JP2012045826A - 圧力容器の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】所望の耐圧性能を有する圧力容器を精度よく作製する。
【解決手段】円筒状の直胴部38と、直胴部38の両端に接続され、その頂部に口金部36,37を有するドーム部40,41と、を備えるライナ32の外周上に、樹脂液を含浸させた繊維束を、口金部36,37間の距離を調整しながら巻き付ける工程を含む。口金部36,37間の距離は、支持部42に設けられた口金部可動機構50により調整することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧力容器の製造方法に関する。
一般に、天然ガスや水素ガスなどの常温常圧では気体の物質を高圧で圧縮し、充填した高圧タンクなどの圧力容器が知られている。天然ガス自動車や燃料電池自動車などの車両には、燃料となる天然ガスや水素ガスなどに圧力を付加して充填し、貯留した圧力容器が搭載される。車両に搭載する圧力容器には、一般に、燃費の向上などのために軽量化が望まれており、このため、例えば炭素繊維強化プラスティック(CFRP)やガラス繊維強化プラスティック(GFRP)などの繊維強化プラスティック(FRP)製の圧力容器が好適に採用されている。
図5は、一般的なFRP製圧力容器の構成の概略を説明するための図である。図5に例示する圧力容器30は、中空形状のライナ32と、ライナ32の外周部分を被覆する繊維強化樹脂層(FRP層)34とを備え、構成されている。圧力容器30の端部にはまた、少なくとも一つの口金部36を有する。口金部36は、図示しないバルブを接続可能に構成されており、このバルブの開閉動作により圧力容器30の内外への流体の流通を制御することができる。ライナ32には、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロンなどのナイロン樹脂やポリプロピレン樹脂などの高いガスバリア性を有する熱可塑性樹脂に、必要に応じてエラストマーを添加して構成される。
繊維強化樹脂層34は一般に、例えばガラス繊維、炭素繊維、ケブラ繊維などからなる、長く連続した糸状の繊維を複数束ねた繊維束(フィラメント)に、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂などの熱硬化性樹脂を含む樹脂液を含浸させながら、あるいは該樹脂液を乾燥および/または半硬化させたいわゆるプリプレグ繊維を予め作製した後に、ライナ32の外周上に、繊維束またはプリプレグ繊維を巻きつける工程(フィラメントワインディング(FW)工程)、次いで、該樹脂液を硬化させる工程(硬化工程)を経て形成することができる。このとき、ライナ32の材質および/または厚みの他、例えば、繊維強化樹脂層34を構成する繊維または繊維束の太さやプリプレグ繊維の巻き数等を調整し、繊維強化樹脂層34の厚みを調整することにより、圧力容器30の耐圧性および耐衝撃性、その他の設計強度を所望のものとすることができる。また、必要に応じて、ライナ32と繊維強化樹脂層34との間、および/または口金部36と繊維強化樹脂層34との間に図示しない連通層または連通孔を設け、圧力容器内部に残留する残留ガスを排出させる構成とすることもできる。
図6は、一般的なフィラメントワインディング装置の構成の概略を例示する図である。図6に示すフィラメントワインディング装置は、巻出しボビン12a,12b,12c,12dからそれぞれ巻き出されるプリプレグ繊維10a,10b,10c,10dを並行するように搬送させる搬送部14と、プリプレグ繊維10a,10b,10c,10dに適切な圧力を加えて挟み込み、拡幅させる拡幅ローラ16,17と、プリプレグ繊維10a,10b,10c,10dを送り出す幅および方向を調整し、ここでは図示しないライナ支持装置に支持されたライナの適切な位置にガイドするためのプリプレグ繊維ガイド18と、を含み、構成されている。搬送部14には、テンションローラ20やアクティブダンサー22、図示しないアキュームレータなどの張力緩和機構その他の搬送補助機構が含まれ得て、必要に応じて各装置または機構を適切な箇所に配設することができる。
図7は、図6に示すフィラメントワインディング装置を適用し得るライナおよび該ライナを支持するための従来のライナ支持装置の構成について例示した図である。図7において、ライナ32は一般に、断面径がほぼ均一な円筒状の直胴部38と、直胴部38の両端に接続され、その頂部に口金部36,37を有するドーム部40,41と、を有する。ライナ支持装置200には、ライナ32の両端部を軸支するための支持部42,43が設けられている。支持部42,43は、ライナ32の両端部に設けられた口金部36,37に対して着脱可能に構成されており、ライナ32の軸70を中心に回転可能に、ライナ32を支持することができる。支持部42,43の少なくとも一方には、モータ(図示せず)が接続されており、このモータの回転により、ライナ32を、軸70を中心に回転させることができる。
特開2004−148777号公報 特開2006−062355号公報
一般に、ライナ32の表面に繊維束またはプリプレグ繊維を複数回巻き付けて積層構造を形成した場合、ライナ32に近い内側部分に巻き付けられた繊維束またはプリプレグ繊維が撓み、その張力がライナ32から遠い外側部分と比較して低下する傾向にある。このため、例えば、繊維束またはプリプレグ繊維の巻き付け回数に応じて内圧や巻き付け時に付与する張力を段階的に調整する等により、巻き付けた繊維束またはプリプレグ繊維がFRP層34(図5参照)の全体にわたり適切な張力分布となるように制御されている。
ライナ32の直胴部38では、主として、軸70に対して垂直な方向に繊維束またはプリプレグ繊維を巻き付けるフープ巻きにより巻き付けられる。このため、ライナ32の直胴部38では、巻き付けられた繊維束またはプリプレグ繊維によりライナ32の径方向に圧縮する力が加えられる。一方、ライナ32のドーム部40(および41)では、主として、軸70に対して傾斜させた方向に繊維束またはプリプレグ繊維を巻き付けるヘリカル巻きにより巻き付けられる。このため、ライナ32のドーム部40(および41)では、巻き付けられた繊維束またはプリプレグ繊維によりライナ32の径方向よりはむしろ軸方向に圧縮する力が働く。
