JP2012047081A - 内燃機関の排気浄化システム - Google Patents

内燃機関の排気浄化システム Download PDF

Info

Publication number
JP2012047081A
JP2012047081A JP2010188760A JP2010188760A JP2012047081A JP 2012047081 A JP2012047081 A JP 2012047081A JP 2010188760 A JP2010188760 A JP 2010188760A JP 2010188760 A JP2010188760 A JP 2010188760A JP 2012047081 A JP2012047081 A JP 2012047081A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amount
selective reduction
urea
reduction catalyst
nox
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010188760A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5198520B2 (ja
Inventor
Hisao Haga
久夫 羽賀
Hideki Matsunaga
英樹 松永
Hidefumi Hashimoto
英史 橋本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Honda Motor Co Ltd filed Critical Honda Motor Co Ltd
Priority to JP2010188760A priority Critical patent/JP5198520B2/ja
Publication of JP2012047081A publication Critical patent/JP2012047081A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5198520B2 publication Critical patent/JP5198520B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
    • Y02T10/00Road transport of goods or passengers
    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/12Improving ICE efficiencies

Landscapes

  • Processes For Solid Components From Exhaust (AREA)
  • Exhaust-Gas Circulating Devices (AREA)
  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)

Abstract

【課題】排気浄化フィルタの再生に伴い選択還元触媒が高温になっている間においても、NOx浄化性能を高く維持しながら、還元剤の排出量を抑制できる排気浄化システムを提供すること。
【解決手段】排気浄化システムは、排気中のPMを捕集するDPFと、第1、第2選択還元触媒の上流側に尿素水を供給するユリア噴射装置と、フィードNOxQNOXに基づいて、第1、第2選択還元触媒により還元可能なNO量及びNO量に相当するNO還元可能量QNORED_MAX及びNO還元可能量QNO2RED_MAXを算出し、さらにこれら算出したNO還元可能量QNORED_MAX及びNO還元可能量QNO2RED_MAXに基づいて、DPFの再生中における尿素水の供給量に対する制限値に相当する上限噴射量GUREA_ULIMを算出する制限噴射量算出部57と、を備える。
【選択図】図6

