JP2012051953A - 難燃性強化樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】非常に剛性が高く、かつ表面平滑性が良くて外観性に優れ、難燃性が極めて高く、燃焼時に腐食性の高いハロゲン性ガスの発生がなく、押出時の操業性に優れ、成形性に優れ、寸法安定性に非常に優れた樹脂組成物を提供する。
【解決手段】ポリアミド樹脂(A)と、ポリアリレート樹脂(B)と、リン系難燃剤(C)と、無機充填材(D)とを含有し、(A)と(B)の合計質量に対する(A)の質量比が0.2〜0.8であり、(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対して、(C)の含有量が5〜40質量部、(D)の含有量が15〜200質量部であり、リン系難燃剤(C)は、ホスフィン酸塩(c1)および/またはジホスフィン酸塩(c2)を含むことを特徴とする難燃性強化樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、非常に剛性が高く、かつ表面平滑性が良くて外観性に優れ、難燃性が極めて高く、燃焼時に腐食性の高いハロゲン性ガスの発生がなく、押出時の操業性に優れ、成形性に優れ、寸法安定性に非常に優れた樹脂組成物に関する。特に、電気・電子分野の部品、自動車分野の電装部品等の部品材料などに好適に用いられ、さらには良外観性が必要である携帯用パソコンやワープロ、電子辞書、携帯電話等のOA機器に代表される電気機器の筐体部品などに好適に用いられる難燃性強化樹脂組成物に関する。
ポリアミド樹脂は、機械的物性や耐熱性などに優れているため、電気・電子、自動車、機械、建材など多岐にわたり利用されている。最近では金属代替による樹脂化が進み、樹脂に金属同等の強度、剛性が求められている。特に、コネクターなどの電装部品や携帯用パソコンやワープロ、電子辞書、携帯電話等のOA機器に代表される電気機器の筐体部品などの家電製品に対しては、高度な難燃性が要求される。
樹脂を難燃化する場合は、一般にハロゲン系難燃剤やトリアジン系難燃剤を添加する方法や樹脂にMg蒸着する方法が採られている。しかし、ハロゲン系難燃剤は燃焼時発生する腐食性のハロゲン性ガスや有害物質など、環境や人体に対する悪影響があるとされ、ハロゲン系難燃剤の使用を規制する動きがあり好ましくない。このことから、ハロゲンフリーの難燃剤が多く検討されてきた。
ポリアミド樹脂の難燃剤としては、ハロゲンフリーのトリアジン系難燃剤が注目され数多く検討がなされている。強化材を配合しない系では1/32インチの厚みでUL94 V−0規格に適合する難燃性を達成できるが、ガラス繊維等で強化した場合は、難燃剤を多量に配合したとしても、綿着火を起こし、UL94 V−0規格に適合しない問題がある。
一方、イントメッセント型難燃剤であるリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、あるいは、ポリリン酸メラミンをガラス繊維強化ポリアミド樹脂に使用する難燃技術が提案されているが、1/32インチの厚みでUL94 V−0規格を満足するためには、やはりこれらのリン酸メラミン系難燃剤を多く配合する必要があるため、靭性をはじめとして機械的特性や耐トラッキング性などの電気特性が低下する場合があり、実用上満足なものとは言えなかった。
さらには、ホスフィン酸塩と、メラミンとリン酸の反応物と、を組み合わせた技術(例えば、特許文献1)、また、ホスフィン酸塩と、メラミンとリン酸の反応物と、金属化合物とを組み合わせた技術(例えば、特許文献2)が提案され、1/16inchの成形品において、難燃規格UL94V−0規格を満足することが知られている。この技術では、難燃剤を減量することが可能になり、機械特性(特に曲げ撓み等の靭性)、電気特性(耐トラッキング性)の改良ができる。しかし、成形時の流動性や離型性等の改良には燃焼性の良い脂肪酸金属塩を含有しており、難燃性に不安が残り満足なものとは言えなかった。
さらに、携帯用パソコンやワープロ等のOA機器に代表される電気機器の筐体部品などは、非常に高い剛性、難燃性にさらに良外観性が求められ、ポリアミド樹脂単体では従来の技術では成形した際に強化材が成形品表面に浮き出してしまうため、成形品表面にうねりが生じ外観不良になるという問題があった。
本発明者は、先に、ポリアミド樹脂として結晶性ポリアミド樹脂と非晶性ポリアミド樹脂とを併用し、難燃剤としてホスフィン酸塩やジホスフィン酸塩を使用したガラス繊維強化ポリアミド樹脂組成物が、これらの問題を解決することを見出して特許出願した(特許文献3)。
しかしながら、ポリアミド樹脂は吸水性があり、吸水することにより寸法変化、機械物性の低下が起こることがあった。そのため、成形直後は良好だった成形品が、経時とともに反りが発生したり、強度低下により組み付け時に割れが発生することがあった。近年、電気・電子分野は、部品間のクリアランスが非常に小さくなっており、少しの寸法変化も許されなくなってきており、ポリアミド樹脂のみでの使用は実用上満足なものとは言えなかった。
特開2004−263188号公報 特開2007−023206号公報 国際公開第2009/031521号
本発明は、非常に剛性が高く、かつ表面平滑性が良くて外観性に優れ、難燃性が極めて高く、燃焼時に腐食性の高いハロゲン性ガスの発生がなく、押出時の操業性に優れ、成形性に優れ、さらに、寸法安定性に非常に優れた樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決すべく鋭意検討を進めた結果、ポリアミド樹脂、無機充填材、ホスフィン酸塩を組み合わせた系において、ポリアリレート樹脂を配合することによって前記の課題を解決できることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、ポリアミド樹脂(A)と、ポリアリレート樹脂(B)と、リン系難燃剤(C)と、無機充填材(D)とを含有し、(A)と(B)の合計質量に対する(A)の質量比が0.2〜0.8であり、(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対して、(C)の含有量が5〜40質量部、(D)の含有量が15〜200質量部であり、リン系難燃剤(C)は、ホスフィン酸塩(c1)および/またはジホスフィン酸塩(c2)を含むことを特徴とする難燃性強化樹脂組成物である。
