤ周方向に隣接する2つの幅方向溝の中央部に位置する、請求項1に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記細溝の最大深さdが、タイヤ最大幅OWの半幅1/2OWの、1.5%〜4.5%の範囲である、請求項1または2に記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記細溝の最大深さdと、該細溝の幅eとの比e/dが、0.2≦e/d≦0.55である、請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 適用リムに組み付けて、規定の内圧を充填した無負荷状態のタイヤの幅方向断面内で、前記細溝の、該細溝を通過するタイヤ径方向線に対する傾斜角度γが、−20°≦γ≦20°である、請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- タイヤの幅方向各側に設けられた前記細溝の各本数Nが、25≦N≦50本である、請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記細溝が、トレッド部の接地面に開口する、請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
- 前記細溝が、トレッド接地端よりもタイヤ径方向内側で終端する、請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りラジアルタイヤ。
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Cited By (2)
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CN111465508A (zh) * | 2017-12-12 | 2020-07-28 | 株式会社普利司通 | 重载用轮胎 |
CN111465509A (zh) * | 2017-12-12 | 2020-07-28 | 株式会社普利司通 | 重载用轮胎 |
-
2010
- 2010-09-03 JP JP2010198140A patent/JP2012056326A/ja not_active Withdrawn
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CN111465508A (zh) * | 2017-12-12 | 2020-07-28 | 株式会社普利司通 | 重载用轮胎 |
CN111465509A (zh) * | 2017-12-12 | 2020-07-28 | 株式会社普利司通 | 重载用轮胎 |
CN111465508B (zh) * | 2017-12-12 | 2022-07-08 | 株式会社普利司通 | 重载用轮胎 |
US11427031B2 (en) | 2017-12-12 | 2022-08-30 | Bridgestone Corporation | Heavy duty tire |
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