Description

本発明は、内燃機関の排気浄化システムに関する。より詳しくは、還元剤の存在下で排気のNOxを還元する選択還元触媒を備えた排気浄化システムに関する。
従来、排気中のNOxを浄化する排気浄化システムの1つとして、アンモニア等の還元剤により排気中のNOxを選択的に還元する選択還元触媒を排気通路に設けたものが提案されている。例えば、尿素添加式の排気浄化システムでは、選択還元触媒の上流側からアンモニアの前駆体である尿素水を供給し、この尿素水から排気の熱で熱分解又は加水分解することでアンモニアを生成し、このアンモニアにより排気中のNOxを選択的に還元する。このような尿素添加式のシステムの他、例えば、アンモニアカーバイトのようなアンモニアの化合物を加熱することでアンモニアを生成し、このアンモニアを直接添加するシステムも提案されている。以下では、尿素添加式のシステムについて説明する。
このような選択還元触媒には、排気中のNOxの還元に供されなかったアンモニアを吸着する能力がある。すなわち、選択還元触媒に流入するNOx量に対し尿素水の供給量が多い場合、NOxの還元に供されずに余剰となったアンモニアは選択還元触媒に吸着され、逆に選択還元触媒に流入するNOx量に対し尿素水の供給量が少ない場合、選択還元触媒に吸着されていたアンモニアがNOxの還元に供される。したがって、尿素水の供給量を増減することにより、選択還元触媒におけるアンモニアの吸着量を制御することができる。
NOx浄化の観点からは、選択還元触媒にできるだけ多くのアンモニアが吸着されていることが好ましいものの、選択還元触媒で吸着できるアンモニアの量には限界がある。選択還元触媒にこの限界量を超えるアンモニアが供給されると、吸着しきれなかったアンモニアは下流側へ排出されてしまうこととなる。このため、選択還元触媒におけるアンモニアの吸着量は、限界量を上回らないように適切な量に制御する必要がある。そこで、例えば特許文献1には、選択還元触媒におけるNOx浄化率を算出し、算出されたNOx浄化率に応じてアンモニアの吸着量を制御する技術が示されている。
ところで、以上のような選択還元触媒の他、排気中の粒子状物質(PM(Particulate Matter))を捕集するフィルタ(DPF(Diesel Particulate Filter))を備える排気浄化システムでは、フィルタに堆積したPMを燃焼除去するため、フィルタを約600℃程度のPMの燃焼温度まで昇温する必要がある。一方、選択還元触媒のアンモニアを吸着する能力は、温度の上昇に伴い低下することが知られている。したがって、PMを燃焼除去するためにフィルタを昇温したとき、フィルタの再生を開始するまでに吸着しておいたアンモニアが、選択還元触媒の温度の上昇に伴って排出されてしまうおそれがある。
そこで特許文献2には、フィルタの昇温を開始するに当り、選択還元触媒から吸着したアンモニアが排出されるか否かを判別し、排出されるおそれがある場合には、フィルタの昇温を待機するとともに選択還元触媒に吸着されたアンモニアの消費を促進するべく選択還元触媒に流入するNOx量を増加させる技術が提案されている。
特許第3951774号 特開2010−90852号公報
特許文献2の技術によれば、フィルタの昇温を開始し、選択還元触媒の温度が急激に上昇したときに、これまでに吸着しておいたアンモニアが排出されるのを抑制できるものの、フィルタを昇温した後の再生中については深く検討されていない。通常、フィルタの再生は数十秒にわたって行われるが、この間、選択還元触媒の温度も高温に保持され続けることとなるため、選択還元触媒でアンモニアを吸着することができない。したがって、選択還元触媒に供給したアンモニアは、NOxの還元に消費されるものを除き、基本的には選択還元触媒の下流側へ排出されてしまうこととなる。このように、フィルタの再生中は、選択還元触媒でアンモニアを吸着する能力が著しく低下するため、NOx浄化性能を高く維持しながらかつアンモニアの排出を抑制するように、適切な量の尿素水を供給することが特に困難になっている。
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、排気浄化フィルタの再生に伴い選択還元触媒が高温になっている間においても、NOx浄化性能を高く維持しながら、還元剤の排出量を抑制できる内燃機関の排気浄化システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため本発明は、内燃機関(例えば、エンジン1)の排気系(例えば、後述の排気管11)に設けられ、還元剤(例えば、後述のアンモニア)の存在下で排気を浄化し、かつこの還元剤を捕捉(吸着)する選択還元触媒(例えば、後述の第1選択還元触媒231及び第2選択還元触媒232)と、前記排気系に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタ(例えば、後述のDPF22)と、前記排気系のうち前記選択還元触媒の上流側に還元剤又はその前駆体(例えば、後述の尿素水)を供給する還元剤供給手段(例えば、後述のユリア噴射装置25)と、を備える内燃機関の排気浄化システム(例えば、後述の排気浄化システム2)を提供する。前記排気浄化システムは、前記フィルタを昇温することで堆積した粒子状物質を燃焼除去し、当該フィルタを再生するフィルタ再生手段(例えば、後述の排気系温度制御部4)と、前記選択還元触媒に流入する排気中のNOx量を取得するNOx量取得手段(例えば、後述のNOxセンサ28及び単位変換部571)と、前記取得したNOx量(例えば、後述のフィードNOx量QNOX)に基づいて、前記選択還元触媒により還元可能なNO量及びNO量を算出し、さらに当該算出したNO量(例えば、後述のNO還元可能量QNORED_MAX又はNO還元要求量QNORED_REQ)及びNO量(例えば、後述のNO還元可能量QNO2RED_MAX又はNO還元要求量QNO2RED_REQ)に基づいて、前記フィルタの再生中における前記還元剤又は前駆体の供給量に対する制限値(例えば、後述の上限噴射量GUREA_ULIM又は下限噴射量GUREA_LLIM)を算出する制限値算出手段(例えば、後述の制限噴射量算出部57)と、を備える。
この発明では、選択還元触媒に流入する排気中のNOx量を取得し、取得したNOx量に基づいて、選択還元触媒で還元可能なNO量及びNO量を算出し、さらに算出したNO量及びNO量に基づいて、フィルタの再生中における還元剤又は前駆体の供給量に対する制限値を算出する。このようにフィルタの再生中における還元剤又は前駆体の供給量に対して制限値を設定することにより、還元剤又は前駆体の供給量が必要な量に対し過剰となったり逆に不足したりするのを防止できるので、結果として選択還元触媒におけるNOx浄化性能を高く維持しながら還元剤の排出量を抑制することができる。
ところで、選択還元触媒において、排気中のNOxを構成するNO及びNOは、それぞれ異なった反応の下で還元剤により還元される。本発明では、上記還元剤又は前駆体の供給量の制限値を、選択還元触媒で還元可能なNO量及びNO量に基づいて算出する。したがって、排気中のNO及びNOを還元するのに必要な還元剤の量を高い精度で算出することができるので、フィルタの再生中におけるNOx浄化性能を高く維持しながら還元剤の排出量を抑制するように、最適な還元剤又は前駆体の供給量の制限値を算出することができる。以上のようにNOとNOに分けることで必要な還元剤の量を精度良く算出し、これに応じて制限値を算出することは、還元剤を吸着する能力が著しく低下するフィルタの再生中では特に効果的である。
この場合、前記制限値算出手段は、前記取得したNOx量(例えば、後述のフィードNOx量QNOX)と、前記内燃機関の運転状態に相関のあるパラメータ(例えば、後述の選択還元触媒温度TSCR及び空間速度SV)に応じて算出された前記選択還元触媒のNOx浄化率(例えば、後述のNOx浄化率ηMAX)と、に基づいて、前記還元可能なNO量及びNO量を算出することが好ましい。
本発明では、取得したNOx量に加えて、内燃機関の運転状態に相関のあるパラメータに応じて算出されたNOx浄化率に基づいて、還元可能なNO量及びNO量を算出することにより、排気中のNO及びNOを還元するのに最低限必要な還元剤の量をさらに高い精度で算出できるので、結果として、より確実に選択還元触媒のNOx浄化性能を高く維持しながら還元剤の排出を抑制することができる。
この場合、前記排気浄化システムは、前記排気系における排気の一部を前記内燃機関の吸気系に還流する排気還流手段(例えば、後述のEGR装置17)と、前記フィルタの再生の開始直後、当該フィルタを昇温している間に、前記排気還流手段により前記内燃機関の新気量を増量側に補正する補正手段(例えば、後述の吸気制御部6)と、をさらに備えることが好ましい。
本発明では、フィルタの再生の開始直後、フィルタを昇温している間に、排気還流手段により内燃機関の新気量を増量側に補正することにより、選択還元触媒に流入する排気のNOx量を増やすことができるため、フィルタの昇温を開始するまでの間に吸着しておいた還元剤を積極的に消費することができる。したがって、フィルタの昇温の開始に伴って還元剤がNOxの還元に消費されず、選択還元触媒の下流側へ排出されてしまうのを抑制することができる。
この場合、前記補正手段は、前記フィルタを昇温している間に、前記選択還元触媒からの還元剤の排出速度(例えば、後述の昇温時NHスリップ速度VNH3SLIP)と、前記選択還元触媒における還元剤の消費速度(例えば、後述の昇温時NH消費速度VNH3RED)とを比較し、前記還元剤の排出速度が消費速度よりも速い場合に、前記内燃機関の新気量を増量側に補正することが好ましい。
本発明では、フィルタを昇温している間に、選択還元触媒からの還元剤の排出速度が、選択還元触媒における還元剤の消費速度よりも速い場合に、新気量を増量側に補正し、選択還元触媒に流入するNOx量を増やすことにより、選択還元触媒における還元剤の消費速度を一時的に速くできるので、フィルタを昇温している間に大量の還元剤が選択還元触媒から排出されるのを抑制することができる。
本発明の一実施形態に係るエンジン及びその排気浄化システムの構成を示す模式図である。 選択還元触媒におけるNOx浄化率と、触媒温度との関係を示す図である。 DPFの昇温中及び再生中におけるNOx浄化率を示す図である。 上記実施形態に係るユリア噴射装置によるユリア噴射量の決定に係るブロック図である。 上記実施形態に係る通常噴射量算出部の構成を示すブロック図である。 上記実施形態に係る制限噴射量算出部の構成を示すブロック図である。 上記実施形態に係る吸気制御部のうち、エンジンの新気量を所定の目標新気量に制御するためのEGRバルブ開度の算出に係るブロック図である。 上記実施形態に係るスリップ速度算出部の構成を示すブロック図である。 上記実施形態に係る消費速度算出部の構成を示すブロック図である。 上記実施形態に係るユリア噴射制御部によるユリア噴射制御の手順を示すフローチャートである。 上記実施形態に係る吸気制御部による新気量制御の手順の一部を示す図である。
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る内燃機関(以下「エンジン」という)1及びその排気浄化システム2の構成を示す模式図である。エンジン1は、リーンバーン運転方式のガソリンエンジン又はディーゼルエンジンであり、図示しない車両に搭載されている。
