JP2012051018A - 円筒軸及び円筒軸の製造方法 - Google Patents

円筒軸及び円筒軸の製造方法 Download PDF

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Akio Todoroki
秋夫 等々力
Kenji Matsuyama
賢司 松山
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功一 斉藤
Ryoji Uesugi
良治 上杉
Katsunori Ono
克徳 大野
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Abstract

【課題】形状の安定した円筒軸の製造方法を提供する。
【解決手段】円筒軸形成部材を円筒状にプレス曲げ加工して、円筒軸形成部材の一対の端部61a,61bが近接又は当接するように形成された円筒軸16において、円筒軸形成部材は、曲げ方向に沿う短辺のそれぞれに曲げの中間位置の基準となる基準部位67を有する。
【選択図】図9

Description

本発明は、円筒軸及び円筒軸の製造方法に関する。
従来、シート状の記録媒体上に情報を印刷する印刷装置が用いられており、この印刷装置には記録媒体を搬送する搬送装置が設けられている。
この搬送装置は、回転することで記録媒体を搬送する搬送ローラーと、当該搬送ローラーに付勢されて当接された従動ローラーとを有しており、搬送ローラーと従動ローラーとで記録媒体を挟持して搬送するようになっている。搬送ローラーには中実の棒状部材が一般的に使用されている。その一方で、中実の材料は重量およびコストが嵩むという課題がある。
特許文献1には、金属板を曲げ加工して円筒状に成形する技術が記載されている。
特許文献1に記載の円筒軸では、金属板を曲げ加工して円筒状に形成する際に、金属板の端面同士を突き合わせるようにする。このため、円筒軸の全長に亘って金属板の一対の端面間に繋ぎ目(継ぎ目)が形成される。
特開2006−289496号公報
しかしながら、上記構成においては、時間の経過と共に円筒軸の形状が変化する可能性があることを本発明者らは見出した。この形状変化は、例えば円筒軸を曲げ加工により形成する際に応力が残留し、当該残留応力が時間の経過と共に緩和することによる影響であると考えられる。
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、形状の安定した円筒軸及び円筒軸の製造方法を提供することにある。
本発明に係る円筒軸は、円筒軸形成部材を円筒状にプレス曲げ加工して、前記円筒軸形成部材の一対の端部が近接又は当接するように形成された円筒軸において、前記円筒軸形成部材は、曲げ方向に沿う短辺のそれぞれに曲げの中間位置の基準となる基準部位を有することを特徴とする。
本発明に係る円筒軸の製造方法は、曲げ方向に沿う短辺のそれぞれに基準部位を有する円筒軸形成部材を、前記基準部位が中間位置となるように円筒状に曲げて、前記円筒軸形成部材の一対の端部が近接又は当接する円筒軸を形成する円筒加工工程と、前記一対の端部間の繋ぎ目が弧の内側となるように前記円筒軸を軸方向において湾曲させる湾曲矯正工程と、前記円筒軸に外力を加えて、前記円筒軸に残留する応力を調整する応力調整工程と、を有することを特徴とする。
本発明に係るインクジェットプリンターの側断面図である。 (a)は搬送ユニット部分の平面図、(b)は駆動系の側面図である。 (a)は搬送ローラー機構の概略構成図、(b)は軸受の概略構成図である。 ローラー本体の基材としての金属板を示す平面図である。 プレス抜き工程の一部を示す図である (a)〜(c)は本実施形態に係る曲げ工程を示す図である。 (a)〜(c)は図6に続く曲げ工程を示す図である。 曲げ矯正工程を説明する図である。 (a)ローラー本体の斜視図、(b)は繋ぎ目の側断面図、(c)はローラー本体の両端面に残存する連結部位を示す斜視図である。 応力調整工程を示す図である。 ローラー本体に与えたひずみと経時変化量の関係を示す図である。 応力調整工程の前後におけるローラー本体の湾曲方向及び湾曲量の変化を示す図である。 応力調整工程の他の態様を示す図である。 センターレス研磨工程を示す図である。 高摩擦層形成工程を示す図である。 基準部位の変形例を示す図である。 繋ぎ目の側断形状の変形例を示す図である。 (a)〜(c)は繋ぎ目の変形例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェットプリンターの側断面図である。
図2(a)はインクジェットプリンターの搬送ユニットを示す平面図、図2(b)は搬送ユニットの駆動系を示す側面図である。
図1に示すように、インクジェットプリンター(印刷装置)1は、プリンター本体3と、プリンター本体3の後側上部に設けられた給紙部5と、プリンター本体3の前側に設けられた排紙部7と、を備えている。
給紙部5には給紙トレイ11が設けられており、給紙トレイ11には複数枚の用紙(媒体、記録媒体、搬送媒体)Pが積載されるようになっている。ここで、用紙Pとしては、普通紙、コート紙、OHP(オーバーヘッドプロジェクタ)用シート、光沢紙、光沢フィルム等が用いられる。以下、用紙Pの搬送経路において、給紙トレイ11側を上流側、排紙部7側を下流側という。給紙トレイ11の下流側には、給紙ローラー13が設けられている。
給紙ローラー13は、対向する分離パッド(不図示)との間で給紙トレイ11の最上部に位置する用紙Pを挟圧し、下流側へ送り出すように構成されている。給紙ローラー13の下流側には、搬送ローラー機構19が設けられている。
搬送ローラー機構19は、下側に配置された搬送ローラー15と、上側に配置された従動ローラー17とを備えている。
搬送ローラー15は、従動ローラー17との間に用紙Pを挟圧し、図2に示す駆動部30により回転駆動するように設けられている。これにより、搬送ローラー15は、用紙Pを下流側に配置された印字ヘッド(印刷部)21へ、搬送印刷処理に伴う精密で正確な搬送(紙送り)動作により搬送することができるようになっている。
印字ヘッド21はキャリッジ23に保持されており、キャリッジ23は給紙方向(用紙Pの搬送方向)と直交する方向に往復移動するよう構成されている。印字ヘッド21による印字処理(印刷処理)は、制御部CONTによって制御されるようになっている。印字ヘッド21と対向する位置には、プラテン24が配設されている。
プラテン24は、キャリッジ23の移動方向に沿って間隔をあけて配置された、複数のダイヤモンドリブ25によって構成されている。
ダイヤモンドリブ25は、印字ヘッド21によって用紙Pに印刷を行う際に用紙Pを下側から支持するものであり、頂面が支持面として機能するようになっている。ダイヤモンドリブ25と印字ヘッド21との距離は、用紙Pの厚さに応じて調節可能になっている。
これにより、用紙Pはダイヤモンドリブ25の頂面上を滑らかに通過することが可能となっている。ダイヤモンドリブ25及び印字ヘッド21の下流側には、排紙ローラー機構29が設けられている。
排紙ローラー機構29は、下側に配置された排紙ローラー27と上側に配置された排紙ギザローラー28とを備え、排紙ローラー27の回転駆動によって用紙Pを引き出し、排出するようになっている。
ここで、搬送ローラー機構19及び排紙ローラー機構29の駆動部30及び搬送ローラー15、排紙ローラー27の駆動速度の関係について説明する。
プリンター本体3には、図2(a),(b)に示すように、制御部CONTの制御下で駆動される搬送モーター32が設けられている。この搬送モーター32の駆動軸にはピニオン33が設けられており、ピニオン33には搬送駆動ギア35が歯合しており、搬送駆動ギア35には搬送ローラー15が内挿されて連結されている。