本発明によれば、非常に剛性が高く、かつ表面平滑性が良くて外観性に優れ、難燃性が極めて高く、燃焼時に腐食性の高いハロゲン性ガスの発生がなく、押出時の操業性に優れ、成形性に優れ、寸法安定性に非常に優れた樹脂組成物を提供することができる。ポリアミド樹脂とポリアリレート樹脂を併用することで表面平滑性が良好になり、寸法安定性に優れ、ハロゲン元素を含まない難燃剤を併用して用いることで、無機強化材を多く配合した場合でも、難燃剤の配合量を相対的に少なくでき、樹脂組成物混練時の操業性の低下、樹脂組成物の機械特性の低下が生じない。特に、電気・電子分野の部品、自動車分野の電装部品等の部品材料などに好適に用いられ、さらには良外観性が必要である携帯用パソコンやワープロ、電子辞書、携帯電話等のOA機器に代表される電気機器の筐体部品などに好適に用いることができる。
本発明について、以下具体的に説明する。
本発明の難燃性強化樹脂組成物を構成する樹脂成分は、ポリアミド樹脂(A)と、ポリアリレート樹脂(B)である。ポリアミド樹脂(A)は、結晶性ポリアミド樹脂であっても、非晶性ポリアミド樹脂であってもよい。なお、結晶性とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて窒素雰囲気下で16℃/分の昇温速度により測定した融解熱量の値が、1cal/gより大きいことを意味する。非晶性とは、示差走査熱量計(DSC)を用いて窒素雰囲気下で16℃/分の昇温速度により測定した融解熱量の値が、1cal/g以下であることを意味する。
結晶性ポリアミド樹脂としては、以下のような物が挙げられる。すなわち、ポリカプロアミド(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、ポリテトラメチレンアジパミド(ナイロン46)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ナイロン610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ナイロン612)、ポリウンデカメチレンアジパミド(ナイロン116)、ポリビス(4−アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンPACM12)、ポリビス(3−メチル−4アミノシクロヘキシル)メタンドデカミド(ナイロンジメチルPACM12)、ポリウンデカメチレンテレフタルアミド(ナイロン11T)、ポリウンデカメチレンヘキサヒドロテレフタルアミド(ナイロン11T(H))、ポリウンデカミド(ナイロン11)、ポリドデカミド(ナイロン12)、ポリトリメチルヘキサメチレンテレフタルアミド(ナイロンTMDT)、ポリヘキサメチレンイソフタルアミド(ナイロン6I)、ポリヘキサメチレンテレフタル/イソフタルアミド(ナイロン6T/6I)、ポリメタキシリレンアジパミド(ナイロンMXD6)及びこれらの共重合物、混合物がある。中でも特に、ナイロン6、ナイロン66及びこれらの共重合ポリアミド、混合ポリアミドが特に好ましい。これら結晶性ポリアミド樹脂は、得られる難燃性強化樹脂組成物の耐熱性を向上させる観点から、融点が160〜280℃であることが好ましい。
非晶性ポリアミド樹脂としては、以下のような物が挙げられる。すなわち、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体、テレフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン/ω−ラウロラクタムの重縮合体、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/テレフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタン/ω−ラウロラクタムの重縮合体等が挙げられる。また、これらの重縮合体を構成するテレフタル酸成分及び/又はイソフタル酸成分のベンゼン環が、アルキル基やハロゲン原子で置換されたものも含まれる。さらに、これらの非晶性ポリアミドは2種以上併用することもできる。好ましくは、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体、又はテレフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体、又はイソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体とテレフタル酸/2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン/2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミンの重縮合体との混合物が用いられる。特に好ましくはイソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体、イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミン/ビス(3−メチル−4−アミノシクロヘキシル)メタンの重縮合体またはそれらの混合物である。
非晶性ポリアミド樹脂を結晶性ポリアミド樹脂に含有させることによって、得られる成形体は、表面平滑性、光沢性、耐熱性、塗装時の塗膜密着性が向上する。
本発明に用いるポリアミド樹脂(A)の相対粘度は特に限定されない。しかし、本発明の樹脂組成物において、ポリアミド樹脂(A)の配合量がポリアリレート樹脂(B)より多く、ポリアミド樹脂(A)の粘度が樹脂組成物の粘度に対して支配的となる場合、ポリアミド樹脂(A)の相対粘度は、1.5〜4.0の範囲であることが好ましい。相対粘度が1.5より小さいと低粘度のため、溶融混練後の引き取り性が困難となり組成物に所望の物性が得られない。また4.0より大きいと高粘度のため成形加工時の流動性が悪く、かつ金型内に樹脂が充満するまでの時間が長くなることにより、相対粘度1.5〜4.0のポリアミド樹脂に比べて、流動先端の樹脂温度が下がり、すなわちウェルド部の樹脂の接合が悪くなり、ウェルド強度が下がる。流動性の確保、樹脂の金型への転写性、成形品の外観、ウェルド強度の観点からは、相対粘度1.8〜3.0のポリアミド樹脂を使用することが好ましい。なお、相対粘度は溶媒として96重量%濃硫酸を用いて、温度が25℃で、濃度が1g/dlの条件で測定することができる。
本発明の難燃性強化樹脂組成物を構成する樹脂として、上記ポリアミド樹脂(A)とともにポリアリレート樹脂(B)を使用する。ポリアリレート樹脂は耐熱性、透明性、寸法安定性に優れるため、電気・電子、自動車などで多く利用されている。しかし、耐薬品性、流動性に不安があり、また、無機充填材などの強化材を添加することで急激に脆くなる欠点を有する。本発明では、ポリアミド樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)を混ぜることで、互いの欠点をなくし、近年必要とされる高強度、高剛性、寸法安定性に優れ、吸水時の強度低下の少ない樹脂組成物を得ることが可能となった。
