JP2012053275A - 定着装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】少ない消費電力で加圧部材を加熱し、短時間で加圧部材を目標温度まで加熱し、定着不良及びカールの発生を防止することが可能な定着装置を提供する。
【解決手段】周回駆動され、通電によりジュール発熱する抵抗発熱体層を有する無端状の発熱ベルト51と、発熱ベルト51の内周面に接する定着ローラ52と、発熱ベルト51の外周面に接し、発熱ベルト51を介して定着ローラ52を押圧して定着ニップを形成する加圧回転体53と、を備え、加圧回転体53は、周回駆動され、通電によりジュール発熱する抵抗発熱体層を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、プリンタ、複写機等の画像形成装置が備える定着装置に関し、特に定着部材と加圧部材間の温度差に起因する定着不良及びカールの発生を防止する技術に関する。
プリンタ、複写機、ファクシミリ及びこれらの複合機等の画像形成装置には、入力された画像データに基づいて記録シート上に形成されたトナー像を熱定着させる定着装置が設けられている。定着装置においては、トナー像が形成された記録シートは定着部材(例えば、加熱ローラ)と加圧部材(例えば、加圧ローラ)との間に挟持され、加圧された状態で加熱されて、トナー像が記録シート上に熱定着される。
この定着部材と加圧部材間の温度差が大きくなると、特許文献1及び特許文献2に記載されているように、定着不良や記録シートのカールが発生しやすくなる。このため、加圧部材内には、ヒータが内蔵され、ヒータの輻射熱により、加圧部材を加熱することにより、両部材間の温度差を小さくし、定着不良やカールの発生を防止している。
特開2005−202441号公報 特開2007−65313号公報
しかしながら、加圧部材を内蔵のヒータの輻射熱により加熱する場合には、記録シートと接する加圧部材の表面まで熱が伝達されるのに時間を要し、発熱効率が悪いため、ウォームアップ時に目標温度に達するまで時間がかかり、印刷処理が開始できる状態になるまでの待ち時間が長くなるという問題が生じる。さらに、発熱効率が悪いため、その分、消費電力が大きくなるという問題が生じる。
本発明は、上述のような問題に鑑みて為されたものであって、少ない消費電力で加圧部材を加熱し、短時間で加圧部材を目標温度まで加熱し、定着不良及びカールの発生を防止することが可能な定着装置及び当該定着装置を備える画像形成装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の一形態に係る定着装置は、周回駆動され、通電によりジュール発熱する抵抗発熱体層を有する無端状のベルトと、前記ベルトの内周面に接する押圧部材と、前記ベルトの外周面に接し、前記ベルトを介して前記押圧部材を押圧して定着ニップを形成する加圧回転体と、を備え、前記加圧回転体は、通電によりジュール発熱する抵抗発熱体層を有することを特徴とする。
前記ベルト及び前記加圧回転体の幅方向の両端部の外周面の全周には、それぞれ、抵抗発熱体層に給電するための給電電極が配置され、前記ベルト及び前記加圧回転体の両端部を除く外周面は、絶縁層で構成され、両者の抵抗発熱体層は、それぞれ、両端部の給電電極を通じて給電されることによりジュール発熱することとすることができる。
前記ベルトの一方の給電電極は、前記加圧回転体の一方の給電電極と接触し、前記ベルトのもう一方の給電電極は、前記加圧回転体のもう一方の給電電極と接触するように構成され、前記ベルト又は前記加圧回転体の何れかの両端部の給電電極に給電することにより、両者の抵抗発熱体層が電気的に並列に接続されることとすることができる。
前記ベルトの一方の給電電極は、前記加圧回転体の一方の給電電極と接触し、前記ベルトのもう一方の給電電極は、前記加圧回転体のもう一方の給電電極と非接触となるように構成され、非接触の両給電電極に給電することにより、両者の抵抗発熱体層が電気的に直列に接続されることとすることができる。
さらに、前記押圧部材は、前記ベルトの内側に遊嵌されていることとすることができる。又、本発明の一形態に係る画像形成装置は、前記定着装置を備える構成とすることができる。
