JP2012048889A - 内燃機関の燃焼容器に形成された燃焼空間を満たす混合気への点火方法 - Google Patents

内燃機関の燃焼容器に形成された燃焼空間を満たす混合気への点火方法 Download PDF

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Abstract

【課題】放電が安定して発生し燃焼速度及び燃焼効率が向上する内燃機関の燃焼空間を満たす混合気への点火方法を提供する。
【解決手段】電極構造が燃焼容器に取りつけられた後に、前駆放電に続いて主放電が発生させられる。電極構造は、第1の電極と第1の誘電体バリアとを備える。第1の電極は、導電体からなり棒形状を有し燃焼容器の内面からとび出る。第1の誘電体バリアは、誘電体からなる。第1の電極の表面には、燃焼空間に露出する第1の露出表面と第1の誘電体バリアに被覆される第1の被覆表面とがある。前駆放電は、第1の被覆表面を始点又は終点として進展する。主放電は、第1の露出表面を始点又は終点として進展する。主放電は、第1の誘電体バリアの表面に沿う沿面放電を含み、前駆放電を発生させた空間領域を経由する。
【選択図】図3

Description

本発明は、内燃機関の燃焼容器に形成された燃焼空間を満たす混合気への点火方法に関する。
自動車エンジン等の内燃機関において混合気に点火するために、アノードとカソードとの間隙に放電を発生させるスパークプラグが広範に用いられる。
スパークプラグにおいては、アノードとカソードとの間隙を広げると、アノードとカソードとの間に印加する電圧を高くしなければ放電が発生しなくなる。また、混合気の組成、圧力等によっては、意図しないタイミングに放電が発生したり、アーク放電によりスパークプラグが破損したりし、放電の安定性が低下する。混合気の組成、圧力等は一定でなく、放電の安定性が低下すると、混合気への点火の安定性が損なわれる。
しかし、アノードとカソードとの間隙を広げないと、放電が3次元的に大きく広がらず、火炎が3次元的に大きく広がらず、燃焼速度及び燃焼効率が低下する。
この問題を解決するため、特許文献1のスパークプラグは、アノード(中心電極3)及びカソード(外側電極6)の他に誘導電極(浮遊電極11)を設け、アノードとカソードとの間隙を広げることを提案する。
特開平5−36463号公報
特許文献1のスパークプラグは有用であるが、火炎が発生する場所の近くの構造物の熱容量が大きく、当該構造物に熱が奪われやすく、燃焼速度及び燃焼効率を向上させにくい。また、混合気の圧力が高くなると、放電が阻害される。
本発明は、これらの課題を解決するためになされる。本発明の課題は、放電が安定して発生し燃焼速度及び燃焼効率が向上する内燃機関の燃焼空間を満たす混合気への点火方法を提供することである。
本発明は、内燃機関の燃焼容器に形成された燃焼空間を満たす混合気への点火方法に関する。
本発明の第1の局面によれば、電極構造が燃焼容器に取りつけられた後に、前駆放電に続いて主放電が発生させられる。電極構造は、第1の電極と第1の誘電体バリアとを備える。第1の電極は、導電体からなり棒形状を有し燃焼容器の内面からとび出る。第1の誘電体バリアは、誘電体からなる。第1の電極の表面には、燃焼空間に露出する第1の露出表面と第1の誘電体バリアに被覆される第1の被覆表面とがある。前駆放電は、第1の被覆表面を始点又は終点として進展する。主放電は、第1の露出表面を始点又は終点として進展する。主放電は、第1の誘電体バリアの表面に沿う沿面放電を含み、前駆放電を発生させた空間領域を経由する。
本発明の第2の局面によれば、本発明の第1の局面において、第2の電極と第3の電極と第2の誘電体バリアとが電極構造にさらに設けられる。第2の電極及び第3の電極は導電体からなる。第2の誘電体バリアは誘電体からなる。第2の電極の表面には、燃焼空間に露出する第2の露出表面がある。第3の電極の表面には、第2の誘電体バリアに被覆される第2の被覆表面がある。前駆放電は、第1の被覆表面と第2の被覆表面との間に進展する。主放電は、第1の露出表面と第2の露出表面との間に進展する。主放電は、第2の誘電体バリアの表面に沿う沿面放電をさらに含む。
本発明の第3の局面によれば、本発明の第1の局面において、第2の電極が電極構造にさらに設けられる。第2の電極の表面には、燃焼空間に露出する第2の露出表面がある。主放電は、第1の露出表面と第2の露出表面との間に進展する。前駆放電は、第1の被覆表面と第2の露出表面との間に進展する。
本発明の第4の局面によれば、本発明の第1の局面において、第2の電極と第2の誘電体バリアとが電極構造にさらに設けられる。第2の電極の表面には、燃焼空間に露出する第2の露出表面と、第2の誘電体バリアに被覆される第2の被覆表面とがある。前駆放電は、第1の被覆表面と第2の被覆表面との間に進展する。主放電は、第2の誘電体バリアの表面に沿う沿面放電をさらに含む。主放電は、第1の露出表面と第2の露出表面との間に進展する。
本発明の第5の局面によれば、本発明の第1の局面において、第2の電極と第2の誘電体バリアとが電極構造にさらに設けられる。第2の電極は導電体からなる。第2の誘電体バリアは誘電体からなる。燃焼容器の内面には、燃焼空間に露出する第2の露出表面がある。第2の電極の表面には、第2の誘電体バリアに被覆される第2の被覆表面がある。前駆放電は、第1の被覆表面と第2の被覆表面との間に進展する。主放電は、第1の露出表面と第2の露出表面との間に進展する。主放電は、第2の誘電体バリアの表面に沿う沿面放電をさらに含む。
本発明の第6の局面によれば、本発明の第1の局面において、燃焼容器の内面には、燃焼空間に露出する第2の露出表面がある。前駆放電は、第1の被覆表面と第2の露出表面との間に進展する。主放電は、第1の露出表面と第2の露出表面との間に進展する。
本発明の第7の局面によれば、本発明の第1から第7までのいずれかの局面において、前駆放電がストリーマ放電であり、主放電がアーク放電である。
