JP2012048114A - カラーレンズ - Google Patents

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Abstract

【課題】使用者の要求に応じた色濃度のカラーレンズを提供すること。
【解決手段】基材上に、透過軸方向が異なる少なくとも2枚の偏光膜を有することを特徴とするカラーレンズ。
【選択図】なし

Description

本発明は、カラーレンズに関するものであり、詳しくは、高濃度染色レンズ相当の低視感透過率を達成し得るカラーレンズに関するものである。
近年、市場に流通する眼鏡レンズの多くは、ファッション性、遮光性付与等を目的として着色されているカラーレンズである。
カラーレンズは、主にプラスチックレンズ基材に染色を施すことにより製造される。プラスチックレンズ基材を染色する方法としては、基材を染色液に浸漬する浸漬法が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。また、特許文献2では、基材上に設けたハードコート膜を染色することにより、カラーレンズを製造する方法が提案されている。
特許第3448616号公報 特開2008−76965号公報
カラーレンズの使用者は、使用目的や好みに応じた着色濃度のカラーレンズを選択するが、使用者が高い着色濃度のカラーレンズを嗜好する場合には、上記従来の技術では、以下の課題があった。
プラスチックレンズが発売された当初は屈折率が1.50程度のものが主流であったが、眼鏡レンズの薄肉化に伴い、今日では屈折率が1.6〜1.65程度のものが標準として取り扱われ、更には屈折率が1.7を超えるものも広く出回っている。しかし、高屈折率のレンズ基材は染色性に乏しいため、基材を浸漬する染色液の色素濃度を高めたとしても、高濃度に染色することは困難である。
一方、特許文献2で提案されている方法では、ハードコート膜の組成を染色されやすいものに変更することになるが、染色性とハードコート膜に求められる機能(耐スクラッチ性等)を両立する組成を見出すためには、多くの試行錯誤を繰り返す必要がある。
以上の通り、従来の技術では、使用者の要求に応じた着色濃度のカラーレンズを得ることは、必ずしも容易ではなかった。
かかる状況下、本発明は、使用者の要求に応じた色濃度のカラーレンズを提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、以下の新たな知見を得た。
近年、溶接作業、医療分野等の特殊作業やスキー等の各種スポーツ中に防眩メガネとして、レンズ基材上に偏光膜を形成した偏光レンズが用いられている。偏光膜は、主に二色性色素が一軸配向することにより透過軸が規定される。自然光が偏光板を通過すると、透過軸に平行な方向の振動は通過するが、透過軸に垂直な方向の振動は吸収されて通過できないので一定方向のみに振動する光(直線偏光)が得られる。偏光レンズは、この偏光膜の性質を利用することにより、乱反射をカットしたり眩しさを和らげるものであるが、本発明者は、上記偏光膜の有する以下の機能に着目した。
自然光を1枚の偏光膜を通過させることにより得られた直線偏光の進行方向に垂直に新たな偏光膜を置き、該偏光膜を回転させると、偏光膜の透過軸と直線偏光の振動方向が平行なときには光はほとんど透過するが、徐々に透過する光が少なくなり振動方向と透過軸が垂直のときは遮断される。この2枚目の偏光膜を透過した光の強度は、1枚目の偏光膜と2枚目の偏光膜の透過軸がなす角度θから、以下のように求めることができる。
光の中で物質の発光(光吸収や光放出)に関与する成分は電界成分である。1枚目の偏光膜を通過した光(直線偏光)の電界は、2枚目の偏光膜の透過軸に平行な成分と垂直な成分に分けることができる。平行な成分だけが2枚目の偏光膜を通過ことができ、その電界の大きさは、1枚目の偏光膜を通過した光の電界の大きさをEとすると、Ecosθとなる。光の強度は電界の大きさの二乗に比例するため、2枚目の偏光膜を通過した光の強度IはE cosθとなり、1枚目の偏光膜を通過した光の強度をIとすると、I=Icosθとなる。更に、2枚目の偏光膜を通過した直線偏光の進行方法に垂直に新たな偏光膜を配置すると、同様に配置する角度によって透過する光の強度を変えることができる。
