JP2012046696A - 混合ガスハイドレート生成装置、混合ガスハイドレート生成方法、および混合ガスハイドレートペレット製造装置 - Google Patents

混合ガスハイドレート生成装置、混合ガスハイドレート生成方法、および混合ガスハイドレートペレット製造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】長期間の貯蔵および輸送に適した天然ガスハイドレートを生成することができる混合ガスハイドレート生成装置およびその方法、および混合ガスハイドレートペレット製造装置を提供する。
【解決手段】メタンガスを含む混合ガスと原料水とを所定の圧力条件および温度条件の下で反応させて混合ガスハイドレートを生成するハイドレート生成部と、前記ハイドレート生成部内の温度を調節する温度調節部と、を備え、前記温度調節部は、前記ハイドレート生成部内を、当該ハイドレート生成部内の設定された圧力下における、混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tより低い温度であって、且つ、前記混合ガスのガス組成の分析結果に基いて求められた前記混合ガスのメタン分圧に相当する圧力下における、メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tより高い温度に調節するように構成されている混合ガスハイドレート生成装置。
【選択図】図1

Description

本発明は、天然ガス等のメタンを含む混合ガスをハイドレート形成物質としてガスハイドレートを生成する混合ガスハイドレート生成装置およびその方法、および前記メタンを含む混合ガスの混合ガスハイドレートペレット製造装置に関するものである。
ガスハイドレートは、相平衡が生成条件となる所定の温度と圧力の下、天然ガス、メタンガス、炭酸ガス等の気体のハイドレート形成物質と水とを反応させることにより生成する固体結晶であり、水分子が作る立体構造の籠(ケージ)の内部にガス分子が取り込まれて形成される包接水和物(クラスレートハイドレート)の総称である。
前記ガスハイドレートは高いガス包蔵性を有しており、例えば、1mの天然ガスハイドレート中には、約165Nmもの天然ガスを包蔵することができる。この高いガス包蔵性により、天然ガスを、ガスハイドレートとして貯蔵および輸送するシステムが注目されている。
天然ガスは、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、および、ペンタン等の複数のガス成分を含む混合ガスである。例えば、メタン86.7vol%、エタン8.8vol%、プロパン3.5vol%、n−ブタン0.5vol%、i−ブタン0.4vol%、i−ペンタン0.02vol%、および他の微量ガス成分を含んでいる。
前記組成の天然ガスのガスハイドレートを生成する相平衡条件は、例えば圧力が5.4MPaのとき、温度が16〜17℃であるが、前記ハイドレート形成物質と水とを反応させてハイドレート化する場合、一般的に、過冷却度を大きくとった方が反応速度が上がるため、前記相平衡条件の温度よりも低い温度、且つ水が凍らない温度で反応を行っている(特許文献1)。例えば、特許文献1に記載の天然ガスハイドレート装置では、圧力が5〜6MPa、温度が1〜5℃に設定されている。すなわち、水が凍らない範囲でできるだけ低い温度に設定していた。
一方、ガスハイドレートは、平衡温度以上の温度において自己保存効果(セルフプリザベーション効果)と呼ばれる、分解が抑制される効果を有することが知られている。
前記天然ガスハイドレートを貯蔵および輸送する場合、生成された天然ガスハイドレートスラリーは、円盤状、球状、コイン状、棒状等の形状のペレットに造粒され、前記自己保存効果によって長期間にわたる貯蔵および輸送が可能となる(特許文献2)。
ここで、本発明者らがペレット化した天然ガスハイドレートの保存性について鋭意研究を重ねるうちに、前述の特許文献1のように、所定の圧力における天然ガスハイドレートの相平衡温度よりもできるだけ低い温度にして、すなわち過冷却度を大きくとって生成した天然ガスハイドレートは、前記天然ガス自体の混合ガス成分が含まれる「混合ガスハイドレート」と、天然ガス中のメタンのみがハイドレート化した「メタンガスハイドレート」とが混ざった状態で形成される天然ガスハイドレートであることが明らかとなった。
これは、天然ガス中には一般的にメタンガスが主成分として含まれており、例えば、天然ガスの組成がメタン90vol%、エタン6vol%、プロパン4vol%である場合、5.4MPaの圧力下における、当該組成の混合ガスとしての天然ガスのハイドレート相平衡温度は約16℃であるが、この天然ガス中に含まれるメタンガスの分圧(約4.9MPa)に相当する圧力下における、メタンのハイドレート相平衡温度は約6.5℃であるので、ハイドレート生成装置内の温度を6.5℃以下にするとメタンガスハイドレートが生成するためであると考えられる。
一般的に、前記混合ガスハイドレートは、メタンガスハイドレートに比べて平衡温度が高く、平衡圧力はメタンガスハイドレートに比べて低い。したがって、混合ガスハイドレートは、その平衡条件と貯蔵条件(例えば大気圧下、約20℃)との差が小さいため、メタンガスハイドレートよりも分解し難いと考えられる。
しかし、前記「混合ガスハイドレート」と「メタンガスハイドレート」とが混ざった状態で形成される天然ガスハイドレートを用いて天然ガスハイドレートペレットを造粒すると、前記貯蔵条件において、メタンガスハイドレートと同様の分解挙動を示す傾向があった。
特開2006−160833号公報 特開2007−270065号公報
