JP2012055907A - 超音波接合制御装置及び超音波接合制御方法 - Google Patents

超音波接合制御装置及び超音波接合制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】接合強度の割には被接合部材の重量が重く、被接合部材の機械的な振動振幅が小さくなって接合完了に伴う振動振幅の検出が困難な超音波接合であっても、正確な接合良否の判定が可能であり、不良品の流出を防止することができる超音波接合制御装置を得る。
【解決手段】超音波接合制御装置(300A)は、振動子駆動電圧源から駆動される超音波振動子(132)を用いて接合部材(121)と被接合部材(120)を接合する超音波接合装置(100A)を制御するものであって、被接合部材に対して密着当接される第1の振動センサ(116)は被接合部材または接合部材の機械的振動を検出するものではなく、接合部材と被接合部材が押圧・加振されて生起する摺動摩擦による擦れ振動を検出し、加振開始に伴う擦れ振動の発生と接合完了に伴う擦れ振動の消滅を検出して接合状態を判定する。
【選択図】図1

Description

この発明は、接合部材を被接合部材に押圧する接触子に超音波振動を付与して両部材を接合するようにした超音波接合制御装置の改良、特には超音波接合の完了が厚さ寸法の変化として顕在化しにくい材料であって、しかも接合強度の割合には被接合部材の重量が大きくて、接合完了時に発生する被接合部材の機械的振動が過少である場合に最適となる超音波接合制御装置及び超音波接合制御方法の改良に関するものである。
圧接面に付与された超音波振動に伴う摩擦熱によって金属部材同士を溶融接合する超音波溶接装置や、摩擦研磨によって発生した活性面同士の間に作用する物理結合による超音波接合装置は広く実用されているが、溶融に伴う寸法変化を伴わないものでは、超音波接合が正常完了したかどうかを判定することには困難があり、一般には所定時間において所定の超音波エネルギーが付与されたかどうかによって正常な接合が行われたものと看做すようになっている。
しかし、付与された超音波エネルギーが少ないと所定の接合力が得られない問題が発生し、付与された超音波エネルギーが多すぎると接合部分と接合剥離部分とが混在して、接合強度が低下する問題が発生するので、適用材料の材質や寸法、環境温度に応じた超音波エネルギーの調整が必要となる。
このような背景のもとで、超音波発生源に連結されたツールによって、接合部材であるダイパッドを被接合部材である金属放熱板に圧しつけた状態で、ツールを介してダイパッドに超音波振動を与えることによる超音波接合方法が開示され、金属放熱板ないしその支持部材の振動状態にしたがって、超音波発生源による超音波振動を停止しまたは低減する(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、超音波接合が進行するにしたがって、被接合部材(金属放熱板)が接合部材(ダイパッド)に同期して振動を始めるが、この状態を直接的に検出して、必要以上の超音波振動エネルギーが印加されることがないようにしている。
また、金属放熱板の振動状態を検出することによって、適正な接合状態が得られたかどうかをも判断することができ、常に金属放熱板に不具合を生じさせることなく、適正な接合状態を得ることができると主張している。
また、超音波発生手段、超音波発生手段から発せられた超音波を接合部材に加える手段、接合部材と接合させる被接合部材を固定する固定材を保持する治具、を有する超音波接合装置が開示され、接合部材及び被接合部材の相対振動状態を検出する手段、検出結果を診断する手段、及び診断結果を超音波発生手段にフィードバックする手段を備えており、検出手段としてレーザドップラー効果を利用した検出器が使用されている(例えば、特許文献2参照)。
具体的には、超音波接合が進行するにしたがって、被接合部材である第2のワークが接合部材である第1のワークを加振するツールと同期して振動を始めるとともに、ツールの振動振幅は減少し始めて、両者の振幅差は次第に減少してやがてゼロになることによって接合完了したと判定されるようになっている。
特開平09−045737号公報 特開平05−206224号公報
特許文献1による超音波接合方法及び装置は、被接合部材ないしはその支持部材の振動状態にしたがって超音波発生源による超音波振動を停止し、過剰なエネルギーの付与に伴う不具合の発生を抑制するものであるが、接合強度の割合には被接合部材の重さが大きくて接合完了に伴う被接合部材の振動振幅が過少である場合や、接合完了に伴って加振側の振動振幅が低下して、その結果として被接合部材の振動振幅が過少である場合には、振動センサによって被接合部材の振動を検出することが困難となり、正確な接合判定が行えない問題点がある。
また、特許文献2による超音波接合装置及び品質モニタリング方法の場合は、振動センサは加振ツール側(接合部材側)と被加振側(被接合部材側)の双方に設けられ、当初は加振ツール側のみが振動し、やがて被加振側も振動し、接合完了に伴って両者の振幅が一致して振幅偏差がゼロになることによって接合完了を判定するようになっている。
従って、接合強度の割合には被接合部材の重さが大きくて接合完了に伴う被接合部材の振動振幅が過少である場合には、振動センサによって被接合部材の振動を検出することが困難となり、正確な接合判定が行えない問題点がある。
また、特許文献2の場合にはレーザドップラー効果を利用した非接触形の振動計が使用されて、装置が高価になるとともに、加振側と被加振側の振動センサの出力信号には位相差があって、単純には両者の偏差を算出することができず、接合判定の応答遅れによって接合剥離が発生する問題点がある。
この発明は、前記のような課題を解決するためになされたものであり、接合強度の割には被接合部材の重量が重く、被接合部材の機械的な振動振幅が小さくなって接合完了に伴う振動振幅の検出が困難な超音波接合であっても、正確な接合良否の判定が可能であり、不良品の流出を防止することができる超音波接合制御装置を得ることを目的とする。
この発明に係る超音波接合制御装置は、押圧駆動機構から押圧される接触子により接合部材を被接合部材に圧接するとともに、前記接触子には振動子駆動電圧源の出力電圧が印加される超音波振動子が連結されて加振され、前記接触子により加振されて生起する圧接面と並行する方向の超音波振動によって前記接合部材と前記被接合部材とを接合する超音波接合制御装置に対する超音波接合制御装置であって、前記被接合部材に対して着脱可能に密着当接される第1の振動センサ、または前記接触子側に設けられる第2の振動センサの検出出力に応動する異常検出ユニットを備え、前記異常検出ユニットは、第1の帯域フィルタまたは第2の帯域フィルタと、接合完了判定手段と、第1の異常判定手段とを備え、前記第1の帯域フィルタおよび前記第2の帯域フィルタの中心周波数は、前記接合部材と前記被接合部材とが押圧されて摩擦摺動することに伴う擦れ振動の周波数帯域内にあり、前記接合完了判定手段は、前記第1の帯域フィルタを介して得られる前記第1の振動センサの出力信号、または前記第2の帯域フィルタを介して得られる前記第2の振動センサの出力信号の信号振幅が増加から減少に転じた後に、所定の下限値未満に達したとき超音波接合が完了したと判定し、前記第1の異常判定手段は、前記接触子に対する加振開始からの経過時間が所定の最大設定時間に達する時点までに前記接合完了判定手段による接合完了判定が得られなければ接合異常であると判定し、前記最大設定時間として、予め実験測定された複数回の超音波接合において正常な接合を行うに必要とされた統計上の最大時間または最大エネルギー量が適用され、前記最大設定時間の到来は、測定する加振開始後の経過時間が前記最大設定時間に達したとき、または前記振動子駆動電圧源の発生出力を時間経過に伴って累積した出力エネルギーが所定の最大エネルギー量に到達したときに到来したと判定する。
この発明に係る超音波接合制御装置は、振動子駆動電圧源から駆動される超音波振動子を用いて接合部材と被接合部材を接合するものであって、被接合部材に当接する第1の振動センサ、または加振側に固定された第2の振動センサは被接合部材の機械的振動を検出するものではなく、摺動摩擦による擦れ振動を検出し、一旦擦れ振動が発生してからやがて接合完了に伴って擦れ振動が消滅することを検出することによって接合完了を判定するようになっている。
従って、接合強度の割合には被接合部材の重量が重く、被接合部材の機械的な振動振幅が小さくなって接合完了に伴う振動振幅の検出が困難な超音波接合であっても、加振側と被加振側の振動振幅の偏差の有無を擦れ振動の有無によって直接検出することによって、正確な接合良否の判定が可能となり、不良品の流出を防止することができるという効果を奏する。
また、被接合部材に付与される超音波振動の周波数に比べて、摺動摩擦に伴う擦れ振動の周波数は大きな値となり、帯域フィルタの中心周波数を擦れ振動の周波数帯域に合わせることによって、機械的振動成分のノイズを除去し、擦れ振動成分を強調して検出することができるので、微弱な検出信号であっても正確な接合良否の判定が可能となるという効果を奏する。
この発明の実施の形態1に係る超音波接合制御装置の全体構成図である。 図1のA−A線による超音波接合制御装置の部分平面図である。 図1の超音波接合制御装置の全体制御ブロック図である。 図1の超音波接合制御装置の説明用タイムチャートである。 図1の超音波接合制御装置の動作説明用のフローチャートである。 図5の中の一部工程の詳細動作説明用のフローチャートである。 この発明の実施の形態2に係る超音波接合制御装置の全体構成図である。 図7の超音波接合制御装置の全体制御ブロック図である。 図7の超音波接合制御装置の説明用タイムチャートである。 図7の超音波接合制御装置の動作説明用のフローチャートである。 図10の中の一部工程の詳細動作説明用のフローチャートである。
以下、本発明の超音波接合制御装置の好適な実施の形態につき図面を用いて説明する。
実施の形態1.