以上説明したように、複数の偏光膜を透過軸方向が異なるように配置することにより、透過する光の強度を弱めることができる。透過する光の強度は、視覚的に認識される明暗に対応し、透過する光の強度が弱いと視覚的には高濃度に染色された状態と同様に認識される。
本発明者は、以上の知見に基づき、基材上に、透過軸方向が異なる少なくとも2枚の偏光膜を配置すれば、透過軸のなす角度によって視認される色濃度を制御することができ、これにより使用者の要求に応じた色濃度のカラーレンズを提供できることを見出すに至った。
本発明は、以上の知見に基づき完成された。
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]基材上に、透過軸方向が異なる少なくとも2枚の偏光膜を有することを特徴とするカラーレンズ。
[2]基材の入射面側と反射面側にそれぞれ偏光膜を有する[1]に記載のカラーレンズ。
[3]視感透過率が30%以下である[1]または[2]に記載のカラーレンズ。
[4]前記基材は染色されている、[1]〜[3]のいずれかに記載のカラーレンズ。
[5]連続する2枚の偏光膜が、透過軸が10〜80°の角度をもって交差するように配置されている、[1]〜[4]のいずれかに記載のカラーレンズ。
更に本発明によれば、
[6]上記[1]〜[5]のいずれかに記載のカラーレンズの製造方法であって、所望の視感透過率に基づき上記偏光膜の透過軸がなす角度を決定し、決定した角度をもって透過軸が配置されるように上記偏光膜を形成することを含む前記製造方法、
も提供される。
本発明によれば、基材の染色濃度やハードコート膜の組成変更によらず、偏光膜のなす角度を制御することによって、所望の色濃度のカラーレンズを提供することができる。
本発明のカラーレンズの層構成の具体例を示す。 2枚の偏光膜の透過軸の位置関係を示す説明図である。
本発明のカラーレンズは、基材上に、透過軸方向が異なる少なくとも2枚の偏光膜を有する。先に説明したように、本発明によれば、複数の偏光膜の透過軸がなす角度により色濃度を制御することができ、これにより所望の色濃度のカラーレンズを提供することができる。
以下、本発明のカラーレンズについて、更に詳細に説明する。なお本発明のカラーレンズに含まれる複数の偏光膜は、それぞれ平行に配置された複数の直線状の透過軸を有するものとする。
基材
前記基材としては、特に限定されるものではなく、プラスチック、無機ガラス等を挙げることができる。プラスチックとしては、例えばメチルメタクリレート単独重合体、メチルメタクリレートと1種以上の他のモノマーとの共重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネート単独重合体、ジエチレングリコールビスアリルカーボネートと1種以上の他のモノマーとの共重合体、イオウ含有共重合体、ハロゲン共重合体、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリチオウレタン、エピチオ基を有する化合物を材料とする重合体、スルフィド結合を有するモノマーの単独重合体、スルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリスルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体、ポリジスルフィドと一種以上の他のモノマーとの共重合体等などが挙げられる。基材の厚さは、特に限定されるものではないが、通常1〜30mm程度である。また、その上に偏光膜が形成される基材の表面形状は特に限定されず、平面、凸面、凹面等の任意の形状であることができる。