本発明によれば、前駆放電が発生した領域に主放電の安定放電経路が形成され、主放電が安定して発生する。また、混合気の圧力が高くても阻害されにくい沿面放電を主放電が含み、主放電が安定して発生する。さらに、主放電が3次元的に大きく広がり、生成する活性種が増加し、火炎が3次元的に大きく広がり、燃焼速度及び燃焼効率が向上する。加えて、主放電が発生する場所の近くの構造物の熱容量が小さくなり、当該構造物に熱が奪われにくくなり、燃焼速度及び燃焼効率が向上する。
本発明の第7の局面によれば、安定放電経路が形成されやすくなり、強力な火炎が発生しやすくなる。
これらの及びこれら以外の本発明の目的、特徴、局面及び利点は、添付図面とともに考慮されたときに下記の本発明の詳細な説明によってより明白となる。
第1実施形態の電極構造の斜視図である。 第1実施形態の放電の遷移を示す断面図である。 第1実施形態の放電の遷移を示す断面図である。 第1実施形態の放電の遷移を示す断面図である。 第2実施形態の電極構造の斜視図である。 第3実施形態の電極構造の斜視図である。 第4実施形態の電極構造の斜視図である。 第4実施形態の放電の遷移を示す断面図である。 第4実施形態の放電の遷移を示す断面図である。 第4実施形態の放電の遷移を示す図である。 第5実施形態の電極構造の斜視図である。 第5実施形態の放電の遷移を示す断面図である。 第5実施形態の放電の遷移を示す断面図である。 第5実施形態の放電の遷移を示す断面図である。 第6実施形態の電極構造の斜視図である。 第6実施形態の放電の遷移を示す図である。 第6実施形態の放電の遷移を示す図である。 第6実施形態の放電の遷移を示す図である。 第7実施形態の電極構造の斜視図である。 第7実施形態の放電の遷移を示す断面図である。 第7実施形態の放電の遷移を示す断面図である。 第7実施形態の放電の遷移を示す断面図である。 第8実施形態の点火装置の模式図である。 パルス列の模式図である。
{第1実施形態}
第1実施形態は、内燃機関の燃焼容器に形成された燃焼空間(燃焼室)を満たす混合気への点火方法及び点火に使用される電極構造に関する。
(電極構造)
図1は、第1実施形態の電極構造の模式図(斜視図)である。
図1に示すように、電極構造1000は、アノード1002、カソード1004、誘導電極1006、アノード被覆1008、誘導電極被覆1010及びアノード支持体1012を備える。アノード1002の表面には、燃焼空間Sに露出する露出表面1014とアノード被覆1008に被覆される被覆表面1016とがある。カソード1004の表面には、燃焼空間Sに露出する露出表面1018がある。誘導電極1006の表面には、誘導電極被覆1010に被覆される被覆表面1020がある。
アノード1002がカソードとして使用され、カソード1004がアノードとして使用されてもよい。放電の始点及び終点が入れ替えられてもよく、放電の進展の方向が変更されてもよい。これらのことは、全部の実施形態において共通である。
(放電の遷移)
図2、図3及び図4は、電極構造1000が点火に使用される場合の放電の遷移を示す模式図(A−A断面図)である。
電極構造1000は、図2に示すように、従来のスパークプラグと同じく燃焼容器1022に取りつけられる。電極構造1000が燃焼容器1022に取りつけられると、アノード1002が燃焼容器1022の内面1023からとび出て、アノード1002の露出表面1014の露出表面1008が燃焼容器1022の内面1023から離れる。望ましくは、カソード1004も燃焼容器1022の内面1023からとび出る。
電極構造1000が燃焼容器1022に取りつけられた後に、アノード1002とカソード1004との間にパルス電圧が印加され、図3に示すように、アノード1002の被覆表面1016と誘導電極1006の被覆表面1020との間にアノード1002の被覆表面1016から誘導電極1006の被覆表面1020へ進展する前駆放電DIS1が発生する。前駆放電DIS1の発生に続いて、アノード1002とカソード1004との間へのパルス電圧の印加が継続され、図4に示すように、アノード1002の露出表面1014とカソード1004の露出表面1018との間にアノード1002の露出表面1014からカソード1004の露出表面1018へ進展する主放電DIS2が発生する。通常の場合は、前駆放電DIS1及び主放電DIS2は、電極構造1000が燃焼容器1022に取りつけられた後に繰り返し発生させられる。
主放電DIS2は、前駆放電DIS1が発生した後であって前駆放電DIS1により形成された安定放電経路が消失する前に発生する。このことは、全部の実施形態において共通である。
主放電DIS2は、アノード1002の露出表面1014からアノード被覆1008の表面1024に沿って進展し、前駆放電DIS1が発生した空間領域R1を経由し、誘導電極被覆1010の表面1026に沿って進展しカソード1004の露出表面1018へ至る。主放電DIS2は、アノード被覆1008の表面1024に沿う沿面放電CD1及び誘導電極被覆1010の表面1026に沿う沿面放電CD2を含み、前駆放電DIS1が発生した空間領域R1を経由する。これにより、混合気の圧力が高くても阻害されにくい沿面放電CD1及びCD2を主放電DIS2が含み、主放電DIS2が安定して発生する。
(安定放電経路の形成)
図1に示すように、誘導電極1006の被覆表面1020はアノード1002の被覆表面1016に近づけられる。アノード被覆1008と誘導電極被覆1010とは、燃焼空間Sを挟んで対向する。これにより、アノード被覆1008及び誘導電極被覆1010が誘電体バリアとなり、アノード1002とカソード1004との間にパルス電圧が印加されたときに初期に発生する前駆放電DIS1は、アノード被覆1008と誘導電極被覆1010とに挟まれた空間領域R1における誘電体バリア放電となる。誘電体バリア放電は、活性種を生成するプラズマを空間領域R1に発生させ、主放電DIS2の安定放電経路を空間領域R1に形成する。アノード被覆1008と誘導電極被覆1010とに挟まれる空間領域R1が存在するならば、アノード被覆1008の一部と誘導電極被覆1010の一部とが接触してもよい。