本発明に用いるポリアリレート樹脂(B)は、ビスフェノール成分と芳香族ジカルボン酸成分とから得られる樹脂である。
ポリアリレート樹脂(B)を構成するビスフェノール成分としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン(ビスフェノールAP)、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン(テトラメチルビスフェノールA)、1,1−ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、1,1−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)ケトンなどが挙げられる。中でも最も好ましいビスフェノールとしてはビスフェノールA、ビスフェノールAPおよびテトラメチルビスフェノールAである。また、前記ビスフェノールは必要に応じて2種類以上を用いてもよい。
また、ポリアリレート樹脂(B)を構成する芳香族ジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジカルボキシジフェニル、ビス(p−カルボキシフェニル)アルカンなどが挙げられる。中でも、テレフタル酸とイソフタル酸が最も好ましく用いられ、目的に応じてそれぞれ単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。その場合テレフタル酸の配合比が大きいほど高い耐熱性を有するポリアリレートが得られる。
本発明に用いるポリアリレート樹脂(B)は、その特性を実質的に損なわない範囲で芳香族ジカルボン酸の一部をその他のジカルボン酸に置き換えたものでもよい。ただしその場合、他のジカルボン酸は、全ジカルボン酸に対して20モル%以下であることが好ましい。このようなジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸などの脂環式あるいは脂肪族ジカルボン酸およびこれらのハロゲン化物などが挙げられる。また、必要に応じてp−ヒドロキシ安息香酸やm−ヒドロキシ安息香酸のような芳香族のヒドロキシカルボン酸を共重合したものでもよい。
ポリアリレート樹脂(B)は、溶融重合法や界面重合法で製造することができる。溶融重合法では、例えばアセチル化されたビスフェノール類と芳香族ジカルボン酸とを、必要に応じてルイス酸などの触媒の存在下に、高温・減圧下で重合して製造される。しかし、この場合には得られるポリマーが着色することが多い。界面重合法では、例えばテレフタル酸および/またはイソフタル酸は酸ハロゲン化物として水と非相溶の有機溶剤に溶解し、ビスフェノール類はアルカリ水溶液に溶解し、これら2液を混合撹拌してポリアリレートを製造する。この場合には着色の少ないポリマーを得ることができる。
本発明の樹脂組成物において、ポリアリレート樹脂(B)の配合量がポリアミド樹脂(A)より多く、ポリアリレート樹脂(B)の粘度が樹脂組成物の粘度に対して支配的となる場合、ポリアリレート樹脂(B)の相対粘度は、1.5〜3.0であることが好ましい。相対粘度が1.5未満である場合には樹脂組成物の機械的性能が低下し、逆に3.0を超える場合には樹脂組成物の成形性が急速に低下する。なお、相対粘度は溶媒としてフェノール/テトラクロルエタン=60/40(重量比)を用い、温度25℃、濃度1g/dlの条件で求めることができる。
本発明の難燃性強化樹脂組成物において、ポリアミド樹脂(A)の配合量は、ポリアミド樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)の合計質量に対して、0.2〜0.8であることが必要であり、0.25〜0.75が好ましく、0.3〜0.7がさらに好ましく、0.4〜0.6が特に好ましい。ポリアミド樹脂(A)の配合量が0.2より小さいと、溶融粘度が上がりすぎ、押出加工時が悪くなり、また押出加工時のせん断発熱により樹脂温度が上昇するため、難燃剤(C)の分解などが起こってしまい、一方、ポリアミド樹脂(A)の配合量が0.8より大きいと、寸法安定性、表面平滑性の低下が起こってしまう。
本発明で使用するリン系難燃剤(C)としては、ホスフィン酸塩およびジホスフィン酸塩並びにそれらの重合体、ポリリン酸メラミン、赤リン、リン酸エステル、縮合リン酸エステル、ホスファゼン化合物などが挙げられ、加工時の安定性、樹脂との混練における分散性、難燃効果の観点から、少なくともホスフィン酸塩(c1)および/またはジホスフィン酸塩(c2)を含むことが必要である。
ホスフィン酸塩(c1)は、ホスフィン酸と金属炭酸塩、金属水酸化物または金属酸化物を用いて水溶液中で製造され、本質的にモノマーとして存在するが、反応条件に依存して、縮合度が1〜3のポリマー性ホスフィン酸塩の形として存在する場合もある。金属成分としてはカルシウムイオン、マグネシウムイオン、アルミニウムイオン、および/または、亜鉛イオンを含む金属炭酸塩、金属水酸化物または金属酸化物が挙げられる。
そのようなホスフィン酸塩(c1)は下記一般式(I)で表される構造を有し、ジホスフィン酸塩(c2)は下記一般式(II)で表される構造を有する。
Figure 2012051953
Figure 2012051953
式中、R、RおよびR、Rはそれぞれ直鎖あるいは分岐鎖のC〜C16アルキル、好ましくはC〜Cアルキル、特にメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−オクチル、フェニル、より好ましくはエチルであり、RとRおよびRとRは互いに環を形成してもよい。Rは直鎖あるいは分岐鎖のC〜C10アルキレン、特にメチレン、エチレン、n−プロピレン、イソプロピレン、イソプロピリデン、n−ブチレン、tert−ブチレン、n−ペンチレン、n−オクチレン、n−ドデシレン;アリーレン、特にフェニレン、ナフチレン、アルキルアリーレン、特にメチルフェニレン、エチルフェニレン、tert−ブチルフェニレン、メチルナフチレン、エチルナフチレン、tert−ブチルナフチレン;アリールアルキレン、特にフェニルメチレン、フェニルエチレン、フェニルプロピレン、フェニルブチレンである。Mはカルシウム、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、好ましくはアルミニウム、亜鉛、より好ましくはアルミニウムである。mは2または3であり、nは1または3であり、xは1または2である。式(II)ではmx=2nである。