本発明はかかる知見に基き、前記天然ガスから、当該天然ガスのガス組成の「混合ガスハイドレートのみで形成された天然ガスハイドレート」、すなわち、「メタンガスハイドレートを含まない天然ガスハイドレート」を生成し、「メタンガスハイドレート」の分解に由来する天然ガスハイドレートの分解の虞がなく、長期間の貯蔵および輸送に適した天然ガスハイドレートを生成することができる混合ガスハイドレート生成装置およびその方法、および混合ガスハイドレートペレット製造装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の第1の態様に係る混合ガスハイドレート生成装置は、メタンガスを含む混合ガスと原料水とを所定の圧力条件および温度条件の下で反応させて混合ガスハイドレートを生成するハイドレート生成部と、前記ハイドレート生成部内の温度を調節する温度調節部と、を備え、前記温度調節部は、前記ハイドレート生成部内を、当該ハイドレート生成部内の設定された圧力下における、混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tより低い温度であって、且つ、前記混合ガスのガス組成の分析結果に基いて求められた前記混合ガスのメタン分圧に相当する圧力下における、メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tより高い温度に調節するように構成されていることを特徴とするものである。
ガスハイドレートは、ハイドレート生成部内を所定の圧力に設定し、当該ハイドレート生成部内を前記所定の圧力における原料ガスのガスハイドレートの相平衡温度より低く設定し、反応器内の水層とガス層とを撹拌する撹拌法、水中に微細な気泡を吹き込む撹拌・通気法(バブリング法)、ガス中に水を噴霧する噴霧法等の各種方法によって、原料ガスと水とを気液接触させることによって生成することができる。
天然ガスのようなメタンガスを含む混合ガスをハイドレート化する場合、ハイドレート生成部内の設定された圧力下における前記混合ガスハイドレートの相平衡温度よりも低い温度にすると、該混合ガスのハイドレート化がより早く進むので、前記ハイドレート生成部内の温度を水が凍らない範囲でできるだけ下げて、すなわち過冷却度を大きくとって反応を行うことが一般的に行われている。
ここで、前記混合ガスの組成がメタン90vol%、エタン6vol%、プロパン4vol%である場合、5.4MPaの圧力下における、当該組成の混合ガスのハイドレート相平衡温度は約16℃である。また、この混合ガス中に含まれるメタンガスの分圧(約4.9MPa)に相当する圧力下における、メタンのハイドレート相平衡温度は約6.5℃である。したがって、過冷却度を大きくとるためにハイドレート生成装置内の温度を下げて6.5℃以下にすると、前記混合ガス中のメタンが単独でハイドレート化され、メタンガスハイドレートも生成する。
本態様によれば、メタンガスを含む混合ガスと水とを反応させて混合ガスハイドレートを生成するハイドレート生成部内の設定された圧力下における、混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tより低い温度であって、該混合ガスのメタン分圧に相当する圧力下における、メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tより高い温度に調節して前記混合ガスをハイドレート化することができるので、メタンハイドレートを生成させることなく、混合ガスハイドレートのみを生成させることができる。
ここで、前記メタンガスハイドレートと前記混合ガスハイドレートの構造的相違点について説明する。
ガスハイドレートの結晶構造にはI型、II型、H型等があり、ハイドレート形成物質の種類によって、異なるタイプの籠(ケージ)によって構成される。例えば、I型は12面体のケージ(以下、小ケージ)2個と14面体のケージ(以下、中ケージ)6個によって構成されており、II型は12面体の小ケージが16個と16面体のケージ(以下、大ケージ)8個によって構成されている。
これらの大(16面体)、中(14面体)、小(12面体)のケージにハイドレート形成物質であるガス成分の分子が入り、ガスハイドレートを形成するが、前記ハイドレート形成物質(ガス成分)は、その分子の大きさ等の影響によって入ることができるケージが決まっている。
例えば、圧力が5.4MPaのとき、プロパン、n−ブタン、i−ブタンは大ケージにのみ入ることができる。また、エタンは大ケージのほか、中ゲージにも入ることができるが、同圧力では小ケージには入らない。分子が小さいメタンは大、中、小のいずれのケージにも入ることができる。
したがって、プロパンやブタンを含むガスハイドレートは、大ケージを有するII型のハイドレートを形成する。また、メタンと、メタンより大きい分子のガス(エタン、プロパン、ブタン等)が混合している混合ガスをハイドレート化した場合、II型(小ケージ16個、大ケージ8個)のハイドレートが形成され、大ケージには主にブタン以下の大きさのガスが入る。そして、小ケージにはメタンが入ることになる。
一方、ハイドレート形成物質として純メタンを用いて生成したメタンハイドレートは、前記I型のみのハイドレートを形成し、小ケージ、中ケージともにメタンが入ったハイドレートが形成される。また、メタンを含む混合ガスを、当該混合ガスのメタン分圧に相当する圧力下におけるメタンハイドレートの相平衡温度T以下にした場合、II型の混合ガスハイドレートの他、前記I型のメタンハイドレートが生成することが判ってきた。
本態様に係る混合ガスハイドレート生成装置は、ハイドレート生成部が前記メタンハイドレートの相平衡温度Tより高い温度に設定されるので、前記I型のメタンハイドレートを生成させず、II型の混合ガスハイドレートのみを生成することができる。
II型ハイドレート(すなわち、混合ガスハイドレート)を造粒して製造したペレットは、後述する実施例7に示されるように、I型(メタンハイドレート)とII型(混合ガスハイドレート)が混ざった状態のハイドレートを用いて製造したペレットよりも保存性が高い。以上のように、本態様に係る混合ガスハイドレート生成装置によれば、長期間の貯蔵および輸送に適した天然ガスハイドレートを生成することができる。
また、原料となる混合ガスのガス組成を分析しているので、混合ガスのガス組成が変化した場合であっても、混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tとメタンガスハイドレートの生成平衡温度Tを正確に把握し、確実にII型ハイドレートのみを生成させるように温度を調節することができる。
