JP2012047293A - 無断変速機構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力ロッドの動力を可動シーブへ伝達する動力伝達部材の組み付け性および組み付けスペースを改善できる無断変速機構造を提供する。
【解決手段】固定シーブ61と,可動シーブ62と,可動シーブ62を移動させる,進退動する出力ロッド91を有するアクチュエータ90とを備え,両シーブ間にVベルト53が巻き掛けられるVベルト自動変速機用の無断変速機構造において,可動シーブ62に対しベアリング64を介して保持された可動シーブホルダー80と,出力ロッド91の先端部91aとを,先端部91aに連結されるU溝131を有する連結部材130で連結した。動力伝達部材である可動シーブホルダー80,連結部材130は,エンジンケースに支持する必要はないので,組み付け性および組み付けスペースを改善することができる。
【選択図】図4

Description

本発明は,Vベルト自動変速機用の無断変速機構造に関するものである。
従来,Vベルト自動変速機用の無断変速機構造として,例えば特許文献1の図37に見られるような無断変速機構造が知られている。同文献の符号を借りて説明すると,この無断変速機構造は,固定シーブ(203)と,この固定シーブ(203)に対して移動可能な可動シーブ(207)と,この可動シーブ(207)を移動させる,進退動する出力ロッド(117)を有するアクチュエータ(100)とを備え,両シーブ(203,207)間にVベルト(211)が巻き掛けられるVベルト自動変速機用の無断変速機構造であり,一対の略「く」字状のアーム部(301,301)を有する揺動部材であるフォーク部材(300)を介して,出力ロッド(117)の動力を可動シーブ(207)へ伝達するようになっている。フォーク部材(300)は,不図示のエンジンケースに植設されたシャフトに対して揺動可能に支持されている。
特開2009−79759号公報
上述した従来の無断変速機構造では,出力ロッド(117)の動力を可動シーブ(207)へ伝達する動力伝達部材が,エンジンケースに植設されたシャフトに対して揺動可能に支持された,一対の略「く」字状のアーム部(301,301)を有する揺動部材であるフォーク部材(300)で構成されているので,フォーク部材(300)のエンジンケースへの組み付け性や組み付けスペースに難点があった。
本発明が解決しようとする課題は,出力ロッドの動力を可動シーブへ伝達する動力伝達部材の組み付け性および組み付けスペースを改善できる無断変速機構造を提供することである。
上記課題を解決するために本発明の無断変速機構造は,固定シーブと,この固定シーブに対して移動可能な可動シーブと,この可動シーブを移動させる,進退動する出力ロッドを有するアクチュエータとを備え,両シーブ間にVベルトが巻き掛けられるVベルト自動変速機用の無断変速機構造において,
前記可動シーブに対しベアリングを介して保持された可動シーブホルダーと,前記出力ロッドの先端部とを,該先端部に連結されるU溝を有する連結部材で連結したことを特徴とする。
この無断変速機構造によれば,出力ロッドの動力を可動シーブへ伝達する動力伝達部材を,可動シーブに対しベアリングを介して保持された可動シーブホルダーと,この可動シーブホルダーと出力ロッドの先端部とを連結する連結部材とで構成でき,この動力伝達部材は,前述した従来技術とは異なり,エンジンケースに支持する必要はないので,組み付け性および組み付けスペースを改善することができる。
しかも,連結部材と出力ロッドの先端部との連結は,連結部材のU溝を介してなされるので,組み付け性を一層向上させることができる。
望ましくは,前記アクチュエータは前記固定シーブ側に配置され,前記出力ロッドおよび連結部材が前記Vベルトの走行ラインを横断して前記可動シーブホルダーに連結される構成とする。
このように構成すると,デッドスペースとなりがちなVベルト走行ラインの内側スペースを有効利用できるため,無断変速機構造を小型化することが可能になる。
望ましくは,前記連結部材は,可動シーブホルダーに対して該可動シーブホルダーにおける周方向の一端部に連結され,かつ,前記U溝を構成するフック構造を有している構成とする。
このように構成すると,フック構造のU溝の開口を通して連結部材と出力ロッドとを容易に組立/分解できる。
望ましくは,前記U溝は,前記出力ロッドの進退方向と交差する方向に開口するU溝とする。
このように構成すると,出力ロッドの進退両方向の動力を連結部材を介して可動シーブに伝達できるため,可動シーブの両方向への移動制御をスムーズに行うことが可能になる。
望ましくは,前記Vベルト自動変速機はクランクケースを覆う変速機カバーを備え,該変速機カバーに前記アクチュエータを取り付けた構成とする。
このように構成すると,可動シーブに対しクランクケースと反対側にアクチュエータを配置できるため,配置の自由度が向上し,駆動シーブの回転中心に近づけてアクチュエータを配置することも可能となる。したがって,無断変速機構造の一層の小型化が可能になる。
望ましくは,前記連結部材は前記可動シーブホルダーに対してピンで回動可能に連結し,前記可動シーブホルダーには,前記連結部材と当接して連結部材の回動を規制する規制部を設ける。
このように構成すると,連結部材と可動シーブホルダーとの連結をピン結合にて容易に行うことができるとともに,連結部材と可動シーブホルダーとの間の動力伝達箇所を,ピン結合の位置と,前記規制部とに分散できるため,可動シーブホルダーを傾ける方向への力を抑制することができる。
望ましくは,前記可動シーブホルダーの軸方向の移動を規制するストッパーを,可動シーブホルダーの回転中心から見て,可動シーブホルダーと前記連結部材との連結部の直ぐ近くに設ける。
このように構成すると,可動シーブホルダーがストッパに当接した際に可動シーブホルダーに作用する捩り力を少なくすることができるとともに,ストッパ一機能部分を集約して配置し変速装置を小型化することができる。
望ましくは,前記アクチュエータ(第1のアクチュエータという)とは別に,第2のアクチュエータを備え,この第2のアクチュエータは,前記可動シーブの回転軸線周りに配置された複数の遠心ウエイトと,この遠心ウエイトを可動シーブとの間に保持し,可動シーブの回転に伴う遠心力で遠心ウエイトに可動シーブを移動させるカム部材とを備えた構成とする。
