以下、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明では、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語など特定の方向を意味する用語を使用するが、それらの使用は図面を参照した発明の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレームを示す図であり、図1(a)は、前記車体フレームの斜視図、図1(b)は、前記車体フレームの正面図である。また、図2は、図1におけるY2a−Y2a線及びY2b−Y2b線に沿った車体フレームの断面図であり、図2(a)は、Y2a−Y2a線に沿った車体フレームの断面図、図2(b)は、Y2b−Y2b線に沿った車体フレームの断面図である。なお、図1(a)では、フレーム本体に内蔵した補強部材を明瞭に図示するため、フレーム本体を一点鎖線で示し、これを透過状態で示している。
図1及び図2に示すように、本発明の第1の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレーム1は、閉断面部材としてのフレーム本体10と、フレーム本体10の長手方向に沿ってフレーム本体10の内部に取り付けられる補強部材20と、を有している。
フレーム本体10は、鋼板などの金属製の板状素材を断面ハット状にプレス加工して得られる第1の板状部材11と、鋼板などの金属製の板状素材でなる第2の板状部材12とから構成されている。第1の板状部材11は、略平面状に形成される底面部11aと、底面部11aの両側において略垂直方向に延びる側面部11bと、側面部11bから略直角方向に外側に延びるフランジ部11cとを備えている。一方、第2の板状部材12は、略平面状に形成される平面部12aを備えている。そして、第1の板状部材11のフランジ部11cを第2の板状部材12の平面部12aに当接させてスポット溶接で接合することにより、フレーム本体10が略矩形閉断面状に形成されている。
本実施形態に係る車体フレーム1は、外部から曲げ荷重が作用することが想定される方向にフレーム本体10の第1の板状部材11の底面部11aが対向するように配置される。これにより、フレーム本体10に外部から曲げ荷重が作用する時には、第1の板状部材11の底面部11aに圧縮方向の力が作用して圧縮応力が生じ、第2の板状部材12の平面部12aに引張方向の力が作用して引張応力が生じることとなる。
なお、以下では、フレーム本体10について、外部から曲げ荷重が入力される際に、圧縮方向の力が作用する第1の板状部材11の底面部11aを第1面部として表し、引張方向の力が作用する第2の板状部材12の平面部12aを第2面部として表し、該底面部11aと該平面部12aとの間の第1の板状部材11の側面部11bを第3面部として表す。
フレーム本体10を補強するためにフレーム本体10に内蔵させる補強部材20は、1つの第1補強体30と、該第1補強体30と当接して配設される2つの第2補強体40とから構成されており、第1補強体30と2つの第2補強体40はそれぞれ、樹脂材料を用いて射出成形等によって成形して得ることができる。
第1補強体30は、フレーム本体10の長手方向に沿って延びる2つの傾斜面31を備えており、2つの傾斜面31は、フレーム本体10の長手方向と直交する方向において略同一長さを有し、フレーム本体10の長手方向と直交する方向に所定角度をなして断面V字状に形成されている。
図3は、前記車体フレームに用いられる第1補強体の要部を示す斜視図である。図3に示すように、第1補強体30はまた、断面V字状に形成された2つの傾斜面31の間に2つの傾斜面31に直交する方向に延びる複数の三角形状のリブ32を備えている。リブ32は、2つの傾斜面31の間に形成される空間33をフレーム本体10の長手方向と直交する方向に区画するように設けられ、2つの傾斜面31の上面31aとリブ32の上面32aとが略面一になるように形成されている。
一方、第1補強体30と当接して配設される2つの補強体40は、同一形状に形成され、図1及び図2に示すように、フレーム本体10の長手方向と直交する方向に左右対称に配置されている。2つの第2補強体40はそれぞれ、第1補強体30の傾斜面31と当接する傾斜面41を備え、2つの第2補強体40の傾斜面41のなす角度と第1補強体30の2つの傾斜面31のなす角度とは略同一に形成されている。