このような構成のもとに、搬送モーター32等は、搬送ローラー15を回転駆動する駆動部30となっている。
また、搬送ローラー15には、搬送駆動ギア35と同軸にインナーギア39が設けられており、このインナーギア39には中間ギア41が歯合しており、中間ギア41には排紙駆動ギア43が歯合している。排紙駆動ギア43の回転軸は、図2(a)に示すように排紙ローラー27の軸体45となっている。
このような構成のもとに、搬送ローラー機構19の搬送ローラー15と排紙ローラー機構29の排紙ローラー27とは、同一の駆動源である搬送モーター32からの回転駆動力を受け、駆動されるようになっている。
なお、排紙ローラー27の回転速度は、各ギアのギア比を調整することにより、搬送ローラー15の回転速度より速くなるように設定されている。したがって、排紙ローラー機構29の排紙速度は、搬送ローラー機構19の搬送速度より増速率だけ速くなっている。
また、搬送ローラー機構19による用紙Pの挟持力(押圧力)は、排紙ローラー機構29による挟持力(押圧力)よりも大きく設定されている。したがって、搬送ローラー機構19と排紙ローラー機構29とが共に用紙Pを挟持しているとき、その用紙搬送速度は、排紙ローラー機構29の排紙速度とは関係なく、搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されるようになっている。
次に、搬送ローラー15及びこれを備える搬送ローラー機構19について説明する。
図3(a)は搬送ローラー機構19の概略構成を示す図、図3(b)は軸受の概略構成を示す図である。
搬送ローラー15は、金属板がプレス加工されて円筒状に形成されたローラー本体(円筒軸)16と、ローラー本体16の表面の長手方向(軸方向)の一部に形成された高摩擦層(媒体支持領域)50とを有している。
ローラー本体16は、亜鉛メッキ鋼板やステンレス鋼板等の金属板が巻回された鋼板コイルを母材として形成されている。ローラー本体16は、コイルを巻き戻した金属板をプレス加工(抜き加工、曲げ加工)して形成される。ローラー本体16は、図9に示すように、曲げ加工されて突き合わ(近接又は当接)された金属板の一対の端面61a,61b間に形成された繋ぎ目(継ぎ目)80を有している。
高摩擦層50は、図3(a)に示すように、ローラー本体16の両端部を除く中央部に選択的に形成されている。高摩擦層50の表面には、無機粒子の鋭く尖った部分が露出した状態で固定され、高い摩擦力を発揮するようになっている。
高摩擦層50は、ローラー本体16の表面の高摩擦層の形成領域に樹脂粒子を10μm〜30μm程度の均一な膜厚で選択的に塗布して樹脂膜を形成し、その樹脂膜の上に無機粒子を均一に散布した後、焼成することにより形成されている。
樹脂粒子としては、エポキシ系樹脂やポリエステル系樹脂等からなる、直径10〜20μm程度の微粒子が好適に用いられる。また、無機粒子としては、破砕処理によって所定の粒径分布に調整された酸化アルミニウム(アルミナ;Al2O3)や炭化珪素(SiC)、二酸化珪素(SiO2)等のセラミックス粒子が好適に用いられる。
搬送ローラー15は、図3(a)に示すように、その両端部がプラテン24(図1参照)に一体成形された軸受26に回転可能に保持されている。
図3(b)に示すように、軸受26は、上方に開口するU字形に形成され、このU字形部位に搬送ローラー15を嵌め込むことで、搬送ローラー15を前後側及び下側の3方向から軸支する。そして、軸受26と搬送ローラー15との接触面(搬送ローラー15の表面)には、グリス等の潤滑油(潤滑液)が供給(塗布)される。
また、搬送ローラー15の一端又は両端には、インナーギア39や搬送駆動ギア35が回転不能に係合し連結するための係合部(不図示)が形成されている。搬送ローラー15には、種々の連結部品に連結するため、種々の形態の係合部が形成可能になっている。
従動ローラー17は、複数(例えば6個)のローラー17aが同軸に配列されて構成されたもので、搬送ローラー15の高摩擦層50に対向しかつ当接する位置に配置されたものである。これらローラー17aからなる従動ローラー17には、付勢バネ(不図示)が取り付けられており、これによって従動ローラー17は、搬送ローラー15側に付勢されている。
したがって、従動ローラー17は、搬送ローラー15の高摩擦層50に所定の押圧力(用紙Pに対する挟持力)で接し、搬送ローラー15の回転動作に従動して回転するようになっている。また、搬送ローラー15と従動ローラー17との間で用紙Pを挟持する力が大きくなり、用紙Pの搬送性がより良好になっている。
なお、この従動ローラー17の各ローラー17aの表面には、高摩擦層50との摺接による損傷を緩和するため、フッ素樹脂塗装等の低摩耗処理が施されている。
以上の搬送ローラー15、軸受26、駆動部30及び従動ローラー17等により、インクジェットプリンター1の搬送部(搬送装置)20が構成されている。
次に、インクジェットプリンター1の動作について、図1、図2を参照して説明する。
インクジェットプリンター1は、給紙トレイ11の最上部に位置する用紙Pを給紙ローラー13によって挟圧して下流側へ送り出す。送り出された用紙Pは搬送ローラー機構19に至る。搬送ローラー機構19は、用紙Pを搬送ローラー15と従動ローラー17との間で挟圧し、搬送ローラー15の回転駆動による紙送り動作で印字ヘッド21の下方に向けて定速で搬送する。印字ヘッド21の下方に搬送された用紙Pは、ダイヤモンドリブ25の頂面上を滑らかに通過しつつ、印字ヘッド21によって高品質に印刷される。印字ヘッド21で印刷された用紙Pは、排紙部7の排紙ローラー27によって順次排出される。
排紙ローラー機構29の搬送速度は搬送ローラー機構19の搬送速度より速く設定されているため、用紙Pはバックテンションが掛かった状態で搬送される。ただし、搬送ローラー機構19と排紙ローラー機構29とが共に用紙Pを挟持しているときには、その用紙搬送速度は搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されている。したがって、このように排紙ローラー機構29と搬送ローラー機構19とによって排紙と搬送とを同時に行う際にも、その用紙の搬送速度は搬送ローラー機構19の搬送速度で規定されている。そのため、搬送ムラのない正確で安定した紙送り(搬送)がなされるようになる。
そして、ローラー本体16として中空の円筒軸を採用することで、中実軸を用いる場合と比較して重量を大幅に減少させることができる。また、ローラー本体16に中実軸を用いる場合と比較して材料の切削性に対する要求が低くなる。したがって、ローラー本体16の材料として鉛等の有害物質を含まない材料を用いることが可能になり、環境負荷を低減することができる。
また、搬送ローラー15には高摩擦層50が形成されており、従動ローラー17がこの高摩擦層50に当接する位置に配置されている。そのため、これら搬送ローラー15と従動ローラー17との間で用紙Pを挟持する力が大きくなり、用紙Pの搬送性がより良好になっている。
また、本実施形態の搬送部20は、搬送ローラー15とこれを支持する軸受26とを備えている。そのため、上述のように高い搬送精度が得られる搬送ローラー15を軸受26により支持して回転させ、高摩擦層50により用紙Pを支持して高精度に搬送することができる。また、搬送ローラー15に中空のローラー本体16を採用することで、中実軸を用いる場合と比較して搬送部20の重量を大幅に減少させ、環境負荷を低減することができる。
また、本実施形態のインクジェットプリンター1は、搬送部20によって用紙Pを高精度に搬送することができ、用紙Pに高い印刷精度で印刷処理を行うことできる。また、搬送ローラー15に中空のローラー本体16を採用することで、中実軸を用いる場合と比較して装置全体の重量を大幅に減少させることができ、環境負荷を低減することができる。