一般的には、一方の電極の露出表面と他方の電極の露出表面との間に発生する非誘電体バリア放電は、混合気の圧力、組成等の影響を受けやすく、安定して発生しない。しかし、電極構造1000が点火に使用される場合は、主放電DIS2の安定放電経路が空間領域R1に形成され、非誘電体バリア放電の主放電DIS2が安定して発生する。
安定放電経路の位置は、誘導電極1006の被覆表面1020の位置によって決まる。したがって、電極構造1000が点火に使用される場合は、主放電DIS2の放電経路が誘導電極1006の被覆表面1020の位置によって決まる。主放電DIS2の放電経路が制御されると、放電の形態が変化する電圧、放電が進展する距離及び方向等も制御され、内燃機関に適した放電を発生させることが容易になる。これらのことは、全部の実施形態において共通である。
(放電の形態)
前駆放電DIS1は、望ましくは、ストリーマ放電である。ストリーマ放電は、主放電DIS2の安定放電経路を形成するのに適するからである。主放電DIS2は、望ましくは、アーク放電である。アーク放電は、強力な火炎の発生に適するからである。パルス電圧の波形及び混合気の組成、圧力等によっては放電の形態がやや異なる場合もあるが、相対的に弱い前駆放電DIS1に続いて相対的に強い主放電DIS2を発生させることは同じである。これらのことは、全部の実施形態において共通である。
(アノード及びアノード被覆)
アノード1002は、棒形状を有し、カソード1004の開口1028の外縁1030、アノード支持体1012等の他の構造物からとび出る。これにより、主放電DIS2が3次元的に大きく広がり、生成する活性種が増加し、火炎が3次元的に大きく広がり、燃焼速度及び燃焼効率が向上する。また、主放電DIS2が発生する場所の近くの構造物の熱容量が小さくなり、当該構造物に熱が奪われにくくなり、燃焼速度及び燃焼効率が向上する。これらのことは、希薄燃焼に適した点火を可能にする。図1に示すアノード1002は直棒形状を有するが、アノード1002が曲棒形状を有してもよい。
アノード1002の露出表面1014はアノード1002の先端部分にあり、アノード1002の被覆表面1016はアノード1002の非先端部分にある。これにより、アノード1002の露出表面1014がカソード1004の露出表面1018から離れ、主放電DIS2が3次元的に大きく広がり、生成する活性種が増加し、火炎が3次元的に大きく広がり、燃焼速度及び燃焼効率が向上する。燃焼速度及び燃焼効率がやや低下することが許されるのであれば、アノード1002の露出表面1014がアノード1002の先端部分以外にあってもよい。
(カソード)
カソード1004は、管形状を有する。カソード1004は開口を有する形状物であればよい。カソード1004は、アノード支持体1012からとび出る。
カソード1004の露出表面1018は、カソード1004の表面の広範囲に広がる。ただし、カソード1004の表面のうち放電の終点となる領域、すなわち、誘導電極1006が接続される部分に近い面領域がカソード1004の露出表面1018であれば足り、カソード1004の表面のうち誘導電極1006が接続される部分から遠い面領域は露出表面及び被覆表面のいずれでもよい。
(誘導電極及び誘導電極被覆)
誘導電極1006は、誘導部1032及び接続部1034を備える。誘導部1032はリング形状を有し、接続部1034は直棒形状を有する。接続部1034は、誘導部1032から径方向外側へ放射状に延びカソード1004の開口1028の外縁1030へ至る。
誘導電極1006の被覆表面1020は、接続部1034の非先端部分及び誘導部1032にある。
誘導電極1006の露出表面1036は誘導電極被覆1010に被覆されない。誘導電極1006の露出表面1036は、接続部1034の先端部分にあり、カソード1004の開口1028の外縁1030に接続される。これにより、誘導電極1006は、カソード1004に電気的に接続され、カソード1004に機械的に保持される。
誘導電極1006は、カソード1004に電気的に接続されない浮遊電極であってもよい。したがって、誘導電極1006の表面の全部が誘導電極被覆1010に被覆されてもよい。誘導電極1006の表面の全部が誘導電極被覆1010に被覆される場合は、誘導電極1006がカソード1004の開口1028の外縁1030に直接的に接続されず、誘導電極1006が誘導電極被覆1010を挟んでカソード1004の開口1028の外縁1030に接続される。
誘導電極1006は、棒形状を有する。これにより、誘導電極1006の熱容量が小さくなり、誘導電極1006に奪われる熱が少なくなり、燃焼速度及び燃焼効率が向上する。
(材質及び膜厚)
アノード1002、カソード1004及び誘導電極1006は、導電体からなる。アノード1002、カソード1004及び誘導電極1006の材質は、望ましくは、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、タングステン(W)、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Rt)、白金(Pt)、イットリウム(Y)等の金属、これらの金属を基とする合金等から選択される。
アノード被覆1008及び誘導電極被覆1010は、誘電体からなる。アノード被覆1008及び誘導電極被覆1010の材質は、望ましくは、アルミナ等のセラミックス、フッ素樹脂等の樹脂等から選択される。アノード被覆1008及び誘導電極被覆1010は、膜形状物である。前駆放電DIS1の形態、アノード1002及び誘導電極1010の耐久性は、アノード被覆1008及び誘導電極被覆1010の材質及び膜厚により制御される。これらのことは、全部の実施形態において共通である。
(放電の均一性の向上)