このように構成すると,第2のアクチュエータによる,可動シーブを移動させる力は可動シーブの角速度の二乗に比例して増加するので,第1のアクチュエアータによる可動シーブを移動させる力を低減させ,第1のアクチュエータの電力消費を抑えることができる。
また,Vベルト自動変速機の分解時には,遠心ウェイトが可動シーブ溝から脱落するのを前記カム部材で防止できるので,整備性を向上させることができる。
本発明に係る無断変速機構造の一実施の形態を用いたVベルト自動変速機を備えた車両の一例としてのスクータ型の自動二輪車を示す側面図。 同自動二輪車におけるVベルト自動変速機を備えたパワーユニットの側面図。 図2における部分省略III−III断面図。 本発明に係る無断変速機構造の一実施の形態を示す図で,図3の部分拡大図。 同実施の形態を示す図で,図3における部分省略V矢視図。 可動シーブ62を示す図で,(a)は正面図,(b)は図(a)におけるb−b断面図,(c)は図(a)におけるc−c断面図,(d)は図(a)におけるd−d断面図。 ベアリングホルダー65を示す図で,(a)は正面図,(b)は図(a)におけるb−b断面図。 可動シーブホルダー80を示す図で,(a)は正面図,(b)は図(a)におけるb−b断面図,(c)は図(a)におけるc−c断面図。 カム部材110を示す図で,(a)は正面図,(b)は図(a)におけるb−b断面図,(c)は図(a)におけるc−c断面図,(d)は部分省略底面図,(e)は図(a)におけるe−e断面図。 連結部材130を示す図で,(a)は正面図,(b)は平面図,(c)は図(b)におけるc−c断面図。 ガイドピース140を示す図で,(a)は正面図,(b)は図(a)におけるb−b断面図,(c)は図(a)におけるc−c断面図,(d)は底面図。 他方のストッパ42sを示す図で,(a)は正面図,(b)は左側面図,(c)は図(a)におけるc−c断面図。 作動説明図。 (a)(b)はそれぞれ作動説明図。
以下,本発明に係る無断変速機構造の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1に示す自動二輪車10は,車体フレーム11の後部に,ピボット軸12とリアクッションユニット13とでパワーユニット20を車体フレーム11に対しピボット軸12回りに揺動自在に懸架した車両である。ヘッドパイプ11hに操舵自在にフロントフォーク14を取り付け,このフロントフォーク14の下端に前輪15Fを取り付けてある。フロントフォーク14の上部にはステアリングハンドル15を取り付けてある。
車体フレーム11は後部に左右一対のシートフレーム11s(一方のみ図示)を有している。このシートフレーム11s上に乗員が跨って座るシート16が設けられ,このシート16の下方に,上方へ開口する収納ボックス17が設けられている。収納ボックス17の後方には燃料タンク18が配置されている。
パワーユニット20は,駆動源としてのエンジン30と,このエンジン30の後方に設けられている変速機ケース40とを有している。変速機ケース40には,エンジン30の駆動力を後輪15Rに伝達するVベルト自動変速機50が内蔵されている。パワーユニット20は車体フレーム11の後部に揺動自在に取り付けられており,エンジン30の動力が変速機ケース40内のVベルト自動変速機50を介して後輪15Rに伝達される。パワーユニット20はリヤスイングアームを兼ねている。
図2,図3に示すように,エンジン30は,クランクケース31と,シリンダブロック32と,シリンダヘッド33と,シリンダヘッドカバー34とを有している。クランクケース31の前端に略水平方向に指向したシリンダブロック32が結合され,同シリンダブロック32の前端にシリンダヘッド33が結合され,同シリンダヘッド33の前端にシリンダヘッドカバー34が結合されている。
図3に示すように,クランクケース31に保持されたボールベアリング31b,31bでクランク軸31cが回転可能に支持され,シリンダブロック32内にピストン32pが摺動可能に設けられている。クランク軸31cとピストン32pとがコンロッド32cで連結されており,ピストン32pの往復動でクランク軸31cが回転する。クランク軸31cは後述するプライマリ軸51を構成する。シリンダヘッド33には,燃焼室33cに連通する吸気管35(図1)と排気管36(図1)が接続されている。図2に示すように吸気管35には,燃料供給装置35aおよびエアクリーナ35cが接続されている。排気装置36には,消音器(図示せず)が接続される。
図3において,30pは点火プラグ,30cはシリンダヘッドカバー34内に設けられ,クランク軸31cからチェーンcを介して回転駆動される動弁用カム軸,31gはクランクケースカバー31e内においてクランク軸31c回りに設けられたステータとクランク軸31cに固定されたロータとを有する発電機である。
図3に示すように変速機ケース(単にケースともいう)40は,前述したパワーユニット20の一部をなすケースとして構成されている。このケース40は,右ケース40Rとこれに結合された左ケース40Lとを有している。右ケース40Rは上記クランクケース31と一体に製作されている。右ケース40Rの後部には,セカンダリ軸52の回転を減速して後輪軸55に伝達するギアボックス(40G)を構成するギアボックスカバー40Cが結合されている。
図3に示すように,Vベルト自動変速機50は,第1のプーリ軸であるプライマリ軸51に支持された駆動プーリ60と,第2のプーリ軸であるセカンダリ軸52に支持された従動プーリ70と,これら駆動プーリ60と従動プーリ70との間に掛け渡されたVベルト53とを有している。
図4,図5に示すように,この実施の形態の無断変速機構造は,Vベルト自動変速機50における駆動プーリ60として用いられている。この実施の形態の無断変速機構造は,固定シーブ61と,この固定シーブ61に対して移動可能な可動シーブ62とを有し,両シーブ61,62間にVベルト53が巻き掛けられるVベルト自動変速機用の無断変速機構造である。