図8に示すように、直胴部38では内圧52を調整するとともに周方向に適度に外圧54が生じるように張力を適度に加えることでつりあいが取れるため、内圧52と外圧54との適切な調整が比較的容易である。しかしながら、ドーム部40に巻き付けられる繊維束またはプリプレグ繊維に付与された張力に伴う、軸方向に圧縮する力(例えば、図8の55〜58)は、ドーム部40の形状に応じて巻き付け回数が異なる場合もあり、差異が生じ得る。このため、ライナ32内部の全体にわたり均等に付与される内圧52と繊維束またはプリプレグ繊維に付与される張力とを調整するだけでは、ドーム部40に巻き付けられる繊維束またはプリプレグ繊維から受ける外圧54と内圧52とを適切につりあわせることが困難な場合があり得る。このため、ライナ32に部分的に負荷がかかった状態で圧力容器が作製される場合があり得て、作製した圧力容器の安定した耐圧性の確保が懸念される場合があり得た。
本発明は、所望の耐圧性能を有する圧力容器を精度よく作製することを目的とする。
本発明は、円筒状の直胴部と、前記直胴部の両端に接続され、その頂部に口金を有するドーム部と、を備えるライナの外周上に、樹脂液を含浸させた繊維束を、該口金間の距離を調整しながら巻き付ける工程を含む、圧力容器の製造方法である。
所望の耐圧性能を有する圧力容器を精度よく作製することができる。
ライナおよび該ライナを支持するためのライナ支持装置の一例について、その構成の概略について説明するための図である。 口金部可動機構の構成の概略について説明するための断面図である。 ライナにヘリカル巻きを施す場合の制御方法について説明するための図である。 ライナにフープ巻きを施す場合の制御方法について説明するための図である。 圧力容器の構成の概略を説明するための図である。 フィラメントワインディング装置の一例について、その要部の構成の概略を説明するための図である。 ライナおよび該ライナを支持するための従来のライナ支持装置の構成について例示した図である。 フィラメントワインディングに伴う外圧と内圧との関係について説明するための図である。
以下、図面を用いて詳細に説明する。各図面において、同様の構成には同じ符号を付し、その説明を省略する場合があるが、その形状は必ずしも同一とは限らない。
図1は、本発明の実施の形態における圧力容器の製造方法のうち、特にFW工程において好適に利用され得るライナ支持装置の構成の概略を説明するための図である。図1に示すライナ支持装置100は、ここでは図示しない口金部可動機構を備えることを除き、図7に示すライナ支持装置と同様の構成を有している。
図2に示すように、第1の支持部42に形成された口金部可動機構50は、第1の口金部36(可動側口金部)の内壁面に形成された、バルブ接続用の雌ネジ部44と螺合するように切り欠かれている。また、第1の支持部42の端部には、ベアリング機構46が設けられており、第2の口金部37(固定側口金部)の内部にはめ込まれて固定されている。軸70を回転軸として第1の支持部42を回転させることにより、口金部可動機構50の作用により雌ネジ部44が軸方向に進退し、これに伴い第1の口金部36もライナ32の軸方向に進退する。このため、口金部36,37の間の距離を調整するとともに、第1の口金部36に近いドーム部40(図1参照)の形状を適度に変形させることが可能となる。
例えばライナ32のドーム部40,41や、軸方向の補強を目的としてヘリカル巻きを施す場合には、特にこの口金部可動機構50と、ヘリカル巻きを施す繊維束またはプリプレグ繊維10の張力とを適切に調整することにより、ライナ32および/またはFRP層34が受ける完成時の張力が最適になるように設計することができる(図3参照)。また、必要に応じて、ライナ32の内圧を調整することも好適である。
一方、例えばライナ32の直胴部38や、径方向または周方向の補強を目的としてフープ巻きを施す場合には、フープ巻きを施す繊維束またはプリプレグ繊維10の張力とライナ32の内圧とを適切に調整することにより、ライナ32および/またはFRP層34が受ける完成時の張力が最適になるように設計することができる(図4参照)。また、必要に応じて、口金部可動機構50を作用させて口金部36,37の間の距離を調整することも好適である。
このように、本発明の実施の形態によれば、ライナ32の軸方向に受ける、内圧と外圧とを適度に調整するために口金部可動機構50を作用させることにより、特にライナ32のドーム部40,41に対応する圧力容器の成形精度を向上させることができるため、所望の耐圧性能を有する圧力容器を精度よく作製することができる。
本発明は、樹脂液を含浸させた繊維束またはプリプレグ繊維をライナの外周上に巻き付けるフィラメントワインディング工程を含むFRP製の圧力容器の作製に利用することが可能である。
10,10a,10b,10c,10d プリプレグ繊維、12a,12b,12c,12d ボビン、14 搬送部、16,17 拡幅ローラ、18 プリプレグ繊維ガイド、20 テンションローラ、22 アクティブダンサー、30 圧力容器、32 ライナ、34 繊維強化樹脂層(FRP層)、36,37 口金部、38 直胴部、40,41 ドーム部、42,43 支持部、44 雌ネジ部、46 ベアリング機構、50 口金部可動機構、52 内圧、54 外圧、70 軸、100,200 ライナ支持装置。

Claims (1)

  1. 円筒状の直胴部と、前記直胴部の両端に接続され、その頂部に口金部を有するドーム部と、を備えるライナの外周上に、樹脂液を含浸させた繊維束を、該口金部間の距離を調整しながら巻き付ける工程を含むことを特徴とする圧力容器の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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