次に、搬送ローラー15(ローラー本体16)の詳細構造及び製造方法について、図4〜図15を用いて説明する。
図4は、ローラー本体の基材としての金属板Mを示す平面図である。
搬送ローラー15を製造するには、図4に示すように、厚さ1mm程度の冷間圧延鋼板、亜鉛メッキ鋼板又はステンレス鋼板等の金属板Mをプレス加工(抜き加工)して、搬送方向に連続する枠部位66と、搬送方向と交差する方向に延びる帯状の平板部(円筒軸形成部材)60と、枠部位66と平板部60とを連結する連結部位67とを形成する。
本実施形態では、平板部60は略長方形であり、短辺60aが搬送方向に平行で長辺60bが搬送方向と直交するように型抜きされる。
連結部位67は、後述する円筒軸形成工程において、平板部60を円筒状に曲げ加工する際に、曲げの基準位置として利用される。すなわち、一対の連結部位67が曲げの中間位置となるように曲げ加工される。
なお、枠部位66のうち、連結部位67(中間位置)同士を結んだ線L上には、平板部60を順送する際に位置決め用に使用する位置決め孔68が設けられる。
図5は、プレス抜き工程の一部を示す図である。
金属板Mをプレス加工(抜き加工)して、平板部60を形成する際に、平板部60の長辺60b(側部62a,62b)の抜き加工を斜めに抜き加工にする。
具体的には、図5(a)〜(c)に示すように、金属板Mは、雄型121と雌型122を用いたプレスにより抜き加工される。そして、雌型122の上面端部(金属板Mの搬送方向)は円弧状に丸められている。このため、図5(b)に示すように、雄型121と雌型122により金属板Mをプレス抜きする際に、平板部60の両側部62a,62bとなる部位は、雌型122の上面端部の形状に倣って湾曲した状態で切断(せん断加工)される。なお、プレス抜き加工の直後には、平板部60の両側部62a,62bは、その弾性力により平坦な状態に戻る。
これにより、図5(c)に示すように、平板部60の両側部62a,62bの端面61a,61bは、平板部60の主面C1,C2に対して傾斜するように形成される。すなわち、端面61a,61bは、平板部60の主面C1(後述の外周面16a)に対して鋭角、主面C2(後述の内周面16b)に対して鈍角となるように、傾斜して形成される。
そして、金属板Mを不図示の搬送部によって間欠的に搬送しながら繰り返しプレスを行うことで、平板部60と連結部位67は、金属板Mの搬送方向に等間隔に複数形成される。
次いで、平板部60を、図6(a)〜(c)、図7(a)〜(c)に示すように、円筒状(パイプ状)にプレス加工(曲げ加工)し、その両側(長辺60b)の端面61a、61bを近接又は当接させる(円筒軸形成工程)。
具体的には、まず、図6(a)に示す雌型(曲げダイ)141と雄型(曲げパンチ)142とで金属板Mの平板部60をプレスし、平板部60の両側部62a,62bを円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。
なお、図6(a)においては、各部材を分かりやすくするため、平板部60と雌型141と雄型142との間にそれぞれ間隔を開けてこれらの部材を記しているが、この間隔は実際には存在せず、平板部60と雌型141、雄型142とはそれぞれの接触部においてほぼ密着している。これは、後述する図6(b)、図6(c)、図7(a)〜図7(c)においても同様である。
次に、金属板Mを一方向に送った後、図6(b)に示す第2の雌型(曲げダイ)143と第2の雄型(曲げパンチ)144とで、平板部60の短辺方向(曲げ方向)における中央部をプレスする。そして、平板部60を円弧状(望ましくは略1/4円弧)に曲げる。
このように、平板部60の中央部をプレスして曲げ加工する際に、連結部位67が曲げの基準位置として利用される。すなわち、一対の連結部位67が曲げの中間位置となるように、位置決め孔68を第2の雌型143及び第2の雄型144に対して位置決めする。
これにより、第2の雌型143及び第2の雄型144の円弧状のプレス面の中央(中間)位置(図6(b)の矢印の位置)に、連結部位67が配置される。
なお、後述する上型145及び下型146に対しても、一対の連結部位67が曲げの中間位置となるように位置決めされる。
次に、金属板Mを一方向に送った後、図6(c)に示すように、平板部60の内側に芯型147を配置する。そして、図6(c)に示す上型145と下型146とを用いて、図7(a)〜図7(c)に示すように、平板部60の両側部62a,62bの両端面61a,61bを近接させる。
また、図7(a)〜図7(c)に示すように下型146は左右一対の割型であり、これら割型146a,146bは、それぞれ独立して昇降可能に構成されている。
すなわち、図6(c)に示す状態から、図7(a)に示すように左側の割型146aを上型145に近接させ、平板部60の一方の側をプレス加工し、略半円形状に曲げる。
なお、上型145も下型146と同様左右一対の割型とし(割面145b参照)、この図7(a)に示す工程の際に、同じ側の上型を割型146aに近接させてもよい。
次いで、図7(b)に示すように、芯型147を少し(一方の側の端面61aと他方の側の端面61bとを近接させることができる程度に)上型145側へ移動させるとともに、他方の側の割型146bを上型145に近接させ、平板部60の他方の側をプレス加工し、略半円形状に曲げる。
その後、図7(c)に示すように、芯型147および一対の割型146a,146bを共に上型145に近接させ、円筒状のローラー本体(中空パイプ)16を形成する。この状態で、左右両側の端面61a,61bは互いに対向して突き合わされた状態となる。すなわち、この円筒状のローラー本体16にあっては、基材である金属板Mの平板部60の両側の端面61a,61bが互いに近接して、これらの端面61a,61b間に繋ぎ目80が形成されている。
上述したように、平板部60の中央部をプレスして曲げ加工する際に、連結部位67が曲げの基準位置として利用される。このため、平板部60は、短辺60a側から見ると、連結部位67を基準にして左右均等(左右対称)に曲げ加工される。
このため、端面61a,61b間に繋ぎ目80は、円筒状に形成されたローラー本体16の中心軸に沿って平行に形成される。つまり、平板部60が曲げ加工する際に、回転して、曲げの中心(中央)がずれることがない。
したがって、ローラー本体16は、長手方向の端面側から見ると、左右均等(左右対称)に曲げ加工されて、応力バランスが取れた円筒軸となる。
図8は、曲げ矯正工程を説明する図である。なお、円周方向において繋ぎ目80を0°とし、0°方向に膨らむように湾曲した状態を+(プラス)、180°方向に膨らむように湾曲した状態を−(マイナス)としている。
図8(a)に示すように、円筒軸形成工程を経て成形されたローラー本体16は、軸方向において僅かに湾曲した形状となっている。すなわち、プレス加工を経て成形されたローラー本体16は、弓形に反った形状となっている。つまり、ローラー本体16の両端の中心(円筒の中心)同士を結んだ直線(理想中心軸線16d)に対して、ローラー本体16の実際の中心軸線16cの中央部分が僅かにずれた形状となっている。
円筒軸形成工程後のローラー本体16の直径が約12mm、長さが約300mmから約320mmの場合、ローラー本体16の湾曲量(理想中心軸線16d)に対する実際の中心軸線の中央部分のずれ量(距離d)は、−20μm程度となっている。ローラー本体16の湾曲方向(反りの方向)は、繋ぎ目80が湾曲(弧)の内側に向く(繋ぎ目80の方向に凹む)。
上述したように、平板部60の中央部をプレスして曲げ加工する際に、連結部位67が曲げの基準位置として利用されると、平板部60が連結部位67を基準にして左右均等(左右対称)に曲げ加工される。つまり、平板部60が第2の雌型143及び第2の雄型144のプレス面内において回転することで、左右不均等(左右非対称)に曲げ加工されることはない、