この無断変速機構造は,可動シーブ62を移動させる第1のアクチュエータ90を有する第1の制御機構CM1と,この第1の制御機構CM1と協働して可動シーブ61を移動させる第2のアクチュエータ100を有する第2の制御機構CM2とを備えている。
なお,図示のVベルト自動変速機50においては,この実施の形態の無断変速機構造を駆動プーリ60に用いたが,従動プーリ70(図3参照)に用いることもできる。
以下,Vベルト自動変速機50の構成について説明しながらこの実施の形態の無断変速機構造についてさらに説明する。
図3,図4に示すように,この実施の形態において,プライマリ軸51は前述したクランク軸31cの一端部によって構成されている。
クランク軸31cは,軸受部材であるベアリング31b,31bで両端支持される大径部51aと,この大径部51aに段部51dを介して設けられていて駆動プーリ60における可動シーブ62の支持部を構成する小径部51bとを有している。
プライマリ軸51は,クランク軸31cの小径部51bで構成されており,このプライマリ軸51すなわち駆動プーリ60の支持軸は,右ケース40Rに片持ち状態で支持されている。
図4に示すように,駆動プーリ60はプライマリ軸(プーリ軸)51の軸方向に移動しない固定シーブ(固定半体)61と,プライマリ軸51に対し軸方向に移動可能で相対回転不能に取り付けられた可動シーブ(可動半体)62とを有している。
第1の制御機構CM1および第2の制御機構CM2は,可動シーブ62をプーリ軸51における可動シーブ62の支持部51bに沿って軸方向へスライドさせることでプーリ60の溝幅すなわち固定シーブ61と可動シーブ62との間隔を変更するための機構である。
第1の制御機構CM1は,可動シーブ62に対しベアリング64を介して保持される可動シーブホルダー80と,この可動シーブホルダー80へ第1のアクチュエータ90の動力を伝達する動力伝達部Tとを備えている。動力伝達部Tは,可動シーブ62の回転中心62cに対して第1のアクチュエータ90側に配置されている。
ベアリング64はベアリングホルダー65(図7参照)を介して可動シーブ62に保持され,ベアリング64を介して可動シーブホルダー80が可動シーブ62に支持されている。66はベアリング64と可動シーブホルダー80とを結合(係止)するサークリップである。
動力伝達部Tは,可動シーブホルダー80と,第1のアクチュエータ90の出力ロッド91の先端部91aとを連結する連結部材130を備えている。
第2の制御機構CM2は第2のアクチュエータ100を有している。第2のアクチュエータ100は,可動シーブ62の回転軸線周りに配置された複数の遠心ウエイト101と,この遠心ウエイト101を可動シーブ62との間に保持し,可動シーブ62の回転に伴う遠心力で遠心ウエイト101に可動シーブ62を移動させるカム部材110とを備えている。カム部材110はランププレートで構成されているので,カム部材110を,以下ランププレートともいう。
図6に示すように,可動シーブ62は,ボス部62bとフランジ部62fとを有し,ボス部62bとフランジ部62fとの間に,遠心ウエイト101(仮想線参照)を収容する,ウエイト収容部62sが放射状に複数(図示のものは6個)設けられている。
ウエイト収容部62s同士の間には,ベアリングホルダー65(図7)を固定するためのネジ穴を有する固定部62cが複数(図示のものは3個)設けられている。
また,ウエイト収容部62s同士の間には,ランププレート110(図9)のガイド部110gに装着されたガイドピース140(図9の仮想線および図11,図4参照)によって案内される被ガイド部62gが複数(図示のものは3個)設けられている。
図7に示すように,ベアリングホルダー65は,短い筒状部65bと,これと一体のフランジ部65fと,フランジ部65fの内側に一体に設けられた複数(図示のものは3個)の取付部65cとを有している。ベアリングホルダー65は,その取付部65cを,上述した可動シーブ62の固定部62cにボルト65d(図4参照)で結合することによって,可動シーブ62に固定される。ベアリングホルダー65の筒状部65bの外周にベアリング64(図4)が装着される。ベアリング64は,第2のアクチュエータ100の遠心ウエイト101の周囲に配置される。
図8に示すように,可動シーブホルダー80は,リング部(短い筒状部)81と,このリング部81と一体のアーム部82とを有している。図4に示すように,リング部81がベアリング64と嵌り合い,アーム部82が連結部材130に連結される。連結部材130との連結構造については後述する。
図8に示すように,リング部81は,ベアリング64に対する軸方向への移動を規制するためのフランジ部81fと,サークリップ66を装着するためのリング状溝81gを有している。
図9に示すように,ランププレート(カム部材)110は,全体として星形のプレート(板金部材)であり,中央の円板部111と,この円板部111から一体に放射状に延び,前記可動シーブ62におけるウエイト収容部62sとの間に遠心ウエイト101を保持する,ウエイト収容部62sと同数(図示のものは6個)のカム部112と,可動シーブ62とベアリングホルダー65との固定部62c,65cを逃がすための凹部113と,前記ガイドピース140が装着され,該ガイドピース140を介して可動シーブ62の被ガイド部62g(図4〜図6参照)を案内するガイド部110gとを有している。
円板部111には,プーリ軸51の小径部51bが挿通される穴111hが設けられている。
ガイド部110gは,ガイドピース140が嵌め込まれるU字状の切り欠き114と,この切り欠き114の周辺を補強すべくU状に起立させたリブ115とを有している。
図11に示すように,ガイドピース140は,滑り性に優れた合成樹脂製の部品であり,可動シーブ62の被ガイド部62g(図4〜図6参照)と軸方向へスライド可能に嵌り合う断面U字状のガイド溝141を有する断面U字状の本体142と,この本体142の両端に設けられた小フランジ部143と大フランジ部144とを有している。
