JP2012047587A - コンクリート用フライアッシュの活性度指数の予測方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンクリート用フライアッシュのJIS A 6201(1999)で規定されている活性度指数を短時間に知ることができる方法を得る。
【解決手段】コンクリート用フライアッシュのポゾラン反応によって得られたフライアッシュ硬化体の材齢7日以内、好ましくは3日以内での電気抵抗値を計測し、予め求めておいた活性度指数と電気抵抗値との相関関係に基づいてコンクリート用フライアッシュの活性度指数を求める。フライアッシュ硬化体の養生温度が20〜80℃であることが好ましく、電気抵抗値の計測が4電極法によって行うことが好ましい。
【選択図】図2

Description

この発明は、日本工業規格 JIS A 6201(1999)に規定されているコンクリート用フライアッシュの活性度指数を短時間に知ることができる予測方法に関する。
日本工業規格 JIS A 6201(1999)は、コンクリート用フライアッシュの品質、性能、用途等を規定している。コンクリート用フライアッシュの品質規定項目の一つに、活性度指数がある。この活性度指数は、フライアッシュにセメントなどのアルカリ分を加え、水分の存在下混練することで、カルシウムシリケート水和物、アルミニウムシリケート水和物、エトリンガイトなどの不溶性化合物を生成するポゾラン反応の反応性を示す指標である。
この活性度指数の測定は、JIS A 6201(1999)付属書(2)にその方法が具体的に記載されている。
試験モルタルとして、ポルトランドセメント337.5g、測定対象となるフライアッシュ112.5g、標準砂1350g、水225gからなるモルタルを混練し、型枠に流し込み、脱枠したのち、湿気箱中に24時間、水中に27日間もしくは90日間養生して圧縮強度測定用の試験モルタル硬化体を作成し、その材齢28日または91日での圧縮強度を測定する。
標準モルタルとして、ポルトランドセメント450g、標準砂1350g、水225gからなるモルタルを混練し、同様に養生して圧縮強度測定用の標準モルタル硬化体を作成し、その材齢28日または91日での圧縮強度を測定する。
そして、試験モルタル硬化体の圧縮強度を同一材齢での標準モルタル硬化体の圧縮強度で除して、その百分率を算出する方法で活性度指数を求める。
このようにして求められた活性度指数は、フライアッシュI種では材齢28日で90%以上、材齢91日で100%以上、フライアッシュII種では材齢28日で80%以上、材齢91日で90%以上と、フライアッシュIII種では材齢28日で80%以上、材齢91日で90%以上、フライアッシュIV種では材齢28日で60%以上、材齢91日で70%以上と定められている。
このJIS法による活性度指数の測定方法にあっては、したがって、活性度指数を得るためには、試験開始から28日あるいは91日の長期間を要する不都合があり、迅速な測定方法が求められている。
特開2008−304446号公報には、このような不都合を解決する方法として、フライアッシュのポゾラン活性度評価指数を求めるとともにポゾラン活性度評価指数と養生期間別のモルタル活性度指数との間の関係式を用いて養生期間別のモルタル活性度指数を求める方法が開示されている。
特開2009−121988号公報には、石炭灰のポゾラン活性を迅速、簡易に評価する方法として、石炭灰に含まれるガラス量と石炭灰の比表面積との積を指標とする方法が提案されている。
特開2008−304446号公報 特開2009−121988号公報
JIS A 6201(1999) 日本規格協会 「フライアッシュを混和したコンクリート及びモルタルの比抵抗の経時的変化」佐藤ら、コンクリート工学年次論文集、Vol.32,No.1,2010
本発明における課題は、コンクリート用フライアッシュのJIS A 6201(1999)で規定されている活性度指数を短時間に知ることができる方法を得ることにある。
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、日本工業規格 JIS A 6201(1999)に規定されたコンクリート用フライアッシュの活性度指数を予測する方法であって、