前記基材は、それ自体が染色されていてもよく、無染色であってもよい。基材の染色方法としては、前述の浸漬法を用いることができる。その詳細については、例えば特開2009−262481号公報段落[0024]〜[0027]を参照できる。前述のように、特に高屈折率レンズ基材については、基材を染色するのみでは所望の色濃度を達成することが困難な場合がある。これに対し本発明によれば、染色を補助する役割を複数の偏光膜が担うことができるため、基材の染色のみでは高い色濃度を達成することが困難な場合であっても所望の色濃度のカラーレンズを得ることができる。
偏光膜
一般的な偏光レンズの偏光性は、主に偏光膜において二色性色素が一軸配向することにより発現される。したがって本発明のカラーレンズに含まれる偏光膜も、二色性色素を含むことが好ましい。「二色性」とは、媒質が光に対して選択吸収の異方性を有するために、透過光の色が伝播方向によって異なる性質を意味し、二色性色素は、偏光光に対して色素分子のある特定の方向で光吸収が強くなり、これと直交する方向では光吸収が小さくなる性質を有する。また、二色性色素の中には、水を溶媒とした時、ある濃度・温度範囲で液晶状態を発現するものが知られている。このような液晶状態のことをリオトロピック液晶という。この二色性色素の液晶状態を利用して特定の一方向に色素分子を配列させることができれば、より強い二色性を発現することが可能となる。例えば、溝を形成した表面上に二色性色素を含有する塗布液を塗布することにより二色性色素を一軸配向させることができ、これにより良好な偏光性能を有する偏光膜を形成することができる。
本発明において偏光膜に含まれる二色性色素としては、特に限定されるものではなく、偏光部材に通常使用される各種二色性色素を挙げることができる。具体例としては、アゾ系、アントラキノン系、メロシアニン系、スチリル系、アゾメチン系、キノン系、キノフタロン系、ペリレン系、インジゴ系、テトラジン系、スチルベン系、ベンジジン系色素等が挙げられる。また、米国特許2400877号明細書、特表2002−527786号公報に記載されているもの等でもよい。二色性色素が呈する色によりカラーレンズの色調が決定されるため、所望の色調に応じて使用する二色性色素を決定することが好ましい。
二色性色素を一軸配向させるためには、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムに二色性色素を含浸させた後、該フィルムを一軸延伸する方法、二色性色素を含む塗布液を溝を有する表面上に塗布する方法が一般的に採用されている。偏光膜を後者の方法、即ち溝を有する表面に塗布液を塗布して形成する場合、二色性色素を一軸配向させるための溝は、基材表面に形成してもよいが、基材上に設けた配列層の表面に形成することが、二色性色素の偏光性を良好に発現させるうえで有利である。
上記配列層は、通常、基材上に直接または他の層を介して間接的に設けられる。基材と配列層との間に形成され得る層の一例としては、公知のハードコート層、プライマー層等を挙げることができる。なお、レンズ基材としてはハードコート付きで市販されているものもあり、本発明ではそのようなレンズ基材上に配列層を形成することもできる。
上記配列層の厚さは、通常0.02〜5μm程度であり、好ましくは0.05〜0.5μm程度である。配列層は、蒸着、スパッタ等の公知の成膜法によって成膜材料を堆積させることにより形成してもよく、ディップ法、スピンコート法等の公知の塗布法によって形成してもよい。上記成膜材料として好適なものとしては、金属、半金属、またはこれらの酸化物、複合体もしくは化合物を挙げることができる。より好ましくは、Si、Al、Zr、Ti、Ge、Sn、In、Zn、Sb、Ta、Nb、V、Y、Crから選ばれる材料またはその酸化物、さらにはこれら材料の複合体もしくは化合物を用いることができる。これらの中でも配列層としての機能付与の容易性の観点からはSiO、SiO等のケイ素酸化物が好ましい。