更に、前記混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tと前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tに基いて、ハイドレート生成部内の温度を調節するので、混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tに対して過冷却度をできるだけ大きくとるように反応温度を調節することが可能となる。このことによって、より高効率にII型ハイドレートのみを生成させることができる。
本発明の第2の態様に係る混合ガスハイドレート生成装置は、第1の態様の混合ガスハイドレート生成装置において、前記混合ガスのガス組成の分析結果に基いて、前記混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tと、前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tを計算する平衡温度計算部を備えていることを特徴とするものである。
本態様によれば、平衡温度計算部によって、混合ガスのガス組成の分析結果から、前記混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tと前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tが計算されるので、前記温度調節部における温度調節を容易に行うことができる。
本発明の第3の態様に係る混合ガスハイドレート生成装置は、第1の態様または第2の態様の混合ガスハイドレート生成装置において、前記ハイドレート生成部は、前記原料水を送り込んで水層を形成する水送り込み手段と、前記水層の上方に混合ガスを送り込んでガス層を形成するガス送り込み手段と、前記水層を撹拌する撹拌手段と、前記ハイドレート生成部のガス層の一部を抜き出し、当該ハイドレート生成部に戻して循環させる循環手段と、を備え、前記ガス層の容積は、前記混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tと前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tの差が所定の値以上になるように設定されていることを特徴とするものである。
本態様に係る混合ガスハイドレート生成装置のハイドレート生成部は、前記原料水を送り込んで水層を形成する水送り込み手段と、前記水層の上方に混合ガスを送り込んでガス層を形成するガス送り込み手段と、前記水層を撹拌する撹拌手段と、前記ハイドレート生成部のガス層の一部を抜き出し、当該ハイドレート生成部に戻して循環させる循環手段と、を備えている。すなわち、ハイドレート生成部に原料水を溜めるとともに、前記原料水の水層の上方に混合ガスを送り込んでガス層を形成し、撹拌手段によって水層を撹拌することによって、水層の原料水と、前記ガス層の混合ガスとを気液接触させて反応を進行させる、所謂、撹拌法によるハイドレート化を行う構成である。
前述のように、前記ハイドレート生成部内を、前記混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tより低い温度であって、前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tより高い温度に調節する場合に、当該混合ガスハイドレートの反応速度を上げるためには、過冷却度を大きくとるように前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tに近い温度に設定される。
ここで、一般的に、メタンはハイドレート生成平衡条件として高圧、低温を要し、天然ガス中に含まれる他のガス(エタン、プロパン、ブタンなど)は、メタンよりも低圧、高温でハイドレート化することが知られている。このため、前記混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tより低い温度に設定して反応を開始すると、初めにメタン以外のガスが優先的にハイドレート化し、前記ガス層中のメタン濃度が上昇するため、当該ガス層中のガス組成が変化する。
前記ハイドレート生成部には、前記循環手段によって前記ガス層の一部のガスが循環されつつ、ガス送り込み手段によって原料となる混合ガスが供給されるので、前記混合ガス自体のガス組成変化がなければ、前記ガス層中のメタン濃度の上昇は所定時間経過後に飽和して、該ガス層中のガス組成変化はほとんどなくなる。
しかし、前記ガス層中のメタン濃度が上昇すると、ハイドレート生成部内における混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tとメタンガスハイドレートの生成平衡温度Tの差が小さくなってしまい、十分な過冷却度をとり難くなる傾向がある。
この反応開始時のガス層中のガス組成変化の度合いは、混合ガスハイドレートの生成速度、すなわち、原料となる混合ガスの流量とハイドレート生成部の気相部容積(ガス層と気泡容積の合計)によって決まり、これら(生成速度と気相部容積)によって制御することができる。
本態様によれば、前記ハイドレート生成部のガス層の容積が、前記混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tと前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tの差が所定の値以上になるように設定されているので、十分な過冷却度をとってハイドレート生成反応を進行させることができる。
本発明の第4の態様に係る混合ガスハイドレート生成装置は、第1の態様または第2の態様の混合ガスハイドレート生成装置において、前記ハイドレート生成部は、前記原料水を送り込んで水層を形成する水送り込み手段と、前記水層の下方から気泡として混合ガスを供給する気泡ガス送り込み手段と、前記水層を撹拌する撹拌手段と、前記ハイドレート生成部のガス層の一部を抜き出し、当該ハイドレート生成部に戻して循環させる循環手段と、を備え、前記水層の下方から気泡として供給される前記混合ガスのうち、前記水層中でハイドレート化せずに該水層の上方に通過した未反応ガスによって形成されるガス層の容積は、前記混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tと前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tの差が所定の値以上になるように設定されていることを特徴とするものである。