排気浄化システム2は、エンジン1の排気管11に設けられた酸化触媒21と、排気管11に設けられ、排気中のPMを捕集するフィルタとしてのDPF22と、排気管11に設けられ、この排気管11を流通する排気中の窒素酸化物(NOx)を還元剤としてのアンモニア(NH)の存在下で浄化するユリア選択還元触媒23と、排気管11のうちユリア選択還元触媒23の上流側に、アンモニアの前駆体である尿素水を供給するユリア噴射装置25と、排気管11内における排気の一部を吸気管12内へ還流するEGR装置17と、電子制御ユニット(以下、「ECU」という)3とを含んで構成される。
EGR装置17は、排気管11のうち酸化触媒21の上流側と吸気管12とを連通するEGR管18と、このEGR管18を流通する排気の流量を制御するEGRバルブ19とを含んで構成される。EGRバルブ19は、ECU3に接続されており、ECU3からの制御信号により動作し、この制御信号に応じてEGR管18を介して吸気管12内へ還流される排気の流量、ひいてはエンジン1の新気量を制御する。
ユリア噴射装置25は、ユリアタンク251と、ユリア噴射弁253とを備える。
ユリアタンク251は、尿素水を貯蔵するものであり、ユリア供給路254及び図示しないユリアポンプを介して、ユリア噴射弁253に接続されている。このユリアタンク251には、ユリアレベルセンサ255が設けられている。このユリアレベルセンサ255は、ユリアタンク251内の尿素水の水位を検出し、この水位に略比例する検出信号をECU3に出力する。ユリア噴射弁253は、ECU3に接続されており、ECU3からの制御信号により動作し、この制御信号に応じて尿素水を排気管11内に噴射する。すなわち、ユリア噴射制御が実行される。
ユリア噴射装置25は、ユリアタンク251と、ユリア噴射弁253とを備える。
ユリアタンク251は、尿素水を貯蔵するものであり、ユリア供給路254及び図示しないユリアポンプを介して、ユリア噴射弁253に接続されている。このユリアタンク251には、ユリアレベルセンサ255が設けられている。このユリアレベルセンサ255は、ユリアタンク251内の尿素水の水位を検出し、この水位に略比例する検出信号をECU3に出力する。ユリア噴射弁253は、ECU3に接続されており、ECU3からの制御信号により動作し、この制御信号に応じて尿素水を排気管11内に噴射する。すなわち、ユリア噴射制御が実行される。
酸化触媒21は、排気管11のうちDPF22よりも上流側に設けられ、排気中のNOを酸化してNOに変換し、これにより、ユリア選択還元触媒23におけるNOxの還元を促進する。また、後述のDPFの昇温及び再生時にポスト噴射を実行することで供給された未燃燃料を燃焼することにより、下流側のDPF22を昇温する。
DPF22は、排気管11のうち酸化触媒21よりも下流側に設けられ、排気がフィルタ壁の微細な孔を通過する際、排気中の炭素を主成分とするPMを、フィルタ壁の表面及びフィルタ壁中の孔に堆積させることによって捕集する。
ユリア選択還元触媒23は、第1選択還元触媒231と、排気管11のうち第1選択還元触媒231よりも下流側に設けられた第2選択還元触媒232とを含んで構成される。これら選択還元触媒231,232は、それぞれ、アンモニア等の還元剤が存在する雰囲気下で、排気中のNOxを選択的に還元する。具体的には、ユリア噴射装置25により尿素水を噴射すると、この尿素水は、排気の熱により熱分解又は加水分解されて還元剤としてのアンモニアが生成される。生成されたアンモニアは、選択還元触媒231,232に供給され、これらアンモニアにより、排気中のNOxが選択的に還元される。
ところで、これら選択還元触媒231,232は、尿素水から生成したアンモニアで排気中のNOxを還元する機能を有するとともに、生成したアンモニアを所定の量だけ吸着する機能も有する。本実施形態では、選択還元触媒231,232において吸着されたアンモニア量をストレージ量といい、このストレージ量の限界を最大ストレージ容量という。より詳しくは、第1選択還元触媒231のストレージ量及び最大ストレージ容量を、第1ストレージ量及び第1最大ストレージ容量といい、第2選択還元触媒232のストレージ量及び最大ストレージ容量を、第2ストレージ量及び第2最大ストレージ容量という。このようにして吸着されたアンモニアは、排気中のNOxの還元にも適宜消費される。このため、ストレージ量が大きくなるに従い、選択還元触媒におけるNOx還元率は高くなる。また、エンジンから排出されたNOxの量に対し尿素水の供給量が少ない場合等には、吸着されたアンモニアが、この尿素水の不足分を補うようにしてNOxの還元に消費される。
ここで、選択還元触媒231,232において、最大ストレージ容量を超えてアンモニアが生成された場合、生成されたアンモニアは、選択還元触媒231,232の下流側へ排出される。このようにしてアンモニアが選択還元触媒231,232に吸着されず、その下流側へ排出されることを、以下では「アンモニアスリップ」という。
ECU3には、NHセンサ26、排気温度センサ27、NOxセンサ28、エアフローメータ29、クランク角度位置センサ14、及びアクセル開度センサ15等が接続されている。
NHセンサ26は、排気管11のうち第1選択還元触媒231と第2選択還元触媒232との間における排気のアンモニアの濃度NH3CONSを検出し、検出したアンモニア濃度NH3CONSに略比例した検出信号をECU3に供給する。排気温度センサ27は、第2選択還元触媒232の下流側の排気の温度(以下、「排気温度」という)TGASを検出し、検出した排気温度TGASに略比例した検出信号をECU3に供給する。NOxセンサ28は、第1選択還元触媒231に流入する排気のNOxの濃度NOXCONSを検出し、検出したNOx濃度NOXCONSに略比例した検出信号をECU3に供給する。エアフローメータ29は、図示しない吸気通路を流通する吸入空気量(質量流量)QAを検出し、検出した吸入空気量QAに略比例した検出信号をECU3に供給する。
クランク角度位置センサ14は、エンジン1のクランク軸の回転角度を検出するとともに、クランク角1度ごとにパルスを発生し、そのパルス信号をECU3に供給する。エンジン1の回転数NEは、このパルス信号に基づいてECU3により算出される。アクセル開度センサ15は、車両の図示しないアクセルペダルの踏み込み量(以下、「アクセル開度」という)を検出し、検出したアクセル開度APに略比例した検出信号をECU3に供給する。ECU3では、このアクセル開度AP及びエンジン回転数NEに応じて、エンジン1の要求トルクTRQが算出される。以下では、この要求トルクTRQを、エンジン1の負荷を表す負荷パラメータとする。
酸化触媒21の温度(以下、「酸化触媒温度」という)TDOCや第1、第2選択還元触媒の温度(以下、「選択還元触媒温度」という)TSCRなど排気系の温度は、例えば排気温度TGAS、エンジン回転数NE、及び吸入空気量QAなどの入力に基づいて、ECU3により算出される。また、排気の空間速度SVは、エンジン回転数NE及び吸入空気量QAに基づいて、所定のマップを検索することで、ECU3により算出される。
ECU3は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定のレベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する入力回路と、中央演算処理ユニット(以下「CPU」という)とを備える。この他、ECU3は、CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する記憶回路と、エンジン1、ユリア噴射弁253、EGRバルブ19等に制御信号を出力する出力回路と、を備える。
以下、このECU3に構成された、排気系の温度制御に係る排気系温度制御部4と、尿素水の噴射制御に係るユリア噴射制御部5と、吸気系の制御に係る吸気制御部6との構成について、順に説明する。
[排気系温度制御部4]
先ず、排気系温度制御部4について説明する。
図2は、選択還元触媒におけるNOx浄化率と、触媒温度との関係を示す図である。選択還元触媒におけるNOx浄化率は、触媒温度に対し上に凸の特性を示す。したがって選択還元触媒には、NOx浄化率を高く維持するために最適な温度が存在する。図2に示す例では、この最適温度は約250℃となっている。
図1に戻って、排気系温度制御部4では、選択還元触媒231,232におけるNOx浄化性能を高く維持するため、上記最適温度を第1選択還元触媒231の目標温度として設定し、第1選択還元触媒231の温度をこの目標温度に維持するように、エンジン1の点火時期や目標空燃比を変更したり、ポスト噴射(排気工程中における燃料噴射)を実行したりする。
ところで、DPF22におけるPMの堆積量が大きくなると圧損が大きくなり、エンジン1の燃費が悪化したり出力が低下したりするので、DPF22に堆積したPMを燃焼除去することによりDPF22を再生する必要がある。
そこで排気系温度制御部4は、エンジン1の燃料噴射量や回転数NEなどからDPF22におけるPM堆積量を積算し、このPM堆積量が所定の閾値を上回った場合には、DPF22を再生する時期に達したと判断し、以下に示す手順でDPFを再生する。
先ず、排気系温度制御部4は、DPF22を再生する時期に達したと判断したことに応じて、DPF22の再生昇温中であることを示すDPF昇温フラグFRISEを“1”にセットするとともに、PMの燃焼温度である約600℃をDPFの目標温度として設定し、DPF22の温度をこの目標温度まで昇温する。さらに、排気系温度制御部4は、DPF22の温度が上記目標温度に達したことに応じて、DPF昇温フラグFRISEを“0”にリセットするとともに、DPF22の再生中であることを示すDPF再生フラグFDPFREGを“1”にセットし、DPF22に堆積したPMが燃焼除去されたと判断できるまでDPF22の温度をこの目標温度に維持し続ける。その後、排気系温度制御部4は、PMが燃焼除去されたと判断したことに応じてDPF再生フラグFDPFREGを“0”にリセットし、DPFの再生を終了する。なお、排気系温度制御部4は、エンジン1の点火時期や目標空燃比を変更したり、ポスト噴射(排気工程中における燃料噴射)を実行したりすることにより、DPF22の温度を上記目標温度に昇温又は維持する。
[ユリア噴射制御部5]
次に、ユリア噴射制御部5の構成について説明する前に、上述のようなDPFの再生を行っている間における、従来の排気浄化システムの選択還元触媒の浄化性能について検討する。
図3は、DPFの昇温中及び再生中におけるNOx浄化率を示す図である。より詳しくは、下段の細線は車速[km/h]を示し、下段の太線はユリア噴射装置から供給した尿素水の当量比αを示す。中段の太線はNHセンサの出力すなわち第1選択還元触媒と第2選択還元触媒の間のNH濃度[ppm]を示し、中段の細線はテールパイプから排出される排気のNH濃度すなわち第2選択還元触媒の下流側のNH濃度[ppm]を示す。上段は、第1、第2選択還元触媒を合わせたNOx浄化率[%]を示す。