(1)実施の形態1に係る超音波接合制御装置の構成の詳細な説明
以下、この発明の実施の形態1に係る超音波接合制御装置の全体構成図である図1と、図1の超音波接合制御装置のA−A線による部分平面図である図2と、図1の超音波接合制御装置の全体制御ブロック図である図3によって、実施の形態1に係る超音波接合制御装置の構成を詳細に説明する。
図1、図2において、超音波接合装置100Aは第一から第四部分によって構成されており、第一部分は基台110と背柱111と天板112によって構成された側面形状がコの字形の静止機構と、この静止機構に設けられた後述の可動部及び駆動部によって構成されている。
第二部分は基台110の上面に搬入搭載されて、図2の上方へ移送される例えばセラミックスまたはガラス、鉄板などの被接合部材120と、この被接合部材120の表面に所定の間隔をおいて順次接合される薄膜テープ状の接合部材121であり、この接合部材121は図示しない巻枠リールから巻出されるようになっている。
第三部分は被接合部材120を順次移送する搬送移動機構160であり、第四部分は基台110の近隣に設置された全体制御盤190Aとなっている。
まず、第一部分における天板112には後述のバランサ136を保持固定するための壁板113が固定され、基台110の上面陥没部には例えばゴム材である緩衝部材115を介して第1の振動センサ116が取り付けられており、この第1の振動センサ116は搬入到来した被接合部材120の下面に対して図示しない非硬化性グリースを介して当接するようになっている。
第1の振動センサ116は数100KHzから数MHz帯で応答する例えば圧電素子を用いた半導体センサであり、被接合部材120に発生する振動に基づく圧力を検出して、圧力に比例した電圧信号を発生するものであって、所定の換算係数を用いて機械的な振動振幅にも換算することができる。
また、非硬化性グリースは例えばゲル状のシリコーングリースであって、第1の振動センサ116と被接合部材120間の密着性を向上して、超音波振動が伝わりやすくするためのものである。
また、緩衝部材115は超音波振動が基体110へ伝播漏洩するのを防止するためのものであり、例えば硬度80〜90Hs程度のゴム材が使用されている。
第一部分における可動部は、接合部材121を押圧する接触子130と、この接触子130に固定された第3の振動センサ137Aと、この接触子130が一端に固定された第1のリード部材131と、例えば20KHzの一定周波数で振動する超音波振動子132と、この超音波振動子132と第1のリード部材131の一端または接触子130との間に連結され、超音波振動を増幅する超音波ホーン133と、一端に超音波振動子132が固定された第2のリード部材134と、第1のリード部材131と第2のリード部材134の他端に固定された結合ブロック135とによって構成されており、後述の押圧センサ144と可動部全体の重力は壁板113に固定された例えばエアシリンダであるバランサ136によって減殺するように、一定推力で持上げ駆動されている。
第一部分における駆動部は、天板112の上面に固定され、回転センサ141を備えたサーボモータ140と、このサーボモータ140の出力回転軸であるスクリューシャフト142に対して噛合い係合して、サーボモータ140の回転方向に応じて上下方向に昇降する押圧駆動機構143と、この押圧駆動機構143と可動部の結合ブロック135との間に設けられた例えばロードセルである押圧センサ144と、例えば一対のエアシリンダである補助押圧機構145a、145bの可動ピストンである可動部分146a、146bと、可動部分146a、146bの下端に固定された押圧駆動機構150と、によって構成されている。
押圧駆動機構150の下面にはゴム材である緩衝部材151が接着されており、押圧駆動機構150の一部部領域は図2で示すとおり一対の押圧板150a・150bに分割され、接触子130によって押圧されている接合部材121の前後(図2の上下位置)を押圧するようになっている。
補助押圧機構145a、145bは押圧駆動機構150によって被接合部材120と接合部材121を基台110に押圧して、微振動による被接合部材120の這い出しを防止し、接合部材121の接合点の変動を防止するためのものとなっている。
第三部分となる搬送移動機構160には、図1、図2で示すとおり、4個のエアシリンダである昇降機構161a(161b〜161dは図示せず)と、この昇降機構の可動ピストンの先端に設けられた吸着盤162a〜162dが設けられ、吸着盤162a〜162dによって被接合部材120を吸着し、昇降機構161a〜161dを上昇させてから搬送移動機構160を図2の上方に移動させて停止し、昇降機構161a〜161dを下降させてから吸着盤162a〜162dを開放し、再び昇降機構161a〜161dを上昇させてから図2の下方に移動復帰することによって、被接合部材120を順次前進移送するようになっている。
なお、被接合部材120を前進移動(図2の上方)させると、接合部材121は図示しない巻枠リールから巻出されて被接合部材120と一体になって移動するようになっている。
第四部分となる全体制御盤190Aは図3で後述するとおり、超音波接合制御装置300A、搬送制御ユニット310、電源制御ユニット330A、駆動制御ユニット340によって構成されている。
図3において、超音波接合制御装置300Aはマイクロプロセッサ301と協働するプログラムメモリ302Aを主体として構成されており、その制御機能は異常検出ユニット320Aと、搬入移送指令ユニット603と、押圧制御指令ユニット604と、電源制御指令ユニット606に大別されている。
搬入移送指令ユニット603からの搬入移送指令に応動する搬送制御ユニット310は例えばプログラマブルコントローラによって構成され、前述したエアシリンダを主体として構成されたワーク搬送機構311を制御し、被接合部材120や接合部材121であるワークの上昇・移送・下降駆動を行ったり、補助押圧機構145a、145bの押圧制御を行なうようになったりしている。
駆動制御ユニット340は搬入移送指令ユニット603からの搬入移送指令に応動した速度パターン341に基づいてサーボアンプ342を介してサーボモータ140を回転駆動し、回転センサ141によって検出された回転速度が目標とする回転速度となるように制御して、接触子130を接合部材121に対して接近駆動したり、離間駆動したりするようになっている。
また、駆動制御ユニット340は、押圧制御指令ユニット604からの押圧指令に応動した押圧力パターン344に基づいてサーボアンプ342を介してサーボモータ140の発生トルクを制御し、押圧センサ144によって検出された押圧力が目標とする押圧力となるように制御して、接触子130を接合部材121に対して押圧駆動するようになっている。
電源制御ユニット330Aは電源制御指令ユニット606からの加振制御指令に応動する電圧/電流発生パターン331に基づいて振動子駆動電圧源332の出力電圧または出力電流の目標値を設定し、電源センサ333によって検出された振動子駆動電圧源332の出力電圧または出力電流を監視しながら負帰還制御を行なうようになっている。
なお、振動子駆動電圧源332は例えばAC100Vの商用電源を入力電源として動作し、昇圧回路を介してAC1000V以下で20KHzの一定高周波数の高電圧を発生するが、その出力電圧や出力電流は昇圧回路の前段部または後段部において検出されるようになっている。
また、目標電圧または目標電流は後述の振幅抑制手段321cからの指令によって漸減するとともに、検出出力電流が過大にならないように目標出力電圧を抑制するか、検出出力電圧が過大とならないように目標出力電流を抑制するようになっている。
異常検出ユニット320Aは第1の帯域フィルタ321aと低周波帯域フィルタ323aとを包含し、第1の振動センサ116の出力信号を第1の異常判定手段321bと振幅抑制手段321cと、接合完了判定手段324へ入力するようになっている。
また、第2の異常判定手段322bbは電源センサ333と第3の振動センサ137Aの出力信号が入力された低周波帯域フィルタ323aの出力信号に応動するようになっている。
第1の帯域フィルタ321aの中心周波数は振動子駆動電圧源332が発生する出力電圧の周波数(例えば20KHz)よりも格段に高い周波数であって、接合部材121と被接合部材120が押圧されて摩擦摺動することに伴う擦れ振動の周波数帯域である例えば200KHz〜1MHzの間の特定周波数で入出力ゲインが大きな値となるようにフィルタ特性が選択決定されている。
低周波帯域フィルタ323aの中心周波数は振動子駆動電圧源332が発生する出力電圧の周波数(例えば20kHz)に相当した周波数であって、この実施の形態1においては第3の振動センサ137Aは接触子130の機械的振動を検出するためのものとなっている。
接合完了判定手段324は第1の帯域フィルタ321aを介して得られる第1の振動センサ116の出力信号が図4(G)で後述する第1の判定閾値H11を超えて増加してからから減少に転じ、所定の下限値H13未満となったことによって超音波接合が完了したと判定するようになっている。
なお、接合完了判定手段324は第1の帯域フィルタ321aを介して得られる第1の振動センサ116の出力信号データを、シフトレジスタである旧データ更新記憶手段324aへ時々刻々に順次格納し、新旧データ比較手段324bによって所定の時間差をおいた新旧データを対比して、接合完了判定部324cにおいて信号振幅が第1の判定閾値H11未満から以上に変化した後に、当該第1の判定閾値H11よりも小さな値である所定の下限値H13未満に減少したことを検出したことによって超音波接合が完了したと判定するようになっている。
更に、接合完了判定手段324は、接触子130に対する加振が開始されてから、出力信号データが上昇から減少に転じて接合完了判定を行うまでの経過時間が所定の最小設定時間未満であった場合には、接合異常であると判定するかまたは少なくとも当該接合完了判定を無効とする尚早異常判定部324dを備えている。
但し、所定の最小設定時間は、予め実験測定された複数回の超音波接合において正常な接合を行うのに必要とされた統計上の最小時間または最小エネルギー量が適用されていて、最小設定時間の到来は加振開始後の経過時間を測定するか、または振動子駆動電圧源332の発生出力を時間経過に伴って累積した出力エネルギーが所定の最小エネルギー量に到達したかどうかによって判定されるようになっている。
第1の異常判定手段321bは接触子130に対する加振開始からの最大設定時間内に接合完了判定手段324による接合完了判定が得られなければ接合異常であると判定するようになっている。
但し、ここでいう最大設定時間とは、予め実験測定された複数回の超音波接合において正常な接合を行うのに必要とされた統計上の最大時間または最大エネルギー量が適用されていて、最大設定時間の到来は加振開始後の経過時間を測定するか、または振動子駆動電圧源332の発生出力を時間経過に伴って累積した出力エネルギーが所定の最大エネルギー量に到達したかどうかによって判定されるようになっている。
振幅抑制手段321cは第1の帯域フィルタ321aを介して得られる第1の振動センサ116の出力信号の信号振幅が、図4(G)で後述する第1の判定閾値H11未満から以上に変化した後に所定の遅延時間Δτだけ時間が経過するか、または下限値H13よりも大きな値である第2の判定閾値H12未満に減少したことを検出したことによって接合開始したと推定して、振動子駆動電圧源332に対する目標出力電圧または目標出力電流を時間経過に伴って漸減する。