上記構成を備えることにより、それぞれ、通電によりジュール発熱する抵抗発熱体層を有するベルト及び加圧回転体により定着ニップが形成されるので、輻射加熱に比べ、伝熱速度が早く、短時間で定着ニップの定着側及び加熱側の温度を目標温度まで加熱することができ、両側の温度差に起因する定着不良及びカールの発生を効果的に防止することができるとともに、加熱に要する消費電力を低減することができる。
プリンタ1の構成を示す図である。 定着装置5の構成を示す斜視図である。 発熱ベルト51の詳細な構造を示す断面図である。 加圧回転体53の詳細な構造を示す断面図である。 図2の接続形式で給電電極が接続された場合における等価回路図を示す。 発熱ベルトの抵抗発熱体層514と加圧回転体53の抵抗発熱体層534との接続形式を直列とした場合の定着装置5の変形例(定着装置5A)の具体例を示す。 図6の接続形式で給電電極が接続された場合における等価回路図を示す。 並列、直列それぞれの接続形式で、定着側と加圧側の抵抗発熱体層を接続した定着装置の作成例における、定着装置全体、定着側、及び加圧側の抵抗と電力との関係を示す図である。 本実施の形態に係る定着装置5、5Aの定着側において、定着ローラ52の代わりに、定着パッド52Aを用いた定着装置の変形例(定着装置5B)を示す。 定着側を本実施の形態5、5Aのように構成する代わりに、定着側にテンションローラ52Bをさらに設けて、発熱ベルト51が定着ローラ52とテンションローラ52Bとに張架された構成の変形例(定着装置5C)を示す。 図10の定着装置の構成において、さらに加圧側も発熱ベルトが加圧ローラ53Aとテンションローラ53Bとによって張架された構成の変形例(定着装置5D)を示す。 定着側を、芯金からなる定着ローラ52Cと、定着ローラ52Cの外周面を被覆するように積層した発熱ベルト51とで構成し、加圧側を、図9の定着側と同様に発熱ベルトとその内側に遊嵌した定着パッド52Aとで構成した定着装置の変形例(定着装置5E)を示す。 定着側と加圧側を本実施の形態の定着装置5、5Aの定着側と同じ構成にした定着装置の変形例(定着装置5F)を示す。
(実施の形態)
以下、本発明に係る一形態の画像形成装置の実施の形態を、タンデム型カラーデジタルプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した場合を例にして説明する。
[1]プリンタの構成
先ず、本実施の形態に係るプリンタ1の構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るプリンタ1の構成を示す図である。同図に示すように、このプリンタ1は、画像プロセス部3、給紙部4、定着装置5、制御部60を備えている。プリンタ1は、ネットワーク(例えばLAN)に接続され、外部の端末装置(不図示)や図示しない操作パネルから印刷指示を受け付けると、その指示に基づいてイエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの各色のトナー像を形成し、これらを多重転写してフルカラーの画像を形成することにより、記録シートへの印刷処理を実行する。
以下、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各再現色をY、M、C、Kと表し、各再現色に関連する構成要素の番号にこのY、M、C、Kを添字として付加する。画像プロセス部3は、作像部3Y、3M、3C、3K、露光部10、中間転写ベルト11、二次転写ローラ45などを有している。
作像部3Y、3M、3C、3Kの構成は、いずれも同様の構成であるため、以下、主として作像部3Yの構成について説明する。作像部3Yは、感光体ドラム31Yと、その周囲に配設された帯電器32Y、現像器33Y、一次転写ローラ34Y、および感光体ドラム31Yを清掃するためのクリーナ35Yなどを有しており、感光体ドラム31Y上にY色のトナー像を作像する。現像器33Yは、感光体ドラム31Yに対向し、感光体ドラム31Yに帯電トナーを搬送する。
中間転写ベルト11は、無端状のベルトであり、駆動ローラ12と従動ローラ13に張架されて矢印C方向に周回駆動される。露光部10は、レーザダイオードなどの発光素子を備え、制御部60からの駆動信号によりY〜K色の画像形成のためのレーザ光Lを発し、作像部3Y、3M、3C、3Kの各感光体ドラムを露光走査する。この露光走査により、帯電器32Yにより帯電された感光体ドラム31Y上に静電潜像が形成される。作像部3M、3C、3Kの各感光体ドラム上にも同様にして静電潜像が形成される。