このガイドピース140は,図9に仮想線で示すように,小フランジ143をランププレート110のリブ115の上面に当接させ,大フランジ部144をランププレート110の背面に当接させるようにして,本体142をランププレート110の切り欠き114へ嵌め込むことによってランププレート110の,3箇所のガイド部110gにそれぞれ装着される。
以上のようなランププレート110,可動シーブ62,可動シーブホルダー80等を有する駆動プーリ60は,例えば次のようにしてプーリ軸51の小径部51b上に組み付けることができる。
図4を参照して説明すると,予め,ベアリング64の外周に可動シーブホルダー80を装着して両者をサークリップ66で係合し,ベアリング64の内周にベアリングホルダー65を装着し,ベアリングホルダー65を可動シーブ62に複数本(この場合3本(図4において1本のみ図示))のボルト65dで結合し,可動シーブ62のボス部62bにオイルシール62sおよびカラー62cを介してスリーブ67を挿入し,可動シーブ62の各ウエイト収容部62sに遠心ウエイト101を収容し,ランププレート110の各ガイド部110gにガイドピース140を装着して,それらガイドピース140のガイド溝141に可動シーブ62の被ガイド部62gを嵌め合わせることで可動シーブ62とランププレート110とを軽く結合させた組立体を構成しておく。
そして,先ず,上記組立体におけるランププレート110の穴111hに小径部51bを挿通し,次いで上記組立体のスリーブ67に小径部51bを挿入し,さらに小径部51bに固定シーブ61を装着し,小径部51bの先端にダブルナット68を装着して,このダブルナット68で,プライマリ軸51の段部51dとの間に,ランププレート110,スリーブ67,および固定シーブ61を共締めしてこれらを小径部51b上に固定する。これによって,駆動プーリ60は,プーリ軸51の小径部51b上に組み付けられる。
以上のような駆動プーリ60においては,ランププレート110,スリーブ67,および固定シーブ61は,ダブルナット68と,プライマリ軸51の段部51dとの間において締め付け固定されているので,プーリ軸51に対し,軸方向の相対移動および軸回りの相対回転ともに不能であり,プーリ軸51とともに回転する。
可動シーブ62は,スリーブ67に対しては,軸方向の相対移動および軸回りの相対回転ともに可能であるが,被ガイド部62gが,上記共締めされたランププレート110のガイド部110gに装着されたガイドピース140のガイド溝141に嵌り合っているので,ランププレート110の軸回りの相対回転すなわち,プーリ軸51に対する相対回転は不能である。
したがって,可動シーブ62はプーリ軸51とともに回転し,かつプーリ軸51の軸方向へ移動可能である。
可動シーブホルダー80は,ベアリング64を介して可動シーブ62に対して相対回転可能である。したがって,可動シーブホルダー80はプーリ軸51回りに関し,不回転状態とすることが可能である。
一方,可動シーブホルダー80は,ベアリング64の一端側がサークリップ66と可動シーブ62のフランジ部62fにおける段部62h(図6参照)とに当接し,ベアリング64の他端側が可動シーブホルダー80のフランジ部81fとベアリングホルダー65のフランジ部65fとに当接していることにより,可動シーブ62に対し,軸方向への相対移動が不能である。
したがって,可動シーブホルダー80を軸方向へ移動させることで,同様に可動シーブ62を軸方向へ移動させることが可能である。
可動シーブホルダー80は,そのアーム部82が連結部材130によって第1のアクチュエータ90の出力ロッド91に連結されており,第1のアクチュエータ90の駆動で軸方向へ移動可能である。
図4,図5に示すように,第1のアクチュエータ90は,駆動源であるモータ(サーボモータ)M(図5)が収容されたモータ部M1(図4)と,モータMの動力により作動する出力部としての出力ロッド91とを備え,この出力ロッド91が前記プライマリ軸51と平行に配置されている。図5に示すように,第1のアクチュエータ90は,モータMがプライマリ軸51とセカンダリ軸52とを結んだ線L1よりも上方に位置するように配置する。
第1のアクチュエータ90は,モータMの動力を出力ロッド91へ伝達する減速ギア列92を備えている。減速ギア列92の最終段のギア92eには同心状にボールネジ(雄ネジ)93が結合されている。出力ロッド91の基部側は円筒状に形成され,その内面にボールネジ(雌ネジ)91bが形成されていて,この雌ネジ91bが,ボールネジ(雄ネジ)93に螺合している。したがって,モータMの駆動で減速ギア列92を介してボールネジ93が回転すると,その回転方向に応じて出力ロッド91が,その軸線方向(図4における矢印X1,X2方向)へ進退動する。
第1のアクチュエータ90は,減速ギア列92を収容したギアケース94を,ケース40内に設けた取付部(図示せず)にネジ95で締め付けることでケースに固定されている。第1のアクチュエータ90はケース40の内側に取り付けてケース40内に収容することもできるし,ケース40の外側に取り付けることもできる。
第1のアクチュエータ90は,第2のアクチュエータ100の周囲に配置する。
図4に示すように,出力ロッド91の先端91aは第1のアクチュエータ90のモータ部M1よりもVベルト53側へ向けて突出させ,出力ロッド91と直交する方向からみて該出力ロッド91の少なくとも一部91cをVベルトのベルト幅W内に配置してある。モータ部M1は,ベルト幅W外に配置してある。図2,図5に示すように,出力ロッド91は,出力ロッド91の軸線方向からみてVベルト53の回転軌跡内53iにおいてプライマリ軸51とセカンダリ軸52とを結んだ線L1上に配置してある。図4に示すように減速ギア列92は,Vベルト53のベルト幅W外に配置するとともに,図5に示すように,減速ギア列92は出力ロッド91の軸線方向からみてVベルト53と重なるように配置する。
図4に示すように,第1のアクチュエータ90は固定シーブ側に配置され,出力ロッド91および連結部材130は,Vベルト53の走行ラインを横断して可動シーブホルダー80に連結されている。
図4,図5に示すように,動力伝達部Tは,第1のアクチュエータ90の動力を前記可動シーブホルダー80へ伝達するためのもので,上記連結部材130を有している。