第2の異常判定手段322bbは、電源センサ333の検出信号の出力特性について測定記憶された標準特性と、新に測定された検出信号の出力特性とを対比して、振動子駆動電圧源332に供給された入力電圧に対応した出力電流が得られているかどうかによって電源異常の有無を判定すると共に、電源センサ333の検出信号と低周波帯域フィルタ323aの出力信号を対比して、接触子130を含む加振機構の振動振幅が振動子駆動電圧源332の出力電流に対応した振動振幅となっているかどうかを判定して設備異常の有無を判定するようになっている。
第1の異常判定手段321bと第2の異常判定手段322bbのいずれかが異常判定を行うと異常発生処理指令618Aが発生して、異常報知と異常発生情報の保存記憶と装置の自動停止を行うようになっている。
第1の異常判定手段321bおよび第2の異常判定手段322bbのいずれもが異常判定を行わなかったときは、図示しない手動停止指令が発生していない限りは継続運転を許可する継続指令614を発生するようになっている。
(2)実施の形態1に係る超音波接合制御装置の作用・動作の詳細な説明
以下、図1〜図3のとおり構成されたこの発明の実施の形態1に係る超音波接合制御装置について、図4に示すタイムチャートに基づいて制御動作の概要を説明する。
図4(A)はワークの搬入、搬出移送動作を示しており、板状の被接合部材120と薄膜テープ状の接合部材121であるワークを順次移動させて、超音波接合部位を順次接触子130の下部に移動させるために、搬送移動機構160と昇降機構161a〜161dと吸着盤162a〜162dが協働して、第1時刻帯401aで前進して搬出と搬入を行い、隣接する第1’時刻帯401aaにおいて空荷で後退し、第6時刻帯406aから同様の繰返し動作を行うようになっている。
図4(B)はサーボモータ140による接触子130の昇降動作を示しており、第1時刻帯401aに続く後続時刻帯401bにおいて下降動作を行い、第6時刻帯406aの先行時刻帯406bにおいて上昇動作を行うようになっている。
図4(C)は補助押圧機構145a、145bによる押圧駆動機構150の昇降動作を示しており、後続時刻帯401bに続く後続時刻帯401cにおいて下降動作を行い、先行時刻帯406bの更なる先行時刻帯406cにおいて上昇動作を行うようになっている。
なお、エアシリンダである補助押圧機構145a、145bは接触子130を昇降させる押圧駆動機構143と連動して昇降し、接触子130の下降完了に伴って押圧駆動機構150の下降押圧動作を行い、やがて押圧駆動機構150の上昇動作の開始を待って接触子130の上昇動作を行うようになっている。
図4(D)はサーボモータ140による接触子130の押圧動作を示しており、後続時刻帯401cに続くに後続時刻帯401dにおいて押圧動作を行い、先行時刻帯406cの更なる先行時刻帯406dにおいて押圧解除動作を行うようになっている。
押圧力の上昇・下降パターンについては様々な考え方があり、例えば図4(D)の点線で示したとおりなだらかに漸増させてもよい。
図4(E)は超音波振動子132に印加される振動子駆動電圧源332の出力電圧の波高値を示しており、接合部材121が接触子130によって所定圧力以上の圧力で押圧された後続時刻帯401dに続く第1時刻401eで加振開始し、所定の出力電圧を維持しながら第4時刻404eに至り、第4時刻404e以降は漸減し、後述する第5時刻405eまでには出力電圧はゼロになっている。
加振開始時刻401eと加振完了時刻405eとの間の時間である最大設定時間Tmaxは予め実験測定された複数回の超音波接合において正常な接合を行うに必要とされた統計上の最大時間または最大エネルギー量が適用されていて、最大設定時間の到来は経過時間を測定するか、または振動子駆動電圧源332の発生出力を時間経過に伴って累積した出力エネルギーが所定の最大エネルギー量に到達したかどうかによって判定されるようになっている。
加振完了時刻405e以後は先行時刻帯406d、406c、406bを経て第6時刻帯406aへ移行するようになっている。
図4(F)は接触子130側の加振振幅を測定するため設けられた第3の振動センサ137Aから低周波帯域フィルタ323aを介して得られる加振側の振動振幅を示している。
接触子130の振動は加振開始時刻401eと同じ時刻である振動開始時刻401fから振動を開始し、摺動面の汚れ具合によって変化する滑動振動振幅を維持しながら滑動終了時刻である第2時刻402fに至り、第2時刻402fから第4時刻404fにおいては摺動面の研磨が行われて振動振幅は漸減し、やがて第4時刻404e、404fにおいて加振抑制が開始することによって振動振幅は更に漸減して、加振完了時刻405fに至って振動振幅はゼロになっている。
図4(G)は第1の振動子116による被加振側の信号振幅を示しており、この出力信号は図4(F)の場合と異なり摺動摩擦による擦れ振動による信号電圧を示しており、振動開始時刻401g、滑動終了時刻402g、接合開始時刻404gを経て加振完了時刻405gに至るようになっている。
なお、図4(G)では、擦れ振動による信号振幅が第1の判定閾値H11を超過してから、第2の判定閾値H12未満まで減少して接合開始判定が行われるまでの時間と、擦れ振動による信号振幅が第1の判定閾値H11を超過してから遅延時間Δτが経過するまでの時間とが偶然に一致している場合を示しており、遅延時間Δτは接合開始時刻を予測推定するための時間となっている。
次に、図1〜図3のとおり構成されたこの発明の実施の形態1に係る超音波接合制御装置について、図5、図6に示すフローチャートに基づいて制御動作の詳細を説明する。
図5において、工程600は超音波接合制御装置300Aの主体構成要素であるマイクロプロセッサ301の制御動作の開始ステップ、続く工程601aはサーボモータ140によって接触子130を上昇させるとともに、補助押圧機構145a、145bによって押圧駆動機構150を上昇するように上昇指令を発生するステップであり、後述の工程613で既に上昇動作が行われているときは工程601aによる上昇動作は不要である。
続く工程602はワークの搬入移送指令を発生するステップであり、この指令によって搬送制御ユニット310は図1、図2における吸着盤162a〜162dを下降して被接合部材120を吸着・上昇し、搬送移動機構160を前進移動させてから吸着盤162a〜162dを下降・解除・上昇し、空荷で初期位置に後退する一連の搬送制御が行われるようになっている。
続く工程601bはサーボモータ140に対して接触子130を下降させる指令を発生するとともに、補助押圧機構145a、145bによって押圧駆動機構150を下降させるステップであり、工程601a、602、601bによって構成された工程ブロック603は搬入移送指令発生工程となっていて、これらの動作は図4(A)の第1時刻帯401aと第1’時刻帯401aa、図4(B)の第1時刻帯401b、図4(C)の第1時刻帯401cにおいて実行されるものである。
続く工程604はサーボモータ140に対して接触子130を接合部材121に押圧するための指令を発生する押圧制御指令発生工程である。
続く工程605は接触子130の押圧力が所定値に到達したかどうかを判定し、未到達であればNOの判定を行って工程604へ復帰し、到達すればYESの判定を行って工程606へ移行する判定ステップであり、これらの動作は図4(D)の第1時刻帯401d以降で実行されるものである。
なお、接触子130の昇降制御と押圧制御は図3の駆動制御ユニット340によって実行されており、マイクロプロセッサ301は押圧センサ144の出力を監視して、押圧制御指令の発生と停止のみを行うようになっている。
続く工程606は超音波振動子132に対して所定周波数の駆動電圧を印加するための電源制御指令発生工程であり、電源制御指令が発生すると図3の電源制御ユニット330Aは所定の出力パターン331に基づいて振動子駆動電圧源332の出力電圧または出力電流を負帰還制御するようになっている。
続く工程607は工程606が駆動電圧を発生する指令発生期間を決定するための加振完了時期判定工程となるステップであり、この指令発生期間で適用される最大設定時間Tmaxは、予め実験測定された複数回の超音波接合において正常な接合を行うに必要とされた統計上の最大時間または最大エネルギー量が適用されていて、最大設定時間の到来は経過時間を測定するか、または振動子駆動電圧源332の発生出力を時間経過に伴って累積した出力エネルギーが所定の最大エネルギー量に到達したかどうかによって判定され、未到達であればNOの判定を行って工程ブロック620Aへ移行し、到達であればYESの判定を行って工程608へ移行するようになっている。
工程ブロック620Aは図6で後述するとおり接合良否と異常発生の有無を判定するための接合良否判定工程であり、続く工程617Aは図6の工程628が異常判定情報を記憶しているかどうかを読み出して、異常発生ならYESの判定を行って工程618Aへ移行し、異常発生していなければNOの判定を行って工程609aへ移行する異常判定工程である。
工程609aは図6の工程624fが接合開始判定を記憶しているかどうかを読み出して、接合開始しておればYESの判定を行って工程619へ移行し、接合開始していなければNOの判定を行って工程604へ復帰する判定ステップとなっている。
工程619は図3の電源制御ユニット330Aに対して目標とする出力電圧または出力電流を時間経過に伴って漸減する指令を発生してから工程609bへ移行するステップである。
工程609bは図6の工程627が接合完了判定を記憶しているかどうかを読み出して、接合完了しておればYESの判定を行って工程612へ移行し、接合完了していなければNOの判定を行って工程604へ復帰する判定ステップとなっている。
工程618Aは少なくとも異常発生を報知し、異常発生情報を保存記憶してから工程612へ移行する異常発生処理工程である。
工程608では第一の異常判定が行われ、少なくとも異常報知を含む時間超過異常処理を行なって工程612へ移行するステップである。
工程612は電源制御ユニット330Aに対して超音波振動子132への駆動停止指令を発生するステップであり、工程606から工程612の間で図4(E)、(F)、(G)の第1時刻401eから第5時刻405eまでの動作が実行されるようになっている。
続く工程613は電源制御ユニット330Aに対して接触子130の押圧停止指令と接触子130及び補助押圧機構145a、145bの上昇指令を発生するステップであり、これは図4(D)、(C)、(B)の第6時刻帯406d、406c、406bにおいて実行されるものである。
続く工程614は運転を継続するかどうかの判定ステップであり、図示しない手動操作スイッチによる運転停止要求が発生していたり、工程618Aによる異常処理が運転停止を行うものであった場合にはNOの判定を行って動作終了行程615へ移行し、運転継続許可である場合にはYESの判定を行って工程601aへ復帰するようになっている。
動作終了行程615では図示しない手動操作スイッチによって再始動指令が発生すると動作開始工程600へ移行するようになっている。
図6において、工程621は図5の工程ブロック620Aで示したサブルーチンプログラムの開始工程であり、一連の制御プログラムの後に設けられた工程629は図5の工程617Aへ移行する復帰工程となっている。
工程621に続いて実行される工程622は、図3で示された第2の異常判定手段322bbとなるものであり、振動子駆動電圧源332による出力電圧対出力電流特性に関する標準特性に比べて、実際の出力電流が過大または過少であったり、接触子130の振動振幅が異常であったりした場合には、振動子駆動電圧源332または超音波振動子132の異常であるとしてYESの判定を行って工程628へ移行し、出力電流や振動振幅に異常がなければNOの判定を行って工程624aへ移行する判定ステップである。
工程624aは、図3における旧データ更新記憶手段324aが第1の帯域フィルタ321aから得られる第一データを読込んで所定時間以前の旧データはオーバーフローする多段階シフトレジスタに対する読取りシフトを行うステップである。