ホスフィン酸塩(c1)の構成成分として適したホスフィン酸としては、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、イソブチルメチルホスフィン酸、オクチルメチルホスフィン酸、メチルフェニルホスフィン酸及びジフェニルホスフィン酸等、好ましくはジエチルホスフィン酸が挙げられる。
上記式(I)で表されるホスフィン酸塩(c1)の具体例としては、例えば、ジメチルホスフィン酸カルシウム、ジメチルホスフィン酸マグネシウム、ジメチルホスフィン酸アルミニウム、ジメチルホスフィン酸亜鉛、エチルメチルホスフィン酸カルシウム、エチルメチルホスフィン酸マグネシウム、エチルメチルホスフィン酸アルミニウム、エチルメチルホスフィン酸亜鉛、ジエチルホスフィン酸カルシウム、ジエチルホスフィン酸マグネシウム、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、メチル−n−プロピルホスフィン酸カルシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸マグネシウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸アルミニウム、メチル−n−プロピルホスフィン酸亜鉛、メチルフェニルホスフィン酸カルシウム、メチルフェニルホスフィン酸マグネシウム、メチルフェニルホスフィン酸アルミニウム、メチルフェニルホスフィン酸亜鉛、ジフェニルホスフィン酸カルシウム、ジフェニルホスフィン酸マグネシウム、ジフェニルホスフィン酸アルミニウム、ジフェニルホスフィン酸亜鉛等が挙げられる。
また、ジホスフィン酸塩(c2)の構成成分として適したジホスフィン酸としては、メタンジ(メチルホスフィン酸)、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)等が挙げられる。
上記式(II)で表されるジホスフィン酸塩(c2)の具体例としては、例えば、メタンジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)カルシウム、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)マグネシウム、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、ベンゼン−1,4−ジ(メチルホスフィン酸)亜鉛が挙げられる。
本発明において、特に難燃性、電気特性の観点から好ましく用いられるのは、ホスフィン酸塩(c1)としては、ジエチルホスフィン酸アルミニウム、ジエチルホスフィン酸亜鉛、より好ましくはジエチルホスフィン酸アルミニウムであり、ジホスフィン酸塩(c2)としては、メタンジ(メチルホスフィン酸)アルミニウム、メタンジ(メチルホスフィン酸)亜鉛である。それら混合物として市販されているクラリアント社製Exolit OP1230、Exolit OP1240、Exolit OP1311、Exolit OP1312、Exolit OP1314が好適に使用できる。
ホスフィン酸塩(c1)、ジホスフィン酸塩(c2)、それらの混合物は、本発明の組成物を成形して得られる成形品の機械的物性、成形品外観の点で、平均粒子径(D50)(以下、単に「粒径」という)を100μm以下、好ましくは50μm以下に粉砕した粉末を用いるのがよい。粒径0.5〜30μmの粉末を用いると、高い難燃性が発現するばかりでなく、成形品強度も著しく高くなるので特に好ましい。なお、本発明での粒径とは、レーザー散乱粒度分布計等の粒度分布測定装置を用いて粒子径分布を測定した場合の、重量累積50%の時の粒径値として定義される。
本発明において、リン系難燃剤(C)としては、ホスフィン酸塩(c1)、ジホスフィン酸塩(c2)、それらの混合物に加えて、リン酸とメラミンの反応生成物(c3)をさらに組み合わせて使用することがより好ましい。リン酸とメラミンの反応生成物(c3)を併用することによって、難燃性の効果を更に効率的に得ることができ、例えば、難燃レベルが同じV−0であっても、残炎時間を短くできる等の難燃性能の向上が見られる。また、難燃性能の制御において、難燃剤の配合の自由度が高まるため、同じ難燃レベルであっても、難燃剤の使用量を減らすことが可能である。
リン酸とメラミンの反応生成物(c3)は、リン酸が有する水酸基とメラミンが有するアミノ基との反応によって生成したものであり、リン酸とメラミンとの実質的に等モルの反応によって得られるものである。本明細書中、リン酸は、特記しない限り、オルトリン酸、該オルトリン酸の脱水縮合によって得られるポリリン酸(例えば、ピロリン酸、三リン酸、四リン酸等)、亜リン酸、次亜リン酸、メタリン酸を包含して意味するものとする。以下、リン酸とメラミンとの反応生成物はリン酸メラミンと示すものとし、例えば、オルトリン酸メラミンはオルトリン酸とメラミンとの反応生成物を意味し、ポリリン酸メラミンはポリリン酸とメラミンとの反応生成物を意味するものとする。またリン酸メラミンは各種リン酸とメラミンとの反応生成物を包含して意味するものとし、例えば、オルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン(例えば、ピロリン酸メラミン、三リン酸メラミン、四リン酸メラミン等)、亜リン酸メラミン、次亜リン酸メラミン、メタリン酸メラミン、およびそれらの混合物等が挙げられる。ポリリン酸メラミンとは、リン酸メラミン縮合物の総称であり、ピロリン酸メラミン、三リン酸メラミン、四リン酸メラミン等それぞれの単体もしくはそれらの混合物を示す。好ましいリン酸メラミンはオルトリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、またはそれらの混合物、より好ましくはポリリン酸メラミンである。
リン酸メラミンの製法に特に制約はないが、通常は、所定のリン酸水溶液とメラミン水溶液とを、よく混合して両者の反応生成物を微粒子状に形成させたあと、濾過、洗浄、乾燥することによって製造できる。ポリリン酸メラミンの製法は、ポリリン酸にメラミンを上記のように反応してもよいし、リン酸メラミンを縮合反応させてもよい。特にポリリン酸メラミンはオルトリン酸メラミンを窒素雰囲気下、加熱縮合して得ることができる。
リン酸メラミンは市販品として入手することもできる。例えば、ポリリン酸メラミンとしては、チバ・スペシャリティーケミカル社製;Melapur200/70、日産化学社製PMP−100等が使用可能である。