ここで、尿素水の当量比αとは、対象とする選択還元触媒について、単位時間当りの尿素水の流入量(NHとして流入する分も含む)と、単位時間当りのNOxの流入量との比(尿素水流入量/NOx流入量)であり、流入するNOxに対し、このNOxを過不足なく還元できる量の尿素水が流入した場合、この当量比αは“1”となる。すなわち、対象とする選択還元触媒に流入するNOxに対し、流入するNOxを還元するために必要な量の尿素水が供給されなかった場合、当量比αは“1”より小さな値となり、流入するNOxを還元するために必要な量より多くの尿素水が供給された場合、当量比αは“1”より大きな値となる。
<DPF再生昇温中>
DPFの再生昇温中は、DPFの昇温に伴って第1、第2選択還元触媒の温度が短時間で上昇し、同時にこれら第1、第2選択還元触媒の最大ストレージ容量も短時間で低下する。このため、中段の実線で示すように、第1選択還元触媒に吸着されていたNHが排出され、その後、第2選択還元触媒の下流側からNHが排出される。このため、DPFの再生昇温中は、図3に示すように尿素水の噴射を抑えたとしても、これまでに吸着されていたNHが放出されるため過剰なNHスリップが発生しやすくなっている。
<DPF再生中>
DPFの再生中、第1、第2選択還元触媒は高温になるため、NHを吸着する能力が無くなる。このため、当量比αが“1”になるように尿素水を噴射すると、これに伴いNOx浄化率が上昇するものの、第2選択還元触媒におけるNHスリップも発生しやすくなっている。逆に、尿素水の噴射量を少なくすると、NHスリップを抑制できるものの、NOx浄化率が低下してしまう。以上のように、DPFの再生中は、第1、第2選択還元触媒にNHを吸着する能力が無くなるため、NOx浄化率を高く維持しながらNHスリップの抑制するように、適切な量の尿素水を供給することが特に困難になっている。
以下、図4から図6を参照して、ユリア噴射制御部5の構成について説明する。
図4は、ユリア噴射装置によるユリア噴射量GUREAの決定に係るブロック図である。
ユリア噴射制御部5は、通常噴射量GUREA_ORDを算出する通常噴射量算出部51と、上限噴射量GUREA_ULIM及び下限噴射量GUREA_LLIMを算出する制限噴射量算出部57と、これら噴射量GUREA_ORD,GUREA_ULIM,GUREA_LLIMに基づいて最終的なユリア噴射量GUREAを決定する噴射量制限部59と、を含んで構成される。
以下、詳細に説明するように、通常噴射量算出部51は、NHセンサの検出値NH3CONS及びNOxセンサの検出値NOXCONS基づいて通常噴射量GUREA_ORDを算出し、制限噴射量算出部57は、NOxセンサの検出値NOXCONS、酸化触媒温度TDOC、選択還元触媒温度TSCR、空間速度SVなどに基づいて上限噴射量GUREA_ULIM及び下限噴射量GUREA_LLIMを算出する。そして噴射量制限部59は、DPF再生中でない場合(FDPFREG=“0”)には、通常噴射量GUREA_ORDをユリア噴射量GUREAとして決定し、DPF再生中である場合(FDPFREG=“1”)には、通常噴射量GUREA_ORDを上限噴射量GUREA_ULIM及び下限噴射量GUREA_LLIMの範囲内に制限したものをユリア噴射量GUREAとして決定する。
図5は、通常噴射量算出部51の構成を示すブロック図である。
通常噴射量算出部51は、フィードバックコントローラ52と、フィードフォワードコントローラ53と、ストレージ補正入力算出部54とを含んで構成される。
この通常噴射量算出部51では、下記式(1)に示すように、フィードバックコントローラ52により算出されたFB噴射量GUREA_FBと、フィードフォワードコントローラ53により算出されたFF噴射量GUREA_FFと、ストレージ補正入力算出部54により算出された補正噴射量GUREA_STとを加算することにより、通常噴射量GUREA_ORDを決定する。
Figure 2012047081
ここで、記号(k)は、離散化した時間を示す記号であり、所定の制御周期ごとに検出又は算出されたデータであることを示す。すなわち、記号(k)が今回の制御タイミングにおいて検出又は算出されたデータであるとした場合、記号(k−1)は前回の制御タイミングにおいて検出又は算出されたデータであることを示す。なお、以下の説明においては、記号(k)を適宜、省略する。
フィードバックコントローラ52は、目標アンモニア濃度設定部521と、スライディングモードコントローラ522とを備える。
目標アンモニア濃度設定部521は、NHセンサの検出値NH3CONSの目標値NH3CONS_TRGTを設定する。より具体的には、この目標値NH3CONS_TRGTは、例えば“0”より僅かに大きな値に設定される。
スライディングモードコントローラ522は、NHセンサの検出値NH3CONSが、設定された目標アンモニア濃度NH3CONS_TRGTに収束するようにFB噴射量GUREA_FBを算出する。
フィードフォワードコントローラ53は、エンジンの運転状態により変化する排気中のNOxの量に応じて、第1、第2選択還元触媒におけるNOx浄化率が最大値に維持されるように、エンジン回転数NE及びエンジンの負荷を表す負荷パラメータTRQに基づいてFF噴射量GUREA_FFを算出する。すなわち、このFF噴射量GUREA_FFは、当量比αが“1”になるように算出された尿素水の噴射量に相当する。
ストレージ補正入力算出部54は、第1選択還元触媒の第1ストレージ量を推定し、この推定した第1ストレージ量が所定の目標ストレージ量に収束するように補正噴射量GUREA_STを算出する。また、このストレージ補正入力算出部54は、選択還元触媒の温度に応じて変化する第1選択還元触媒の最大ストレージ容量を推定し、上記目標ストレージ量を推定したストレージ容量と同じかそれよりもやや小さな値に設定する。
したがって、以上のようにして決定された通常噴射量GUREA_ORDに応じた量の尿素水を噴射することにより、第1選択還元触媒では、その最大ストレージ容量に近い量のNHを吸着させた状態を維持することができるので、第1選択還元触媒におけるNOx浄化率を高く維持することができる。また、NHセンサの検出値の目標値NH3CONS_TRGTを“0”より僅かに大きな値に設定することにより、第2選択還元触媒に流入するNHの量を少なくすることができるので、第2ストレージ量を小さく維持することができる。したがって、高負荷運転などにより第1選択還元触媒の温度が上昇し、第1選択還元触媒に吸着されていたNHがスリップした場合であっても、これを第2選択還元触媒で吸着できるので、テールパイプからの過剰なアンモニアスリップを抑制することができる。
なお、以上のような通常噴射量GUREA_ORDを算出する具体的な手法、すなわちこれらフィードバックコントローラ52、フィードフォワードコントローラ53、及びストレージ補正入力算出部54の具体的な構成、並びに第1選択還元触媒のストレージ量や最大ストレージ容量を推定する具体的な手法などについては、本願出願人による国際公開第2008/57628に詳しく記載されているので、ここではこれ以上詳細な説明を省略する。
図6は、制限噴射量算出部57の構成を示すブロック図である。
制限噴射量算出部57は、単位変換部571と、DPFの再生中におけるユリア噴射量に対する上限値に相当する上限噴射量GUREA_ULIMを算出する上限値算出部572と、上記通常噴射量に対する下限値に相当する下限噴射量GUREA_LLIMを算出する下限値算出部576と、を含んで構成される。
単位変換部571は、吸入空気量QAに基づいて、排気中のNOx濃度に相当するNOxセンサの検出値NOXCONSを、質量流量に相当するNOx量QNOXに変換する。この単位変換部571で算出されたNOx量QNOXは、エンジンから排出され第1選択還元触媒に流入するNOx量に相当することから、以下では、「フィードNOx量」という。
上限値算出部572は、還元可能NOx量算出部573と、消費NH量算出部574と、噴射量換算部575とを備える。
還元可能NOx量算出部573は、NO/NO量算出部573a及びNOx浄化率算出部573bを備え、これらにより、流入したNOxのうち第1、第2選択還元触媒により還元可能なNO量に相当するNO還元可能量QNORED_MAX及びNO量に相当するNO還元可能量QNO2RED_MAXを算出する。
NO/NO量算出部573aは、フィードNOx量QNOXと酸化触媒温度TDOCに基づいて所定のマップを検索することにより、第1選択還元触媒に流入するNO量に相当するNO流入量QNOINと、第1選択還元触媒に流入するNO量に相当するNO流入量QNO2INとを算出する。
NOx浄化率算出部573bは、エンジンの運転状態と相関のあるパラメータとしての選択還元触媒温度TSCR及び空間速度SVに基づいて所定のマップを検索することにより、第1、第2選択還元触媒におけるNOx浄化率ηMAXを算出する。
上述のNO還元可能量QNORED_MAX及びNO還元可能量QNO2RED_MAXは、下記式(2−1)、(2−2)に示すように、NO流入量QNOINと及びNO流入量QNO2INに、NOx浄化率ηMAXを乗算することで算出される。
Figure 2012047081
消費NH量算出部574は、下記式(3−1)〜(3−3)に示すような反応の下で、NHによりNO及びNOが還元されると仮定することにより、上記NO還元可能量QNORED_MAXのNO、及びNO還元可能量QNO2RED_MAXのNOを還元するのに消費されるNH量を算出し、これをNH最大消費量QNH3RED_MAXとする。このNH最大消費量QNH3RED_MAXは、第1、第2選択還元触媒で消費することができるNH量の最大値に相当する。
Figure 2012047081
噴射量換算部575は、NH最大消費量QNH3RED_MAXを尿素水の質量に換算することにより、上限噴射量GUREA_ULIMを算出する。より具体的には、ユリア噴射装置から噴射した所定の濃度の尿素水(CO(NH+HO)は、排気管内及び第1、第2選択還元触媒の内部において熱分解又は加水分解され、最終的には下記式(4)に示すように、NH及び二酸化炭素(CO)が生成されると仮定することにより、上記NH最大消費量QNH3RED_MAXから、上限噴射量GUREA_ULIMを算出する。
Figure 2012047081
下限値算出部576は、還元要求NOx量算出部577と、消費NH量算出部578と、噴射量換算部579とを備える。
還元要求NOx量算出部577は、上述のNOx浄化率算出部573bよりも小さな値を出力する要求浄化率算出部577bを備え、これにより、流入したNOxのうち第1、第2選択還元触媒により最低限還元されることが要求されるNO量に相当するNO還元要求量QNORED_REQ及びNO量に相当するNO還元要求量QNO2RED_REQを算出する。
要求浄化率算出部577bは、排気温度TGAS及び空間速度SVに基づいて所定のマップを検索することにより、第1、第2選択還元触媒におけるNOx浄化率として最低限要求される値に相当する要求浄化率ηREQを算出する。このように、要求浄化率ηREQは、最低限要求されるNOx浄化率に相当することから、同じ排気温度TGAS及び空間速度SVの下では、上記NOx浄化率算出部573bにより算出されたNOx浄化率ηMAXよりも小さな値となる。