続く工程624bでは工程624aで記憶された新旧の第一データについて大小比較を行って工程624cへ移行する。
工程624cは工程624bによる比較結果として第一データが第1の判定閾値H11以上に増加したかどうかを判定し、超過が確認されればYESの判定を行って工程624dへ移行し、超過が確認されなければNOの判定を行って工程629へ移行する判定ステップであり、これにより図4(G)における第2時刻402gと第4時刻404gとの略中間の時刻の到来が判定されることになる。
工程624dでは第一データが第1の判定閾値H11を超過したことを記憶して工程624eへ移行する。
工程624eは工程624bによる比較結果として第一データが第2の判定閾値H12以下に減少したかどうかを判定し、未満が確認されればYESの判定を行って工程624fへ移行し、未満が確認されなければNOの判定を行って工程629へ移行する判定ステップであり、工程624fは接合開始したことを記憶して図4(E)における第4時刻404eの到来が判定され加振漸減が開始するようになっている。
なお、工程624eでは第2の判定閾値H12との比較判定を行う代わりに、所定の遅延時間Δτが経過したかどうかの判定に置き換えることも可能である。
続く工程624gは工程624bによる比較結果として第一データが下限値H13以下に減少したかどうかを判定し、未満が確認されればYESの判定を行って工程626bへ移行し、未満が確認されなければNOの判定を行って工程629へ移行する判定ステップである。
工程626bは図3の尚早異常判定部324dに相当しており、判定経過時間が所定の最小設定時間以下であったかどうかを判定し、経過時間が過小であればYESの判定を行なって工程628または工程629へ移行し、過小でなければNOの判定を行って工程627へ移行する判定ステップであり、工程627は接合完了したことを記憶して工程629へ移行し、工程628は異常発生したことを記憶して工程629へ移行するようになっている。
なお、工程626bにおける所定の最小設定時間は、予め実験測定された複数回の超音波接合において正常な接合を行うに必要とされた統計上の最小時間または最小エネルギー量が適用されていて、最小設定時間の到来は加振開始後の経過時間を測定するか、または振動子駆動電圧源332の発生出力を時間経過に伴って累積した出力エネルギーが所定の最小エネルギー量に到達したかどうかによって判定されるようになっている。
従って、工程626bによれば接触子130に対する加振が開始されてから、第1の振動センサ116の出力信号データが上昇から減少に転じて接合完了判定を行うまでの経過時間が所定の最小設定時間未満であった場合には、接合異常であると判定するかまたは少なくとも当該接合完了判定を無効するようになっている。当該接合完了判定を無効とした場合には工程626bから工程629へ点線で示したフローで移行するようになっている。
なお、工程628、工程624fで異常発生と加振抑制指令を記憶していないときには、図5において工程ブロック620Aから工程617A(NOの判定)と工程609a(NOの判定)と工程604、工程605、工程606と工程607(NOの判定)を経て工程ブロック620Aが繰返して実行され、やがて工程607がYESの判定を行えば工程608へ移行して巡回ルーチンを脱出する。
その前に異常発生の判定が行われると工程618Aへ移行して巡回ルーチンを脱出し、加振抑制指令が記憶されると工程619を含む巡回ルーチンとなって工程606において超音波振動子132に対する印加電圧が順次漸減することになる。
また、工程607でYESの判定を行う前に工程627で接合完了判定を記憶すれば、図5の工程609bでYESの判定を行って巡回ルーチンを脱出するが、接合完了判定と異常発生も無く工程607でYESの判定を行うと巡回ルーチンを脱出して工程608へ移行し第1の異常判定が行なわれることになる。
(3)実施の形態1に係る超音波接合制御装置の要点と特徴
以上の説明で明らかなとおりこの発明の実施の形態1に係る超音波接合制御装置は、押圧駆動機構143から押圧される接触子130によって、接合部材121を被接合部材120に圧接するとともに、当該接触子130には振動子駆動電圧源332の出力電圧が印加される超音波振動子132が連結されて加振され、圧接面と並行する方向の超音波振動によって前記接合部材121と被接合部材120とを接合するようにした超音波接合装置100Aに対する超音波接合制御装置300Aであって、前記被接合部材120に対して着脱可能に密着当接される第1の振動センサ116の検出出力に応動する異常検出ユニット320Aを備えるとともに、前記異常検出ユニット320Aは、第1の帯域フィルタ321aおよび接合完了判定手段324、第1の異常判定手段321bを備え、前記第1の帯域フィルタ321aの中心周波数は、前記接合部材121と前記被接合部材120が押圧されて摩擦摺動することに伴う擦れ振動の周波数帯域内にあり、前記接合完了判定手段324は前記第1の帯域フィルタ321aを介して得られる前記第1の振動センサ116の出力信号の信号振幅が増加から減少に転じた後に、所定の下限値未満となったことによって超音波接合が完了したと判定し、前記第1の異常判定手段321bは前記接触子130に対する加振開始からの経過時間が所定の最大設定時間に達する時点までに前記接合完了判定手段324による接合完了判定が得られなければ接合異常であると判定し、前記最大設定時間は予め実験測定された複数回の超音波接合において正常な接合を行うに必要とされた統計上の最大時間または最大エネルギー量が適用され、最大設定時間の到来は加振開始後の経過時間を測定するか、または前記振動子駆動電圧源の発生出力を時間経過に伴って累積した出力エネルギーが所定の最大エネルギー量に到達したときに到来したと判定するようになっている。
前記異常検出ユニット320Aは更に、前記振動子駆動電圧源332の入力回路または出力回路に設けられた電圧または電流検出手段である電源センサ333の出力信号に応動する第2の異常判定手段322bbを備え、前記第2の異常判定手段322bbは、前記電源センサ333の検出信号の出力特性について測定記憶された標準特性と、新に測定された検出信号の出力特性とを対比して、前記振動子駆動電圧源332に供給された入力電圧に対応した出力電流が得られているかどうかによって電源異常の有無を判定するようになっている。
以上のとおり、振動子駆動電圧源332に対する電源センサ333を備え、第2の異常判定手段322bbが付加されて振動子駆動電圧源332の出力信号を監視するようになっている。
従って、超音波接合作業工程の中で、接合良否の判定処理と並行して振動子駆動電圧源332の異常の有無が検出されるので、不良品が流出するのが防止されるとともに、異常発生要因が明確になって異常処理を容易に行うことができる。
また、接合完了に伴って摺動摩擦が消滅し、第1の振動センサ116または第3の振動センサ137Aの信号出力がゼロになったとする判定において、電源異常による信号出力の停止ではないことを確認することによって誤った判定を回避することができる。
前記接合完了判定手段324は、前記第1の帯域フィルタ321aを介して得られる前記第1の振動センサ116の出力信号データについて、所定の時間差をおいた新旧データを対比して、信号振幅が第1の判定閾値H11未満から以上に変化した後に、当該第1の判定閾値H11よりも小さな値である所定の下限値H13未満に減少したことを検出したことによって超音波接合が完了したと判定するようになっている。
以上のとおり、第1の振動センサ116の出力信号の信号振幅が時系列として増加から減少に転じて、所定の下限値H13未満となったことによって超音波接合が完了したと判定するようになっている。
従って、摺動摩擦の発生と接合完了に伴う摺動摩擦の消失の両方を複合的に判断して接合完了判定が行われ、超音波接合によって寸法変化が生じ難い材料や、摩擦熱の検出が行いにくい材料に対する超音波接合であっても、正確に接合完了判定を行うことができる。
前記接合完了判定手段324は更に、前記接触子130に対する加振が開始されてから、前記出力信号データが上昇から減少に転じて接合完了判定を行うまでの経過時間が所定の最小設定時間未満であった場合には、接合異常であると判定するかまたは少なくとも当該接合完了判定を無効とし、前記所定の最小設定時間は、予め実験測定された複数回の超音波接合において正常な接合を行うに必要とされた統計上の最小時間または最小エネルギー量が適用されていて、最小設定時間の到来は加振開始後の経過時間を測定するか、または振動子駆動電圧源332の発生出力を時間経過に伴って累積した出力エネルギーが所定の最小エネルギー量に到達したかどうかによって判定されるようになっている。
以上のとおり、接合完了判定が行われる時期が尚早であるときには、接合異常であるかまたは少なくとも当該接合完了判定を無効にするようになっている。
従って、接合完了判定が有効となる時間帯が制限されるので、ノイズ誤動作によって一時的に信号出力が増大するようなことがあっても誤った接合判定が行われる確率が改善低下する。
前記異常検出ユニット320Aは更に、振幅抑制手段321cを備え、前記振幅抑制手段321cは前記第1の帯域フィルタ321aを介して得られる前記第1の振動センサ116の出力信号の信号振幅が、前記第1の判定閾値H11未満から以上に変化した後に所定の遅延時間Δτが経過するか、または前記下限値H13よりも大きな値である第2の判定閾値H12未満に減少したことを検出したことによって接合開始したと推定して、前記振動子駆動電圧源332に対する目標出力電圧または目標出力電流を時間経過に伴って漸減するようになっている。
以上のとおり、第1の帯域フィルタ321aを介して得られる第1の振動センサ116による信号振幅が、第1の判定閾値H11を超過してから第2の判定閾値H12まで減少するか、または所定の遅延時間Δτが経過したことによって振動子駆動電圧源332に対する目標出力電圧または目標出力電流を漸減開始するようになっている。
従って、摩擦摺動の進行に伴って第1の振動センサ116によって検出される信号振幅が増大から減少に転じた頃合に、加振振幅を抑制し、過剰な加振によって接合剥離や亀裂破損が発生するのを防止することができる。
前記異常検出ユニット320Aは更に、第3の振動センサ137Aの出力信号が入力される低周波帯域フィルタ323aを備え、前記第3の振動センサ137Aは前記接触子130に接近して設置された加振機構の振動振幅を検出するための振動センサであり、前記低周波帯域フィルタ323aは、前記振動子駆動電圧源332が発生する出力電圧の周波数を中心周波数として動作する帯域フィルタであり、前記第2の異常判定手段322bbは更に、前記電源センサ333の検出信号と前記低周波帯域フィルタ323aの出力信号を対比して、前記接触子130を含む加振機構の振動振幅が前記振動子駆動電圧源332の出力電流に対応した振動振幅となっているかどうかを判定するようになっている。
以上のとおり、加振機構の振動振幅を検出するための第3の振動センサ137Aと低周波帯域フィルタ323aが設けられ、第2の異常判定手段322bbによって加振機構の異常の有無を含めて判定するようになっている。
従って、超音波接合作業工程の中で、接合良否の判定処理と並行して振動子駆動電圧源332および超音波振動子132を含む加振機構の異常の有無が検出されるので、不良品が流出するのが防止されるとともに、異常発生要因が明確になって異常処理を容易に行うことができる。