リン酸メラミンは、本発明の組成物を成形して得られる成形品の機械的物性、成形品外観の点で、粒径を100μm以下、好ましくは50μm以下に粉砕した粉末を用いるのがよい。粒径0.5〜20μmの粉末を用いると、高い難燃性が発現するばかりでなく、成形品強度も著しく高くなるので特に好ましい。
リン系難燃剤(C)の内、リン酸とメラミンの反応生成物(c3)の配合割合は、リン系難燃剤(C)全量の10〜30質量%であることが好ましい。その量が多すぎると、溶融混練時の操業性が著しく悪化し、また、相対的にホスフィン酸塩(c1)、ジホスフィン酸塩(c2)の配合割合が下がるために、難燃性能が低下する。また少なすぎると、リン酸とメラミンの反応生成物(c3)を併用する効果が薄れ、難燃性能が低下する。
本発明の難燃性強化樹脂組成物において、リン系難燃剤(C)の配合量は、ポリアミド樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)とリン系難燃剤(C)の合計100質量部に対して、5〜40質量部であることが必要である。リン系難燃剤(C)の配合量が5質量部未満であると難燃性が劣ってしまい、40質量部を超えると、押出時の操業性の低下、機械的強度の低下や金型汚染が起こる。
本発明において、樹脂成分であるポリアミド樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)のうち、ポリアリレート樹脂の(B)の割合を増やすことで、リン系難燃剤(C)の配合量を減量させることができる。すなわち、ポリアミド樹脂(A)を、(A)と(B)の合計質量に対して、0.2〜0.4の割合で配合するとき、リン系難燃剤(C)を、(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対して、5質量部以上、20質量部未満の割合で使用することが可能となる。もちろん、20質量部を超えて40質量部以下で使用することを妨げるものではない。
リン系難燃剤(C)の配合量を少量にすることによって、難燃剤を配合することにより起こりやすい押出時の操業性の低下、機械的強度の低下や金型汚染をより有効に防止することができる。これは、ポリアリレート樹脂(B)の骨格に構成されるフタル酸のベンゼン環が非常に安定なもので、燃焼しにくい性質によるものである。
一方、ポリアリレート樹脂(B)の割合を少なくするときは、難燃剤量を多めに必要とする傾向がある。すなわち、ポリアミド樹脂(A)を、(A)と(B)の合計質量に対して、0.4を超えて0.8以下の割合で配合するときは、リン系難燃剤(C)は、(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対して、20〜40質量部で使用するようにすればよい。
本発明における無機充填材(D)としては、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、黄銅繊維、ステンレス繊維、スチール繊維、セラミックス繊維、ボロンウィスカ繊維、玄武岩繊維、マイカ、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、カオリン、焼成カオリン、ウォラストナイト、ガラスビーズ、ガラスフレーク、酸化チタン等の繊維状、粒状、板状、あるいは針状の無機質強化材が挙げられる。これらの強化材は二種以上組み合わせて用いてもよい。特に、ガラス繊維、ウォラストナイト、タルク、焼成カオリン、マイカが好ましく使用される。また、ガラス繊維は長繊維タイプのロービング、短繊維タイプのチョップドストランド、ミルドファイバー等から選択して用いることができる。ガラス繊維はポリアミド用に表面処理したものを用いるのが好ましい。
好適に用いられるガラス繊維には、様々な断面形状のものがあり、特に限定されるものではない。断面形状としては、例えば丸型や偏平断面のものがあり、特に偏平断面のもの中には、偏平状のひょうたん型、まゆ型、長円型、楕円型、矩形またはこれらの類似形などがある。偏平状のガラス繊維は、配合ポリアミドに特有の反りを低減させるには、偏平状の繊維が長径/短径の比が1.5〜10、好ましくは2.0〜6.0のものが使用され、長径/短径比が1.5以下では断面を偏平状にした効果が少なく、10以上のものはガラス繊維自体の製造が困難である。
本発明において好適に用いられるガラス繊維としては、平均長さが1〜15mm、好ましくは2〜10mmのものを使用するようにする。ここで平均長さとは、ガラス繊維を顕微鏡観察し、マイクロスケールを基準として測定した20個の平均をいう。繊維の平均長さが、15mmより長いと樹脂成形時に樹脂の流動が悪くなり、作業性が悪くなり、また、1mmより短いと十分な機械的強度を確保できなくなる。
無機充填材(D)の配合量は、ポリアミド樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)とリン系難燃剤(C)との合計100質量部に対し、15〜200質量部であることが必要であり、20〜180質量部であることが好ましい。無機充填材(D)の配合量が、15質量部未満であると強度、剛性、耐熱性が満足されず、200質量部を超えると溶融混錬加工性や成形加工性が悪くなる。
また、無機充填材(D)として、偏平ガラス繊維を用いた場合、円形ガラス断面を有するガラス繊維を用いるよりも単位質量あたりの表面積が広くなった分、樹脂組成物を成形した後の成形品表面に占める偏平ガラス繊維の比率が高まり、偏平ガラス繊維の不燃特性のために成形品の難燃性が高まる傾向がある。
本発明の難燃性強化樹脂組成物は、リン系酸化防止剤(E)を含有することにより、さらに成形性に優れたものとすることができる。
リン系酸化防止剤(E)は、無機化合物でも有機化合物でもよく、特に制限はない。好ましいリン系化合物としては、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸マンガン、などの無機リン酸塩、トリフェニルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、トリノニルフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−36」、分子量633)、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−24G」、分子量604)、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−8」、分子量733)、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−4C」、分子量633)、テトラ(トリデシル−4,4’−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイトなどの有機リン化合物が挙げられる。これらは単独であるいはこれらの混合物で用いることができる。