このため、ローラー本体16は、繋ぎ目80が湾曲(弧)の外側に向く(0°方向に膨らむ)又は繋ぎ目80が湾曲(弧)の内側に向く(180°方向に膨らむ)のいずれかの湾曲形状となる。
すなわち、平板部60が連結部位67を基準にして左右均等(左右対称)に曲げ加工されたため、ローラー本体16の湾曲状態は、0°方向又は180°方向に膨らむ状態のいずれかとなる。
なお、平板部60の短辺60aの長さを調整することで、ローラー本体16の湾曲量を調整できる。
例えば、短辺60aの長さを35.55mmに設定した場合には、ローラー本体16は、繋ぎ目80が湾曲(弧)の内側に向くように、中央部分が理想中心軸線16dから−20μm程度ずれた湾曲形状となる。また、短辺60aの長さを35.45mmに設定した場合には、ローラー本体16は、繋ぎ目80が湾曲(弧)の内側に向くように、中央部分が理想中心軸線16dから−40μm程度ずれた湾曲形状となる(図8(a))。
一方、金属板Mの平板部60の短辺60aの長さを35.65mmに設定した場合には、ローラー本体16は、繋ぎ目80が湾曲(弧)の外側に向くように、中央部分が理想中心軸線16dから+50μm)程度ずれた湾曲形状となる。
そして、順送プレス加工の最終加工として、円筒状のローラー本体16を所定の湾曲状態となるように矯正する(湾曲矯正工程)。
湾曲矯正工程は、図8(b)に示すように、上型151と下型152により円筒状のローラー本体16をプレス(三点曲げ等)する。上型151及び下型152は、円筒状のローラー本体16を更に円周方向に曲げるものではなく、ローラー本体16を軸方向において弓形に反った形状となるように湾曲(矯正)する。
つまり、ローラー本体16は、プレス加工による円筒曲げ工程を経ることで軸方向において僅かに湾曲した形状となっているので、これを画一的に矯正して、一定方向に一定の湾曲量で円弧状に湾曲した状態にする。
具体的には、図8(c)に示すように、円周方向において繋ぎ目80を0°とすると、180°方向に膨らむように湾曲状態を矯正する。つまり、繋ぎ目80が湾曲(弧)の内側に位置する(繋ぎ目80の方向に凹む)ように、塑性変形させる。
この際の湾曲量(距離d1)としては、20μmから100μm程度に矯正する(塑性変形させる)。
より詳細には、ローラー本体16の直径が約12mm、長さが約300mmから約320mmの場合には、30μmから50μm程度になるように矯正する。なお、ローラー本体16の直径が約6mm、長さが約300mmから約320mmの場合には、50μmから80μm程度になるように矯正する。
ローラー本体16に対して画一的に湾曲矯正加工を施すので、その際の曲げ量(矯正量)は一定である。つまり、その都度、曲げ量(矯正量)を調整する必要はない。言い換えれば、その都度、曲げ量(矯正量)を調整する必要はないので、順送プレスにより画一的に所定の湾曲状態に形成することができる。
このように、平板部60の中央部をプレスして曲げ加工する際に、連結部位67が曲げの基準位置として利用されるので、平板部60が連結部位67を基準にして左右均等(左右対称)に曲げ加工される。このため、ローラー本体16は、繋ぎ目80が湾曲(弧)の外側に向く(0°方向に膨らむ)又は繋ぎ目80が湾曲(弧)の内側に向く(180°方向に膨らむ)のいずれかの湾曲形状となる。しかも、平板部60の短辺60aの長さを、例えば35.55mmに固定(規定)することで、湾曲量を所定範囲に収めることができる。
したがって、湾曲矯正加工において、その都度、曲げ量(矯正量)を調整する必要はない。つまり、順送プレス加工により湾曲矯正加工を画一的に行うことで、ローラー本体16を所定の湾曲状態となるように確実に矯正できる。
なお、金属板Mの平板部60の短辺60aの長さを35.45mmや35.65mmに設定した場合には、上型151や下型152の下死点を変更したり、上型151と下型152の配置を上下入れ替えたりする。短辺60aの長さに応じてローラー本体16の湾曲量、湾曲方向が異なるので、矯正量、矯正方向も異なるからである。
この場合であっても、ローラー本体16に対して画一的に湾曲矯正加工を施すので、その際の曲げ量(矯正量)は一定となる。したがって、順送プレスにより画一的に所定の湾曲状態に形成することができる。
このようにして、短辺60aの長さに拘らず、ローラー本体16は所定の湾曲状態、すなわち繋ぎ目80が湾曲(弧)の内側に向き、中央部分が理想中心軸線16dから−20μm〜−100μm程度振れた湾曲形状となる。
ローラー本体16を所定の湾曲状態に矯正するのは、以下の理由による。
ローラー本体16の製造では、金属板Mをプレス加工(曲げ加工)して円筒軸(ローラー本体16)を形成した後に、ローラー本体16の外周面に外力を与えて残留応力を調整(均一化)する応力調整工程を経る必要がある(詳細については後述する)。
ところが、この応力調整工程の際に、ローラー本体16に押圧力を与えると、ローラー本体16は、繋ぎ目80が湾曲の外側に位置する(繋ぎ目80の方向に凸になる)ように変形(湾曲)するという現象を発明者らは見出した(図12参照)。
そこで、応力調整工程に先だって、ローラー本体16を、応力調整工程で生じる湾曲(反り)とは逆方向に、予め湾曲させることにしたのである。つまり、ローラー本体16を予め繋ぎ目80が湾曲(弧)の内側に位置するように湾曲させ(矯正し)て、その後の応力調整工程におけるローラー本体16の変形と相殺するようにしたのである。
このように、プレス加工を経て成形された全てのローラー本体16は、プレス加工の最終加工として湾曲矯正が施されるので、円周方向において繋ぎ目80を0°とすると、180°方向に若干膨らむように軸方向において湾曲した状態に矯正されたものとなる。
以上のように、金属板Mは、一方向に間欠的に送られながら、プレスにより順次、抜き加工、円筒曲げ加工、湾曲矯正加工が施される(順送プレス)。
そして、平板部60が円筒状に形成された後は、不図示の切断部により連結部位67が切断 れて、図9(a),(b)に示すように、中空円筒状のローラー本体16となる。
なお、図9(c)に示すように、ローラー本体16の長手方向の両端面16f,16sには、連結部位67の一部が残存する。
また、繋ぎ目80を形成する端面61a,61b同士は、当接する場合に限らず、近接場合であってもよい。
次に、ローラー本体16に残留する応力を調整する工程(応力調整工程)を行う。
この応力調整工程では、ローラー本体16の外周面16aのうち少なくとも高摩擦層50が形成される所定部分に押圧力を加える。本実施形態では、ローラー本体16の外周面16aのほぼ全面に対して押圧力を加える場合を例に挙げて説明する。
応力調整工程としては、具体的には、ロールレベラーを用いて、ローラー本体16に対して押圧力を加える(ロールレベラー工程)。
ロールレベラー工程では、複数の押圧ローラーが用いられる。ここでは、図10に示すように、2つの押圧ローラーR1及びR2を用いた場合を例に挙げて説明する。
押圧ローラーR1は、外周面が凸状(紡錘形)に形成されている。すなわち、軸方向の両端が小径で中央が大径となるように径が漸次変化した円柱に形成されている。
一方、押圧ローラーR2は、外周面が凹状(鼓形)に形成されている。すなわち、軸方向の両端が大径で中央が小径となるように径が漸次変化した円柱に形成されている。
2つの押圧ローラーR1,R2は、その回転軸が平行となるように配置される。
そして、この押圧ローラーR1,R2の間に、ローラー本体16を押圧ローラーR1,R2に対して平行に配置する。つまり、押圧ローラーR1,R2により、ローラー本体16を挟持する。