前記押圧駆動機構143は駆動制御ユニット340から駆動制御されるサーボモータ140によって押圧駆動され、前記駆動制御ユニット340には回転センサ141と押圧センサ144とが入力信号として接続されていて、前記駆動制御ユニット340は速度制御モードとトルク制御モードとを有するサーボアンプ342を備え、前記速度制御モードでは前記回転センサ141によって検出された前記サーボモータ140の回転速度が所定の加減速度パターン341と一致するよう負帰還制御が行われて、前記接触子130を前記接合部材121に対して接近駆動または離間駆動し、前記トルク制御モードでは前記押圧センサ144によって検出された前記接触子130と前記接合部材121との間の圧力が、所定の押圧力パターン344に基づいて漸増して一定値を保ち、前記振動子駆動電圧源332の出力停止に伴って押圧力が解除され、前記接触子130が離間駆動されている間に前記接合部材121と被接合部材120が搬入または移送されるようになっている。
以上のとおり、速度制御モードとトルク制御モードで制御されるサーボモータによって、接触子130の接近・離間駆動と押圧駆動が行われるようになっている。
従って、接触子130の接近・離間駆動を速やかに行うとともに、接合部材121とは微速接触して回転慣性体の突合による接合部材121または被接合部材120の亀裂破損を防止することができる。
また、押圧力は押圧センサ144によって検出されて正確に制御され、安定した超音波接合が行える。
前記接触子130は第1のリード部材131の一端に取付け固定されるとともに、前記超音波振動子132は第2のリード部材134の一端に取付け固定され、前記第1のリード部材131および第2のリード部材134の他端は共通の結合ブロック135に固定され、前記超音波振動子132と前記接触子130または前記第1のリード部材131の一端との間は超音波振動を増幅する超音波ホーン133によって連結され、前記接触子130と第1のリード部材131と結合ブロック135と第2のリード部材134と超音波振動子132と超音波ホーン133とは一体化された可動部を構成し、前記可動部は前記押圧センサ144を介して前記サーボモータ140から押圧駆動されるとともに、前記可動部の全体の重力は対抗設置されたバランサ136によって減殺されている。
以上のとおり、押圧センサ144はサーボモータ140による押圧駆動機構と、超音波発生源を含む可動部との間に設置され、可動部全体の重力はバランサ136によって減殺されて接触子130の押圧力として作用しないようになっている。
従って、押圧センサ144によって接触子130に作用する押圧力を正確に検出することができるとともに、押圧センサ144には超音波振動が直接印加されないので、超音波振動による押圧センサ144の検出特性の悪化が防止され、更には超音波振動子132は無駄な重量体の加振を行わないので消費電力が抑制される。
前記振動子駆動電圧源332は電源制御ユニット330Aを構成し、前記電源制御ユニット330Aは前記電源センサ333によって検出された出力電圧または出力電流が、目標とする出力電圧または出力電流と合致するように振動子駆動電圧源332の出力電圧を負帰還制御するとともに、目標出力電圧と検出された出力電流との積は所定値以下となるように目標出力電圧が抑制されるか、または目標出力電流と検出された出力電圧との積は所定値以下となるように目標出力電流が抑制されるようになっている。
以上のとおり、超音波振動子132に供給される高周波可変電圧源の出力電圧または出力電流は電源センサ333を用いて負帰還制御されている。
従って、負荷抵抗の変動があっても目標とする出力電圧または出力電流が得られ、電源センサ333の出力信号と振動センサ116の出力信号とを対比して異常の有無を正確に判定することができるとともに、過大な振動振幅が発生するのを防止することができる。
この発明の実施の形態1に係る超音波接合制御装置300Aにおける超音波接合制御方法であって、前記接合部材121に対する前記接触子130の押圧力が所定値以上になってから、前記振動子駆動電圧源332の出力電圧を発生し、所定時間後に出力電圧をゼロにする電源制御指令発生工程606と、前記出力電圧をゼロにして、前記接触子130の押圧力を解除するタイミングを決定する加振完了時期判定工程607と、前記第2の異常判定手段322bbによる電源異常の判定結果に応動する異常判定工程617Aと、前記接合完了判定手段324を実行する接合完了判定工程620Aと、前記振幅抑制手段321cが加振振幅の抑制指令を発生したときに、前記振動子駆動電圧源332の出力電圧または出力電流を漸減させる加振抑制開始工程619と、前記異常判定工程617Aによって電源異常を検出したときに、少なくとも異常報知を行なう異常発生処理工程618Aとを備えている。
前記加振完了時期判定工程607では、指令発生期間として前記最大設定時間を適用し、前記加振完了時期判定工程607において指令発生期間内に前記異常判定または前記接合完了判定のいずれも行われないときには第1の異常判定が行われて、少なくとも異常報知を含む時間超過異常処理が行われ、前記異常判定工程617Aで異常と判定されたとき、および、前記接合完了判定工程620Aで接合完了と判定されたときに、予め設定されている前記最大設定時間よりも短い時間で加振動作を停止するようになっている。
以上のとおり、超音波接合制御装置を用いた異常検出方法は、電源制御指令発生工程と、加振完了時期判定工程、異常判定工程と、接合完了判定工程と、加振抑制開始工程と、異常発生処理工程となる手順によって構成されていて、加振指令発生期間内に加振振幅の抑制指令が発生すると加振振幅は漸減するとともに、加振指令発生期間内に異常判定または接合完了判定が行われると加振動作を停止し、加振指令発生期間内に異常判定及び接合完了判定のいずれの判定結果も得られないときには第1の異常判定が行われて時間超過異常処理が行われるようになっている。
従って、正常に接合完了して継続動作を持続するか、異常発生が検出されて異常内容に応じた異常処理を行うか、接合完了または異常発生のいずれの判定も得られない時間超過判定に応じた異常処理を行うことができるとともに、接合開始時には超音波振動の発生を抑制して、過剰な振動付与に伴う接合剥離や亀裂破損の発生が防止される。
また、接合完了判定時と異常発生時には自動的に加振動作を停止し、接合完了後の加振延長時間が短縮されて過大時間にわたる振動付与に伴う接合剥離や亀裂破損の発生が防止される。
実施の形態2.
(1)この発明の実施の形態2に係る超音波接合制御装置の構成の詳細な説明
以下、この発明の実施の形態2に係る超音波接合制御装置の全体構成図である図7と、図7の超音波接合制御装置の全体制御ブロック図である図8によって、図1〜図3の超音波接合制御装置との相違点を中心にしてその構成を詳細に説明する。
なお、各図において同一符号は同一または相当部分を示し、符号に対する添字AとBは実施形態の違いによる相当部分を示しており、実施の形態2の場合には加振側にも摺動摩擦による擦れ振動を検出するための第2の振動センサ137Bが設けられているのが大きな相違点となっている。
図7において、超音波接合装置100Bは第一部分から第四部分によって構成されており、第一部分は図1の超音波接合制御装置と同様に基台110と背柱111と天板112によって構成された側面形状がコの字形の静止機構と、この静止機構に設けられた後述の可動部と駆動部によって構成されている。
但し、図1において基台110の上面に設けられている第1の振動センサ116は、後述の搬送架台170の上面に設けられている。
第二部分も同様であり、基台110の上面に搬入搭載されて、図2の上方へ移送される例えばセラミックス、ガラス、または鉄板などの被接合部材120と、この被接合部材120の表面に所定の間隔をおいて順次接合される薄膜テープ状の接合部材121によって構成されており、この接合部材121は図示しない巻枠リールから巻出されるようになっている。
第三部分は被接合部材120を順次移送する搬送架台170であり、第四部分は基台110の近隣に設置された全体制御盤190Bとなっている。
第一部分における可動部は、図1の場合と同様に構成されているが、接触子130には第3の振動センサ137Aに代わって加振側において摺動摩擦振動を測定するための第2の振動センサ137Bが設けられていて、この第2の振動センサ137Bは後述する第1の振動センサ172と同様に摺動摩擦による擦れ振動を検出するためのものであって、数100KHzから数MHz帯域の振動圧力信号を検出することができるようになっている。
第一部分における駆動部は、図1の場合と同様に構成されている。
第三部分となる搬送架台170には、図示しない昇降機構と、前進後退駆動機構によって被接合部材120を上昇・移送・下降させて図2の上方に移動させて停止し、被接合部材120を載置してから再び昇降機構を更に下降させてから図2の下方に移動復帰することによって、被接合部材120を順次前進移送するようになっている。
搬送架台170の上面には緩衝部材171を介して第1の振動センサ172が設けられ、当該第1の振動センサ172は図示しない非硬化性グリースを介して被接合部材120の下面に接触するようになっている。
第四部分となる全体制御盤190Bは図8で後述するとおり、超音波接合制御装置300B、搬送制御ユニット310、電源制御ユニット330B、駆動制御ユニット340によって構成されている。
図8において、超音波接合制御装置300Bはマイクロプロセッサ301と協働するプログラムメモリ302Bを主体として構成されており、その制御機能は異常検出ユニット320Bと、搬入移送指令ユニット603と、押圧制御指令ユニット604と、電源制御指令ユニット606に大別されている。
搬入移送指令ユニット603からの搬入移送指令に応動する搬送制御ユニット310と、搬入移送指令ユニット603及び押圧制御ユニット604からの指令に応動する駆動制御ユニット340は図3の場合と同様である。
電源制御指令ユニット606に応動する電源制御ユニット330Bも図3の場合と同様であるが、図8の場合には目標出力電圧又は出力電流を漸減させる機能が設けられていない。
異常検出ユニット320Bは第1の帯域フィルタ321aおよび第2の帯域フィルタ322aを包含し、第1の振動センサ172および第2の振動センサ137Bの出力信号によって接合完了判定手段324と第1の異常判定手段321bが動作するようになっている。
新に追加されたセンサ異常判定手段323bは、第1の帯域フィルタ321aと第2の帯域フィルタ322aの出力信号の相対比率が所定の上下限値の域外であることによって、第1の振動センサ172または第2の振動センサ137Bの少なくとも一方が異常であると判定するようになっている。
第2の異常判定手段322bは、電源センサ333の検出信号の出力特性について測定記憶された標準特性と、新に測定された検出信号の出力特性とを対比して、振動子駆動電圧源332に供給された入力電圧に対応した出力電流が得られているかどうかによって電源異常の有無を判定するようになっている。
第1の異常判定手段321bと、第2の異常判定手段322bと、センサ異常判定手段323bのどれかが異常判定を行うか、接合完了判定手段324による接合完了判定が尚早であった場合には異常発生処理指令618Bが発生して、異常報知と異常発生情報の保存記憶と装置の自動停止を行うようになっている。
これ等の異常が発生しなかったときには、図示しない手動停止指令が発生していない限りは継続運転を許可する継続指令614を発生するようになっている。
(2)この発明の実施の形態2に係る超音波接合制御装置の作用・動作の詳細な説明
以下、図7、図8のとおり構成されたこの発明の実施の形態2に係る超音波接合制御装置について、図9に示すタイムチャートに基づき、図4の場合との相違点を中心にして制御動作の概要を説明する。
図9(A)は図4(A)と同様にワークの搬入・搬出移送動作を示しており、図4の場合は被接合部材120を上方の搬送移動機構160によって移送するものであるのに対し、図9の場合は被接合部材120の下方に設けられた搬送架台170によって移送するようになっていることが異なっている。
図9(B)は図4(B)と同様に接触子130の昇降動作を示している。