一般的には、射出成形における離型性を向上させるための添加剤としては、脂肪酸アミド(ステアリン酸アミド等)があるが、それらの化合物は可燃性を有するため、添加することにより難燃性の低下が生じる。通常、リン系酸化防止剤(E)等の酸化防止剤は、熱による樹脂の劣化、色の退化を抑制するために処方するためのもので、離型性を付与する目的で使用されるものではないが、リン系酸化防止剤(E)を用い、本来の酸化防止機能だけでなく、難燃剤の難燃特性を低下させることなく離型性をより向上させ得ることが見出された。特にペンタエリスリトールジホスファイト骨格を有し、分子量が600以上800未満のリン系酸化防止剤、例えば、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−36」、分子量633)、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−24G」、分子量604)、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−8」、分子量733)、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(「アデカスタブPEP−4C」、分子量633)が特に好ましい。それらの中でも、耐熱性に優れる、PEP−36、PEP−24Gが最も好適に使用できる。
リン系酸化防止剤(E)は、本発明に使用する難燃剤であるホスフィン酸塩(c1)、ジホスフィン酸塩(c2)と均一に混ざりやすく、難燃剤の分解を防ぐため、難燃性を損なうことがない。また、ポリアミド樹脂(A)の分子量低下を防ぐため、押出加工時の操業性、成形性、機械物性に優れた樹脂組成物を得ることができる。特に成形時の離型性、成形時の発生ガスの減少に飛躍的な効果が得られる。例えば、連続射出成形を行った場合、金型のガスベントが詰まりにくく、長期連続成形を行っても、成形不良が生じず、金型清掃の回数を減らすことができる。
リン系酸化防止剤(E)の配合量は、ポリアミド樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)とリン系難燃剤(C)の合計100質量部に対して、0.01〜5質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがさらに好ましい。リン系酸化防止剤(E)の配合量が多すぎると、押出加工時の安定性、成形性、機械物性を低下させ、少なすぎると、成形時の金型からの離型性の低下や、金型ガスベントの詰まりが発生し、連続射出成形が困難になることがある。
本発明では任意成分として、脂肪族アミン、脂肪酸の金属塩、エチレンビスアミド化合物、脂肪族アミド、シリコーン化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物を用いることができる。本成分が無くとも、本発明の目的は達成されるが、流動性、離型性の向上を図る際には本成分を添加することが好ましい。上記化合物の添加量は、ポリアミド樹脂(A)とポリアリレート樹脂(B)とリン系難燃剤(C)の合計100質量部に対し、0.05〜2質量部であることが好ましく、0.1〜1.5質量部であることがより好ましく、0.1〜1質量部であることがさらに好ましい。
上記化合物の中でも難燃性にも寄与するシリコーン化合物を添加することが好ましく、シリコーン化合物としてはシリコーンオイルが最適である。
シリコーンオイルとは、シロキサン結合を骨格とし、そのケイ素に有機基などが直接結合した有機ケイ素化合物である。ケイ素に直接結合した有機基としては、メチル基、エチル基、フェニル基、ビニル基、トリフルオロプロピル基およびそれらの併用などが知られているが、これらを有する公知のシリコーンオイルを特に制限なく使用できる。また有機基の一部がエポキシ基、アミノ基、ポリエーテル基、カルボキシル基、メルカプト基、エステル基、クロロアルキル基、炭素数3個以上のアルキル基、ヒドロキシル基などを有する置換基で置換されたシリコーンオイルも使用可能である。
シリコーンオイルの具体例としては、ジメチルシリコーンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フロロシリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、脂肪族エステル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、カルボン酸変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイルなどのオイル状シリコーン類が挙げられる。
本発明の難燃性強化樹脂組成物には、目的を損なわない範囲で、他の成分、例えば顔料、染料等の着色剤や、熱安定剤、耐候性改良剤、核剤、可塑剤、離型剤、帯電防止剤等の添加剤、他の樹脂ポリマー等を添加することが出来る。
本発明の難燃性強化樹脂組成物の製造方法は、特に限定はないが、2軸押出機を用いて200〜350℃の温度で溶融混錬することが好ましく、難燃性と機械的特性を両立させるためには、無機質充填材(D)以外の原料を十分に溶融混合した後に、無機質充填材(D)を添加し、減圧脱気することが好ましい。本発明の組成物は、射出成形、押出成形、ブロー成形など公知の方法によって、たとえば、コネクター、コイルボビン、ブレーカー、電磁開閉器、ホルダー、プラグ、スイッチ等の電気、電子、自動車用途の各種成形品、携帯用パソコンやワープロ等のOA機器に代表される電気機器の筐体部品等に成形される。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例ならびに比較例での使用材料および評価方法は次の通りである。
(1)使用材料
(A)ポリアミド樹脂
(a1)結晶性ポリアミド樹脂
・ポリアミド樹脂(a1−1):ポリアミド6(ユニチカ社製 A1015)(融点:220℃、相対粘度:2.0)
・ポリアミド樹脂(a1−2):ポリアミド66(ローディア社製 24AD1)(融点:265℃、相対粘度:2.4)
・ポリアミド樹脂(a1−3):ポリアミド12(アルケマ社製 Rilsan AESNO)(融点:220℃、相対粘度:2.0)
(a2)非晶性ポリアミド樹脂