一方、上記塗布法によって形成される配列層としては、無機酸化物ゾルを含むゾル−ゲル膜を挙げることができる。上記ゾル−ゲル膜の形成に好適な塗布液としては、アルコキシシラン、ヘキサアルコキシジシロキサンを無機酸化物ゾルとともに含む塗布液を挙げることができる。配列層としての機能付与の容易性の観点から、上記アルコキシシランは、好ましくは特開2009−237361号公報に記載の一般式(1)で表されるアルコキシシランであり、上記ヘキサアルコキシジシロキサンは、好ましくは特開2009−237361号公報に記載の一般式(2)で表されるヘキサアルコキシジシロキサンである。上記塗布液は、アルコキシシラン、ヘキサアルコキシジシロキサンのいずれか一方を含んでもよく、また両方を含んでもよい。更に必要に応じて特開2009−237361号公報に記載の一般式(3)で表される官能基含有アルコキシシランを含むこともできる。上記塗布液および成膜方法(塗布方法)の詳細については、特開2009−237361号公報段落[0011]〜[0023]、[0029]〜[0031]および同公報記載の実施例を参照できる。
次いで、通常、上記配列層上に塗布される塗布液中の二色性色素を一軸配向させるために配列層表面に溝を形成する。溝が形成された配列層表面に二色性色素を含む塗布液を塗布すると、二色性色素が溝に沿って、または溝と直交する方向に配向する。溝に沿って配向するか溝と直交する方向に配向するかは、使用する二色性色素の性質により定まる。そして、この二色性色素の配向方向により、偏光膜の透過軸方向が決定される。即ち、溝に沿って透過軸が形成されるか、溝と直交する方向に透過軸が形成されるかは、使用する二色性色素の性質により定まる。
上記溝の形成は、例えば、液晶分子の配向処理のために行われるラビング工程によって行うことができる。ラビング工程は、被研磨面を布などで一定方向に擦る工程であり、その詳細は、例えば米国特許2400877号明細書や米国特許4865668号明細書等を参照できる。または、特開2009−237361号公報段落[0033]〜[0034]に記載の研磨処理により、配列層上に溝を形成することも可能である。形成される溝の深さやピッチは、二色性色素を一軸配向させることができるように設定すればよい。
複数の偏光膜を含む本発明のカラーレンズの層構成の具体例としては、入射面側(物体側)から出射面側(眼球側)の順に、(1)偏光膜/基材/偏光膜、(2)基材/偏光膜/偏光膜、(3)偏光膜/偏光膜/基材、等を挙げることができる。なお、上記(1)〜(3)では基材および偏光膜以外は記載していないが、先に説明した配列層が偏光膜に隣接配置されていてもよい。配列層を有する態様を含む本発明のカラーレンズの具体例を、図1に示す。また、図1には示していないが、ハードコート層、プライマー層、保護層等の層を任意の位置に有することもできる。また、本発明のカラーレンズに含まれる偏光膜は2枚に限定されるものではなく、3枚、4枚、またはそれ以上の枚数であってもよい。この場合、本発明のカラーレンズは、連続する2枚の偏光膜の透過軸方向が異なればよく、1枚の偏光膜を挟んで配置される2枚の偏光膜の透過軸方向は一致(平行)していてもよい。連続する2枚の偏光膜の透過軸方向が異なれば、1枚目の偏光膜を透過した直線偏光の光の強度を2枚目の偏光膜によって弱めることができるからである。ここで「連続する2枚の偏光膜」とは、偏光膜間に更なる偏光膜が存在しないことを意味し、偏光膜間に配列層、基材等が配置されていても「連続する2枚の偏光膜」に該当するものとする。1枚の偏光膜の膜厚は、雲り(ヘイズ)が発生しない厚さとすることが好ましく、この点からは1.0μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましい。また、二色性色素を良好に配向させる観点から、1枚の偏光膜の膜厚は0.5μm以上であることが好ましい。