図9(C)は図4(C)と同様に押圧駆動機構150の昇降動作を示している。
図9(D)は図4(D)と同様に接触子130の押圧動作を示している。
図9(E)は図4(E)と同様に振動子駆動電圧源332の出力電圧の波高値を示しており、接合部材121が接触子130によって所定の圧力に押圧された後続時刻帯401dに続く第1時刻401eで加振開始し、所定の出力電圧を維持しながら第3時刻403eに至り、第3時刻403eから後述する接合完了時刻である第4時刻404eまでは出力電圧がゆるやかに漸増し、この第4時刻404e以降は急減し、後述する加振完了時刻である第5時刻405e以前において出力電圧はゼロになっている。
加振開始時刻401eから加振完了時刻405eの期間である加振指令発生期間である最大設定時間Tmaxは、予め実験測定された複数回の超音波接合において正常な接合を行うに必要とされた統計上の最大時間Tmaxまたは最大エネルギー量が適用されていて、指令発生時間の到来は経過時間を測定するか、または振動子駆動電圧源332の発生出力を時間経過に伴って累積した出力エネルギーが所定の最大エネルギー量に到達したかどうかによって判定されるようになっている。
加振開始時刻401eから漸増開始時刻403eの期間である最短指令発生期間である最小設定時間Tminは、予め実験測定された複数回の超音波接合において正常な接合を行うに必要とされた統計上の最小設定時間Tminまたは最小エネルギー量が適用されていて、最短指令発生時間の到来は経過時間を測定するか、または振動子駆動電圧源332の発生出力を時間経過に伴って累積した出力エネルギーが所定の最大エネルギー量に到達したかどうかによって判定されるようになっている。
加振完了時刻405e以後は先行時刻帯406d、406c、406bを経て第6時刻帯406aへ移行するようになっている。
図9(F)は図4(G)と同様に、接触子130側に設けられた第2の振動センサ137Bによって検出された擦れ振動の信号振幅を示しており、図4(F)の場合とは異なっている。
図9(G)は図4(G)と同様に被接合部材120側に設けられた第1の振動センサ172によって検出された擦れ振動の信号振幅を示している。
図9(E)、(F)、(G)と図4(E)、(F)、(G)との主な相違点は、図9側では超音波振動子132に対する駆動電圧を途中から漸増させ、接合完了が遅れている場合にこれを促進するようになっている。
このような漸増制御は実施の形態2に限らず、前述の実施の形態1においても適用することができるものである。
また、図4(E)の場合には擦れ振動を検出するための第2の振動センサ137Bを備えておらず、第1の振動センサ172の検出出力が第1の判定閾値H11を超過してから所定の遅延時間Δτをおいて超音波振動子132に対する印加電圧を漸減させるようになっているのに対し、図9(E)の場合には接合完了判定手段324が接合完了判定を行った第4時刻404eにおいて超音波振動子132に対する印加電圧を急減停止するようになっていることである。
但し、図9(E)の場合であっても、超音波振動子132に対する印加電圧を急減停止しないで、点線で示すように漸減停止するようにしても良い。
次に、図7、図8のとおりに構成されたこの発明の実施の形態2に係る超音波接合制御装置について、図10、図11に示すフローチャートに基づいて、図5、図6との相違点を中心にして制御動作の詳細を説明する。
図10において、工程600は超音波接合制御装置300Bの主体構成要素であるマイクロプロセッサ301の制御動作の開始ステップであるが、工程600から工程606と、工程613から工程615までは図5と同じ動作を行うものであるから説明は省略する。
工程606に続く工程607は工程606が駆動電圧を発生する指令発生期間を決定するための加振完了時期判定工程となるステップであり、この指令発生期間となる最大設定時間Tmaxは、予め実験測定された複数回の超音波接合において正常な接合を行うに必要とされた統計上の最大時間または最大エネルギー量が適用されていて、最大設定時間の到来は経過時間を測定するか、または振動子駆動電圧源332の発生出力を時間経過に伴って累積した出力エネルギーが所定の最大エネルギー量に到達したかどうかによって判定され、未到達であればNOの判定を行って工程ブロック620Bへ移行し、到達であればYESの判定を行って工程608へ移行するようになっている。
工程ブロック620Bは図11で後述するとおり接合良否と異常発生の有無を判定するための接合良否判定工程であり、続く工程617Bは図11の工程628が異常判定情報を記憶しているかどうかを読み出して、異常発生ならYESの判定を行って工程618Bへ移行し、異常発生していなければNOの判定を行って工程609aへ移行する異常判定工程である。
工程609aは図11の工程627が接合完了判定を記憶しているかどうかを読み出して、完了判定を記憶していなければNOの判定を行って工程604へ復帰し、完了判定を記憶しておればYESの判定を行って工程612bへ移行する判定ステップである。
工程612bは図8の電源制御ユニット330Bに対して目標とする出力電圧または出力電流を急減停止する指令を発生してから工程613へ移行するステップである。
工程618Bは少なくとも異常発生を報知し、異常発生情報を保存記憶してから工程612aへ移行する異常発生処理工程である。
工程608は工程607がYESの判定を行ったことに伴って、所定の加振期間内において異常判定は行われなかったものの、接合完了判定も得られていないことになるので、第1の異常判定が行われ少なくとも時間超過異常の発生を記憶してから工程612aへ移行するステップとなっている。
工程612aは電源制御ユニット330Bに対して超音波振動子132への駆動停止指令を発生するステップであり、続いて工程613へ移行するようになっている。
図11において、工程621は図10の工程ブロック620Bで示したサブルーチンプログラムの開始工程であり、一連の制御プログラムの後に設けられた工程629は図10の工程617Bへ移行する復帰工程となっている。
工程621に続いて実行される工程622aは、図8で示された第2の異常判定手段322bに相当し、電源異常があればYESの判定を行って工程628へ移行し、電源異常が無ければNOの判定を行って工程622bへ移行するようになっている。
工程622bは、図8で示されたセンサ異常判定手段323bに相当しておりセンサ異常が発生したときはYESの判定を行って工程628へ移行し、異常発生が無ければNOの判定を行って工程624aへ移行する判定ステップである。
工程624aと工程625aによって構成された工程ブロック623は、図8における旧データ更新記憶手段324aが第1の帯域フィルタ321aと第2の帯域フィルタ322aから得られる第1データと第2データを読込んで所定時間以前の旧データはオーバーフローする多段階シフトレジスタに対する読取りシフトを行うステップである。
続く工程624bでは工程624aで記憶された新旧の第1データについて大小比較を行って工程624ceへ移行する。
工程624ceは工程624bによる比較結果として第1データが第1の判定閾値H11以上に増加し、やがて下限閾値H13以下になったかどうかを判定し、増減が確認されればYESの判定を行って工程625bへ移行し、増減が確認されなければNOの判定を行って工程629へ移行する判定ステップであり、これにより図9(G)における振動振幅の消滅直前時点が検出されることになる。
続く工程625bでは工程625aで記憶された新旧の第2データについて大小比較を行って工程625ceへ移行する。
工程625ceは工程625bによる比較結果として第2データが第1の判定閾値h11以上に増加し、やがて下限閾値h13以下になったかどうかを判定し、増減が確認されればYESの判定を行って工程626aへ移行し、増減が確認されなければNOの判定を行って工程629へ移行する判定ステップであり、これにより図9(F)における振動振幅の消滅直前時点が検出されることになる。
工程626aは工程624aと工程625aで記憶された最新の第1データと第2データのそれぞれの増減値が相対的に一致しているかどうかを判定して、一致しておればYESの判定を行って工程626bへ移行し、一致していなければNOの判定を行って工程628へ移行するステップである。
但し、第1の振動センサ172と第2の振動センサ137Bのどちらか一方だけで接合完了を判定する場合には工程624ceまたは工程625ceと工程626aとは省略されるようになっている。
工程626bは図8の尚早異常判定部324dに相当しており、判定経過時間が所定の最小設定時間以下であったかどうかを判定し、経過時間が過小であればYESの判定を行なって工程628または工程629へ移行し、過小でなければNOの判定を行って工程627へ移行する判定ステップであり、工程627は接合完了したことを記憶して工程629へ移行し、工程628は異常発生したことを記憶して工程629へ移行するようになっている。
なお,工程626bにおける所定の最小設定時間は、予め実験測定された複数回の超音波接合において正常な接合を行うに必要とされた統計上の最小時間または最小エネルギー量が適用されていて、最小設定時間の到来は加振開始後の経過時間を測定するか、または振動子駆動電圧源332の発生出力を時間経過に伴って累積した出力エネルギーが所定の最小エネルギー量に到達したかどうかによって判定されるようになっている。
従って、工程626bによれば接触子130に対する加振が開始されてから、第1の振動センサ172および第2の振動センサ137Bの出力信号データが上昇から減少に転じて接合完了判定を行うまでの経過時間が所定の最小設定時間未満であった場合には、接合異常であると判定するかまたは少なくとも接合完了判定を無効するようになっている。当該接合完了判定を無効とした場合には工程626bから工程629へ点線で示したフローで移行するようになっている。
なお、工程627、工程628で接合完了と異常発生を記憶していないときには、図10において工程ブロック620Bから工程617B(NOの判定)と工程609a(NOの判定)と工程604、工程605、工程606、工程607(NOの判定)を経て工程ブロック620Bが繰返して実行され、やがて工程607がYESの判定を行えば工程608へ移行して巡回ルーチンを脱出し、その前に異常発生の判定が行われると工程618Bへ移行して巡回ルーチンを脱出し、接合完了が判定されると工程612bへ移行して巡回ルーチンを脱出するようになっている。
(3)実施の形態2に係る超音波接合制御装置の要点と特徴
以上の説明で明らかなとおりこの発明の実施の形態2に係る超音波接合制御装置は、押圧駆動機構143から押圧される接触子130によって、接合部材121を被接合部材120に圧接するとともに、当該接触子130には振動子駆動電圧源332の出力電圧が印加される超音波振動子132が連結されて加振され、圧接面と並行する方向の超音波振動によって前記接合部材121と被接合部材120とを接合するようにした超音波接合装置100Bに対する超音波接合制御装置300Bであって、前記被接合部材120に対して着脱可能に密着当接される第1の振動センサ172、または前記接触子130側に設けられる第2の振動センサ137Bの検出出力に応動する異常検出ユニット320Bを備えるとともに、前記異常検出ユニット320Bは、第1の帯域フィルタ321aまたは第2の帯域フィルタ322aと、接合完了判定手段324および第1の異常判定手段321bとを備え、前記第1の帯域フィルタ321aおよび前記第2の帯域フィルタ322aの中心周波数は、前記接合部材121と前記被接合部材120が押圧されて摩擦摺動することに伴う擦れ振動の周波数帯域内にあり、前記接合完了判定手段324は前記第1の帯域フィルタ321aを介して得られる前記第1の振動センサ172の出力信号、または前記第2の帯域フィルタ322aを介して得られる前記第2の振動センサ137Bの出力信号の信号振幅が増加から減少に転じた後に、所定の下限値未満に達したとき超音波接合が完了したと判定し、前記第1の異常判定手段321bは前記接触子130に対する加振開始からの経過時間が所定の最大設定時間に達する時点までに前記接合完了判定手段324による接合完了判定が得られなければ接合異常であると判定し、前記最大設定時間は予め実験測定された複数回の超音波接合において正常な接合を行うに必要とされた統計上の最大時間または最大エネルギー量が適用され、最大設定時間の到来は加振開始後の経過時間を測定するか、または前記振動子駆動電圧源の発生出力を時間経過に伴って累積した出力エネルギーが所定の最大エネルギー量に到達したときに到来したと判定するようになっている。