各感光体ドラム上に形成された静電潜像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの
各現像器により現像されて各感光体ドラム上に対応する色のトナー像が形成され
る。形成されたトナー像は、作像部3Y、3M、3C、3Kの各一次転写ローラ(図1では、作像部10Yに対応する一次転写ローラのみ符号34Yを付し、他の一次転写ローラについては、符号を省略している。)により、中間転写ベルト11上の同じ位置に重ね合わされるように、中間転写ベルト11上にタイミングをずらして順次一次転写された後、二次転写ローラ45による静電力の作用により中間転写ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に二次転写される。トナー像が二次転写された記録シートは、さらに定着装置5に搬送され、記録シート上のトナー像(未定着画像)が、定着装置5において加熱及び加圧されて記録シート上に熱定着された後、排出ローラ71により排紙トレイ72に排出される。
給紙部4は、図1の符号Sで表す記録シートを収容する給紙カセット41と、給紙カセット41内の記録シートを搬送路43上に1枚ずつ繰り出す繰り出しローラ42と、繰り出された記録シートを二次転写位置46に送り出すタイミングをとるためのタイミングローラ44などを備えている。給紙カセットは、1つに限定されず、複数であってもよい。
記録シートとしては、大きさや厚さの異なる用紙(普通紙、厚紙)やOHPシートなどのフィルムシートを利用できる。給紙カセットが複数ある場合には、異なる大きさ又は厚さ又は材質の記録シートを複数の給紙カセットに収納することとしてもよい。
繰り出しローラ42、タイミングローラ44等の各ローラは、搬送モータ(不図示)を動力源とし、歯車ギヤやベルトなどの動力伝達機構(不図示)を介して回転駆動される。この搬送モータとしては、例えば、高精度の回転速度の制御が可能なステッピングモータが使用される。
記録シートは、中間転写ベルト11上のトナー像の移動タイミングに合わせて
給紙部4から二次転写位置46に搬送され、二次転写ローラ45により中間転写
ベルト11上のトナー像が一括して記録シート上に二次転写される。
[2]定着装置の構成
図2は、定着装置5の構成を示す斜視図である。同図に示すように、定着装置5は、発熱ベルト51と、定着ローラ52と、加圧回転体53と、を有する。発熱ベルト51は、周回駆動される、無端状のベルトであり、その両端部に給電電極511、512が設けられ、両電極上には給電ブラシ501、502がそれぞれ当接され、電源部500から給電ブラシ501、502を介して両給電電極に給電が行われる。両給電ブラシは、図示しない付勢部材(例えば、圧縮ばね)により、発熱ベルト51の周回経路の内側方向に押圧され、給電電極511、512との接触状態が良好に維持され、給電ブラシ・給電電極間の電気的接続状態が良好に維持される。給電ブラシ501、502の材料としては、例えば、銅黒鉛質、炭素黒鉛質等のカーボンブラシを用いることができる。
なお、図示していないが、発熱ベルト51の近傍には、温度センサ(例えば、サーミスタ)が配置され、温度センサの示す温度に応じて制御部60により、発熱ベルト51への給電が制御され、発熱ベルト51の表面温度が目標温度になるように制御される。
図3は、発熱ベルト51の詳細な構造を示す断面図である。同図に示すように、両端部を除く領域においては、発熱ベルト51は、補強層513、抵抗発熱体層514、弾性層515、離型層516が、この順に積層されて構成され、両端部においては、補強層513、抵抗発熱体層514、電極(電極511又は512)がこの順に積層されて構成される。なお、発熱ベルト51の構成を、補強層513、弾性層515を含まない構成とすることとしてもよい。
電極511、512は、導電性の材料から構成される。電極511、512の材料としては、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銀(Ag),金(Au)、マグネシウム(Mg)、真鍮、リン青銅等の金属を用いることができる。電極511、512は、メッキや貼付により抵抗発熱体層514上に形成することができる。補強層513は、発熱ベルト51の強度を補強するための層であり、例えば、ポリイミド樹脂を用いることができる。