図4,図8に示すように,可動シーブホルダー80のアーム部82は,リング部81の周方向の一端部から第1のアクチュエータ90側(図4において右側)に一体的に延びている。アーム部82には,第1のアクチュエータ90の出力ロッド91側に向かう,一対の凸部83,83が設けられている。
一方,図4,図5,図10に示すように,連結部材130は,出力ロッド91の先端91aにピン132で連結されるU溝131を有するフック部(フック構造)133と,このフック部133から可動シーブホルダー80のアーム部82側に向かって延びる連結部134とを有している。この連結部134が前記可動シーブホルダー80における一対の凸部83,83間に入り込んでおり,ピン84によって,連結部材130の連結部134と,一対の凸部83,83とが連結されている。これによって可動シーブホルダー80と連結部材130とが連結されている。U溝131は,出力ロッド91の進退方向と交差する方向に開口するU溝である。
このように構成すると,組立時にフック部133と出力ロッド91の先端91aとを連結する際,あるいは分解時に両者の連結を解除する際,第1のアクチュエータ90を,ケース40との隙間41cを利用して矢印a,b方向へ回動させてフック部133をピン132に係脱させることで容易にフック部133と出力ロッド91の先端91aとの連結/解除を行うことができる。
ケース40におけるアクチュエータ90の取付部にはフック部133を係脱させるためのアクチュエータ90の移動を可能とする隙間41cを設ける。
可動シーブホルダー80と第1のアクチュエータ90の出力ロッド91とが連結部材130で連結されていることにより,第1のアクチュエータ90の出力ロッド91が進退動すると,可動シーブホルダー80も同方向へ移動し,これによって可動シーブ62も同方向へ移送することとなる。
連結部材130は可動シーブホルダー80に対してピン84で回動可能に連結されているが,可動シーブホルダー80には,連結部材130の当接部135,136と当接して連結部材130の回動を規制する規制部85,86が設けられている(図8参照)。
可動シーブホルダー80と出力ロッド91とを連結部材130を介して連結することで,可動シーブホルダー80に対する第1のアクチュエータ90の配置位置の自由度が向上するが,可動シーブホルダー80に対する第1のアクチュエータ90の配置位置によっては,例えば図4に示すように,出力ロッド91の軸線に対して可動シーブホルダー80と連結部材130との連結位置であるピン84の位置がオフセットすることがある。
このようなオフセットは,出力ロッド91が進退動する際,連結部材130をピン84回りに回動させようとするが,この回動を防止すべく,可動シーブホルダー80に,連結部材130の当接部135,136と当接して連結部材130の回動を規制する規制部85,86を設けている。
このような規制部を設けることにより,出力ロッド91が進退動する際の,連結部材130と可動シーブホルダー80との間の動力伝達箇所を,ピン結合の位置(84)と,規制部とに分散できるため,可動シーブホルダー80を傾ける方向への力を抑制することができる。
ケース40(図示のものは右ケース40R)には,可動シーブホルダー80の移動範囲を規定するストッパ41s,42sが設けられている。これらのストッパ41s,42sは,可動シーブホルダー80の回転中心(62c)から見て,可動シーブホルダー80と連結部材130との連結部(84)の直ぐ近くに設けられている。
一方のストッパ41sは,ケース40の内面に一体に設けられており,プーリ軸51と平行に,ケース40の内面から可動シーブホルダー80のアーム部82に向けて突出させた柱状に形成されている。このストッパ41sは可動シーブホルダー80の一側面80bに当接することで,可動シーブホルダー80の矢印X1方向への過度な移動を阻止する。
他方のストッパ42sは,可動シーブホルダー80の矢印X2方向への過度な移動を阻止するためのもので,可動シーブホルダー80のアーム部82に設けた凸状の被規制部87と当接可能な当接部42t(図12参照)と,ケース40への取付部42cとを有している。このストッパ42sは,取付部42cを,ケース40の内面からプーリ軸51と平行に突出形成した円柱状取付部42にボルト42bで固定することでケース40に取り付けられている。
可動シーブホルダー80の移動範囲(この場合矢印X1,X2方向へのスライド範囲)は,サーボモータMを駆動源とする第1のアクチュエータ90における出力ロッド91の進退動の範囲によって規定されるため,通常は,可動シーブホルダー80がストッパ41s,42sに当接することはない。
しかし,何らかの理由(たとえば第1のアクチュエータ90の制御系の故障)によって,可動シーブホルダー80が必要以上に(過度に)移動しようとすることもあるため,それを防止するために,ストッパ41s,42sが設けられている。
第2のアクチュエータ100は前述した通りの構成となっており,次のように作動する。
駆動プーリ60が回転し,その回転数が一定以上となると,その回転数に応じた遠心力が遠心ウエイト101に作用する。したがって,遠心ウエイト101は駆動プーリ60の回転数に応じてプーリ軸51から遠ざかる方向へ移動する(あるいは移動しようとする)。ここで,遠心ウエイト101が収容されている,可動シーブ62のウエイト収容部62sとランププレート110とで形成される空間S(図4参照)はプーリ軸51から遠ざかるにしたがって狭くなっているため,遠心ウエイト101は,その空間Sを広げるように作用する。ランププレート110が軸方向へ移動不能であるのに対し可動シーブ62は軸方向へ移動可能であるから,結果として,可動シーブ62が遠心ウエイト101によって移動させられることとなる。
この可動シーブ62の移動は,第1の制御機構CM1すなわち第1のアクチュエータ90における出力ロッド91の進退動によって規制される。
図3に示すように,Vベルト自動変速機50の従動軸であるセカンダリ軸52は,上記ケース40の左ケース40Lおよびギアボックスカバー40Cに回転自在に支持されている。このセカンダリ軸52に遠心クラッチ54を介して従動プーリ70が設けてある。
従動プーリ70は固定シーブ(固定半体)71と可動シーブ(可動半体)72とを備えている。