前記接合完了判定手段324は前記第1の帯域フィルタ321aを介して得られる前記第1の振動センサ172の出力信号データ、または前記第2の帯域フィルタ322aを介して得られる前記第2の振動センサ137Bの出力信号データの少なくとも一方について、所定の時間差をおいた新旧データを対比して、信号振幅が第1の判定閾値H11、h11未満から以上に変化した後に、この第1の判定閾値よりも小さな値である所定の下限値H13、h13未満に減少したことを検出したことによって超音波接合が完了したと判定するようになっている。
以上のとおり、第1の振動センサ172または第2の振動センサ137Bの出力信号の信号振幅が時系列として増加から減少に転じて、所定の下限値未満となったことによって超音波接合が完了したと判定するようになっている。
従って、摺動摩擦の発生と接合完了に伴う摺動摩擦の消失の両方を複合的に判断して接合完了判定が行われ、超音波接合によって寸法変化が生じ難い材料や、摩擦熱の検出が行いにくい材料に対する超音波接合であっても、正確に接合完了判定を行うことができる。
前記異常検出ユニット320Bは,前記第1の振動センサ172および第2の振動センサ137Bと第1の帯域フィルタ321aおよび第2の帯域フィルタ322aの双方を備えるとともに、更にセンサ異常判定手段323bを備え、前記第2の振動センサ137Bは前記接触子130に接近して設置されて、前記接合部材121と前記被接合部材120が押圧されて摩擦摺動することに伴う擦れ振動を検出する振動センサであり、前記センサ異常判定手段323bは前記第1の帯域フィルタ321aと第2の帯域フィルタ322aの出力信号の相対比率が所定の上下限値の域外であることによって、第1の振動センサ172または第2の振動センサ137Bの少なくとも一方が異常であると判定するようになっている。
以上のとおり、接合面の摺動摩擦による擦れ振動を検出するために、加振機構側に設けられた第2の振動センサ137Bの出力信号を第2の帯域フィルタ322aを介して監視し、第1の帯域フィルタ321aの出力信号と対比することによって第1の振動センサ172または第2の振動センサ137Bの異常を検出するようになっている。
従って、第1の振動センサ172と被接合部材120間の密着性に異常があるとこれを検出して保守点検を促すことができる。
この発明の実施の形態2に係る超音波接合制御装置300Bを用いる超音波接合制御方法であって、前記接合部材121に対する前記接触子130の押圧力が所定値以上になってから、前記振動子駆動電圧源332の出力電圧を発生し、所定時間後に出力電圧をゼロにする電源制御指令発生工程606と、前記出力電圧をゼロにし、前記接触子130の押圧力を解除するタイミングを決定する加振完了時期判定工程607と、前記第2の異常判定手段322bによる電源異常の判定結果に応動する異常判定工程617Bと、前記接合完了判定手段324を実行する接合完了判定工程620Bと、前記異常判定工程617Bによって電源異常を検出したときに、少なくとも異常報知を行なう異常発生処理工程618Bとを備えている。
前記加振完了時期判定工程607では、指令発生期間として前記最大設定時間を適用し、前記異常判定工程617Bで異常と判定されたとき、および、前記接合完了判定工程620Bで接合完了と判定されたときに予め設定されている前記最大設定時間よりも短い時間で加振動作を停止し、前記加振完了時期判定工程607において指令発生期間内で前記異常判定または前記接合完了判定のいずれも行われないときには第1の異常判定が行われて、少なくとも異常報知を含む時間超過異常処理が行われるようになっている。
以上のとおり、超音波接合制御装置300Bにおける異常検出方法は、電源制御指令発生工程と、加振完了時期判定工程と、異常判定工程と、接合完了判定工程と、異常発生処理工程となる手順によって構成されていて、加振指令発生期間内に異常判定または接合完了判定が行われると加振動作を停止し、加振指令発生期間内に異常判定および接合完了判定のいずれの判定結果も得られないときには第1の異常判定が行われて時間超過異常処理が行われるようになっている。
従って、正常に接合完了して継続動作を持続するか、異常発生が検出されて異常内容に応じた異常処理を行うか、接合完了または異常発生のいずれの判定も得られない時間超過判定に応じた異常処理を行うことができるとともに、正常接合完了時には超音波振動の発生を停止して、接合完了後の加振延長時間が短縮されて過大時間にわたる振動付与に伴う接合剥離や亀裂破損の発生が防止される。
また、異常発生時には自動的に加振動作を停止することができる。
前記電源制御指令発生工程606では、前記振動子駆動電圧源332の出力電圧の発生開始直後からの初期期間では、前記振動子駆動電圧源332の出力電圧または出力電流を一定値に維持し、前記最小設定時間が経過した時点から、前記振動子駆動電圧源332の出力電圧または出力電流を漸増し、前記出力抑制開始時点が到来した時点から、前記振動子駆動電圧源332の出力電圧または出力電流を漸減し、前記発生停止時期が到来した時点で、前記振動子駆動電圧源332の出力電圧または出力電流を停止するようになっている。
以上のとおり、出力電圧または出力電流は所定の値に維持した後に漸増する特性となるよう制御されている。
従って、接合完了が遅延しているときには、徐々に加振振幅を増大させて接合を促進することができる。
(その他の実施の形態の説明)
以上の説明において、図3、図8で示された全体制御ブロック図は、全体制御盤190A、190Bの制御内容を機能単位で分割表示したものであって、実体としてのハードウエアの構成の仕方を示したものではない。
実態構成例の1つとして、全体制御盤はプログラマブルコントローラを主体として構成されていて、このプログラマブルコントローラの入出力バスにはオン・オフ制御用の汎用ボードの他に、アナログ入出力ボード、デジタルデータの入出力ボードなどの特殊オプションボードが接続され、ワーク搬送機構311に設けられたエアシリンダ用の電磁弁や動作確認センサと接続されるだけではなく、サーボアンプ342や振動子駆動電圧源332と直接接続され、負帰還制御の一部機能を分担するようになっている。
また、超音波接合制御装置300A、300B内の搬入移送指令ユニット603、押圧制御指令ユニット604、電源制御指令ユニット606もプログラマブルコントローラによって分担される機能である。
但し、異常検出ユニット320A、320Bについてはハードウエアで構成された専用ボードが作成され、プログラマブルコントローラの入出力バスに接続されるようになっている。
この専用ボードにはプログラマブルコントローラ内のマイクロプロセッサと直接交信する専用のマイクロプロセッサが設けられ、信号波形のフーリエ解析を行って接合判定を行うための信号周波数を決定したり、亀裂破損や接合剥離が発生する固有周波数を測定したりするための解析ツールに接続されるようになっている。
以上の説明において、実施の形態1では第3の振動センサ137Aによって接触子130の機械的振動を検出し、これによって振動子駆動電圧源332および超音波振動子132が正常に動作しているかどうかを判定するようになっている。
これに対し、実施の形態2では第2の振動センサ137Bによって接触子130を介して接合部材121と被接合部材120間に発生する擦れ振動を検出し、第1の振動センサ172と協働して接合完了判定を行うか、センサ異常判定手段323bとして利用されるようになっている。
被接合部材120に対して直接当接する第1の振動センサ116による擦れ振動の検出感度は、接触子130を介して間接的に擦れ振動を検出する第2の振動センサ173Bよりは高感度であって、正確な接合完了判定を行うのに適しているが、介在する非硬化性のグリースの供給管理が必要となる。
その反面、第2の振動センサ137Bは接触子130に固定されるので,低感度ではあるが安定して擦れ振動を検出することができる利点がある。
なお、1個の振動センサによって機械的振動と擦れ振動の両方を検出することは、振動周波数の乖離が大きすぎて困難であり、帯域フィルタの中心周波数を変更することによっては回避できない問題である。
そのため,接触子130に対して応動周波数帯域が異なる2個の振動センサを固定して、一方では接触子の機械的振動を検出し、他方では擦れ振動を検出するようにしてもよい。
これにより、振動子駆動電源332と超音波振動子132を含む設備側の異常と、第1の振動センサ172の密着性異常の双方を検出することができるようになる。
なお、設備側の異常判定については接触子を押圧しない無負荷状態において接触子の振動状態を測定することも可能である。
以上の説明において、最大設定時間と最小設定時間とは予め実験測定された複数回の超音波接合における接合所要時間の最大時間又は最小時間、あるいは最大累積エネルギー又は最小累積エネルギー対応の換算時間であるとしたが、一旦最大設定時間と最小設定時間が算出されると、類例の素材に対する超音波接合においては実験測定を省略して推論によって算出することも可能である。
100A、100B 超音波接合装置、110 基台、116 第1の振動センサ、120 被接合部材、121 接合部材、130 接触子、131 第1のリード部材、132 超音波振動子、133 超音波ホーン、134 第2のリード部材、135 結合ブロック、136 バランサ、137A 第3の振動センサ、137B 第2の振動センサ、140 サーボモータ、141 回転センサ、143 押圧駆動機構、144 押圧センサ、145a、145b 補助押圧機構、146a、146b 可動部分、150 押圧機構、150a、150b 押圧板、151 緩衝部材、160 搬送移動機構、161a 昇降機構、162a〜162d 吸着盤、170 搬送架台、171 緩衝部材、172 第2の振動センサ、190A、190B 全体制御盤、300A、300B 超音波接合制御装置、320A、320B 異常検出ユニット、321a 第1の帯域フィルタ、321b 第1の異常判定手段、321c 振幅抑制手段、322a 第2の帯域フィルタ、322b 第2の異常判定手段、323a 低周波帯域フィルタ、323b センサ異常判定手段、324 接合完了判定手段、324a 旧データ更新記憶手段、324b 新旧データ比較手段、324c 接合完了判定部、324d 尚早異常判定部、330A、330B 電源制御ユニット、332 振動子駆動電圧源、333 電源センサ、340 駆動制御ユニット、341 速度パターン、342 サーボアンプ、344 トルクパターン、603 搬入移送指令ユニット、604 押圧制御指令ユニット、606 電源制御指令ユニット、608 時間超過処理工程、617A、617B 異常判定工程、618A、618B 異常発生処理工程、619 加振抑制開始工程、620A、620B 接合完了判定工程。

Claims (13)

  1. 押圧駆動機構から押圧される接触子により接合部材を被接合部材に圧接するとともに、前記接触子には振動子駆動電圧源の出力電圧が印加される超音波振動子が連結されて加振され、前記接触子により加振されて生起する圧接面と並行する方向の超音波振動によって前記接合部材と前記被接合部材とを接合する超音波接合制御装置に対する超音波接合制御装置であって、