上記(1)の層構成を有するカラーレンズは、例えば、基材の入射面側と出射面側にそれぞれ配列層を形成し、これら配列層の上に二色性色素含有塗布液を塗布して偏光膜を形成することにより作製することができる。この場合、配列層表面に形成する溝の方向を二色性色素の性質に応じて決定することにより、所望の方向に透過軸を有する偏光膜を形成することができる。即ち、配列層表面に形成する溝の方向を二色性色素の性質に基づき決定することにより、基材の両面に位置する偏光膜の透過軸を所望の角度をもって配置することができる。また、配列層を設けず基材表面上に直接偏光膜を設ける場合には、基材表面に形成する溝の方向により、基材の両面に位置する偏光膜の透過軸を所望の角度をもって配置することができる。後述するように、色濃度は視感透過率を指標とすることができるため、本発明のカラーレンズを製造する際には、所望の視感透過率に基づき複数の偏光膜の透過軸がなす角度を決定し、決定した角度をもって透過軸が配置されるように偏光膜を形成することが好ましく、上記のように溝の方向により透過軸方向を規定する態様では、決定した角度をもって透過軸が配置されるように、配列層または基材表面に形成する溝の方向を決定することが好ましい。必要に応じて予備実験を行うことにより、偏光膜の透過軸がなす角度と視感透過率との相関関係を知ることができる。
以下、図2を参照し、連続する2枚の偏光膜の透過軸のなす角度について説明する。図2中、2枚の偏光膜の透過軸を実線で、その透過軸方向を斜線矢印で示す。入射面側から出射面側に向けて第一の偏光膜、第二の偏光膜の順に配置されている態様では、2枚の偏光膜の透過軸のなす角度をθとすると、θが0°超90°の範囲では先に計算式を示して説明したように、θが大きくなるほど第二の偏光膜を透過した光の強度は弱くなるため、視認される色濃度は高くなる。θが10°以上であれば、2枚の偏光膜を配置することによる色濃度向上を視覚的に十分に認識することができる。ただしθが90°では透過光が遮断され実用に適さないため、θは90°未満であることが好ましく、実用に適した色濃度のレンズを得るためには、θは80°以下であることが好ましい。したがって、本発明のカラーレンズの好ましい態様としては、連続した2枚の偏光膜の透過軸が10〜80°の角度をもって交差するように配置されているものを挙げることができる。また、連続する2枚の偏光膜の透過軸のなす角度は、所望の色濃度に応じて決定すればよい。色濃度は使用目的や使用者の好みに応じて決定されるものであるが、その指標としては視感透過率を用いることができる。一般に高濃度染色レンズに求められる色濃度は、視感透過率として50%以下であるため、本発明のカラーレンズも視感透過率50%以下であることが好ましく、更には視感透過率30%以下であることが好ましく、15%以下であることがより好ましい。また、実用上、本発明のカラーレンズの視感透過率は10%以上であることが好ましい。なお本発明における視感透過率とは、JIS T7330にしたがい測定された値とする。
二色性色素含有塗布液の塗布は、ディップ法、スピンコート法等の公知の方法により行うことができる。例えば、基材の入射面側と出射面側に形成した配列層に所望の方向の溝を形成したうえで、配列層付の基材を二色性塗布液中に浸漬することにより、透過軸が所望の角度をもって配置された2枚の偏光膜を形成することができる(ディップ法)。または、上記と同様に入射面側と出射面側に形成した配列層に所望の方向の溝を形成したうえで、両面にそれぞれスピンコートにより同種の二色性色素含有溶液を塗布することにより、透過軸が所望の角度をもって配置された2枚の偏光膜を形成することができる(スピンコート法)。なお、二色性色素含有溶液は、二色性色素の多くが水溶性であるため、通常、水を溶媒とする水溶液である。塗布液中の二色性色素の含有量は、例えば1〜50質量%程度であるが、所望の偏光性が得られればよく上記範囲に限定されるものではない。
塗布液は、二色性色素に加えて、他の成分を含むこともできる。他の成分としては、二色性色素以外の色素を挙げることができ、このような色素を配合することで所望の色相を有する偏光レンズを製造することができる。さらに塗布性等を向上させる観点から、必要に応じてレオロジー改質剤、接着性促進剤、可塑剤、レベリング剤等の添加剤を配合してもよい。