図4は、前記車体フレームに用いられる第2補強体の要部を示す斜視図であり、図1及び図2(a)において、フレーム本体10内の左側に配置される第2補強体40の要部を示している。図4に示すように、第2補強体40は、略平面状に形成される上面42と、上面42から略直角方向に延びる側面43、44とを備えている。フレーム本体10内の外方側に配置される外側側面43とフレーム本体10内の内方側に配置される内側側面44が平行に設けられ、傾斜面41は、上面42から内側側面44に向けて下側に傾斜して延び、内側側面44に接続されている。
また、第2補強体40は、上面42から略直角方向に延び、格子状に配設された板状のリブ45を有している。リブ45は、その先端部が、両側の側面43、44と略面一になるように形成されている。本実施形態では、図2(b)に示すように、格子状のリブ45によって形成される開口部46が略正方形状に形成されているが、開口部46をその他の四角形状や三角形状、六角形状又は八角形状などその他の形状に形成することも可能である。
車体フレーム1では、第1補強体30と2つの第2補強体40は、図1及び図2に示すように、第1補強体30の2つの傾斜面31がそれぞれ2つの第2補強体40の傾斜面41に当接するとともに、第1補強体30の2つの傾斜面31の上面31aとリブ32の上面32aがフレーム本体10の第1面部11aに当接し、かつ、第2補強体40の外側側面43がフレーム本体10の第3面部11bに当接するようにしてフレーム本体10内に配設される。
また、2つの第2の補強体40はそれぞれ、上面42から延びるリブ45の先端部と両側の側面43、44の上面42とは反対側の端部とがフレーム本体10の第2面部12aと当接するとともに、第2補強体40の上面42がフレーム本体10の第1面部11aから所定距離離間するようにして配設される。2つの第2補強体40はまた、内側側面43がともに当接するように配設されている。
このようにして構成される車体フレーム1は、前述したように、荷重が作用することが想定される方向に第1面部11aが対向するように配置され、これにより、外部から荷重が作用する時には、第1面部11aに圧縮方向の力が作用して圧縮応力が生じ、第2面部12aに引張方向の力が作用して引張応力が生じることとなる。
図5は、前記車体フレームに外部から曲げ荷重が作用するときの状態を説明するための説明図であり、図5(a)及び図5(b)は、曲げ荷重が作用する前後の状態を示している。図5(a)に示すように、フレーム本体10に補強部材20としての第1補強体30と2つの第2補強体40とを内蔵させた車体フレーム1に、図5(b)に示すように、フレーム本体10に外部から曲げ荷重が作用し、第1面部11aを介して第2補強体40に外部から所定以上の荷重F2が作用すると、第1面部11aが車体フレーム10の内方側へ移動されるとともに第1補強体30が第1面部11aから第2面部12aに向かう方向に移動される。
第1補強体30は、2つの傾斜面31の上面31aとリブ32の上面32aがフレーム本体10の第1面部11aに当接して配設されているので、第1補強体30の第1面部11a側の端面31a、32aから荷重F2が入力され、該荷重F2によって第1面部11aから第2面部12aに向かう方向に移動される。
第1補強体30が移動される際には、第1補強体30の傾斜面31と第2補強体40の傾斜面41とが荷重F2の入力方向と所定角度傾斜した状態で当接しているので、第1補強体30の移動に伴って第2補強体40が移動され、第1補強体30に入力された荷重F2は、第1補強体30の傾斜面31と第2補強体40の傾斜面41とによって第3面部11bを押圧する方向の力F33と第2面部12aを押圧する方向の力F32とに変換された状態で第2補強体40に伝達される。なお、第2補強体40に伝達される力F3は、第3面部11bを押圧する方向の力F33と第2面部12aを押圧する方向の力F32とを合成したものである。
そして、第2補強体40は、第1面部11aから第2面部12aに向かう方向における第1補強体30の移動に伴って、フレーム本体10の外方側、具体的には第3面部11b側に移動され、第3面部11bを押圧する方向の力F33によって外側側面43が第3面部11bをフレーム本体10の外方側へ押圧する。また、第2補強体40は、第2面部12aを押圧する方向の力F32によってリブ45の先端部と両側の側面43、44の上面42とは反対側の端部とが第2面部12aをフレーム本体10の外方側に押圧する。