本態様に係る混合ガスハイドレート生成装置のハイドレート生成部は、前記原料水を送り込んで水層を形成する水送り込み手段と、前記水層の下方から気泡として混合ガスを供給する気泡ガス送り込み手段と、前記水層を撹拌する撹拌手段と、前記ハイドレート生成部のガス層の一部を抜き出し、当該ハイドレート生成部に戻して循環させる循環手段と、を備えている。すなわち、ハイドレート生成部に原料水を溜めるとともに、前記原料水の水層の下方から気泡として混合ガスを供給し、撹拌手段によって水層を撹拌することによって、水層の原料水と、気泡として供給された混合ガスとを気液接触させて反応を進行させる、所謂、撹拌・通気法(バブリング法)によるハイドレート化を行う構成である。
ここで、前記水層の下方から気泡として供給される前記混合ガスのうち、前記水層中でハイドレート化しなかった混合ガスの気泡は、該水層を通過してその上方に未反応ガスのガス層として溜まる。本態様におけるガス層においても、ハイドレート生成反応開始時に、第3の態様と同様のガス組成変化が生じる。
本態様によれば、前記水層の上方のガス層の容積を、前記混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tと前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tの差が所定の値以上になるように設定することによって、第3の態様と同様の作用効果を得ることができる。
本発明の第5の態様に係る混合ガスハイドレート生成装置は、第1の態様または第2の態様の混合ガスハイドレート生成装置において、前記ハイドレート生成部は、前記原料水を送り込んで水層を形成する水送り込み手段と、前記水層の下方から気泡として混合ガスを供給する気泡ガス送り込み手段と、前記水層を撹拌する撹拌手段と、を備え、前記ハイドレート生成部は、前記気泡ガス送り込み手段から供給される混合ガスが、前記水層を上昇して当該水層の水面に達するまでの間に、すべてハイドレート化し得る高さに設定されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、ハイドレート生成部が、気泡ガス送り込み手段から供給される混合ガスが、前記水層を上昇して当該水層の水面に達するまでの間に、すべてハイドレート化し得る高さに設定されているので、ワンスルーで原料の混合ガスと同じ組成の混合ガスハイドレートを製造することができる。すなわち、ハイドレート生成部を非循環の構成とすることができる。
本発明の第6の態様に係る混合ガスハイドレート生成方法は、メタンガスを含む混合ガスと原料水とを所定の圧力条件および温度条件の下で反応させて混合ガスハイドレートを生成する混合ガスハイドレート生成方法であって、前記原料水と反応させる前記混合ガスのガス組成を分析し、前記所定の圧力条件下における、混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tより低い温度であって、且つ、分析した前記混合ガスのメタン分圧に相当する圧力下における、メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tより高い温度で反応を行うことを特徴とするものである。
本態様によれば、第1の態様と同様の作用効果を得ることができる。
本発明の第7の態様に係る混合ガスハイドレートペレット製造装置は、第1の態様から第5の態様のいずれか一つの混合ガスハイドレート生成装置と、前記混合ガスハイドレート生成装置において生成した混合ガスハイドレートを脱水する脱水装置と、脱水後の混合ガスハイドレートを圧縮して所定の形状のペレットに成形する圧縮成形装置と、圧縮成形された混合ガスハイドレートペレットを冷却する冷却装置と、前記混合ガスハイドレートペレットを前記混合ガスハイドレート生成装置のハイドレート生成部における圧力下から、貯蔵時の圧力に減圧する減圧装置と、を備えていることを特徴とするものである。
本態様によれば、第1の態様から第5の態様のいずれか一つと同様の作用効果を奏し、保存性が高く、長期間の貯蔵および輸送に適したII型籠構造の混合ガスハイドレートのみを用いて混合ガスハイドレートペレットを製造することができる。以って、輸送または貯蔵時における分解の少ない、貯蔵効率の高い混合ガスハイドレートペレットを製造することができる。
尚、前記脱水装置と圧縮成形装置は、それらが一体となった脱水成形装置を用いる構成としてもよい。
本発明によれば、保存性が高く、長期間の貯蔵および輸送に適したII型籠構造を有する混合ガスのみで形成された混合ガスハイドレートを生成することができる。以って、輸送または貯蔵時における分解の少ない、貯蔵効率の高い混合ガスハイドレートペレットを製造することができる。
実施例1に係る混合ガスハイドレート生成装置の該略図である。 実施例4に係る混合ガスハイドレート生成装置の該略図である。 実施例5に係る混合ガスハイドレート生成装置の該略図である。 実施例6に係る混合ガスハイドレートペレット製造装置の該略図である。 実施例7の試験結果を示す図である。
<ガスハイドレート形成物質>
本発明に係る混合ガスハイドレート生成装置においてハイドレート化される対象ガス、すなわち、ガスハイドレート形成物質は、例えば天然ガスのように、メタンを含む混合ガスである。天然ガスは、メタン、エタン、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、ペンタン等のガス成分を含んでいる。以下の実施例においては、天然ガス組成の一例として、メタン90vol%、エタン6vol%、プロパン4vol%の天然ガスを用いた場合について説明する。尚、前記混合ガスにおいて、メタンは主成分である必要はなく、前記混合ガスのII型ハイドレートを形成する組成であればその含有量は問わない。
<原料水>
前記原料水としては、水道水を用いることができる。また、純水または精製水を用いることもできる。また、原料水中に、生成したハイドレートの分解を抑制する分解抑制物質を添加してもよい。前記分解抑制物質としては、水中において解離して分解抑制作用を奏するイオンを生じる電解質を用いることができる。