抵抗発熱体層514は、電極511、512と電気的に接続され、電極511、512を通じて給電されることにより、ジュール熱を発生する層である。抵抗発熱体層514は、耐熱性樹脂等の絶縁性材料中に導電性材料を分散させて構成される。抵抗発熱体層514の体積抵抗率は、導電性材料の量を調整することにより、所定の体積抵抗率に調整される。
耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリエチレンスルフィド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリエステル-イミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリ-p-キシリレノン樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂などを用いることができる。抵抗発熱体層514に用いる耐熱性樹脂として、耐熱性、絶縁性及び機械的強度等に優れた特性を示すポリイミド樹脂を用いるのが望ましい。
導電性材料としては、銀(Ag)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、ニッケル(Ni)、ステンレス(SUS)等の金属、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノコイル、黒鉛等を用いることができ、2種類以上の導電性材料(例えば、カーボンナノ材料と金属)を用いることとしてもよい。この場合、金属は、特に針状やフレーク状の銀(Ag)やニッケル(Ni)が好ましく、粒径は0.01〜10μmが良い。これにより、カーボンナノ材料と線状に絡み合うことで均一な電気抵抗を有する抵抗発熱体層514を成型することができる。金属が粒状や粉末状や塊状の場合、抵抗発熱体層514中に混在するカーボンナノ材料と絡み合わず、カーボンナノ材料と点接触することになるため、均一な電気抵抗を有する抵抗発熱体層514が得られにくくなる。
抵抗発熱体層514の厚さは、任意であるが、5〜100μm程度が望ましい。抵抗発熱体層514の体積抵抗率は、1.0×10−6〜1.0×10−2Ω・m程度の範囲に設定することができるが、当該体積抵抗率は、1.0×10−5〜5.0×10−3Ω・mの範囲内であることが望ましい。
弾性層515は、記録シート上のトナー像に均一かつ柔軟に熱を伝えるための層である。弾性層515を設けることにより、トナー像が押しつぶされたり、トナー像が不均一に溶融されたりするのを防止し、画像ノイズの発生を防止することができる。弾性層515の材料としては、耐熱性と弾性と絶縁性とを有するゴム材や樹脂材を用いる。例えば、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の耐熱性エラストマーを材料として用いることができる。
弾性層515の厚さは、10〜800μm、さらに望ましくは100〜300μmの範囲内のものとする。弾性層515の厚さが10μm未満では厚さ方向の十分な弾力性を得ることが難しい。また,この厚さが800μmを超えていると、抵抗発熱体層514で発生した熱を発熱ベルト51の外周面まで到達させる時間が長くなり、伝熱効率が悪いので好ましくない。
離型層516は,発熱ベルト51の最外層をなし、発熱ベルト51と記録シートとの離型性を高めるための層である。離型層516の材料としては、絶縁性で定着温度での使用に耐えられるとともにトナーに対する離型性に優れたものを使用することができる。例えば、PFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体)、PTFE(四フッ化エチレン)等のフッ素樹脂を使用することができる。離型層516の厚さは5〜100μm、望ましくは10〜50μmの範囲内のものとするのがよい。
図2の説明に戻って、定着ローラ52は、発熱ベルト51の周回経路の内側に配され、長尺で円筒状の芯金522の周囲を断熱層523で被覆されてなり、芯金522の軸方向両端部521が図示しないフレームの軸受部に回転自在に軸支される。芯金522は、定着ローラ52を支持する部材であり、耐熱性と強度を有する材料から構成される。芯金522の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等を用いることができる。