望ましくは、電極構造1000において放電の始点及び終点となる部分は中心軸についての回転対称性を有する。すなわち、アノード1002は直棒形状を有し、カソード1004は円形の開口1028を有し、誘導電極1006の誘導部1032は円リング形状を有する。また、カソード1004の中心軸C1と誘導電極1006の誘導部1032の中心軸C2とは一致し、絶縁体からなるアノード支持体1012によりカソード1004の中心軸C1及び誘導電極1006の誘導部1032の中心軸C2の上にアノード1002が支持される。これにより、前駆放電DIS1及び主放電DIS2の放電距離が均一になり、アノード1002の周りに前駆放電DIS1及び主放電DIS2が均一に発生する。燃焼空間Sにおける電極構造1000等の配置、ガスの流れ等によっては、又は、燃焼に指向性がある場合等には、アノード1002、カソード1004及び誘導電極1006の誘導部1032の形状及び配置が変更されてもよい。
{第2実施形態}
第2実施形態は、第1実施形態の電極構造に代えて使用される電極構造に関する。第2実施形態の電極構造においては、第1実施形態の電極構造から誘導電極の構造が変更される。
(電極構造)
図5は、第2実施形態の電極構造2000の模式図(斜視図)である。
図5に示すように、電極構造2000は、アノード2002、カソード2004、誘導電極2006、アノード被覆2008、誘導電極被覆2010及びアノード支持体2012を備える。アノード2002の表面には、燃焼空間Sに露出する露出表面2014とアノード被覆2008に被覆される被覆表面2016とがある。カソード2004の表面には、燃焼空間Sに露出する露出表面2018がある。誘導電極2006の表面には、誘導電極被覆2010に被覆される被覆表面2020がある。第2実施形態のアノード2002、カソード2004、アノード被覆2008及びアノード支持体2012は、それぞれ、第1実施形態のアノード1002、カソード1004、アノード被覆1008及びアノード支持体1012と同じものである。
(放電の遷移)
電極構造2000が使用される場合も、電極構造2000は燃焼容器に取りつけられる。電極構造2000が燃焼容器に取りつけられると、アノード2002は燃焼容器の内面から飛び出て、アノード2002の露出表面2014が燃焼容器の内面から離れる。
電極構造2000が燃焼容器に取りつけられた後に、アノード2002とカソード2004との間にパルス電圧が印加され、アノード2002の被覆表面2016から誘導電極2006の被覆表面2020へ進展する前駆放電が発生する。アノード被覆2008及び誘導電極被覆2010は誘電体バリアとして機能し、前駆放電は誘電体バリア放電となる。前駆放電の発生に続いて、アノード2002とカソード2004との間へのパルス電圧の印加が継続され、アノード2002の露出表面2014からカソード2004の露出表面2018へ進展する主放電が発生する。主放電は、アノード被覆2008の表面2028に沿う沿面放電及び誘導電極被覆2010の表面2030に沿う沿面放電を含み、前駆放電が発生した空間領域を経由する。
(誘導電極及び誘導電極被覆)
誘導電極2006は棒形状を有する。
誘導電極2006の被覆表面2020は誘導電極2006の非両端部分にある。
誘導電極2006の露出表面2022は誘導電極被覆2010に被覆されない。誘導電極2006の露出表面2022は、誘導電極2006の両端部分にあり、カソード2004の開口2024の外縁2026に接続される。
誘導電極2006は、カソード2004に電気的に接続されない浮遊電極であってもよい。したがって、誘導電極2006の表面の全部が誘導電極被覆2010に被覆されてもよい。
(放電の均一性の向上)
望ましくは、誘導電極2006は直棒形状を有する。これにより、誘導電極2006の構造が単純になり、電極構造2000の製造が容易になる。また、一方の誘導電極2006と他方の誘導電極2006とは平行に配置され、アノード支持体2012により一方の誘導電極2006と他方の誘導電極2006との中間にアノード2002が支持される。これにより、前駆放電及び主放電の放電距離が均一になり、アノード2002の周りに前駆放電及び主放電が均一に発生する。燃焼速度及び燃焼効率がやや低下することが許されるのであれば、アノード2002、カソード2004及び誘導電極2006の形状及び配置が変更されてもよい。また、誘導電極2006の本数が1本又は3本以上であってもよい。
(実験)
第2実施形態の電極構造を使用して「放電の遷移」の欄で説明した放電を発生させた。また、誘導電極をアノードから離して「放電の遷移」の欄で説明した放電とは異なる発生させた。前者の場合は、1分間以上にわたって放電を継続しても電極構造2020は損傷しなかった。後者の場合は、パルス電圧のピーク電圧が18kVに達すると電極構造が損傷した。
{第3実施形態}
第3実施形態は、第1実施形態の電極構造に代えて使用される電極構造に関する。第3実施形態の電極構造においては、第1実施形態の電極構造から全体構造が変更される。
(電極構造)
図6は、第3実施形態の電極構造の模式図(斜視図)である。
図6に示すように、電極構造3000は、アノード3002、カソード3004、誘導電極3006、アノード被覆3008及び誘導電極被覆3010を備える。アノード3002の表面には、燃焼空間Sに露出する露出表面3012とアノード被覆3008に被覆される被覆表面3014とがある。カソード3004の表面には、燃焼空間Sに露出する露出表面3016がある。誘導電極3006の表面には、誘導電極被覆3010に被覆される被覆表面3018がある。
(放電の遷移)
電極構造3000が使用される場合も、電極構造3000は燃焼容器に取りつけられる。電極構造3000が燃焼容器に取りつけられると、アノード3002は燃焼容器の内面からとび出て、アノード3002の露出表面3012が燃焼容器の内面から離れる。