コンクリート用フライアッシュのポゾラン反応によって得られたフライアッシュ硬化体の材齢7日以内での電気抵抗値を計測し、予め求めておいた活性度指数と電気抵抗値との相関関係に基づいてコンクリート用フライアッシュの活性度指数を求めることを特徴とするコンクリート用フライアッシュの活性度指数の予測方法である。
請求項2にかかる発明は、フライアッシュ硬化体の養生温度が20〜80℃以上であることを特徴とする請求項1記載のコンクリート用フライアッシュの活性度指数の予測方法である。
請求項3にかかる発明は、電気抵抗値の計測が4電極法によって行われることを特徴とする請求項1記載のコンクリート用フライアッシュの活性度指数の予測方法である。
本発明の予測方法によれば、試験開始後7日以内という短時間で、フライアッシュの材齢28日あるいは91日での活性度指数をほぼ正確に知ることができる。このため、コンクリート用フライアッシュの品質試験に要する時間を大幅に短縮することができる。
本発明でのフライアッシュ硬化体を得るための型枠と電気抵抗値測定のための電極配置の一例を示す構成図である。 活性度指数と電気抵抗値との相関関係を示すグラフである。 養生温度60℃での各養生時間での活性度指数と電気抵抗値との相関関係を示すグラフである。
本発明では、コンクリート用フライアッシュにアルカリ分を加えてフライアッシュ硬化体とし、このフライアッシュ硬化体の初期材齢での電気抵抗値を計測して、その活性度指数を予測する。
コンクリート用フライアッシュに対して、アルカリ分として水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、水酸化カルシウム水溶液などの添加し、混練する。ついで、図1に示すように、この混練物1を直方体状の型枠2内に流し込む。型枠1には、例えばその内寸で、長さ57mm、幅45mm、深さ22mm程度のものが用いられる。
ついで、混練物1が硬化しないうちに、電気抵抗値測定のためのステンレス鋼からなる4個の電極31、32、33、34を混練物1に差し込む。電極31・・・は外径1mm、長さ42mmの棒状のもので、これを図示のように、長さ22mmが混練物1に埋まるように差し込む。各電極31・・・の間の間隔は10mmとする。
混練物1に4個の電極31、32、33、34を埋め込んだ状態の型枠2をついで、温度20〜80℃、相対湿度50〜70%の雰囲気中にて養生して混練物1を硬化する。
所定の養生時間が経過した硬化体について、4個の電極を用いるWenner法にて電気抵抗値を計測する。
電気抵抗の測定は、前出の「フライアッシュを混和したコンクリート及びモルタルの比抵抗の経時的変化」佐藤ら、コンクリート工学年次論文集、Vol.32,No.1,2010に記載された測定方法を参照し、外側の2つの電極31、34間に交流電源装置4から30V、70Hzの交流電流を電流計5を介して印加し、内側の2つの電極32、33間に生じる電位差を電圧計6にて測定し、これから電気抵抗値を算出する方法で行う。
この一連の操作に際して、コンクリート用フライアッシュとして予めその活性度指数が既知のものを複数種用い、アルカリ分となるアルカリ化合物の種類、その添加量、水結合材比、養生温度、養生湿度、養生時間、電極寸法、電極配置、印加電圧を一定として試験操作を実施し、活性度指数が異なる複数種のコンクリート用フライアッシュ硬化体それぞれの電気抵抗値を計測する。
この操作により、コンクリート用フライアッシュの活性度指数とフライアッシュ硬化体の電気抵抗値との相関関係が求められる。
図2は、このようにして求められた相関関係の例を示すグラフで、養生時間が30時間のものである。直線Aのものは養生温度が20℃、直線Bのものは養生温度が60℃での相関関係であり、その他の試験条件はAのもの、Bのものともに共通で、コンクリート用フライアッシュ1質量部に対し、アルカリ分として0.5N水酸化ナトリウム水溶液を0.29質量部添加し、水結合材比を29%とし、電極およびその配置は前述の通りとした。
図2のグラフでの直線Aの回帰式は、Xを材齢30時間での電気抵抗値(Ω)、Yを材齢28日での活性度指数(%)とすると、
Y=5.5023X+22.047
となり、相関係数R=0.9604となる。
また、直線Bの回帰式は、同じく
Y=1.827X+56.207
となり、相関係数R=0.9513となる。
このように回帰式の相関係数Rが1に近いことで、活性度指数と電気抵抗値との間には高い相関関係が認められ、フライアッシュ硬化体の材齢30時間での電気抵抗値の測定により、材齢28日の活性度指数をほぼ正確に推定することができる。