また、二色性色素含有溶液を塗布乾燥した後に、膜安定性を高めるために非水溶化処理を施すことが好ましく、また、膜強度および安定性を高めるために二色性色素の固定化処理(色素を固定するための保護層の形成)を施すことが好ましい。この固定化処理は非水溶化処理の後に行うことが望ましい。固定化処理により、偏光膜中で二色性色素の配向状態を固定化することができる。通常、固定化処理後に保護層は実質的に偏光膜と一体化する。この場合、保護層と一体化した偏光膜の膜厚は、前述の範囲であることが好ましい。上記非水溶化処理および固定化処理の詳細については、例えば特開2009−237361号公報段落[0035]、[0036]およびその実施例に記載があり、本発明でもこれらの記載を参照し上記処理を行うことができる。
以上の記載では、二色性色素含有溶液を溝を有する表面上に塗布することにより偏光膜を形成する態様について説明したが、本発明は上記態様に限定されるものではない。例えば、前述のようにポリビニルアルコール(PVA)フィルムに二色性色素を含浸させた後、該フィルムを一軸延伸する方法により作製された偏光フィルムを偏光膜として用いることもできる。このような偏光フィルムは、市販品として入手可能であり、または公知の方法で作製することもできる。偏光フィルムの透過軸方向は、公知の方法により容易に確認することができるため、確認された透過軸方向に基づき、複数の偏光フィルムを接着剤等を利用して基材上に、または他の偏光膜上に貼り付けることにより複数の偏光膜をそれぞれの透過軸が所望の方向に位置するように積層することができる。
以上説明したように本発明によれば、複数の偏光膜の透過軸のなす角度により、使用者の要求に応じた色濃度(視感透過率)を有するカラーレンズを提供することができる。本発明のカラーレンズは、前述の層に加えて、撥水膜、紫外線吸収膜、赤外線吸収膜、フォトクロミック膜、帯電防止膜、反射防止膜等の通常眼鏡レンズに含まれ得る各種の機能性膜を任意の位置に有することができる。また、それらの膜とレンズとの密着性を高めるために、プライマー層を設けることもできる。プライマー層としては、水系ポリウレタン樹脂組成物をはじめとする公知の接着層を何ら制限なく使用することができる。
以下に、実施例により本発明を更に説明する。但し、本発明は実施例に示す態様に限定されるものではない。
[実施例1、2]
(1)配列層の形成
レンズ基材として、入射面(物体側)が凸面、出射面(眼球側)が凹面のポリウレタンウレアンレンズ(HOYA株式会社製商品名フェニックス、屈折率1.53、ハードコート付き、直径70mm、ベースカーブ5、中心肉厚2.2mm)を用いて、レンズ両面にそれぞれ、真空蒸着法により、厚さ0.2μmのSiO膜を形成した。
レンズ両面に形成したSiO膜に、それぞれ研磨剤含有ウレタンフォーム(研磨剤:フジミインコーポレーテッド社製商品名POLIPLA203A、平均粒径0.8μmのAl23粒子、ウレタンフォーム:被研磨面の曲率とほぼ同形状)を用いて、一軸研磨処理を回転数350rpm、研磨圧50g/cm2の条件で30秒間施した。2枚のSiO膜に施す研磨処理において研磨方向を変えたため、2枚のSiO膜表面に形成された研磨痕(溝)は、角度θ(実施例1:θ=30°、実施例2:θ=45°)で交差していた。研磨処理を施したレンズは純水により洗浄、乾燥させた。
(2)偏光膜の形成
レンズを乾燥後、両研磨処理面上に、それぞれ水溶性の二色性色素(スターリング オプティクス インク(Sterling Optics Inc)社製商品名Varilight solution 2S)の約5質量%水溶液2〜3gを用いてスピンコートを施し、偏光膜を形成した。スピンコートは、色素水溶液を回転数300rpmで供給し、8秒間保持、次に回転数400rpmで45秒間保持、さらに1000rpmで12秒間保持することで行った。
次いで、塩化鉄濃度が0.15M、水酸化カルシウム濃度が0.2MであるpH3.5の水溶液を調製し、この水溶液に上記で得られたレンズをおよそ30秒間浸漬し、その後引き上げ、純水にて充分に洗浄を施した。この工程により、水溶性であった色素は難溶性に変換される(非水溶化処理)。
(3)固定化処理
上記(2)の後、レンズをγ−アミノプロピルトリエトキシシラン10質量%水溶液に15分間浸漬し、その後純水で3回洗浄し、加熱炉内(炉内温度85℃)で30分間加熱処理した後、炉内から取り出し室温まで冷却した。