以下、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限られるものではない。
[実施例1]
図1は、本実施例に係る混合ガスハイドレート生成装置の概略図である。図1の混合ガスハイドレート生成装置1は、混合ガスGと原料水Wとを反応させて混合ガスハイドレートを生成するハイドレート生成部2を備えている。該ハイドレート生成部2には、ポンプ等の水送り込み手段3によって原料水Wが送られるように構成されている。
また、原料水Wの水層10の上方に混合ガスGを送り込むガス送り込み手段4を備えている。そして、前記水層を撹拌する撹拌手段5を備え、水層10の原料水Wとガス層11の混合ガスGとを気液接触させて反応を行うように構成されている。本実施例のハイドレート生成部2は、所謂、撹拌法によるハイドレート化を行う生成部である。
更に、前記ハイドレート生成部2の前記ガス層11の一部を抜き出し、当該ハイドレート生成部2にそのガスを戻して循環させるように、循環ライン12と循環ポンプ13が設けられている。また、水層10の原料水Wも、その一部が抜き出されて循環ライン19と循環ポンプ18によって熱交換器17を経由してハイドレート生成熱を除熱してハイドレート生成部2に戻されるように構成されている。生成した混合ガスハイドレートは、ライン14によって抜き出され、脱水装置15に送られる。
また、前記混合ガスハイドレート生成装置1は、前記混合ガスGのガス組成を分析するガス分析部6を備えている。前記ガス分析部6は、反応場、すなわちハイドレート生成部2内における混合ガスGのガス組成を測定するように設けられることが望ましい。本実施例では、循環ライン12中のガス組成を分析するように構成されているが、例えば、前記ハイドレート生成部2内を直接分析する構成や混合ガスGをハイドレート生成部2に送るライン16中のガス組成を分析する構成にすることも可能である。また、前記ガス分析部6を設けず、原料ガスタンクの混合ガスのガス組成を予め分析し、その分析結果に基いてハイドレート生成部2の温度を調節してもよい。
また、前記ガスハイドレート生成装置1は、前記ハイドレート生成部2内の温度を調節する温度調節部7と、前記ハイドレート生成部2内を所定の圧力に設定する圧力調節部8と、を備えている。更に、前記ガス分析部6による混合ガスGのガス組成の分析結果に基いて、ハイドレート生成部2内の設定された圧力下における、混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tと、前記混合ガスGのメタン分圧に相当する圧力下における、メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tを計算する平衡温度計算部9を備えている。尚、図1において、ガス分析部6、温度調節部7、圧力調節部8、および熱交換器17と、平衡温度計算部9とを繋ぐ点線のラインは、データや信号を伝送するための信号線である。
本実施例に係る混合ガスハイドレート生成装置1によって得られる作用効果は、実施例2において、該混合ガスハイドレート生成装置1を用いた混合ガスハイドレート生成方法とともに説明する。
[実施例2]
次に、本発明に係る混合ガスハイドレート生成装置1を用いた混合ガスハイドレート生成方法について説明する。本実施例では、ハイドレート形成物質(原料)となる混合ガスGとして、天然ガス(メタン90vol%、エタン6vol%、プロパン4vol%)を用いた場合について説明する。
混合ガスハイドレート生成装置1のハイドレート生成部2に、水送り込み手段3によって原料水Wが送り込まれ、更に、ガス送り込み手段4によって原料水Wの水層10の上方に天然ガスが送り込まれる。前記撹拌手段5によって撹拌して、水層10の原料水Wとガス層11の天然ガスとを気液接触させる。前記ハイドレート生成部2内の圧力は、所定の圧力に設定される。本実施例では、5.4MPaに設定されている。
ハイドレート生成部2に送られる天然ガスは、前記ガス分析部6によってそのガス組成が分析される。そして、ガス分析部6によって分析されたガス組成に基き、平衡温度計算部9において、前記ハイドレート生成部2内の設定された圧力下における、天然ガスハイドレートの生成平衡温度Tと、前記天然ガス中のメタン分圧に相当する圧力下における、メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tが計算される。
5.4MPaの圧力下における天然ガスハイドレートの生成平衡温度Tは約16℃であり、前記天然ガスのガス組成におけるメタン分圧に相当する圧力は約4.9MPaであり、この圧力下におけるメタンガスハイドレートの生成平衡温度Tは約6.5℃である。
すなわち、前記ハイドレート生成部2内の温度を16℃より低く設定することによって、天然ガスハイドレート(II型ハイドレート)を生成することができるが、6.5℃以下にするとメタンガスハイドレート(I型ハイドレート)も生成してしまう。
そのため、前記ハイドレート生成部2内の温度は、前記温度調節部7によって、前記平衡温度計算部9において計算された前記天然ガスハイドレートの生成平衡温度Tより低い温度であって、且つ、前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tより高い温度に調節される。このことによって、前記I型のメタンハイドレートを生成させず、II型の混合ガスハイドレートのみを生成することができる。
尚、循環ライン19によって循環させる水層10の原料水Wを除熱するための熱交換器17も、前記平衡温度計算部9における前記計算値に基いて制御することが好ましい。
ここで、前記II型の天然ガスハイドレートのみを造粒して製造したペレットは、後述する実施例7に示されるように、I型(メタンハイドレート)とII型(天然ガスハイドレート)が混ざった状態のハイドレートを用いて製造したペレットよりも保存性が高い。本実施例に係る混合ガスハイドレート生成装置1を用いることによって、長期間の貯蔵および輸送に適したII型の天然ガスハイドレートを生成することができる。