このように、補強部材20では、第1補強体30の第1面部11a側の端面31a、32aに入力された荷重から第3面部11bを押圧する方向の力を生じさせて該第3面部11bを外方側へ押圧するので、フレーム本体10に外部から曲げ荷重が入力される際に、第3面部11bが内方側へ変形することを抑制することができるとともに第1面部11aを第3面部11b側に引っ張ることができ、第1面部11aと第3面部11bとの間の角部である稜線部10aからフレーム本体10の断面崩れが生じることを抑制することができる。
本実施形態では、第1補強体30の第1面部11a側の端面31a、32aと第2補強体40の第1面部11a側の端面42がフレーム本体10の第1面部11aと略平行に設けられ、第1補強体30の端面31a、32aが第2補強体40の端面42より第1面部11a側に突出した状態で配設されているので、第1補強体30が第1面部11aから第2面部12aに向かう方向に移動されると、第2補強体40が第3面部11b側に移動され、第1補強体30の端面31a、32aと第2補強体40の端面42が略面一になるように移動される。
第1補強体30の端面31a、32aと第2補強体40の端面42とが略面一になると、補強部材20に入力される荷重を、第1補強体30の端面31a、32aに加えて第2補強体40の端面42にも入力させることができるので、外部から曲げ荷重が入力される第1面部11aがフレーム本体10の内方側へ変形することを抑制することができる。
このように、本発明の第1の実施形態に係る車体フレーム構造では、フレーム本体10に内蔵した補強部材20は、第1補強体30と第2補強体40によって構成され、第1面部11aに当接し、該第1面部11aを介して外部から荷重が入力される荷重入力部21と、荷重入力部21に入力された荷重F2を、第3面部11bを押圧する方向の力F33と第2面部12aを押圧する方向の力F33に変換する荷重方向変換部22と、荷重入力部21より第2面部12a側において第3面部11bと第2面部12aに当接し、荷重方向変換部22によって変換された第3面部11bを押圧する方向の力F33と第2面部12aを押圧する方向の力F33によって第3面部11b及び第2面部12aを押圧する押圧部23と、を有している。
なお、荷重入力部21は、第1補強体30の2つの傾斜面31の上面31aとリブ32の上面32aとによって構成され、荷重方向変換部22は、第1補強体30の第2補強体40との当接部分である傾斜面31と第2補強体40の第1補強体30との当接部分である傾斜面41とによって構成され、押圧部23は、第2補強体40の外側側面43と、リブ45の先端部と両側の側面43、44の上面42とは反対側の端部とによって構成されている。
そして、フレーム本体10に曲げ荷重が入力され、荷重入力部21に第1面部11aを介して外部から所定以上の荷重F2が入力された場合は、荷重方向変換部22、具体的には第1補強体30の傾斜面31と第2補強体40の傾斜面41において荷重入力部21を有する第1補強体30と押圧部23を有する第2補強体40とに分割された状態で、第1補強体30が第1面部11aから第2面部12aに向かう方向に移動し、第2補強体40が第3面部11b及び第2面部12aを押圧する。
これにより、フレーム本体10に外部から曲げ荷重が入力される際に、補強部材20は、荷重入力部21に入力された荷重から第3面部11bを押圧する方向の力を生じさせて第3面部11bを外方側へ押圧することができるので、第3面部11bが内方側へ変形することを抑制することができるとともに第1面部11aを第3面部11b側に引っ張ることができ、第1面部11aと第3面部11bとの間の稜線部10aからフレーム本体10の断面崩れが生じることを抑制し、軽量化を図りつつ曲げ強度を向上させることができる。
また、補強部材20に外部から所定以上の荷重が入力された場合に、第1補強体30が第1面部11aから第2面部12aに向かう方向に移動可能であれば、第1補強体30と第2補強体40の当接部分である第1補強体30の傾斜面31と第2補強体40の傾斜面41とをフレーム本体10に内蔵する前に接着剤等を用いて接着するようにしてもよい。これにより、フレーム本体10内への補強部材20の組付けを容易に行うことができる。