断熱層523は、発熱ベルト51が発熱した熱を芯金522に逃がさないようにするための層である。断熱層523の材料としては、熱伝導率が低く、耐熱性及び弾性を有するゴム材や樹脂材のスポンジ体(断熱構造体)を用いるのが望ましい。発熱ベルト51のたわみを許容し、ニップ幅を広くすることができるからである。断熱層523を、ソリッド体とスポンジ体との2層構造にしてもよい。シリコンスポンジ材を断熱層523として用いる場合には、その厚さを1〜10mmとするのが望ましい。さらに望ましくは、2〜7mmとするのがよい。
加圧回転体53は、円筒状の芯金532と、芯金532を覆う弾性層533と、弾性層533の外周面全体を覆うように積層された、抵抗発熱体層534と、抵抗発熱体層534の両端部を除く外周面を被覆する離型層535等から構成され、芯金532の軸方向両端部531が図示しないフレームの軸受部に回転自在に軸支される。又、加圧回転体53の両端部の外周面の全周には、給電電極536、537が形成されている。加圧回転体53は、発熱ベルト51の周回経路外側に配置され、発熱ベルト51の外側から発熱ベルト51を介して定着ローラ52を押圧して、発熱ベルト51の外周面との間に周方向に所定幅を有する定着ニップを形成する。
なお、図示していないが、定着ニップの出口の下流側で、当該出口の近傍には定着ニップを通過した記録シートを発熱ベルト51から剥離させるための分離爪が配置されている。
さらに、図示していないが、加圧回転体53の近傍には、温度センサ(例えば、サーミスタ)が配置され、温度センサの示す温度に応じて制御部60により抵抗発熱体層534への給電が制御されることにより、表面温度が目標温度になるように制御される。
加圧回転体53は、駆動モータ(不図示)からの駆動力が伝達されることにより矢印B方向に回転駆動される。この加圧回転体53の回転に伴って発熱ベルト51と定着ローラ52が矢印A方向に従動回転する。
芯金532は、加圧ローラ53を支持する部材であり、耐熱性と強度を有する材料から構成される。芯金532の材料としては、例えば、アルミニウム、鉄、ステンレス等を用いることができる。弾性層533は、シリコーンゴム、フッ素ゴム等の弾性体で、厚さ1〜20mmの範囲内の耐熱性の高い材料で構成される。
図4は、加圧回転体53の詳細な構造を示す断面図である。同図に示すように、加圧回転体53は、両端部を除く領域においては、芯金532の外周面上に弾性層533、抵抗発熱体層534、離型層535が、この順に積層されて構成され、両端部においては、芯金532の外周面上に弾性層533、抵抗発熱体層534、給電電極(536又は537)がこの順に積層されて構成される。抵抗発熱体層534、離型層535、給電電極536、537は、それぞれ、発熱ベルト51の抵抗発熱体層514、離型層516、給電電極511、512と同じ材料で構成される。
図2に示すように、加圧回転体53の給電電極536は、発熱ベルト51の給電電極511と、加圧回転体53の給電電極537は、発熱ベルト51の給電電極512とそれぞれ接触するように構成され、電源部500から給電ブラシ501、502を介して給電電極511、512に対して給電が行われる。これにより、発熱ベルトの抵抗発熱体層514と加圧回転体53の抵抗発熱体層534とは、電気的に並列に接続される。
なお、電源部500から給電ブラシ501、502を介して給電電極511、512に対して給電する代わりに、給電ブラシ501を加圧回転体53の給電電極536に、給電ブラシ502を給電電極537にそれぞれ、接触させて、電源部500から給電ブラシ501、502を介して給電電極536、537に対して給電することとしてもよい。この場合も、上記の場合と同様に発熱ベルトの抵抗発熱体層514と加圧回転体53の抵抗発熱体層534とは、電気的に並列に接続される。
図5は、図2の接続形式で給電電極が接続された場合における等価回路図を示す。図5の符号500は、電源部500を表し、符合514は、発熱ベルト51の抵抗発熱体層514を表し、符合534は、加圧回転体53の抵抗発熱体層534を表す。
図6は、発熱ベルトの抵抗発熱体層514と加圧回転体53Aの抵抗発熱体層534Aとの接続形式を直列とした場合の定着装置5の変形例(定着装置5A)の具体例を示す。同図に示すように、発熱ベルト51の両端部の一方の給電電極511と加圧回転体53Aの両端部の一方の給電電極536Aとは、互いに接触するように構成されているのに対し、発熱ベルト51の両端部のもう一方の給電電極512と加圧回転体53Aの両端部のもう一方の給電電極537Aとは、ベルト幅方向において位置がずらされ、互いに接触しないように構成されている。そして、電源部500から給電ブラシ501、502を介して、給電電極(給電電極512、537A)に対して給電が行われる。