上述のNO還元要求量QNORED_REQ及びNO還元要求量QNO2RED_REQは、下記式(5−1)、(5−2)に示すように、NO流入量QNOINと及びNO流入量QNO2INに、要求浄化率ηREQを乗算することで算出される。
Figure 2012047081
消費NH量算出部578は、上述の消費NH量算出部574と同様にして、NO還元要求量QNORED_REQのNO、及びNO還元要求量QNO2RED_REQのNOを還元するのに消費されるNH量を算出し、これをNH要求消費量QNH3RED_REQとする。このNH要求消費量QNH3RED_REQは、第1、第2選択還元触媒におけるNOx浄化率を要求浄化率ηREQより高く維持するために最低限供給する必要のあるNH量に相当する。
噴射量換算部579は、上述の噴射量換算部575と同様にして、NH要求消費量QNH3RED_REQを尿素水の質量に換算することにより、下限噴射量GUREA_LLIMを算出する。
図4に戻って、噴射量制限部59について説明する。
噴射量制限部59は、DPF再生フラグFDPFREGが“0”となっている間、すなわちDPF再生中でない間は、下記式(6)に示すように通常噴射量GUREA_ORDをユリア噴射量GUREAとして決定する。
Figure 2012047081
また、DPF再生フラグFDPFREGが“1”となった場合、すなわちDPF再生中は、下記式(7)に示すように、上限噴射量GUREA_ULIM及び下限噴射量GUREA_LLIMの範囲内に制限された通常噴射量GUREA_ORDを、ユリア噴射量GUREAとして決定する。
Figure 2012047081
[吸気制御部6]
次に、吸気制御部6のうち、エンジン1の新気量制御に係るブロックについて説明する。
図7は、吸気制御部6のうち、エンジンの新気量を所定の目標新気量QNEWに制御するためのEGRバルブ開度VOの決定に係るブロック図である。
図7に示すように、バルブ開度VOは、通常開度算出部61により算出された通常開度VOORDと、閉側補正開度算出部62により算出された閉側補正開度VOCLOと、のうちの何れかを開度セレクタ63により選択することで決定される。
通常開度算出部61は、エンジンの新気量の目標値である目標新気量QNEWを入力とし、この目標新気量QNEWに応じた適切なEGRバルブ開度を算出し、これを通常開度VOORDとして出力する。この目標新気量QNEWは、車両の運転状態に応じて図示しない処理により決定される。
閉側補正開度算出部62は、昇温時NHスリップ速度VNH3SLIPと、昇温時NH消費速度VNH3REDと、目標新気量QNEWとに基づいて、上記通常開度VOORDよりも閉じ側に補正された閉側補正開度VOCLOを算出する。
ここで、昇温時NHスリップ速度VNH3SLIPとは、DPFの再生昇温中であり第1、第2選択還元触媒の温度が急激に上昇してゆく過程において、第1、第2選択還元触媒から下流側へ排出されるNHの単位時間当りの量に相当し、スリップ速度算出部64により算出される(後述の図8参照)。
また、昇温時NH消費速度VNH3REDとは、DPFの再生昇温中であり急激に温度が上昇してゆく状況にある第1、第2選択還元触媒において、流入するNOxを還元することで消費され得るNHの単位時間当りの量に相当し、消費速度算出部65により算出される(後述の図9参照)。
閉側補正開度算出部62は、余剰NH量算出部621と、反応モデル演算部622と、追加新気量算出部623と、目標新気量補正部624と、開度算出部625とを含んで構成される。
余剰NH量算出部621は、下記式(8)に示すように、昇温時NHスリップ速度VNH3SLIPから昇温時NH消費速度VNH3REDを減算することにより、余剰NH量ΔNHを算出する。ここで算出された余剰NH量ΔNH3は、第1、第2選択還元触媒に現在流入するNOxのみでは消費しきれずに、その下流側へ排出され得るNHの単位時間当りの量に相当する。すなわち、DPFの再生昇温中において第1、第2選択還元触媒の温度が急激に上昇してゆく過程において、吸着されていたNHが排出されないようにするために、余分に消費する必要のあるNHの単位時間当りの量に相当する。
Figure 2012047081
反応モデル演算部622は、上記式(3−1)〜(3−3)に示すような反応の下で、NHによりNO及びNOが還元されると仮定することにより、上記余剰NH量ΔNH3のNHを消費するために必要なNOx量を算出し、これを追加NOx量ΔNOXとする。
追加新気量算出部623は、第1、第2選択還元触媒に供給されるNOxを、上記追加NOx量ΔNOXに相当する分だけ追加するために必要な、新気量の追加量を算出し、これを追加新気量ΔQNEWとする。
目標新気量補正部624は、下記式(9)に示すように、目標新気量QNEWに追加新気量ΔQNEWを合算することにより、目標新気量の補正値に相当する補正新気量QNEWCORを算出する。
Figure 2012047081
開度算出部625は、補正新気量QNEWCORを入力とし、この補正新気量QNEWCORに応じた適切なEGRバルブ開度を算出し、これを閉側補正開度VOCLOとして出力する。DPFの昇温を開始し、第1、第2選択還元触媒の温度が上昇すると、それまでに吸着されていたNHが排出されることで、上記余剰NH量ΔNH3が正の値となり、結果として追加新気量ΔQNEWが正の値となる場合がある。このとき、補正新気量QNEWCORは、補正される前の目標新気量QNEWよりも大きな値となるため、これにより閉側補正開度VOCLOは、補正される前の目標新気量QNEWに応じて算出された通常開度VOORDよりも閉じ側に補正されることとなる。
開度セレクタ63は、昇温時NHスリップ速度VNH3SLIPと、昇温時NH消費速度VNH3REDと、DPF昇温フラグFRISEとに応じて、通常開度算出部61により算出された通常開度VOORD及び閉側補正開度算出部62により算出された閉側補正開度VOCLOの何れかを選択し、これをEGRバルブ開度VOとして決定する。
より具体的には、DPF昇温フラグFRISEが“0”である場合、開度セレクタ63は、昇温時NHスリップ速度VNH3SLIP及び昇温時NH消費速度VNH3REDの値にかかわらず、通常開度VOORDをEGRバルブ開度VOとして決定する。
一方、DPF昇温フラグFRISEが“1”である場合、すなわちDPFの再生昇温中であり、第1、第2選択還元触媒の温度が急激に上昇している間は、昇温時NHスリップ速度VNH3SLIP及び昇温時NH消費速度VNH3REDを比較し、昇温時NHスリップ速度VNH3SLIPが昇温時NH消費速度VNH3RED以下である場合には通常開度VOORDをEGRバルブ開度VOとして決定し、昇温時NHスリップ速度VNH3SLIPが昇温時NH消費速度VNH3REDより大きい場合には閉側補正開度VOCLOをEGRバルブ開度VOとして決定する。
図8はスリップ速度算出部64の構成を示すブロック図である。
スリップ速度算出部64は、NHセンサの検出値NH3CONSに基づいてスリップ速度を算出するNHセンサベース算出部641と、選択還元触媒温度TSCRに基づいてスリップ速度を算出する触媒温度ベース算出部642と、NHセンサベース算出部641の出力と触媒温度ベース算出部642の出力とを比較し、大きい方を出力する比較器643と、を含んで構成される。
NHセンサベース算出部641は、単位変換部により排気中のNH濃度に相当する検出値NH3CONSをNH量QNH3に変換するとともに、下記式(10)に示すように、このNH量QNH3の微分値を算出し、これをNHセンサベーススリップ速度dQNH3とする。
ところでNHセンサは、第1選択還元触媒と第2選択還元触媒の間のNH濃度を検出するものであるため、上記NHセンサベーススリップ速度dQNH3は、第1選択還元触媒から第2選択還元触媒へ向けて、単位時間当りに排出されるNH量に相当する。本実施形態では、上述のように第1選択還元触媒では最大ストレージ容量に近いストレージ量を維持しながら、第2選択還元触媒に流入するNH量を極力抑制する制御を行うため、基本的には第2選択還元触媒に多くの量のNHは吸着されていない。したがって、DPFの再生昇温中に、第1選択還元触媒及び第2選択還元触媒を合わせた全体から排出されるNHは、その多くは第1選択還元触媒に吸着されていたNHであると考えられる。このため、NHセンサの検出値QNH3CONSに基づいて算出された下記式(10)のNHセンサベーススリップ速度dQNH3は、DPFの再生昇温中では、第1選択還元触媒及び第2選択還元触媒を合わせた全体から排出されるNHのスリップ速度に相当すると考えられる。
Figure 2012047081
触媒温度ベース算出部642は、選択還元触媒温度TSCRに基づいて所定のマップを検索することにより第1選択還元触媒の最大ストレージ容量STNH3_MAX算出するとともに、下記式(11)に示すように、この最大ストレージ容量STNH3_MAXの微分値を算出し、これを触媒温度ベーススリップ速度dSTNH3_MAXとする。
上述のように、本実施形態では、第1選択還元触媒では最大ストレージ容量に近いストレージ量を維持しながら、第2選択還元触媒に流入するNH量を極力抑制する制御を行うため、基本的には第2選択還元触媒に多くの量のNHは吸着されていない。したがって、DPFの再生昇温中に、第1選択還元触媒及び第2選択還元触媒を合わせた全体から排出されるNHは、第1選択還元触媒の温度が上昇し、その最大ストレージ容量が低下することに伴って、吸着しきれなくなったNHであると考えられる。このため、選択還元触媒温度TSCRに基づいて算出された下記式(11)の触媒温度ベーススリップ速度dSTNH3_MAXは、DPFの再生昇温中では、第1選択還元触媒及び第2選択還元触媒を合わせた全体から排出されるNHのスリップ速度に相当すると考えられる。
Figure 2012047081
比較器643は、上記NHセンサベーススリップ速度dQNH3と、触媒温度ベーススリップ速度dSTNH3_MAXとを比較し、大きい方を昇温時NHスリップ速度VNH3SLIPとして出力する。このように、複数の異なる手法でスリップ速度を推定し、そのうちの大きい方を用いることにより、より確実にDPFの再生昇温時における過剰なアンモニアスリップを抑制することができる。
図9は消費速度算出部65の構成を示すブロック図である。
消費速度算出部65は、単位変換部654と、NOx量算出部651と、反応モデル演算部652とを備え、これらにより昇温時NH消費速度VNH3REDを算出する。
単位変換部654は、上述の単位変換部571と同様にして、フィードNOx量QNOXを算出する。
昇温時NOx量算出部651は、NO/NO量算出部651aと、昇温時NOx浄化率算出部651bとを備え、これらにより、DPFの再生昇温時に流入したNOxのうち第1、第2選択還元触媒により還元可能なNO量に相当する昇温時NO還元可能量QNORED_RISE及びNO量に相当する昇温時NO還元可能量QNO2RED_RISEを算出する。
NO/NO量算出部651aは、フィードNOx量QNOXと酸化触媒温度TDOCに基づいて所定のマップを検索することにより、第1選択還元触媒に流入するNO量に相当するNO流入量QNOINと、第1選択還元触媒に流入するNO量に相当するNO流入量QNO2INとを算出する。