本実施形態では、フレーム本体10の第3面部11bと押圧部23を構成する第2補強体40の外側側面44とを当接させるようにしているが、フレーム本体10の第3面部11bと第2補強体40の外側側面43とを接合させるようにしてもよい。かかる場合には、車体フレーム1全体の剛性を高めることができるとともに押圧部23によって第3面部11bを確実に押圧することができる。
前述した第1の実施形態では、補強部材20を構成する第1補強体30と2つの第2補強体40とは、第1補強体30の傾斜面31と第2補強体40の傾斜面41とが当接して配設されているが、第1補強体30と2つの第2補強体40との当接部分の一方のみを傾斜面とするようにしてもよい。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレームを示す図であり、前記車体フレームの正面図を示している。また、図6では、前記車体フレームの断面形状を破線で示している。なお、第2の実施形態において、第1の実施形態と同様の構成を備え、同様の作用をなすものについては同一符号を付して説明を省略する。
図6に示すように、第2の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレーム51では、補強部材60は、第1補強体70と2つの第2補強体40とから構成されているが、第1補強体70は、底面71と該底面71から略直角方向に延びる両側の側面72とを有するように形成されている。
また、第1補強体70は、底面71と両側の側面72との間に、底面71と両側の側面72に直交する方向に延びる複数の矩形状のリブ73を備え、該リブ73は、底面71と両側の側面72との間に形成される空間をフレーム本体10の長手方向と直交する方向に区画するように設けられ、側面71の上面とリブ73の上面とが略面一になるように形成されている。
車体フレーム51においても、第1補強体70の底面71と両側の側面72との間の角部74がそれぞれ第2補強体40の傾斜面41に当接するとともに、第1補強体70の両側の側面72の上面とリブ73の上面がフレーム本体10の第1面部11aに当接し、かつ、第2補強体40の外側側面43がフレーム本体10の第3面部11bに当接するようにしてフレーム本体10内に配設される。また、第2の補強体40は、リブ45の先端部と両側の側面43、44の上面42とは反対側の端部とがフレーム本体10の第2面部12aと当接するとともに、上面42がフレーム本体10の第1面部11aから所定距離離間するようにして配設される。
このようにして、本発明の第2の実施形態に係る車体フレーム構造においても、フレーム本体10に内蔵した補強部材60は、第1面部11aに当接し、該第1面部11aを介して外部から荷重が入力される荷重入力部61と、荷重入力部61に入力された荷重を、第3面部11bを押圧する方向の力と第2面部12aを押圧する方向の力に変換する荷重方向変換部62と、荷重入力部61より第2面部12a側において第3面部11bと第2面部12aに当接し、荷重方向変換部62によって変換された第3面部11bを押圧する方向の力と第2面部12aを押圧する方向の力によって第3面部11b及び第2面部12aを押圧する押圧部63と、を有している。
なお、荷重入力部61は、第1補強体70の両側の側面72の上面とリブ73の上面とによって構成され、荷重方向変換部62は、第1補強体70の第2補強体40との当接部分である角部74と第2補強体40の第1補強体70との当接部分である傾斜面41とによって構成され、押圧部63は、第2補強体40の外側側面43と、リブ45の先端部と両側の側面43、44の上面42とは反対側の端部とによって構成されている。
これにより、車体フレーム51においても、フレーム本体10に外部から曲げ荷重が入力される際に、補強部材60は、荷重入力部61に入力された荷重から第3面部11bを押圧する方向の力を生じさせて第3面部11bを外方側へ押圧することができるので、第3面部11bが内方側へ変形することを抑制することができるとともに第1面部11aを第3面部11b側に引っ張ることができ、第1面部11aと第3面部11bとの間の稜線部10aからフレーム本体10の断面崩れが生じることを抑制することができる。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレームを示す図であり、前記車体フレームの正面図を示している。また、図7では、前記車体フレームの断面形状を破線で示している。