前述した駆動プーリ60と従動プーリ70とに無端状Vベルト53が掛け渡され,駆動プーリ60の回転が従動プーリ70に伝達される。従動プーリ70の回転数が所定回転数を越えると,従動プーリ70とセカンダリ軸52との間に設けられている遠心クラッチ54が接続状態となり,セカンダリ軸52が回転を始める。
セカンダリ軸52の回転を減速して後輪軸55に伝達するギア列(ギアボックス)40Gは,セカンダリ軸52に設けられたギア52gと,このギア52gに噛み合う大径のギア141と,この大ギア141より小径で大ギア141とともに回転する小ギア142と,この小ギア142と噛み合う大ギア143とを有している。大ギア143は後輪軸55に相対回転不能に取り付けられている。
したがって,セカンダリ軸52の回転は減速されて後輪軸55に伝達され,後輪軸55に取り付けられた後輪15R(図1)が駆動されることとなる。
従動プーリ70における可動シーブ72は,セカンダリ軸52に対し軸方向に移動自在に装着されている。可動シーブ72は,コイルスプリング73によって固定シーブ71に接近する方向に付勢されており,Vベルト53に作用する張力に応じて,軸方向に移動する。すなわち,駆動プーリ60の可動シーブ62が溝幅を狭める方向に変位して,駆動プーリ60へのVベルト53の巻き掛け径が大きくなると(図13参照),その分,従動プーリ70に巻き掛けられているVベルト53が駆動プーリ60側に引かれてVベルト53に作用する張力が大きくなり,この張力の増大で従動プーリ70の可動シーブ72は溝幅を広げる方向に変位し,従動プーリ70へのVベルト53の巻き掛け径が小さくなってセカンダリ軸52が高速で回転する。駆動プーリ60の可動シーブ62が溝幅を広める方向に変位した場合には,逆に作動し,セカンダリ軸52が低速で回転する。
図示しない制御部による制御で第1のアクチュエータ90が作動し,図4において出力ロッド91が矢印X1方向へ突出して可動シーブ62がX1方向へスライドすると,固定シーブ61と可動シーブ62との間隔が広くなってVベルト53の駆動プーリ60への巻き掛け径が小さくなるとともに従動プーリ70へのVベルト53の巻き掛け径が大きくなり(ベルトのレシオがLOWとなり),高負荷にも耐えられるように後輪15Rが低速で回転駆動されることとなる。逆に,出力ロッド91が矢印X2方向へスライドして可動シーブ62がX2方向へスライドすると(図13参照),固定シーブ61と可動シーブ62との間隔が狭くなってVベルト53の駆動プーリ60への巻き掛け径が大きくなるとともに従動プーリ70へのVベルト53の巻き掛け径が小さくなり,後輪15Rが高速で回転駆動されることとなる。
さらに,この実施の形態においては,上記制御部の制御により,第1のアクチュエータ90は次のように作動する。すなわち,
第1のアクチュエータ90は,駆動プーリ60における可動シーブ62の低回転領域においては,第2の制御機構CM2による可動シープ62を移動させようとする力と同方向の力を生じさせるように作動し,可動シーブ62の高回転領域においては,第2の制御機構CM2による可動シープ62を移動させようとする力に対して抵抗となるように作動する。
図14は第1のアクチュエータ90の制御例を示すグラフで,第1の制御機構CM1および第2の制御機構CM2の作動説明図でもある。(a)は通常モード時のグラフであり,(b)はスポーツモード時のグラフである。モードの選択は,車両に乗る運転者が操作しやすいところに設けられたモード選択スイッチあるいはモード選択レバーによってなされる。
これらのグラフは,左の縦軸に可動シーブ62を移動させる力(推力(N))を,右の縦軸にクランク軸31c(エンジン)の回転数(rpm)を,横軸に車速(km/h)を,それぞれとってある。推力は可動シーブ62を固定シーブ61へ向けて移動させる方向(両シーブの間隔を狭める方向(シフトアップ側)であり,図4における矢印X2方向をプラスにとってある。
これらのグラフにおいて,一点鎖線(CM1)は第1の制御機構CM1すなわち第1のアクチュエータ90による推力を,破線(CM2)は第2の制御機構CM2すなわち遠心ウエイト101による第2のアクチュエータ100による推力を,実線(CM1+CM2)は,それらの合力による推力を,それぞれ表している。
通常モードにおいては,グラフ(a)に示すように,車速が約S1(例えば約20km/h)に達した時点で第1のアクチュエータ90を作動させ,第2の制御機構CM2による推力(約P3(例えば約600N))に第1の制御機構CM1による推力(P2とP3との中間値(例えば約500N))を付加して大きな合計推力(P5とP6との中間値(例えば約1100N)を発生させ,これによって速やかなシフトアップ(ベルトレシオをhigh側にする)を行って燃費の向上を図る。
車速が約S3(例えば約60km/h)を超えると,エンジン回転数に応じて第2の制御機構CM2による推力が次第に増大するので,合計推力(CM1+CM2)を一定に維持すべく,第1の制御機構CM1による推力を次第に減少させる。
車速が約S4(例えば約80km/h)を超えると,エンジン回転数に応じて第2の制御機構CM2による推力が大きくなり過ぎるので,該推力を相殺して合計推力(CM1+CM2)を一定に維持すべく,第1の制御機構CM1(第1のアクチュエータ90)による推力をマイナス側へ作動させる。
スポーツモードにおいては,グラフ(b)に示すように,車速が約S4(例えば約80km/h)に達するまでは第1のアクチュエータ90は作動させない。したがって,車速が約S4に達するまでは,第1の制御機構CM1による推力は得られない(CM1+CM2=CM2である)。このため,シフトアップが抑制され(ベルトレシオがLOW側に維持され),機敏な走行を行うことが可能となる。
車速が約S4を超えると,エンジン回転数に応じて第2の制御機構CM2による推力が大きくなり過ぎるので,該推力を相殺して合計推力(CM1+CM2)を一定に維持すべく,第1の制御機構CM1(第1のアクチュエータ90)による推力をマイナス側へ作動させる。
以上のような無断変速機構造によれば次のような作用効果が得られる。