昇温時NOx浄化率算出部651bは、選択還元触媒温度TSCR及び空間速度SVに基づいて所定のマップを検索することにより、DPFの再生昇温中の第1、第2選択還元触媒におけるNOx浄化率ηRISEを算出する。
上述の昇温時NO還元可能量QNORED_RISE及び昇温時NO還元可能量QNO2RED_RISEは、下記式(12−1)、(12−2)に示すように、NO流入量QNOINと及びNO流入量QNO2INに、昇温時NOx浄化率ηRISEを乗算することで算出される。
Figure 2012047081
反応モデル演算部652は、上記式(3−1)〜(3−3)に示すような反応の下で、NHによりNO及びNOが還元されると仮定することにより、上記昇温時NO還元可能量QNORED_RISEのNO、及び昇温時NO還元可能量QNO2RED_RISEのNOを還元するのに消費されるNH量を算出することにより、昇温時NH消費速度VNH3REDを算出する。
図10は、上述のユリア噴射制御部によるユリア噴射制御の手順を示すフローチャートである。このユリア噴射制御は、上述した手法により、ユリア噴射量GUREAを決定するものであり、所定の制御周期ごとに実行される。
S1では、ユリア噴射制御に係る装置が正常であるか否かを判別する。より具体的には、例えば、ユリア噴射装置が正常であるか否か、第1、第2選択還元触媒が劣化及び故障していないか否か、ユリアタンク内の尿素水の残量が規定値以上であるか否か、エンジン始動後の暖機が完了しているか否か、NHセンサ、NOxセンサ、排気温度センサなど各種センサが故障していないか否か、及びこれらセンサが活性に達しているか否か、第1、第2選択還元触媒の温度が規定温度以上であるか否か、などが判別される。S1の判別がNOであり装置が正常でないと判別された場合にはS2に移り、ユリア噴射量GUREAを“0”に設定した後に、この処理を終了する。S1の判別がYESであり装置が正常であると判別された場合にはS3に移る。
S3では、DPF昇温フラグFRISEが“1”であるか否かを判別する。この判別がYESでありDPFの再生昇温中である場合には、第1、第2選択還元触媒に吸着されているNHを積極的に消費させるため、S2に移り、ユリア噴射量GUREAを“0”に設定する。S3の判別がNOである場合には、S4に移る。
S4では、通常噴射量GUREA_ORDを算出し、S5に移る。S5では、DPF再生フラグFDPFREGが“1”であるか否かを判別する。この判別がNOである場合にはS6に移り、通常噴射量GUREA_ORDをユリア噴射量GUREAとして決定する。S5の判別がYESである場合にはS7に移る。
S7では、上限噴射量GUREA_ULIM及び下限噴射量GUREA_LLIMを算出し、S8に移る。S8では、通常噴射量GUREA_ORDが上限噴射量GUREA_ULIMより大きいか否かを判別する。この判別がYESである場合には、DPF再生中であり通常噴射量GUREA_ORDに応じた量の尿素水を噴射するとNHスリップが発生するおそれがあると判断し、S9に移り、上限噴射量GUREA_ULIMをユリア噴射量GUREAとして決定する。S8の判別がNOである場合にはS10に移る。
S10では、通常噴射量GUREA_ORDが下限噴射量GUREA_LLIMより小さいか否かを判別する。この判別がYESである場合には、DPF再生中であり通常噴射量GUREA_ORDに応じた量の尿素水を噴射すると、NOx浄化率が過剰に低下するおそれがあると判断し、S11に移り、下限噴射量GUREA_LLIMをユリア噴射量GUREAとして決定する。S10の判別がNOである場合には、上述のS5に移る。
図11は、上述の吸気制御部による新気量制御の手順を示すフローチャートの一部を示す図である。この新気量制御は、上述した手法により、EGRバルブ開度VOを決定するものであり、所定の制御周期ごとに実行される。
S21では、DPF昇温フラグFRISEが“1”であるか否か、すなわちDPFの再生昇温中であるか否かを判別する。この判別がYESの場合にはS22に移り、NOの場合にはS23に移る。S22では、昇温時NHスリップ速度VNH3SLIPは、昇温時NH消費速度VNH3REDよりも大きいか否かを判別する。この判別がYESの場合にはS24に移り、NOの場合にはS23に移る。
S23では、図示しない処理で定められた目標新気量QNEWに応じて算出された通常開度VOORDをEGRバルブ開度VOとして決定する。
これに対し、S24では、DPFの再生昇温中でありかつこれに伴い第1、第2選択還元触媒において過剰なNHスリップが発生するおそれがあると判断されたことに応じて、このNHスリップを抑制するため、目標新気量を増加側に補正した補正新気量QNEWCORに応じて算出された閉側補正開度VOCLOをEGRバルブ開度VOとして決定する。これにより、第1、第2選択還元触媒に流入するNOx量が増加し、過剰なNHスリップが抑制される。
本実施形態によれば、以下の効果がある。
(1)本実施形態では、DPFの再生中におけるユリア噴射量GUREAに対して上限値となる上限噴射量GUREA_ULIMと、下限値となる下限噴射量GUREA_LLIMとを設定することにより、ユリア噴射量GUREAが必要な量に対し過剰となったり逆に不足したりするのを防止できるので、結果として選択還元触媒におけるNOx浄化性能を高く維持しながらアンモニアスリップを抑制することができる。
本実施形態では、上限噴射量GUREA_ULIMを、第1、第2選択還元触媒で還元可能なNO量に相当するNO還元可能量QNORED_MAX及びNO量に相当するNO還元可能量QNO2RED_MAXに基づいて算出する。また、下限噴射量GUREA_LLIMを、第1、第2選択還元触媒により最低限還元されることが要求されるNO量に相当するNO還元要求量QNORED_REQ及びNO量に相当するNO還元要求量QNO2RED_REQに基づいて算出する。したがって、排気中のNO及びNOを還元するのに必要な還元剤の量を高い精度で算出することができるので、DPFの再生中におけるNOx浄化性能を高く維持しながらアンモニアスリップを抑制するように、最適な上限噴射量GUREA_ULIM及び下限噴射量GUREA_LLIMを算出することができる。以上のようにNOとNOに分けることで必要なNHの量を精度良く算出し、これに応じて上限噴射量GUREA_ULIM及び下限噴射量GUREA_LLIMを算出することは、NHを吸着する能力が著しく低下するDPFの再生中では特に効果的である。
また、本実施形態の排気浄化システムでは、通常噴射量GUREA_ORDを、第1選択還元触媒と第2選択還元触媒の間に設けられたNHセンサの出力に基づいて決定する。このようなNHセンサを用いたフィードバック制御を行うことにより、上述のように、第1選択還元触媒のNOx浄化率を高く維持しながら、第2選択還元触媒からの過剰なアンモニアスリップを抑制することができる。しかしながら、DPFの再生中においては、第1選択還元触媒にアンモニアを吸着する能力が無くなることから、NHセンサがDPFの再生中でない期間と比較して過敏に反応するため、通常噴射量GUREA_ORDは減量側へ補正されがちになり、結果としてDPFの再生中におけるNOx浄化率が低下するおそれがある。したがって、このようなNHセンサの出力に基づいてユリア噴射量を決定する本実施形態の排気浄化システムにおいて、上述のような下限噴射量GUREA_LLIMを設定することは、DPFの再生中であってもNOx浄化率を高く維持するために特に効果的である。
(2)本実施形態では、フィードNOx量QNOXに加えて、選択還元触媒温度TSCR及び空間速度SVに応じて算出されたNOx浄化率に基づいて、上述のNO還元可能量QNORED_MAX、NO還元可能量QNO2RED_MAX、NO還元要求量QNORED_REQ、及びNO還元要求量QNO2RED_REQを算出することにより、排気中のNO及びNOを還元するのに最低限必要なNHの量をさらに高い精度で算出できるので、結果として、より確実に選択還元触媒のNOx浄化性能を高く維持しながらアンモニアスリップを抑制することができる。
(3)本実施形態では、DPFの再生昇温中に、EGR装置によりエンジンの新気量を増量側に補正することにより、第1、第2選択還元触媒に流入する排気のNOx量を増やすことができるため、DPFの昇温を開始するまでの間に吸着しておいたNHを積極的に消費することができる。したがって、DPFの昇温の開始に伴ってNHがNOxの還元に消費されず、選択還元触媒の下流側へ排出されてしまうのを抑制することができる。
(4)本実施形態では、DPFを再生昇温中に、第1、第2選択還元触媒からのNHの排出速度(昇温時NHスリップ速度VNH3SLIP)が、第1、第2選択還元触媒におけるNHの消費速度(昇温時NH消費速度VNH3RED)よりも速い場合に、新気量を増量側に補正し、第1、第2選択還元触媒に流入するNOx量を増やすことにより、第1、第2選択還元触媒におけるNHの消費速度を一時的に速くできるので、DPFを再生昇温中における過剰なアンモニアスリップを抑制することができる。
なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。
上記実施形態では、酸化触媒温度TDOCや選択還元触媒温度TSCRを、排気温度TGASやエンジン回転数NEなどに基づいて推定したが、これに限らず、温度センサにより直に検出してもよい。
上記実施形態では、アンモニアを還元剤とし、かつこの前駆体として尿素水を供給する尿素添加式の排気浄化システムに、本発明を適用した例を示したが、これに限るものではない。
例えば、尿素水を供給しこの尿素水からアンモニアを生成せずに、直接アンモニアを供給してもよい。また、アンモニアの前駆体としては、尿素水に限らず他の添加剤を用いてもよい。また、NOxを還元するための還元剤はアンモニアに限るものではない。本発明は、NOxを還元するための還元剤として、アンモニアの代わりに、例えば炭化水素を用いた排気浄化システムに適用することもできる。
また、上記実施形態では、図10のS3においてDPFの再生昇温中である場合にはユリア噴射量GUREAを“0”に設定したが、これに限らない。DPFの再生昇温中は、第1、第2選択還元触媒の温度も上昇し、ひいては各々の最大ストレージ容量も減少することとなる。図5に示すストレージ補正入力算出部54では、このような最大ストレージ容量の減少に合わせてユリア噴射量GUREAが減量側に補正されるように補正噴射量GUREA_STを算出するので、DPFの再生昇温中は、上述のように強制的にユリア噴射量GUREAを“0”にしなくても、結果として“0”になるように補正される。
1…エンジン(内燃機関)
2…排気浄化システム
11…排気管(排気系)
12…吸気管(吸気系)
17…EGR装置(排気還流手段)
22…DPF(フィルタ)
23…ユリア選択還元触媒
231…第1選択還元触媒(選択還元触媒)
232…第2選択還元触媒(選択還元触媒)
25…ユリア噴射装置(還元剤供給手段)
26…NHセンサ
28…NOxセンサ(NOx量取得手段)
3…ECU
4…排気系温度制御部(フィルタ再生手段)
5…ユリア噴射制御部
57…制限噴射量算出部(制限値算出手段)
571…単位変換部(NOx量取得手段)
6…吸気制御部(補正手段)