電極構造3000が燃焼容器に取りつけられた後に、アノード3002とカソード3004との間にパルス電圧が印加され、アノード3002の被覆表面3014から誘導電極3006の被覆表面3018へ進展する前駆放電が発生する。アノード被覆3008及び誘導電極被覆3010は誘電体バリアとして機能し、前駆放電は誘電体バリア放電となる。前駆放電の発生に続いて、アノード3002とカソード3004との間へのパルス電圧の印加が継続され、アノード3002の露出表面3012からカソード3004の露出表面3016へ進展する主放電が発生する。主放電は、アノード被覆3008の表面3022に沿う沿面放電及び誘導電極被覆3010の表面3024に沿う沿面放電を含み、前駆放電が発生した領域を経由する。
(アノード及びアノード被覆)
アノード3002は、棒形状を有し、カソード3004の取りつけ面3020からとび出る。これにより、主放電が3次元的に大きく広がり、生成する活性種が増加し、火炎が3次元的に大きく広がり、燃焼速度及び燃焼効率が向上する。また、主放電が発生する場所の近くの構造物の熱容量が小さくなり、当該構造物に熱が奪われにくくなり、燃焼速度及び燃焼効率が向上する。図6に示すアノード3002は円弧形又は弓形の曲棒形状を有するが、アノード3002が円弧形以外の曲棒形状を有してもよいし、直棒形状を有してもよい。
アノード3002の露出表面3012はアノード3002の中点部分にあり、アノード3002の被覆表面3014はアノード3002の非中点部分にある。これにより、アノード3002の露出表面3012がカソード3004の取りつけ面3020から離れ、主放電が3次元的に大きく広がり、生成する活性種が増加し、火炎が3次元的に大きく広がり、燃焼速度及び燃焼効率が向上する。
(カソード)
カソード3004は、取りつけ面3020を有する形状物である。
カソード3004の露出表面3016は、カソード3004の表面の広範囲に広がる。ただし、カソード3004の表面のうち放電の終点となる領域、すなわち、誘導電極3006が接続される部分に近い領域が露出表面3016であればよく、カソード3004の表面のうち誘導電極3006が接続される部分から遠い領域は露出表面及び被覆表面のいずれでもよい。
(誘導電極)
誘導電極3006は、棒形状を有する。誘導電極3006は、アノード3002の非中点部分に沿って延びる。望ましくは、誘導電極3006は、アノード3002の非中点部分と一定の距離を保って延びる。これにより、放電距離が均一になり、前駆放電及び主放電の均一性が向上する。誘導電極3006は、円弧形以外の曲棒形状を有してもよいし、直棒形状を有してもよい。
誘導電極3006の被覆表面3018は、非根元部分にある。
{第4実施形態}
第4実施形態は、内燃機関の燃焼容器に形成された燃焼空間を満たす混合気への点火方法及び点火に使用される電極構造に関する。第4実施形態の電極構造においては、第3実施形態の電極構造から誘導電極及び誘導電極被覆が省略される。第4実施形態の点火方法においては、前駆放電の終点がカソードの露出表面へ変更される。
(電極構造)
図7は、第4実施形態の電極構造の模式図(斜視図)である。
図7に示すように、電極構造4000は、アノード4002、カソード4004及びアノード被覆4006を備える。アノード4002の表面には、燃焼空間Sに露出する露出表面4008とアノード被覆4006に被覆される被覆表面4010とがある。カソード4004の表面には、燃焼空間Sに露出する露出表面4012がある。第4実施形態のアノード4002、カソード4004及びアノード被覆4006は、それぞれ、第3実施形態のアノード3002、カソード3004及びアノード被覆3008と同じものである。
第3実施形態の電極構造3000から誘導電極3006及び誘導電極被覆3010が省略されてもよいのと同じく、第1実施形態の電極構造1000から誘導電極1006及び誘導電極被覆1010が省略されてもよいし、第2実施形態の電極構造2000から誘導電極2006及び誘導電極被覆2010が省略されてもよい。
(放電の遷移)
図8、図9及び図10は、電極構造4000が点火に使用される場合の放電の遷移を示す模式図(断面図)である。
図8に示すように、電極構造4000は燃焼容器4014に取りつけられる。電極構造4000が燃焼容器4014に取りつけられると、アノード4002は燃焼容器4014の内面4015からとび出て、アノード4002の露出表面4008が燃焼容器4014の内面4015から離れる。
電極構造4000が燃焼容器4014に取りつけられた後に、アノード4002とカソード4004との間にパルス電圧が印加され、図9に示すように、アノード4002の被覆表面4010からカソード4004の露出表面4012へ進展する前駆放電DIS1が発生する。アノード被覆4006は誘電体バリアとして機能し、前駆放電DIS1は誘電体バリア放電となる。前駆放電DIS1の発生に続いて、アノード4002とカソード4004との間へのパルス電圧の印加が継続され、図10に示すように、アノード4002の露出表面4008からカソード4004の露出表面4012へ進展する主放電DIS2が発生する。
主放電DIS2は、アノード被覆4006の表面4014に沿う沿面放電CD1を含み、前駆放電DIS1が発生した空間領域R1を経由する。これにより、混合気の圧力が高くても阻害されにくい沿面放電CD1を主放電DIS2が含み、主放電DIS2が安定して発生する。
{第5実施形態}
第5実施形態は、内燃機関の燃焼容器に形成された燃焼空間を満たす混合気への点火方法及び点火に使用される電極構造に関する。第5実施形態の電極構造においては、第1実施形態の電極構造から誘導電極及び誘導電極被覆が省略され、カソードの構造が変更され、カソード被覆が設けられる。第5実施形態の点火方法においては、前駆放電の終点がカソードの被覆表面へ変更される。
(電極構造)
図11は、第5実施形態の電極構造の模式図(斜視図)である。