・非晶性ポリアミド樹脂(a2−1):イソフタル酸/テレフタル酸/ヘキサメチレンジアミンの重縮合体(三菱エンジニアリングプラスチック社製:X21)(ガラス転移温度138℃、相対粘度:2.0)
(B)ポリアリレート樹脂
・ポリアリレート樹脂(B−1)
ビスフェノールA 4.65kg(20.37モル)、カ性ソーダ1.79kg、オルトフェニルフェノール77g(0.45モル)、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド29gおよび水120kgより成るビスフェノールAのアルカリ水溶液を200Lのジヤケツト付反応器に入れて20℃に温調した。このビスフェノールAのアルカリ水溶液をホモミキサーで激しく撹拌しつつ、テレフタル酸ジクロリド2.43kg(11.97モル)とイソフタル酸ジクロリド2.43kg(11.97モル)を76.3kgの塩化メチレンに溶かし15℃に調節した混合酸クロリドの塩化メチレン溶液を迅速に添加し、120分間撹拌を続けた。その後、ビスフェノールA 0.82kg(3.5モル)とカ性ソーダ0.32kgと水18kgより成る20℃に調節したビスフェノールAのアルカリ水溶液を前記重合溶液中に追加して、さらに240分間撹拌を続けた(ビスフェノールA追加前のビスフェノールAのOHおよびオルトフェニルフェノールのOHの合計量と、テレフタル酸クロリドのCOClおよびイソフタル酸クロリドのCOClの合計量のモル比OH/COCl=0.867であり、ビスフェノールA追加後のOH/COCl=1.020である)。このあと重合溶液を静置分離してポリマーを含んだ塩化メチレン溶液を分離し、ついで酢酸水で洗浄し、さらにイオン交換水で洗浄したあとアセトンを添加してポリマーを単離し、水洗、乾燥した。上記のようにして得られた粉末をポリアリレート樹脂(B−1)とし、赤外法により測定したところ9.5%の酸無水物結合ユニツトを含み、テトラクロルエタン中25℃、1g/100mlにおける対数粘度は0.87であった。
・ポリアリレート樹脂(B−2)
重合の最初に5.47kg(23.87モル)のビスフェノールAを使用し、途中ではビスフェノールAの追加を行わずに24時間撹拌して重合したほかはポリアリレート樹脂(B−1)の方法と同じようにして単離精製した粉末を得た。この粉末をポリアリレート樹脂(B−2)とし、酸無水物結合ユニツトの割合を赤外法および加水分解法により測定したところ0.1%以下であり、対数粘度は0.65であった。
(C)難燃剤
・難燃剤(C−1):ジエチルホスフィン酸塩アルミニウム(平均粒子径D50:20μm)
・難燃剤(C−2):ポリリン酸メラミン(チバ・スペシャリティーケミカル社製 Melapur200/70;平均粒子径D50:20μm)
・難燃剤(C−3):シアヌル酸メラミン(チバ・スペシャリティーケミカル社製 MC25;平均粒子径D50:8μm)
・難燃剤(C−4):水酸化マグネシウム(堺化学工業社製;平均粒子径D50:0.8μm)
(D)無機充填材
・ガラス繊維(D−1):長短径の比が4の長円形型断面を有する偏平ガラス繊維(日東紡社製 CSG3PA820S;長径28μm、短径7μm、繊維長3mm、シラン系表面処理有)
・ガラス繊維(D−2):円形断面を有するガラス繊維(旭ファイバーグラス社製 03JAFT692;平均繊維径10μm、繊維長3mm)
・マイカ(D−3):325K1(平均粒子径D50:40μm)
・タルク(D−4):日本タルク社製K−1(平均粒子径D50:8.0μm)
・炭素繊維(D−5):三菱レイヨン社製TR06NEB4J(平均繊維径6.5μm、繊維長6mm)
(E)酸化防止剤
・リン系酸化防止剤(E−1):ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト(アデカ社製アデカスタブPEP−36)
(2)評価
a)溶融混練時の操業性
実施例、比較例において、樹脂組成物を2軸押出機(東芝機械製TEM37)を用いてシリンダー温度280℃、スクリュー回転数200rpm、吐出量35kg/hの条件下で10kg生産した時、ストランドの状況を目視にて確認した。操業時にストランドがまったく切れないものを”○”、1度でも切れたものを”×”としてランク付けした。ランク”○”を操業性が良好と判断し、合格とした。
b)曲げ弾性率
ファナック製射出成形機(α−100iA)にて、樹脂温度280℃、金型温度100℃で1点ゲートで試験片(長さ150mm、幅10mm、厚さ3mm)を成形し、吸水しないようにアルミ袋に入れ一晩放置した試験片を用いてASTM D790に準じて測定し、絶乾時の曲げ弾性率とした。曲げ弾性率6GPa以上を合格とした。
また、同じ試験片を23℃ x 50%RH平衡吸水率まで25℃水中に浸漬し吸水させ、吸水した試験片を用いて、上記と同様に曲げ弾性率を測定し、吸水時の曲げ弾性率とした。絶乾時と吸水時の曲げ弾性率の低下率が10%未満を合格とした。
c)難燃性
ファナック製射出成形機(α−100iA)にて、樹脂温度280℃、金型温度100℃で試験片を成形し、表1に示すUL94(米国Under Writers Laboratories Inc.で定められた規格)の評価基準に従って測定した。なお試験片の厚みは1/32インチ(約0.8mm)とした。ここでは、V−1以上を合格とした。また、難燃性の測定時の総残炎時間も示した。例えば、難燃レベルが同じV−0であったとしても、総残炎時間が短い方が、難燃性が優れていることを示す。
Figure 2012051953
d)連続成形時の離型性
ファナック製射出成形機(α−100iA)にて、樹脂温度280℃、金型温度100℃にて、サイクル25秒で、浅いコップ形状(肉厚1.5mm、外径40mm、深さ30mm)を用いて成形品を500ショット連続成形したときの451〜500ショット目の成形品の突き出しピンの痕の有無を目視観察した。5個以上のピンの痕が認められるものを”×”、1〜4個のピンの痕が認められるものを”○”、まったく認められないものを”◎”としてランク付けした。ランク”○”以上が、良好な離型性を示すものとし、合格とした。
e)連続成形時のガスベントの詰まり
上記d)の成形終了後に、深さ4μm、幅1mmのガスベントを目視確認し、完全に詰まっているものを”×”、やや詰まりがあるものの問題ないものを”○”、詰まりがまったく見られないものを”◎”としてランク付けした。ランク”○”以上を合格とした。
f)表面粗さ
50mm×90mm×2mmの平板成形板を用いて、任意の10部分を小坂研究所製の表面粗さ測定器サーフコーダSE−3400にて表面の平均粗さ(μm)を測定した。20μm以下が望ましいが限定されるものではない。
g)吸水寸法安定性