Claims (4)

  1. 内燃機関の排気系に設けられ、還元剤の存在下で排気を浄化し、かつこの還元剤を捕捉する選択還元触媒と、
    前記排気系に設けられ、排気中の粒子状物質を捕集するフィルタと、
    前記排気系のうち前記選択還元触媒の上流側に還元剤又はその前駆体を供給する還元剤供給手段と、を備える内燃機関の排気浄化システムであって、
    前記フィルタを昇温することで堆積した粒子状物質を燃焼除去し、当該フィルタを再生するフィルタ再生手段と、
    前記選択還元触媒に流入する排気中のNOx量を取得するNOx量取得手段と、
    前記取得したNOx量に基づいて、前記選択還元触媒により還元可能なNO量及びNO量を算出し、さらに当該算出したNO量及びNO量に基づいて、前記フィルタの再生中における前記還元剤又は前駆体の供給量に対する制限値を算出する制限値算出手段と、を備えることを特徴とする内燃機関の排気浄化システム。
  2. 前記制限値算出手段は、前記取得したNOx量と、前記内燃機関の運転状態に相関のあるパラメータに応じて算出された前記選択還元触媒のNOx浄化率と、に基づいて、前記還元可能なNO量及びNO量を算出することを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  3. 前記排気系における排気の一部を前記内燃機関の吸気系に還流する排気還流手段と、
    前記フィルタの再生の開始直後、当該フィルタを昇温している間に、前記排気還流手段により前記内燃機関の新気量を増量側に補正する補正手段と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の内燃機関の排気浄化システム。
  4. 前記補正手段は、前記フィルタを昇温している間に、前記選択還元触媒からの還元剤の排出速度と、前記選択還元触媒における還元剤の消費速度とを比較し、前記還元剤の排出速度が消費速度よりも速い場合に、前記内燃機関の新気量を増量側に補正することを特徴とする請求項3に記載の内燃機関の排気浄化システム。
JP2010188760A 2010-08-25 2010-08-25 内燃機関の排気浄化システム Expired - Fee Related JP5198520B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010188760A JP5198520B2 (ja) 2010-08-25 2010-08-25 内燃機関の排気浄化システム