これにより、発熱ベルトの抵抗発熱体層514と加圧回転体53Aの抵抗発熱体層534Aとは、電気的に直列に接続される。図7は、図6の接続形式で給電電極が接続された場合における等価回路図を示す。図7の符号500は、電源部500を表し、符合514は、発熱ベルト51の抵抗発熱体層514を表し、符合534Aは、加圧回転体53Aの抵抗発熱体層534Aを表す。
定着側と加圧側の抵抗発熱体層の接続形式は、並列でも直列でもよいが、並列の場合、同じ電圧の電源を用いた場合に、直列の場合に比べ高い電力を得ることができるとともに、設計上、抵抗発熱体層の抵抗をより高く設定できる等、設計上の自由度が高い。例えば、抵抗発熱体層に弾性層としての機能を持たせたいような場合には、シリコーンゴム等の弾性層を構成する材料中に分散させる導電性材料の量を少なくすることができ、導電性材料の含有量の増加に伴う弾性性能の低下を低減することができる。
図8は、並列、直列それぞれの接続形式で、定着側と加圧側の抵抗発熱体層を接続した定着装置の作成例における、定着装置全体、定着側、及び加圧側の抵抗と電力との関係を示す図である。同図において、作成した定着装置に供給する電圧は、100V、電流は、11Aとした。
このように、本実施の形態に係る定着装置(定着装置5及び5A)においては、記録シートが通紙される定着ニップ領域における定着側(発熱ベルト51側)および加圧側(加圧回転体53側)の加熱が、それぞれ、抵抗発熱体層のジュール発熱を利用して直接的に行われるので、ヒータ等による輻射加熱に比較して発熱効率が高く、加熱に要する消費電力を少なくすることができる。さらに、ウォームアップ時に定着側及び加圧側の発熱ベルトがそれぞれの目標温度に達するまでの時間を短縮化し、印刷処理が開始できる状態になるまでの待ち時間を少なくすることができる。
その結果、消費電力を抑制しつつ、短時間で定着ニップ領域における定着側と加圧側の温度差を小さくし、当該温度差に起因する定着不良及びカールの発生を効果的に防止することができる。
(変形例)
以上、本発明を実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
(1)定着装置における定着側及び加圧側の構成は、本実施の形態の定着装置5及び5Aに限定されない。例えば、図9〜図13に示すような構成であってもよい。以下、図9〜図13において、定着装置5の構成要素と同一の構成要素については、定着装置5の構成要素に付与された番号と同一の番号を付与している。
図9は、本実施の形態に係る定着装置5、5Aの定着側において、定着ローラ52の代わりに、定着パッド52Aを用いた定着装置の変形例(定着装置5B)を示す。同図の符号501Aは、給電ローラを表す。定着パッド52Aは、例えば、定着ローラ52の断熱層523と同じ材料を用いて形成することができる。
図10は、定着側を本実施の形態5、5Aのように構成する代わりに、定着側にテンションローラ52Bをさらに設けて、発熱ベルト51が定着ローラ52とテンションローラ52Bとに張架された構成の変形例(定着装置5C)を示す。
図11は、さらに加圧側も符号534Bで示す発熱ベルトが加圧ローラ53Aとテンションローラ53Bとによって張架された構成の変形例(定着装置5D)を示す。ここで、発熱ベルト534Bは、例えば、図4に示す加圧回転体53の構成から、芯金532と弾性層533を除いた構成とすることができる。図12は、定着側を、芯金からなる定着ローラ52Cと、定着ローラ52Cの外周面を被覆するように、積層した発熱ベルト51とで構成し、加圧側を、図9の定着側と同様に発熱ベルト(発熱ベルトとしては、図11の発熱ベルト534Bと同様の構成の発熱ベルトを用いることができる。)とその内側に遊嵌した定着パッド52Aとで構成した定着装置の変形例(定着装置5E)を示す。同図の符号501Aは、給電ローラを表し、符号534Bは、発熱ベルトを表す。これにより、加圧回転体53を用いる場合に比べ、発熱ベルト534Bと加圧部材(定着パッド52A)との接触面積を少なくすることができ、発熱ベルト534Bで発生した熱が、加圧部材側に逃げる熱量を少なくすることができ、加圧側の発熱効率を高めることができる。