そして、活性度指数が未知のフライアッシュについて、同一条件にてフライアッシュ硬化体を作成し、同一条件で養生し、同一条件で電気抵抗値を測定し、測定された電気抵抗値から前記回帰式に基づいて、その材齢28日での活性度指数を知ることができる。
このため、石炭火力発電所などから排出されるフライアッシュをJIS認定のコンクリート用フライアッシュとして製品出荷する際の品質試験に要する時間を短縮することが可能になる。
本発明の予測方法において、前記相関関係を得るうえで重要な要素の1つに、アルカリ分としてのアルカリ化合物の種類とその水溶液濃度がある。ポゾラン反応を生起するためのアルカリ化合物としては、ポルトランドセメント、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどがあるが、ポルトランドセメントではそれ自体の水和速度がポゾラン反応に影響を与える可能性があり、これをさけることが望ましい。このため、試薬を用いることが好ましく、試薬としては水溶液の濃度管理が容易な水酸化ナトリウムがよい。水酸化ナトリウム水溶液の濃度は0.5Nがよく、1Nでは濃度が高く、鋭敏に反応してしまう。
これ以外の要素として養生温度がある。養生温度として20℃、40℃、60℃について比較検討したところ、フライアッシュ硬化体の初期材齢での電気抵抗値の変化を見る場合には養生温度が60℃の場合が好ましい。すなわち、養生温度が高い方が電気抵抗値の変化が速やかに現れる。しかし、養生温度が80℃を越えると、副反応が生じ、前記相関関係を低下させることがあるので、80℃以下とすることが好ましい。このため、養生温度は20〜80℃の範囲とすることが望ましい。
また、電気抵抗値を測定する材齢については、フライアッシュ硬化体の材齢6時間、1日、30時間、2日、3日、4日、7日、14日について検討したところ、最短で材齢6時間の測定で相関関係が得られ、なかでも材齢30時間で良好な相関関係が上述のように得られた。材齢14日でも良好な相関関係が得られるが、迅速予測の点からは好ましくない。フライアッシュ硬化体の短い材齢において電気抵抗値を測定しようとする場合には、養生温度を高くすることが好ましい。
以上の点から、フライアッシュ硬化体の材齢6時間以上、7日以内、さらに迅速性の観点からは6時間以上、3日以内で電気抵抗値を測定することが望ましい。
図3は、養生温度を60℃とし、養生時間を1日から7日まで変化させた時の材齢28日での活性度指数と電気抵抗値との相関関係を示すグラフである。
このグラフより、材齢7日では若干相関係数Rは低くなっているが、相関係数Rは0.84以上となるので、所定の精度で活性度指数を予測することができるものと考えられる。
前記実施形態における型枠2の形状、寸法、電極31・・の材質、形状、寸法、配置、電気抵抗値測定方法はその一例であり、これらに限定されるものではない。また、フライアッシュ硬化体の電気抵抗値(Ω)ではなく、比抵抗値(Ωm)を計測しても同様の相関関係が得られる。
さらに、前述のように、JIS A 6201(1999)に規定された活性度指数には材齢91日での値もあるが、これについても予め材齢91日での活性度指数と電気抵抗値との相関関係を同様にして求めておくことで同様に材齢91日での活性度指数を推定することができる。
1・・混練物、2・・型枠、31、32、33、34・・電極

Claims (3)

  1. 日本工業規格 JIS A 6201(1999)に規定されたコンクリート用フライアッシュの活性度指数を予測する方法であって、
    コンクリート用フライアッシュのポゾラン反応によって得られたフライアッシュ硬化体の材齢7日以内での電気抵抗値を計測し、予め求めておいた活性度指数と電気抵抗値との相関関係に基づいてコンクリート用フライアッシュの活性度指数を求めることを特徴とするコンクリート用フライアッシュの活性度指数の予測方法。
  2. フライアッシュ硬化体の養生温度が20〜80℃であることを特徴とする請求項1記載のコンクリート用フライアッシュの活性度指数の予測方法。
  3. 電気抵抗値の計測が4電極法によって行われることを特徴とする請求項1記載のコンクリート用フライアッシュの活性度指数の予測方法。
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