(a)可動シーブ62に対しベアリング64を介して保持された可動シーブホルダー80と,出力ロッド91の先端部91aとを,該先端部91aに連結されるU溝131を有する連結部材130で連結したので,出力ロッド91の動力を可動シーブ62へ伝達する動力伝達部材を,可動シーブホルダー80と連結部材130とで構成できる。
この動力伝達部材80,130は,前述した従来技術におけるフォーク部材(300)とは異なり,エンジンケースに支持する必要はないので,組み付け性および組み付けスペースを改善することができる。
しかも,連結部材130と出力ロッド91の先端部との連結は,連結部材130のU溝131を介してなされるので,組み付け性を一層向上させることができる。
(b)アクチュエータ90は固定シーブ61側に配置され、出力ロッド91および連結部材130がVベルト53の走行ラインを横断して可動シーブホルダー80に連結されているので,デッドスペースとなりがちなVベルト走行ラインの内側スペース53iを有効利用できる。したがって,無断変速機構造を小型化することが可能になる。
(c)連結部材130は,可動シーブホルダー80に対して該可動シーブホルダー80における周方向の一端部(アーム部82)に連結され,かつ,U溝131を構成するフック構造を有しているので,フック構造のU溝131の開口を通して連結部材130と出力ロッド91とを容易に組立/分解できる。
(d)連結部材130のU溝131は,出力ロッド91の進退方向と交差する方向に開口するU溝であるので,出力ロッド91の進退両方向の動力を連結部材130を介して可動シーブ80に伝達できる。このため,可動シーブ80の両方向への移動制御をスムーズに行うことが可能になる。
(e)Vベルト自動変速機50はクランクケース31を覆う変速機カバーである左ケース40Lを備え、該変速機カバー40Lにアクチュエータ90を取り付けることにより,可動シーブ62に対しクランクケース31と反対側にアクチュエータ90を配置できる。このため,配置の自由度が向上し,駆動シーブ62の回転中心62cに近づけてアクチュエータ90を配置することも可能となる。したがって,無断変速機構造の一層の小型化が可能になる。
(f)アクチュエータ90を駆動シーブ62の回転中心62cに近づけて配置することにより,アクチュエータ90をピボット軸12回りに近づけて配置できるため,バネ下荷重を低減できる。
(g)連結部材130は可動シーブホルダー80に対してピン84で回動可能に連結し,可動シーブホルダー80には,連結部材130と当接して連結部材の回動を規制する規制部85,86を設けたので,連結部材130と可動シーブホルダー80との連結をピン結合にて容易に行うことができるとともに,連結部材130と可動シーブホルダー80との間の動力伝達箇所を,ピン結合の位置と,規制部85,86とに分散できるため,可動シーブホルダー80を傾ける方向への力を抑制することができる。
(h)可動シーブホルダー80の軸方向の移動を規制するストッパー41s,42sを,可動シーブホルダー80の回転中心(62c)から見て,可動シーブホルダー80と連結部材130との連結部の直ぐ近くに設けたので,可動シーブホルダー80がストッパ41s,42sに当接した際に可動シーブホルダー80に作用する捩り力を少なくすることができるとともに,ストッパ一機能部分を集約して配置し,変速装置を小型化することができる。
(i)可動シーブ62を移動させる第1のアクチュエータ90を有する第1の制御機構CM1と,この第1の制御機構CM1と協働して可動シーブ62を移動させる第2のアクチュエータ100を有する第2の制御機構CM2とを備えているので,可動シーブ62の移動は,第1のアクチュエータ90を有する第1の制御機構CM1と,第2のアクチュエータ100を有する第2の制御機構CM2との協働でなされる。
このため,可動シーブ62を移動させるための動力を大きくする場合,その動力を,第1のアクチュエータ90を有する第1の制御機構CM1と,第2のアクチュエータ100を有する第2の制御機構CM2とに分散させることができる(例えば図14(a)参照)。
したがって,可動シーブを単一のアクチュエータおよび単一の制御機構で移動させる従来の構造に比べ,可動シーブ62を移動させるための動力を大きくした場合でも,夫々のアクチュエータ90,100への負荷を減らし,各アクチュエータ90,100の大型化を抑制して,全体的にVベルト自動変速機50の小型化を図ることができる。
しかも,各アクチュエータ90,100の負荷を抑制することで,各アクチュエータの耐久性を向上させることができる。
さらに,第2のアクチュエータ100の遠心ウエイト101の重さの設定を,通常モードおよびスポーツモード(図14(a)(b)参照)の双方において,第1のアクチュエータ90の必要最大推力が略同等(約−P2〜P2)となるように設定したので,第1のアクチュエータ90および第2のアクチュエータ100をそれぞれ小型化することができる。
(j)第1のアクチュエータ90は電力により駆動され,第2のアクチュエータ100は可動シーブ62の回転に伴う遠心力により駆動される,すなわち,一方のアクチュエータ100が可動シーブ62の回転を利用した遠心力により駆動されるため,無断変速機構造全体としての電力消費を抑えてエネルギーロスを低減できる。
(k)第1のアクチュエータ90は,第2のアクチュエータ100の周囲に配置してあるので,両アクチュエータ90,100をプーリ60の回転軸51周りにコンパクトに配置しつつ,第1のアクチュエータ90の配置自由度を向上させることができる。
(l)第1のアクチュエータ90は,Vベルト53の内周位置に配置されているので,デッドスペースとなりがちなVベルト内周スペース53iを有効利用することができる。
(m)第2のアクチュエータ100は,可動シーブ62の回転軸線62c周りに配置された複数の遠心ウエイト101と,この遠心ウエイト101を可動シーブ62との間に保持し,可動シーブ62の回転に伴う遠心力で遠心ウエイト101に可動シーブ62を移動させるカム部材110とを備えているので,第2のアクチュエータ100による,可動シーブ62を移動させる力が可動シーブ62の角速度の二乗に比例して増加する。