なお、第3の実施形態において、第1の実施形態と同様の構成を備え、同様の作用をなすものについては同一符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、第3の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレーム81では、補強部材90は、第1補強体30と2つの第2補強体100とから構成されている。第2補強体100は、略平面状に形成される上面102と、上面102から略直角方向に延びるフレーム本体10内の外方側に配置される外側側面103とフレーム本体10内の内方側に配置される内側側面104と備えているが、上面102と内側側面104との間に傾斜面が設けられていない。
また、第2補強体100は、上面102から略直角方向に延び、格子状に配設された板状のリブ105を有している。リブ105は、その先端部が、両側の側面103、104と略面一になるように形成され、格子状のリブ105によって四角形状の開口部106が形成されている。
車体フレーム81においても、第1補強体30の2つの傾斜面31が第2補強体100の上面102と内側側面104との間の角部107に当接するとともに、第1補強体30の傾斜面31の上面31aとリブ32の上面32aがフレーム本体10の第1面部11aに当接し、かつ、第2補強体100の外側側面103がフレーム本体10の第3面部11bに当接するようにしてフレーム本体10内に配設される。また、第2の補強体100は、リブ105の先端部と両側の側面103、104の上面102とは反対側の端部とがフレーム本体10の第2面部12aと当接するとともに、上面102がフレーム本体10の第1面部11aから所定距離離間するようにして配設される。
このようにして、本発明の第3の実施形態に係る車体フレーム構造においても、フレーム本体10に内蔵した補強部材90は、第1面部11aに当接し、該第1面部11aを介して外部から荷重が入力される荷重入力部91と、荷重入力部91に入力された荷重を、第3面部11bを押圧する方向の力と第2面部12aを押圧する方向の力に変換する荷重方向変換部92と、荷重入力部91より第2面部12a側において第3面部11bと第2面部12aに当接し、荷重方向変換部92によって変換された第3面部11bを押圧する方向の力と第2面部12aを押圧する方向の力によって第3面部11b及び第2面部12aを押圧する押圧部93と、を有している。
なお、荷重入力部91は、第1補強体30の2つの傾斜面31の上面31aとリブ32の上面32aとによって構成され、荷重方向変換部92は、第1補強体30の第2補強体40との当接部分である傾斜面31と第2補強体100の第1補強体30との当接部分である上面102と内側側面104との間の角部107とによって構成され、押圧部63は、第2補強体100の外側側面103と、リブ105の先端部と両側の側面103、104の上面102とは反対側の端部とによって構成されている。
これにより、車体フレーム81においても、フレーム本体10に外部から曲げ荷重が入力される際に、補強部材90は、荷重入力部91に入力された荷重から第3面部11bを押圧する方向の力を生じさせて第3面部11bを外方側へ押圧することができるので、第3面部11bが内方側へ変形することを抑制することができるとともに第1面部11aを第3面部11b側に引っ張ることができ、第1面部11aと第3面部11bとの稜線部10aからフレーム本体10の断面崩れが生じることを抑制することができる。
前述した第1の実施形態から第3の実施形態に係る車体フレーム構造を適用した車体フレーム1、51、81では、補強部材を構成する第2補強体として2つの第2補強体を用いているが、1つの第2補強体を用い、該第2補強体に所定以上の荷重が入力された場合に分割するように構成することも可能である。
図8は、本発明の第4の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレームに用いる第2補強体を示す図であり、図8(a)は、第2補強体の要部を示す断面斜視図、図8(b)は、第2補強体の底面図である。また、図9は、前記車体フレームに外部から曲げ荷重が作用するときの状態を説明するための説明図であり、図9(a)及び図9(b)は、曲げ荷重が作用する前後の状態を示している。なお、第4の実施形態において、第1の実施形態と同様の構成を備え、同様の作用をなすものについては同一符号を付して説明を省略する。