図13は、定着側と加圧側を本実施の形態の定着装置5の定着側と同じ構成にした定着装置の変形例(定着装置5F)を示す。同図の符号53Aは、加圧ローラを表し、符号534Bは、発熱ベルトを表す。同図の構成では、加圧側においても発熱ベルト(発熱ベルトとしては、図11の発熱ベルト534Bと同様の構成の発熱ベルトを用いることができる。)と加圧ローラ53Aとの接触面積を少なくすることができるので、発熱ベルト534Bで発生した熱が、加圧ローラ側に逃げる熱量を少なくすることができ、発熱効率を高めることができる。
(2)本実施の形態では、発熱ベルトに給電する給電部材として、給電ブラシを使用したが、給電部材は、給電ブラシに限定されず、他の部材、例えば、給電ローラであってもよい。
(3)本実施の形態では、発熱ベルトのベルト幅方向の両端部の全周に給電電極を設け、給電電極を介して発熱ベルトに給電を行うこととしたが、給電電極の代わりに、抵抗発熱体層を設け、給電電極を介さず、直接抵抗発熱体層に給電することとしてもよい。又、定着側、加圧側の何れか一方のみ、例えば、加圧側のみ給電電極を介さず、直接抵抗発熱体層に給電することとしてもよい。
又、給電電極を発熱ベルトのベルト幅方向の両端部の全周ではなく、全周の一部に設けることとしてもよい。
本発明は、プリンタ、複写機等の画像形成装置が備える定着装置に関し、特に定着部材と加圧部材間の温度差に起因する定着不良及びカールの発生を防止する技術として利用できる。
1 プリンタ
3 画像プロセス部
3Y〜3K 作像部
4 給紙部
5 定着装置
10 露光部
11 中間転写ベルト
12 駆動ローラ
13 従動ローラ
31Y 感光体ドラム
32Y 帯電器
33Y 現像器
34Y 一次転写ローラ
35Y クリーナ
41 給紙カセット
42 繰り出しローラ
43 搬送路
44 タイミングローラ
45 二次転写ローラ
46 二次転写位置
51 発熱ベルト
52 定着ローラ
53 加圧回転体
60 制御部
71 排出ローラ
72 排紙トレイ
500 電源部
501、502 給電ブラシ
511、512、536、537 給電電極
513 補強層
514、534 抵抗発熱体層
515、533 弾性層
516、535 離型層
521、531 芯金端部
522、532 芯金
523 断熱層

Claims (6)

  1. 周回駆動され、通電によりジュール発熱する抵抗発熱体層を有する無端状のベルトと、
    前記ベルトの内周面に接する押圧部材と、
    前記ベルトの外周面に接し、前記ベルトを介して前記押圧部材を押圧して定着ニップを形成する加圧回転体と、
    を備え、
    前記加圧回転体は、
    通電によりジュール発熱する抵抗発熱体層を有する
    ことを特徴とする定着装置。
  2. 前記ベルト及び前記加圧回転体の幅方向の両端部の外周面の全周には、それぞれ、抵抗発熱体層に給電するための給電電極が配置され、前記ベルト及び前記加圧回転体の両端部を除く外周面は、絶縁層で構成され、
    両者の抵抗発熱体層は、それぞれ、両端部の給電電極を通じて給電されることによりジュール発熱する
    ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記ベルトの一方の給電電極は、前記加圧回転体の一方の給電電極と接触し、前記ベルトのもう一方の給電電極は、前記加圧回転体のもう一方の給電電極と接触するように構成され、
    前記ベルト又は前記加圧回転体の何れかの両端部の給電電極に給電することにより、両者の抵抗発熱体層が電気的に並列に接続される
    ことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  4. 前記ベルトの一方の給電電極は、前記加圧回転体の一方の給電電極と接触し、前記ベルトのもう一方の給電電極は、前記加圧回転体のもう一方の給電電極と非接触となるように構成され、
    非接触の両給電電極に給電することにより、両者の抵抗発熱体層が電気的に直列に接続される
    ことを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
  5. 前記押圧部材は、前記ベルトの内側に遊嵌されている
    ことを特徴とする請求項2〜4の何れかに記載の定着装置。
  6. 請求項1〜5の何れかに記載の定着装置を備える
    ことを特徴とする画像形成装置。
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