そして、押圧ローラーR1,R2の軸間距離を調整することで、挟持したローラー本体16に対して所望の押圧力を与えることができる。また、ローラー本体16を挟持した状態で、2つの押圧ローラーR1及びR2を異なる方向に回転させる。
このように、押圧ローラーR1,R2を異なる方向に回転させることで、押圧ローラーR1,R2の間に挟持されたローラー本体16は、回転しつつ押圧力を受ける。
また、図10に示すように、ローラー本体16の外周面のうち、押圧ローラーR1に接している面側には、圧縮力が作用する。一方、ローラー本体16の外周面のうち、押圧ローラーR2に接している面側には、引張力が作用する。そして、ローラー本体16が回転することにより、ローラー本体16の外周面には、全体としては押圧力を受けながら、微少に引張力と圧縮力が繰り返し作用することになる。
そして、ローラー本体16を押圧ローラーR1,R2で押圧しつつ、ローラー本体16を中心軸の方向に相対的に移動させる。
つまり、押圧ローラーR1及びR2を固定しておき、ローラー本体16を押圧ローラーR1,R2の間を回転しながら通過させる。これにより、ローラー本体16には、第一端部16fから第二端部16sへと順に押圧力が加えられることになる。この押圧力により、ローラー本体16に残留する応力が調整されることになる。
ロールレベラー工程では、ローラー本体16に対して、塑性変形が発生するように圧縮力が与えられる。ローラー本体16の形成材料(金属板M)として、冷間圧延鋼板(SPCC)を用いた場合には、約0.25〜約0.5%(約0.0025〜約0.005)程度の(圧縮)ひずみが発生するように、ロールレベラー加工(押圧ローラーR1,R2の軸間距離)が調整される。
冷間圧延鋼板(SPCC)は、約0.1%のひずみが発生すると、塑性変形域に達する(塑性変形が発生する)と言われている。つまり、ロールレベラー工程では、ローラー本体16に対して、塑性変形が発生し始める外力(ひずみ)の約2倍から約5倍程度の外力(ひずみ)を与える。
これにより、ローラー本体16は塑性変形(圧縮変形)して、内部応力が均一化されるとともに経時変化も確実に抑制することができる。
すなわち、ローラー本体16は、金属板Mをプレス加工により曲げ加工することにより、平板部60の両側部62a,62bの両端面61a,61bを近接又は当接させて成形する。ところが、その後、ローラー本体16は、時間の経過(数百時間程度)と共にローラー本体16の形状が変化(反りが発生)する場合があることを本発明者らは見出した。
プレス加工の際にローラー本体16の内部に残留した応力(残留応力)が、徐々に開放(緩和)されることによる変形であると考えられる。特に、ローラー本体16は、後述するメッキ処理工程や高摩擦層形成工程を経る際に加熱されるので、残留応力が開放(緩和)されやすくなると考えられる。そして、ローラー本体16の残留応力が不均一となると、ローラー本体16の形状変化が現れると考えられる。
具体的には、時間の経過に伴って、ローラー本体16は、繋ぎ目80が湾曲の外側に位置するように湾曲変形(反り)してしまう。つまり、ローラー本体16の円周方向において繋ぎ目80を0°とすると、ローラー本体16は0°方向に膨らむように湾曲してしまう。
そこで、上述したように、ローラー本体16の製造において、応力調整工程(ロールレベラー工程)を経ることで、残留応力の均一化を図り、経時変化を最小限に抑えるようにしている。特に、応力調整工程(ロールレベラー工程)において、ローラー本体16に対して、塑性変形が発生する外力(ひずみ)の約2.5倍から約5倍程度の外力(ひずみ)を与えることで、経時変化の発生を最小限に抑制することができる。具体的には、時間の経過に伴う、ローラー本体16の湾曲増加量は、約2μm以下となる。
図11は、ローラー本体に与えたひずみと経時変化量の関係を示す図である。
図11は、応力調整工程においてローラー本体16に対して、0%、0.18%、0.24%、0.29%、0.32%、0.34%(0、0.0018、0.0024、0.0029、0.0032、0.0034)のひずみを与え、その後に数百時間以上放置したときの変形量(経時変化による湾曲増加量)をプロットしたグラフである(サンプル数は、ひずみ条件毎に5本)。
応力調整工程においてローラー本体16に対して、0.29%、0.32%、0.34%のひずみを与えた場合には、経時変化による変形量(湾曲増加量)は、最大で約2μm程度に抑えられている。
そして、ローラー本体16に対して、0.24%のひずみを与えた場合には、経時変化による変形量(湾曲増加量)は、最大で約4μm程度になる。また、ローラー本体16に対して、0.18%のひずみを与えた場合には、経時変化による変形量(湾曲増加量)は、最大で約6μm程度になる。更に、ローラー本体16に対して、応力調整工程を経ない場合(0%のひずみ)には、経時変化による変形量(湾曲増加量)は、最小でも約数十μm、最大で約数百μm程度になってしまう(このため、図11にはその実験データが示されていない)。
なお、ローラー本体16に対して、0.5%を超えるひずみを与えた場合には、ローラー本体16の繋ぎ目80などが変形してしまう可能性がある。
このように、図11の破線に示すように、ローラー本体16に対して、塑性変形が発生する外力(0.1%のひずみ)の約2.5倍から約5倍程度の外力(0.25〜0.5%のひずみ)を与えることで、経時変化の発生を最小限に抑制することができる。
しかも、上述したように、応力調整工程(ロールレベラー工程)に先だって、ローラー本体16を予め繋ぎ目80が湾曲(弧)の内側に位置するように矯正してあるので、応力調整工程(ロールレベラー工程)において発生するローラー本体16の湾曲(反り)を相殺することができる。
つまり、応力調整工程の際に、ローラー本体16に押圧力を与えると、ローラー本体16は、繋ぎ目80が湾曲の外側に位置する(繋ぎ目80の方向に凸になる)ように変形(湾曲)する。しかし、予めローラー本体16を繋ぎ目80が湾曲(弧)の内側に位置するように矯正してあるので、応力調整工程(ロールレベラー工程)を経たローラー本体16は、直線度(円筒度)が所定範囲内に収まるように形成される。具体的には、ローラー本体16の湾曲量は、約20μm以下に抑えられる。
したがって、ローラー本体16の総湾曲量は、長時間が経過したときに最悪でも、約22μm以下(初期の湾曲量20μm+湾曲増加量2μm)に抑えられる。
図12は、応力調整工程の前後におけるローラー本体の湾曲方向及び湾曲量の変化を示す図である。すなわち、180°方向に湾曲させた複数のローラー本体16に対して応力調整工程(約0.3%のひずみを与えた)を行った。
この結果、図12に示すように、180°方向に湾曲させたローラー本体16のサンプル(図12のプロットデータ□,◇)は、応力調整工程後には、約20μm以下の湾曲量になっている。特に、応力調整工程前の湾曲量が約20μm〜100μm以下の場合(◇)には、応力調整工程後には、確実に約20μm以下の湾曲量になっている。
このように、応力調整工程に先だって、ローラー本体16を繋ぎ目80が弧の内側となるように軸方向において湾曲させる湾曲矯正工程を行うことで、所望の直線度(円筒度)を有するローラー本体16を得ることができる。特に、ローラー本体16の長さが300mm〜320mmの場合に、約20μm〜100μmの湾曲量を与えることで、確実に湾曲量を所望の範囲内(約20μm以内)に抑えることができる。
また、図12に示すように、ローラー本体16は、繋ぎ目80が湾曲(弧)の内側に向く(180°方向に膨らむ)湾曲形状となっている(短辺60aの長さを35.55mmに設定した場合)。
これは、上述したように、平板部60の中央部をプレスして曲げ加工する際に、連結部位67が曲げの基準位置として利用され、平板部60は短辺60a側から見ると連結部位67を基準にして左右均等(左右対称)に曲げ加工されたからである。つまり、ローラー本体16は、長手方向の端面側から見ると、左右均等(左右対称)に曲げ加工されて、応力バランスが取れた円筒軸となっている。