図11に示すように、電極構造5000は、アノード5002、カソード5004、アノード被覆5006、カソード被覆5008及びアノード支持体5010を備える。アノード5002の表面には、燃焼空間Sに露出する露出表面5012とアノード被覆5006に被覆される被覆表面5014とがある。カソード5004の表面には、燃焼空間Sに露出する露出表面5016とカソード被覆5008に被覆される被覆表面5018とがある。第5実施形態のアノード5002、アノード被覆5006及びアノード支持体5010は、それぞれ、第1実施形態のアノード1002、アノード被覆1008及びアノード支持体1012と同じものである。
(放電の遷移)
図12、図13及び図14は、電極構造5000が点火に使用される場合の放電の遷移を示す模式図(断面図)である。
図12に示すように、電極構造5000は燃焼容器5024に取りつけられる。電極構造5000が燃焼容器5024に取りつけられると、アノード5002は燃焼容器5024の内面5025から飛び出て、アノード5002の露出表面5012が燃焼容器5024の内面5025から離れる。
電極構造5000が燃焼容器5024に取りつけられた後に、アノード5002とカソード5004との間にパルス電圧が印加されると、図13に示すように、アノード5002の被覆表面5018からカソード5004の被覆表面5018へ進展する前駆放電DIS1が発生する。アノード被覆5006及びカソード被覆5008は誘電体バリアとして機能し、前駆放電DIS1は誘電体バリア放電となる。前駆放電DIS1の発生に続いて、アノード5002とカソード5004との間へのパルス電圧の印加が継続され、図14に示すように、アノード5002の露出表面5012からカソード5004の露出表面5016へ進展する主放電DIS2が発生する。
主放電DIS2は、アノード被覆5006の表面5026に沿う沿面放電CD1及びカソード被覆5008の表面5028に沿う沿面放電CD2を含み、前駆放電DIS1が発生した空間領域R1を経由する。これにより、混合気の圧力が高くても阻害されにくい沿面放電CD1及びCD2を主放電DIS2が含み、主放電DIS2が安定して発生する。
(カソード及びカソード被覆)
図11に示すように、カソード5004は、本体部5020と誘導部5022とを備える。本体部5020は、管形状を有する。誘導部5022は、扁平リング形状又は平ワッシャー形状を有する。誘導部5022は、本体部5020から径方向内側へ延びる。カソード5004の被覆表面5018は、アノード5002の被覆表面5014に近づけられる。
カソード5004の露出表面5016は、本体部5020の表面の広範囲に広がる。ただし、本体部5020の表面のうち放電の終点となる領域、すなわち、誘導部5022が接続される部分に近い領域が露出表面5016であればよく、カソード5004の表面のうち誘導部5022が接続される部分から遠い領域は露出表面及び被覆表面のいずれでもよい。
カソード5004の被覆表面5018は、誘導部5022にある。
(放電の均一性の向上)
望ましくは、電極構造5000は、中心軸についての回転対称性を有する。すなわち、アノード5002は直棒形状を有し、カソード5004の本体部5020は円管形状を有し、カソード5004の誘導部5022は円形の開口5026を有する。また、カソード5004の本体部5020の中心軸C3及びカソード5004の誘導部5022の中心軸C4とは一致し、アノード支持体5010によりカソード5004の本体部5020の中心軸C3及びカソード5004の誘導部5022の中心軸C4の上にアノード5002が支持される。これにより、前駆放電DIS1及び主放電DIS2の放電距離が均一になり、アノード5002の周りに前駆放電DIS1及び主放電DIS2が均一に発生する。燃焼速度及び燃焼効率がやや低下することが許されるのであれば、アノード5002及びカソード5004の形状及び配置が変更されてもよい。
{第6実施形態}
第6実施形態は、内燃機関の燃焼容器に形成された燃焼空間を満たす混合気への点火方法及び点火に使用される電極構造に関する。第6実施形態においては、主放電の終点が燃焼容器の露出表面になる。
(電極構造)
図15は、第6実施形態の電極構造の模式図(斜視図)である。
図15に示すように、電極構造6000は、アノード6002、誘導電極6004、アノード被覆6006及び誘導電極被覆6008を備える。燃焼容器6010はカソードとして用いられる。アノード6002の表面には、燃焼空間Sに露出する露出表面6012とアノード被覆6006に被覆される被覆表面6014とがある。燃焼容器6010の内面には、燃焼空間Sに露出する露出表面6016がある。誘導電極6004の表面には、誘導電極被覆6008に被覆される被覆表面6018がある。
(放電の遷移)
図16、図17及び図18は、電極構造6000が点火に使用される場合の放電の遷移を示す模式図(断面図)である。
図16に示すように、電極構造6000は燃焼容器6010に取りつけられる。電極構造6000が燃焼容器6010に取りつけられると、アノード6002は燃焼容器6010の内面6024からとび出て燃焼空間Sを横切り、アノード6002の露出表面6012が燃焼容器6010の内面6024から離れる。
電極構造6000が燃焼容器6010に取りつけられた後に、アノード6002と燃焼容器6010との間にパルス電圧が印加され、図17に示すように、アノード6002の被覆表面6014から誘導電極6004の被覆表面6018へ進展する前駆放電DIS1が発生する。アノード被覆6006及び誘導電極被覆6008は誘電体バリアとして機能し、前駆放電DISは誘電体バリアとして機能する。前駆放電DIS1の発生に続いて、図18に示すように、アノード6002の露出表面6012から燃焼容器6010の露出表面6016へ進展する主放電DIS2が発生する。
主放電DIS2は、アノード6002の露出表面6012からアノード被覆6006の表面6020に沿って進展し、前駆放電DIS1が発生した空間領域R1を経由し、誘導電極被覆6008の表面6022に沿って進展し燃焼容器6010の露出表面6016へ至る。主放電DIS2は、アノード被覆6006の表面6020に沿う沿面放電CD1及び誘導電極被覆6008の表面6022に沿う沿面放電CD2を含み、前駆放電DIS1が発生した空間領域R1を経由する。これにより、混合気の圧力が高くても阻害されにくい沿面放電CD1及びCD2を主放電DIS2が含み、主放電DIS2が安定して発生する。