また、前記ガス分析部6によって原料となる天然ガスのガス組成を分析しているので、天然ガスのガス組成が変化した場合であっても、天然ガスハイドレートの生成平衡温度Tとメタンガスハイドレートの生成平衡温度Tを正確に把握し、確実にII型の天然ガスハイドレートのみを生成させるように温度を調節することができる。
更に、前記天然ガスハイドレートの生成平衡温度Tと前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tに基いて、ハイドレート生成部内の温度を調節するので、天然ガスハイドレートの生成平衡温度Tに対して過冷却度をできるだけ大きくとるように反応温度を調節することが可能となる。このことによって、より高効率にII型天然ガスハイドレートのみを生成させることができる。
[実施例3]
次に、本発明に係る混合ガスハイドレート生成装置の他の実施例について説明する。本実施例は、実施例1におけるハイドレート生成部2内のガス層11の容積が、前記天然ガスハイドレートの生成平衡温度Tと前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tの差が所定の値以上になるように設定されているものである。
前述のように、前記ハイドレート生成部2内を、前記天然ガスハイドレートの生成平衡温度Tより低い温度であって、前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tより高い温度に調節する場合に、当該天然ガスハイドレートの反応速度を上げるためには、過冷却度を大きくとるように前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tに近い温度に設定される。
ここで、一般的に、メタンはハイドレート生成平衡条件として高圧、低温を要し、天然ガス中に含まれる他のガス(エタン、プロパン、ブタンなど)は、メタンよりも低圧、高温でハイドレート化することが知られている。このため、前記天然ガスハイドレートの生成平衡温度Tより低い温度に設定して反応を開始すると、初めにメタン以外のガスが優先的にハイドレート化し、前記ガス層11中のメタン濃度が上昇するため、当該ガス層11中のガス組成が反応開始時よりもメタンリッチの組成に変化する。
前記ハイドレート生成部2には、前記循環ライン12によって前記ガス層の一部のガスが循環されつつ、ガス送り込み手段4によって原料となる天然ガスが供給されるので、前記天然ガス自体のガス組成変化がなければ、前記ガス層11中のメタン濃度の上昇は所定時間経過後に飽和して、該ガス層11中のガス組成変化はほとんどなくなる。
しかし、前記ガス層11中のメタン濃度が上昇すると、ハイドレート生成部2内における天然ガスハイドレートの生成平衡温度Tと、メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tとの差が小さくなってしまい、十分な過冷却度をとり難くなる傾向がある。
この反応開始時のガス層11中のガス組成変化の度合いは、混合ガスハイドレートの生成速度、すなわち、原料となる混合ガスの流量とハイドレート生成部の気相部容積(ガス層と気泡容積の合計)によって決まり、これら(生成速度と気相部容積)によって制御することができる。
本態様によれば、前記ハイドレート生成部2のガス層11の容積を、前記天然ガスハイドレートの生成平衡温度Tと前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tの差が所定の値以上になるように設定することによって、十分な過冷却度をとってハイドレート生成反応を進行させることができる。
また、前記ガス層11の容積は、前記ハイドレート生成部2内に溜める原料水Wの量を変え、水位を上下させることによって調節することができる。したがって、装置自体の構成を変更する必要は無く、同じ装置を用いて多様なガス組成の混合ガスに対応することができる。また、連続的に反応を行っている途中で、原料の混合ガスのガス組成が変わった場合であっても、前記水層の水位を調節することによって対応可能である。
[実施例4]
図2は、本実施例に係る混合ガスハイドレート生成装置21の概略図である。本実施例のガスハイドレート生成装置21は、所謂、撹拌・通気法によるハイドレート化を行うものであり、混合ガスGをハイドレート生成部2の下方から気泡として送り込むように構成されている。他の構成は、図1に示した混合ガスハイドレート生成装置1と同様であるので、同じ構成部には同じ符号を付して、その説明は省略する。
ガスハイドレート生成装置21は、前記水層10の下方から気泡22として混合ガスGを供給する気泡ガス送り込み手段23を備えている。そして、撹拌手段5によって水層10を撹拌して、前記水層10の原料水Wと前記混合ガスGの気泡22とを気液接触させて反応させるように構成されている。
本実施例によれば、実施例1のガスハイドレート生成装置と同様の作用効果を奏し、長期間の貯蔵および輸送に適したII型の天然ガスハイドレートを効率よく生成することができる。
更に、ハイドレート生成部内のガス層の容積を、前記天然ガスハイドレートの生成平衡温度Tと前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tの差が所定の値以上になるように設定されていることによって、実施例3と同様の作用効果を得ることができる。
[実施例5]
図3は、本実施例に係る混合ガスハイドレート生成装置の概略図である。図3の混合ガスハイドレート生成装置31は、実施例4と同様に、撹拌・通気法によるハイドレート化を行うものである。実施例5のガスハイドレート生成装置31において、実施例4と共通の構成部には同じ符号を付してその説明は省略する。
本実施例に係る混合ガスハイドレート生成装置31は、前記ハイドレート生成部32の高さが、前記気泡ガス送り込み手段23から供給される混合ガスGが、前記水層10を上昇して当該水層10の水面33に達するまでの間に、すべてハイドレート化し得る高さに設定されている。このことによって、ハイドレート生成部32の下方から供給された混合ガスGが、当該ハイドレート生成部32を一度通過するだけで、すなわち、ワンスルーで原料の混合ガスと同じ組成の混合ガスハイドレートを製造することができる。すなわち、ハイドレート生成部32を非循環の構成とすることができる。
[実施例6]
図4は、本実施例に係る混合ガスハイドレートペレット製造装置の概略図である。図4の混合ガスハイドレートペレット製造装置40は、本発明に係る混合ガスハイドレート生成装置41を備えている。尚、本発明に係るガスハイドレート生成装置41とは、実施例1〜実施例5に係るガスハイドレート生成装置に限られるものではないことは言うまでもない。
混合ガスハイドレート生成装置41の下流側には、前記混合ガスハイドレート生成装置41において生成した混合ガスハイドレートを脱水する脱水装置42と、脱水後の混合ガスハイドレートを圧縮して所定の形状のペレットに成形する圧縮成形装置43と、圧縮成形された混合ガスハイドレートペレットを冷却する冷却装置44と、前記混合ガスハイドレートペレットを前記混合ガスハイドレート生成装置41のハイドレート生成部における圧力下から、貯槽46における貯蔵時の圧力に減圧する減圧装置45が設けられている。
ここで、ガスハイドレートは、平衡温度以上の温度において分解が抑制される効果(自己保存効果)を有することが知られている。このように、ガスハイドレートが自己保存効果を奏する機構は、はっきりとは解明されていないが、以下のように説明することができる。
すなわち、前記相平衡が生成条件となる所定の温度と圧力の下で生成したガスハイドレートを大気圧などの分解条件におくと、ガスハイドレート表面から部分的に分解が始まり、ガスハイドレート形成物質はガス化するとともに、当該分解によって生じた水がガスハイドレート表面に存在することになる。そして、前記ガスハイドレートの分解により熱が奪われ、前記ガスハイドレート表面の水は氷となる。前記ガスハイドレート表面において前記氷がどのような状態で存在するかは明らかではないが、前記氷が膜状に形成されてガスハイドレートを覆っていると推測されている。
このように、ガスハイドレート表面に氷が存在することによって、内部のガスハイドレートと外部との熱交換が遮断され、大気圧などの分解条件でも内部のガスハイドレートは安定し、それ以上の分解が抑制される自己保存効果が生ずると考えられている。
本実施例においては、前記冷却装置44において、前記圧縮成形された混合ガスハイドレートペレットが0℃以下(例えば、−5℃〜−20℃)に冷却される。冷却された混合ガスハイドレートペレットが、前記減圧装置において貯槽46における貯蔵時の圧力に減圧される際、当該減圧によって前記ペレット表面のガスハイドレートが分解して水が生成し、該水が凍って該混合ガスハイドレートペレット表面に前記氷が形成される。これにより前記自己保存効果が生じ、貯蔵効率を高めることができる。
本実施例によれば、混合ガスハイドレート生成装置41によって、II型の籠構造の混合ガスハイドレートのみを生成することができるので、当該II型の混合ガスハイドレートのみによって形成された混合ガスハイドレートペレットを製造することができる。II型の混合ガスハイドレートのみによって形成された混合ガスハイドレートペレットは、後述する実施例7に示されるように保存性が高く、長期間の貯蔵および輸送に適している。したがって、本実施例の混合ガスハイドレートペレット製造装置40を用いることによって、輸送または貯蔵時における分解の少ない、貯蔵効率の高い混合ガスハイドレートペレットを製造することができる。
[実施例7]
メタンを含む混合ガス(メタン90vol%、エタン6vol%、プロパン4vol%)を、5.4MPaの圧力下、反応温度を8℃に調節して反応を行った。5.4MPaの圧力下における混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tは約16℃である。また、前記混合ガスのガス組成におけるメタン分圧に相当する圧力は約4.9MPaであり、この圧力下におけるメタンガスハイドレートの生成平衡温度Tは約6.5℃である。前記反応温度(8℃)は、当該メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tよりも高い温度である。
生成したガスハイドレートは、II型ハイドレートのみで形成された混合ガスハイドレート(以下、II型混合ガスハイドレートと称する場合がある)である。このII型混合ガスハイドレートを用いて、φ33mm×高さ50〜70mmの円柱状のペレットを製造し、前記ペレット表面に氷を形成させた後、大気圧下、−20℃において貯蔵した。ペレット製造後、24時間経過した時のガス残存率を100%として、その後、312時間後までのガス残存率を測定した。その結果を図5に示す。
尚、比較例として、同組成の混合ガスを、5.4MPaの圧力下、反応温度を5℃(前記Tより低い温度)に調節して反応を行い、生成したガスハイドレートを用いて同形状のペレットを製造し、同様にガス残存率を測定した。
図5に示されるように、比較例のガスハイドレートペレットは、ガス残存率が徐々に下がり、ガスハイドレートが分解していることがわかる。240時間後には約1%が分解し、99%のガス残存率になっている。また、その分解はその後も一定の割合で続いており、時間が経過すると更に分解が進むと考えられる。
一方、本実施例の混合ガスハイドレートペレットは、312時間後のガス残存量はほぼ100%であり、ほとんど分解していないと言える。
比較例は、前記混合ガスのガス組成におけるメタン分圧に相当する圧力下における、メタンガスハイドレートの生成平衡温度T(6.5℃)を下回る温度で反応を行っているので、I型のメタンガスハイドレートが生成しており、メタンガスハイドレート(I型)と混合ガスハイドレート(II型)が混ざった状態のガスハイドレートである。メタンガスハイドレート(I型)は、一般的に他のガスのガスハイドレートに比べて平衡圧力が高く、平衡圧力外の同じ圧力下で比較すると、混合ガスハイドレート(II型)よりも分解し易い。比較例では、前記メタンガスハイドレートの分解が起点となって、ガスハイドレートの分解が続いてしまうものと考えられる。
本試験によって、II型混合ガスハイドレートのみによって形成されている本実施例の混合ガスハイドレートペレットは、大気圧下(平衡圧力外の圧力下)において、比較例のガスハイドレートペレット(I型メタンハイドレートを含む)よりも分解し難いことが示された。