言い換えれば、連結部位67の様な曲げの基準位置が平板部60の短辺60aに存在しない場合には、ローラー本体16は、あらゆる方向に規則性なく湾曲する。つまり、湾曲の方向と繋ぎ目80の位置の関係が規則性のないものとなってしまう。
しかし、本実施形態の円筒曲げ加工によれば、このような事態の発生が回避できる。
平板部60の短辺60aの長さを35.65mmに設定した場合には、ローラー本体16は、繋ぎ目80が湾曲(弧)の外側に向く湾曲形状となる。
すなわち、図12に示すように、平板部60の中央部をプレスして曲げ加工する際に、連結部位67が曲げの基準位置として利用することで、ローラー本体16を、繋ぎ目80が湾曲(弧)の内側に向く(180°方向に膨らむ)又は繋ぎ目80が湾曲(弧)の外側に向く(0°方向に膨らむ)のいずれかの湾曲形状にすることができる。
なお、応力調整工程を行わない場合には、一旦は所望の直線度(円筒度)を有するローラー本体16が形成されるものの、経時変化による形状変化が著しい。具体的には、ローラー本体16の湾曲増加量(経時変化による湾曲量)は、約数十μmから数百μm程度となってしまう。
このため、ローラー本体16の直線度(円筒度)が所望の範囲外となってしまい、ローラー本体16の不良率が高くなってしまう。
また、湾曲矯正工程を行うことなく、応力調整工程を行った場合には、ローラー本体16の湾曲増加量は、約2μm以下に抑えられるものの、応力調整工程を経ることでローラー本体16の湾曲量が約100μm以上となってしまう場合が少なくない。
このため、ローラー本体16の直線度(円筒度)が所望の範囲外となってしまい、ローラー本体16の不良率が高くなってしまう。
一方、上述したように、本実形態の製造工程によれば、湾曲矯正工程と応力調整工程の両工程を経ることにより、ローラー本体16の不良率が低くなり、歩留まりが高くなる。
なお、応力調整工程としては、上述したロールレベラー工程に限らず、以下の工程を採用してもよい。
図13(a)に示すように、転造工程を用いてもよい。
転造工程は、2つの転造ローラー201,202を用いた所謂スルーフィード転造(歩み転造、通し転造とも呼ばれている)加工である。
具体的には、図13(a)に示すように、ローラー本体16を挟むように配置された二つの転造ローラー201,202をローラー本体16に対して所定の圧力で押し付けた状態とする。この状態で、二つの転造ローラー201,202を同方向に回転させる。スルーフィード転造においては、転造ローラー201,202が回転することにより、ローラー本体16が転造ローラー201,202の回転方向とは逆方向に回転しながら、軸方向に移動する。
転造ローラー201,202の表面には、高摩擦層50を形成するために、螺旋状の凹部201a,202aが形成されており、凹部201a,202aがローラー本体16の表面を変形させることにより、ローラー本体16の表面には、格子状の凹凸部203が形成される。
このように、ローラー本体16の第一端部16fから第二端部16sへと順に凹凸部203が形成されていく。当該凹凸部203が形成されることにより、ローラー本体16に残留する応力が調整されることになる。なお、当該凹凸部203の深さ(凹凸の段差)については、5μm〜50μmの範囲で適宜設定することができる。
なお、転造工程では、転造ローラー201、202の軸方向の寸法と、ローラー本体16の軸方向の寸法とを等しくすることにより、ローラー本体16の全体に押圧力が加えられることになる。この場合であっても、ローラー本体16に残留する応力が調整されることになる。
また、応力調整工程として、図13(b),(c)に示すように、回転押圧工程を用いてもよい。
回転押圧工程は、ローラー本体16に押圧部材を押圧した状態で当該ローラー本体16を回転させ、押圧部材とローラー本体16とを当該ローラー本体16の中心軸方向に相対的に移動させる工程である。
回転押圧工程としては、図13(b)に示すように、ローラー本体16を移動させる例が挙げられる。この場合、テーブルTBL上に押圧部材R3、R4を固定させておく。押圧部材R3と押圧部材R4との距離は、ローラー本体16の径よりもやや小さくなるように設定しておく。
この状態で、ローラー本体16を回転させつつ、押圧部材R3と押圧部材R4との間にローラー本体16を通過させる。押圧部材R3及び押圧部材R4は、ローラー本体16に対して挟みつけるように押圧する。このため、ローラー本体16の第一端部16fから第二端部16sへと押圧力が加えられることになる。この押圧力により、ローラー本体16に残留する応力が調整される。
また、回転押圧工程として、図13(c)に示すように、ローラー本体16を移動させずに押圧部材R5を移動させる例が挙げられる。この場合、ローラー本体16の位置を固定したまま中心軸を中心として回転させる。この状態で、押圧部材R5をローラー本体16に押し当て、押圧部材R5をローラー本体16の中心軸に沿って移動させる。
このため、ローラー本体16の第一端部16fから第二端部16sへと押圧力が加えられることになる。この押圧力により、ローラー本体16に残留する応力が調整される。なお、押圧部材R5の先端(ローラー本体16に当接する部分)は、ローラー状に形成されていることが好ましい。
なお、上述の各応力調整工程において、ローラー本体16の内部に芯部材(不図示)を挿入した状態で当該ローラー本体16に押圧力を加えるようにしても構わない。これにより、ローラー本体16が押圧力によって変形してしまうのを回避することができる。
次いで、本実施形態では、ローラー本体16の真円度を高め、振れを少なくするべく、センターレス研磨加工を行う。
この研磨工程では、図14に示すように、円柱状(又は円筒状)に形成された砥石部材GDを用いてローラー本体16の外周面16aを研磨する。研磨工程では、ローラー本体16の外周面16aから所定の深さ(20μm〜100μm程度の厚さ。以下、「研磨深さ」と表記)の部分が研磨されることになる。
ローラー本体16の外径よりも小さい間隔を空けて配置された2つの砥石部材GDの間に当該ローラー本体16を配置させ、ローラー本体16が2つの砥石部材GDの外周部分に接した状態とする。その後、2つの砥石部材GDを同じ方向に回転させる。この2つの砥石部材GDの回転により、各砥石部材GDとローラー本体16との間に摩擦力が発生する。
なお、2つの砥石部材GDとしては、ローラー本体16の長手方向の全体を一度に研磨できるように、長手方向(円柱の高さ方向)の寸法がローラー本体16よりも大きくなるように形成されたものを用いることが好ましい。また、砥石部材GDの回転時には、ローラー本体16の長手方向におけるマージンを確保するため、長手方向の全体が2つの砥石部材GDに接触するように、砥石部材GDの長手方向の中央部にローラー本体16を配置することが好ましい。
砥石部材GDの回転によって発生した摩擦力により、ローラー本体16が当該砥石部材GDの回転方向とは反対方向に回転しつつ、当該ローラー本体16の外周面16aが研磨されることになる。このため、ローラー本体16の外周面16aのほぼ全面が満遍なく研磨され、研磨工程前に比べてローラー本体16の真円度がより良好になる。
なお、応力調整工程において転造工程を行っている場合、ローラー本体16の外周面16aに形成される凹凸部203が研磨によって除去される。これを踏まえて、転造工程を行う際に、ローラー本体16のうち高摩擦層50が形成される部分については、研磨工程での研磨深さよりも深くなるように凹凸部203を形成しておく。また、高摩擦層50が形成されない部分については当該研磨深さよりも浅くなるように凹凸部203を形成しておく。
この状態で研磨工程を行うと、ローラー本体16のうち高摩擦層50が形成される部分は凹凸部203の一部分が残った状態となる。また、ローラー本体16のうち高摩擦層50が形成されない部分は、凹凸部203が除去された状態となる。したがって、高摩擦層50を形成する工程においては、当該凹凸部203を用いることができるため、製造効率が高まることになる。
研磨工程を行った後、真円度が高く、かつ、振れ量の小さいローラー本体16が得られる。なお、このローラー本体16にあっては、両端面61a、61b間がより狭まることで、これら両端面61a、61b間の隙間がより狭くされた繋ぎ目80が形成される。
以上のようにして、ローラー本体16を形成したら、このローラー本体16に表面処理を施す。
まず、ローラー本体16の形成材料(金属板M)として、冷間圧延鋼板(SPCC)を用いた場合には、メッキ処理工程を行う。ローラー本体16に表面にメッキ層を形成することで、防錆性を高めている。
次に、ローラー本体16の表面に、図3(a)に示すような高摩擦層50を形成する。
この高摩擦層50の形成方法としては、乾式法及び湿式法(またはこれらを併用した方法)が採用可能であるが、本実施形態では乾式法が好適に採用される。具体的には、まず、高摩擦層50の形成材料として、樹脂粒子と無機粒子とを用意する。樹脂粒子としては、エポキシ系樹脂やポリエステル系樹脂等からなる、直径10μm程度の微粒子が好適に用いられる。
また、無機粒子としては、酸化アルミニウム(アルミナ;Al2O3)や炭化珪素(SiC)、二酸化珪素(SiO2)等のセラミックス粒子が好適に用いられる。中でもアルミナは、比較的硬度が高く摩擦抵抗を高める機能が良好に発揮され、また、比較的安価であってコストダウンを妨げることもないため、より好適に用いられる。したがって、本実施形態では無機粒子としてアルミナ粒子を用いるものとする。
このアルミナ粒子としては、破砕処理によって所定の粒径分布に調整されたものが用いられる。破砕処理によって製造されることにより、このアルミナ粒子は端部が比較的鋭く尖ったものとなり、この鋭く尖った端部によって高い摩擦力を発揮するようになる。
なお、アルミナ粒子の粒径は、適宜、選択調整することができる。
このような樹脂粒子と無機粒子とを用意したら、まず、ローラー本体16に前述の樹脂粒子を塗布する。すなわち、ローラー本体16を塗装ブース(不図示)内に配置し、さらにこのローラー本体16を単体の状態で−(マイナス)電位にしておく。
そして、樹脂粒子を、静電塗装装置(不図示)のトリボガンを用いてローラー本体16に向けて噴霧(噴出)し吹き付けつつ、この噴霧粒子(樹脂粒子)を+(プラス)高電位に帯電させる。すると、この帯電された樹脂粒子はローラー本体16の外周面に吸着され、樹脂膜を形成する。
ここで、樹脂粒子の吹付による樹脂膜の形成は、図3(a)に示した高摩擦層50の形成領域に対応させる。すなわち、ローラー本体16の全長に亘って行うことなく、その両端部をテープ等でマスキングしておくことにより、図15(a)に示すようにこの両端部を除いた中央部のみに行う。つまり、このローラー本体16からなる搬送ローラー15の、少なくとも搬送する用紙(媒体)Pに接触する領域となる中央部に対応する領域にのみ、選択的に樹脂膜51を形成する。
なお、図15(a)及び後述する図15(b),(c)では、繋ぎ目80については図示を省略している。
樹脂膜51には、吹付塗装後に+0.5KV程度の微弱な静電気が残存する。なお、この吹付塗装に際しては、ローラー本体16を軸廻りに回転させることにより、その全周に亘って樹脂膜51をほぼ均一な厚さに形成する。この樹脂膜51の膜厚については、前述のアルミナ粒子の粉径を勘案して、10μm〜30μm程度に形成する。このような膜厚については、樹脂粒子の噴出量及び噴出時間等によって適宜に調整することができる。
次いで、この樹脂膜51を形成したローラー本体16を前述の塗装ブースから取り出し、ハンドリングロボット等によって別の塗装ブース(不図示)に移す。
そして、ローラー本体16を中心軸回りに回転させる。ローラー本体16をその軸廻りに、100rpm〜500rpm程度の低速でゆっくり回転駆動させる。
そして、塗装ブースの上部に配置したコロナガンから前述のアルミナ粒子95を噴霧し吹き付けることにより、ローラー本体16に形成した樹脂膜51上に、アルミナ粒子95を選択的に静電吸着させる。アルミナ粒子を樹脂膜51上に選択的に静電吸着させるには、樹脂膜51の形成と同様に、ローラー本体16の両端部をテープ等でマスキングしておくことで行う。
すると、前述したように、ローラー本体16の樹脂膜51には、静電塗装によって形成されたことで微弱な静電気(約+0.5KV)が残存しているため、この静電気によってアルミナ粒子95が樹脂膜51の全周にほぼ均一に静電吸着する。このようにして静電吸着したアルミナ粒子95は、樹脂膜51表面に当接しさらに一部入り込んだ状態で、この樹脂膜51をバインダとしてローラー本体16の外周面に付着する。
特にマスキングされていない樹脂膜51の表面にアルミナ粒子95が均一に付着し、これによってローラー本体16には、図15(b)に示すようにその中央部の樹脂膜51中に、アルミナ粒子(無機粒子)95が分散し露出する。すなわち、アルミナ粒子95は、静電吸着力によって樹脂膜51に当接した際、この樹脂膜51中に一部が入り込み、残部が樹脂膜51の表面から突き出た状態になる。その際、アルミナ粒子95はローラー本体16の表面に対して垂直に立った状態になり易いため、アルミナ粒子95は均一に分布され、その殆どが鋭く尖った端部(頂部)を外側に向けて付着する。
したがって、アルミナ粒子95は樹脂膜51の表面から突き出た端部により、高い摩擦力を発揮するようになる。ここで、アルミナ粒子95が用紙Pに対して必要かつ十分な摩擦力を発揮するには、樹脂膜51の面積に対して、アルミナ粒子95の占める面積が20%〜80%となるようにするのが好ましい。
なお、このアルミナ粒子95の塗布(散布)については、アルミナ粒子95が鉛直方向下方にゆっくりと散布されるのであれば、静電塗装法による塗布に限定されるものではなく、スプレーガンを用いた塗布(散布)法であってもよい。
このようにしてアルミナ粒子95を樹脂膜51上に散布し付着させたら、このローラー本体16を180℃〜300℃程度の温度で20分〜30分間程度加熱し、樹脂膜51を焼成し硬化させる。これにより、アルミナ粒子95をローラー本体16に固着する。こうして、図15(c)に示すように樹脂膜51中にアルミナ粒子(無機粒子)95が分散し露出してなる高摩擦層50が形成され、搬送ローラー15が得られる。
なお、本実施形態では、樹脂粒子の塗布(吹付)とアルミナ粒子(無機粒子)の塗布(吹付)とを別々の塗装ブースで実施したが、同一の塗装ブース内で行ってもよいのはもちろんである。
以上のように、本実施形態によれば、ローラー本体16を曲げ加工によって形成した後において、ローラー本体16の外周面16aのうち少なくとも高摩擦層50が形成される所定部分に押圧力を加え、ローラー本体16に残留する応力を調整することとしたので、少なくとも当該所定部分において残留応力が均一化される。このため、当該所定部分におけるローラー本体16の形状変化を抑制することができる。これにより、安定した形状の搬送ローラー15を製造することができる。
また、本実施形態によれば、応力調整工程において、ローラー本体16の外周面16aの全面に対して押圧力を加えることとしたので、ローラー本体16の全面における残留応力が均一に調整されることになる。これにより、搬送ローラー15全体の形状を安定化させることができる。