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010188760A JP5198520B2 (ja) 2010-08-25 2010-08-25 内燃機関の排気浄化システム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012047081A true JP2012047081A (ja) 2012-03-08
JP5198520B2 JP5198520B2 (ja) 2013-05-15

Family

ID=45902225

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010188760A Expired - Fee Related JP5198520B2 (ja) 2010-08-25 2010-08-25 内燃機関の排気浄化システム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5198520B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014034947A1 (ja) 2012-09-03 2014-03-06 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の排気浄化システム
JP2014070566A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の排気浄化システム
JP2016505749A (ja) * 2012-11-30 2016-02-25 コーニング インコーポレイテッド 高温遷移時の選択的触媒還元(scr)触媒のアンモニアスリップを制御する方法、装置およびシステム
GB2604601A (en) * 2021-03-08 2022-09-14 Jaguar Land Rover Ltd Apparatus and method for controlling reduction system

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007154849A (ja) * 2005-12-08 2007-06-21 Isuzu Motors Ltd 排気ガス浄化システムの制御方法
JP2009216019A (ja) * 2008-03-11 2009-09-24 Isuzu Motors Ltd NOx浄化システムの制御方法及びNOx浄化システム
WO2009128169A1 (ja) * 2008-04-18 2009-10-22 本田技研工業株式会社 内燃機関の排気浄化装置
WO2010004611A1 (ja) * 2008-07-07 2010-01-14 本田技研工業株式会社 制御装置
JP2010053702A (ja) * 2008-08-26 2010-03-11 Delphi Technologies Inc 選択的触媒還元制御システム及び方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007154849A (ja) * 2005-12-08 2007-06-21 Isuzu Motors Ltd 排気ガス浄化システムの制御方法
JP2009216019A (ja) * 2008-03-11 2009-09-24 Isuzu Motors Ltd NOx浄化システムの制御方法及びNOx浄化システム
WO2009128169A1 (ja) * 2008-04-18 2009-10-22 本田技研工業株式会社 内燃機関の排気浄化装置
WO2010004611A1 (ja) * 2008-07-07 2010-01-14 本田技研工業株式会社 制御装置
JP2010053702A (ja) * 2008-08-26 2010-03-11 Delphi Technologies Inc 選択的触媒還元制御システム及び方法

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2014034947A1 (ja) 2012-09-03 2014-03-06 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の排気浄化システム
JP5850166B2 (ja) * 2012-09-03 2016-02-03 トヨタ自動車株式会社 内燃機関の排気浄化システム
US9435276B2 (en) 2012-09-03 2016-09-06 Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha Exhaust gas purification system for an internal combustion engine
JP2014070566A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Honda Motor Co Ltd 内燃機関の排気浄化システム
JP2016505749A (ja) * 2012-11-30 2016-02-25 コーニング インコーポレイテッド 高温遷移時の選択的触媒還元(scr)触媒のアンモニアスリップを制御する方法、装置およびシステム
GB2604601A (en) * 2021-03-08 2022-09-14 Jaguar Land Rover Ltd Apparatus and method for controlling reduction system
GB2604601B (en) * 2021-03-08 2023-08-02 Jaguar Land Rover Ltd Apparatus and method for controlling reduction system

Also Published As

Publication number Publication date
JP5198520B2 (ja) 2013-05-15

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1959108B1 (en) Method for controlling exhaust gas purification system
JP4875744B2 (ja) 排気浄化システムの触媒劣化判定装置
JP5714919B2 (ja) 窒素酸化物の量を予測する方法およびこれを用いた排気装置
JP5795185B2 (ja) 窒素酸化物低減触媒に貯蔵される窒素酸化物の量を予測する方法及びこれを用いた排気装置
KR101251519B1 (ko) 질소산화물 저감 촉매에 저장되는 황산화물의 양을 예측하는 방법 및 이를 이용한 배기 장치
JP5093062B2 (ja) 内燃機関の排気浄化装置
JP5259653B2 (ja) 内燃機関の排気浄化システム
JP5843699B2 (ja) 内燃機関の排気浄化システム
CN102844538B (zh) 废气净化装置及废气净化装置的控制方法
JP6456151B2 (ja) 内燃機関の排気浄化システム
JP2015151929A (ja) 排気浄化装置及び排気浄化装置の制御方法
JP5837319B2 (ja) 内燃機関の排気浄化システム
JP5198520B2 (ja) 内燃機関の排気浄化システム
JP6661921B2 (ja) 内燃機関の排ガス浄化システム
JP5194590B2 (ja) エンジンの排気浄化装置
JP2011069323A (ja) ディーゼルエンジンの排気浄化装置
JP2016223294A (ja) 排気浄化システム
JP5837312B2 (ja) 内燃機関の排気浄化システム
WO2016117573A1 (ja) 排気浄化システム及びNOx浄化能力回復方法
JP5918096B2 (ja) 内燃機関の排気浄化システム
JP2016188604A (ja) 排気浄化装置
JP5108064B2 (ja) 内燃機関の排気浄化システム
JP2010249076A (ja) 内燃機関の排気浄化装置
WO2016143564A1 (ja) 排気浄化システム及び触媒再生方法
JP2016102424A (ja) 内燃機関の排気浄化システム

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120531

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120612

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120810

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130206

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160215

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees