JP2012043648A - 導電性ペースト - Google Patents

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Abstract

【課題】繊維製芯材を導電性ペーストの乾燥塗膜で被覆して導電線を作製する際に、繊維製芯材の可撓性、屈曲性を維持し易く、繊維製芯材との接着性が良好で、且つ低比抵抗を示す導電性ペーストを提供する。
【解決手段】樹脂、箔片状金属粉及び溶剤を含有する導電性ペーストであって、前記樹脂は、ガラス転移温度が−32〜5℃の飽和共重合ポリエステル樹脂とガラス転移温度が6〜40℃の飽和共重合ポリエステル樹脂とを含有することを特徴とする導電性ペースト。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性ペーストに関し、特に繊維製芯材を被覆して導電線を作製する用途に有用な導電性ペーストに関する。
従来、電線に用いられる導電線としては一般に銅線が使用されているが、軽量化を図る代替材料として、例えば、繊維製芯材に金属被膜を電解めっき、化学めっき、真空蒸着等によって形成した金属被覆繊維が提案されている(例えば、特許文献1等)。
しかしながら、めっき及び蒸着法により金属被覆された金属被覆繊維は可撓性に劣り、電線として使用するのは困難である上、製造コストが高いという問題がある。これに対し、繊維製芯材に導電性ペーストを塗布・乾燥することにより金属被覆繊維を製造することが提案されている。この技術では金属被覆繊維のある程度の可撓性、屈曲性の改善はできるものの、未だ改善の余地がある。また、現状の導電性ペーストは繊維製芯材との接着性が不十分であり、経時的に剥離などの問題が生じ易い。
よって、繊維製芯材を導電性ペーストの乾燥塗膜で被覆して導電線を作製する際に、繊維製芯材の可撓性、屈曲性を維持し易く、繊維製芯材との接着性が良好で、且つ低比抵抗を示す導電性ペーストの開発が望まれている。
特開2001−234468号公報
本発明は、繊維製芯材を導電性ペーストの乾燥塗膜で被覆して導電線を作製する際に、繊維製芯材の可撓性、屈曲性を維持し易く、繊維製芯材との接着性が良好で、且つ低比抵抗を示す導電性ペーストを提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の樹脂成分を含有する導電性ペーストが上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は下記の導電性ペースト及び導電線に関する。
1. 樹脂、箔片状金属粉及び溶剤を含有する導電性ペーストであって、前記樹脂は、ガラス転移温度が−32〜5℃の飽和共重合ポリエステル樹脂とガラス転移温度が6〜40℃の飽和共重合ポリエステル樹脂とを含有することを特徴とする導電性ペースト。
2. 前記箔片状金属粉は、銀粉、アルミニウム粉及び銀メッキされた銅粉からなる群から選択される少なくとも1種である、上記項1に記載の導電性ペースト。
3. 有機合成繊維被覆用である、上記項1又は2に記載の導電性ペースト。
4. 有機合成繊維からなる繊維製芯材が上記項1〜3のいずれかに記載の導電性ペーストの乾燥塗膜により被覆されてなる導電線。
5. 前記箔片状金属粉が互いにずれ重なって導通している、上記項4に記載の導電線。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の導電性ペーストは、樹脂、箔片状金属粉及び溶剤を含有し、前記樹脂は、ガラス転移温度が−32〜5℃の飽和共重合ポリエステル樹脂とガラス転移温度が6〜40℃の飽和共重合ポリエステル樹脂とを含有することを特徴とする。
上記特徴を有する本発明の導電性ペーストは、特に樹脂としてガラス転移温度が−32〜5℃の飽和共重合ポリエステル樹脂とガラス転移温度が6〜40℃の飽和共重合ポリエステル樹脂との2種類を含有することにより、低比抵抗を示し、繊維製芯材を導電性ペーストの乾燥塗膜で被覆して導電線を作製する際に、繊維製芯材の可撓性、屈曲性を維持し易く、繊維製芯材との接着性が良好である。
以下、導電性ペーストの各成分及びそれを用いて作製される導電線について説明する。
≪樹脂≫
樹脂としては、ガラス転移温度が−32〜5℃(好ましくは−10〜5℃)の飽和共重合ポリエステル樹脂とガラス転移温度が6〜40℃(好ましくは6〜20℃)の飽和共重合ポリエステル樹脂との2種類を用いる。
飽和共重合ポリエステル樹脂は、構成分子にエステル結合を含む樹脂である。ガラス転移温度が高すぎると樹脂の柔軟性に欠け、導電性ペーストの乾燥塗膜を折り曲げた際に乾燥塗膜の剥がれ及びひび割れが生じ易くなる。また、ガラス転移温度が低すぎると塗膜が柔軟になり過ぎて取扱いが困難となる。よって、適度なガラス転移温度の飽和共重合ポリエステル樹脂を2種混合することによって、乾燥塗膜に剥がれ及びひび割れが生じ難く、タック性(べたつき)が無い乾燥塗膜を得ることができる。
ガラス転移温度が−32〜5℃の飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、エリーテルUE−3220、UE−3223、UE−3230、UE−3231、UE−3410、UE−3510等(いずれもユニチカ株式会社製)が挙げられる。
ガラス転移温度が6〜40℃の飽和ポリエステル樹脂としては、例えば、エリーテルUE−3500(ユニチカ株式会社製)が挙げられる。
なお、本明細書におけるガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定(DSC)により測定される値である。
上記2種類の飽和共重合ポリエステル樹脂の混合割合は限定的ではないが、樹脂全量中、−32〜5℃の飽和共重合ポリエステル樹脂の含有量が10〜40重量%であり、6〜40℃の飽和共重合ポリエステル樹脂の含有量が60〜90重量%であることが好ましい。
樹脂としては、実質的に上記2種類の樹脂を用いればよいが、他の樹脂を併用することもできる。例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂等が挙げられる。これらの他の樹脂の含有量は、樹脂全量中10重量%以下であることが好ましい。
導電性ペースト中の樹脂含有量は限定的ではないが、50重量%以下が好ましく、10〜30重量%がより好ましい。樹脂含有量が少なすぎる場合には、繊維製芯材を被覆する場合に樹脂不足により接着性が低下するおそれがある。また、樹脂含有量が多すぎる場合には、乾燥塗膜(導電性塗膜)の比抵抗が上昇するおそれがある。
≪箔片状金属粉≫
箔片状金属粉としては、抵抗値、加工性、コスト等の観点から、銀粉が好ましいが、銀粉以外として例えば、アルミニウム粉又は銀メッキされた銅粉を用いることができる。これらの箔片状金属粉は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。箔片状金属粉は、還元法、電解法、アトマイズ法等によって製造することができる。また、箔片状金属粉は、フレーク状金属粉、鱗片状金属粉等の形態の市販品を利用することもできる。
箔片状金属粉は、平均粒径が1〜40μmであることが好ましい。箔片状金属粉の平均粒径が1μm未満であると箔片状金属粉どうしの接触面積が小さくなり、抵抗値が高くなるとともに導電性ペーストの粘度が高くなる。一方、箔片状金属粉の平均粒径が40μmを超えると塗膜中の樹脂成分との密着性が低下し、箔片状金属粉が塗膜中の樹脂成分と分離して抵抗値が高くなるおそれがある。なお、上記箔片状金属粉の平均粒径は、レーザー回折法による測定値である。
箔片状金属粉の比表面積は、0.1〜4.0m/gが好ましい。上記比表面積は、BET法(気体吸着法)による測定値である。
箔片状金属粉の見掛け密度は、0.5〜3.0g/cmが好ましい。上記見掛け密度は、JISZ2504に規定された測定方法での測定値である。
箔片状金属粉の厚みd(μm)は、粒径により異なるが、0.01〜1.0μmが好ましい。上記厚みdは、箔片状金属粉の比表面積をS(m/g)として、d=0.19/Sで示される計算式から算出することができる。
導電性ペースト中の箔片状金属粉の含有量は限定的ではないが、90重量%以下が好ましく、10〜60重量%がより好ましい。箔片状金属粉の含有量が少ない場合には、乾燥塗膜の比抵抗が上昇するおそれがある。また、箔片状金属粉の含有量が多い場合には、相対的に樹脂含有量が少なくなり、繊維製芯材への密着性が低下するおそれがある。
≪溶剤≫
溶剤としては上記樹脂を溶解できる限り限定されないが、例えば、トルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等を使用することができる。これらの溶剤は、1種又は2種以上を混合して用いることができる。
導電性ペースト中の溶剤の含有量は限定的ではないが、5〜70重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましい。溶剤の含有量が少ない場合には、樹脂を十分に溶解できず、分散安定性が低下するおそれがある。また、溶剤の含有量が多い場合には、相対的に樹脂濃度が低下して分散安定性が低下するおそれがある。
≪添加剤≫
その他、導電性ペーストには、本発明の目的を損なわず、乾燥塗膜の可撓性、屈曲性、接着性、導電性に悪影響を及ぼさない含有量の範囲で可塑剤、滑剤、レベリング剤、消泡剤、帯電防止剤、酸化防止剤、キレート剤、充填剤等の各種添加剤を含めることができる。
≪導電線≫
本発明の導電性ペーストは、有機合成繊維との接着性が優れているため、有機合成繊維被覆用として好適に使用することができる。即ち、本発明の導電性ペーストは、有機合成繊維からなる繊維製芯材を導電性ペーストの乾燥塗膜により被覆することにより導電線を作製する用途に好適に利用することができる。
芯材となる有機合成繊維は、容易に切れない繊維が好ましく、高強度繊維が好ましい。高強度繊維としては、例えば、ポリケトン繊維、高強力ポリアリレート繊維、アラミド繊維等を例示することができる。この種の高強度繊維としては、例えば、サイバロン、ケプラー、ダイニーマ、ザイロン、ベクトラン等の商標名で販売されているものがある。また、用途によっては、耐熱性(例えば 200℃以上)を有する繊維を使用する。
上記構成の導電線においては、乾燥塗膜中の箔片状金属粉が互いにずれ重なっており、その結果、導電性を発揮する。丸粒状金属微粒子のみからなる金属粉では、金属粉を構成している金属微粒子同士が点接触であるため、導電線が撓んだときに乾燥塗膜中の隣り合う金属微粒子が離れてしまうことで導電性能が低下するが、箔片状金属粉を所定量含む乾燥塗膜は、金属粉を構成する金属片が互いにずれ重なっているため、導電線が撓んだ場合でも隣り合う金属片どうしの電気的導通性能を維持し得る。箔片状金属粉は、所望の電気伝導性及び可撓性に応じて、導電性ペースト中の配合量が適宜設定される。なお、丸粒状金属微粒子を箔片状金属粉に混入させることは可能である。
例えば、銀の体積抵抗率は1.59×10−6Ω・cmであるが、箔片状銀粉を用いた上記構成の導電線は、10−6〜−10−4Ω・cmオーダーの体積抵抗率を確保することが可能である。これは、導電線としては極めて低い体積抵抗率である。
また、本発明の導電線は、芯材が有機合成繊維であるので軽量化が可能である。例えば、ジェット機又はロケットのように軽量化が求められる分野において有用な導電線となる。更に、アルミニウムは銀及び銅に比べて密度が小さいため、軽量化の観点からは箔片状アルミニウム粉がより適している。
更に、本発明の導電線は、繊維製芯材の表面に乾燥塗膜が形成されるため、高周波電流を流す場合に有利である。即ち、一般に、高周波電流の周波数が高ければ高いほど、電流が導線の表面に集ろうとし、導線の内部の電流(密度)は小さくなる(これを「表皮効果」と言う。)。従って、導電線の芯材が非導電性の繊維であっても、高周波電流であれば効率よく流すことができる。
また、表皮効果により、周波数が高くなると導体の内部は電流の伝導に殆ど関与しなくなり、見掛け上の断面積が減少し、抵抗が大きくなる。導線の直径が小さければ、内部の無駄になる部分が少なく、抵抗の増加は小さい。従って、高周波電流を流す場合には、できるだけ繊維製芯材を細くすることが好ましく、例えば10〜200μm程度が好ましく、10〜20μ程度がより好ましい。
上記のような導電線の製造方法の一例として、箔片状銀粉を用いた例を次に説明する。
平均粒径4〜8μm、比表面積1.4〜2.4m/g、見掛け密度0.5〜0.9g/cmの箔片状銀粉35〜45重量部と、樹脂15〜25重量部と、適宜溶剤を含有する導電性ペーストを用意する。
また、導電性ペーストの塗布方法によって、適宜の塗料粘度、揮発速度等となるように溶剤の含有量を調整する。乾燥塗膜は、厚すぎると屈曲性能を損なうおそれがあるため、乾燥(硬化)後において、乾燥塗膜が屈曲性能を発揮し得る程度の厚みにする。
導電性ペーストの塗布方法として、塗膜の厚み制御が容易なメッシュスクリーン印刷を好適な塗布方法として挙げることができる。メッシュスクリーン印刷の場合、導電性ペーストは、樹脂15〜25重量部に対して溶剤を40〜60重量部含有させる。導電性ペーストの粘度を、例えば、390mPa・S(25℃)程度に調整し、メッシュスクリーンは、例えば、100〜200メッシュのスクリーンを使用することができる。
メッシュスクリーン印刷を行う場合、連続的に印刷可能な印刷機を使用することが好ましい。即ち、印刷前の繊維を巻いた引出リールから引き出した繊維を巻取リールで巻き取る途中に、昇降自在のスクリーン及び機枠に支持されたスキージが配置され、繊維を間欠送りし、その間欠送りに合わせてスクリーンを上下動させて、スクリーンを介して導電性ペーストをスキージングにより印刷することで、長尺の繊維に連続的に印刷可能である。もちろん、印刷後・巻取前に乾燥機で加熱乾燥することもできる。
スキージは、いわゆる平スキージのほか、ロータリースキージを使用しても良い。スキージ方向は、繊維の送り方向と平行とすることが好ましい。繊維の送り方向と平行で且つ一方向にスキージングすることにより、導電性ペースト中の箔片状銀粉がずれ重なって並ぶ配向が繊維の長さ方向に揃いやすく、導電線の撓み時における導電性維持に貢献し得る。
印刷を施す繊維は、撚りが施されていない無撚繊維を使用することが好ましい。支持体上に載置された無撚繊維は、スキージ等の塗布手段による押圧によって、無撚繊維を構成する単糸の束が繊維幅方向(繊維径方向)に扁平状又は帯状に広げて並べられ、繊維単糸の各々に略均等に導電性ペーストが付与され得る。このように単糸の束が扁平状に押し広げられることにより、導電性ペーストを塗布し易くなる。繊維単糸一本に導電性を得るのに必要な箔片状銀粉が付与されるためには、繊維の単糸直径は、少なくとも10μm程度以上が必要とされる。また、無撚繊維の場合は、導電性ペーストを印刷後、硬化前に、撚りをかけても良い。
印刷後、使用する樹脂に応じた硬化条件により導電性ペーストを硬化、乾燥させる。
メッシュスクリーン印刷の他に、スクリーンを用いずに、スキージのみを用いて導電性ペーストを塗布することも可能である。
また、ロールコータによる印刷も可能である。ロールコータの場合は、シルクスクリーン印刷に比べて印刷速度が速いため、シルクスクリーン印刷に用いる塗料よりも低粘度で且つ短時間で乾燥するように、速乾性の溶剤を使用し、添加量も調整される。
ロールコータの場合、ロールの回転方向は印刷されるべき繊維が送られる方向に沿う方向であるから、上記メッシュスクリーン印刷において説明したように、導電性ペースト中の箔片状銀粉は、箔片状銀粉を構成している各銀片のずれ重なり方向が繊維の長さ方向に揃い易く、各銀片の好適な配向性に寄与し得る。その結果、導電性繊維の撓み時の導電性能を良好に維持し得る。
上記印刷方法の他、浸漬塗布も可能である。浸漬塗布の場合、浸漬後、導電性ペースト槽から引き出された繊維を、ブレード等の掻き取り手段によって導電性ペーストを一定厚みとなるように掻き取るか、又は、所望の塗膜厚になるよう調節された所定幅のスリットを通過させることによって、余分な導電性ペーストを除去する。導電性ペースト塗布時における掻き取り時又はスリット通過時に、導電性ペーストは、上記のメッシュスクリーン印刷のスキージング作用と同様に、導電性塗料中の箔片状銀粉をずれ重なり方向を一定方向に配向させる作用を生じさせ得る。
導電性ペーストを繊維製芯材に印刷した後、非導電性の塗料を乾燥塗膜上に印刷することにより、絶縁被覆層を形成することもできる。この場合には、非導電性塗料は、導電性ペーストと同様に、スクリーン印刷、ロールコータ等による印刷等を採用することができる。非導電性塗料は、例えば、導電性ペーストから箔片状銀粉を除いた樹脂によって形成することができる。
導電性ペースト及び非導電性の塗料の塗膜は、いずれも常温乾燥又は加熱乾燥によって乾燥させる。加熱乾燥の場合には、150〜300℃で3〜120分程度乾燥すればよく、必要に応じて、焼結乾燥させることもできる。
本発明の導電性ペーストは、特に樹脂としてガラス転移温度が−32〜5℃の飽和共重合ポリエステル樹脂とガラス転移温度が6〜40℃の飽和共重合ポリエステル樹脂との2種類を含有することにより、低比抵抗を示し、繊維製芯材を導電性ペーストの乾燥塗膜で被覆して導電線を作製する際に、繊維製芯材の可撓性、屈曲性を維持し易く、繊維製芯材との接着性が良好である。
以下に実施例・比較例を示して本発明を具体的に説明する。但し本発明は実施例に限定されない。
実施例1及び比較例1〜3
(導電性ペーストの調製)
下記表1に示される組成となるように導電性ペーストを調製した。具体的には、樹脂と溶剤を混合後、箔片状金属粉を添加してディゾルバで十分に分散させることにより導電性ペーストを調製した。
樹脂及び箔片状金属粉の詳細は次の通りである。
・商品名「エリーテルUE-3220」(飽和共重合ポリエステル樹脂 ユニチカ社製)
ガラス転移温度(Tg)5℃
・商品名「エリーテルUE-3500」(飽和共重合ポリエステル樹脂 ユニチカ社製)
ガラス転移温度(Tg)15℃
・商品名「銀鱗片」(箔片状銀粉、平均粒径5.5μm、比表面積1.8m/g、見掛け密度0.6g/cm、福田金属箔粉工業社製)
(導電線の作製)
非撚性のアラミド繊維(110dtex, 単糸径12μm)を各導電性ペーストに浸漬した。
アラミド繊維としては、商品名「ケブラー」(パラ系アラミド繊維 東レ・デュポン社製)を用いた。
浸漬後のアラミド繊維を穴直径0.45mmφの治具に通し、余分な導電性ペーストを除去した。
常温で被膜を乾燥させた後、200℃、15分のオーブンで焼結乾燥させた。
これにより導電線を作製した。
試験例1
各導電性ペースト及び導電線の物性を試験した。
≪耐屈曲性試験≫
各導電線(10cm)を90°及び180°に屈曲させ、屈曲前後の電気抵抗値の差を求めた。
電気抵抗値測定には、4端子法のミリオームテスターを用いた。値は0に近い方が、耐屈曲性が高いと判断できる。測定不可は、断線したことを示している。
・耐屈曲性の高いものは、屈曲前後で電気抵抗値の上昇が少ない。
・耐屈曲性の低いものは、屈曲前後で電気抵抗値の上昇が大きい。
≪比抵抗測定(1)≫
各導電線(20cm)の電気抵抗値測定を4端子法のミリオームテスターを用いて求めた。具体的には、導電線の両端に端子を接続し、電気抵抗値を測定した。
繊維束を被覆している導電被覆の断面積を算出するため、導電線の断面写真を走査型電子顕微鏡で撮影し、導電被膜の断面積を算出した。
電気抵抗値、導電被膜断面積、長さより比抵抗を算出した。
≪比抵抗試験(2)≫
各導電性ペーストをPETフィルムに0.5cm×10cmの面積で均一に塗付した。
常温で塗膜を乾燥させ、更に200℃、15分オーブンで焼結乾燥させた。
焼結乾燥させた塗膜の電気抵抗値を4端子法のミリオームテスターを用いて測定した。具体的には、サンプルの両端に端子をつけ、電気抵抗値の測定を実施した。
塗膜厚をデジタルマイクロメーターで測定し、電気抵抗値、塗膜断面積、長さより比抵抗を算出した。
≪耐剥離性試験≫
比抵抗測定(2)の試験サンプルを180°折り曲げ、塗膜の耐剥離性を確認した。
○:導電性銀ペースト塗膜が剥離しない。
△:導電性銀ペースト塗膜が一部剥離する。
×:導電性銀ペースト塗膜が剥離する。
≪周波数特性≫
各導電線(13mm)の周波数特性を調べるために電気抵抗値を測定した。電気抵抗値の測定は、アジレント社製LCRメータ(4284A、42B5A)を用いて測定した。
比抵抗測定(1)と同じ方法で導電部の断面積を算出し、各周波数の比抵抗を算出した。高周波でも低比抵抗を示すほど、性能は良いと判断される。
各試験結果を下記表1に示す。
Figure 2012043648

Claims (5)

  1. 樹脂、箔片状金属粉及び溶剤を含有する導電性ペーストであって、前記樹脂は、ガラス転移温度が−32〜5℃の飽和共重合ポリエステル樹脂とガラス転移温度が6〜40℃の飽和共重合ポリエステル樹脂とを含有することを特徴とする導電性ペースト。
  2. 前記箔片状金属粉は、銀粉、アルミニウム粉及び銀メッキされた銅粉からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の導電性ペースト。
  3. 有機合成繊維被覆用である、請求項1又は2に記載の導電性ペースト。
  4. 有機合成繊維からなる繊維製芯材が請求項1〜3のいずれかに記載の導電性ペーストの乾燥塗膜により被覆されてなる導電線。
  5. 前記箔片状金属粉が互いにずれ重なって導通している、請求項4に記載の導電線。
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