更に、本実施形態では、応力調整工程に先立って、ローラー本体16を繋ぎ目80が弧の内側となるように軸方向において湾曲させる湾曲矯正工程を行うことで、応力調整工程を経ることによるローラー本体16の湾曲変形(反り)を相殺することができる。したがって、所望の直線度(円筒度)を有するローラー本体16を得ることができる。特に、ローラー本体16の長さが300mm〜320mmの場合に、約20μm〜100μmの湾曲量を与えることで、確実に湾曲量を所望の範囲内に抑えることができる。
また、湾曲矯正工程は、円筒曲げ加工に連続して、プレスにより行われるので、所望の湾曲状態に矯正したローラー本体16を安定かつ確実に形成することができる。
特に、平板部60の中央部をプレスして曲げ加工する際に、連結部位67が曲げの基準位置として利用されるので、平板部60が連結部位67を基準にして左右均等(左右対称)に曲げ加工される。このため、ローラー本体16は、繋ぎ目80が湾曲(弧)の外側に向く(0°方向に膨らむ)又は繋ぎ目80が湾曲(弧)の内側に向く(180°方向に膨らむ)のいずれかの湾曲形状となる。したがって、湾曲矯正工程を円筒曲げ加工に連続してプレス(順送プレス)により行うことが可能となる。
更に、平板部60の曲げ方向(円周方向:短辺60a)の長さを、所定の長さに設定したので、円筒曲げ加工直後のローラー本体16の湾曲量が一定状態となる。したがって、湾曲矯正工程を円筒曲げ加工に連続してプレス(順送プレス)により行うことが更に容易となる。
よって、このようなローラー本体16を、インクジェットプリンター1(搬送ローラー機構19)の搬送ローラー15に用いた場合には、印刷用の用紙Pを高精度に搬送することが可能となり、高精度な印刷を行うことができる。
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
図16は、基準部位の変形例を示す図である。
上記実施形態においては、平板部60の短辺60aのそれぞれに形成されて、曲げの中間位置の基準となる基準部位として、連結部位67を用いる場合について説明したが、これに限らない。
基準部位として、短辺60aの中間位置に形成された切り欠き部69であってもよい(図16(a))。
基準部位として、短辺60aの中間位置に同士を結んだ線L上に形成された貫通孔70であってもよい(図16(b))。
また、基準部位として、短辺60aの中間位置から中間位置同士を結んだ線L上に沿って突出して形成された突出部71であってもよい(図16(c))。突出部71は、連結部位67のように、プレス加工後に切断される部位でなくてもよい。なお、突出部71の形状は、図16(c)に示すように三角形状であってもよいし、半円形状であってもよい。
上記実施形態においては、ローラー本体16は、圧延鋼板、亜鉛メッキ鋼板又はステンレス鋼板等の金属板が巻回された鋼板コイルを母材として形成されている構成としたが、これに限られることは無い。
平板状の金属板を母材とし、当該平板金属板から上記平板部60とほぼ同形同寸法の金属板を形成して、当該金属板を加工することでローラー本体16を形成しても構わない。したがって、上記説明あるいは以下の記載において、平板部60を当該金属板に置き換えた場合であっても適用可能である。
図17は、繋ぎ目80の断面形状の変形例を示す図である。
繋ぎ目80の形状は、図17(a)に示すように、繋ぎ目80の端面61aと外周面16aとで形成される角度αは90°より小さく形成され、端面61bと外周面16aとで形成される角度βは90°以上の大きさで形成してもよい。すなわち、繋ぎ目80における端面61a,61bが周方向に関して所定の方向に傾いた形状としてもよい。
また、図17(b)に示すように、端面61a,61bのいずれか一方を外周面16aに対して傾斜させ、他方をほぼ直交させる場合であってもよい。
また、図17(c)に示すように、端面61a,61bの両方が外周面16a,内周面16bに対してほぼ直交し、端面61a,61bの内周面16b側が近接又は当接する場合であってもよい。
円筒曲げ加工のみにより、ローラー本体16の湾曲量、湾曲方向を、応力調整工程により発生する湾曲量、湾曲方向に相反する状態(相殺できる状態)に形成できる場合には、湾曲矯正工程を省略してもよい。
また、湾曲矯正工程を順送プレスで連続的に行う場合について説明したが、これに限らない。円筒曲げ加工と湾曲矯正工程を別々に行ってもよい(単発プレス)。
直径12mm、6mmの場合について説明したが、これに限らず、小径又は大径の場合等であってもよい。
また、ローラー本体16の繋ぎ目80の形状としては、軸方向に平行な直線形の場合について説明したが、これに限らない。図18(a)〜(c)に示すように、様々な形状を採用することができる。
なお、図18(a)〜(c)に示す繋ぎ目80の形状を、ローラー本体16の軸方向の全体又は一部に設ける場合でもよいし、これらの形状を組み合わせる場合であってもよい。
このように、平板部60の長辺60bの形状は、必ずしも直線状でなくてもよい。同様に、短辺60aの形状は、必ずしも直線状でなくてもよい。
平板部60の短辺60aに、曲げの中間位置の基準部位となる部位が存在すればよい。
1…インクジェットプリンター、 15…搬送ローラー、 16…ローラー本体(円筒軸)、 60…平板部(円筒軸形成部材)、 60a…短辺、 61a,61b…端面(端部)、 66…枠部位、 67…連結部位(基準部位)、 68…位置決め孔、 69…切り欠き部(基準部位)、 70…貫通孔(基準部位)、 71…突出部(基準部位)、 80…繋ぎ目、 M…金属板、 R1,R2…押圧ローラー、 P…用紙

Claims (8)

  1. 円筒軸形成部材を円筒状にプレス曲げ加工して、前記円筒軸形成部材の一対の端部が近接又は当接するように形成された円筒軸において、
    前記円筒軸形成部材は、曲げ方向に沿う短辺のそれぞれに曲げの中間位置の基準となる基準部位を有することを特徴とする円筒軸。
  2. 前記基準部位は、前記短辺の中間位置に形成された切り欠き部である請求項1に記載の円筒軸。
  3. 前記基準部位は、前記短辺の中間位置に同士を結んだ線上に形成された貫通孔である請求項1に記載の円筒軸。
  4. 前記基準部位は、前記短辺の中間位置から前記中間位置同士を結んだ線上に沿って突出して形成された突出部である請求項1に記載の円筒軸。
  5. 前記基準部位は、前記円筒軸形成部材を順送プレス加工した場合に、前記円筒軸形成部材とその周囲を取り囲む枠部位を連結する連結部位である請求項4に記載の円筒軸。
  6. 曲げ方向に沿う短辺のそれぞれに基準部位を有する円筒軸形成部材を、前記基準部位が中間位置となるように円筒状に曲げて、前記円筒軸形成部材の一対の端部が近接又は当接する円筒軸を形成する円筒加工工程と、
    前記一対の端部間の繋ぎ目が弧の内側となるように前記円筒軸を軸方向において湾曲させる湾曲矯正工程と、
    前記円筒軸に外力を加えて、前記円筒軸に残留する応力を調整する応力調整工程と、
    を有することを特徴とする円筒軸の製造方法。
  7. 前記円筒加工工程と前記湾曲矯正工程を、順送プレス加工により連続して行うことを特徴とする請求項6に記載の円筒軸の製造方法。
  8. 前記応力調整工程は、平行配置された一対の押圧回転ローラーの間に、前記円筒軸を平行に配置し、前記円筒軸を前記一対の押圧回転ローラーで押圧しつつ回転させながら軸方向に移動させるロールレベラー工程であることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の円筒軸の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN109047400A (zh) * 2018-09-13 2018-12-21 上海胜迪实业有限公司 内嵌式金属加热器成型装置

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