(アノード6002)
アノード6002は、棒形状を有する。アノード6002は、燃焼容器6010の内面6024からとび出る。これにより、主放電DIS2が3次元的に大きく広がり、火炎が3次元的に大きく広がり、燃焼速度及び燃焼効率が向上する。また、主放電DIS2が発生する場所の近くの構造物の熱容量が小さくなり、当該構造物に熱が奪われにくくなり、燃焼速度及び燃焼効率が向上する。図15に示すアノード6002は直棒形状を有するが、アノード6002が曲棒形状を有してもよい。
アノード6002の露出表面6012はアノード6002の中点部分にあり、アノード6002の被覆表面6014はアノード6002の非中点部分にある。これにより、アノード6002の露出表面6012が燃焼容器6010の内面から離れ、主放電DIS2が3次元的に大きく広がり、火炎が3次元的に大きく広がり、燃焼速度及び燃焼効率が向上する。
(誘導電極6004)
誘導電極6004は、棒形状を有する。誘導電極6004は、アノード6002の非中点部分に沿って延びる。望ましくは、誘導電極6004は、アノード6002の非中点部分と一定の距離を保って延びる。これにより、放電距離が均一になり、前駆放電DIS1及び主放電DIS2の均一性が向上する。図15に示す誘導電極6004は直棒形状を有するが、誘導電極が曲棒形状を有してもよい。
誘導電極6004の被覆表面6018は、誘導電極6004の非根元部分にある。
誘導電極6004の露出表面6022は誘電体被覆に被覆されない。誘導電極6004の露出表面6022は、誘導電極6004の根元部分にあり、燃焼容器6010の内面6016に接続される。これにより、誘導電極6004は、燃焼容器6010に電気的に接続され、燃焼容器6010に機械的に保持される。
誘導電極6004の露出表面6022が誘導電極6004の根元部分にあるのは、誘導電極6004を燃焼容器6010に電気的に接続するためである。しかし、誘導電極6004は、燃焼容器6010に電気的に接続されない浮遊電極であってもよい。したがって、誘導電極6004の表面の全部が誘導電極被覆6008に被覆されてもよい。
(燃焼容器6010)
燃焼容器6010は導電体からなる。燃焼容器6010の露出表面6016は、燃焼容器6010の内面6016の広範囲に広がる。ただし、燃焼容器6010の内面6016のうち放電の終点となる領域、すなわち、誘導電極6004が接続される部分に近い領域が露出表面6016であればよく、燃焼容器6010の内面のうち誘導電極6004が接続される部分から遠い領域は露出表面及び被覆表面のいずれでもよい。
{第7実施形態}
第7実施形態は、内燃機関の燃焼容器に形成された燃焼空間を満たす混合気への点火方法及び点火に使用される電極構造に関する。第7実施形態の電極構造においては、第6実施形態の電極構造から誘導電極が省略される。第7実施形態においては、前駆放電及び主放電の終点が燃焼容器の露出表面になる。
(電極構造)
図19は、第7実施形態の電極構造の模式図(斜視図)である。
図19に示すように、電極構造7000は、アノード7002及びアノード被覆7004を備える。燃焼容器7010はカソードとして用いられる。アノード7002の表面には、燃焼空間Sに露出する露出表面7006とアノード被覆7004に被覆される被覆表面7008とがある。燃焼容器7010の内面には、燃焼空間Sに露出する露出表面7012がある。第7実施形態のアノード7002及びアノード被覆7004は、第6実施形態のアノード6002及びアノード被覆6006と同じものである。
(放電の遷移)
図20、図21及び図22は、電極構造7000が点火に使用される場合の放電の遷移を示す模式図(断面図)である。
図20に示すように、電極構造7000は燃焼容器7010に取りつけられる。電極構造7000が燃焼容器7010に取りつけられると、アノード7002は燃焼容器7010の内面7012からとび出て燃焼空間Sを横切り、アノード7002の露出表面7006が燃焼容器7010の内面7012から離れる。
電極構造7000が燃焼容器7010に取りつけられた後に、アノード7002と導電体からなる燃焼容器7010との間にパルス電圧が印加され、図21に示すように、アノード7002の被覆表面7006から燃焼容器7010の露出表面7012へ進展する前駆放電DIS1が発生する。アノード被覆7004は誘電体バリアとして機能し、前駆放電DIS1は誘電体バリア放電となる。前駆放電DIS1の発生に続いて、図22に示すように、アノード7002の露出表面7006から燃焼容器7010の露出表面7012へ進展する主放電DIS2が発生する。
主放電DIS2は、アノード被覆7004の表面7014に沿う沿面放電CD1を含み、前駆放電DIS1が発生した空間領域R1を経由する。これにより、混合気の圧力が高くても阻害されにくい沿面放電CD1を主放電DIS2が含み、主放電DIS2が安定して発生する。
{第8実施形態}
第8実施形態は、内燃機関の燃焼容器に形成された燃焼空間を満たす混合気に点火する点火装置に関する。
図23に示すように、点火装置8000は、パルス電源8002、ケーブル8004及び電極構造8006を備える。電極構造8006には、他の実施形態の電極構造のいずれかが使用される。パルス電源8002と電極構造8006とはケーブル8004により接続され、パルス電源8002が発生したパルス電圧は伝送経路のケーブル8004を経由してアノードとカソードとの間に供給される。
パルス電源8002の形式は制限されないが、インダクタ、トランス等の誘導性素子に蓄積された誘導エネルギーを放出することによりパルス電圧を発生する誘導エネルギー蓄積型であることが望ましい。誘導エネルギー蓄積型のパルス電源は、著しく大きいエネルギーを供給できるからである。