したがって,第1のアクチュエアータ90による可動シーブ62を移動させる力を低減させ,電力消費を一層抑えることができる(例えば図14(a)における車速S3〜S4km/hの範囲参照)。
また,Vベルト自動変速機50の分解時には,遠心ウェイト101が可動シーブ62におけるウエイト収容部62sから脱落するのをカム部材110で防止できるので,整備性を向上させることができる。
(n)第1の制御機構CM1は,可動シーブ62に対しベアリング64を介して保持される可動シーブホルダー80と,この可動シーブホルダー80へ第1のアクチュエータ90の動力を伝達する動力伝達部Tとを備え,この動力伝達部Tは,可動シーブ62の回転中心62cに対して第1のアクチュエータ90側に配置されているので,動力伝達部Tを小型化して,無断変速機構造およびVベルト自動変速機の小型化を図ることができる。
(o)ベアリング64は,遠心ウエイト101の周囲に配置してあるので,ベアリング64を遠心ウエイト101の外周スペースを利用して配置でき,第1のアクチュエータ90を有する第1の制御機構CM1と第2のアクチュエータ100を有する第2の制御機構CM2とを設けたにもかかわらず,無断変速機構造およびVベルト自動変速機装置の軸方向への大型化を抑制することができる。
(p)第1のアクチュエータ90は,可動シーブ62の低回転領域(例えば図14(a)におけるN3〜N7rpmの領域参照)においては,第2の制御機構CM2による可動シープ62を移動させようとする力と同方向の力を生じさせるように作動し,可動シーブ62の高回転領域(例えば図14(a)におけるN7rpm以上の領域参照)においては,第2の制御機構CM2による可動シープを移動させようとする力に対して抵抗となるように作動する。
したがって,可動シーブ62の低回転領域においては,第1の制御機構CM1と第2の制御機構CM2とによる同一方向への力によって可動シープ62が移動するので,両制御機構によって可動シープ62を円滑に移動させることができる。
一方,可動シーブの高回転領域においては,第2の制御機構CM2による可動シープ62を移動させようとする力に対して,第1のアクチュエータ90が抵抗となるように作動するので,第2の制御機構CM2による可動シープの過度な移動すなわち,過度な変速動作を抑制することができる。
(q)遠心ウエイト101は,可動シーブ62の回転中心62cの周囲に複数個分散配置したので,可動シーブ62の半周部分が受けるベルト反力よる可動シーブ62の傾きに対する可動シーブ62の歪や第1のアクチュエータ90への負荷を低減させることができる。
以上,本発明の実施の形態について説明したが,本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく,本発明の要旨の範囲内において適宜変形実施可能である。
31c:クランクケース, 40:変速機ケース, 40L:左ケース(変速機カバー), 41s,42s:ストッパ, 50:Vベルト自動変速機, 51:プーリ軸, 53:Vベルト, 60:駆動プーリ(無断変速機構造),61:固定シーブ, 62:可動シーブ, 64:ベアリング, 80:可動シーブホルダー,84:ピン, 85,86:規制部, 90:第1のアクチュエータ,91:出力ロッド91, CM1:第1の制御機構,CM2 第2の制御機構, T:動力伝達部, 100:第2のアクチュエータ, 101:遠心ウエイト, 110:カム部材, 130:連結部材,131:U溝。

Claims (8)

  1. 固定シーブと,この固定シーブに対して移動可能な可動シーブと,この可動シーブを移動させる,進退動する出力ロッドを有するアクチュエータとを備え,両シーブ間にVベルトが巻き掛けられるVベルト自動変速機用の無断変速機構造において,
    前記可動シーブに対しベアリングを介して保持された可動シーブホルダーと,前記出力ロッドの先端部とを,該先端部に連結されるU溝を有する連結部材で連結したことを特徴とする無断変速機構造。
  2. 前記アクチュエータは前記固定シーブ側に配置され,前記出力ロッドおよび連結部材が前記Vベルトの走行ラインを横断して前記可動シーブホルダーに連結されることを特徴とする請求項1記載の無断変速機構造。
  3. 前記連結部材は,可動シーブホルダーに対して該可動シーブホルダーにおける周方向の一端部に連結され,かつ,前記U溝を構成するフック構造を有していることを特徴とする請求項1または2記載の無断変速機構造。
  4. 前記U溝は,前記出力ロッドの進退方向と交差する方向に開口するU溝としたことを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の無断変速機構造。
  5. 前記Vベルト自動変速機はクランクケースを覆う変速機カバーを備え,該変速機カバーに前記アクチュエータを取り付けたことを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の無断変速機構造。
  6. 前記連結部材は前記可動シーブホルダーに対してピンで回動可能に連結し,前記可動シーブホルダーには,前記連結部材と当接して連結部材の回動を規制する規制部を設けたことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の無断変速機構造。
  7. 前記可動シーブホルダーの軸方向の移動を規制するストッパーを,可動シーブホルダーの回転中心から見て,可動シーブホルダーと前記連結部材との連結部の外側の直ぐ近くに設けたことを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の無断変速機構造。
  8. 前記アクチュエータとは別に,第2のアクチュエータを備え,この第2のアクチュエータは,前記可動シーブの回転軸線周りに配置された複数の遠心ウエイトと,この遠心ウエイトを可動シーブとの間に保持し,可動シーブの回転に伴う遠心力で遠心ウエイトに可動シーブを移動させるカム部材とを備えたことを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の無断変速機構造。
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