上記冷却後、レンズをγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2質量%水溶液に30分浸漬した。上記固定化処理後、レンズを加熱炉内(炉内温度60℃)で30分間加熱処理した後、炉内から取り出し室温まで冷却した。以上の処理後、形成された偏光膜の厚さは、1枚あたり1.0μmであった。また、使用した二色性色素は、研磨痕に沿って吸収軸を形成する性質を有するものであったため、形成された偏光膜における吸収軸は、SiO膜上に形成した研磨痕と同様、一軸方向に揃った直線となった。透過軸は吸収軸と直交するため、形成された偏光膜における透過軸方向は、研磨痕と直交する方向となった。上記の通り2枚のSiO膜には角度θをもって交差するように研磨痕を形成したため、2枚の偏光膜の透過軸も角度θをもって交差するように配置された。
[実施例3]
配列層の形成前に、レンズ基材に以下の方法により染色処理を施した点以外、実施例1と同様の方法でレンズを得た。
(染色液の調製)分散染料(HOYA(株)製アリアーテローズグレー)を20gと非イオン系界面活性剤(日華化学(株)製ニッカサンソルト7000)8ccを4リットルの水に添加し、90℃に加熱して4時間保温し染料液とした。次いで、予め1リットルの水に、キャリアとして2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンを10gと非イオン系界面活性剤(日華化学(株)製ニッカサンソルト7000)を40g添加し、90℃に30分間保温した溶液の上澄み液を400ミリリットル量り取り、前記染料液に添加して染色液を得た。
(染色)90℃に加温された前記染色液にレンズ基材を30分間浸漬して染色されたプラスチックレンズ基材を得た。
視感透過率の測定
実施例1〜3で作製したレンズおよび参照レンズとして実施例3で染色したレンズ基材の視感透過率を、JIS T7330にしたがい測定した。結果を表1に示す。
上記表1に示す結果から、以下の点を確認することができる。
(1)実施例1と実施例2との対比から、2枚の偏光膜の透過軸のなす角度を大きくするほど視感透過率を下げることができること、即ち透過軸のなす角度によって色濃度を高めることができることが確認できる。
(2)2枚の偏光膜を透過軸が角度30°で交差するように配置した実施例3のレンズの視感透過率が参照レンズと比べて低かった(色濃度が高かった)ことから、複数の偏光膜が染色を補助する役割を果たしたことが確認できる。
[実施例4]
二色性色素溶液の塗布方法をディップ法に変更した点を除き、実施例1と同様の方法でレンズを得た。実施例4で得たレンズの視感透過率を上記方法で測定し、実施例1と同等であることを確認した。
以上の結果から、本発明によれば、複数の偏光膜の透過軸がなす角度を制御することにより所望の色濃度のカラーレンズが得られることが示された。このように偏光膜により色濃度が制御できることは、特に、基材の高濃度染色が困難な高屈折率レンズ基材を用いて、高い色濃度(低視感透過率)のカラーレンズを得る際にきわめて有利である。
本発明は、眼鏡レンズの製造分野において有用である。

Claims (5)

  1. 基材上に、透過軸方向が異なる少なくとも2枚の偏光膜を有することを特徴とするカラーレンズ。
  2. 基材の入射面側と反射面側にそれぞれ偏光膜を有する請求項1に記載のカラーレンズ。
  3. 視感透過率が30%以下である請求項1または2に記載のカラーレンズ。
  4. 前記基材は染色されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカラーレンズ。
  5. 連続する2枚の偏光膜が、透過軸が10〜80°の角度をもって交差するように配置されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカラーレンズ。
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