図24は、アノードとカソードとの間に印加されるパルス列の波形の模式図である。パルス列PLの各々のパルスPにおいては、上記の前駆放電DIS1及び主放電DIS2が発生し、火炎が発生する。したがって、パルス列が印加されると、各々のパルスごとに点火が行われる。
本発明は詳細に示され記述されたが、上記の記述は全ての局面において例示であって限定的ではない。しがって、本発明の範囲からはずれることなく無数の修正及び変形が案出されうると解される。特に、一の実施形態の技術的事項と他の実施形態の技術的事項とを組み合わせることは当然に予定されている。
1000,2000,3000,4000,5000,6000,7000 電極構造
1002,2002,3002,4002,5002,6002,7002 アノード
1004,2004,3004,4004,5004 カソード
1006,2006,3006,6004 誘導電極
1008,2008,3008,4006,5006,7004 アノード被覆
1010,2010,3010,6008 誘導電極被覆
1022,4014,5024,6010,7010 燃焼容器
DIS1 前駆放電
DIS2 主放電
S 燃焼空間

Claims (7)

  1. 内燃機関の燃焼容器に形成された燃焼空間を満たす混合気への点火方法であって、
    (a) 電極構造を前記燃焼容器に取りつける工程と、
    (b) 前記工程(a)の後に前駆放電を発生させる工程と、
    (c) 前記工程(b)に続いて主放電を発生させる工程と、
    を備え、
    前記電極構造は、
    導電体からなり棒形状を有し前記燃焼容器の内面からとび出る第1の電極と、
    誘電体からなる第1の誘電体バリアと、
    を備え、
    前記第1の電極の表面には、
    前記燃焼空間に露出する第1の露出表面と、
    前記第1の誘電体バリアに被覆される第1の被覆表面と、
    があり、
    前記工程(b)は、
    前記第1の被覆表面を始点又は終点として前記前駆放電を進展させ、
    前記工程(c)は、
    前記第1の誘電体バリアの表面に沿う沿面放電を含み前記前駆放電を発生させた空間領域を経由する前記主放電を前記第1の露出表面を始点又は終点として進展させる
    点火方法。
  2. 請求項1の点火方法において、
    前記電極構造は、
    導電体からなる第2の電極と、
    導電体からなる第3の電極と、
    誘電体からなる第2の誘電体バリアと、
    をさらに備え、
    前記第2の電極の表面には、
    前記燃焼空間に露出する第2の露出表面、
    があり、
    前記第3の電極の表面には、
    前記第2の誘電体バリアに被覆される第2の被覆表面、
    があり、
    前記工程(b)は、
    前記第1の被覆表面と前記第2の被覆表面との間に前記前駆放電を進展させ、
    前記工程(c)は、
    前記第2の誘電体バリアの表面に沿う沿面放電をさらに含む前記主放電を前記第1の露出表面と前記第2の露出表面との間に進展させる
    点火方法。
  3. 請求項1の点火方法において、
    前記電極構造は、
    導電体からなる第2の電極、
    をさらに備え、
    前記第2の電極の表面には、
    前記燃焼空間に露出する第2の露出表面、
    があり、
    前記工程(b)は、
    前記第1の被覆表面と前記第2の露出表面との間に前記前駆放電を進展させ、
    前記工程(c)は、
    前記第1の露出表面と前記第2の露出表面との間に前記主放電を進展させる
    点火方法。
  4. 請求項1の点火方法において、
    前記電極構造は、
    導電体からなる第2の電極と、
    誘電体からなる第2の誘電体バリアと、
    をさらに備え、
    前記第2の電極の表面には、
    前記燃焼空間に露出する第2の露出表面と、
    前記第2の誘電体バリアに被覆される第2の被覆表面と、
    があり、
    前記工程(b)は、
    前記第1の被覆表面と前記第2の被覆表面との間に前記前駆放電を進展させ、
    前記工程(c)は、
    前記第2の誘電体バリアの表面に沿う沿面放電をさらに含む前記主放電を前記第1の露出表面と前記第2の露出表面との間に進展させる
    点火方法。
  5. 請求項1の点火方法において、
    前記電極構造は、
    導電体からなる第2の電極と、
    誘電体からなる第2の誘電体バリアと、
    をさらに備え、
    前記燃焼容器の内面には、
    前記燃焼空間に露出する第2の露出表面、
    があり、
    前記第2の電極の表面には、
    前記第2の誘電体バリアに被覆される第2の被覆表面、
    があり、
    前記工程(b)は、
    前記第1の被覆表面と前記第2の被覆表面との間に前記前駆放電を進展させ、
    前記工程(c)は、
    前記第2の誘電体バリアの表面に沿う沿面放電をさらに含む前記主放電を前記第1の露出表面と前記第2の露出表面との間に進展させる
    点火方法。
  6. 請求項1の点火方法において、
    前記燃焼容器の内面には、
    前記燃焼空間に露出する第2の露出表面、
    があり、
    前記工程(b)は、
    前記第1の被覆表面と前記第2の露出表面との間に前記前駆放電を進展させ、
    前記工程(c)は、
    前記第1の露出表面と前記第2の露出表面との間に前記主放電を進展させる
    点火方法。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれかの点火方法において、
    前記前駆放電がストリーマ放電であり、前記主放電がアーク放電である
    点火方法。
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