本発明は、天然ガス等のメタンを含む混合ガスをハイドレート形成物質としてガスハイドレートを生成する混合ガスハイドレート生成装置、生成方法、および混合ガスハイドレートペレット製造装置に利用可能である。
1 混合ガスハイドレート生成装置、 2 ハイドレート生成部、
3 水送り込み手段、 4 ガス送り込み手段、 5 撹拌手段、
6 ガス分析部、 7 温度調節部(内部熱交換式)、 8 圧力調節部、
9 平衡温度計算部、 10 水層、 11 ガス層、
12 循環ライン、 13 循環ポンプ、
14 ライン、 15 脱水装置、 16 ライン、
17 温度調節部(外部熱交換式)、18 循環ポンプ、 19 循環ライン、
21 混合ガスハイドレート生成装置、 22 気泡、
23 気泡ガス送り込み手段、
31 混合ガスハイドレート生成装置、 32 ハイドレート生成部、 33 水面、
40 混合ガスハイドレートペレット製造装置、
41 混合ガスハイドレート生成装置、 42 脱水装置、
43 圧縮成形装置、 44 冷却装置、 45 減圧装置、 46 貯槽
G 混合ガス、 W 原料水

Claims (7)

  1. メタンガスを含む混合ガスと原料水とを所定の圧力条件および温度条件の下で反応させて混合ガスハイドレートを生成するハイドレート生成部と、
    前記ハイドレート生成部内の温度を調節する温度調節部と、を備え、
    前記温度調節部は、前記ハイドレート生成部内を、当該ハイドレート生成部内の設定された圧力下における、混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tより低い温度であって、且つ、前記混合ガスのガス組成の分析結果に基いて求められた前記混合ガスのメタン分圧に相当する圧力下における、メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tより高い温度に調節するように構成されていることを特徴とする、混合ガスハイドレート生成装置。
  2. 請求項1に記載された混合ガスハイドレート生成装置において、前記混合ガスのガス組成の分析結果に基いて、前記混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tと、前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tを計算する平衡温度計算部を備えていることを特徴とする、混合ガスハイドレート生成装置。
  3. 請求項1または2に記載された混合ガスハイドレート生成装置において、前記ハイドレート生成部は、前記原料水を送り込んで水層を形成する水送り込み手段と、前記水層の上方に混合ガスを送り込んでガス層を形成するガス送り込み手段と、前記水層を撹拌する撹拌手段と、前記ハイドレート生成部のガス層の一部を抜き出し、当該ハイドレート生成部に戻して循環させる循環手段と、を備え、
    前記ガス層の容積は、前記混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tと前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tの差が所定の値以上になるように設定されていることを特徴とする、混合ガスハイドレート生成装置。
  4. 請求項1または2に記載された混合ガスハイドレート生成装置において、前記ハイドレート生成部は、前記原料水を送り込んで水層を形成する水送り込み手段と、前記水層の下方から気泡として混合ガスを供給する気泡ガス送り込み手段と、前記水層を撹拌する撹拌手段と、前記ハイドレート生成部のガス層の一部を抜き出し、当該ハイドレート生成部に戻して循環させる循環手段と、を備え、
    前記水層の下方から気泡として供給される前記混合ガスのうち、前記水層中でハイドレート化せずに該水層の上方に通過した未反応ガスによって形成されるガス層の容積は、前記混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tと前記メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tの差が所定の値以上になるように設定されていることを特徴とする、混合ガスハイドレート生成装置。
  5. 請求項1または2に記載された混合ガスハイドレート生成装置において、前記ハイドレート生成部は、前記原料水を送り込んで水層を形成する水送り込み手段と、前記水層の下方から気泡として混合ガスを供給する気泡ガス送り込み手段と、前記水層を撹拌する撹拌手段と、を備え、
    前記ハイドレート生成部は、前記気泡ガス送り込み手段から供給される混合ガスが、前記水層を上昇して当該水層の水面に達するまでの間に、すべてハイドレート化し得る高さに設定されていることを特徴とする、混合ガスハイドレート生成装置。
  6. メタンガスを含む混合ガスと原料水とを所定の圧力条件および温度条件の下で反応させて混合ガスハイドレートを生成する混合ガスハイドレート生成方法であって、
    前記原料水と反応させる前記混合ガスのガス組成を分析し、
    前記所定の圧力条件下における、混合ガスハイドレートの生成平衡温度Tより低い温度であって、且つ、分析した前記混合ガスのメタン分圧に相当する圧力下における、メタンガスハイドレートの生成平衡温度Tより高い温度で反応を行うことを特徴とする、混合ガスハイドレート生成方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか一項に記載された混合ガスハイドレート生成装置と、
    前記混合ガスハイドレート生成装置において生成した混合ガスハイドレートを脱水する脱水装置と、
    脱水後の混合ガスハイドレートを圧縮して所定の形状のペレットに成形する圧縮成形装置と、
    圧縮成形された混合ガスハイドレートペレットを冷却する冷却装置と、
    前記混合ガスハイドレートペレットを前記混合ガスハイドレート生成装置のハイドレート生成部における圧力下から、貯蔵時の圧力に減圧する減圧装置と、
    を備えていることを特徴とする、混合ガスハイドレートペレット製造装置。
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