ファナック製射出成形機(α−100iA)にて、樹脂温度270℃、金型温度80℃で、一点フィルムゲートの試験片(60mm×60mm×3mm)平板成形板を用いて、寸法測定を行った。寸法測定は、成形後にアルミ袋に入れ一晩放置した絶乾時の試験片と、25℃水中にて23℃ x 50%RH平衡吸水率まで吸水させた吸水時の試験片を測定した。寸法測定箇所は、樹脂の流れ方向をn数5で行った。絶乾時と吸水時の寸法変化から、寸法変化率を求め、0.3%以下を合格とした。
h)熱寸法安定性
上記g)と同じ平板成形板を使用し、絶乾の試験片の寸法測定と、120℃の熱風乾燥機に4時間放置し、1時間アルミ袋に入れ室温まで放冷した試験片の熱エージング後の寸法測定を、樹脂の流れ方向と流れ直角方向の2点をn数5で行った。絶乾時と熱エージング後の寸法変化から、寸法変化率を求め、0.1%以下を合格とした。
実施例1
結晶性ポリアミド樹脂(a1−1)39.0質量部と、ポリアリレート樹脂(B−1)39.0質量部と、難燃剤(C−1)22.0質量部とからなる100質量部に対し、無機充填材(D−1)が100質量部になるように、2軸押出機(東芝機械製TEM37)を用いてシリンダー設定温度260℃、スクリュー回転200rpm、吐出量35kg/hの条件下で、無機充填材以外を基部より投入し、無機充填材をサイドフィードして混練し、ストランド状に取り出し、冷却後カッターで造粒し、難燃性強化樹脂組成物ペレットを得た。得られたペレットを前記した測定方法にて諸特性を調べた。その結果を表2に示した。
実施例2〜20
各成分の配合割合を表2、3に示すようにし、実施例2および6の2軸押出機のシリンダー温度280℃にした以外は実施例1と同様にしてペレットを得て、諸特性を調べた。その結果を表2、3に示した。
Figure 2012051953
Figure 2012051953
比較例1〜14
各成分の配合割合を表4、5に示すようにし、比較例5のみシリンダー温度を280℃にした以外は実施例1と同様にしてペレットを得て、諸特性を調べた。その結果を表4、5に示した。
Figure 2012051953
Figure 2012051953
実施例1〜20は本発明の要件を満足するため、操業性、曲げ弾性率、難燃性、離型性、ガスベントの詰まり、表面粗さ、吸水寸法変化、熱寸法変化に優れた樹脂組成物が得られた。
比較例1はポリアリレート樹脂未添加のため、曲げ弾性率低下率、表面粗さ、吸水寸法変化、熱寸法変化に劣るものであった。比較例2はポリアミド樹脂未添加のため、混練時のストランドの引き取りを行うことができず、樹脂ペレットの採取ができなかった。比較例3はポリアリレート樹脂の添加量が少ないため、曲げ弾性率低下率、表面粗さ、吸水寸法変化、熱寸法変化に劣るものであった。比較例4はポリアリレート樹脂の添加量が多いため、混練時のストランドの引き取りを行うことができず、樹脂ペレットの採取ができなかった。比較例5は非晶性ポリアミド樹脂を含有しているが、ポリアリレート樹脂未添加のため、吸水寸法変化、熱寸法変化に劣るものであった。
比較例6は難燃剤の添加量が少ないため難燃性能が低かった。比較例7は難燃剤の添加量が多いため混練時のストランドの引き取りを行うことができず、樹脂ペレットの採取ができなかった。
比較例8は無機充填材の添加量が少ないため曲げ弾性率が低かった。比較例9は無機充填材の添加量が多いため混練時のストランドの引き取りを行うことができず、樹脂ペレットの採取ができなかった。
比較例10〜12は難燃剤としてシアヌル酸メラミンを用いたため難燃性に劣るものであった。比較例13、14は難燃剤として水酸化マグネシウムを用いたため、難燃性に劣るものであった。

Claims (7)

  1. ポリアミド樹脂(A)と、ポリアリレート樹脂(B)と、リン系難燃剤(C)と、無機充填材(D)とを含有し、(A)と(B)の合計質量に対する(A)の質量比が0.2〜0.8であり、(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対して、(C)の含有量が5〜40質量部、(D)の含有量が15〜200質量部であり、リン系難燃剤(C)は、ホスフィン酸塩(c1)および/またはジホスフィン酸塩(c2)を含むことを特徴とする難燃性強化樹脂組成物。
  2. 無機充填材(D)が、ガラス繊維であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性強化樹脂組成物。
  3. ガラス繊維が、長径/短径の比が1.5〜10である偏平断面を有する偏平ガラス繊維であることを特徴とする請求項2に記載の難燃性強化樹脂組成物。
  4. ホスフィン酸塩(c1)が下記一般式(I)で表される構造を有し、ジホスフィン酸塩(c2)が下記一般式(II)で表される構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の難燃性強化樹脂組成物。
    Figure 2012051953
    Figure 2012051953
    (式中、R、RおよびR、Rはそれぞれ直鎖あるいは分岐鎖のC〜C16アルキルを表し、RとRおよびRとRは互いに環を形成してもよい;Rは直鎖あるいは分岐鎖のC〜C10アルキレンを表す;Mはカルシウムまたはアルミニウムイオンを表す;mは2または3である;nは1または3である;xは1または2である;式(II)ではmx=2nである。)
  5. リン系難燃剤(C)は、ホスフィン酸塩(c1)および/またはジホスフィン酸塩(c2)と、リン酸とメラミンとの反応生成物(c3)とを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の難燃性強化樹脂組成物。
  6. さらにリン系酸化防止剤(E)を、(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対して、0.01〜5質量部含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の難燃性強化樹脂組成物。
  7. ポリアミド樹脂(A)の融点が280℃以下であり、(A)と(B)の合計質量に対する(A)の質量比が0.2〜0.4であり、(A)と(B)と(C)の合計100質量部に対して、(C)の含有量が5質量部以上、20質量部未満であり、厚み1/32inchの成形品が、安全規格UL94に準じた燃焼性試験によりV−0であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の難燃性強化樹脂組成物。

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