第4の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレーム111では、補強部材120は、第1補強体30と第2補強体130とから構成されているが、第2補強体130は、所定以上の荷重が入力される場合に2つに分割される1つの第2補強体から構成されている。
図8に示すように、第2補強体130は、略平面状に形成される上面132と、上面132から略直角方向に延びるフレーム本体10内の外方側に配置される両側の側面133とを備えている。また、第2補強体130には、上面132に2つの傾斜面134によって断面V字状に窪んで形成される凹部135が形成され、2つの傾斜面134は、該2つの傾斜面134を接続する谷部136が両側の側面133と直交する方向において両側の側面133の間の略中央部になるように形成されている。なお、第2補強体130の2つの傾斜面134のなす角度は、第1補強体30の2つの傾斜面31のなす角度と略同一に形成されている。
第2補強体130はまた、上面132から略直角方向に延びる格子状に配設された板状のリブ137を有し、リブ137は、その先端部が、両側の側面133と略面一になるように形成されている。格子状に配設されたリブ137は、両側の側面133に沿って平行に延びる複数の縦リブ137aと両側の側面133と直交する方向に延びる複数の横リブ137bとを有している。
第2補強体130では、複数の縦リブ137a及び複数の横リブ137bはそれぞれ平行に設けられている。縦リブ137aと横リブ137bとは、互いに直角に結合され、縦リブ137aは、両側の側面133と直交する方向において両側の側面133の間の略中央部に対して対称に設けられているが、両側の側面133の間の略中央部には設けられていない。すなわち、2つの傾斜面134を接続する谷部136から延びる縦リブは設けられていない。
これにより、第2補強体130では、図8(b)に示すように、縦リブ137aと横リブ137bとによって四角形状の開口部138が形成されているが、両側の側面133に直交する方向において両側の側面133の間の略中央部では略矩形状の開口部138が形成され、両側の側面133側では略正方形状の開口部138が形成されている。
第2補強体130はまた、樹脂材料を用いて射出成形によって成形されており、該射出成形時には、第2補強体130を成形するための成形キャビティに、両側の側面133に対応する部分から左右対称に樹脂材料が流れ込むようにゲートを形成した成形型を用いて成形される。
これにより、第2補強体130では、樹脂材料の流れが合流するウェルドラインが、図8において破線で示すように、両側の側面133と直交する方向の両側の側面133の間の略中央部における2つの傾斜面134の谷部136と横リブ137bに形成される。このようにして、第2補強体130では、両側の側面133と直交する方向における両側の側面133の間の略中央部に他の部分に比して脆弱な脆弱部139が形成される。
車体フレーム111においても、図9(a)に示すように、第1補強体30の2つの傾斜面31がそれぞれ第2補強体130の傾斜面134に当接するとともに、第1補強体30の傾斜面31の上面31aとリブ32の上面32aがフレーム本体10の第1面部11aに当接し、かつ、第2補強体130の外側側面133がフレーム本体10の第3面部11bに当接するようにしてフレーム本体10内に配設される。また、第2の補強体130は、リブ137の先端部と両側の側面133の上面132とは反対側の端部とがフレーム本体10の第2面部12aと当接するとともに、上面132がフレーム本体10の第1面部11aから所定距離離間するようにして配設される。
このようにして、本発明の第4の実施形態に係る車体フレーム構造においても、フレーム本体10に内蔵した補強部材120は、第1面部11aに当接し、該第1面部11aを介して外部から荷重が入力される荷重入力部121と、荷重入力部121に入力された荷重F2を、第3面部11bを押圧する方向の力F33と第2面部12aを押圧する方向の力F33に変換する荷重方向変換部122と、荷重入力部121より第2面部12a側において第3面部11bと第2面部12aに当接し、荷重方向変換部122によって変換された第3面部11bを押圧する方向の力F33と第2面部12aを押圧する方向の力F33によって第3面部11b及び第2面部12aを押圧する押圧部123と、を有している。