    前記被接合部材に対して着脱可能に密着当接される第1の振動センサ、または前記接触子側に設けられる第2の振動センサの検出出力に応動する異常検出ユニットを備え、
    前記異常検出ユニットは、第1の帯域フィルタまたは第2の帯域フィルタと、接合完了判定手段と、第1の異常判定手段とを備え、
    前記第1の帯域フィルタおよび前記第2の帯域フィルタの中心周波数は、前記接合部材と前記被接合部材とが押圧されて摩擦摺動することに伴う擦れ振動の周波数帯域内にあり、
    前記接合完了判定手段は、前記第1の帯域フィルタを介して得られる前記第1の振動センサの出力信号、または前記第2の帯域フィルタを介して得られる前記第2の振動センサの出力信号の信号振幅が増加から減少に転じた後に、所定の下限値未満に達したとき超音波接合が完了したと判定し、
    前記第1の異常判定手段は、前記接触子に対する加振開始からの経過時間が所定の最大設定時間に達する時点までに前記接合完了判定手段による接合完了判定が得られなければ接合異常であると判定し、
    前記最大設定時間として、予め実験測定された複数回の超音波接合において正常な接合を行うに必要とされた統計上の最大時間または最大エネルギー量が適用され、
    前記最大設定時間の到来は、測定する加振開始後の経過時間が前記最大設定時間に達したとき、または前記振動子駆動電圧源の発生出力を時間経過に伴って累積した出力エネルギーが所定の最大エネルギー量に到達したときに到来したと判定する
    ことを特徴とする超音波接合制御装置。
  2. 前記異常検出ユニットは、更に、前記振動子駆動電圧源の入力回路または出力回路に設けられた電源センサからの出力信号に応動する第2の異常判定手段を備え、
    前記第2の異常判定手段は、前記電源センサからの出力信号の出力特性について測定記憶された標準特性と、新たに測定された該出力信号の出力特性とを対比し、前記振動子駆動電圧源に供給された入力電圧に対応した出力電流が得られていないとき電源異常と判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の超音波接合制御装置。
  3. 前記接合完了判定手段は、前記第1の帯域フィルタを介して得られる前記第1の振動センサの出力信号データ、または前記第2の帯域フィルタを介して得られる前記第2の振動センサの出力信号データの少なくとも一方について、所定の時間差をおいた新旧データを対比し、信号振幅が第1の判定閾値未満から第1の判定閾値以上に変化した後に、該第1の判定閾値よりも小さな値である所定の下限値未満に減少したことを検出したときに超音波接合が完了したと判定する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の超音波接合制御装置。
  4. 前記接合完了判定手段は、前記接触子に対する加振が開始されてから、前記出力信号データが上昇から減少に転じて接合完了判定を行うまでの経過時間が所定の最小設定時間未満であった場合には、接合異常であると判定する、または当該接合完了判定を無効にし、
    前記最小設定時間として、予め実験測定された複数回の超音波接合において正常な接合を行うに必要とされた統計上の最小時間または最小エネルギー量が適用され、
    前記最小設定時間の到来は、測定する加振開始後の経過時間が前記最小設定時間に達したとき、または前記振動子駆動電圧源の発生出力を時間経過に伴って累積した出力エネルギーが所定の最小エネルギー量に到達したときに到来と判定する
    ことを特徴とする請求項3に記載の超音波接合制御装置。
  5. 前記異常検出ユニットは、更に、振幅抑制手段を備え、
    前記振幅抑制手段は、前記第1の帯域フィルタを介して得られる前記第1の振動センサの出力信号の信号振幅が、前記第1の判定閾値未満から前記第1の判定閾値以上に変化した後に、所定の遅延時間を経過する、または前記下限値よりも大きな値である第2の判定閾値未満に減少したことを検出したことによって接合開始したと推定し、前記振動子駆動電圧源に対する目標出力電圧または目標出力電流を時間経過に伴って漸減する
    ことを特徴とする請求項3または4に記載の超音波接合制御装置。
  6. 前記異常検出ユニットは、更に、上記第3の振動センサの出力信号が入力される低周波帯域フィルタを備え、
    前記第3の振動センサは、前記接触子に接近して設置された加振機構の振動振幅を検出し、
    前記低周波帯域フィルタは、更に、動作する中心周波数が前記振動子駆動電圧源が発生する出力電圧の周波数であり、
    前記第2の異常判定手段は、更に、前記電源センサからの検出信号と前記低周波帯域フィルタの出力信号を対比し、前記接触子を含む加振機構の振動振幅が前記振動子駆動電圧源の出力電流に対応した振動振幅となっていないとき異常と判定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の超音波接合制御装置。
  7. 前記異常検出ユニットは、更に、前記第1の振動センサが接続される第1の帯域フィルタと、前記第2の振動センサが接続される第2の帯域フィルタの双方と、センサ異常判定手段とを備え、
    前記第2の振動センサは、前記接触子に接近して設置されるとともに、前記接合部材と前記被接合部材が押圧されて摩擦摺動することに伴う擦れ振動を検出し、
    前記センサ異常判定手段は、前記第1の帯域フィルタと前記第2の帯域フィルタの出力信号の相対比率が所定の上下限値の域外であるとき、前記第1の振動センサまたは前記第2の振動センサの少なくとも一方が異常であると判定する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波接合制御装置。
  8. 前記押圧駆動機構は、駆動制御ユニットから駆動制御されるサーボモータによって押圧駆動されるとともに、前記駆動制御ユニットには回転センサおよび押圧センサから入力信号が入力され、
    前記駆動制御ユニットは、動作モードとして速度制御モードとトルク制御モードとを有する前記サーボアンプを備え、
    前記速度制御モードでは、前記回転センサによって検出された前記サーボモータの回転速度が所定の加減速度パターンと一致するよう負帰還制御が行われて、前記接触子を前記接合部材に対して接近駆動または離間駆動し、
    前記トルク制御モードでは、前記押圧センサによって検出された前記接触子と前記接合部材との間の圧力が、所定の押圧力パターンに基づいて漸増して一定値を保ち、前記振動子駆動電圧源の出力停止に伴って押圧力が解除され、前記接触子が離間駆動されている間に前記接合部材と前記被接合部材が搬入または移送される
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波接合制御装置。
  9. 前記接触子は、第1のリード部材の一端に取付け固定され、
    前記超音波振動子は、第2のリード部材の一端に取付け固定され、
    前記第1のリード部材および第2のリード部材は、他端が共通の結合ブロックに固定され、
    前記超音波振動子と前記接触子または前記第1のリード部材の一端との間は超音波振動を増幅する超音波ホーンによって連結され、
    前記接触子および前記第1のリード部材、前記結合ブロック、前記第2のリード部材、前記超音波振動子、前記超音波ホーンとは一体化されて可動部を構成し、
    前記可動部は、前記押圧センサを介して前記サーボモータから押圧駆動されるとともに、全体の重力は対抗設置されたバランサによって減殺されている
    ことを特徴とする請求項8に記載の超音波接合制御装置。
  10. 前記振動子駆動電圧源は、電源制御ユニットを構成し、
    前記電源制御ユニットは、電源センサによって検出された出力電圧または出力電流が目標とする出力電圧または出力電流に揃うように前記振動子駆動電圧源の出力電圧を負帰還制御するとともに、目標出力電圧と検出された出力電流との積が所定値以下となるように目標出力電圧を抑制する、または目標出力電流と検出された出力電圧との積が所定値以下となるように目標出力電流を抑制する
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波接合制御装置。
  11. 請求項3に記載の超音波接合制御装置を使用する超音波接合制御方法であって、
    接合部材に対する接触子の押圧力が所定値以上になってから振動子駆動電圧源の出力電圧を発生し、所定時間後に出力電圧をゼロにする電源制御指令発生工程と、
    前記出力電圧をゼロにし,前記接触子の押圧力を解除するタイミングを決定する加振完了時期判定工程と、
    第2の異常判定手段による電源異常の判定結果に応動する異常判定工程と、
    接合完了判定手段を実行する接合完了判定工程と、
    前記異常判定工程によって電源異常を検出したときに、少なくとも異常報知を行なう異常発生処理工程と
    を備え、
    前記加振完了時期判定工程では、指令発生期間として所定の最大設定時間を適用し、前記異常判定工程で異常と判定されたとき、および、前記接合完了判定工程で接合完了と判定されたときに予め設定されている前記最大設定時間よりも短い時間で加振動作を停止し、
    前記加振完了時期判定工程において指令発生期間内で前記異常判定または前記接合完了判定のいずれも行われないときには第1の異常判定が行われて、少なくとも異常報知を含む時間超過異常処理が行われる
    ことを特徴とする超音波接合制御方法。
  12. 請求項5に記載の超音波接合制御装置を使用する超音波接合制御方法であって、
    接合部材に対する接触子の押圧力が所定値以上になってから振動子駆動電圧源の出力電圧を発生し、所定時間後に出力電圧をゼロにする電源制御指令発生工程と、
    前記出力電圧をゼロにして前記接触子の押圧力を解除するタイミングを決定する加振完了時期判定工程と、
    第2の異常判定手段による電源異常の判定結果に応動する異常判定工程と、
    接合完了判定手段を実行する接合完了判定工程と、
    振幅抑制手段が加振振幅の抑制指令を発生したときに、前記振動子駆動電圧源の出力電圧または出力電流を漸減させる加振抑制開始工程と、
    前記異常判定工程によって電源異常を検出したときに、少なくとも異常報知を行なう異常発生処理工程と
    を備え、
    前記加振完了時期判定工程では、指令発生期間として所定の最大設定時間を適用し、前記加振完了時期判定工程において指令発生期間内に前記異常判定または前記接合完了判定のいずれも行われないときには第1の異常判定が行われて、少なくとも異常報知を含む時間超過異常処理が行われ、
    前記異常判定工程で異常と判定されたとき、および、前記接合完了判定工程で接合完了と判定されたときに、予め設定されている前記最大設定時間よりも短い時間で加振動作を停止する
    ことを特徴とする超音波接合制御方法。
  13. 前記電源制御指令発生工程では、前記振動子駆動電圧源の出力電圧の発生開始直後からの初期期間では、前記振動子駆動電圧源の出力電圧または出力電流を一定値に維持し、所定の最小設定時間が経過した時点から、前記振動子駆動電圧源の出力電圧または出力電流を漸増し、
    前記出力抑制開始指令が発生した時点から、前記振動子駆動電圧源の出力電圧または出力電流を漸減し、前記発生停止指令が発生した時点で、前記振動子駆動電圧源の出力電圧または出力電流を停止する
    ことを特徴とする請求項11または12に記載の超音波接合制御方法。
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