なお、荷重入力部121は、第1補強体30の2つの傾斜面31の上面31aとリブ32の上面32aとによって構成され、荷重方向変換部122は、第1補強体30の第2補強体40との当接部分である傾斜面31と第2補強体130の第1補強体30との当接部分である傾斜面134とによって構成され、押圧部123は、第2補強体130の外側側面133と、リブ137の先端部と両側の側面133の上面132とは反対側の端部とによって構成されている。
そして、フレーム本体10に曲げ荷重が入力され、荷重入力部122に第1面部11aを介して外部から所定以上の荷重F2が入力された場合は、図9(b)に示すように、第2補強体130は脆弱部139によって2つに分割され、荷重入力部122を有する第1補強体30と押圧部123を有する2つの第2補強体130の分割体130aとに分割された状態で、第1補強体30が第1面部11aから第2面部12aに向かう方向に移動し、第2補強体130の2つの分割体130aがそれぞれ第3面部11b及び第2面部12aを押圧する。
これにより、フレーム本体10に外部から曲げ荷重が入力される際に、補強部材120は、荷重入力部121に入力された荷重から第3面部11bを押圧する方向の力を生じさせて第3面部11bを外方側へ押圧することができるので、第3面部11bが内方側へ変形することを抑制することができるとともに第1面部11aを第3面部11b側に引っ張ることができ、第1面部11aと第3面部11bとの稜線部10aからフレーム本体10の断面崩れが生じることを抑制することができる。
本実施形態ではまた、第1の実施形態に係る車両用フレーム構造を適用した車体フレーム1を実施例として、車体フレーム1に外部から曲げ荷重を作用して曲げ変形する際の変形挙動をシミュレーション解析し、車体フレーム1が曲げ変形するときの最大荷重とエネルギー吸収量を調べた。
また、比較例として、フレーム本体10のみからなる車体フレーム(比較例1)と、フレーム本体10に、フレーム本体10の第1面部11aに沿って配設される上面と、該上面から略直角方向にフレーム本体10の第3面部11bに沿って延びる両側の側面と、該上面から略直角方向に延び格子状に配設された板状のリブとを有する補強部材を内蔵させた車体フレーム(比較例2)についても同様に、車体フレームが曲げ変形するときの最大荷重とエネルギー吸収量を調べた。
図13は、比較例として用いる車体フレームを説明するための説明図であり、図13(a)は、比較例2として用いる車体フレームの斜視図、図13(b)は、図13(a)におけるY13b−Y13b線に沿った車体フレームの断面図である。なお、図13(a)では、フレーム本体に内蔵した補強部材を明瞭に図示するため、フレーム本体を一点鎖線で示し、これを透過状態で示している。
図13に示すように、フレーム本体10の第1面部11aに沿って配設される上面221と、上面221から略直角方向にフレーム本体10の第3面部11bに沿って延びる両側の側面222と、上面221から略直角方向に延び格子状に配設された板状のリブ223とを有し、リブ223によって正方形状の開口部224が形成されるとともに、リブ223の先端部がフレーム本体10の第2面部12aと当接して両側の側面222と略面一になるように形成された補強部材220をフレーム本体10に内蔵させた車体フレーム211を比較例2として用いた。
これら実施例、比較例1、比較例2の車体フレームが曲げ変形するときの最大荷重とエネルギー吸収量を調べ、車体フレームの重量に対する最大荷重の割合である最大荷重の重量効率と、車体フレームの重量に対するエネルギー吸収量の割合であるエネルギー吸収量の重量効率との解析結果を以下の表1に示す。なお、表1では、比較例1の最大荷重の重量効率とエネルギー吸収量の重量効率を基準とし、実施例及び比較例2は、比較例1に対する割合として示している。
表1に示されるように、実施例では、比較例1に対する最大荷重の重量効率が2.7であり、比較例1に対するエネルギー吸収量の重量効率が1.9であり、比較例1及び比較例2に比して最大荷重の重量効率とエネルギー吸収量の重量効率とが大きくなっている。この表1から明らかなように、本発明の実施形態に係る車体フレームでは、重量の増加を抑制しつつ車体フレームの曲げ強度を向上させることができる。
本発明は、例示された実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。